JPH09154579A - アンチセンス核酸の調製方法 - Google Patents

アンチセンス核酸の調製方法

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JPH09154579A
JPH09154579A JP19541996A JP19541996A JPH09154579A JP H09154579 A JPH09154579 A JP H09154579A JP 19541996 A JP19541996 A JP 19541996A JP 19541996 A JP19541996 A JP 19541996A JP H09154579 A JPH09154579 A JP H09154579A
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JP
Japan
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nucleic acid
antisense nucleic
sequence
mrna
oligonucleic
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JP19541996A
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Yoko Matsuda
陽子 松田
Kiyoshi Uchida
潔 内多
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンチセンス核酸法に有効に利用されるアン
チセンス核酸の調製方法の提供。 【解決手段】 目的とする蛋白質をコードするDNA又
はRNAと、当該DNA又はRNAのアンチセンス鎖の
塩基配列の一部分と同一の塩基配列を有する複数種のオ
リゴ核酸とを、ハイブリダイズ(対合)させることにより
アンチセンス核酸の標的部位を確定し、該標的部位にハ
イブリダイズ(対合)する核酸をアンチセンス核酸とす
る。 【効果】 本発明によれば、目的とする蛋白質をコード
するDNA又はRNA上におけるアンチセンス核酸標的
部位を効率よく確定することができ、治療剤、診断剤、
研究試薬の開発に有用なアンチセンス核酸効果に優れた
アンチセンス核酸を容易に調製し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンチセンス核酸
法に有効に利用されるアンチセンス核酸の調製方法に関
するものであり、生化学、特に遺伝子発現制御技術に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】アンチセンス核酸法は、目的の遺伝子と
ハイブリダイズ(対合)する配列を持ち、その遺伝子によ
る蛋白質の発現を抑止するアンチセンス核酸を、医薬や
遺伝子組み換え植物の調製等に利用するというものであ
る。従って、アンチセンス核酸法においては、その様な
特性を発揮させる塩基配列を持つアンチセンス核酸を調
製することがまず必要であるが、その方法として、これ
までに十分に確立されたといえるものは未だ見いだされ
ていない。即ち、翻訳開始部位やその上流の非翻訳部位
を標的としてアンチセンス核酸を調製する方法が提案さ
れているが(K. R. Blake等, Biochemistry 24巻 6132-6
138頁 1985年; E. Uhlmann, A. Peyman, Chemical Revi
ews 90巻 543-584頁 1990年)、当該方法により選択され
たアンチセンス核酸が、常に蛋白質の発現を有効に阻害
するとは限らず(例えば、R. D. Ricker, A. Kaji, FEBS
Letters 309 巻363-370頁 1992年)、又、計算をもとに
アンチセンス核酸標的部位を予測する方法も提案されて
いるが、この方法で選択されたものも必ずしも有効なも
のではない(R. A. Stull等, Nucleic Acids Research 2
0巻 3501-3508 1992年)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンチセン
ス核酸法において有効に利用し得るアンチセンス核酸、
即ち、目的とする蛋白質をコードするDNA又はRNA
に対してアンチセンス核酸として有効に機能する塩基配
列を持つアンチセンス核酸を、当該DNA又はRNAの
塩基配列のなかに、アンチセンス核酸が有効に効果を発
揮し易い箇所(塩基配列)を、即ち、アンチセンス核酸の
標的部位を効率的に見いだしてアンチセンス核酸を調製
するという、アンチセンス核酸を容易に調製し得る方法
を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、複数のランダムな
塩基配列を有するオリゴ核酸を目的とする蛋白質をコー
ドするDNA又はRNA、特に目的とする蛋白質をコー
ドするmRNA又はmRNA前駆体の全部又は一部とハイ
ブリダイズ(対合)させることにより、更にはハイブリダ
イズした箇所を核酸分解能を有する物質を用いて分解さ
せることにより、アンチセンス核酸の標的部位が効率的
に判別出来ること、及びそれに基づいてアンチセンス核
酸が容易に調製出来ることを見い出し、更に、特定の部
位を標的部位の対象から除外して標的部位を探索するた
めの方法についても見い出し、本発明を完成したのであ
る。即ち、本発明は目的とする蛋白質をコードするDN
A又はRNAと複数のランダムな塩基配列を有するオリ
ゴ核酸とをハイブリダイズ(対合)させることによりアン
チセンス核酸の標的部位を確定し、該標的部位にハイブ
リダイズ(対合)する核酸を取得することを特徴とするア
ンチセンス核酸の調製方法に関するものであり、又、目
的とする蛋白質をコードするDNA又はRNAと複数の
ランダムな塩基配列を有するオリゴ核酸とをハイブリダ
イズ(対合)させると共に核酸分解能を有する物質でハイ
ブリダイズ(対合)した箇所を分解させることによりアン
チセンス核酸の標的部位を確定し、該標的部位にハイブ
リダイズ(対合)する核酸を取得することを特徴とするア
ンチセンス核酸の調製方法に関するものであり、更に
は、目的とする蛋白質をコードするDNA又はRNAと
複数のランダムな塩基配列を有するオリゴ核酸とをハイ
ブリダイズ(対合)させると共に核酸分解能を有する物質
でハイブリダイズ(対合)した箇所を分解させることによ
りアンチセンス核酸の標的部位を確定するに際し、標的
部位の対象から除外すべき部位に実質的に相補な塩基配
列を持ち、核酸分解能を有する物質による分解を受けな
い機能を有する核酸を併用することにより、目的とする
蛋白質をコードするDNA又はRNAの塩基配列の一部
を標的部位の対象外として、標的部位にハイブリダイズ
(対合)する核酸を取得することを特徴とするアンチセン
ス核酸の調製方法に関するものである。
【0005】
【実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。 ○ ランダムな塩基配列を有するオリゴ核酸 本発明は、目的とする蛋白質をコードするDNA又はR
NAの塩基配列において、アンチセンス核酸の標的部位
になる箇所を、複数のランダムな塩基配列を有するオリ
ゴ核酸( 以下ランダム配列オリゴ核酸という) の混合物
を用いて効率的に探索するというものであり、複数のラ
ンダム配列オリゴ核酸の混合物としては、オリゴ核酸の
塩基配列の各位置にG、A、C、T(又はU)の4種の核
酸塩基が任意に配列されたオリゴ核酸の集合体を代表的
なものとして例示することができる。即ち、n量体のラ
ンダム配列オリゴ核酸には、4n個の異なる塩基配列の
オリゴ核酸が存在し得るのであり、本発明における複数
のランダム配列オリゴ核酸とはその様な多数の分子種か
らなるものを主として指すものであるが、必ずしもそれ
に限定されるものではない。ランダム配列オリゴ核酸
は、以下の調製方法で調製することが可能であり、本発
明においては、以下の様にして調製されたものも、市販
されているものも使用可能である。オリゴ核酸の調製方法 天然型及びホスホロチオエート型のオリゴ核酸は、例え
ば、ABI(Applied Biosystems Inc.)社製のDNA合
成機もしくはDNA/RNA合成機、又はパーセプティ
ブ社製核酸自動合成機などを用いて、ホスホロアミダイ
ト法(ABI社の手順書又はF. Eckstein, Oligonucleotide
s and Analogues: A Practical Approach, IRL Press,
1991年参照)により行うことができる。又、天然のオリ
ゴ核酸については、チオフォスファイト法を用い、核酸
自動合成機で合成することもできる(特公平6-84396及び
米国特許4,808,708を参照)。ランダム配列のオリゴデオ
キシリボヌクレオチドは、上述の核酸自動合成機を利用
してホスホロアミダイト法又はチオフォスファイト法に
より合成する際、4種類のホスホロアミダイト試薬のカ
ップリングの割合がお互いにそれぞれが等しくなる様に
混合して合成することができる。ランダム配列のホスホ
ロチオエート型のオリゴデオキシリボヌクレオチドにつ
いても、同様に、核酸自動合成機を利用してホスホロア
ミダイト法でヌクレオチド同士の縮合を行ったのち、テ
トラエチルチウラムジサルフィド(TETD)又はBeaucage試
薬等によりリン酸エステル部分をチオ化して合成するこ
とができる。得られたオリゴデオキシリボヌクレオチド
又はホスホロチオエート型のオリゴデオキシヌクレオチ
ドの粗製物は、通常の精製方法、例えば、逆相クロマト
グラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及びゲル濾
過クロマトグラフィーの原理に基づく高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)、超臨界クロマトグラフィー等種々の
クロマトグラフィー、エタノール沈澱法及び電気泳動法
などを用いて精製される。このほか、逆相クロマトグラ
フィーの原理に基づいて製造されたカートリッジ[例え
ば、tC18を充填剤とするセップパックプラス(ロングボ
ディ/ENV);パーセプティブ社製]等を用いても精製され
る。なお、オリゴデオキシリボヌクレオチド及びホスホ
ロチオエート型のオリゴデオキシリボヌクレオチドの純
度は、HPLCやキャピラリー電気泳動法による分析により
調べることができる。アンチセンス核酸の標的部位の探
索を行う際に、どのような鎖長のオリゴ核酸を用いるか
は、充分に考慮すべき点である。即ち、オリゴ核酸の長
さがある程度以上でないとmRNA又はmRNA前駆体等
とのハイブリッドが形成されない恐れがあるため、アン
チセンス核酸の標的部位の探索のために用いられるラン
ダム配列オリゴ核酸の長さとしては4量体以上であるの
が好ましく、基本的にはその鎖長が長くなる程、DNA
やRNA、特にmRNA又はmRNA前駆体とのハイブリ
ッド形成能が増加するので好ましい。これは、最近接塩
基対モデルを用いて実験データを解析した結果からも推
論出来ることである(杉本直己「蛋白質核酸酵素」臨時増
刊号(40 巻10号)「核酸化学の新展開−新しい機能性高分
子を求めて」(松田、大塚、上杉及び三浦編) 1548-1557
頁 共立出版 1995年及び杉本直己 特願平7-124852, 199
5年)。即ち、上記結果に基づけば、ハイブリッドの長さ
が1塩基対伸びることにより、安定化エネルギーが平均
で1.5kcal/mol増えることになり、これはハイブリッ
ド形成の定数が37℃において11倍になることに相当
することを示すものであり、それは、ランダム配列のオ
リゴ核酸を用いた場合、該オリゴ核酸の長さが1塩基増
えることにより、特定の塩基配列を有する分子の全体に
占める割合は、1塩基増える前の4分の1に減少するも
のの、総合的に見ると、mRNA又はmRNA前駆体の特
定塩基配列についてのハイブリッド形成能は、同じ濃度
のランダム配列オリゴ核酸で1塩基増やす前の2.75
(11/4)倍になることを示すものである。そしてこれは、
オリゴ核酸の塩基配列が長くなればなる程、mRNA又
はmRNA前駆体とのハイブリッド形成は有利になると
いうことを示すものである。しかし、前記した様に、長
くなることにより、ランダム配列オリゴ核酸では、ある
特定の分子種の割合が指数関数的に減少する、即ち、各
4種類の塩基が同じ割合で含まれているとすると、n量
体においては、ある特定の塩基配列を有する分子種の割
合は、1/4nとなる。例えば、9量体を使用する場合、
ある特定塩基配列のアンチセンス核酸濃度は、全濃度の
1/49=1/262144となる。したがって、例えば、9量体の
ランダム配列オリゴ核酸を用いた場合、その総濃度が2
62μMであっても、G、A、C及びT(又はU)がそれ
ぞれ同じ割合で含まれている場合、特定の分子種の濃度
は約1nMしか存在しないことになる。さらに、長くなる
に従って、オリゴ核酸が分子内で二次構造を形成する可
能性やオリゴ核酸同士で二次構造を形成する可能性も生
じ、アンチセンス核酸としての機能が低下することが予
想でき、さらに不必要にオリゴ核酸の塩基配列を長くす
ることに合成的及び経済的に見て格別の利点はないた
め、通常アンチセンス核酸として用いられる20乃至3
0量体が、本発明においても実用的な長さの限度であ
り、好ましくは9量体から目的とするアンチセンス核酸
と同程度の長さのもの、さらに好ましくは、目的とする
アンチセンス核酸と同じ長さのものである。
【0006】○ 目的とする蛋白質をコードするDNA
又はRNA 本発明に用いられる目的とする蛋白質をコードするDN
A又はRNA、特に本発明に好ましいmRNA又はmRN
A前駆体は以下の手順で調製、精製、更には標識化して
使用される。mRNA又はmRNA前駆体等の調製 目的とする蛋白質をコードするmRNA又はmRNA前駆
体等は、当該遺伝子、即ち、cDNA、ゲノムDNA、m
RNA又はmRNA前駆体の塩基配列を文献等の情報に
より又は実験を行うことにより調べ、直接又は鋳型DN
A又はプラスミドの調製を経る等の方法により調製する
ことができる(J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniat
is, Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第2版,
Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989年)。mR
NA又はmRNA前駆体等の直接調製法としては、得ら
れた塩基配列に基づいて自動合成機などを用いて化学合
成する方法がある。鋳型DNAを基にmRNA又はmRN
A前駆体等を調製する方法には、該mRNA又はmRNA
前駆体等に対応する塩基配列を持ち、かつ必要に応じそ
の上流にDNA依存性RNAポリメラーゼが認識する部
位、例えば、SP6、T7又はT3部位などに対応する
塩基配列を持つ鋳型DNAを化学的に合成し、該DNA
を鋳型とし、該部位を認識するDNA依存性RNAポリ
メラーゼを用いて、G、A、U、Cの4種類のモノヌク
レオチド三リン酸をそれぞれのポリメラーゼに適した条
件下で順次結合させ合成する方法がある。プラスミドを
経てmRNA又はmRNA前駆体等を製造する方法は、特
に限定されないが、例えば、次の様に行うことができ
る。即ち、目的とする構造遺伝子はクローニングにより
又はクローニングにより得た該遺伝子を組み込んだプラ
スミドから調製する。次いで、DNA依存性RNAポリ
メラーゼが認識する部位を上流に持つ、任意の構造遺伝
子のプラスミドを用いて、任意の構造遺伝子の上流と下
流とに存在する異種又は同種の制限酵素部位を、それぞ
れに対する制限酵素で切断する。なお、これらの制限酵
素部位は、目的とする構造遺伝子のそれぞれ上流及び下
流に存在する制限酵素部位と一致していることが必要で
ある。そして、クローニング等により得た該構造遺伝子
を組み込んだDNA又はプラスミドについても同一の制
限酵素で切断し、これをプラスミドから置換すべき構造
遺伝子を除去した部分にDNAリガーゼの作用を利用し
て結合させる。クローニング等により得た該構造遺伝子
を組み込んだDNA又はプラスミドについて、対応する
制限酵素部位がない場合は、化学合成により得られたオ
リゴデオキシヌクレオチドを該構造遺伝子にリガーゼ等
で結合させ、目的のものを得ることができる。この様に
して得たプラスミドを、例えば大腸菌等に導入し、それ
を寒天培地等に蒔いて培養し、コロニーを形成させる。
目的の遺伝子が確かに含まれているか否かをポリメラー
ゼチェーン反応(PCR)等を利用して確認する。目的に合
致したコロニーについては、必要に応じ、それを更に大
腸菌等の増殖作用を利用して大量に複製する。ここで、
大腸菌としては、例えばE. Coli JM109、E. Coli HB10
1、E. Coli DH5等を用いることができる。次いで、大腸
菌からプラスミドを抽出精製し、目的のプラスミドを入
手する。その方法は特に限定されないが、例えば、次の
様に行うことができる。即ち、まず、目的とするプラス
ミドを含有する大腸菌等の細胞を遠心分離操作により集
める。ついで、該細胞にGTE溶液(50mMグルコース, 2
5mM Tris・Cl及び10mM EDTA 含有, pH=8.0)を加えて懸
濁し、リゾチーム溶液及び水酸化ナトリウム−ドデシル
硫酸ナトリウム混合溶液を用いて細胞を溶解させる。酢
酸カリウムを加えて中和し、不溶物質を遠心分離操作で
除去する。蛋白質を除去するため、フェノール−クロロ
ホルム−イソアミルアルコール(25:24:1)の混合
溶液を加えて振り混ぜる。遠心分離操作を行って上層
(水相)を取り出し、水相と等量の2-プロパノールを加え
て撹拌し、室温でしばらく置く。これを遠心分離して得
られたものが目的のプラスミドを含有する。次いで、こ
れを適量のTE(10mM Tris・Cl及び1mM EDTA含有、pH=
8.0)に溶かし、それを塩化セシウムの密度勾配分離用液
に混ぜ、超遠心分離操作により分離する。塩化セシウム
は、プラスミドをTEに対して透析することにより除去
することができる。この様にして得たプラスミドは、ア
ガロースゲル電気泳動法、ポリアクリルアミドゲル電気
泳動法、パルスフィールドゲル電気泳動法、ゲル濾過ク
ロマトグラフィー法、沈降速度法、光散乱法等によって
分子量を決定することができる。更に、目的の蛋白質を
コードする塩基配列が含まれていることは、Sanger法
又はMaxam-Gilbert法を用いて調べることができる。
この様にして得られたプラスミドを用いて目的の蛋白質
の全て又は一部をコードするmRNA又はmRNA前駆体
等を大量に調製する。このとき、mRNA又はmRNA前
駆体等を大量に調製するためには、Promega社製のRib
oMAXTM LargeScale RNA Production Systems
のキット等を用いることができる。実験方法は、同キッ
トに添付の方法に準じて行うことができる。なお、必要
に応じて、プラスミドの適当な部位を制限酵素等で切断
し、直鎖状にして用いる。調製した該mRNA又はmRN
A前駆体等の濃度は紫外領域での吸収スペクトルから求
めることができる。又、アガロースゲル電気泳動又はポ
リアクリルアミドゲル電気泳動を行い、それをエチジウ
ムブロマイド溶液に浸し、その後ゲルに紫外光を照射し
つつ、目的物のバンドの光り方の程度を、濃度及び分子
量が既知のRNAと比較することによっても求めること
ができる。
【0007】mRNA又はmRNA前駆体等の末端標識化 目的とする蛋白質をコードするmRNA又はmRNA前駆
体の全部又は一部については、その一端をラジオアイソ
トープや蛍光物質等で標識して用いるのが好ましい。標
識方法として特に限定されたものはないが、5'末端を標
識するには、例えば、まず、アルカリフォスファターゼ
でRNAの5'末端のリン酸基を除去し、次に、この脱リ
ン酸化したmRNA又はmRNA前駆体等を用い、5'末端
を標識化する。すなわち、T4ポリヌクレオチドキナー
ゼで[γ-32P]ATPのγ位のリン酸基をRNAの5'位
水酸基に転移させる操作を行う(J. Sambrook, E. F. Fr
itsch, T. Maniatis, Molecular Cloning : A Laborato
ry Manual 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss, 1989年)。これらの際、操作途中にRNaseが混在す
る可能性が除去できないため、リボヌクレアーゼ阻害剤
の存在下で反応を行う。又、高次構造をとるRNAの標
識化を効率よく行うために、ジメチルスルフォキシド(D
MSO)を適当に、例えば最終濃度7.5〜15%となるよ
うに添加する。なお、反応混合液組成物の[γ-32P]A
TPの代わりに[γ-33P]ATP等を用いることもでき
る。3'末端を標識する場合は、例えば次の様に行うこと
ができる(添田・久原・高岩共著, 核酸の塩基配列決定法,
121−122頁, 学会出版センター, 1987年)。即ち、脱リ
ン酸化した3'末端を持つmRNA又はmRNA前駆体等に
[5'-32P]pNp(ここで、NはA、G、C、T、U等のヌ
クレオシドを表し、Nの前のpはヌクレオシドの5'位に
リン酸が結合していることを、又Nの後のpはヌクレオ
シドの3'位にリン酸が結合していることを示す。ここで
5'位のリン酸はリンとして放射性同位元素である32Pを
含む。32Pにかわるものとして、33P等、T4RNAリ
ガーゼの基質となりうるものならば他の放射性同位元素
でも良い)をT4RNAリガーゼを用いて結合させること
により、3'末端が標識されたmRNA又はmRNA前駆体
等を得ることができる。末端標識化mRNA又はmRNA前駆体等の精製 上述の操作で得られた末端標識化mRNA又はmRNA前
駆体等には、目的とする完全長のmRNA又はmRNA前
駆体等以外に実験操作途中に生じた様々な短鎖のmRN
A又はmRNA前駆体等で標識化されたものも混在して
いる場合がある。従って、本発明の目的を効率良く達成
するために、末端を標識した完全長又は所望の長さのm
RNA又はmRNA前駆体のみを用いたいときには、分
離・回収して精製する必要がある。分離は、末端標識化
mRNA又はmRNA前駆体等を熱変性し、それをアガロ
ースゲル電気泳動にかけて行い、RNAの検出は泳動終
了後のゲルへの紫外線の照射により行う。末端標識化m
RNA又はmRNA前駆体等の濃度は同時に泳動を行っ
た濃度既知のRNAの濃度を基準に計算する。次に、目
的のRNAを含むバンドのみを切り出してRNAを回収
し、それを精製する。これら一連の操作を行う方法は特
に限定されないが、たとえばRNaidR Kit(BIO101社製)
を用い、そこで指定された方法で行うことができる。
【0008】探索のための反応条件の検討 探索のための実験条件としては、実験に用いるオリゴ核
酸、標識化したmRNA又はmRNA前駆体等、及びRN
ase Hなどの核酸分解能を有する化合物が安定に存在す
る条件が採用されるが、生物体の通常の条件下における
アンチセンス核酸標的部位を探索する目的には、可能な
限り生物体の存在する条件と同じ条件の下で行うのが望
ましい。即ち、一般的には、温度37℃程度、イオン強
度0.15M程度、圧力1気圧程度の条件で行うのが望ま
しい。探索のために用いるランダム配列オリゴ核酸の鎖
長は、前記した様に、鎖長が長くなる程mRNA又はmR
NA前駆体とのハイブリッド形成能が増加するので本発
明にとり好ましいが、同時に自己構造をとる可能性も高
くなるので不必要に長くする必要はなく、4量体以上で
あればよく、好ましくは6量体以上であり、特に好まし
くは9量体以上であり、長いものとしては、通常アンチ
センス核酸として用いられる20乃至30量体が実用的
な長さの限度であり、細胞実験や動物実験で用いるアン
チセンス核酸と同程度、さらには同一の鎖長のランダム
配列オリゴ核酸を用いると特に好都合である。用いるオ
リゴ核酸の濃度は、たとえばランダム配列のオリゴデオ
キシリボヌクレオチド9量体を用い、RNase Hを0.
06ユニットU/μl用いた場合は、0.1乃至500μMで
行うことができ、好ましくは1乃至50μMである。ま
た、たとえばランダム配列のオリゴデオキシリボヌクレ
オチド20量体を用い、RNaseHを0.006ユニット
U/μl用いた場合は、0.1乃至50μMで行うことがで
き、好ましくは、1乃至5μMである。37℃で10秒
もしくは1分程度から180分程度の間の反応の経時変
化を追跡し、ハイブリダイズ(対合)の状況または反応の
進行程度を測定する。ランダム配列オリゴ核酸の鎖長が
短いものを用いて反応を行う場合は、核酸濃度を増加さ
せる、反応時間を長くする、又はRNase Hの量を増加
させる、等の条件変更を考慮して反応を行う。反応が終
了した該混合液には変性ポリアクリルアミドゲル電気泳
動用の色素入り泳動用緩衝液を加え、95℃で5分間熱
変性させ、その後直ちに氷中に移し、そこで3分間保
つ。これを変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ
る。泳動は、たとえば定電圧(50V/cm程度)下で適当な
時間(30分程度から数時間程度)行う。その後、変性ポ
リアクリルアミドゲルをそのまま固定化してオートラジ
オグラフィーを行い、もとのmRNA又はmRNA前駆体
等以外の断片の生成の有無について調べる。この際、m
RNA又はmRNA前駆体にオリゴ核酸混合物が結合し
ている部位を特異的に効率よく検出するために、例えば
RNase Hなどの核酸分解能を有する物質の共存下で反
応を行ったのであれば、それにより引き起こされる切断
部位を上記の方法で容易に検出することができる。すな
わち、該部位で切断されていることをポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法などの分析化学的手法により検出する
ことができる。
【0009】探索結果に基づくアンチセンス核酸標的部
位の確定 以上の結果から、該mRNA又はmRNA前駆体等上にお
ける、アンチセンス核酸の標的部位を確定できる。即
ち、切断された断片の大きさから、どの部位で切断が起
こっているかがわかる。特に、反応の初期に見られる切
断片は、アンチセンス核酸の標的部位を確定するのに有
力な手がかりを与える。これらの結果をもとに、切断部
位を含むその近傍の部位を、アンチセンス核酸の標的部
位として確定することができる。アンチセンス核酸効果の確認 確定したアンチセンス核酸標的部位に相補的な塩基配列
をもつ核酸が、本発明が目的とするアンチセンス核酸で
あり、当該アンチセンス核酸のアンチセンス核酸として
の効果の確認は、目的とする蛋白質をコードする遺伝子
を含むプラスミド又はDNAを用い、該アンチセンス核
酸の存在下に、無細胞転写翻訳系において、目的とする
蛋白質の発現量を調べることにより行うことができる。
又、目的とする蛋白質をコードするmRNAを用い、当
該アンチセンス核酸を共存させ、翻訳系において、目的
とする蛋白質の発現量を調べることにより行うこともで
きる。転写翻訳系及び翻訳系としては、目的とする蛋白
質を産生するものならばいずれも利用することができ、
兎網状赤血球溶解物由来の転写翻訳系及び翻訳系並びに
小麦胚由来の転写翻訳系及び翻訳系等を利用することが
できる。これらの転写翻訳系及び翻訳系においては、た
とえば、L-35S-メチオニン、L-35S-システイン、及びL-
3H-スレオニンなどの放射性同位元素で標識したアミノ
酸を加え、その蛋白質への取り込みを指標に蛋白質の発
現量を知ることができる。ここで、アンチセンス核酸効
果、即ち、目的とする蛋白質に対する発現阻害効果を高
めるためにRNA分解酵素の一つであるRNase Hを加
えることができる。RNase Hは、RNAが、その塩基
配列に相補的なオリゴデオキシリボヌクレオチドと水素
結合を介して2本鎖を形成したとき、RNAをその2本
鎖形成部分で切断する酵素である(H. Stein, P. Hause
n, Science 166巻 393-395頁, 1969年;P. Hausen,H. S
tein, European Journal of Biochemistry, 14巻 278-2
83頁, 1970年)。この酵素を共存させることにより、そ
の遺伝子がコードする蛋白質の産生阻害がいっそう確実
に行われるようになる。上述のような無細胞系のかわり
に、細胞系を用いて、該標的部位に相補的な塩基配列を
持つアンチセンス核酸を細胞に添加し、目的とする蛋白
質の発現を調べることもできる。そのような細胞系とし
ては、目的とする蛋白質を発現するものを利用すること
ができる。上述の転写翻訳系又は翻訳系で目的とする蛋
白質の生成を確認する方法としては、目的とする蛋白質
であることを確実に判明できる方法が用いられ、それら
の中から種々の要件を考慮して任意に選択することがで
き、その代表例として以下の2つを挙げることができ
る。第一の方法として、目的とする蛋白質に対する抗体
を用いて確認する方法、例えばサンドイッチ方式の酵素
免疫測定法(例えばE. Harlow, D. Lane, Antibodies: A
Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,
1988年参照)が挙げられる。この方法は一般によく知ら
れた方法であり、具体的には、マイクロタイタープレー
ト等に上述の抗体を常法(例えば、上掲のE. Harlow, D.
Lane, Antibodies:A Laboratory Manual参照)に従って
固定化し、ついで、目的の蛋白質をコードする遺伝子を
転写翻訳系に加えて適当な温度に維持した後マイクロタ
イタープレート等に入れて室温で放置し、洗浄する。し
かる後に、西洋ワサビペルオキシダーゼ等で標識した、
目的の蛋白質に対する抗体を添加して室温で放置した後
に洗浄し、酵素である西洋ワサビペルオキシダーゼの基
質として、例えば、オルト−ジアミノベンゼンを含有す
る溶液を加え、適度に発色するまで室温で放置後、吸光
度を測定し、目的とする蛋白質の含有量を評価する。な
お、この方法は、細胞系において、該標的部位に相補的
な塩基配列を持つアンチセンス核酸を添加し、目的とす
る蛋白質の発現を調べる際にも用いることができる。第
二の方法として、目的とする蛋白質が上述の転写翻訳系
又は翻訳系で生成することをラジオアイソトープでラベ
ルしたアミノ酸の取り込みを指標にSDS−PAGE
(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法)及びオートラジオグラフィーを用いて確認す
る方法がある。SDS−PAGEは、常法(例えば、Pro
mega社の転写翻訳系キットに添付されている手順書及び
高木俊夫, PAGEポリアクリルアミドゲル電気泳動法, 広
川書店,1990年参照)に従えばよく、典型的な例は、次の
とおりである。転写翻訳系又は翻訳系の反応混合液に2-
メルカプトエタノール含有のSDSSample緩衝液(Prom
ega社の手順書による)を加えて密栓後、熱処理を行って
蛋白質を変性させる。このサンプルを泳動槽に取り付け
たドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルの
ウェルに添加し、電気泳動を行う。その後、オートラジ
オグラフィーを行うために、ゲルを濾紙に移し、ゲル乾
燥装置を用いて乾燥させ、次いで、暗室中でそのゲルを
X線用フィルムと重ねてカセットに入れ、数時間から数
十時間、室温で放置したあと、該X線用フィルムを現像
する。目的とする蛋白質が発現していれば、該蛋白質の
分子量に応じた位置にバンドが出現する。アンチセンス
核酸化合物によって該蛋白質の発現が阻害されている場
合には、該バンドは発現しないか又は発現が弱くなる。
無細胞転写翻訳系等の無細胞系でアンチセンス核酸効果
を評価する際のアンチセンス核酸化合物の濃度は、天然
型のオリゴデオキシリボヌクレオチドを用いた場合、
0.1〜10μM、好ましくは0.4〜2μMである。特に
好ましくは、RNase H共存下0.4μMである。ホスホ
ロチオエート型のオリゴデオキシリボヌクレオチドを用
いた場合のアンチセンス核酸化合物の濃度は、0.01
〜1μM、好ましくは0.02〜0.4μMである。特に好
ましくは、RNase H共存下0.064μM又は0.15
μMである。細胞系でアンチセンス核酸効果を評価する
際のアンチセンス核酸化合物の濃度は、天然型のオリゴ
デオキシリボヌクレオチドを用いた場合、0.1〜10
0μM、好ましくは0.5〜30μMである。ホスホロチ
オエート型のオリゴデオキシリボヌクレオチドを用いた
場合のアンチセンス核酸化合物の濃度は0.01〜10
0μM、好ましくは0.05〜30μMである。又、必要
に応じ、例えばリポフェクチン試薬やDOTAP試薬等
の細胞内導入試薬をアンチセンス核酸の導入効率を上げ
るために用いることができる。添加した核酸化合物、す
なわち、アンチセンス核酸化合物の、目的とする蛋白質
をコードする遺伝子に対する発現阻害効果は、それを添
加しない場合と比較することで行うことができる。例え
ば、目的とする蛋白質が生成するか否かの確認方法に記
載の通り、産生した目的の蛋白質を前記SDS−PAG
Eで分離し、それをオートラジオグラフィーに付し、そ
の黒化度をデンシトメータで定量すればよい。そして、
アンチセンス核酸化合物を添加した場合の黒化度を添加
しない場合の黒化度と比較することにより評価すること
ができる。なお、この方法は、細胞系において、標的部
位に相補的な塩基配列を持つアンチセンス核酸を添加
し、目的とする蛋白質の発現を調べる際にも、免疫沈降
法で目的の蛋白質のみを選択的に選び出したあとに適用
することができる。かかる比較によって、遺伝子の発現
阻害率を求めることができ、探索により決定した標的部
位に相補的なアンチセンス核酸による蛋白質発現阻害効
果を確認することができる。
【0010】
【作用】アンチセンス核酸の標的部位として、mRNA
又はmRNA前駆体上で一本鎖になっている部位、アン
チセンス核酸であるオリゴデオキシリボヌクレオチド若
しくはホスホロチオエート型オリゴデオキシリボヌクレ
オチド等が結合しやすい部位、及びオリゴデオキシリボ
ヌクレオチド若しくはホスホロチオエート型オリゴデオ
キシリボヌクレオチドが結合することによって核酸分解
能を有する物質、例えばRNase Hの作用を受け切断さ
れやすくなっている部位が、オリゴ核酸の各位置にG、
A、C、T(又はU)の4種の核酸塩基をランダムに有す
るオリゴ核酸の集合体を用いることにより確定されるの
である。
【0011】
【実施例】mRNA又はmRNA前駆体等の大量調製 血管内皮細胞増殖因子[VEGF:別名血管透過性因子
(VPF)]をコードする635塩基からなるmRNAを、
目的とする塩基配列を有するプラスミドを経る方法によ
り、以下の様にして大量調製した。 (1)プラスミドの構築及び塩基配列の決定 プラスミドpPoly(A)-luc(SP6)(Promega社製)に含
まれるルシフェラーゼ構造遺伝子の上流と下流をそれぞ
れ制限酵素ApaI及び制限酵素SacIで切断した。一方、
PCR法により得たヒト由来VEGFをコードする遺伝
子を、プラスミドpRC/CMVのマルチクローニング
サイト中にあるApaI部位とXbaI部位間に挿入したプラ
スミドpSU01を構築した。ついで該プラスミドをV
EGF遺伝子の上流に存在するApaI部位及び下流に存
在するSacI部位をそれぞれに作用する制限酵素ApaI及
びSacIで同様に切断した。pPoly(A)-luc(SP6)か
ら前記2種の制限酵素(ApaI及びSacI)でルシフェラー
ゼ構造遺伝子を切断除去した残りの部分に、VEGF構
造遺伝子を含みApaI及びSacIで切断された部分をTak
ara社製のDNA Ligation Kitを用いて結合させた。
次に、このようにして得られたプラスミドをTakara社
製の大腸菌コンピテントセルJM109に、同社の説明
書に従って導入し、大量に複製し、該プラスミドを含有
する大腸菌等の細胞を遠心分離操作により集めた。つい
で、該細胞にGTE溶液(50mMグルコース, 25mM Tris・
Cl及び10mM EDTA含有, pH=8.0)を加えて懸濁し、その1
/9量のリゾチーム溶液(50mg/ml)及び20/9量の水
酸化ナトリウム(0.2N)-ドデシル硫酸ナトリウム(1%)混
合溶液を用いて細胞を溶解させた。酢酸カリウム(pH=5.
2)を加えて(最終濃度1M)中和し、不溶物質を遠心分離操
作で除去した。蛋白質を除去するため、フェノール−ク
ロロホルム−イソアミルアルコール(25 :24:1)の混合
溶液を加えて振り混ぜた。遠心分離操作を行って上層
(水相)を取り出し、水相と等量の2-プロパノールを加え
て撹拌し、室温でしばらく放置した。これを遠心分離し
て得られたものが目的のプラスミド(pSU02と命名)
を含有していた。ついで、これを適量のTE(10mM Tris
・Cl及び1mM EDTA含有, pH=8.0)に溶かし、それを塩化セ
シウムの密度勾配分離用液に混ぜ、超遠心分離操作によ
り分離した。得られたプラスミドは、塩化セシウムを除
去するため、TEに対して透析した(前掲のMolecular C
loning参照)。この様にして、目的のプラスミド(pSU
02)を0.7mg得た。ここで得たプラスミド(pSU0
2)は、約3.6kbp(bp:塩基対)からなることがアガロー
スゲル電気泳動の結果から示された(図1)。図1中、レ
ーン1はpSU02のみ、レーン2はpSU02に制限酵
素ApaI(10U)処理したもの、レーン3は、pSU02に
制限酵素ApaI(20U)処理したものを表す。Mは、分子量
マーカーを表す。次に、pSU02のうちVEGF構造
遺伝子部分およびその前後の部分について、その塩基配
列をSanger法で決定した。その塩基配列を配列番号1
に示す。
【0012】(2)mRNAの大量調製 mRNAを大量に調製するためには、Promega社製のRi
boMAXTM Large Scale RNA Production Syste
m SP6のキットを用いた。実験方法は、同キットに添
付の方法にほぼ従い、その半量のスケールで行った。以
下に反応混合液の組成を示す。なお、ここで用いる直鎖
状pSU02は配列番号1に示すpSU02の672番目
の塩基から677番目の塩基に対する制限酵素BamHIで
切断(センス鎖では672番目と673番目の間で切断)
したものである。 この反応混合液を37℃で4時間保った後に、RQ1R
Nase-不含DNaseを25U加え、更に15分間保った。
そして、フェノール処理、エタノール沈澱を行い、沈澱
したVEGFmRNAを70%エタノールで洗浄した。
洗浄後のVEGFmRNAは15分間風乾し、RNase-
不含H2O 250μlで希釈した。調製したVEGFmR
NAの濃度は紫外領域での吸収スペクトルから求めた。
そのために、まず、VEGFmRNAを20mMリン酸ナ
トリウムと100mM塩化ナトリウムからなる緩衝液(pH=
7.0)で100〜300倍に希釈し、光路長1cmのセルを
用いて260nm及び280nmで測定(室温)し、VEGF
mRNAの濃度を換算した。ここに、VEGFmRNAの
紫外吸収スペクトルの測定結果の一例を示す(図2)。濃
度を求める際には、260nmで吸光度の値が1の時、そ
の溶液1ml中にRNAが40μg含まれているとした。
【0013】VEGFmRNAの5'末端標識化 まず、5'末端のリン酸基をアルカリフォスファターゼで
以下の様にして除去した。その際、操作途中にRNase
が混在する可能性が存在するときは、リボヌクレアーゼ
阻害剤の存在下に反応を行った。 (注)10×反応緩衝液 500mM Tris-HCl,pH=9.0 10mM MgCl2 上記の反応混合液を65℃で30分間保った後に、0.
5M EDTA(pH=8.0)を1μl添加して反応を停止し
た。フェノール抽出を3回行った後、3M酢酸ナトリウ
ム(pH=5.3)3.4μl、およびEtachinmate(ニッポンジ
ーン社製)2μlを加えよく攪拌後、2倍量のエタノール
を加えた。そして、14krpm、5分間(4℃)遠心を行う
ことにより、VEGFmRNAを回収し、70%エタノ
ールで洗浄した。洗浄後のVEGFmRNAは15分間
風乾し、RNase-不含H2O 20μlで溶解した。次
に、以下の様に、この脱リン酸化したVEGFmRNA
を用い、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて[γ-32
P]ATPのγ位のリン酸基をRNAの5'位水酸基に転
移させ、末端を標識化した。この際にも、上述と同様、
操作途中にRNaseが混在する可能性があるときは、リ
ボヌクレアーゼ阻害剤存在下に反応を行った。また、高
次構造をとるRNAの標識化を効率よく行うために、D
MSOを添加して行った。 上記の反応混合液を37℃で1時間保ち、0.5M ED
TA 3μlを添加し反応を停止した。VEGFmRNAの3'末端標識化 5'のリン酸に32Pが入っているCytidine-3',5'-bispho
sphate([5'-32P]pCp)を、以下の反応系によってVEG
FmRNAの3'末端に結合し標識化した。その際、操作
途中にRNaseが混在する可能性があるため場合は、リ
ボヌクレアーゼ阻害剤存在下で反応を行った。 (注)10×反応緩衝液 500 mM Tris-HCl,pH=7.5 100 mM MgCl2 100 mM DTT 10 mM ATP 上記の反応混合液を14℃で14〜20時間保ち、0.
5M EDTA 1.5μlを添加し反応を停止した。5'及び3'末端標識化VPFmRNAの分離・回収、精製 上述の操作で得られた5'及び3'末端標識化RNAには、
完全長のVEGFmRNA以外に実験操作途中に生じた
様々なVEGFmRNAの断片も含まれているため、分
離及び回収・精製を以下の様に行った。まず、キナーゼ
反応を停止した5'末端標識化反応溶液あるいはリガーゼ
反応を停止した3'末端標識化反応溶液にアガロースゲル
電気泳動用色素であるブロモフェノールブルーの入った
緩衝液を等量添加し、これを95℃で5分間保って熱変
性させ、ついで直ちに氷中に移し3分間保持した。これ
を非変性型アガロースゲル電気泳動により分離した。そ
の際、用いるアガロースは、短フラグメント用低融点ア
ガロースであるNusieveR GTG Agarose(Takara 社製)
を用いた。アガロースゲルの濃度は3.0% とし、緩衝
液は、1×TBE(89mM Tris 89mMホウ酸、2mM EDTA)溶
液を用いた。泳動は、定電圧(6V/cm)で3時間行った。
泳動終了後は、0.5μg/mlのエチジウムブロマイドの
入った1×TBE溶液にゲルを20分間浸した後、紫外
線照射下でRNAを検出した。5'あるいは3'末端標識化
VEGFmRNAの濃度は同時に泳動を行ったサイズマ
ーカーを基に次のように換算した。即ち、0.5μg/ml
のエチジウムブロマイドの入った1×TBE溶液に電気
泳動後の非変性型アガロースゲルを20分間浸して、紫
外線を照射してバンドの輝度を比較した場合、同程度の
輝度であれば、RNAのほうが二本鎖DNAに比べ、
2.5倍の濃度であることがわかったのでこれをもとに
換算した。次に、目的の完全長VEGFmRNAのバン
ドのみをカッターナイフで切り出し細かくスライスした
後、1.5mlチューブに約0.3gずつ分けた。ここで目
的の完全長VEGFmRNAを回収するために、RNaid
R Kit(BIO101社製)を利用した。操作方法は、同キット
に添付の方法にほぼ従った。即ち、まず、スライスした
ゲル約0.3g入りのチューブに3倍量のRNA Bindi
ngsalt(約1ml)を添加し、アガロースゲルを完全に分解
させた。チューブあたり5μlのRNAMATRIXTMを添加し、
よく攪拌し、その後15分間室温で放置した。その際、
RNAMATRIXTMに効率よくVEGFmRNAが結合するよう
に時々攪拌した。そして、VEGFmRNA-RNAMATRIX
TMを14krpmで1分間、室温で遠心し回収した。回収し
たVEGFmRNA-RNAMATRIXTMにRNA washsolution
をチューブあたり500μl添加し、よく洗浄した(この
洗浄操作は2回行った)。そのRNA washsolutionを遠
心操作によって完全に除いた後、RNase-不含H2O(チ
ューブあたり20μl)でVEGFmRNA-RNAMATRIXTM
よく攪拌した。そして、55℃で30分間保つことによ
りVEGFmRNA-RNAMATRIXTMから溶離させた。この
溶離操作を行った後、14krpmで2分間室温で遠心を行
い、VEGFmRNAを回収した。回収したVEGFmR
NAに混在しているRNAMATRIXTMを完全に除去するため
に再度、遠心を行った。このようにして得た5'あるいは
3'末端標識化VEGFmRNAを更にフェノールで処理
した後、エタノールを加えて沈澱させた。その沈殿した
mRNAを70%エタノールで洗浄後、15分間風乾
し、RNase-不含H2O 30μlに溶解し、ランダムス
クリーニングに用いる5'あるいは3'末端標識化VEGF
mRNAとした。
【0014】天然型及びホスホロチオエート型のオリゴ
核酸の合成及び精製 天然型及びホスホロチオエート型のオリゴ核酸の合成
は、ABI(Applied Biosystems Inc.)社製の381A
DNA合成機、394DNA/RNA合成機、及びパー
セプティブ社製8909核酸自動合成機を用いて、ホス
ホロアミダイト法(ABI社の手順書又はF.Eckstein, Olig
onucleotides and Analogues: A Practical Approach,
IRL Press, 1991年参照)により行った。ランダム配列の
オリゴデオキシリボヌクレオチドは、例えば上述のAB
I社などのオリゴ核酸自動合成機を利用してホスホロア
ミダイト法により合成する際、4種類のホスホロアミダ
イト試薬のカップリングの割合ができるだけ等しくなる
ように混合したものを用いて合成した。またこのように
して合成した市販品をも利用した。ランダム配列のホス
ホロチオエート型のオリゴデオキシリボヌクレオチドに
ついても、同様に、ミリポア社製のオリゴ核酸自動合成
機を利用してホスホロアミダイト法により合成する際、
4種類のホスホロアミダイト試薬のカップリングの割合
ができるだけ等しくなるように混合したものを用いて合
成した。最後のサイクルにおいて、5'末端の糖水酸基の
保護基(ジメトキシトリチル基)が結合した状態で合成を
終了した。室温下において、約25%のアンモニア水で
60分間処理し、合成したオリゴマーをサポートから切
断した。これを55℃で8時間保ち、塩基部分およびリ
ン酸部分の脱保護を行い、天然型およびホスホロチオエ
ート型オリゴデオキシリボヌクレオチドの粗製物を得
た。得られた天然型オリゴデオキシリボヌクレオチド粗
製物は、逆相クロマトグラフィーの原理に基づいて製造
されたカートリッジ[ウォーターズ社製セップパックプ
ラス(ロングボディ/ENV)]を用いて以下の通り精製し
た。即ち、20mlのアセトニトリルでカートリッジ内を
洗浄したあと、20mlの12%アセトニトリル−88%
TEAA(TEAA:0.1M酢酸トリエチルアンモニウムpH=7.
2)溶液でカートリッジ内を平衡化した。約3mlの12%
アセトニトリル−88%TEAAに溶解したオリゴデオ
キシリボヌクレオチド粗精製物をカートリッジ内に注入
し、その際に溶出した液を再びカートリッジ内に注入し
た(2回繰り返す)。15mlの12%アセトニトリル−8
8%TEAAでカートリッジ内を洗浄した後、3mlのT
EAAでカートリッジ内の溶液を置換した。ついで、3
mlの2%トリフルオロ酢酸水溶液をカートリッジ内に注
入し、約4分間そのまま放置して、ジメトキシトリチル
基を切断後、3mlの2%トリフルオロ酢酸水溶液を新た
に注入し、カートリッジ内のトリフルオロ酢酸水溶液を
排出した。3mlのTEAB(重炭酸トリエチルアンモニ
ウム pH=7)でカートリッジ内を置換した後、8mlの15
%アセトニトリル−85%TEABで溶出し、精製オリ
ゴデオキシリボヌクレオチドを含む分画を集めた。これ
を真空下で乾固した後、滅菌した生理食塩水0.2mlを
加え、再び真空下で乾固した。少量の滅菌水を加えて乾
固する操作を繰り返し(合計2回)、最初に加えた滅菌生
理食塩水と同量の滅菌水を加え、これを所定の濃度(オ
リゴデオキシリボヌクレオチドとして500μM)に希釈
して後述のスクリーニング実験に用いた。但し、20mM
リン酸ナトリウムと100mM塩化ナトリウムからなる緩
衝液(pH=7.0)にオリゴデオキシリボヌクレオチドを溶か
し、光路長1cmのセルを用いて260nmで測定(室温)し
たときの吸光度の値が1のとき、その溶液1ml中には、
オリゴデオキシリボヌクレオチドが33μg含まれてい
るとした。又、天然型オリゴデオキシリボヌクレオチド
のヌクレオチドあたりの分子量は330として換算する
か、報告されているモノヌクレオチド及びジヌクレオチ
ドの分子吸光係数(E. G. Richards, Handbook of Bioch
emistry and Molecular Biology: Nucleic Acids(C. D.
Fasman)第3版, 1 巻 p197 CRCCleveland OH)を基にす
る最近接近似法に従って70〜80℃で求めた。本発明
において記載の核酸化合物の濃度は、以上のいずれかの
方法で計算した値である。ホスホロチオエート型オリゴ
デオキシリボヌクレオチド(20量体、粗製品で約3mg)の
逆相クロマトグラフィーの原理に基づいて製造されたカ
ートリッジ[パーセプティブ社製セップパックプラス(ロ
ングボディ/ENV)]を用いる精製も上述の天然型の場合
と同様に行った。但し、カートリッジの平衡化、粗製物
のカートリッジに添加後の洗浄及び精製ホスホロチオエ
ート型オリゴデオキシリボヌクレオチドの溶出には、2
0%アセトニトリル−80%TEAA(又はTEAB)を用い
た。なお、このようにして精製されたオリゴデオキシリ
ボヌクレオチド及びホスホロチオエート型のオリゴデオ
キシリボヌクレオチドの純度は、HPLC分析により調べ
た。
【0015】探索法のための反応条件の検討 探索を行う際に、どのような鎖長のオリゴ核酸を用いる
かは、前述した様に、充分に考慮すべき点であり、本発
明者等は、ランダム配列オリゴ核酸として、まず天然型
の6量体、9量体及び20量体を用いた。これらは、自
社で合成したものあるいは市販されているもののいずれ
かを使用した。また、用いるランダム配列オリゴ核酸の
濃度や反応条件の検討を行うに先立ち、アンチセンス核
酸効果によりVEGFの発現阻害を引き起こすことが既
に示されている、配列番号1に示すVEGFの塩基配列
の塩基番号503〜510番目に相補的な配列をもつア
ンチンス核酸A503H(8量体; 天然型; 配列番号2)
を用いて検討した(PCT/JP95/01121参照)。その際、VE
GFmRNAは5'末端を標識化したものを使用した。こ
のアンチセンス核酸を用いて、ランダム配列オリゴ核酸
を用いた場合に使用可能な濃度範囲でRNase Hによる
部位特異的な切断が検出し得るかどうかを以下の様にし
て判定した。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH=7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン 上記の反応混合液を37℃で2又は6時間保った後、
0.5M EDTA 1μlを添加して反応を停止した。つ
いで、この反応混合液に色素(キシレンシアノール及び
ブロモフェノールブルー)の入った変性ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動用緩衝液を加え、95℃で5分間保ち
熱変性させた。これを直ちに氷中に移し、3分間置いた
のち、8M Urea-6%ポリアクリルアミドゲルにのせ、
定電圧(52V/cm)下で1時間、電気泳動を行った。その
後、ゲルを濾紙に固定化し、オートラジオグラフィーを
行い、元の完全長mRNA以外に、RNase Hで切断さ
れた断片が生じているかどうかを調べた。その結果を図
3に示す。図3でレーン1〜4はRNase Hが存在した
場合(6U/μl)であり、レーン5はRNase Hが存在し
ない場合である。また、レーン1と2はA503Hの濃
度が1nMであり、レーン3〜5ではその濃度が10nMで
ある。さらに、レーン1と3の反応時間は2時間であ
り、レーン2、4、5での反応時間は6時間である。図
3から明らかなようにレーン1〜4においては、A50
3Hが結合するmRNAの部位で切断された断片(〜47
0nt)が検出できた(図3で矢印にて示す)。したがっ
て、1nM又は10nMの濃度のアンチセンス核酸存在下で
RNase Hによる切断が起きることがわかった。その切
断の程度は、A503Hの濃度や反応時間とともに増大
することもわかった。なお、図3には示していないが、
この切断片の生成にアンチセンス核酸であるA503H
の存在が必須であることは別の実験において示された。
次に、262μMの9量体ランダム配列オリゴ核酸を用
い、その他は上述の条件と同様に反応を行い、ランダム
配列オリゴ核酸の存在下でRNase Hによる切断が検出
できるかどうかを以下の反応混合液を使用して判定し
た。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン その結果、262μMの9量体ランダム配列オリゴ核酸
の存在下、37℃で2時間反応させた場合、完全長のV
EGFmRNA及びその切断片ともに検出することがで
きなかった。すなわち、この反応条件下では、RNase
Hによる切断反応がかなり進んでいることがわかった。
そこで、次に反応混合液中のランダム配列オリゴ核酸の
濃度を26.2又は2.62μMの2種、RNase Hの濃
度を0.06、0.6又は6U/μlの3種とし、37℃で
2時間反応を行った。図3の結果を得た場合と同様にED
TAを添加して反応を止め、後処理して得た結果を図4に
示す。レーン1〜3は、ランダム配列オリゴ核酸濃度が
2.62μMのものを用い、RNase Hはそれぞれ0.0
6、0.6、6U/μlのものを用いた場合である。レーン
4〜6はランダム配列オリゴ核酸濃度が26.2μMのも
のを用い、RNase Hはそれぞれ0.06、0.6、6U/
μlのものを用いた場合である。0.06U/μlのRNase
Hを用いて、37℃で2時間、反応を行った場合に2
4ntの断片が検出された(図4に矢印で示す)。なお、2
4ntの断片が生じたことは、塩基番号61の3'末端側で
切断されたことを意味する。用いるRNase Hの濃度を
0.6又は6U/μlとすることにより、切断の程度がさら
に進み、その断片の大きさがさらに小さくなることもわ
かった。なお、0.06U/μlのRNase Hを用いた場合
に生じる断片(矢印で示す)の大きさが24ntであること
は、配列番号3に示す30量体のRNAを別途合成し、
その5'末端を標識化後に、酸処理及びRNase T1 処理
して得られた断片との比較から確認した。このRNAの
塩基配列は、本実験で用いたVEGFmRNAの塩基配
列38番目〜67番目に等しい。更に、この24ntの断
片が完全長のVEGFmRNAから直接に、すなわち反
応の一次産物として生じたものであるか否かを確かめる
ために、以下に示すように、2.62μMの9量体のラン
ダム配列オリゴ核酸、及び0.06U/μlのRNase Hを
用い、その生成を経時的に調べた。
【0016】ランダムスクリーニング法による結果 以上の結果をもとにVEGFmRNA上のアンチセンス
核酸の標的部位を確定するために、反応混合液中の9量
体のランダム配列オリゴ核酸(天然型及びホスホロチオ
エート型)の濃度を2.62μM、RNase Hを0.06U/
μlとして上記反応を繰り返した。即ち、37℃で反応
を行い、1分、5分、30分、90分、180分の反応
時間で得られた断片を調べた。図3の結果を得た場合と
同様にEDTAを添加して反応を止め、後処理して得た結果
を図5に示す。レーン1からレーン5までは、天然型ラ
ンダム配列オリゴ核酸存在下であり、反応時間は順に1
分、5分、30分、90分、180分の場合である。レ
ーン6及びレーン7はそれぞれコントロールであり、レ
ーン6は、ランダム配列オリゴ核酸が存在しない(RNa
se Hは存在する)場合であり、レーン7はRNase Hが
存在しない(天然型ランダム配列オリゴ核酸は存在する)
場合である。反応時間は、レーン6、7のいずれも18
0分である。レーン8から12は、9量体のホスホロチ
オエート型ランダム配列オリゴ核酸存在下であり、反応
時間が順に1分、5分、30分、90分、180分の場
合である。図5で示されるように、コントロール(レー
ン6:ランダム配列オリゴ核酸が存在しないとき、およ
びレーン7:RNase Hが存在しないとき)では、上述
の24ntの断片が確認されないが、天然型ランダム配列
オリゴ核酸存在下においては、5分の反応で、ホスホロ
チオエート型ランダム配列オリゴ核酸存在下において
は、90分の反応で検出され始めた。更に、反応を続行
すると、該断片の量が増加すると共に、より小さな断片
の量も増大していることがわかる。以上の結果より、こ
の24ntの断片は、RNase Hにより、VEGFmRN
Aから直接に、すなわちVEGFmRNAの一次産物と
して生じた断片であると確認された。又、この断片は、
天然型又はホスホロチオエート型の9量体ランダム配列
オリゴ核酸のいずれを用いても生じることがわかる。そ
こで更に、6量体の天然型ランダム配列オリゴ核酸を用
いて、上述と同様の反応を37℃で2時間行った。図3
の結果を得た場合と同様にEDTAを添加して反応を止
め、後処理して得た結果を図6に示す。図6でレーン2
は6量体の天然型ランダム配列オリゴ核酸6量体を加え
た場合であり、レーン3は比較のため9量体の天然型ラ
ンダム配列オリゴ核酸を加えた場合であり、いずれの場
合にも0.06U/μlのRNase Hが共存する。レーン4
は対照として、RNase H非存在下で9量体の天然型ラ
ンダム配列オリゴ核酸を加えた場合、レーン5は対照と
して、天然型ランダム配列オリゴ核酸非存在下で0.0
6U/μlのRNase Hを加えた場合である。さらに、レ
ーン1は、サイズマーカーであり、配列番号3に示す3
0量体RNAの5'末端を32Pの放射性同位元素でVEG
FmRNAと同様の操作法で標識したものである。図6
からわかるように6量体の天然型ランダム配列オリゴ核
酸を用いても、9量体の天然型ランダム配列オリゴ核酸
の場合と同じ位置に、強度は弱いもののバンドが検出さ
れることがわかった(矢印で示す)。また、6量体のホス
ホロチオエート型ランダム配列オリゴ核酸を用いて上と
同様な実験を行った場合にも同様の部位で切断されるこ
とがわかった。次に、9量体または6量体の天然型また
はホスホロチオエート型のランダム配列オリゴ核酸存在
下、RNase Hで塩基番号61番目付近が切断される
(塩基番号61番目の3'末端側付近で切断される)ことを
再確認するために、さらに塩基番号61番目より下流に
存在する切断部位をより明確に求めるために、上述の5'
末端標識化VEGFmRNAの代わりに3'末端標識化V
EGFmRNAを使用し、以下の反応混合液を用いて同
様に実験を行った。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン すなわち、この反応混合液を37℃で5分〜240分保
った後に、0.5M EDTAを1μl添加して反応を停止
し、図3の結果を得た場合と同様な後処理をして得た実
験結果を図7に示す。レーン1〜レーン3までは対照で
あり、レーン1はRNase Hおよびランダム配列オリゴ
核酸ともに非存在下、レーン2はランダム配列オリゴ核
酸非存在下(RNase H存在下)、レーン3はRNase H
非存在下(ランダム配列オリゴ核酸存在下)である。レー
ン4〜レーン8までは9量体ランダム配列オリゴ核酸
(2.62μM)とRNase H(0.06U/μl)が存在してお
り、反応時間が順に5分、30分、60分、120分、
240分の場合である。図7からわかるように、反応時
間60分から塩基番号61番目付近での切断に相当する
断片(矢印1で示す)が検出された。また、同時に塩基番
号480番目付近に相当する断片(矢印2で示す)も検出
された。従って、この結果より、5'末端標識化VEGF
mRNAを用いた場合に検出された塩基番号61番目で
の切断片は、3'末端標識化VEGFmRNAを用いた場
合においても同様に検出され、該部位は切断を受けやす
い部位であることが確認出来た。更に、3'末端標識化V
EGFmRNAを用いることによって、塩基番号480
番目付近での切断も同様に受けやすいことがわかった。
次に、実際に細胞実験や動物実験で用いる際のアンチセ
ンス核酸の鎖長を考慮に入れ、それらと同一または同程
度の鎖長である20量体の天然型ランダム配列オリゴ核
酸を用いて同様の反応を行った。反応混合液中の20量
体のランダム配列オリゴ核酸の濃度を2.62μM 、R
Nase Hを0.006U/μl として37℃で反応を行っ
た。なお、使用するRNase H量は、9量体のランダム
配列オリゴ核酸を用いて行った実験の場合と同濃度(0.
06U/μl)を用いた場合、早い速度で切断反応が進行
し、経時変化を追跡することが困難であったため、従来
の1/10の量である0.006U/μlとした。そして、
反応時間は10秒、10分、120分とし、図3の結果
を得た場合と同様の後処理を行った。その結果を図8に
示す。レーン1及び2は、サイズマーカーであり、ラン
ダム配列オリゴ核酸の代わりに、アンチセンス核酸とし
て、A061F(配列番号4)、A206F(配列番号
5)、A291F(配列番号6)、A426F(配列番号
7)、A454F(配列番号8)、A485F(配列番号
9)を 1種類ずつ以下の反応混合液を用いて37℃で1
20分保った後、得られた反応混合液の3種類を等量ず
つ混ぜ、図3の結果を得た場合と同様な後処理を行って
得た。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン 具体的には、レーン1はA061F、A206F及びA
485Fのそれぞれの存在下で切断した反応混合液をさ
らに混合した物を、レーン2はA291F、A426F
及びA454Fのそれぞれの存在下で切断した反応混合
液をさらに混合した物を電気泳動した場合である。レー
ン3〜5は9量体ランダム配列オリゴ核酸存在下であ
り、反応時間が順に、10秒、10分、120分であ
る。レーン6〜8は20量体ランダム配列オリゴ核酸存
在下であり、反応時間が順に10秒、10分、120分
である。レーン9〜12はそれぞれ対照であり、ランダ
ム配列オリゴ核酸非存在下(RNase H存在下、レーン
9)、RNase H非存在下(レーン10は9量体のランダ
ム配列オリゴ核酸存在下、レーン11は20量体のラン
ダム配列オリゴ核酸存在下)、およびランダム配列オリ
ゴ核酸及びRNase Hともに非存在下(レーン12)であ
る。図8からわかるように、480番目付近で切断され
たバンド(矢印1)は用いるランダム配列オリゴ核酸の鎖
長が20量体の場合には反応初期(10秒)から検出され
た。ランダム配列オリゴ核酸の鎖長が9量体の場合に
は、反応時間10秒での検出はできないが、反応時間1
0分では弱いが検出可能であり、120分ではより強く
現れていることが確認できた。また、61番目付近での
切断によるバンド(矢印2)も、20量体のランダム配列
オリゴ核酸を用いた場合、10分で微かに検出可能であ
り、120分では顕著に検出できた。また、9量体のラ
ンダム配列オリゴ核酸を用いた場合にも、10分で微か
に検出可能であり、120分では顕著に検出できた。切
断パターンの詳細は、20量体もしくは9量体のランダ
ム配列オリゴ核酸を用いた場合で、多少の差はあるもの
の、塩基番号480番目付近、および61番目付近にお
いて切断を受けやすいことは共通して言えることであ
る。以上の結果より、20量体のランダム配列オリゴ核
酸を用いた場合には、塩基番号480番目付近が最も切
断を受けやすく、ついで塩基番号61番目付近が切断を
受けやすいことがわかった。また、9量体のランダム配
列オリゴ核酸を用いた場合には、塩基番号480番目付
近と塩基番号61番目付近がともに同程度に最も切断を
受けやすいことがわかった。なお、ここで用いたランダ
ム配列オリゴ核酸を蛇毒ホスホジエステラーゼで分解
し、アルカリホスファターゼで脱リン酸化してヌクレオ
シドとし、それをHPLCで分析してその塩基組成(dC:
dT:dG:dAのモル比)を調べたところ、20量体について
は、1.0:1.4:1.2:0.8であり、9量体につい
ては、1.0:1.6:2.1:0.7であった。20量体
のランダム配列オリゴ核酸を用いた場合、および9量体
のランダム配列オリゴ核酸を用いた場合における切断部
位(480番目付近および61番目付近)の切断の受けや
すさの違いや微細な点での切断パターンの違いの原因
は、オリゴ核酸の長さの違い、および塩基組成の違いに
よることが考えられる。
【0017】オリゴRNA鎖存在下におけるランダムス
クリーニング 今回、9量体のランダム配列オリゴ核酸を用いた際に、
構造遺伝子の上流である塩基配列番号61で切断される
ことがわかった。この部位は、mRNAを調製するため
に天然由来のVEGF遺伝子に対し、人工的に付加した
部位であり、細胞実験や動物実験におけるアンチセンス
核酸の標的部位としては適当ではない。このような部位
が最も切断されやすい部位として検出された場合に、こ
のような部位以外の切断部位を見いだすため、以下の実
験を行った。すなわち、切断部位およびその近傍に対し
て相補的な塩基配列を有するオリゴRNA鎖で切断部位
をブッロクし、該部位がRNase Hによって切断されな
いようにしてランダムスクリーニングを以下のように行
った。VEGFmRNAが塩基配列番号61番目付近で
切断されないように、以下に示す反応混合液を用いて、
5'末端標識化VEGFmRNAをあらかじめ10倍量の
配列番号10に示した14量体のオリゴRNAと37℃
で1時間反応させた。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン その後、上記反応混合液に以下のものを添加して37℃
で2時間反応させた。 RNase H(1.2U/μl) 2.0μl 9 量体ランダム配列オリゴ核酸(26.2μM) 2.0 そして、0.5M EDTAを 1μl添加し反応を停止した。図3
の結果を得た時と同様の後処理を行い得た結果を図9に
示す。レーン1〜5は、サイズマーカーである。すなわ
ち、レーン1はアンチセンス核酸としてA313N(配
列番号11)の存在下で、レーン2はアンチセンス核酸
としてA299N(配列番号12)の存在下で、以下の反
応混合液を用いて37℃で120分保った後、図3の結
果を得た場合と同様な後処理を行って得た結果である。
レーン3〜5は、アンチセンス核酸として、A089N
(配列番号13)、A095N(配列番号14)、A179
N(配列番号15)、A217N(配列番号16)、A29
9N(配列番号12)、A313N(配列番号11)を 1種
類ずつ以下の反応混合液を用いて37℃で120分保っ
た後、得られた反応混合液をさらに3種類ずつ等量混
ぜ、図3の結果を得た場合と同様な後処理を行って得
た。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン すなわち、レーン3はA095N、A217N及びA3
13Nの各々をアンチセンス核酸として用いて反応を行
い、得られた反応混合液をさらに等量ずつ混合し、それ
を電気泳動した結果であり、レーン4はA095N、A
179N及びA299Nの各々をアンチセンス核酸とし
て用いて反応を行い、得られた反応混合液をさらに等量
ずつ混合し、それを電気泳動した結果であり、レーン5
はA089N、A179N及びA313Nの各々をアン
チセンス核酸として用いて反応を行い、得られた反応混
合液をさらに等量ずつ混合し、それを電気泳動した結果
である。レーン6は対照であり、RNase H及びランダ
ム配列オリゴ核酸(又はアンチセンス核酸)ともに非存在
下で反応を行った場合の混合物を電気泳動した結果であ
る。レーン7は14量体RNA非存在下、レーン8は1
4量体RNA存在下である。図9に示すように、あらか
じめ14量体のRNAで切断部位をブロックしたことに
よって、塩基番号61番目付近での切断(矢印1)が見ら
れなくなり、代わりに構造遺伝子内に5つの切断部位
(矢印2〜6)が検出された。
【0018】複数種のアンチセンス核酸鎖を用いた場合
のスクリーニング結果 ランダム配列オリゴ核酸を用いる以外に複数種のアンチ
センス核酸を用いて、同様なスクリーニングが行えるか
どうかを調べた。その為にまず、無細胞系の実験で、V
EGFの発現阻害が認められなかったアンチセンス核酸
とVEGFの発現阻害が見られ、それがアンチセンス核
酸効果によると考えられるアンチセンス核酸を用いた場
合とで違いが検出できるかどうかを調べた(後に述べる
無細胞転写翻訳系におけるアンチセンス核酸の効果の項
参照)。発現阻害が見られなかったものとして、VEG
Fの塩基配列83〜96番目及び275〜288番目に
相補なアンチセンス核酸である、配列番号17及び18
に示すA083N及びA275Nを用いた(PCT/JP95/01
121参照)。アンチセンス核酸効果による発現阻害が見ら
れたアンチセンス核酸として、VEGFの塩基配列95
〜108番目、237〜240番目及び503〜510
番目に相補なアンチセンス核酸である配列番号14、1
9、及び2に示すA095N、A237N及びA503
Hを用いた(PCT/JP95/01121参照)。また、数種のアンチ
センス核酸存在下であっても切断部位を同様に検出でき
るかどうかを見るためにA083N、A095N及びA
237Nの3種を等濃度ずつ混ぜたものを用いた。反応
混合液の組成は次のとおりである。 *複数種のアンチセンス核酸を混合して用いる場合は各
々のアンチセンス核酸濃度が100nM(反応混合液中で
の濃度は各々が10nM)になるように調製した。 (注)5 ×反応用緩衝液の組成 750mM 塩化ナトリウム 100mM Tris-HCl(pH=7.4) 7.5mM 塩化マグネシウム 5.0mM ジチオスレオトール 250μg/μl 牛血清アルブミン この反応混合液を37℃で2時間保った後、0.5M E
DTA 1μlを添加し反応を停止し、上述と同様の操作
を行った。その結果を図10に示す。レーン1はA08
3N、レーン2はA275N、レーン3はA095N、
そしてレーン4はA237Nを添加した場合である。レ
ーン5はA083N、A095N及びA237Nの3種
混合物を添加した場合であり、レーン6はA503Hを
添加した場合(A503Hが mRNAにハイブリ(対合)
したことによる切断箇所に矢印3)である。さらに、レ
ーン7は対照であり、アンチセンス核酸及びRNase H
ともに非存在下の場合である。図10のレーン3及び4
に示すように、A095N及びA237Nを添加した場
合には、それぞれがVEGFmRNAに結合し該部位で
RNase Hにより切断されると仮定した場合の大きさの
断片(それぞれ矢印1及び2)が確認された。一方、A0
83N及びA275Nを添加した場合には、各々のVE
GFmRNA結合部位に対応する切断産物が確認されな
かった。また、A083N、A095N及びA237N
の3種を等量ずつ混合したものは、A095N及びA2
37Nのそれぞれに対応する切断産物が確認された。以
上の結果より、標識化VEGFmRNAを用いたこの系
においては、単一種もしくは複数種のアンチセンス核酸
を用い、それらがアンチセンス核酸効果を示すか否かの
判断ができることがわかった。このことは、言い換えれ
ば、ここで述べた方法を用いて、単一種又は複数種のア
ンチセンス核酸の中で、有効なアンチセンス核酸を選出
できることを意味する。さらに、本実験方法では、複数
種のアンチセンス核酸の効果を単一の反応混合系で調べ
られることが実証されたといえる。
【0019】VEGFの発現系 pSU02の発現系として、Promega社製の兎網状赤血
球溶解物由来の転写翻訳系を利用した(PCT/JP95/01121
参照)。pSU02にはVEGFの構造遺伝子の上流にS
P6プロモーターが存在するので、pSU02を用いて
転写翻訳を行う際は、Promega社製のTNTTMSP6 C
oupled Reticulocyte Lysate System。実験方法は、同
キットに添付の方法に従った。転写翻訳系の反応混合液
の組成は次の通りである。 35S-メチオニンは、Amersham社製のin vivo cell labe
lling grade(SJ1015,37TBq/mmol, 0.37MBq/ μl)を用
い、Promega社キットに添付の方法で示されている量の
半分に相当する量(1μl)を添加した。また、滅菌水
は、121℃で15分間処理したものを用いた。これら
及びpSU02以外の混合液組成物は、上述のPromega
社キットに含まれているものである。上述の反応混合液
を30℃又は37℃で1〜2時間保ち、目的の蛋白質で
あるVEGFを10〜100ng得た。VEGF発現の確認 (1)酵素免疫測定法 マイクロタイタープレート(ポリスチレン製)にポリクロ
ーナル抗体(ヒト由来のVEGFを大腸菌に産生させ、
その産生物を兎に投与して得た抗体)を常法に従って固
定化した(PCT/JP95/01121参照)。ついで、上に記載のV
EGF用の転写翻訳系混合液(30℃で2時間反応させ
たもの)を3倍から9375倍に希釈した液を加え、室
温(約25℃)で2時間放置した。この希釈液を除き、
0.1%ウシ血清アルブミンを含有するリン酸緩衝液で
充分に洗浄した。次に、西洋ワサビペルオキシダーゼで
標識した前記ポリクローナル抗体を添加し、室温で1時
間放置した。前記洗浄液で充分に洗浄した後、基質であ
るオルト−ジアミノベンゼン溶液を加え、適度に発色す
るまで室温で放置した(約30分)。その後、490nmに
おける吸光度を測定し、VEGFの含有量を評価した。
結果を図11に示す。プラスミドとしてpSU02を用
いた際、反応混合液の希釈倍率が小さい場合(3倍から
375倍希釈)の吸光度は、希釈倍率の大きい場合(18
75倍又は9375倍希釈)のそれにくらべ明らかに増
加した(図中の「○」)。このような現象は、VEGFを産
生しないpPoly(A)-luc(SP6)をプラスミドとして用
いた反応混合液の場合には見られない(図11に●で示
すが、同図において、すべての●は◎と重なる場所にあ
るため、実際には表示されていない)。即ち、この場合
は一定の吸光度の値を示し、その値は、pSU02を用
いた反応混合液を高希釈した場合の値及びコントロール
としてpSU02の代わりに水のみを加えて反応させた
反応混合液の場合の値(図中の「◎」)と実質的に等しい。
従って、pSU02を用いた反応混合液を低希釈した場
合の吸光度の増加は、VEGFが転写翻訳系混合液に含
まれていたためと結論できる。なお、プラスミドとして
pSU02を用いた際、3倍希釈での吸光度の値は15
倍希釈での値よりも小さい現象が観察された。これは反
応混合液中に、VEGFとそのポリクローナル抗体との
反応を有意に阻害する物質が含まれていたことを示唆す
る。 (2)電気泳動法 次にVEGFが上述の転写翻訳系で生成することをSD
S−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動法)で確認した(PCT/JP95/01121参
照)。SDS−PAGEは、Promega社の転写翻訳系キ
ットに添付されている手順書に従って、以下の通り行っ
た。転写翻訳系の反応混合液から5μlをとり、これに
20μlの2-メルカプトエタノール含有のSDS Sample
緩衝液(Promega社の手順書に示す組成の混合溶液を使
用)を加えて密栓した。ついで、100℃で2分間処理
を行い、蛋白質を変性させた。このうちの5μlをと
り、SDS−PAGE(15%又は17.5%のポリアク
リルアミドゲル)で電気泳動を行った。その後、オート
ラジオグラフィーを行うために、ゲルを濾紙に移し、ゲ
ル乾燥装置を用いて80℃で充分に乾燥させた。つい
で、暗室中でそのゲルをX線用フィルムと重ねてカセッ
トに入れ、10時間から100時間室温で放置したあ
と、X線用フィルムを現像した。その結果を図12に示
す。レーン1及び3はプラスミドとしてpSU02を用
いたときのバンドを、レーン2及び4は、プラスミドと
してpPoly(A)-luc(SP6)を用いたときのバンドを示
す。また、レーン1及び2は転写翻訳系の反応を30
℃、レーン3及び4は転写翻訳系の反応を37℃で行っ
たものである。尚、分子量は、色素で標識した蛋白質の
分子量マーカー[Amersham社製のRainbowTMマーカー(高
分子量レンジ)]を同時に泳動し、その位置をもとに算定
した。プラスミドとしてpSU02を用いたときは、分
子量約15kdにバンドが認められるが、pPoly(A)-luc
(SP6)をプラスミドとして用いたときは、上述のバン
ドはなく、かわりに分子量約60kdの場所にバンドが見
られた。pSU02をプラスミドとしたときに生成する
VEGFの分子量は、そのアミノ酸配列から17.2kd
と計算でき、pSU02からVEGFが生成したことに
よることがわかった。
【0020】無細胞転写翻訳系におけるアンチセンス核
酸の効果 上に述べた方法を用い、VEGFmRNAに対するアン
チセンス核酸の効果を調べた(PCT/JP95/01121参照)。そ
の結果の一部を次に示す。 アンチセンス核酸 VEGFの発現率 A083 N(配列番号17) 46% A095 N(配列番号14) 0 A237 N(配列番号19) 2 A275 N(配列番号18) 85 A503 H(配列番号2) 1 この結果から明らかなように、A083N及びA275
NによるVEGF産生阻害効果に較べ、A095N、A
237N及びA503HによるVEGF産生阻害効果は
著しかった。すなわち、アンチセンス核酸の標的部位を
探索する本発明の方法とは、アンチセンス核酸法の考え
に基づき、mRNA又はmRNA前駆体上のアンチセンス
核酸の標的部位を探索する方法である。なお、その部位
を含む6量体以上の塩基配列に対して相補的なアンチセ
ンス核酸はアンチセンス核酸効果が期待できる。アンチセンス核酸の調製 標識mRNA、ランダム配列のオリゴ核酸及びRNase
Hを用いた実験結果から、VEGFの塩基配列の61番
目及び480番目付近が切断されることがわかった。こ
のことは、これらの塩基を含む領域がアンチセンス核酸
の標的部位として有効であることを示唆する。そこで、
このことを確かめるために、2つの領域の内61番目近
辺のアンチセンス核酸を数種合成し、兎網状赤血球溶解
物由来の転写翻訳系を用いて、VEGFの産生阻害に及
ぼすアンチセンス核酸効果を調べた。反応条件は使用し
たアンチセンス核酸を除いて、前に用いた方法(PCT/JP9
5/01121参照)と同一である。その結果、該切断部位を含
むA057N(57番目の塩基から70番目の塩基に相
補的な14量体の天然型DNA:配列番号20)及びそ
の付近に結合するA062N(62番目の塩基から75
番目の塩基に相補的な14量体の天然型DNA:配列番
号21)はVEGFの産生を顕著に阻害したが、該切断
部位を含まないA072N(72番目の塩基から85番
目の塩基に相補的な14量体の天然型DNA:配列番号
22)及びA077N(77番目の塩基から90番目の塩
基に相補的な14量体の天然型DNA:配列番号23)
はVEGFの産生を阻害しなかった。以上のことより、
VEGFの遺伝子の61番目の塩基を含む領域に対する
アンチセンス核酸は、VEGFの発現を有効に阻害する
ことがわかった。
【0021】
【発明の効果】本発明により、目的とする蛋白質をコー
ドするDNA又はRNA、特にmRNA又はmRNA前駆
体等上におけるアンチセンス核酸標的部位を効率よく確
定することが可能となった。また、ランダム配列オリゴ
核酸の代わりに複数種のアンチセンス核酸を用いること
によって、多数のアンチセンス核酸の中でより有効であ
る可能性が高いアンチセンス核酸を簡便に選出すること
ができるようになった。このことによって、治療剤、診
断剤、研究試薬の開発に有用な優れた効果を示すアンチ
センス核酸を容易に調製することができる。
【0022】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:774 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: cDNA to mRNA 配列: TTATGTATCA TACACATACG ATTTAGGTGA CACTATAGAA TACAAGCTTA 50 TGCATGCGGC CGCATCTAGA GGGCCCGGCC CCGGTCGGGC CTCCGAAACC 100 ATGAACTTTC TGCTGTCTTG GGTGCATTGG AGCCTTGCCT TGCTGCTCTA 150 CCTCCACCAT GCCAAGTGGT CCCAGGCTGC ACCCATGGCA GAAGGAGGAG 200 GGCAGAATCA TCACGAAGTG GTGAAGTTCA TGGATGTCTA TCAGCGCAGC 250 TACTGCCATC CAATCGAGAC CCTGGTGGAC ATCTTCCAGG AGTACCCTGA 300 TGAGATCGAG TACATCTTCA AGCCATCCTG TGTGCCCCTG ATGCGATGCG 350 GGGGCTGCTG CAATGACGAG GGCCTGGAGT GTGTGCCCAC TGAGGAGTCC 400 AACATCACCA TGCAGATTAT GCGGATCAAA CCTCACCAAG GCCAGCACAT 450 AGGAGAGATG AGCTTCCTAC AGCACAACAA ATGTGAATGC AGACCAAAGA 500 AAGATAGAGC AAGACAAGAA AAATGTGACA AGCCGAGGCG GTGAGCCGGG 550 CAGGAGGAAG GAGCCTCCCT CAGGGTTTCG GGAACCAGAT CCACTAGTTC 600 TAGATGCATG CTCGAGCGGC CGCCAGTGTG ATGGATATCT GCAGAATTCC 650 AGCACACTGG CCGTTACTAG TGGATCCGAG CTCCCAAAAA AAAAAAAAAA 700 AAAAAAAAAA AAAAACCGAA TTAATTCGTA ATCATGGTCA TAGCTGTTTC 750 CTGTGTGAAA TTGTTATCCG CTCA 774 配列番号:2 配列の長さ:8 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GCTCTATC 8 配列番号:3 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類: mRNA 配列:GAAUACAAGC UUAUGCAUGC GGCCGCAUCU 30 配列番号:4 配列の長さ:6 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GATGCG 6 配列番号:5 配列の長さ:6 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:ATGATT 6 配列番号:6 配列の長さ:6 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GGTACT 6 配列番号:7 配列の長さ:6 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GTTTGA 6 配列番号:8 配列の長さ:6 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:ATCTCT 6 配列番号:9 配列の長さ:6 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GCATTC 6 配列番号:10 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:UCUAGAUGCG GCCG 14 配列番号:11 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:ATGGCTTGAA GATG 14 配列番号:12 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:TACTCGATCT CATC 14 配列番号:13 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:ATGGTTTCGG AGGC 14 配列番号:14 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:AAGTTCATGG TTTC 14 配列番号:15 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:TCTGCCATGG GTGC 14 配列番号:16 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:TGAACTTCAC CACT 14 配列番号:17 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:TCGGAGGCCC GACC 14 配列番号:18 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:TGGAAGATGT CCAC 14 配列番号:19 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GCTGCGCTGA TAGA 14 配列番号:20 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:TCTAGATGCG GCCG 14 配列番号:21 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GGCCCTCTAG ATGC 14 配列番号:22 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:ACCGGGGCCG GGCC 14 配列番号:23 配列の長さ:14 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列:GCCCGACCGG GGCC 14
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミド(pSU02)のアガロースゲル電
気泳動の結果を示す写真である。
【図2】 VEGFmRNAの紫外線吸収スペクトルを
示す図である。
【図3】 VEGFの塩基配列503〜510番目に相
補的な配列をもつA503 H(8量体; 天然型)存在下にお
けるRNase HによるVEGFmRNAの切断結果を示
す変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真である。
【図4】 9量体ランダムオリゴ核酸の濃度とRNase
Hの濃度を変化させて、RNase HによるVEGFmR
NAの切断が検出できるかどうかを判定した結果を示す
変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真である。
【図5】 VEGFmRNA上のアンチセンス核酸の標
的部位の確定が9量体ランダム配列オリゴ核酸(天然型
及びホスホロチオエート型)で可能か否かを判定した結
果を示す変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真で
ある。
【図6】 VEGFmRNA上のアンチセンス核酸の標
的部位の確定が6量体及び9量体天然型ランダム配列オ
リゴ核酸で可能か否かを判定した結果を示す変性ポリア
クリルアミドゲル電気泳動の写真である。
【図7】 天然型9量体ランダムオリゴ核酸を用いRN
ase Hによる3'末端標識化VEGFmRNAの切断部位
の検出を行った結果を示す変性ポリアクリルアミドゲル
電気泳動の写真である。
【図8】 VEGFmRNA上のアンチセンス核酸の標
的部位の確定が20量体ランダム配列オリゴ核酸(天然
型及びホスホロチオエート型)で可能か否かを判定した
結果を示す変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真
である。
【図9】 オリゴRNA鎖であらかじめVEGFmRN
Aの切断部位をブッロクさせた状態で9量体天然型ラン
ダム配列オリゴ核酸によりアンチセンス核酸の標的部位
の確定が可能か否かを判定した結果を示す変性ポリアク
リルアミドゲル電気泳動の写真である。
【図10】 複数種のアンチセンス核酸を用いて、VE
GFmRNA上のアンチセンス核酸部位の確定が可能か
否かを判定した結果を示す変性ポリアクリルアミドゲル
電気泳動の写真である。
【図11】 VEGFの発現を示す抗原抗体反応の結果
の図である。
【図12】 転写翻訳系でVEGFが生成することを示
すSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目的とする蛋白質をコードするDNA又
    はRNAと複数のランダムな塩基配列を有するオリゴ核
    酸とをハイブリダイズ(対合)させることによりアンチセ
    ンス核酸の標的部位を確定し、該標的部位にハイブリダ
    イズ(対合)する核酸を取得することを特徴とするアンチ
    センス核酸の調製方法。
  2. 【請求項2】 目的とする蛋白質をコードするDNA又
    はRNAと複数のランダムな塩基配列を有するオリゴ核
    酸とをハイブリダイズ(対合)させると共に核酸分解能を
    有する物質でハイブリダイズ(対合)した箇所を分解させ
    ることによりアンチセンス核酸の標的部位を確定し、該
    標的部位にハイブリダイズ(対合)する核酸を取得するこ
    とを特徴とするアンチセンス核酸の調製方法。
  3. 【請求項3】 核酸分解能を有する物質がRNase Hで
    あることを特徴とする請求項2のアンチセンス核酸の調
    製方法。
  4. 【請求項4】 目的とする蛋白質をコードするDNA又
    はRNAがmRNA又はmRNA前駆体の全部又は一部で
    あることを特徴とする請求項1又は2のアンチセンス核
    酸の調製方法。
  5. 【請求項5】 目的とする蛋白質をコードするDNA又
    はRNAがmRNA又はmRNA前駆体の全部又は一部で
    あり、且つ一端が標識化されたものであることを特徴と
    する請求項1又は2のアンチセンス核酸の調製方法。
  6. 【請求項6】 ランダムな塩基配列を有するオリゴ核酸
    が塩基数4〜30のオリゴ核酸であることを特徴とする
    請求項1又は2のアンチセンス核酸の調製方法。
  7. 【請求項7】 ランダムな塩基配列を有するオリゴ核酸
    が塩基数6〜25のオリゴ核酸であることを特徴とする
    請求項1又は2のアンチセンス核酸の調製方法。
  8. 【請求項8】 ランダムな塩基配列を有するオリゴ核酸
    がアンチセンス核酸として有効な核酸の塩基数と同一も
    しくは同程度の長さであることを特徴とする請求項1又
    は2のアンチセンス核酸の調製方法。
  9. 【請求項9】 実質的に同一塩基数を有する複数のラン
    ダムな塩基配列を有するオリゴ核酸を用いることを特徴
    とする請求項1又は2のアンチセンス核酸の調製方法。
  10. 【請求項10】 標的部位の対象から除外すべき部位に
    実質的に相補な塩基配列を持ち、核酸分解能を有する物
    質による分解を受けない機能を有する核酸を併用し、目
    的とする蛋白質をコードするDNA又はRNAの塩基配
    列の一部を標的部位の対象外とすることを特徴とする請
    求項2のアンチセンス核酸の調製方法。
  11. 【請求項11】 併用する核酸がオリゴリボヌクレオチ
    ド又はメチルホスホネート型のオリゴデオキシリボヌク
    レオチドであることを特徴とする請求項10のアンチセ
    ンス核酸の調製方法。
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