JPH09195066A - ホウ化チタン粒子分散層の形成方法 - Google Patents

ホウ化チタン粒子分散層の形成方法

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JPH09195066A
JPH09195066A JP2320596A JP2320596A JPH09195066A JP H09195066 A JPH09195066 A JP H09195066A JP 2320596 A JP2320596 A JP 2320596A JP 2320596 A JP2320596 A JP 2320596A JP H09195066 A JPH09195066 A JP H09195066A
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molten pool
particles
metal salt
forming
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Hiroyuki Toda
裕之 戸田
Shinji Yamamoto
真二 山本
Masahiro Takahashi
昌博 高橋
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TiB2 粒子の添加によって基材を強化する
場合に、基材の表面層にTiB2 粒子を均一に分布させ
る方法を提供する。 【解決手段】 基材の表面に溶融池を形成し、該溶融池
に対し、TまたはTiを1mass%以上含む合金と、
Tiの塩と、Tiの化合物とのいずれかと、BまたはB
を1mass%以上含む合金と、Bの塩と、Bの化合物
とのいずれかとを添加し、溶融池においてTiB2 粒子
および其他の硬質粒子を生成させて、これらの粒子が均
一に分散した表面層を形成するホウ化チタン粒子分散層
の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】金属基材の表面層にホウ化チ
タン粒子を均一に分散せしめる表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼材料に比較して、軽量で耐食性,熱
伝導性,成形性に優れているアルミニウム、特にアルミ
ニウム合金は多くの産業分野で使用されており、自動車
の分野ではボディ,サスペンション,エンジン周りの部
材として鉄鋼材料に代って利用されている。しかしなが
ら元来、アルミニウム合金の硬さは低く、耐摩耗性も鉄
鋼材料より劣るという欠点がある。また、融点の低さに
起因してアルミニウム合金の耐熱性は低いという欠点も
ある。そのため、アルミニウム合金部材の表面層に耐摩
耗性,耐熱性,耐食性を付与する目的で、(1)表面層
として鉄鋼材料などを鋳ぐるむ、(2)レーザー,電子
ビーム,プラズマ,電子アーク,ガスの燃焼などの高密
度のエネルギーを表面に付加し、表面層を溶融し、これ
を急冷凝固させる再溶融処理、(3)同じ要領で溶加材
料を肉盛りする肉盛溶接、(4)メッキ処理、(5)溶
射処理、(6)PVD、(7)CVD、(8)イオン注
入法、(9)アルマイト処理等々によって表面層を改質
することがおこなわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】表面層に添加されるセ
ラミックス粒子は、微細になればなるほど高価である。
そして肉盛溶接は高エネルギー密度の熱源によって基材
および溶加材料を急速に溶融させ、周囲の基材への熱伝
達によって急速に凝固させる手法であるため、表面層が
溶融している時間が短かく、溶湯を攪拌する力も限られ
ているため、肉盛溶接によってセラミックス粒子の均一
分散を図ることはむずかしい。これは溶湯とセラミック
ス粒子の濡れ性にもよるが、微細な粒子ほど溶融池への
添加が難しくなり、かつ粒子の凝集が生じ易いことにも
よる。表面硬化層に添加するセラミックス粒子のうち2
ホウ化チタン(TiB2 )は、特に基材の耐摩耗性を著
しく改善する効果のあることが知られている(文献META
LLURGICAL TRANSACTIONS A , vol.23A , OCT 1992 −
2835 参照)。しかしこのTiB2 粒子は高価であると
ともに、アルミニウム合金との濡れ性が非常に悪く、溶
湯への添加や、これを溶湯中に均一に分散させることは
困難である。本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、前記課題を解消してなるホウ化チタン粒子分散層の
形成方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に添い、本発明
は、基材の表面に溶融池を形成し、該溶融池に対し、T
またはTiを1mass%以上含む合金と、Tiの塩
と、Tiの化合物とのいずれかと、BまたはBを1ma
ss%以上含む合金と、Bの塩と、Bの化合物とのいず
れかとを添加し、溶融池においてTiB2 粒子および其
他の硬質粒子を生成させて、これらの粒子が均一に分散
した表面層を形成するホウ化チタン粒子分散層の形成方
法によって前記課題を解消した。また、本発明は、基材
の表面に溶融池を形成し、該溶融池にTiO2 を添加す
るとともに、BまたはBを1mass%以上含む合金
と、Bの塩と、Bの化合物とのいずれかとを添加し、溶
融池においてTiB2 粒子および其他の硬質粒子を生成
させて、これらの粒子が均一に分散した表面層を形成す
るホウ化チタン粒子分散層の形成方法によって前記課題
を解消した。さらに本発明は、基材の表面に溶融池を形
成し、該溶融池に対し、TiまたはTiを1mass%
以上含む合金と、Tiの塩と、Tiの化合物とのいずれ
かと、TiB2 よりも熱力学的に不安定なホウ化物とを
添加し、溶融池においてTiB2 粒子および其他の硬質
粒子を生成させて、これらの粒子が均一に分散した表面
層を形成するホウ化チタン粒子分散層の形成方法によっ
て前記課題を解消した。また、本発明は、基材の表面に
溶融池を形成し、該溶融池でTiを含む物質と、Bを含
む物質とを添加してTiB2 粒子および其他の硬質粒子
を生成させる際に、前記基材または添加する溶加材の構
成物質としてTi及びBの単体、または固溶原子,金属
間化合物,化合物のいずれかのかたちのTiまたはBを
含む合金を用いるホウ化チタン粒子分散層の形成方法に
よって前記課題を解消した。さらに本発明は、基材また
は溶加材が1mass%以上のTiまたはBを、固溶原
子,金属間化合物,化合物のいずれかのかたちで含むホ
ウ化チタン粒子分散層の形成方法によって前記課題を解
消した。また、本発明は、前記溶融池に、Tiの金属塩
としてK2 TiF6 またはNaTiF6 の単体か、また
はこれを10mass%以上含む混合物,Bの金属塩と
してKBF4 またはNaBF4 の単体か、またはこれを
10mass%以上含む混合物を用い、そのどちらか、
または両方を用いる請求項1に記載のホウ化チタン粒子
分散層の形成方法によって前記課題を解消した。さらに
本発明は、前記溶融池にTiO2 と、KBF4 またはN
aBF4 単体か、またはこれを10mass%以上含む
混合物を用いる請求項2に記載のホウ化チタン粒子分散
層の形成方法によって前記課題を解消した。また、本発
明は、Bの化合物として、AlB2 ,AlB12,BN,
4 Cのいずれか、またはその混合物を添加する請求項
3に記載のホウ化チタン粒子分散層の形成方法によって
前記課題を解消した。さらに本発明は、TiまたはTi
の金属塩,化合物と、BまたはBの金属塩,化合物との
いずれかと、またはその両方を含む物質を混合して、ま
たは別々にノズルから溶融池に添加する請求項1乃至請
求項4に記載のホウ化チタン粒子分散層の形成方法によ
って前記課題を解消した。また、本発明は、Tiまたは
Tiの金属塩,化合物、またはBまたはBの金属塩,化
合物,またはその両方を含む物質に、必要に応じて接着
用の物質を混合したうえ、溶融池を形成する前に予め基
材表面に配置しておく請求項1乃至請求項4に記載のホ
ウ化チタン粒子分散層の形成方法によって前記課題を解
消した。さらに本発明は、TiまたはTiの金属塩,化
合物と、BまたはBの金属塩,化合物とのいずれかと、
またはその両方を含む物質に、必要に応じて接着用の物
質を混合し、これを塗布または圧着などの手段によって
表面に付着させてなる溶加材によって前記課題を解消し
た。また、本発明は、TiまたはTiの金属塩,化合物
と、BまたはBの金属塩,化合物とのいずれかと、また
はその両方を含む物質を内部に内包、または溶加材内に
分散してなる溶加材によって前記課題を解消した。さら
に本発明は、TiまたはTiの金属塩,化合物と、Bま
たはBの金属塩,化合物とのいずれかと、またはその両
方を含む物質の割合が溶加材全体に対して1mass%
以上である溶加材によって前記課題を解消した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、処理すべき基材
を部分的に再溶融または肉盛溶接における溶融池を形成
しておこなう。この溶融池は、たとえば電子ビーム,レ
ーザー,プラズマ,電気アーク,ガスの燃焼熱などによ
って形成する。そして、この溶融池に対して、Tiを含
む物質、たとえばTi単体やその金属塩及び其他の化合
物と、B単体またはBを含む物質、たとえばBの金属塩
や其他の化合物などを供給し、そこで分解させ、Tiや
Bの原子を放出させて溶湯中にTiB2 の微粒子および
副次的に生成する硬質粒子を生成させ、これを溶融池に
均一に分散させて表面層を形成するものである。
【0006】具体的な実施手法として、Tiを含む前記
物質とBを含む前記物質とを、次の方法で溶融池に供給
すればよい。即ち、前記物質を予め基材表面に塗布など
によって配置する方法、ノズル先端より前記物質を直接
溶融池に供給する方法、棒状又は線状の溶加材に対し
て、前記物質に必要に応じて接着用の物質を混合したも
のを含有,塗布,圧着または内包させて供給する方法で
ある。たとえば図1に示すように、基材1の表面をアー
ク6により溶融させて溶融池8を作り、この溶融池8に
溶加材(溶接棒)2を挿入して溶融させ、冷却によって
肉盛層9を形成するものである。3はシールドガスを放
出するサイドノズルである。また図2に示すようにTi
とBを含む物質の板材22を基材1上に配置し、同じ要
領で溶融池18を形成しておこなう方法である。さら
に、TiとBとを含む物質をノズルから供給したり、あ
るいは図3に示すようにシールドガスを供給するサイド
ノズル13を2重に構成し、内側のノズル13aからT
iとBとを含む物質を溶融池に供給する方法である。ま
た、Tiを含む物質とBを含む物質のどちらか一方を図
1に示す溶加材に、他を図2に示す板材とすることもで
きる。其他、図1、図2、図3の態様を適宜組合せて実
施することもできる。以下、本発明について前記手法を
用いた次の3方法について説明する。 1) TiとBのそれぞれの金属塩と其他の化合物を用
いる方法。 2) TiO2 とBまたはそれを含む金属塩,化合物,
合金を用いる方法。 3) TiB2 よりも熱力学的に不安定なホウ化物と、
Tiを含む合金,金属塩,化合物を用いる方法。
【0007】1) TiとBのそれぞれの金属塩と其他
の化合物を用いる方法。用いるTiやBを含む金属塩や
化合物は、微粒子である必要はなく、加熱手段即ち電子
ビームやレーザー,プラズマ,電気アーク,ガスの燃焼
熱で溶融し、基材表面に形成した溶融池で分解されてT
iやBの原子を放出するものであればよい。Ti化合物
のチタンを含む塩の例を表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】また、Tiを含む金属塩または化合物とし
て、K2 TiF6 またはNa2 TiF6 が最も好まし
く、これらを用いる場合は、単体で用いるか、またはい
ずれもこれらを10mass%以上含む混合物を用いる
とよい。この範囲外ではTiの溶湯への放出量が少な
く、効果が得られない。また、Ti化合物または金属塩
の代りにTiを90mass%以上含む粉末,ペレッ
ト,スポンジチタンなどを用いることができる。次に、
Bを含む化合物,塩の例を表2に示す。
【0010】
【表2】
【0011】なお、Bを含む化合物または金属塩とし
て、KBF4 またはNaBF4 が最も好ましく、これら
を用いる場合は、単体で用いるか、またはいずれもそれ
らを10mass%以上含む混合物を用いるとよい。こ
の範囲外では溶湯へのBの放出量が少なく、充分な量の
TiB2 粒子が形成されないため、効果が得られない。
【0012】2) TiO2 と、Bまたはそれを含む化
合物,金属塩,合金を用いる方法。この方法はTiを含
む化合物や金属塩として特にTiO2 を用いるものであ
る。Bまたはそれを含む化合物,金属塩は前記の表2に
よる。これにはKBF4 またはNaBF4 単体かまた
は、これを10mass%以上含む混合物を用いること
が好ましい。この方法はTiO2 がアルミニウム合金等
の溶湯中で容易に分解され、かつ、単位添加重量当りの
溶湯中へのTiの放出量が多いことに着目したもので、
基材表面の溶融池内で効率よくTiB2 粒子およびAl
2 3 粒子を、均一かつ微細に生じさせるものである。
【0013】3) TiB2 よりも不安定なホウ化物
と、Tiを含む合金,化合物,金属塩を用いる方法。こ
こで用いるホウ化物は微粒子である必要はなく、TiB
2 よりも標準生成エンタルピーの低い元素、すなわち、
熱力学的安定性が低くTi原子の存在する溶湯中で容易
に分解して、より安定な2ホウ化チタンへと移行し易い
ものであればよい。表3は主なホウ化物の298.15K
における標準生成エンタルピーを示す。TiB2 よりも
低い標準生成エンタルピーを持つものとしては、例えば
ZrB2 ,Ni4 3 ,V3 2 ,NbB2 ,Ta
2 ,VB2 ,TiB,VB,NiB,MnB,AlB
2 ,AlB12,BN,TiB,B4 C,BBr3 など
が、この方法に用いられる。また、代表的なTiの化合
物,金属塩は表1に示したとおりである。Ti合金,T
i粉末なども用いられる。
【0014】
【表3】
【0015】なお、前記1),2),3)の各方法にお
いて、前記基材か、溶加材の構成物質としてTiまたは
Bを1mass%以上、固溶原子,金属間化合物または
化合物のかたちで含むものを用いることもできる。
【0016】
【実施例】
a) 方法1)の実施例。和光純薬工業(株)製のホウ
フッ化カリウム(KBF4 )と、チタンフッ化カリウム
(K2 TiF6 )とを用意し、重量でKBF4:K2
iF6 =21:20の割合で混合した。これを純度9
9.9 %の純アルミニウム製のパイプ(外径5mm,内
径4mm)内に充填し、これを伸線して直径約3mmの
溶接棒とした。一方、基材として純度99.9 %の純ア
ルミニウム製板材(巾75mm,長さ300mm,厚さ
8mm)を用意した。TIG溶接機を用い、シールドガ
スとして純Arガスを用いて基材表面を溶融させ、その
溶融池に前記溶接棒を挿入して溶融させた。TIGトー
チは溶接棒とともに、基材表面を1パスだけ走査させ
た。このように形成された溶融池はTIGトーチの移動
とともに、基材の主要部への伝熱によって急冷され凝固
した。この場合の処理条件は下記のとおりである。 方式 交流パルスTIG 電流 150A 電圧 25V パルス周波数 100Hz 電極 タングステン 走査速度 3mm/sec アーク長 約5mm アルゴン流量 8リットル/min なお、この場合の化学反応は次式による。生成したK3
AlF6 は溶融池中でスラグとして浮上し、肉盛後の切
削加工時に、表面層とともに除去された。
【0017】6KBF4 +3K2 TiF6 +4Al→3
TiB2 +4K3 AlF6 +3F2 または 6KBF4 +3K2 TiF6 +22Al→3TiB2
4K3 AlF6 +18AlF この方法によって形成された肉盛層の光学顕微鏡による
ミクロ組織写真を図4に示す。白いアルミニウム基地
に、1〜3μm程度の微細な黒色粒子があり、これは後
述のX線回折結果からTiB2 と推定される。また針状
の灰色粒子(長さ10μm程度)が観察されるが、これ
はAl3 TiなどのTi−Al系の金属間化合物と推定
される。図8はX線回折による同定結果を示す。これは
Sonnevelt − Visser の方法でバックグラウンドを除去
し、前後7点を平滑化して表示したものである。TiB
2 の生成により純アルミニウム基材再溶融凝固部は、マ
イクロビッカース硬さ試験機による硬さ31HVに対
し、肉盛部において硬さ85HVが得られた。またTi
2 の生成により降伏応力,引張強度,摩耗特性,摩擦
係数などの向上と効果がみられた。
【0018】b) 方法1)の実施例。同じメーカー製
のKBF4 とK2 TiF6 を用い、これを重量比でKB
4 :K2 TiF6 =10:40の割合で混合した。こ
れに水とバインダー(水ガラス:Na2 O・3SiO2
・nH2 O)を、それぞれ50%と10%を加え、スラ
リーとした。これを前記実施例a)と同様の基材の上部
に数回にわたって塗布と乾燥を繰り返し、厚さ約2mm
の塗装層を形成した。次にTIG溶接機を用い、純Ar
ガスを用いて基材表面を溶融させ、実施例a)と同じ条
件で処理した。図5に、形成された肉盛層の光学顕微鏡
によるミクロ組織写真を示す。実施例a)の場合より黒
色粒子(TiB2 )の生成が少なく、Al3 Tiと思わ
れる針状粒子が微細で、より多く生成している特徴がみ
られる。生成反応も実施例a)と同じで、硬さについて
も80HVの値が得られた。
【0019】c) 方法2)の実施例。実施例a)の場
合と同じメーカー製のKBF4 とルチル型チタニア(T
iO2 )とを用意し、重量でKBF4 :TiO2 =6
3:20の割合で混合したものを実施例a)と同じ要領
で溶接棒とした。一方、実施例a)と同じ基材を用意
し、以下実施例a)とほぼ同じ要領と条件(但し電流値
を125Aとした)で肉盛層を形成した。溶融池では次
の反応が生じたものと考えられる。
【0020】3TiO2 +6KBF4 +10Al→3T
iB2 +6KAlF4 +2Al2 3
【0021】図6に肉盛層の光学顕微鏡によるミクロ組
織写真を示す。平均数ミクロン前後の黒色粒子と、同程
度の体積率で、より凝集した状態の灰色の粒子が観察さ
れる。図9にこの肉盛層のX線回折による同定結果を示
す。要領は図8に準ずる。分析結果と分散形態から黒色
粒子はTiB2 で、灰色の粒子はAl3 Tiと推定され
る。其他にKAlF4 ,AlFなどが生成していること
が認められる。また同じ要領で測定した肉盛層の硬さも
75〜92HVの値が得られた。
【0022】d) 方法2)の実施例。同じルチル型チ
タニア(TiO2 )に対して、20%の水ガラス(Na
2 O・3SiO2 ・nH2 O)を混練し、これをAl−
4%B合金製角棒(断面3×3mm,長さ300mm)
の表面に塗布と乾燥を繰り返して塗り重ね、約1mmの
厚さにコーティングした。一方、基材は前記実施例と同
じものを用い、同じ要領と条件で肉盛層を形成した。な
お、反応は次式によるものと思われる。
【0023】TiO2 +Al−4%B→TiB2 +Al
3 Ti+Al2 3
【0024】図10に肉盛層のX線回折による生成物の
同定結果を示す。主としてAl2 3 ,TiB2 ,Al
3 Tiの生成が認められる。また、同じ要領で実施した
硬さ試験では硬さ103〜155HVが得られた。
【0025】e) 方法3)の実施例。和光純薬工業
(株)製のK2 TiF6 と米国セラック社製のAlB2
とを用意し、重量でAlB2 :K2 TiF6 =49:2
40の割合で混合した。これを純度99.9 %の純アル
ミニウム製のパイプ(外径5mm,内径1mm)内に充
填したあと、これを伸線して直径3mmの溶接棒とし
た。一方、基材として純度99.9 %の純アルミニウム
製板材(巾75mm,長さ300mm,厚さ8mm)を
用意した。以下、TIG溶接機を用い、前記実施例a)
と同じ要領と条件で溶融池を作り、肉盛層を形成した。
この場合の化学反応は次式によるものと考えられる。生
成物のK3 AlF6 は溶融池中でスラグとして浮上し、
肉盛後の切削加工時に表面層とともに除去された。
【0026】3AlB2 +3K2 TiF6 +Al→3T
iB2 +2K3 AlF6 +6AlF または AlB2 +K2 TiF6 +Al→TiB2 +KAlF4
+AlF
【0027】この方法によって形成された肉盛層の光学
顕微鏡によるミクロ組織写真を図7に示す。白いアルミ
ニウム基地に、直径数μmの黒色粒子と、同じく灰色粒
子と、やや粗大で部分的に連続して分布する灰白色の粒
子の、少くとも3種類以上の生成物が確認された。図1
1は前記実施例と同様に実施したX線回折による同定結
果を示す。アルミニウム其他からのピークの他に、Al
3 Ti,TiB2 ,KAlF4 ,K3 AlF6 などの生
成物の明瞭なピークが認められる。TiB2 の生成によ
り、純アルミニウム基材再溶融凝固部の硬さ31HVに
対し、肉盛部の硬さは内部で113HV,表面近傍で2
00HVの値が得られた。
【0028】f) 方法3)の実施例。前記実施例e)
で用いたチタンフッ化カリウム(K2 TiF6 )に替え
て同じメーカーのチタニア(TiO2 )を用い、重量比
はAlB2 :TiO2 =49:80とし、其他は実施例
e)と同じ要領と条件で実施例した。この場合の化学反
応は次式によるものと考えられる。
【0029】3TiO2 +3AlB2 +Al→3TiB
2 +2Al2 3
【0030】図12にこの場合のX線回折による同定結
果を示す。TiB2 ,Al2 3 などの生成物の明瞭な
ピークが確認された。また同様に実施した硬さ試験にお
いて内部で39HV,表面付近で85HVの値が得られ
た。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法によれば、次のような効果
がえられる。 〇 基材の表面改質のためにその表面層に通常の添加方
法では達成できないTiB2 粒子の添加と、同時にTi
2 粒子の均一な分散層がえられる。 〇 TiB2 の微細な粒子の分散を望む場合でも原料と
して用いる化合物,金属塩などは微細である必要はな
く、取扱いが容易であるとともに安価に得られる。 〇 本発明で利用する被覆アーク溶接棒やFCW(Flux
cored wire)のように化合物やフラックスを溶加材に
加える手法は、既に確立されており、実施が容易であ
る。 〇 肉盛溶接や再溶融凝固法、およびこれを用いる溶加
材等の準備において従来の手法と設備がそのまま使え、
且つ安価な材料を用いることから綜合的にコストダウン
ができる。 〇 金属の酸化物およびフッ化物の微粒子が副次的に均
一分散することにより、特性の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方法の実施要領を説明する図であ
る。
【図2】同じく他の実施要領を説明する図である。
【図3】同じく更に他の実施要領を説明する図である。
【図4】実施例a)における肉盛層の金属組織を示す図
面に代る写真である。
【図5】実施例b)における肉盛層の金属組織を示す図
面に代る写真である。
【図6】実施例c)における肉盛層の金属組織を示す図
面に代る写真である。
【図7】実施例e)における肉盛層の金属組織を示す図
面に代る写真である。
【図8】実施例a)における肉盛層のX線回折結果を示
す図である。
【図9】実施例c)における肉盛層のX線回折結果を示
す図である。
【図10】実施例d)における肉盛層のX線回折結果を
示す図である。
【図11】実施例e)における肉盛層のX線回折結果を
示す図である。
【図12】実施例f)における肉盛層のX線回折結果を
示す図である。
【符号の説明】
1 基材 2 溶接棒 3 サイドノズル 8 溶融池 9 肉盛層 13 サイドノズル 18 溶融池 22 板材

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に溶融池を形成し、該溶融池
    に対し、TまたはTiを1mass%以上含む合金と、
    Tiの塩と、Tiの化合物とのいずれかと、BまたはB
    を1mass%以上含む合金と、Bの塩と、Bの化合物
    とのいずれかとを添加し、溶融池においてTiB2 粒子
    および其他の硬質粒子を生成させて、これらの粒子が均
    一に分散した表面層を形成することを特徴とするホウ化
    チタン粒子分散層の形成方法。
  2. 【請求項2】 基材の表面に溶融池を形成し、該溶融池
    にTiO2 を添加するとともに、BまたはBを1mas
    s%以上含む合金と、Bの塩と、Bの化合物とのいずれ
    かとを添加し、溶融池においてTiB2 粒子および其他
    の硬質粒子を生成させて、これらの粒子が均一に分散し
    た表面層を形成することを特徴とするホウ化チタン粒子
    分散層の形成方法。
  3. 【請求項3】 基材の表面に溶融池を形成し、該溶融池
    に対し、TiまたはTiを1mass%以上含む合金
    と、Tiの塩と、Tiの化合物とのいずれかと、TiB
    2 よりも熱力学的に不安定なホウ化物とを添加し、溶融
    池においてTiB2 粒子および其他の硬質粒子を生成さ
    せて、これらの粒子が均一に分散した表面層を形成する
    ことを特徴とするホウ化チタン粒子分散層の形成方法。
  4. 【請求項4】 基材の表面に溶融池を形成し、該溶融池
    でTiを含む物質と、Bを含む物質とを添加してTiB
    2 粒子および其他の硬質粒子を生成させる際に、前記基
    材または添加する溶加材の構成物質としてTi及びBの
    単体、または固溶原子,金属間化合物,化合物のいずれ
    かのかたちのTiまたはBを含む合金を用いることを特
    徴とするホウ化チタン粒子分散層の形成方法。
  5. 【請求項5】 基材または溶加材が1mass%以上の
    TiまたはBを、固溶原子,金属間化合物,化合物のい
    ずれかのかたちで含むことを特徴とする請求項4に記載
    のホウ化チタン粒子分散層の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記溶融池に、Tiの金属塩としてK2
    TiF6 またはNaTiF6 の単体か、またはこれを1
    0mass%以上含む混合物,Bの金属塩としてKBF
    4 またはNaBF4 の単体か、またはこれを10mas
    s%以上含む混合物を用い、そのどちらか、または両方
    を用いることを特徴とする請求項1に記載のホウ化チタ
    ン粒子分散層の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記溶融池にTiO2 と、KBF4 また
    はNaBF4 単体か、またはこれを10mass%以上
    含む混合物を用いることを特徴とする請求項2に記載の
    ホウ化チタン粒子分散層の形成方法。
  8. 【請求項8】 Bの化合物として、AlB2 ,Al
    12,BN,B4 Cのいずれか、またはその混合物を添
    加することを特徴とする請求項3に記載のホウ化チタン
    粒子分散層の形成方法。
  9. 【請求項9】 TiまたはTiの金属塩,化合物と、B
    またはBの金属塩,化合物とのいずれかと、またはその
    両方を含む物質を混合して、または別々にノズルから溶
    融池に添加することを特徴とする請求項1乃至請求項4
    に記載のホウ化チタン粒子分散層の形成方法。
  10. 【請求項10】 TiまたはTiの金属塩,化合物、ま
    たはBまたはBの金属塩,化合物,またはその両方を含
    む物質に、必要に応じて接着用の物質を混合したうえ、
    溶融池を形成する前に予め基材表面に配置しておくこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のホウ化チタ
    ン粒子分散層の形成方法。
  11. 【請求項11】 TiまたはTiの金属塩,化合物と、
    BまたはBの金属塩,化合物とのいずれかと、またはそ
    の両方を含む物質に、必要に応じて接着用の物質を混合
    し、これを塗布または圧着などの手段によって表面に付
    着させてなる溶加材。
  12. 【請求項12】 TiまたはTiの金属塩,化合物と、
    BまたはBの金属塩,化合物とのいずれかと、またはそ
    の両方を含む物質を内部に内包、または溶加材内に分散
    してなる溶加材。
  13. 【請求項13】 TiまたはTiの金属塩,化合物と、
    BまたはBの金属塩,化合物とのいずれかと、またはそ
    の両方を含む物質の割合が溶加材全体に対して1mas
    s%以上であることを特徴とする請求項11及び請求項
    12に記載の溶加材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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