JPH09184394A - シールドマシン - Google Patents

シールドマシン

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JPH09184394A
JPH09184394A JP34424895A JP34424895A JPH09184394A JP H09184394 A JPH09184394 A JP H09184394A JP 34424895 A JP34424895 A JP 34424895A JP 34424895 A JP34424895 A JP 34424895A JP H09184394 A JPH09184394 A JP H09184394A
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重行 河野
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徹 後藤
Taiji Nishikawa
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Shimizu Construction Co Ltd
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  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シールドマシンの自動掘進時のテールクリア
ランスを確保してシールドマシンとセグメントのせりを
回避し、シールド工事の精度、品質及び安全性等の向上
を可能とするシールドマシンを提供する。 【解決手段】 既組立セグメントSGとシールドマシン
1の間のテールクリアランス値を計測し、その計測値
と、ジャイロコンパス3、水レベル計4からなる位置計
測システムによる計測値等に基づき、次期組立セグメン
トSG’先端及びテールエンドにおけるテールクリアラ
ンス値を求める。求めたテールクリアランス値とストロ
ークの散布図から一次回帰直線を引き、予測されるテー
ルクリアランス値が管理値を下回る場合には、テールク
リアランスを確保するように片押度を変化させてシール
ドマシン1の掘進方向を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テールクリアラン
ス値を考慮したシールドマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の地下開発においては、大深度化、
大断面化、長大化の傾向が一層強くなってきている。こ
れに伴い、トンネル掘削作業における施工の高精度化及
び高速化や作業熟練者不足の改善、安全性及び作業環境
の向上等の様々な課題が生じてきており、施工の自動化
が不可欠となっている。
【0003】このため、従来、シールド工法によるトン
ネル掘削作業においては、シールドマシンの位置を計測
し、その位置と掘進計画線とのずれを修正するよう、フ
ァジイ理論によってシールドジャッキのジャッキパター
ンを自動選択する自動方向制御を行うシールドマシンが
開発され、実用に供されていた。この従来の自動方向制
御を行うシールドマシンによれば、シールドマシンは掘
進計画線にすり付けられるようにして掘進し、掘進計画
線に沿って掘進方向を制御されるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近工事例
が増加しつつある大断面シールドの掘削においては、テ
ールクリアランスが最重要管理項目として挙げられる。
ここに、テールクリアランスとは、シールドとセグメン
トとの隙間をいう。掘進時には、このテールクリアラン
スの値が適当な大きさに保たれないとシールドマシンと
セグメントにせりが生じてしまう。
【0005】ところが、上述した従来の自動方向制御を
行うシールドマシンにおいては、シールドマシンの方向
をあくまで掘進計画線にすり付ける制御のみを行ってい
るので、掘進計画線の方向如何によっては、シールドマ
シンを自動掘進したときにテールクリアランス値が徐々
に小さくなる場合が生じる。従って、従来のシールドマ
シンは、シールドマシンとセグメントにせりが生じてし
まうおそれがあるという問題点を有していた。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、シールドマシンの自動掘進時のテールクリアラ
ンスを確保してシールドマシンとセグメントのせりを回
避し、シールド工事の精度、品質及び安全性等の向上を
可能とするシールドマシンを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
本体背面側に設けられた複数のジャッキを操作すること
により、シールドマシンの掘進方向を制御するシールド
マシンにおいて、前記ジャッキの伸縮ストロークを計測
するジャッキストローク計と、前記シールドマシンの後
部に設けられ、前記シールドマシンと既組立セグメント
とのテールクリアランス値を計測するテールクリアラン
ス計と、前記シールドマシンの位置を計測する位置計測
手段と、前記ストローク計により計測されるストローク
値の所定の間隔毎に、前記テールクリアランス計及び前
記位置計測手段により計測される各計測値により、次期
組立セグメント先端及び前記シールドマシン後端部にお
けるテールクリアランス値を算出し、その算出結果によ
り予測されるテールクリアランス値を所定の管理値以上
とする掘進方向に前記シールドマシンの掘進方向を制御
する前記ジャッキに対する指示信号を出力する制御手段
とを有することを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載のシ
ールドマシンにおいて、前記制御手段は、前記各計測値
により、前記シールドマシンの所定位置を基にして、既
組立セグメント切羽位置、次期組立セグメント先端位置
及びシールドマシン後端部位置の座標を求め、それらの
座標から次期組立セグメント先端及び前記シールドマシ
ン後端部におけるテールクリアランス値を算出すること
を特徴としている。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載のシールドマシンにおいて、前記制御手段は、所定ス
トローク毎に算出した前記テールクリアランス値とその
ときのストローク値とに基づき、テールクリアランス値
をストローク値で表した回帰直線を求めることによって
前記テールクリアランス値の予測を行い、前記回帰直線
により予測されるテールクリアランス値が前記管理値を
下回る場合に、前記予測されるテールクリアランス値を
前記管理値以上とする掘進方向に前記シールドマシンの
掘進方向を制御する前記ジャッキに対する指示信号を出
力する制御手段であることを特徴としている。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1記載のシ
ールドマシンにおいて、前記制御手段は、複数の片押度
それぞれに対応した前記ジャッキのON/OFF状況を
表す複数のジャッキパターンを記憶した記憶手段を有
し、前記予測されるテールクリアランス値を前記管理値
以上とするための片押度変化量を算出し、算出した前記
片押度変化量を現状片押度に加算した片押度に応じて、
前記記憶手段に記憶された複数のジャッキパターンから
最適なジャッキパターンを選択し、選択した前記ジャッ
キパターンに基づいて前記指示信号を出力する制御手段
であることを特徴としている。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項3記載のシ
ールドマシンにおいて、前記制御手段は、複数の片押度
それぞれに対応した前記ジャッキのON/OFF状況を
表す複数のジャッキパターンを記憶した記憶手段を有
し、前記予測されるテールクリアランス値を前記管理値
以上とするための片押度変化量を、前記回帰直線の傾き
の正負と、前記回帰直線により予測される掘削終了スト
ロークにおけるテールクリアランス値の大小とに基づい
て算出し、算出した前記片押度変化量を現状片押度に加
算した片押度に応じて、前記記憶手段に記憶された複数
のジャッキパターンから最適なジャッキパターンを選択
し、選択した前記ジャッキパターンに基づいて前記指示
信号を出力する制御手段であることを特徴としている。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれかの項記載のシールドマシンにおいて、前記制御手
段は、前記予測されるテールクリアランス値が前記管理
値以上である場合には、ファジイ理論により、掘進計画
線に沿って前記シールドマシンの掘進方向を自動制御す
る前記指示信号を出力する制御手段であることを特徴と
している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。図1は本発明によるシール
ドマシンの構成を示す概要図である。
【0014】図において、1はシールドマシンであり、
カッター機構2、ジャイロコンパス3、水レベル計4、
ジャッキ5及びスキンプレート6により概略構成されて
いる。ジャイロコンパス3と水レベル計4は、インター
フェイス7を介してコンピュータ8と接続されており、
それぞれの計測データを地上に設けられた中央制御室9
へ伝達するようになっている。
【0015】ジャッキ5は、シールドマシン1の内周部
に複数設けられており(図2参照)、中央制御室9から
の指示信号によって各々がON/OFFされることによ
り、シールドマシン1の掘進方向を調整する。ここで、
ジャッキ5には、そのストローク値を計測するストロー
ク計が付設されており(図示略)、計測したストローク
値をコンピュータ8へ送信するようになっている。
【0016】スキンプレート6は、シールドマシン1の
最外部を形成する円筒状の部位である。このスキンプレ
ート6の最後尾近傍には、超音波等を利用した非接触セ
ンサから構成されるテールクリアランス計(図示略)が
設置されており、シールドマシン1の後部所定位置と既
組立セグメントSGの間の隙間の大きさ(テールクリア
ランス値)を随時計測し、その計測値をコンピュータ8
へ送信するようになっている。
【0017】コンピュータ8は、ジャイロコンパス3、
水レベル計4及びテールクリアランス計等の各計測器に
よる計測値に基づいてジャッキ5のジャッキパターンを
選択する。ここに、ジャッキパターンとは、総推力の重
心位置のシールドマシン1中心からの離隔の程度(片押
度)に応じて各々のジャッキ5のON/OFF状況を定
めたものである(後述)。又、コンピュータ8は、選択
したジャッキパターンに基づいて、上記指示信号をイン
ターフェイス7を介してジャッキ5へ送信し、シールド
マシン1の掘進方向を制御する。
【0018】10はコンピュータ8と接続され、シール
ドマシン1の方向制御における種々のパラメータ等を入
力するマシン操作盤であり、11はコンピュータ8と接
続され、シールドマシン1の方向制御状況等を表示する
モニターである。
【0019】ここで、上述のジャッキパターンの選定に
ついて概説する。上記ジャッキ5は、図2に示すように
シールドマシン1の内周に複数設けられており、各々の
ON/OFF状況によってジャッキ5全体の合力中心が
定まる。そこで、合力中心位置に対応したジャッキパタ
ーンを選定するため、まず、ジャッキ推力のシールドマ
シン1の中心軸回りのモーメントを、次式によって算出
される無次元量で表すことによってジャッキパターンを
数量化し、それを該ジャッキパターンの合力中心を表す
片押度として考える。
【0020】
【数1】
【0021】式中、Fx、Fyはそれぞれ片押度のX軸、
Y軸方向成分、JLはジャッキ半径、JKiはジャッキi
の状態、θiは中心軸とジャッキiの位置とを結んだ直
線がX軸となす角度である。尚、ジャッキの状態は、抜
き(OFF)状態の時を0、使用(ON)状態の時を1
とする。このようにして求めた片押度(Fx,Fy)は、
上述した総推力の重心位置のシールドマシン1中心から
の離隔の程度を表している。
【0022】そして、複数のジャッキパターンを選定
し、対応する片押度(Fx,Fy)と共にコンピュータ8
の記憶装置に登録してジャッキパターンデータベースを
作成する。
【0023】次に、上記構成によるシールドマシンの動
作について説明する。まず、シールドマシン1の掘進が
開始されると、ジャイロコンパス3及び水レベル計4に
よる通常の位置計測及びテールクリアランス計によるテ
ールクリアランス値計測も開始され、以後、掘進中はこ
れらの計測が随時行われることとなる(図3のステップ
S0参照)。
【0024】ここで、通常の位置計測とは、シールドマ
シン1の掘進計画線に対する位置を自動計測することを
いう。かかる位置計測においては、ジャイロコンパスと
水レベル計、或いはトータルステーションを用いてシー
ルドマシンの現在位置をリアルタイムで演算し、掘進計
画線からの離隔量を算出する。
【0025】尚、シールドマシンの位置計測システムに
は、ジャイロコンパスと水レベル計を用いたもの、
レーザと光波を用いたもの、レーザと光波及びジャイ
ロコンパスと水レベル計を用いたもの等があり、これら
の位置計測システムのうちから工事において要求される
精度、トンネルの施工条件等を考慮して適切な位置計測
システムを決定する。本実施形態における位置計測で
は、一例としてのジャイロコンパスと水レベル計によ
る位置計測システムを用いているが、本願発明によるシ
ールドマシンにおいては、これに限らず、上記又は
の位置計測システムを用いるものとしても良い。
【0026】このように、シールドマシン1の掘進と共
に、位置計測及びテールクリアランス値計測が開始され
ると、図3に示すフローチャートに従ったコンピュータ
8の演算、処理により、シールドマシン1の方向制御が
開始される。
【0027】まず、テールクリアランス計により、既組
立セグメントSGとシールドマシン1後部のテールクリ
アランス値が計測され、該計測値データがコンピュータ
8へ入力される(ステップS1)。
【0028】続いて、ステップS2で次期組立セグメン
ト先端及びシールドマシン1の後端部(テールエンド)
におけるテールクリアランス値を算出する。このため、
まず、既組立セグメント切羽位置、次期組立セグメント
切羽位置、シールドマシン1のテールエンド位置等を求
める。これらを求める演算処理は、図4に示すような座
標設定に基づいて行われる。
【0029】図4は、シールドマシン1を簡略化し、既
組立セグメントSG、SG、…及び次期組立セグメント
SG’との位置関係を模式的に示した図である。この図
において、L1はシールドマシン管理点から既組立セグ
メント切羽までの距離、L2は1セグメントのリング
長、L3は既組立セグメント切羽側からテールエンドま
での距離である。又、マシン管理点の座標(Sx1,Sy
1)は、上記位置計測によって所定時間毎に求められ
る。
【0030】図4において、既組立セグメントSGのセ
グメント方位角θSは、シールドマシン方位角θM及び
各ジャッキストローク量(S1、S2、…、Sn)の関
数で次のように与えられる。 θS=F(θM,S1,S2,…,Sn)
【0031】そして、テールクリアランス計測点のテー
ルクリアランスTcmr、Tcmlと、テールクリアランス計
測位置と既組立セグメント先端面の距離L4より、既組
立セグメント切羽部先端面におけるテールクリアランス
Tcl、Tcrは以下の関係で表される。 Tcl=F(Tcml,L4,θS,θM) Tcr=F(Tcmr,L4,θS,θM) 従って、既組立セグメントSGの切羽側先端面中心の座
標(Sx2,Sy2)は Sx2=Sx1+F(θM,L1,Tcr,Tcl) Sy2=Sy1+F(θM,L1,Tcr,Tcl) で表せる。
【0032】次に、次期組立予定のセグメントSG’の
切羽側先端面中心の座標(Sx3,Sy3)は Sx3=Sx2+F(θS,L2) Sy3=Sy2+F(θS,L2) で表せる。
【0033】又、テールエンド位置のセグメント中心の
座標(Sx4,Sy4)は Sx4=Sx2+F(θS,L3) Sy4=Sy2+F(θS,L3) で表せる。
【0034】上述のようにして算出した各座標値と、セ
グメント径SGr、マシン径M及びテールクリアランス
計測値とにより、次期組立セグメント先端及びテールエ
ンドにおけるテールクリアランス値を演算して求める。
ここで、この演算は、シールドマシン1後方部の上下左
右各所について行い、それぞれの箇所における次期組立
セグメント先端テールクリアランス値及びシールドマシ
ン後端部テールクリアランス値を求める。
【0035】以後、上記ステップS1、S2のテールクリ
アランス計測値の取り込み及び演算処理を所定のストロ
ーク、例えば5mm毎に繰り返し行い、随時次期組立セグ
メント先端及びシールドマシン後端部のテールクリアラ
ンス値を求める。
【0036】次に、図3のステップS3では、回帰直線
による予測テールクリアランス値と管理値との比較がな
される。ここに、管理値とは、テールクリアランス値の
下限値であり、現場の状況等によって適宜定める。この
比較においては、まず、図5に示すように、演算された
テールクリアランス値のデータをプロットし、過去数リ
ング分のデータを基にして所定のストローク(プロット
回数)毎に回帰直線(y=ax+b)を引く。原理的に
は、テールクリアランス値とストローク値とを2つの変
数とした散布図を描き、相関係数を求めて両者の直線的
な関係の強さの程度を検定すると共に、一次回帰直線を
求めてテールクリアランスの傾向を予測するという演算
処理を行うのである。
【0037】そして、かかる回帰直線によって予測され
るテールクリアランス値が、掘削終了ストロークまでの
間に管理値を下回るか否かを判断する。例えば、次期組
立セグメントテールクリアランス値等をジャッキストロ
ーク5mm毎に演算することとした場合では、ストローク
5mm毎に演算によって得られたデータをプロットし、過
去3〜1リング分のデータを基にして40mm程度毎に回
帰直線を求めて上述の予測、判断を行う。尚、このよう
な予測及び判断は、シールドマシン後方部の上下左右各
所について行い、それぞれ予測テールクリアランス値と
管理値との比較を行う。
【0038】ここで、予測テールクリアランス値が管理
値を上回っていたとすると、図3のステップS3での判
断結果が「yes」となり、ステップS4へ進み、通常
の自動方向制御によってシールドマシン1を掘進計画線
にすり付ける自動方向制御モードとなる。
【0039】自動方向制御モードでは、目標掘進線に対
するシールドマシンの位置偏差に基づき、シールドマシ
ン1を目標掘進線にのせるようにファジィ理論を用いて
ジャッキパターンを自動選択する。このとき考慮される
位置偏差は、水平方向のずれ量Dhとその変化量ΔDh、
目標方位の水平偏差角θhとその変化量Δθh、鉛直方向
のずれ量Dvとその変化量ΔDv及び目標方位の鉛直偏差
角θvとその変化量Δθvであり、これらの位置偏差は上
述の位置計測システムによって計測される(ステップS
0参照)。
【0040】次いで、検出された各位置偏差に基づき、
シールドマシン1を目標掘進線にのせるべき片押度変化
量(ΔX,ΔY)をファジィ理論により算出する(ステ
ップS5)。そして、ステップS6で現状片押度(X,
Y)にその片押度変化量(ΔX,ΔY)を加算して出力
片押度とし、その出力片押度に最も近いジャッキパター
ンを上記ジャッキパターンデータベースから選択してジ
ャッキ5へ出力する(ステップS7、S8)。これによ
り、シールドマシン1は掘進計画線にすり付けられるよ
うにして掘進することとなる。
【0041】尚、上記ステップS3〜S8の自動方向制御
は、予測テールクリアランス値の深刻度(管理値を上回
る度合い)に応じて、回帰直線を求めるストロークの整
数倍のストローク毎に行われる。
【0042】一方、ステップS3において、予測テール
クリアランス値が管理値を下回っていたとすると、判断
結果が「no」となり、ステップS9へ進み、次期組立
セグメント先端及びシールドマシン後端部のテールクリ
アランスを確保するテールクリアランス制御モードとな
る。
【0043】そして、ステップS10でテールクリアラン
ス制御モードにおける片押度変化量(ΔX’,ΔY’)
を算出する。このときのシールドマシン1とセグメント
SGとの位置関係例を表す断面図を図6に示す。図に示
すように、テールクリアランス制御モードとなった直後
では、片押度(X,Y)によるシールドマシン1の掘進
方向は、図中TCで示したテールクリアランスが少なく
なるような方向となっている。そこで、片押度変化量
(ΔX’,ΔY’)は、片押度(X,Y)を図示のよう
にテールクリアランスを確保し得る変化後片押度
(X’,Y’)にシフトするように算出される。
【0044】このため、片押度変化量(ΔX’,Δ
Y’)の各成分の大きさΔX’、ΔY’は、それぞれ次
期組立セグメント先端及びシールドマシン後端部の左
右、上下についての上記回帰直線の傾きaの正負(テー
ルクリアランスの増減方向)と掘削終了ストローク時の
予測テールクリアランス値の大小とに基づいて決定され
る。このΔX’、ΔY’の決定は、例えば、回帰直線の
傾きaの正負と予測テールクリアランス値の大小とによ
って場合分けすることによって行う。図7にその一例を
示す。図7の場合分けによれば、それぞれの場合に大、
中、小いずれかの大きさを対応させることにより、Δ
X’、ΔY’を決定することとなる。
【0045】ここで、ΔX’、ΔY’の決定は、上述し
たものに限ることはなく、状況に応じて適宜設定する。
図7に示した例にあっても、傾きa及び予測テールクリ
アランス値についての境界や、大きさの段階分けは、現
場の状況やシールドマシンの挙動等に応じて適切なもの
に設定し、それらの具体的な値も適宜設定する。このよ
うに各パラメータを適宜設定することによって、地質変
化やシールドマシンの癖等、掘進の状態に柔軟に対応す
ることができるようになる。
【0046】以上述べた図3のステップS10における処
理により、テールクリアランス制御のための片押度変化
量(ΔX’,ΔY’)が求められる。そして、上記同
様、ステップS6でその片押度変化量(ΔX’,Δ
Y’)を現状片押度(X,Y)に加算して出力片押度と
し、ステップS7、S8でジャッキパターンデータベース
からジャッキパターンを選択してジャッキ5へ出力す
る。
【0047】更に、上記ステップS9、S10、S6〜S8
のテールクリアランス制御は、上記自動方向制御同様、
予測テールクリアランス値の深刻度(管理値を下回る度
合い)に応じて、所定のストローク毎に行われる。すな
わち、テールクリアランスの深刻度に応じてジャッキパ
ターンの選択が行われるようにするのである。
【0048】そして、テールクリアランスが回復し、予
測テールクリアランス値が管理値を上回ったときには、
ステップS3での判断結果が「yes」となり、テール
クリアランス制御の最終ジャッキパターンを保持した状
態で再び自動方向制御モードとなる。この様子を図8に
示す。尚、図8では、回帰直線を求めるストロークを4
0mmとし、深刻度に応じて40mmの整数(N)倍のスト
ロークでジャッキパターンが選択される例を示してい
る。
【0049】このように、テールクリアランス制御で
は、テールクリアランスを確保するように片押度変化量
が算出されてシールドマシン1の掘進方向が制御され
る。これにより、予測される次期組立セグメントSG’
及びシールドマシン後端部におけるせり状況に応じて、
そのせりが生ずることが未然に防がれる。ここで、図9
に各せり状況に応じた上述のテールクリアランス制御に
よるシールドマシン1の方向制御の態様を示す。
【0050】図9中、“水平”のA〜Dは、水平断面に
より、左右の次期組立セグメント(SG)先端と左右の
テールエンド(TE)とのせり状況を表しており、“垂
直”のA〜Dは、垂直断面により、上下の次期組立セグ
メント先端と上下のテールエンドとのせり状況を表して
いる。又、矢印Fは、上記テールクリアランス制御にお
いて算出される変化後片押度(X’,Y’)であり、こ
れによるシールドマシン1の掘進方向が矢印mである。
図からも分かるように、各々、シールドマシン1が矢印
mの方向へ掘進することとなることによって、せりの発
生が未然に防止される。
【0051】以後、図3のステップS0〜S2と、ステッ
プS3〜S8の自動方向制御又はステップS3、S9、S1
0、S6〜S8のテールクリアランス制御は、掘削終了ス
トロークに至るまで回帰直線を求めるストロークの整数
倍毎に繰り返し行われる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
期組立セグメント先端及び前記シールドマシン後端部に
おけるテールクリアランス値を算出し、その算出結果に
より予測されるテールクリアランス値が所定の管理値以
上となるようにシールドマシンの掘進方向を制御するこ
ととしたので、シールドマシンとセグメントのせり状況
をリアルタイムで監視し、かつ予測することができると
共に、適切なテールクリアランスを常時確保することが
できる。これにより、シールドマシンの自動掘進におい
て、より高品質なシールド工事を実現することができる
という効果が得られる。
【0053】ここで、請求項2記載の発明のよれば、各
計測器の計測値により、シールドマシンの所定位置を基
にして既組立セグメント切羽位置等の座標を求め、それ
らの座標から次期組立セグメント先端及び前記シールド
マシン後端部におけるテールクリアランス値を算出する
こととしたので、大断面シールド工事において高所でテ
ールクリアランスを手計測する必要がなくなる。これに
より、シールド工事における安全性が向上するという効
果が得られる。
【0054】又、請求項3記載の発明によれば、テール
クリアランス値をストローク値で表した回帰直線を求め
ることによってテールクリアランス値の予測を行うの
で、信頼性の高い正確なテールクリアランス値の予測を
行うことができる。そして、かかる回帰直線により予測
されるテールクリアランス値が管理値を下回る場合に、
該予測されるテールクリアランス値を所定の管理値以上
とするようにシールドマシンの掘進方向を制御すること
としたので、正確な予測による確実なテールクリアラン
スの確保を行うことができるという効果が得られる。
【0055】更に、請求項4記載の発明によれば、複数
のジャッキパターンを記憶した記憶手段を備え、予測さ
れるテールクリアランス値を所定の管理値以上とするた
めの片押度変化量を算出することにより、前記記憶手段
に記憶された複数のジャッキパターンから最適なジャッ
キパターンを選択することとしたので、シールドマシン
の掘進方向をより精密に調整することができる。
【0056】特に、請求項5記載の発明によれば、請求
項3記載のシールドマシンの制御手段において算出され
た回帰直線の傾きの正負と、該回帰直線により予測され
る掘削終了ストロークにおけるテールクリアランス値の
大小とに基づいて片押度変化量を算出するので、テール
クリアランス値の変化傾向に的確に対処したシールドマ
シンの掘進方向制御を行うことができる。
【0057】加えて、請求項6記載の発明によれば、予
測されるテールクリアランス値が管理値以上である場合
には、ファジイ理論により、掘進計画線に沿って前記シ
ールドマシンの掘進方向を自動制御することとしたの
で、テールクリアランス確保のための方向制御と通常の
自動方向制御との組み合わせにより、所定のテールクリ
アランスを確保しつつ、掘進計画線に沿ってシールドマ
シンが掘進する。これにより、テールクリアランスの管
理を確実なものとした上で、可能な限り掘進計画線に忠
実なシールドマシンの方向制御を行うことができるとい
う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるシールドマシンの構成を示す概
要図である。
【図2】 シールドマシン1の内周に複数設けられたジ
ャッキ5を示す図である。
【図3】 シールドマシン1の方向制御を示すフローチ
ャートである。
【図4】 シールドマシン1と、既組立セグメントS
G、SG、…及び次期組立セグメントSG’との位置関
係を模式的に示した図である。
【図5】 次期組立セグメントテールクリアランス値の
データをプロットすることによって求めた回帰直線を示
す図である。
【図6】 テールクリアランス制御モード時のシールド
マシン1と既組立セグメントSGとの位置関係例を表す
断面図である。
【図7】 傾きaの正負と予測テールクリアランス値の
大小とによって場合分けした片押度変化量の各成分Δ
X’、ΔY’の一例を示す図である。
【図8】 自動方向制御モードとテールクリアランス制
御モード間の切り替わりのタイミングを示す図である。
【図9】 各せり状況に応じたテールクリアランス制御
によるシールドマシン1の方向制御の態様を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 シールドマシン 3 ジャイロコンパス 4 水レベル計 5 ジャッキ 6 スキンプレート 8 コンピュータ 10 マシン操作盤 11 モニター SG 既組立セグメント SG’ 次期組立セグメント

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体背面側に設けられた複数のジャッキ
    を操作することにより、シールドマシンの掘進方向を制
    御するシールドマシンにおいて、 前記ジャッキの伸縮ストロークを計測するジャッキスト
    ローク計と、 前記シールドマシンの後部に設けられ、前記シールドマ
    シンと既組立セグメントとのテールクリアランス値を計
    測するテールクリアランス計と、 前記シールドマシンの位置を計測する位置計測手段と、 前記ストローク計により計測されるストローク値の所定
    の間隔毎に、前記テールクリアランス計及び前記位置計
    測手段により計測される各計測値により、次期組立セグ
    メント先端及び前記シールドマシン後端部におけるテー
    ルクリアランス値を算出し、その算出結果により予測さ
    れるテールクリアランス値を所定の管理値以上とする掘
    進方向に前記シールドマシンの掘進方向を制御する前記
    ジャッキに対する指示信号を出力する制御手段とを有す
    ることを特徴とするシールドマシン。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシールドマシンにおい
    て、 前記制御手段は、前記各計測値により、前記シールドマ
    シンの所定位置を基にして、既組立セグメント切羽位
    置、次期組立セグメント先端位置及びシールドマシン後
    端部位置の座標を求め、それらの座標から次期組立セグ
    メント先端及び前記シールドマシン後端部におけるテー
    ルクリアランス値を算出することを特徴とするシールド
    マシン。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のシールドマシンに
    おいて、 前記制御手段は、所定ストローク毎に算出した前記テー
    ルクリアランス値とそのときのストローク値とに基づ
    き、テールクリアランス値をストローク値で表した回帰
    直線を求めることによって前記テールクリアランス値の
    予測を行い、前記回帰直線により予測されるテールクリ
    アランス値が前記管理値を下回る場合に、前記予測され
    るテールクリアランス値を前記管理値以上とする掘進方
    向に前記シールドマシンの掘進方向を制御する前記ジャ
    ッキに対する指示信号を出力する制御手段であることを
    特徴とするシールドマシン。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のシールドマシンにおい
    て、 前記制御手段は、複数の片押度それぞれに対応した前記
    ジャッキのON/OFF状況を表す複数のジャッキパタ
    ーンを記憶した記憶手段を有し、前記予測されるテール
    クリアランス値を前記管理値以上とするための片押度変
    化量を算出し、算出した前記片押度変化量を現状片押度
    に加算した片押度に応じて、前記記憶手段に記憶された
    複数のジャッキパターンから最適なジャッキパターンを
    選択し、選択した前記ジャッキパターンに基づいて前記
    指示信号を出力する制御手段であることを特徴とするシ
    ールドマシン。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のシールドマシンにおい
    て、 前記制御手段は、複数の片押度それぞれに対応した前記
    ジャッキのON/OFF状況を表す複数のジャッキパタ
    ーンを記憶した記憶手段を有し、前記予測されるテール
    クリアランス値を前記管理値以上とするための片押度変
    化量を、前記回帰直線の傾きの正負と、前記回帰直線に
    より予測される掘削終了ストロークにおけるテールクリ
    アランス値の大小とに基づいて算出し、算出した前記片
    押度変化量を現状片押度に加算した片押度に応じて、前
    記記憶手段に記憶された複数のジャッキパターンから最
    適なジャッキパターンを選択し、選択した前記ジャッキ
    パターンに基づいて前記指示信号を出力する制御手段で
    あることを特徴とするシールドマシン。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの項記載のシー
    ルドマシンにおいて、 前記制御手段は、前記予測されるテールクリアランス値
    が前記管理値以上である場合には、ファジイ理論によ
    り、掘進計画線に沿って前記シールドマシンの掘進方向
    を自動制御する前記指示信号を出力する制御手段である
    ことを特徴とするシールドマシン。
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