JPH09188892A - 歯科ハンドピース用潤滑油 - Google Patents

歯科ハンドピース用潤滑油

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JPH09188892A
JPH09188892A JP8293628A JP29362896A JPH09188892A JP H09188892 A JPH09188892 A JP H09188892A JP 8293628 A JP8293628 A JP 8293628A JP 29362896 A JP29362896 A JP 29362896A JP H09188892 A JPH09188892 A JP H09188892A
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JP
Japan
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oil
lubricating oil
group
dental handpiece
alcohol
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Application number
JP8293628A
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English (en)
Inventor
Mika Sakauchi
美香 坂内
Kazuhiro Ono
一弘 小野
Takashi Osada
隆 長田
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Showa Yakuhin Kako Co Ltd
Original Assignee
Showa Yakuhin Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 流動パラフィン、流動イソパラフィンな
どのベースオイルと、オレイン酸等の高級脂肪酸、ラウ
リルアルコール等の高級一価アルコールなどの油性改善
剤とを含む歯科ハンドピース用潤滑油、及びホホバ油な
どのロウまたはミグリオールなどの中鎖脂肪酸トリグリ
セリドをベースオイルとして含む歯科ハンドピース用潤
滑油、並びにこれらの潤滑油にさらにヒノキチオールな
どの油溶性抗菌物質が配合された歯科ハンドピース用潤
滑油。 【効果】 優れた耐荷重性能を有しており、油中に侵入
したウイルスやバクテリアに対して強い殺菌・抗菌性を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油に関するも
のである。さらに詳しくいうと、本発明は、歯科の治療
に用いられる歯の切削用ドリル式治療具(歯科ハンドピ
ース)に好適に用いられる潤滑油に関する。
【0002】
【従来の技術】歯の切削用ドリルとして歯科治療に汎用
されているエアータービン・ハンドピース(本明細書に
おいて、歯科ハンドピース又は単にハンドピースという
場合がある)内部の駆動部分を構成するベアリングは、
非常に微細な部品であるにもかかわらず、極めて高速
(約 400,000 r.p.m.)で回転するという特徴を有してい
る。従って、このベアリングを保護するために用いるハ
ンドピース用潤滑油は、ベアリングのボール表面(界
面)の油切れを起こさないように、通常のベアリング用
潤滑油に比べて極めて高い耐荷重性能(焼き付きの防止
及び磨耗の減少、特には焼き付きの防止作用)を有する
必要がある。また、ハンドピース用潤滑油は、口腔内で
の使用に適するように、安全性の高い成分により構成さ
れている必要がある。
【0003】このような観点から開発されたハンドピー
ス用の潤滑剤として、例えば、「PANA SPRAY」(株式会
社中西歯科機械製作所製、主要成分:流動パラフィン)
などが市販されている。しかしながら、高速回転するハ
ンドピースのベアリングに用いるためには、耐荷重性能
が不十分であり、ベアリングが短時間に磨耗してハンド
ピースの回転数が低下してしまうという問題があった。
【0004】一方、歯科治療に伴い、エイズやB型肝炎
などのウイルス、あるいは MRSA などのバクテリアによ
って交差感染が生じる危険性が指摘されており、感染予
防に対する対策の確立が求められている。なかでも、ハ
ンドピースについては、汚染が最も著しい器具の一つで
あるにもかかわらず、部品が高価であり、処置後に使い
捨てることができないので、厳重な滅菌によって感染予
防を行う必要があるとの指摘がある(ハンドピースの内
部汚染については、山賀ら、日本歯科保存学会誌、38
(2), pp.472-478, 1995 を参照)。
【0005】一般的に、ハンドピースの滅菌は、従来、
消毒液や滅菌用ガスを用いて行なわれている。しかしな
がら、ハンドピース内部の潤滑油中にウイルスやバクテ
リアが潜り込むと、潤滑油によってウイルスやバクテリ
アが保護されてしまうので、消毒液や滅菌用ガスを用い
た滅菌処置では潤滑油内部のウイルスやバクテリアが完
全には死滅しないという問題があった(ルイス, D ら,
ネイチャー・メディシン9月号, 1995年)。
【0006】このような理由から、特に潤滑油内部に潜
むウイルスやバクテリアの滅菌を目的として、使用後の
ハンドピースを高温高圧滅菌器(オートクレーブ)を用
いて完全滅菌する方法が提案されている。しかしなが
ら、一回毎の治療でハンドピースを高圧滅菌することは
非常に煩雑であるうえ、高熱処理するとハンドピースの
構成部品が損傷を受けたり、ハンドピース内部の駆動部
分の耐久性が低下するという問題がある。従って、高温
高圧の滅菌を必要とせずに、消毒液や滅菌用ガスを用い
た通常の滅菌処置によっても、ハンドピースの完全な滅
菌を可能にする手段の開発が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、歯科
用エアータービンハンドピース内部のベアリングの保護
に用いる潤滑油を提供することにある。より具体的にい
うと、本発明は、極めて高速で回転するハンドピースの
駆動部分を構成するベアリングに適した高い耐荷重性能
を有し、ベアリングのボール表面の油切れを起こすこと
がない歯科ハンドピース用潤滑油を提供することを課題
としている。また、本発明の別の課題は、歯科用治療具
に適した安全性の高い潤滑油を提供することにある。
【0008】さらに、本発明の別の課題は、上記の特徴
を有する歯科ハンドピース用潤滑油であって、油中に侵
入したウイルスやバクテリアに対して十分な殺菌・抗菌
性を有する潤滑油を提供することにある。すなわち、ハ
ンドピースの耐久性を損なう高温高圧の滅菌操作を必要
とせずに、消毒液や滅菌用ガスを用いた滅菌処置によっ
てハンドピースの完全な滅菌を達成できる歯科ハンドピ
ース用潤滑油を提供することが本発明の課題である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意努力した結果、流動パラフィンなどの
ベースオイルに対してオレイン酸などの油性改善剤を配
合して得られる潤滑油が、高い安全性を有するととも
に、高速で回転するベアリングのボール表面の油切れを
起こすことがなく、歯科ハンドピース用の潤滑油として
好適な特性を有していることを見いだした。また、従
来、化粧料などの基剤として用いられるホホバ油などの
ロウや、ミグリオールなどに代表される中鎖脂肪酸トリ
グリセリドなどの物質がそれ自体で高い耐荷重性能を有
しており、歯科ハンドピース用の潤滑油として好適な特
性を有していることを見いだした。
【0010】さらに、これらの潤滑油にヒノキチオール
などの油溶性抗菌物質やユーカリ油などの抗菌性植物油
を配合してなる潤滑油が、油中に侵入したウイルスやバ
クテリアに対して十分な殺菌性を有していること、並び
に、この潤滑油を用いるとハンドピースを高温高圧で滅
菌する必要がなく、消毒液や滅菌用ガスを用いた通常の
滅菌処置によってハンドピースを完全滅菌できることを
見いだした。本発明は、これらの知見を基にして完成さ
れたものである。
【0011】すなわち本発明の第一の態様によれば、流
動パラフィン、流動イソパラフィン、及びポリブテンか
らなる群から選ばれるベースオイルと、高級脂肪酸、高
級一価アルコール、芳香族アルコール、及びポリアルキ
レングリコールからなる群から選ばれる油性改善剤とを
含む歯科ハンドピース用潤滑油が提供される。この発明
の好ましい態様として、さらに油溶性抗菌物質及び/又
は抗菌性植物油を含む上記歯科ハンドピース用潤滑油;
油性改善剤が、オレイン酸、リノール酸、イソステアリ
ン酸、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベ
ンジルアルコール、及びポリエチレングリコール 400か
らなる群から選ばれる上記歯科ハンドピース用潤滑油;
油性改善剤が、オレイン酸、リノール酸、イソステアリ
ン酸、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベ
ンジルアルコール、及びポリエチレングリコール 400か
らなる群から選ばれ、油溶性抗菌物質がヒノキチオール
及びクロルヘキシジンからなる群から選ばれ、抗菌性植
物油が、ユーカリ油、ハッカ油、ナッツメグ油、レモン
油、及びケイヒ油からなる群から選ばれる上記歯科ハン
ドピース用潤滑油が提供される。
【0012】また、本発明の第二の態様によれば、不飽
和脂肪酸と高級不飽和アルコールとからなるロウ、及び
中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群から選ばれるベー
スオイルを含む歯科ハンドピース用潤滑油が提供され
る。この発明の好ましい態様によれば、さらに油溶性抗
菌物質及び/又は抗菌性植物油を含む上記歯科ハンドピ
ース用潤滑油;及び、ベースオイルとしてホホバ油及び
/又はミグリオールを含む上記歯科ハンドピース用潤滑
油が提供される。これらの発明の好ましい態様として、
噴射剤とともにボンベに充填された形態の上記歯科ハン
ドピース用潤滑油も提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第一の態様に従う潤滑油
は、ベースオイルと油性改善剤とを含むことを特徴とし
ている。上記潤滑油に含まれるベースオイルとしては、
流動パラフィン、流動イソパラフィン、及びポリブテン
からなる群から選ばれるベースオイルを用いることがで
きる。ベースオイルは上記の群から選ばれる物質を単独
で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0014】流動パラフィンは、石油から精製され、比
較的軽質の潤滑油留分(例えばスピンドル油留分)を硫
酸洗浄によって高度に精製した炭化水素油である。例え
ば、医薬用途(軟膏基剤など)で使用可能な程度に精製
されたものを用いることができ、好適には、日本薬局方
に収載された品質の流動パラフィンを使用できる。特に
好ましい流動パラフィンは、日本薬局方に収載された品
質の流動パラフィンのうち、d20 20: 0.830〜0.870 、粘
度 7〜80センチストークス(40.0 ℃) 以上の特性を有す
るものである。
【0015】流動イソパラフィンはイソブテンとn-ブテ
ンとを共重合した後、水素添加して得られる側鎖を有す
る炭化水素の混合物であり、化粧品原料基準に収載され
ており、流動ポリイソブチレンとも呼ばれる。本発明の
潤滑油には、重合度が 5〜10、好ましくは 4〜6 のもの
を使用することができる。例えば、沸点 70 ℃以上、d
20 20: 0.710〜0.820 、粘度 0.5〜35センチストークス
(37.8 ℃) 以上の特性を有する流動イソパラフィンが好
適である。
【0016】ポリブテンは、イソブチレンモノマーの重
合物であり、一般的には、イソブチレンを主成分とし、
少量のブテン-1やブタンなどを含むモノマー混合物の重
合により製造することができる。例えば、食品添加物公
定書に収載された平均分子量350〜3,000 程度のポリブ
テンを好適に使用でき、例えば、d20 20: 0.830〜0.910
、粘度が 22 〜190 センチストークス(40.0 ℃) 以上
の品質のポリブテンを特に好適に使用できる。
【0017】本発明の第一の態様の潤滑油に含まれる油
性改善剤は、高級脂肪酸、高級一価アルコール、芳香族
アルコール、及びポリアルキレングリコールからなる群
から選ばれる。油性改善剤としては、上記の群から選ば
れる物質を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。油性改善剤は、金属面に強い吸着膜
を形成し、境界膜の破断を減少させて駆動部分(ベアリ
ング)の摩擦や磨耗を減少させる作用を有する。ベース
オイルと油性改善剤とは、例えば、ベースオイル 100重
量部に対して油性改善剤を 1〜20重量部、好ましくは 1
〜5 重量部の範囲となるように配合することができる。
【0018】高級脂肪酸としては、例えば、オレイン
酸、リノール酸、イソステアリン酸などの炭素数 10 〜
22程度の脂肪酸を用いることができ、好ましくは、オレ
イン酸、リノール酸、及びイソステアリン酸からなる群
から選ばれる高級脂肪酸を用いることができる。オレイ
ン酸又はイソステアリン酸としては、化粧品原料基準に
収載された品質のものを好適に用いることができる。
【0019】化粧品原料基準に収載されたオレイン酸の
うち、d20 20: 0.86 〜0.91、凝固点10 ℃以下、酸価 19
5〜204 、エステル価 3以下、ヨウ素価 80 〜95の品質
を有するものが特に好ましく、化粧品原料基準に収載さ
れたイソステアリン酸のうち、d20 20:0.86〜0.91、曇り
点 15 ℃以下、酸価 175〜215 、エステル価 12 以下、
ヨウ素価 15 以下の品質を有するものが特に好ましい。
リノール酸は、例えば、酸価 198〜200 、ヨウ素価 155
〜175 の品質を有するものが好ましい。
【0020】高級一価アルコールとしては、例えばラウ
リルアルコールやステアリルアルコールなどの炭素数 1
0 〜22程度の一価の高級アルコールを用いることがで
き、好ましくは、ラウリルアルコール及びステアリルア
ルコールからなる群から選ばれる高級一価アルコールを
用いることができる。ラウリルアルコールとしては、化
粧品原料基準に収載された品質のものを好適に使用する
ことができ、ステアリルアルコールとしては、日本薬局
方に収載された品質のものを好適に使用可能である。
【0021】化粧品原料基準に収載されたラウリルアル
コールのうち、融点 23 〜31℃、酸価 0.5以下、けん化
価 2以下、ヨウ素価 1以下、水酸基価 270〜305 の品質
を有するものが特に好適であり、日本薬局方に収載され
たステアリルアルコールのうち、融点56〜62℃、酸価
1.0以下、エステル価 3.0以下、水酸基価 200〜220 、
ヨウ素価2.0 以下の品質を有するものが特に好ましい。
【0022】芳香族アルコールとしてはアラルキルアル
コールを用いることができ、例えば、ベンジルアルコー
ルなどを好適に用いることができる。ベンジルアルコー
ルとしては、日本薬局方に収載されたもののうち、d20
20: 1.04 〜1.06、屈折率 n D 20: 1.53〜1.54の品質の
ものが特に好ましい。ポリアルキレングリコールとして
は、例えば、平均分子量が300 〜1,000 程度のものを用
いることができ、好ましくは日本薬局方に収載されたポ
リエチレングリコール 400(平均分子量約 400)などを
好適に用いることができる。日本薬局方に収載されたポ
リエチレングリコール 400(マクロゴール400)のうち、
凝固点 4〜8 ℃、d20 20: 1.11 〜1.14の品質を有するも
のが特に好ましい。
【0023】本発明の第二の態様に従う潤滑油は、不飽
和脂肪酸と高級不飽和アルコールとからなるロウ、及び
中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群から選ばれるベー
スオイルを含むことを特徴としている。ベースオイルは
上記の群から選ばれる物質を単独で用いてもよいが、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】不飽和脂肪酸と高級不飽和アルコールとか
らなるロウとしては、例えば、ホホバ油を用いることが
できる。ホホバ油 (Jojoba Oil) はホホバ (Simmondsia
Chinensis) の乾燥種子から得られる液状ワックスであ
り、化粧品種別許可基準I(厚生省薬無局審査第二課監
修、株式会社薬事日報社発行、第3刷、1991年)に適合
する精製ホホバ油を市販品として容易に入手することが
できる(例えば JOJOBAL、ミツバ貿易株式会社)。ま
た、中鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ミグ
リオール(例えば、炭素数6〜12程度の脂肪酸のエステ
ルを含む混合物が市販されている)を好適に用いること
ができる。また、パナセート800 、パナセート810 、パ
ナセート875 など(いずれも商標名、日本油脂株式会
社)を用いることも好ましい。
【0025】本発明の別の態様によれば、上記の潤滑油
に油溶性抗菌物質及び/又は抗菌性植物油を配合した潤
滑油が提供される。油溶性抗菌物質及び抗菌性植物油の
種類は、上記の潤滑油の耐荷重を実質的に損なうことが
なく、潤滑油中でバクテリア及び/又はウイルスに対し
て抗菌的及び/又は殺菌的に作用するものであれば特に
限定されない。好ましくは、ヒノキチオール又はクロル
ヘキシジンなどの油溶性抗菌物質、ユーカリ油、ハッカ
油、ナッツメグ油、レモン油、又はケイヒ油などの抗菌
性植物油を用いることができる。これらの油溶性抗菌物
質又は抗菌性植物油を単独で用いてもよいが、油溶性抗
菌物質の1種又は2種以上を抗菌性植物油の1種又は2
種以上と組み合わせて用いてもよい。
【0026】ヒノキチオール (β-Thujaplicin) は 4-
イソプロピル-2- ヒドロキシシクロヘプタ-2,4,6- トリ
エン-1- オン (4-Isopropyl-2-hydroxy-cyclohepta-2,
4,6-triene-1-one)で表される化合物であり、化粧品原
料基準に収載された品質のものを好適に用いることがで
きる。クロルヘキシジンとしては遊離形態のものが好適
である。
【0027】ユーカリ油 (Oleum Eucalypti)はユーカリ
属の Eucalyptus globulus Labill又はその近縁植物 (M
yrtaceae)の葉を水蒸気蒸留して得た精油であり、日本
薬局方に収載された品質のものを好適に用いることがで
きる。また、ユーカリ油としては、人造ユーカリ油とし
て入手可能な中国産ユーカリ油 (Eucalyptus Chinensi
s) を用いてもよい。
【0028】ハッカ油はハッカ (Mentha arvensis Linn
e var. piperascens Malinvaud) 又はその種間雑種 (La
biatae) の地上部を水蒸気蒸留して得た油を冷却し、固
形分を除去した精油であり、日本薬局方に収載された品
質のものが好適である。ナッツメグ油は、ニクズク科ニ
クズクの種子から採取される植物油であり、熟成乾燥種
子を水蒸気蒸留することにより得られる。
【0029】レモン油はレモン (Citrus medica Linne
(Rutaceae))の新鮮な果皮を圧搾して得た精油であり、
医薬品添加物規格に収載された品質のものが好ましい。
ケイヒ油は、Cinnamomum cassia Blume の葉と小枝若し
くは樹皮又は Cinnamomum zeylanicum Nees (Lauracea
e) の樹皮を水蒸気蒸留して得た精油であり、日本薬局
方に収載された品質のものを好適に用いることができ
る。なお、ユーカリ油、ハッカ油、ナッツメグ油、レモ
ン油、及びケイヒ油などの抗菌性植物油は、本発明の潤
滑油の製造に好適な品質のものがいずれも市販されてお
り、容易に入手可能である。
【0030】油溶性抗菌物質及び/又は抗菌性植物油
は、潤滑油 100重量部に対して 0.1〜20重量部の割合と
なるように均一に混合される。なお、本発明の潤滑油
は、上記の成分の他、潤滑油中に通常配合される他の成
分、例えば、極圧剤、油溶性界面活性剤などを含んでい
てもよい。なお、本発明の潤滑油は、粘度が 7〜80セン
チストークス (40.0℃) 、好ましくは15〜50センチスト
ークス (40.0℃) の範囲;耐荷重性能(ファレックス試
験による)が 50 ポンド以上、好ましくは 100ポンド以
上;比重d20 20 が 0.80 〜0.90、好ましくは 0.83 〜0.
87の範囲で調製することができる。
【0031】本発明の潤滑油は、歯科用ハンドピース内
部の駆動部分を構成する微小ベアリングの保護のための
潤滑油、すなわち歯科ハンドピース用潤滑油として用い
ることができる。もっとも、本発明の潤滑油の用途は特
に限定されることはなく、歯科ハンドピースのほか、類
似の構造を有する医療用またはその他のハンドピースな
どにおいて、例えば約 100,000〜600,000 r.p.m.、好ま
しくは約 200,000〜400,000 r.p.m.程度で高速回転する
微小ベアリングの潤滑油として用いることができる。本
発明の潤滑油のうち、油溶性抗菌物質及び/又は抗菌性
植物油を配合した潤滑油は、歯科ハンドピース用潤滑油
として特に好適に用いることができ、バクテリアやウイ
ルスの汚染に曝される各種ベアリングの潤滑油としても
用いることができる。
【0032】本発明の潤滑油は、上記の成分を適宜の順
序で順次混合するか、必要成分を一度に混合することに
より、均一な組成物として製造される。必要に応じて、
混合操作を加温下に行なうこともできる。本発明の潤滑
油は、それ自体を密閉容器や密封容器に充填して提供し
てもよいが、例えば、フロンガスやブタンガスなどの噴
射剤とともにボンベ内に充填して提供することが好まし
い。後者の態様に従えば、ボンベ上部に設けられたノズ
ルからボンベ内の潤滑油を噴射させることにより、ハン
ドピースの駆動部分である微小ベアリング部に適当量の
潤滑油を簡便に適用することができる。
【0033】一般的には、本発明の潤滑油をハンドピー
スの使用前に適用しておき、治療後にハンドピース全体
を消毒液や滅菌用ガスを用いた滅菌処理に付することが
好ましい。バクテリア及び/又はウイルスによる高度の
汚染、あるいはエイズウイルス(HIV) など極めて危険な
微生物による汚染が危惧される場合には、上記の処理に
加えて、あるいは上記の処理に替えて、汚染ハンドピー
スをオートクレーブ中で高温・高圧滅菌処理に付するこ
とが好ましい。この場合、ハンドピースを適宜の大きさ
の耐熱容器中に収納して滅菌処理すると、油溶性抗菌物
質や抗菌性植物油の抗菌成分が揮発して容器中に充満す
るので、完全な滅菌が短時間に達成される。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。なお、実施例の潤滑油の製造用原料として
は、それぞれ公定書に記載された規格を満足する市販品
を用いた。 例1 オレイン酸 20 g 及びヒノキチオール 1 gに流動パラフ
ィンを加えて全量を 1,000 ml とした後、50℃の水浴中
で攪拌溶解して、均一の組成物である潤滑油を製造し
た。 例2 リノール酸 50 g 及びユーカリ油 100g にポリブテン 6
00 ml を加え、さらに流動パラフィンを加えて全量を
1,000 ml とした後、50℃の水浴中で攪拌溶解して、均
一の組成物である潤滑油を製造した。
【0035】例3 イソステアリン酸 50 g 及びハッカ油 150g に流動パラ
フィン 600 ml を加え、さらにイソパラフィンを加えて
全量を 1,000 ml とした後、50℃の水浴中で攪拌溶解し
て、均一の組成物である潤滑油を製造した。 例4 ラウリルアルコール 50 g 及びナッツメグ油 100 gに流
動パラフィンを加えて全量を 1,000 ml とした後、50℃
の水浴中で攪拌溶解して、均一の組成物である潤滑油を
製造した。
【0036】例5 ステアリルアルコール 50 g 及びレモン油 100g にポリ
ブテン 400 ml を加え、さらにイソパラフィンを加えて
全量を 1,000 ml とした後、50℃の水浴中で攪拌溶解し
て、均一の組成物である潤滑油を製造した。 例6 ベンジルアルコール 20 g 及びケイヒ油 200 gに流動パ
ラフィンを加えて全量を 1,000 ml とした後、50℃の水
浴中で攪拌溶解して、均一の組成物である潤滑油を製造
した。 例7 ポリエチレングリコール #400 50 g及びヒノキチオール
1 gに流動パラフィン600 ml を加え、さらにイソパラ
フィンを加えて全量を 1,000 ml とした後、50℃の水浴
中で攪拌溶解して、均一の組成物である潤滑油を製造し
た。
【0037】例8 ヒノキチオール 1 gにミグリオールを加えて全量を 1,0
00 ml とした後、50℃の水浴中にて攪拌溶解して、均一
の組成物である潤滑油を製造した。 例9 ヒノキチオール 1 gにホホボイルを加えて全量を 1,000
ml とした後、50℃の水浴中にて攪拌溶解して、均一の
組成物である潤滑油を製造した。
【0038】例10(比較例) ヒノキチオール 1 gに流動パラフィンを加えて全量を
1,000 ml とした後、50℃の水浴中で攪拌溶解して、均
一の組成物である潤滑油を製造した。 例11(比較例) ポリブテンにイソパラフィンを加えて全量を 1,000 ml
とした後、50℃の水浴中で攪拌溶解して、均一の組成物
である潤滑油を製造した。 例12(比較例) 流動パラフィン 600 ml にイソパラフィンを加えて全量
を 1,000 ml とした後、50℃の水浴中で攪拌溶解して、
均一の組成物である潤滑油を製造した。
【0039】試験例 例1〜9の潤滑油、及び例10〜12の潤滑油(比較例)の
各潤滑油について、ファレックス試験 (ASTM D 3232)に
より耐荷重性能の評価を行った。また、歯垢より分離し
たストレプトコッカス・ミュータンス (Streptococcus
mutans) を培養した寒天培地上に、各潤滑油(30 μl)を
含浸させた直径 8 mm の紙ディスクを静置して 35 ℃ 1
8 時間培養し、培地上の阻止円 (直径)を測定した。結
果を表1に示す。
【0040】
【表1】 ─────────────────── 潤滑油 耐荷重性能(lb) 阻止円(mm) ─────────────────── 例 1 (本発明) 345 29 例 2 ( 〃 ) 300 17 例 3 ( 〃 ) 300 17 例 4 ( 〃 ) 270 14 例 5 ( 〃 ) 275 14 例 6 ( 〃 ) 275 19 例 7 ( 〃 ) 270 25 例 8 ( 〃 ) 370 25 例 9 ( 〃 ) 390 23 例10 (比較例) 175 22 例11 (比較例) 175 8 例12 (比較例) 175 8 ───────────────────
【0041】
【発明の効果】本発明の潤滑油は安全性の高い成分から
構成されており、優れた耐荷重性能を有するので、歯科
ハンドピース内部のベアリングの保護に有用である。ま
た、本発明の潤滑油に配合された油溶性抗菌物質及び/
又は抗菌性植物油は、油中においてもウイルスやバクテ
リアに対して強い殺菌・抗菌性を有しており、かつ、潤
滑油の耐荷重性能を損なうことがない。本発明の潤滑油
を用いると、ハンドピースの耐久性を損なう高温高圧で
の滅菌操作が不要になり、消毒液や滅菌ガスなどを用い
た通常の滅菌処理によってハンドピースの完全な滅菌が
可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 101:02 107:06 129:06 129:10 129:40 159:08 145:28) C10N 30:06 30:12 40:06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動パラフィン、流動イソパラフィン、
    及びポリブテンからなる群から選ばれるベースオイル
    と、高級脂肪酸、高級一価アルコール、芳香族アルコー
    ル、及びポリアルキレングリコールからなる群から選ば
    れる油性改善剤とを含む歯科ハンドピース用潤滑油。
  2. 【請求項2】 さらに油溶性抗菌物質及び/又は抗菌性
    植物油を含む請求項1に記載の歯科ハンドピース用潤滑
    油。
  3. 【請求項3】 油性改善剤が、オレイン酸、リノール
    酸、イソステアリン酸、ラウリルアルコール、ステアリ
    ルアルコール、ベンジルアルコール、及びポリエチレン
    グリコール 400からなる群から選ばれる、請求項1又は
    2に記載の歯科ハンドピース用潤滑油。
  4. 【請求項4】 油性改善剤が、オレイン酸、リノール
    酸、イソステアリン酸、ラウリルアルコール、ステアリ
    ルアルコール、ベンジルアルコール、及びポリエチレン
    グリコール 400からなる群から選ばれ、油溶性抗菌物質
    がヒノキチオール及びクロルヘキシジンからなる群から
    選ばれ、抗菌性植物油が、ユーカリ油、ハッカ油、ナッ
    ツメグ油、レモン油、及びケイヒ油からなる群から選ば
    れる請求項2に記載の歯科ハンドピース用潤滑油。
  5. 【請求項5】 不飽和脂肪酸と高級不飽和アルコールと
    からなるロウ、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる
    群から選ばれるベースオイルを含む歯科ハンドピース用
    潤滑油。
  6. 【請求項6】 さらに油溶性抗菌物質及び/又は抗菌性
    植物油を含む請求項5に記載の歯科ハンドピース用潤滑
    油。
  7. 【請求項7】 ホホバ油及びミグリオールからなる群か
    ら選ばれるベースオイルを含む請求項5又は6に記載の
    歯科ハンドピース用潤滑油。
  8. 【請求項8】 噴射剤とともにボンベに充填された形態
    の請求項1ないし7のいずれか1項に記載の歯科ハンド
    ピース用潤滑油。
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