JPH09194399A - カラム用光学分割剤 - Google Patents

カラム用光学分割剤

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JPH09194399A
JPH09194399A JP8009157A JP915796A JPH09194399A JP H09194399 A JPH09194399 A JP H09194399A JP 8009157 A JP8009157 A JP 8009157A JP 915796 A JP915796 A JP 915796A JP H09194399 A JPH09194399 A JP H09194399A
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JP
Japan
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polysaccharide derivative
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column
general formula
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JP8009157A
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English (en)
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Toyoji Kakuchi
豊次 覚知
Osamu Haba
修 羽場
Toshifumi Sato
敏文 佐藤
Yasuhiko Yokoo
泰日児 横尾
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐酸性が良好で従来分割が困難で
あった酸性のラセミ体をも分割しうる、適用範囲の広い
新規なカラム用光学分割剤を提供することを目的とす
る。 【構成】 一般式(I)で示されるアセタール結合のな
い多糖誘導体をカラム用充填剤に吸着させたり、化学的
に結合させて液体クロマトグラフ等のカラムに用いる
と、当該多糖誘導体が不斉識別部として働き、酸性化合
物も分離することが可能であり、また酸性の溶離液を用
いることができる。 【化11】 (式中Rは、アリール基で置換されていてもよい炭素数
1〜30の直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和脂肪
族炭化水素基であり、nは5〜10000の整数であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロマトグラフ装
置のカラムに用いられる分離剤や充填剤に関するもので
あり、特にラセミ体等の光学異性体混合物の光学分割剤
として用いられる。
【0002】
【従来の技術】多糖誘導体を用いた分離剤は、液体クロ
マトグラフィー用の固定相としてラセミ化合物に対して
優れた分割能力を示すことが知られている。しかしなが
ら従来の多糖誘導体はその骨格に、酸性下に開裂するア
セタール結合を含むために、酸性のラセミ化合物の分割
には用いることができなかった。また、酸性の溶媒や溶
離液を用いることもできないので、試料の濃度や分離工
程上の制約を受けることが多かった。また、本願発明者
は、アセタール結合のない多糖誘導体を液膜輸送に用い
るとアミノ酸のラセミ体をD体とL体にわずかに分離で
きるできることを、CHIRALITY Vol.7 p.136
-139 ( 1995 ) に示したが、分離能はまだ十分ではなか
った。また、アセタール結合のない多糖誘導体のクロマ
トグラフへの適用もまったく示されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐酸
性が良好で従来分割が困難であった酸性のラセミ体をも
分割しうる、適用範囲の広い新規なカラム用光学分割剤
を提供することにある。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、単糖類よ
り誘導されたアセタール結合のない多糖誘導体を、クロ
マトグラフ装置のカラムに用いると、酸性化合物も分離
することが可能であり、また酸性の溶離液を用いること
ができることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、一般式(I)で示される
多糖誘導体を光学認識部として有するカラム用光学分割
剤に関する。
【0006】
【化4】 (式中Rは、アリール基で置換されていてもよい炭素数
1〜30の直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和脂肪
族炭化水素基であり、nは5〜10000の整数であ
る。)
【0007】本発明では、前記一般式(I)で示される
多糖誘導体が、該ポリマー末端において担体と化学結合
していることが好ましい。
【0008】また、本発明は、一般式(II)で示され
る多糖誘導体に関する。
【化5】 (式中Rおよびnは前記と同義であり、Zは、Si−O
−C結合を有する基または重合性結合を有する基であ
る。)
【0009】本発明においては、前記一般式(I)で示
される多糖誘導体は、下式のようにらせん構造をしてお
り、また光学活性でもあるので、種々の光学活性物質
(特に光学活性のカチオン)とホスト−ゲスト錯体を形
成する際に光学異性体を識別する不斉識別部として作用
する。らせん構造はゲスト分子の大きさに合わせてピッ
チが変わり得るので種々の光学活性物質に適用可能であ
る。本発明では、この不斉識別機能を利用して、光学活
性物質のラセミ体等を光学分割することができるのであ
る。
【0010】
【化6】
【0011】
【実施の形態】
【0012】式(I)、式(II)において、構成単位
の単糖の2、3、4および5位は不斉炭素であり、出発
原料の単糖の種類、および重合反応によって配置が決定
される。特に、3位のORと4位のORが、環の面に対
して互いに反対側に位置するものが好ましい。
【0013】Rとして好ましいものは、メチル、エチ
ル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブ
チル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、n−オクチ
ル、2−エチルヘキシル等の直鎖または分岐鎖状の炭素
数1〜8の低級アルキル基;デシル、ドデシル、テトラ
デシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等の
直鎖または分岐鎖状の炭素数9〜20のアルキル基;ベ
ンジル、ナフチルメチル等のフェニルおよびナフチル等
のアリール基で置換された炭素数1〜8のアルキル基;
2−プロペニル、3−ブテニル等の炭素数1〜8の低級
アルケニル基であり、特に好ましいのは、前記の直鎖ま
たは分岐鎖状の炭素数1〜8の低級アルキル基;ベンジ
ル基;前記の炭素数1〜8の低級アルケニル基である。
【0014】nは5〜10000の整数であるが、好ま
しくは10〜1000、さらに好ましくは10〜100
である。式(I)の多糖誘導体のポリマー末端は、特に
制限はなく以下で説明する重合反応の開始剤と停止剤に
よって決まる。
【0015】式(I)の多糖誘導体を合成は、次に示す
合成法1によって行うことができる。
【0016】
【化7】 (式中、R、nは前記と同義である)
【0017】1,2:5,6-ジアンヒドロヘキシトール誘導体
(IV)は、Carbohydrate Research (71 (1979) p123
-134)に記載されている公知の方法に従って、六単糖を
出発原料とし、対応するヘキシトール誘導体を製造した
後、1,2および5,6の位置で無水環を形成して得ることが
できる。出発原料として用いる六単糖はいかなるもので
もよいが、好ましくはガラクトース、グロース、グルコ
ース、アロース、タロース、イドース、マンノース、ア
ルトロースであり、さらに好ましくは、マンノース、イ
ドース、グロースおよびグルコースである。
【0018】重合は、CHIRALITY Vol.7 p.1
36-139 ( 1995 ) に記載のように、溶媒中でBF3・O
Et2等のカチオン重合触媒、カリウムアルコキシド等
のアニオン重合触媒を用いて開環重合反応を行い、例え
ばアルコール等の重合停止剤で停止することによって行
うことができる。立体規則性や収率の点ではアニオン重
合が好ましい。
【0019】次に式(II)の多糖誘導体の合成は、合
成法2のようにして行うことができる。
【0020】
【化8】 (式中、R、n、XおよびZは前記と同義である。)
【0021】合成法2においては、カリウムt−ブチル
アルコキシド等のアルカリまたはアルカリ土類金属のア
ルコキシド等の環状エーテル類のアニオン開環重合に通
常用いられる触媒を用いて、1,2:5,6-ジアンヒドロ体
(IV)をアニオン重合した後、アニオン性重合末端を
有する反応中間体(III)を化合物X−Zを用いて重
合を停止することでポリマーの末端にZを導入し、式
(II)の多糖誘導体を得る。
【0022】Xとしては、塩素、臭素およびヨウ素が好
ましい。ZがSi−O−C結合を有する基としては、炭
素数1〜8のアルコキシシリル結合を有する基、フェノ
キシ等のアリールオキシシリル結合を有する基等が好ま
しく、例えば −R1 −SiR2 3 4 で示される
基が挙げられる。但し、式中R1 は、 −(単結合)、
−(CH2 p − または −(CH2 q −フェニレ
ン−(CH2 r − を示し、pおよびqは1〜8(好
ましくは1〜4)の整数、rは0〜8(好ましくは0〜
4)の整数を示し;R2 、R3 およびR4は炭素数1〜
8のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8のアル
キル基またはフェニル基であるが、R2 、R3 およびR
4 の少なくとも1つは炭素数1〜8のアルコキシ基、フ
ェノキシ基である。これらをX−Z(X−R1 −SiR
2 3 4 )として例示すると、一般にシランカップリ
ング剤として知られるもので、3ーブロモプロピルトリ
メトキシシラン、2ークロロエチルメチルジメトキシシ
ラン、2ークロロエチルトリエトキシシラン、クロロメ
チルジメチルエトキシシラン、クロロメチルジエトキシ
メチルシラン、クロロメチルジイソプロポキシメチルシ
ラン、pー(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラ
ン、クロロメチルトリエトキシシラン、3ークロロプロ
ピルメチルジメトキシシラン、3ークロロプロピルトリ
エトキシシラン、3ークロロプロピルトリメトキシシラ
ン、3ーヨードプロピルトリメトキシシラン、トリエト
キシクロロシラン等があげられる。
【0023】Zが重合結合を有する基としては、二重結
合を有する基および開環し得る環状エーテル基を有する
基が好ましい。化合物X−Zとして例示すると、二重結
合を有する化合物X−Zとしては、pークロロメチルス
チレンおよびpーブロモメチルスチレン等のスチレン系
化合物、アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、メ
タクリル酸クロリドおよびメタクリル酸ブロミド等の
(メタ)アクリル系化合物等を挙げることができる。ま
た、開環し得る環状エーテル基を有する化合物X−Zと
しては、3ーメチルー3ーオキセタンクロロメチルおよ
び3ーメチルー3ーオキセタンブロモメチル等の4員環
環状エーテル系化合物が好ましい。エピクロロヒドリ
ン、エピブロモヒドリン等の3員環環状エーテル系化合
物は、通常の反応条件下では開環反応が優先するのであ
まり好ましくない。
【0024】本発明のカラム用分割剤は、式(I)の多
糖誘導体を不斉認識部とするものであれば、どのような
形態でもよいが代表的な形態として、 (1)式(I)の多糖誘導体が、カラム用充填剤と物理
的に混合、または物理的に吸着している形態。 (2)式(I)の多糖誘導体が、担体に化学的に結合し
ている形態。が、挙げられる。
【0025】本発明で担体とは、式(I)の多糖誘導体
を保持するものであり、別途製造されるカラム用の充填
剤の他、式(I)の多糖誘導体に反応性の基を導入して
これを(共)重合等の反応により互いに結合させたその
結合部分をも含む。
【0026】上記(1)の形態で実施するには、式
(I)の多糖誘導体(式(II)の多糖誘導体を含
む。)を、粉砕してカラム用充填剤と混合させたり、多
糖誘導体を溶媒に溶かして溶液としてカラム充填剤と混
合した後に溶媒を除去する等の方法によって行うことが
できる。
【0027】カラム充填剤としては、シリカゲル、アル
ミナおよびシリカアルミナ等の無機充填剤;セルロー
ス、セルロースエステル類、セルロースカルバメート
類、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリ
ル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレ
ン、ポリオキシプロピレン、スチレンージビニルベンゼ
ン共重合体等の高分子充填剤があげられる。
【0028】カラム充填剤の粒径は1μm〜1cmであ
り、好ましくは1μm〜1mmであり、更に好ましくは
1μm〜300μmである。平均孔径は10A°〜10
0μmであり、好ましくは50A°〜5μmである。ま
た、孔径対粒径の比は1/10以下である。
【0029】前記(2)の形態で実施するには、式(I
I)で示される多糖誘導体を、別途製造されたカラム用
充填剤と反応させて化学結合を生成させるか、あるいは
該多糖誘導体を重合または共重合させて担体を同時に形
成してカラム用光学分割剤を製造するのが好ましい。
【0030】ZがSi−O−C結合を有する基であると
きは、別途製造されたカラム用充填剤と反応させて化学
結合を生成させる方法が特に好ましく、カラム用充填剤
として、前記のシリカゲル、アルミナおよびシリカアル
ミナ等の無機充填剤が特に好ましく用いられる。粒径お
よび孔径等は前記と同じである。この反応は、例えばベ
ンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素のようなSi−O
−C結合と反応しないような溶媒中で、加熱することで
容易に行うことができ、この結果、式(I)の多糖誘導
体が担体と化学結合したカラム用光学分割剤を得ること
ができる。
【0031】Zが重合性結合を有する基であるときは、
重合または共重合させて担体を同時に形成してカラム用
光学分割剤を製造するのが特に好ましく、式(II)の
多糖誘導体(但し、Zは重合性結合を有する基であ
る。)を、単独またはモノマーと共重合させて高分子体
を得る。Zが二重結合を有する基のときは、モノマーと
して、スチレン、エチレン、プロピレン、アクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エス
テルおよびジビニルベンゼン等の二重結合を有するモノ
マーおよびこれらのモノマーの混合物が挙げられ、好ま
しくはスチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸、メタクリル酸エステルまたはジビニルベン
ゼンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】Zが開環し得る環状エーテル基を有する基
であるときは、モノマーとしては、オキシエチレン、オ
キシプロピレン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オ
キセパンおよび1,3-ジオキサン等の開環重合し得る環状
エーテルモノマーが挙げられ、好ましくは、オキシエチ
レン、オキシプロピレン、オキセタンが挙げられる。
【0033】前記の重合または共重合は、官能基によっ
て、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合を適宜
選んで公知の方法で行うことができる。
【0034】本発明のカラム用分割剤は、固体のままカ
ラムに充填したり、溶剤に溶けるものはカラムの内壁に
塗布したりして、ガスクロマトグラフィー、キャピラリ
ーガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、
薄層クロマトグラフィー、超臨界クロマトグラフィーな
どに適用して、光学異性体混合物を光学分割することが
できる。特に好ましいのは、液体クロマトグラフィー、
薄層クロマトグラフィーおよび超臨界クロマトグラフィ
ーである。
【0035】本発明の分離対象物となる光学異性体混合
物は、特に制限がなく、アミノ酸、アミノ酸エステル、
アミノアルコール、アミン、カルボン酸、カルボン酸エ
ステル、カルボン酸アミド、アルコール、イソシアナー
ト等を挙げることができるが、特にアミノ酸、アミノ酸
エステル、アミノアルコール、アミン、カルボン酸が好
ましい。液体クロマトグラフィー等のように移動相が液
体である場合の溶離液としては、分離対象物に合わせて
適宜選択することが好ましく、例えば、脂肪族炭化水
素、芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル、
カルボン酸または水等を単独または混合物として、ある
いはこれらの溶剤に酸、塩基、塩、その他添加剤を加え
た溶液として用いることができる。本発明では特に、酸
性の有機溶剤(溶液)、酸性の水溶液を用いることが可
能である。
【0036】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
する。 〔実施例1〕次式の反応によって、シリカゲルに多糖誘
導体を化学結合させた。
【0037】
【化9】
【0038】多糖誘導体末端へのトリメトキシシリル基
の導入 1,2:5,6-ジアンヒドロ-3,4-ジ-O-メチル-D-マンニトー
ル(2.50g, 14.4mmol)をカリウムtert-ブトキシド(0.161
g, 1.44mmol, モノマーと開始剤の比=10)を開始剤
として、トルエン中(14.4ml,モノマー濃度 1.0 mol/L)
で窒素雰囲気下、60℃で重合した。6時間後、3ート
リメトキシシリルプロピルクロライド(0.343g, 1.73mmo
l)を加え、さらに60℃で6時間反応させた後、反応物
をメタノールに注いで反応を停止した。溶媒を減圧留去
して得られた残留物を多量のnーヘキサンで洗い、未反
応のモノマーおよびメタノールを除去し、乾燥し、末端
にトリメトキシシリル基をもつポリマーを得た。 収量:2.31g, 数平均分子量:2700, Mw/Mn:1.5
【0039】多糖誘導体を化学結合させたシリカゲルの
合成 シリカゲル ( LiChrosorb Si 60, mean particle size
10μm, Merck社製) 3.00g のトルエン (50ml )懸濁液
に、上記で得た末端にトリメトキシシリル基を有するポ
リマー (2.00g)のトルエン溶液を加え、1時間加熱環流
した後シリカゲルを濾別し、メタノールで十分洗浄して
乾燥させた。 収量:2.83g、 C(元素分析):13.3% 残存シラノール基のトリメチルシリル化 トルエン ( 70ml )にトリエチルアミン ( 6g )を加え、
多糖誘導体を化学結合させたシリカゲル ( 2.83g )を、
懸濁させた。これにトリメチルシリルクロライド( 3g )
を加えて3時間加熱環流させた後濾別し、メタノールで
十分洗浄して乾燥させた。収量:2.88g、 C(元素分
析):14.1%
【0040】実施例2 多糖誘導体を化学結合させたシリカゲルを固定相とする
HPLCによるラセミ体の光学分割 実施例1で多糖誘導体を化学結合させたシリカゲルを内
径4.6mm、長さ250mmのステンレスカラムに充填し、種々
のサンプル化合物のラセミ体の光学分割を行った。溶離
液として過塩素酸水溶液 ( pH 2 )-メタノール ( 1:1 )
を用い、流速0.5ml/minで行った。この結果を表1に示
す。
【0041】
【表1】
【0042】表中、αはカラムの分離能を示す指数であ
り、次式で定義される。 α=k2/k11=(t1−t0)/t02=(t2−t0)/t0 ここで、t1、t2は光学異性体の保持時間であり、t0
はカラムを素通りしてくる物質の保持時間である。
【0043】分離の様子を実際のクロマトグラムで示す
と図1、図2のようになる。
【0044】
【図1】
【0045】
【図2】
【0046】〔比較例1〕多糖誘導体の一つであるセル
ロースを担持した多孔質シリカゲルカラムを用いて、実
施例2と同様のラセミ体の光学分割を行ったが、担体の
セルロースが溶離液の過塩素酸水溶液により分解される
ために、ラセミ体の光学分割は行われなかった。
【0047】〔実施例3〕 多糖誘導体末端へのスチリル基の導入 1,2:5,6-ジアンヒドロ-3,4-ジ-O-メチル-D-マンニトー
ル(0.492g, 2.83mmol)をカリウムtert-ブトキシド(35.9
mg, 0.32mmol, モノマーと開始剤の比=8.82)を開始
剤として、1,4-ジオキサン中(2.60ml,モノマー濃度 1.0
mol/L) で窒素雰囲気下、60℃で重合した。5時間
後、p−クロロメチルスチレン(0.24g, 1.57mmol)を加
え、さらに60℃で8時間反応させた後、反応物をメタ
ノールに注いで反応を停止した。溶媒を減圧留去して得
られた残留物を多量のnーヘキサンで洗い、未反応のモ
ノマーおよびメタノールを除去し、乾燥し、末端にスチ
リル基をもつポリマーを得た(黄白色、液体)。 収量:0.218g (48.8%), 数平均分子量:2580, Mw/M
n:1.18, ポリマーの繰り返し単位(n)と末端スチレンユニット
の比:22/1 (得られたポリマーの約40%に相当す
る。)
【0048】スチリル基を導入した多糖誘導体とスチレ
ンの共重合 次式に示す反応によって共重合を行った。
【0049】
【化10】
【0050】即ち、上記で得た末端にスチリル基を有す
るポリマー(0.214g)とスチレン(0.256g,2.46mmol)をト
ルエン0.84mlに溶解し、アゾビスブチロニトリルを開始
剤として、窒素雰囲気下、温度60℃にて6時間重合さ
せた後、反応混合物を多量のメタノールに注いで重合を
停止した。生成した黄白色の固体を濾別し、クロロホル
ム−メタノールによって再沈澱を行って精製した。 収量:0.306g、 数平均分子量:24100, Mw/Mn:
2.16, 多糖誘導体のグラフトしたスチレンユニットのモル分
率:0.15 比旋光度:+12.6°(c=1.0,546nm)
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、アセタール結合を含ま
ない多糖誘導体を不斉識別部として用いるので、耐酸性
が良好で従来分割が困難であった酸性のラセミ体をも分
割しうる、適用範囲の広い新規なカラム用光学分割剤を
提供することができる。
【0052】また本発明によれば、式(I)の多糖誘導
体が担体または互いに化学結合しているので耐久性の優
れたカラム用光学分割剤を提供することができる。
【0053】さらに本発明によれば、カラム用光学分割
剤の製造に用いられる式(II)の新規な多糖誘導体を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラム用光学分割剤を用いた、液体ク
ロマトグラムである。
【図2】本発明のカラム用光学分割剤を用いた、液体ク
ロマトグラムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07M 7:00 (72)発明者 横尾 泰日児 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社高分子研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示される多糖誘導体を不
    斉識別部として有するカラム用光学分割剤。 【化1】 (式中Rは、アリール基で置換されていてもよい炭素数
    1〜30の直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和脂肪
    族炭化水素基であり、nは5〜10000の整数であ
    る。)
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で示される多糖誘導体
    が、該ポリマー末端において担体と化学結合しているこ
    とを特徴とするカラム用光学分割剤。
  3. 【請求項3】 一般式(II)で示される多糖誘導体。 【化2】 (式中Rおよびnは前記と同義であり、Zは、Si−O
    −C結合を有する基または重合性結合を有する基であ
    る。)
  4. 【請求項4】 前記一般式(II)で示される多糖誘導
    体を、別途製造されたカラム用充填剤と反応させて化学
    結合を生成させることを特徴とする請求項1または2に
    記載のカラム用光学分割剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記一般式(II)で示される多糖誘導
    体を、重合または共重合させて担体を形成する工程を含
    むことを特徴とする請求項1または2に記載のカラム用
    光学分割剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(IV)で示される1,2:5,
    6−ジアンヒドロヘキシトール誘導体をアニオン重合開
    始剤で重合反応を行い、続いて化合物X−Zで停止する
    ことを特徴とする前記一般式(II)で示される多糖誘
    導体の製造方法。(但し、Xは、ハロゲン原子を表し、
    Zは前記と同義である。) 【化3】 (式(IV)中、Rは前記と同義である。)
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載のカラム用光学
    分割剤を用いた光学異性体混合物の光学分割法。
JP8009157A 1996-01-23 1996-01-23 カラム用光学分割剤 Pending JPH09194399A (ja)

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