JPH09166222A - 軸封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の軸封装置においては、高圧室と低圧室
との圧力差が大きい場合にはシールリングの端面に作用
する力が増大して摩擦力が増大するため、シールリング
が回転軸の半径方向の変動にスム−スに追従することが
できなくなってシールリングの内面が焼損などする場合
があり、シールリングにこのような焼損が発生すると流
体をシールすることができなくなってターボ機械の運転
に支障をきたすなどの不具合がある。 【解決手段】 回転軸と対峙してケーシングの内周面に
設けられた箱内に回転軸の外周に遊嵌されたシールリン
グが挿入され箱内の側面および回転軸の外周との摺接面
により流体をシールする軸封装置におけるシールリング
の箱内の側面との摺接面に内径が箱内の側面内径よりも
大きい低摩擦性の中間リングを同心状に、且つ箱内の側
面内径と中間リングの内径との差が回転軸の外周とシー
ルリングの内周との間の直径隙間よりも大きく取付け
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ターボ機械などの
軸封部に適用される軸封装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３はターボ機械などの軸封部に使用さ
れている従来の軸封装置の説明図である。図において、
符号１はケーシング、２は回転軸、３は高圧室、４は軸
封液の入口、５はシールリング、６は軸封液の流出口、
７は低圧室で、シールリング５と回転軸２との隙間Ｄに
より高圧室３と低圧室７との間を絞ることにより減圧
し、シールするようになっている。シールリング５には
高圧室３と低圧室７との圧力差により流体力が軸方向に
作用するため、シールリング５はこの流体力によりケー
シング１の端面Ｃに押付けられている。シールリング５
はこの端面Ｃの摩擦力と隙間Ｄで回転軸２の回転力によ
り発生する半径方向の力と釣合う位置へ回転軸２の半径
方向の変動に対して追従するように作動する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の軸
封装置においては、高圧室３と低圧室７との圧力差が大
きい場合にはシールリング５の端面Ｃに作用する力が増
大して摩擦力が増大するため、シールリング５が回転軸
２の半径方向の変動にスムースに追従することができな
くなってシールリング５の内面が焼損などする場合があ
り、シールリング５にこのような焼損が発生すると流体
をシールすることができなくなってターボ機械の運転に
支障をきたすなどの不具合がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明に係る軸封装置は
上記課題の解決を目的にしており、回転軸と対峙してケ
ーシングの内周面に設けられた箱内に上記回転軸の外周
に遊嵌されたシールリングが挿入され上記箱内の側面お
よび上記回転軸の外周との摺接面により流体をシールす
る軸封装置における上記シールリングの上記箱内の側面
との摺接面に内径が上記箱内の側面内径よりも大きい低
摩擦性の中間リングが同心状に、且つ上記箱内の側面内
径と上記中間リングの内径との差が上記回転軸の外周と
上記シールリングの内周との間の直径隙間よりも大きく
取付けられている。シールリングに流体の圧力差による
軸方向の力が作用してケーシング内周面の箱内側面にシ
ールリングが押付けられても、シールリングと箱内側面
との間に介装されている低摩擦性の中間リングによりシ
ールリングに作用する半径方向に働く摩擦力が小さくな
って回転軸の半径方向への変動に対してシールリングが
容易に追従する。また、シールリングがシールリングの
内周と回転軸の外周との間の隙間がほぼ零となるように
回転軸の半径方向へ移動した場合でも中間リングの内径
がケーシング内周面の箱内側面の内径よりも大きいこと
により、中間リングは一様に平面的に摩耗して段差や偏
摩耗などが生じない。

【０００５】また、本発明に係る軸封装置は、回転軸と
対峙してケーシングの内周面に設けられた箱内に上記回
転軸の外周に遊嵌されたシールリングが挿入され上記箱
内の側面および上記回転軸の外周との摺接面により流体
をシールする軸封装置における上記箱内の側面の上記シ
ールリングとの摺接面に外径が上記シールリングの外径
よりも小さい低摩擦性の中間リングが上記回転軸と同心
状に、且つ上記中間リングの外径と上記シールリングの
外径との差が上記回転軸の外周と上記シールリングの内
周との間の直径隙間よりも大きく取付けられている。シ
ールリングに流体の圧力差による軸方向の力が作用して
ケーシング内周面の箱内側面にシールリングが押付けら
れても、シールリングと箱内側面との間に介装されてい
る低摩擦性の中間リングによりシールリングに作用する
半径方向に働く摩擦力が小さくなって回転軸の半径方向
への変動に対してシールリングが容易に追従する。ま
た、シールリングがシールリングの内周と回転軸の外周
との間の隙間がほぼ零となるように回転軸の半径方向へ
移動した場合でも中間リングの外径がシールリングの外
径よりも小さいことにより、中間リングは一様に平面的
に摩耗して段差や偏摩耗などが生じない。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の実施の一形態に係
る軸封装置の説明図、図２は本発明の実施の他の形態に
係る軸封装置の説明図である。図において、これらの実
施の形態に係る軸封装置はターボ機械などの軸封部に使
用されるもので、図における符号１０はケーシング、２
０は回転軸、３０は高圧室、４０は軸封液の入口で高圧
流入穴、５０はシールリング、６０は軸封液の出口で低
圧流出穴、７０は低圧室、８０はカーボン、或いはP.T.
F.E 系樹脂などの低摩擦材料で製造された中間リングで
ある。シールリング５０と回転軸２０との隙間Ｄにより
高圧室３０と低圧室７０との間を絞ることにより減圧
し、シールするようになっている。シールリング５０に
は高圧室３０と低圧室７０との圧力差により流体力が軸
方向に作用するため、シールリング５０はこの流体力に
よりケーシング１の端面Ｃに中間リング８０を介して押
付けられている。シールリング５０はこの端面Ｃの摩擦
力と隙間Ｄで回転軸２０の回転力により発生する半径方
向の力と釣合う位置へ回転軸２０の半径方向の変動に対
して追従するように作動する。

【０００７】図１において、本軸封装置は同図（ａ）に
示すようにケーシング１０に回転軸２０が貫入され、そ
の間にシールリング５０が取付けられている。シールリ
ング５０の端面には低摩擦材料で製造された中間リング
８０が図示しないボルト、或いは接着剤などにより固定
されている。流体はケーシング１０の高圧流入穴４０か
ら高圧室３０内に導びかれて回転軸２０とシールリング
５０との間の隙間Ｄを通り、絞り効果で減圧されて低圧
室７０内に流入し、低圧流出穴６０を通って機外へ排出
される。シールリング５０は高圧室３０と低圧室７０と
の差圧で軸方向へ移動し、ケーシング１０の端面Ｃに中
間リング８０を介して圧接されている。回転軸２０の半
径方向への変動に対してもケーシング１０の端面Ｃは低
摩擦材と金属製のケーシング１０との摩擦となり、低摩
擦で良好に半径方向へ追従して移動することができるよ
うになっている。ケーシング１０、回転軸２０、シール
リング５０、中間リング８０などは同図（ｂ）に示す位
置関係になっており、シールリング５０の内径φＳ４と
回転軸２０の外径φＳ３との差の直径隙間Ｃｄ２より
も、中間リング８０の内径φＳ１とケーシング１０の内
径φＳ２との差の直径隙間Ｃｄ１が大きく形成されてい
る。

【０００８】このように、本軸封装置はシールリング５
０の内径φＳ４と回転軸２０の外径φＳ３との差の直径
隙間Ｃｄ２よりも、中間リング内径φＳ１とケーシング
１０の内径φＳ２との差の直径隙間Ｃｄ１が大きく形成
されており、直径隙間Ｃｄ２がほぼ零となる位置関係に
なっても直径隙間Ｃｄ１が必ず存在して中間リング８０
の端面は一様にケーシング１０に接しており、回転軸２
０の半径方向への変動に対するシールリング５０の追従
による中間リング８０の端面の摩耗も一様に平面的に生
じ、段差や偏摩耗を生ぜず、シールリング５０の半径方
向への移動を規制しない。

【０００９】図２において、本軸封装置は同図（ａ）に
示すように上記の実施の形態に係る軸封装置と構成が略
同一であるが、低摩擦材料で製造された中間リング８０
はケーシング１０に図示しないボルト、或いは接着剤な
どにより固定されている。シールリング５０はケーシン
グ１０に取付けられた中間リング８０の端面Ｃに圧接さ
れており、シールリング５０の半径方向への移動は低摩
擦材製の中間リング８０とシールリング５０との接触摺
動で摩擦力が小さく、回転軸２０に良好に追従するよう
になっている。ケーシング１０、回転軸２０、シールリ
ング５０、中間リング８０などは同図（ｂ）に示す位置
関係になっており、中間リング８０の外径φＴ２はシー
ルリング５０の外径φＴ１よりも小さく、中間リング８
０の内径φＳ１はシールリング５０の内径φＳ４よりも
大きく形成されている。また、シールリング５０の外径
φＴ１と中間リング８０の外径φＴ２との差の直径隙間
Ｃｄ３が、シールリング５０の内径φＳ４と回転軸２０
の外径φＳ３との差の直径隙間Ｃｄ２よりも大きく形成
されている。また、シールリング５０の内径φＳ４と中
間リング８０の内径φＳ１との差の直径隙間Ｃｄ４が、
シールリング５０の内径φＳ４と回転軸２０の外径φＳ
３との差の直径隙間Ｃｄ２よりも大きく形成されてい
る。

【００１０】このように、本軸封装置はシールリング５
０の外径φＴ１と中間リング８０の外径φＴ２との差の
直径隙間Ｃｄ３、およびシールリング５０の内径φＳ４
と中間リング８０の内径φＳ１との差の直径隙間Ｃｄ４
が、それぞれシールリング５０の内径φＳ４と回転軸２
０の外径φＳ３との差の直径隙間Ｃｄ２よりも大きく形
成されており、直径隙間Ｃｄ２がほぼ零となるような位
置関係となる場合でも直径隙間Ｃｄ３，Ｃｄ４が必ず存
在して中間リング８０は端面が一様にシールリング５０
に接することにより、シールリング５０の回転軸２０に
対する半径方向への追従による中間リング８０端面の摩
耗も一様に平面的に生じて段差や偏摩耗などが生ぜず、
シールリング５０の半径方向への移動が規制されること
なく回転軸２０に良好に追従する。

【００１１】従来の軸封装置においては、高圧室と低圧
室との圧力差が大きい場合にはシールリングの端面に作
用する力が増大して摩擦力が増大するため、シールリン
グが回転軸の半径方向の変動にスムースに追従すること
ができなくなってシールリングの内面が焼損などする場
合があり、シールリングにこのような焼損が発生すると
流体をシールすることができなくなってターボ機械の運
転に支障をきたすなどの不具合があるが、上述の各実施
の形態に係る軸封装置においてはこのような従来の軸封
装置における不具合を解消するため、回転軸２０の貫通
部における高圧流体を密封するシールリング５０の軸方
向の端面とシールリング５０が押し付けられているケー
シング１０軸方向の端面Ｃとの間に低摩擦材料で製造さ
れた中間リング８０がシールリング５０側、或いはケー
シング１０側に取付けられて設けられており、シールリ
ング５０に流体の圧力差による軸方向の力が作用してシ
ールリング５０がケーシング１０軸方向の端面Ｃに押付
けられても、シールリング５０とケーシング１０との間
に設置されている中間リング８０がカーボン、或いはP.
T.F.E 系樹脂などの低摩擦材で造られているためにシー
ルリング５０に作用する半径方向の摩擦力が小さくな
り、回転軸２０の半径方向への変動に対してもシールリ
ング５０の追従性が良い。

【００１２】また、中間リング８０がシールリング５０
側に固定されている場合は、中間リング８０の内径とそ
の内径よりも小さいケーシング１０軸方向の端面Ｃの内
径との差で形成される直径隙間Ｃｄ１がシールリング５
０の内径と回転軸２０の外径との差で形成される直径隙
間Ｃｄ２よりも大きいようにしており、シールリング５
０の内径と回転軸２０の外径との間の直径隙間Ｃｄ２が
ほぼ零になるような場合でも中間リング８０の内径がケ
ーシング１０軸方向の端面Ｃの内径よりも大きいことに
より中間リング８０は一様に平面的に摩耗する。また、
中間リング８０がケーシング１０側に固定されている場
合は、中間リング８０の外径とその外径よりも大きいシ
ールリング５０の外径との差で形成される直径隙間Ｃｄ
３、ならびに中間リング８０の内径とその内径よりも小
さいシールリング５０の内径との差で形成される直径隙
間Ｃｄ４が、ともにシールリング５０の内径と回転軸２
０の外径との差で形成される直径隙間Ｃｄ２よりも大き
いようにしており、シールリング５０の内径と回転軸２
０の外径との直径隙間Ｃｄ２がほぼ零となるような場合
でも中間リング８０の外径がシールリング５０の外径よ
りも小さく、中間リング８０の内径がシールリング５０
の内径よりも大きいことにより中間リング８０が一様に
平面的に摩耗する。このように、中間リング８０が一様
に段差が生じないように平面的に摩耗することにより、
シールリング５０が半径方向に引掛かることなく回転軸
２０にスムースに追従する。

【００１３】即ち、シールリング５０の端部に設置した
カーボン製、或いはP.T.F.E 系樹脂製の中間リング８０
の低摩擦性によりシールリング５０が半径方向へ移動す
る際の摩擦力が低減するとともに、中間リング８０の端
面が一様に平面的に摩耗して段差や偏摩耗が生じないよ
うな寸法で形成されていることによりシールリング５０
の回転軸２０の半径方向への変動に対する追従性が改善
される。

【００１４】

【発明の効果】本発明に係る軸封装置は前記のように構
成されており、シールリングまたは中間リングの端面が
一様に平面的に摩耗して段差や偏摩耗などが生じないの
で、回転軸の半径方向への変動に対してシールリングが
スムースに追従して移動することができ、シールリング
の内面が焼損などしなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）は本発明の実施の一形態に係る軸封
装置の縦断面図、同図（ｂ）はその作用説明図である。

【図２】図２（ａ）は本発明の実施の他の形態に係る軸
封装置の縦断面図、同図（ｂ）はその作用説明図であ
る。

【図３】図３（ａ）は従来の軸封装置の縦断面図、同図
（ｂ）はその作用説明図である。

【符号の説明】

１０ ケーシング ２０ 回転軸 ３０ 高圧室 ４０ 高圧流入穴 ５０ シールリング ６０ 低圧流出穴 ７０ 低圧室 ８０ 中間リング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸と対峙してケーシングの内周面に
   設けられた箱内に上記回転軸の外周に遊嵌されたシール
   リングが挿入され上記箱内の側面および上記回転軸の外
   周との摺接面により流体をシールする軸封装置におい
   て、上記シールリングの上記箱内の側面との摺接面に内
   径が上記箱内の側面内径よりも大きい低摩擦性の中間リ
   ングが同心状に、且つ上記箱内の側面内径と上記中間リ
   ングの内径との差が上記回転軸の外周と上記シールリン
   グの内周との間の直径隙間よりも大きく取付けられたこ
   とを特徴とする軸封装置。
2. 【請求項２】 回転軸と対峙してケーシングの内周面に
   設けられた箱内に上記回転軸の外周に遊嵌されたシール
   リングが挿入され上記箱内の側面および上記回転軸の外
   周との摺接面により流体をシールする軸封装置におい
   て、上記箱内の側面の上記シールリングとの摺接面に外
   径が上記シールリングの外径よりも小さい低摩擦性の中
   間リングが上記回転軸と同心状に、且つ上記中間リング
   の外径と上記シールリングの外径との差が上記回転軸の
   外周と上記シールリングの内周との間の直径隙間よりも
   大きく取付けられたことを特徴とする軸封装置。