JPH09172639A - 画像処理装置 - Google Patents

画像処理装置

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JPH09172639A
JPH09172639A JP7331972A JP33197295A JPH09172639A JP H09172639 A JPH09172639 A JP H09172639A JP 7331972 A JP7331972 A JP 7331972A JP 33197295 A JP33197295 A JP 33197295A JP H09172639 A JPH09172639 A JP H09172639A
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JP7331972A
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English (en)
Inventor
Koji Nishimura
耕二 西村
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周期的境界条件を仮定して設計されたディジ
タルフィルタにてウェーブレット変換された後に非線形
量子化により圧縮された画像データの伸張過程におい
て、量子化誤差による偽エッジのぼやけの影響を低減
し、高画質の伸張画像を得る。 【解決手段】 使用フィルタのタップ数に基づいて、ウ
ェーブレット逆変換後のデータにおける偽エッジの影響
を受けている補正対象データを、補正対象データ認識部
9にて認識する。そして、補正対象データの近傍に位置
する偽エッジの影響を受けていないデータとの相関が大
きくなるように、当該補正対象データを補正部10にて
補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周期的境界条件の
もとで設計されたディジタルフィルタを用いて圧縮され
た画像データの伸張過程において用いられる画像処理装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日では、新しい画像圧縮アルゴリズム
として、サブバンド符号化やウェーブレット変換などの
帯域分割方式が注目されている。この方式が画像などの
ディジタルデータの圧縮処理に用いられる場合、下式
(1a)および(1b)の代数方程式で表される共通し
たフィルタ操作に相当する。
【0003】
【数1】
【0004】ここで、xi はフィルタへの入力信号、y
i はフィルタからの出力信号、hiはローパスフィル
タ、gi はハイパスフィルタである。
【0005】例えば、直交ウェーブレット変換の場合、
ローパスフィルタとハイパスフィルタとは、次の関係式
で結ばれている。
【0006】gk =(−1)k -k+1+2K ここで、Kは任意の自然数であり、フィルタの中心をシ
フトさせる役割をする。
【0007】上記のようなディジタルフィルタの中で
も、時間周波数の局在性の良いものとして、下表1また
は表2に示されるフィルタ係数を有する4または6タッ
プの離散ウェーブレット変換の直交フィルタが知られて
いる。下表1および表2において、ローパスフィルタの
フィルタ係数は“h0 、h1 、…”、ハイパスフィルタ
のフィルタ係数は“g0 、g1 、…”で示しており、4
タップではh0 ないしh3 、およびg0 ないしg3 以外
のフィルタ係数は全て0であり、6タップではh0 ない
しh5 、およびg0 ないしg5 以外のフィルタ係数は全
て0である。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】尚、8タップ以上のフィルタも、20タッ
プを越えるようなものまで設計されているが、処理速度
の面から実用的と考えられるのは、4または6タップフ
ィルタである。
【0011】これらのフィルタにおいては、画像端での
処理に関して周期的境界条件(周期関数としての条件)
を仮定して設計されている。すなわち、下記のN個の画
像データ列 x0 ,x1 ,x2 ,…,xN-2 ,xN−1 の入力データxに対して、その両端部を仮想的に拡
張して当該入力データxiを、 …,x0 ,x1 ,x2 ,…,xN-2 ,xN-1 ,x0 ,x
1 ,x2 ,… と考えて、上式(1a)および(1b)が適用できるよ
うにしている。例えば、4タップフィルタでは、 y0 =h0 0 +h1 1 +h2 2 +h3 3 1 =g0 0 +g1 1 +g2 2 +g3 3 : yN-2 =h0 N-2 +h1 N-1 +h2 N +h3 N+1 N-1 =g0 N-2 +g1 N-1 +g2 N +g3 N+1 となり、画像端でデータxN およびxN+1 が不足するの
で、xN =x0 、xN+1=x1 として補う。
【0012】このように周期的境界条件を課すことの利
点は、上記のフィルタ操作が直交行列で簡潔に表現でき
ることであり、これにより当該行列の転置をとることに
よって逆変換を直ちに求めることができる。
【0013】また、画像に関しては2次元データである
ので、その変換は、通常の2次元フーリエ変換等と同様
に、縦(垂直方向)・横(水平方向)の変換のテンソル
積で表される。ハイパスフィルタで変換したデータをH
データ、ローパスフィルタで変換したデータをLデータ
とすると、画像の場合は縦方向と横方向とに変換を行う
ので、LL、LH、HL、HHの4種類の帯域に分割さ
れた変換データが得られる。このうち、LLデータに関
しては、所望の回数だけ階層的に同様の変換処理が行わ
れる(いわゆる多重解像度解析)。
【0014】上記のウェーブレット変換によって帯域分
割された画像データは、Maxの量子化等の非線形量子
化が行われた後、さらにハフマン符号化等のエントロピ
ー符号化が行われ、圧縮データとして保存等が行われ
る。
【0015】また、画像伸張装置において、上記の圧縮
データは、エントロピー復号化された後、ウェーブレッ
ト逆変換が行われて元の画像に復元される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記のウェーブレット
変換などのように、画像処理に用いられる帯域分割方式
のディジタルフィルタは、通常4タップ以上のものが用
いられる。そして、4タップ以上のフィルタにおいて
は、上述のように画像端での処理に関して周期的境界条
件を仮定して設計されたものがよく使われる。
【0017】これらのフィルタを使用する場合、画像デ
ータに対して上述の周期的境界条件を課さなければなら
ない。しかしながら、上下両端または左右両端でコント
ラストの強い画像に対して周期的境界条件を課してしま
うと、画像の継ぎ目の部分(画像の上下左右の端部付
近)に鋭い偽のエッジ(偽輪郭)が現れる。すなわち、
一般的に画像データ値にはある程度の距離相関(冗長
性)があるので、高周波成分は低周波成分に比べると少
なくなっているが、上述のように周期的境界条件を課し
て画像端をつなげると、その継ぎ目の部分には画像デー
タ値に距離相関がなく、データの不連続性のために高周
波成分が多く含まれてしまうのである。
【0018】ところで、一般的に、画像符号化に際して
は、高圧縮率を得るために、『人間の目は高周波成分に
対して鈍感である』という視覚特性を利用して、量子化
の際に低周波成分よりも高周波成分のビット割り当てを
少なくするという手法をとり、画質の劣化を抑えたデー
タ圧縮を実現している。但し、高周波成分のビット割り
当てを少なくしていくと、エッジがぼやけてしまう。こ
れはギブス現象(Gibbs' phenomenon )とも言われるも
のである。上述のように周期的境界条件によって現れた
偽のエッジは高周波成分が大きいので、圧縮率を高める
ために高周波成分のビット割り当てを少なくしていった
場合、その影響が、復元画像において画像端(画像の継
ぎ目部分)付近の輪郭の大きなぼやけとして現れてしま
う。偽エッジの影響を受ける範囲は、フィルタのタップ
数に依存し、ウェーブレットの波長程度である。
【0019】本発明は、上記に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、圧縮データの伸張過程において、偽エ
ッジの影響を低減することができる画像処理装置を提供
することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る画
像処理装置は、画像データに対して周期的境界条件を課
して変換処理(例えばウェーブレット変換)を行うディ
ジタルフィルタで帯域分割した後、低周波成分よりも高
周波成分のビット割り当てが少なくなるように非線形量
子化して圧縮された画像データを伸張するものであっ
て、上記の課題を解決するために、以下の手段が講じら
れていることを特徴としている。
【0021】すなわち、上記ディジタルフィルタのタッ
プ数に基づいて、逆変換後の画像データにおける偽エッ
ジの影響を受けている補正対象データを認識する補正対
象データ認識手段と、上記補正対象データの近傍に位置
する偽エッジの影響を受けていないデータとの相関が大
きくなるように、当該補正対象データを補正する補正手
段とを備えている。
【0022】上記の構成において、画像データに対して
周期的境界条件を課したフィルタリング、およびその後
の非線形量子化により、圧縮された画像データは量子化
誤差による偽エッジのぼやけの影響を受けている。ただ
し、上記のディジタルフィルタを用いた帯域分割方式で
は、離散コサイン変換(DCT)等とは異なり、局在し
た波で変換を行っているので、偽エッジにおける高周
波成分の量子化誤差の拡散も偽エッジ付近に局在してい
る。また、自然画像は、一般的に、画像の画素値間に
短距離的な相関がある。
【0023】本発明に係る画像処理装置は、上記およ
びの2つの性質を利用したもので、先ず、逆変換後の
データにおいて、偽エッジの影響を受けている補正対象
データを補正対象データ認識手段が認識する。偽エッジ
の影響を受ける範囲は、ウェーブレットの波長程度であ
って、フィルタのタップ数に依存するので、圧縮過程で
使用されたディジタルフィルタのタップ数に基づいて認
識することができる。そして、その後、上記補正対象デ
ータの近傍に位置する偽エッジの影響を受けていないデ
ータとの相関が大きくなるように、当該補正対象データ
を補正手段にて補正する。
【0024】このように逆変換された後のデータに対し
て後処理をすることによって、従来の圧縮データを変更
すること無く、さらに伸張アルゴリズムを大きく変更す
ること無く、量子化誤差による偽エッジのぼやけの影響
を、圧縮率の低下を招来することなく、伸張過程におい
て圧縮データだけから取り除くことができる。
【0025】また、補正対象データを認識した上で、局
所的(偽エッジの影響を受けている部分のみ)に後処理
を行うので、当該補正処理に時間がかからず、短時間で
偽エッジの影響の少ない高画質の復元画像が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】発明の実施の一形態について図1
ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0027】本実施形態に係る画像処理装置は、周期的
境界条件のもので設計されたディジタルフィルタを用い
て圧縮された画像データの伸張過程において用いられる
ものである。ここでは、周期的境界条件のもので設計さ
れたディジタルフィルタとしてウェーブレット変換を行
うフィルタを例示し、先ず、当該フィルタを用いた画像
の圧縮過程から説明する。
【0028】図2に示すように、画像圧縮装置は、基本
的に、入力画像に対してウェーブレット変換処理を行う
ウェーブレット変換部1と、上記ウェーブレット変換部
1で各帯域毎に分割されたデータ(ウェーブレット変換
係数)に対して、低周波成分よりも高周波成分のビット
割り当てが少なくなるようにして非線形量子化(Max
の量子化等)を行う量子化部2と、量子化されたデータ
に対してハフマン符号化やランレングス符号化等のエン
トロピー符号化を行う符号化部3とから構成され、符号
化されたデータを圧縮データとして出力する。また、上
記の圧縮データの保存に際しては付加情報がつけられて
圧縮ファイルが生成される。
【0029】上記ウェーブレット変換部1は、図3に示
すように、縦(垂直方向)・横(水平方向)各々のハイ
パスフィルタ(HPF)およびローパスフィルタ(LP
F)を含み、これら2種のフィルタによるフィルタリン
グを、2次元画像データ(原画像またはLLデータ)の
各行と各列にそれぞれ施して帯域分割し、LL、LH、
HL、HHの4種類の変換データを得る。このうち、L
Lデータに関しては、上記のフィルタリング、すなわち
2次元ウェーブレット変換処理を所定の回数だけ再帰的
に行う。LLデータに対するウェーブレット変換が再帰
的に行われる毎にLLデータの解像度は低くなっていく
(多重解像度解析)。
【0030】ここで、上記のウェーブレット変換処理が
行われる対象のデータ列をベクトルx=t ( x0
1 ,…,xN-2 ,xN-1 )とし、当該データ列を周期
的境界条件のもので設計されたローパスフィルタHでフ
ィルタリングして得られたデータ列をベクトルc=t (
0 ,c1 ,…,cN-2 ,cN-1 )とすると、
【0031】
【数2】
【0032】である。上記のベクトルcの成分{ci
は、上式(1a)の{y2k}と同じものであり、そのデ
ータ数はベクトルxの成分{xi }の個数の半分であ
る。上記ローパスフィルタHを4タップとしてN/2行
N列の変換行列で表せば、上式(2)は、
【0033】
【数3】
【0034】となる。上式(3)から分かるように、入
力データ{xi }のうち周期的境界条件が課されるの
は、両端から2つの画素データx0 、x1 および
N-2 、xN-1が変換される部分であり、ローパスデー
タ{ci }の最終端成分c(N/2)-1 は、この周期的境界
条件のもとで生成される。
【0035】同様に、データ列{xi }を周期的境界条
件のもので設計されたハイパスフィルタGでフィルタリ
ングして得られたデータ列をベクトルd=t ( d0 ,d
1 ,…,dN-2 ,dN-1 )とすると、
【0036】
【数4】
【0037】である。上記のベクトルdの成分{di
は、上式(1b)の{y2k+1}と同じものであり、その
データ数はベクトルxの成分{xi }の個数の半分であ
る。上記ハイパスフィルタGを4タップとし、N/2行
N列の変換行列で表せば、上式(4)は、
【0038】
【数5】
【0039】となる。上式(5)から分かるように、入
力データ{xi }のうち周期的境界条件が課されるの
は、両端から2つの画素データx0 、x1 および
N-2 、xN-1が変換される部分であり、ハイパスデー
タ{di }の最終端成分d(N/2)-1 は、周期的境界条件
のもとで生成される。
【0040】ウェーブレット変換は、上記のHとGとか
ら作られる正方行列W(N行N列)、
【0041】
【数6】
【0042】にて施される。すなわち、{xi }から
{yi }へのウェーブレット変換は、ベクトル記法で、
【0043】
【数7】
【0044】で表すことができ、変換されたデータ{y
i }は、ベクトル記法で、
【0045】
【数8】
【0046】のように並べられる。
【0047】上記のWを成分表示すれば、
【0048】
【数9】
【0049】となる。この行列Wは直交行列になってお
り、当該行列Wの転置によってウェーブレット逆変換は
簡単に求まる。
【0050】上式(8)に示される変換データ{yi
のうち、下半分の高周波成分は、上半分の低周波成分よ
りも量子化ビット数の割り当てが少なくなっているの
で、量子化誤差がより大きく現れる。振幅(成分の絶対
値)の小さい部分は大きな影響は無いが、振幅の大きい
部分(これはエッジ部分に相当)は、量子化ビット数の
低下による影響が大きく、これが顕著になると画像がぼ
やけて見える。周期的境界条件によって発生する偽エッ
ジ部分はかなり大きな振幅値を持っており、その影響は
特に強い。変換データ{yi }のうち、周期的境界条件
の影響を受けている部分は、第N成分のd(N/2)-1 であ
り、ここに高周波成分における偽エッジの量子化誤差が
現れる。尚、第N/2成分のc(N/2)-1 も上述のように
周期的境界条件の影響を受けているが、量子化ビット数
が高周波成分よりも多く割り当てられているので量子化
誤差は少ない。
【0051】本実施形態の画像処理装置は、画像伸張過
程において上記の偽エッジの影響を除去する機能を有し
ており、図4に示すように、基本的に、画像データの入
出力を行うインターフェース(I/F)部4と、画像伸
張装置5と、後処理部6とを有し、これら4〜6が内部
バス7で相互接続された構成である。
【0052】上記画像伸張装置5は、よく知られている
一般的な構成のものを採用することができ、図5に示す
ように、上記の画像圧縮装置で符号化された圧縮画像を
エントロピー復号化する復号化部5aと、ウェーブレッ
ト逆変換処理を行うウェーブレット逆変換部5bとを備
えている。
【0053】上記後処理部6は、図4に示すように、画
像処理用CPU6aと、画像処理用メモリ6bとを備
え、ウェーブレット逆変換された後のLLデータまたは
最終の伸張画像に対して後処理を施し、偽エッジの影響
を除去する部分である。
【0054】上記ウェーブレット逆変換部5bで施され
るウェーブレット逆変換は、上記行列Wの転置行列WT
を用いて、
【0055】
【数10】
【0056】で表すことができ、WT を成分表示すれ
ば、
【0057】
【数11】
【0058】となる。
【0059】このウェーブレット逆変換行列WT から明
らかなように、上式(8)に示される入力データ
{yi }のうちの周期的境界条件の影響を受けているd
(N/2)-1 が出力データ{xi }にも反映されるのは、x
0 、x1 およびxN-2 、xN-1 である。すなわち、本実
施形態の後処理部6による処理を行わなければ、ウェー
ブレット逆変換後の出力データ{xi }の両端から2つ
の画素データが、偽エッジの量子化誤差の影響を被るこ
とになる。
【0060】尚、上記では4タップフィルタの場合につ
いて考えたが、例えば周期的境界条件のもので設計され
た6タップのハイパスフィルタおよびローパスフィルタ
を用いた場合は、同様に、x0 、x1 、x2 、x3 、お
よびxN-4 ,xN-3 ,xN-2,xN-1 に偽エッジの影響
が現れる。
【0061】また、2次元画像データに対しては、各行
・各列に対してフィルタリングが行われているので、上
記の偽エッジの影響も各行・各列に現れる。
【0062】以上より、偽エッジの量子化誤差の影響が
現れるのは、LLデータまたは最終の伸張画像の上下左
右端であり、その範囲はフィルタのタップ数に依存する
ことが分かる。偽エッジの影響を受ける各画像端の行数
(または列数)Lは、タップ数をnT とすると、 L=nT −2 である。
【0063】そこで、上記後処理部6は、以下のように
して偽エッジの影響を取り除く。
【0064】自然画像は、一般的に、画像の画素値間に
短距離的な相関がある。また、上記のウェーブレット変
換は、離散コサイン変換(DCT)等とは異なり、局在
した波で変換を行っているので、高周波成分における偽
エッジの量子化誤差の拡散も上述のように偽エッジ付近
に局在している。これら2つの性質を利用して、ウェー
ブレット逆変換後の画像端に現れた、偽エッジのぼやけ
の影響を、補正除去する。この補正は、ウェーブレット
逆変換の各レベル(各段階)におけるLLデータまたは
最終の伸張画像に対して行うものであり、画像端付近に
おける偽エッジの影響が及ばないデータとの相関が大き
くなるように、偽エッジの影響を受けている画像端デー
タを加工するものである。
【0065】すなわち、ウェーブレット変換ではタップ
数が4または6のフィルタがよく用いられるが、この程
度の比較的短いタップ数のものであれば、ウェーブレッ
ト逆変換後の画像端のデータにおいて、偽エッジの影響
を受けるのは数行(列)であり(4タップで2行
(列)、6タップで4行(列)であり)、これらのデー
タと偽エッジの影響が及ばない画像端付近のデータ(4
タップなら画像端から3行(列)目またはその近傍のデ
ータ、6タップなら画像端から5行(列)目またはその
近傍のデータ)との相関は比較的大きいと考えられる。
【0066】一例として、ウェーブレット逆変換後の復
元画像の上部に現れた偽エッジのぼやけの補正について
具体的に説明する。
【0067】偽エッジの影響を受けているデータ列に対
して、4タップならば復元画像の上端から3行目、6タ
ップならば復元画像の上端から5行目の偽エッジの影響
を受けていないデータ列との相関を考える。この偽エッ
ジの影響を受けていないデータ列(N個、N次元)を、
行ベクトルa=t (a1 ,a2 ,・・・,aN )と表す
ことにする。また、4タップならば復元画像の下端から
3行目、6タップならば復元画像の下端から5行目の偽
エッジの影響を受けていないデータ列を、同様に、行ベ
クトルb=t (b1 ,b2 ,・・・,bN )と表す。そ
して、上記のベクトルaとベクトルbとを用いて、周期
的境界条件によって発生した偽エッジの高周波成分ベク
トルzを、次のように近似する。
【0068】
【数12】
【0069】すなわち、偽エッジの高周波成分を、復元
画像の上端の量子化誤差の少ない部分と、その下端の量
子化誤差の少ない部分との差で近似する。
【0070】このようにして近似した高周波成分ベクト
ルzを、補正対象のデータ列(行ベクトル)に重ね合わ
せて、次のようにしてデータを補正する。すなわち、補
正対象の第i-行のデータ列を行ベクトルw=t (w1
2 ,・・・,wN )とし、補正パラメータαi を導入
し、復元画像の第i-行のデータ列に偽エッジの高周波成
分ベクトルzのαi 倍を重ね合わせた下記の補正データ
列(ベクトルdi )、
【0071】
【数13】
【0072】を考える。そして、この補正データ列(ベ
クトルdi )と偽エッジの影響を受けていない行ベクト
ルaとの相関度Ci を考える。
【0073】
【数14】
【0074】上記の相関度Ci を最小にするαi によっ
て、復元画像の第i-行のデータ列を補正する。すなわ
ち、 ∂Ci /∂αi =0 を満たす、
【0075】
【数15】
【0076】によって補正パラメータαi を決定し、上
式(13)に示される補正データ列(ベクトルdi )を
求める。偽エッジの高周波成分ベクトルzのαi 倍は、
量子化によって生じたエッジデータの誤差を補償する役
割を果たし、補正後のデータ列は、画像上部の偽エッジ
の影響の無いデータと相関の強い、偽エッジのぼやけを
補正したものとなっている。
【0077】尚、より一般的に、上記の補正式(13)
に定数項を付加した、
【0078】
【数16】
【0079】を考えて補正してもよい。この場合は、下
記の連立方程式、∂Ci /∂αi =0 , ∂Ci /∂
βi =0を解くことによって、補正パラメータαi 、β
i を決定する。
【0080】そして、ウェーブレット逆変換後の画像の
下端、左端、および右端に現れた偽エッジのぼやけの補
正に関しても、同様の処理を行えばよい。
【0081】尚、上記では(13)または(16)の補
正式を用いた補正モデルを示したが、画像端付近におけ
る偽エッジの影響が及ばないデータとの相関が大きくな
るように、偽エッジの影響を受けている画像端データを
補正する処理は、これに限定されるものではない。上記
のような補正式を用いる利点は、その補正モデルが簡単
であるため、解析的に補正量(偽エッジの高周波成分ベ
クトルzのαi 倍)が求められることで、計算量が大変
少ないところにある。
【0082】図4に示されるように、後処理部6は、画
像処理用CPU6a等から構成されるものであるが、そ
の機能モジュール構成を示せば、図1に示すように、基
本的には、パラメータ設定部8と、補正対象データ認識
部9(補正対象データ認識手段)と、補正部10(補正
手段)とからなる。
【0083】上記パラメータ設定部8は、画像の圧縮に
用いられたディジタルフィルタのタップ数などの補正処
理に必要な各種パラメータ(上記の補正パラメータ
αi 、βi とは異なる)の設定を行う。
【0084】上記補正対象データ認識部9は、上記パラ
メータ設定部8で設定されたディジタルフィルタのタッ
プ数に基づいて、ウェーブレット逆変換後(伸張後)の
画像データにおける偽エッジの影響を受けている補正対
象データを認識する。この補正対象データは、上述のよ
うに、タップ数から容易に認識することができる。
【0085】上記補正部10は、上記補正対象データの
近傍に位置する偽エッジの影響を受けていないデータ
(上述のように、通常は補正対象データに最も近いデー
タを使用するが、短距離的相関が保たれている範囲内の
近傍データを使用してもよい)との相関が大きくなるよ
うに、当該補正対象データを上述のように補正する。
【0086】次に、図4の画像処理装置のブロック図お
よび図6のフローチャートに基づいて、当該装置の動作
を説明する。
【0087】先ず、インターフェース部4より圧縮デー
タを取り込んだ後(S1)、画像処理用CPU6aが、
補正処理の為の各種パラメータの設定を行う(S2)。
上記の各種パラメータとしては、圧縮ファイルのヘッダ
の解読によって得られるフィルタのタップ数などの他
に、使用者が任意に設定できるパラメータを設けること
もできる。例えば、補正処理を行うか否かを使用者が予
め設定できるパラメータを用意することができる。ま
た、上下左右端の内のどの部分の補正を行うかを使用者
自らが予め設定できるパラメータを用意すれば、上下端
のみ補正を行うような設定も可能である。また、何回目
以降のウェーブレット逆変換後のLLデータ(または最
終伸張画像)に対して補正処理を行うかを使用者自らが
予め設定できるパラメータを用意すれば、最終伸張画像
のみに補正処理を行うような設定も可能である。
【0088】その後、上記のパラメータの設定に従っ
て、補正処理する画像端の選択等が行われ、このとき、
もし補正処理する画像端が選択されていなければ(S3
でNO)、通常の復号化およびウェーブレット逆変換処
理が行われる(S4)。
【0089】一方、補正処理する画像端が選択されてい
れば(S3でYES)、画像伸張装置5において圧縮デ
ータのエントロピー復号化が行われた後(S5)、ウェ
ーブレット逆変換が行われ(S6)、これにてLLデー
タが得られる。
【0090】その後、画像処理用CPU6aが画像伸張
装置5へ割り込み信号を送り、画像伸張装置5の処理を
一旦中断させ、以下のLLデータの加工処理を行う(S
7)。先ず、ウェーブレット逆変換で得られたLLデー
タにおける、補正対象の偽エッジの影響を受けている行
または列データ、およびその補正に必要な行または列デ
ータを、画像処理用メモリ6bへ転送させる。次に、画
像処理用CPU6aは、上記画像処理用メモリ6b上の
補正対象のデータに対して、上述した偽エッジの影響を
除去する補正処理を行い、補正データを得る。次に、画
像処理用CPU6aは、画像伸張装置5にセットされて
いるLLデータの補正対象部分のデータを、偽エッジの
影響を除去した補正後のデータに書き換える。その後、
画像処理用CPU6aは、画像伸張装置5に補正処理が
終わったことを知らせて中断されていた処理を再開させ
る。
【0091】その後、ウェーブレット逆変換回数のチェ
ックが行われ(S8)、所定の回数の逆変換処理が完了
して最終の伸張画像が得られたならば、当該ルーチンを
終了する一方、逆変換処理が完了していなければ、再度
S6に戻って逆変換処理が完了するまでS6〜S8を繰
り返す。
【0092】尚、図6のフローチャートには示していな
いが、S2において、n回目以降のウェーブレット逆変
換後のLLデータ(または最終伸張画像)に対して補正
処理を行うように設定されている場合、(n−1)回目
までのウェーブレット逆変換後のLLデータに対して
は、S7のLLデータの加工は実行しないスキップ処理
を行う。
【0093】以上のように、本実施形態の画像処理装置
は、画像データに対して周期的境界条件を課して変換処
理を行うディジタルフィルタ(上記ではウェーブレット
変換)で帯域分割した後、低周波成分よりも高周波成分
のビット割り当てが少なくなくなるように非線形量子化
して圧縮された画像データを伸張する過程において、フ
ィルタのタップ数に基づいて偽エッジの影響を受けてい
る補正対象データを認識し、この補正対象データの近傍
に位置する偽エッジの影響を受けていないデータとの相
関が大きくなるように、補正対象データを補正するもの
である。
【0094】これにより、伸張(ウェーブレット逆変
換)された後のLLデータまたは最終の伸張画像に対し
て後処理をすることによって、従来の圧縮伸張アルゴリ
ズムを大きく変更すること無く、高圧縮率領域(高周波
成分領域)において発生する量子化誤差による偽エッジ
のぼやけの影響を、圧縮率を低下することなく、圧縮デ
ータだけから取り除くことができる。
【0095】また、補正対象データを認識した上で、L
Lデータまたは最終の伸張画像のごく一部のデータ(偽
エッジの影響を受けている部分のみのデータ)の後処理
を行うので、当該補正処理に時間がかからず、短時間で
偽エッジの影響の少ない高画質の復元画像が得られる。
【0096】伸張過程が何段階にも分かれているとき
は、各段階におけるLLデータについて上記の補正を順
次行うことによって、偽エッジの影響を大幅に除去する
ことができる。尚、最終段階の逆変換されたデータ(最
終伸張画像)だけに補正を加える構成も可能であり、こ
の場合は、完全な後処理なので、従来の圧縮・伸張装置
を何ら変更することなく、単に伸張装置の出力部に後処
理を行う画像処理装置を付加するだけで、ハードウェア
的にも容易に実現できる。また、ハードウェア化しなく
ともソフトウェア的な処理でも十分処理速度は早く、従
来の画像伸張装置に一切の変更を加えずに偽エッジの影
響を低減することが可能である。
【0097】尚、上記実施形態では、主としてウェーブ
レット変換を用いた圧縮データに対する補正について説
明したが、これに限定されるものではない。すなわち、
本発明は、画像データに対して周期的境界条件を課して
変換処理を行うディジタルフィルタで帯域分割した後、
低周波成分よりも高周波成分のビット割り当てが少なく
なるように非線形量子化して圧縮された画像データ全般
に対して適用可能であり、例えば周期的境界条件を課し
て設計されたディジタルフィルタを用いたサブバンド符
号化によって圧縮された画像データの補正にも適用でき
る。上記実施形態は、あくまでも、本発明の技術内容を
明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限
定して狭義に解釈されるべきものではなく、特許請求の
範囲内で、いろいろと変更して実施することができるも
のである。
【0098】
【発明の効果】本発明の画像処理装置は、以上のよう
に、使用されたディジタルフィルタのタップ数に基づい
て、逆変換後の画像データにおける偽エッジの影響を受
けている補正対象データを認識する補正対象データ認識
手段と、上記補正対象データの近傍に位置する偽エッジ
の影響を受けていないデータとの相関が大きくなるよう
に、当該補正対象データを補正する補正手段とを備えて
いる構成である。
【0099】それゆえ、従来の圧縮伸張アルゴリズムを
大きく変更すること無く、量子化誤差による偽エッジの
ぼやけの影響を、圧縮率を低下することなく、伸張過程
において圧縮データだけから取り除くことができる。ま
た、偽エッジの影響を受けている部分に対して局所的に
後処理を行うので、当該補正処理に時間がかからず、短
時間で偽エッジの影響の少ない高画質の復元画像が得ら
れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、画像処
理装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】画像圧縮装置の基本的な構成を示すブロック図
である。
【図3】図2のウェーブレット変換部の概略構成を示す
ブロック図である。
【図4】上記画像処理装置の基本的な構成を示すブロッ
ク図である。
【図5】図4の画像伸張装置の概略構成を示すブロック
図である。
【図6】上記画像処理装置の動作を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1 ウェーブレット変換部 2 量子化部 3 符号化部 4 インターフェース部 5 画像伸張装置 5a 復号化部 5b ウェーブレット逆変換部 6 後処理部 6a 画像処理用CPU 6b 画像処理用メモリ 8 パラメータ設定部 9 補正対象データ認識部(補正対象データ認識手
段) 10 補正部(補正手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画像データに対して周期的境界条件を課し
    て変換処理を行うディジタルフィルタで帯域分割した
    後、低周波成分よりも高周波成分のビット割り当てが少
    なくなるように非線形量子化して圧縮された画像データ
    を伸張する画像処理装置において、 上記ディジタルフィルタのタップ数に基づいて、逆変換
    後の画像データにおける偽エッジの影響を受けている補
    正対象データを認識する補正対象データ認識手段と、 上記補正対象データの近傍に位置する偽エッジの影響を
    受けていないデータとの相関が大きくなるように、当該
    補正対象データを補正する補正手段とを備えていること
    を特徴とする画像処理装置。
JP7331972A 1995-12-20 1995-12-20 画像処理装置 Pending JPH09172639A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006229895A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Ricoh Co Ltd 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び情報記録媒体
US7206459B2 (en) 2001-07-31 2007-04-17 Ricoh Co., Ltd. Enhancement of compressed images

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US7206459B2 (en) 2001-07-31 2007-04-17 Ricoh Co., Ltd. Enhancement of compressed images
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