JPH091467A - バイス - Google Patents

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JPH091467A
JPH091467A JP17665795A JP17665795A JPH091467A JP H091467 A JPH091467 A JP H091467A JP 17665795 A JP17665795 A JP 17665795A JP 17665795 A JP17665795 A JP 17665795A JP H091467 A JPH091467 A JP H091467A
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Tokuo Yamaguchi
徳雄 山口
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Takeda Machine Tools Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークを挟持する固定ジョーと可動ジョーと
の暫定間隔を、ワークの大きさに概略適合させて簡易な
操作で能率よく設定する。 【構成】 ベース6の前端側に固定ジョーを設け、後端
側に、可動ジョーを具えた押圧部を進退自在に設ける。
又該ベース6の一側部に、その長さ方向に沿ってラック
状歯16を設ける。その山形を、ベースに直交する直交
面19と、固定ジョー側に傾斜する傾斜面21との連続
により構成する。ラック状歯16に対向する押圧部付設
のホルダー部22に、前記直交面19と係合しうる爪部
材23を設ける。この爪部材の係合状態を、ベースと平
行するようにホルダー部22に設けた解除レバー25の
引き操作で解除可能とする。又、コイルバネ59の付勢
作用により、爪部材23をラック状歯16と係合状態に
保持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークを挟持する固定
ジョーと可動ジョーとの間隔を、ワークの大きさに概略
適合させて簡易な操作で能率良く設定することのできる
バイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ワークを挟持し位置固定するために用い
られるバイスの最も基本的な構造は、例えば、しゃこ万
力に見られるように、対向して配置した挟持片を、その
一方(可動片)が他方(固定片)に対して進退できるよ
うに設け、その可動片側に螺旋軸を連結し、この螺旋軸
をレバーで回動操作することによって、前記可動片を固
定片に向け移動させ、両挟持片間にワークを挟持し、位
置固定するものである。
【0003】このような原始的なバイスの場合、挟持す
べきワークが小さいときには、レバーの回動を数多くし
なければならないという問題があった。そこで、ワーク
のサイズに近似した位置にまで可動片を暫定的にスライ
ド移動させ、その位置を固定しておき、残りの挟持のた
めの移動を、手動による螺旋軸の回動或いは油圧やエア
シリンダの機械的手段で行わせる構成が提案された。そ
のためには、可動ジョーを挟持位置近くで一旦仮止めす
る必要があり、その一つの手段として、図11に示す如
く、ベースaと可動ジョーbとに亘って固定ピンcを抜
き差しする方法が採用されている。
【0004】従って予め、固定ピンを挿通する挿通孔c
1を可動ジョーのスライド範囲において、ベース側に多
数設けておく必要があるが、それにも、機械的強度や加
工のための経済的な限界があり、せいぜい100mm程
度の間隔で穿孔できるに過ぎなかった。従って、残りの
挟持のための可動距離が100mm以上必要となる場合
が生じ、比較的大きなストロークの油圧或いはエアシリ
ンダ等が必要となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者はこう
した現状に鑑み、可動ジョーを暫定的にスライド移動さ
せ、仮止めする手段として、前記のような、固定ピンを
ベースと可動ジョーとに亘って挿通する方法に代え、図
12〜13に示すような係脱機構の応用を考えた。該機
構は、ベースdの一側部にその長手方向にラック状歯e
を形成し、このベースdをスライドする可動ジョーf側
に、前記ラック状歯eに係合する爪片gを具えた爪部材
hを設けてなる。そして、可動ジョーfが固定ジョーi
の方向に移動される時に爪片gがラック状歯の山形部j
を乗り越え(図13の右側に一点鎖線で示す爪部材hの
状態)るように、且つ、固定ジョーiから可動ジョーf
が離れる方向にはラック状歯eの直交面kに爪片gが係
合して該可動ジョーfの位置を固定できる(図13の左
側に実線で示す爪部材hの状態)ように、前記爪部材h
を弾性的に付勢する構成である。
【0006】従ってワークを挟持する際には、手動操作
によって可動ジョーfを固定ジョーiに向けて押し、爪
片gがラック状歯eの各山形部jを順次乗り越えるよう
にしながら前進させ、ワークを暫定的に挟持する位置で
止める。然る後、機械的手段によって可動ジョーfを前
進させ、ワークを固定ジョーiとの間で強力に挟持し位
置固定することになる。
【0007】逆にワークの挟持を解除するには、図12
〜13に一点鎖線で示す状態にノブmを引き操作して、
爪部材hを係合解除位置に引き(後退させ)、可動ジョ
ーfを、図12に矢印で示すように手動操作で引き戻す
ことになる。
【0008】このようにラック状歯eと爪部材hとを設
ける場合には、従来の固定ピンの挿通孔を設ける場合に
比べ、爪部材とラック状歯との係合により非常に細かい
暫定位置決めが可能になると共に、固定ピンの挿通孔を
穿孔する方式に比べてべースの強度が低下する恐れがな
い。又固定ピンの抜き差しという煩わしさもない。
【0009】しかしながら、爪部材hをラック状歯eと
係合させる必要があるために、爪部材の係脱の方向は、
ベースに直交する方向となり、その結果次の如き新たな
問題が発生した。
【0010】 係脱のための爪部材を具えるため、該
爪部材及びその操作機構(付勢スプリングや操作ノブ
等)がバイス側部に突出状態となってバイス幅が大きく
なり、従って、挟持されたワークに対して加工を行う際
に、作業者がこれに引っ掛かる恐れがあった。
【0011】 ワークの加工完了時或いは可動ジョー
を挟持状態から離したい事態が発生した時の可動ジョー
の引き操作の操作方向と、その際に必要な爪部材の係合
解除方向とが直交する。そのため、一人の作業者が一方
の手で爪部材の引き操作を行うと共に他方の手で可動ジ
ョーの離間操作を行うことを要し、操作が難しいし、操
作できるとしても、能率的にスピーディーに行い難いと
いう問題がある。加えて、爪片の係合解除状態をロック
する機構を設けることが考えられるが、こうしたロック
機構を付設すると、なお一層バイス幅が増大し、これが
邪魔な突起物となって作業に支障をきたすことになる。
【0012】 その上こうしたバイスは、ワークの種
類によっては、複数台を並列して使用する場合がある。
その際、各バイスは長尺のベッドにスライド可能に載置
されることになるが、各バイスの位置決めに際して長尺
ベッド上をスライドさせる時に、バイス相互が衝突する
こともある。その際、前記のように、可動ジョーの側部
に爪部材の操作ノブやロック機構が突出していると、衝
突時にこれが破損し易く故障の原因となる問題もある。
【0013】本発明は、かかる課題を解決し、可動ジョ
ーの細かな暫定仮止めを容易に行うことができながら、
バイスの後端側(可動ジョーの基端側)から爪部材の解
除操作を行い得て全体をコンパクトに構成することので
きる、操作性に優れたバイスを提供することを目的とす
るものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は以下の手段を採用する。即ち本発明に係るバイ
スは、ベースの前端側に固定ジョーを設けると共に後端
側に、可動ジョーを具えた押圧部を前記固定ジョーに対
して進退自在に設け、該押圧部の前進により前記可動ジ
ョーを前記固定ジョーに対し押圧してワークを挟持する
ように構成したバイスにおいて、前記ベースの少なくと
も一側部に、その長手方向に沿ってラック状歯を設け、
そのラック状歯の山形を、ベースに直交する直交面と、
該直交面の底部から前記固定ジョー側に傾斜する傾斜面
との連続により構成してなる。又前記ラック状歯に対向
する、前記押圧部に設けたホルダー部に、前記直交面と
係合しうる爪片を具えた爪部材を、前記ラック状歯に対
して直交する方向に摺動自在に設ける。又前記爪片の係
合状態を解除する解除レバーを、前記爪部材の摺動方向
に直交する方向で且つベース後方に向けて引き操作可能
に設ける。又、押圧部が固定ジョーから離間するのを阻
止するように、スプリングの付勢作用によって前記爪片
を前記ラック状歯との係合状態に保持せしめ、前記爪部
材と前記解除レバーとを爪片作動規制機構により連結
し、前記可動ジョーを具えた押圧部を固定ジョーに向け
てスライドさせる操作によって、又は前記解除レバーの
引き操作によって、前記爪片と前記ラック状歯との係合
状態を解除可能としたことを特徴とするものである。
【0015】前記バイスにおいて、解除レバーの前端側
の部分をホルダー部の前端から突出させると共に、該突
出部分の端部側に設けた受部とホルダー部の前端との間
にスプリングを稍圧縮状態で介装させる構成を採用でき
る。
【0016】前記各バイスにおいて、爪片作動規制機構
を、爪部材の摺動をラック状歯に対して直交する方向に
規制する、ホルダー部に設けた案内壁と、解除レバーの
一部に設けた、該解除レバーの軸線に対し傾斜すると共
にその前端がラック状歯から遠く且つ後端がラック状歯
に近いカム溝と、爪部材の一部に設けられ且つ該カム溝
に係合しうる係合ピンとから構成するのがよい。或い
は、爪部材の摺動をラック状歯に対して直交する方向に
規制する、ホルダー部に設けた案内壁と、解除レバーの
一部に設けた係合ピンと、該係合ピンに係合するように
前記爪部材の一部に設けられた、解除レバーの軸線に対
し傾斜すると共にその前端がラック状歯から遠く且つ後
端がラック状歯に近いカム溝とから構成するのがよい。
【0017】前記各バイスにおいて、解除レバーによる
爪片の係合解除状態をロックするロック機構を設けるの
がよい。又解除レバーを、その前側をなし且つ爪片作動
規制機構を介して爪部材に連結される本体レバーと、そ
の後側をなし且つ後端にノブを具えたノブ側レバーとか
ら構成し、該ノブ側レバーは、その軸線回りに回転可能
となるように前記本体レバーの後端に連結し、該ノブ側
レバーの周面部には、解除レバーの軸線方向に延びる案
内溝の前端に、解除レバーの周方向に延びる係合溝を連
設してなるL字状の規制溝を設け、又該規制溝に係合す
る規制ピンを前記ホルダー部に設けるのがよい。
【0018】又前記各バイスにおいて、可動ジョーの締
め付けに用いる押圧機構としては、螺旋軸を手動或いは
電動モータで回転させる手段や、エアシリンダや油圧シ
リンダを用いる手段等、適宜の手段を用いることができ
る。
【0019】
【作用】然して自由状態においては、スプリングの付勢
作用によって、爪片が、ラック状歯の直交面に当接する
係合状態に保持されている。
【0020】この状態で可動ジョーを固定ジョー側に前
進させると、係合爪がラック状歯の傾斜面に衝突する。
爪部材がホルダー部に摺動自在に設けられているため、
該爪部材はその後、スプリングを弾性変位させながら、
爪片がラック状歯から外れる方向にスライドする。可動
ジョーを押し続けてこのような作動を繰り返すことによ
り、爪片が順次ラック状歯の各山形部を乗り越えてい
く。ラック状歯の所定の山形部と爪片とは、スプリング
の伸長方向の付勢作用によって自ずから係合状態とな
り、これにより、細かい段階で可動ジョーの暫定位置が
設定されることになる。従って、可動ジョーを固定ジョ
ーに向けて前進させ、固定ジョーと可動ジョーとの間で
ワークを挟持せしめうる。
【0021】ワークの加工が終了した時点等において、
可動ジョーを固定ジョーから離す場合は、バイスの後端
側に立つ操作者が前記解除レバーをベース後方に向けて
引き操作することにより、爪片をラック状歯から後退さ
せてその係合状態を解除できる。即ち、解除レバーの引
き操作を、バイスの後端側に立つ操作者が手元側で容易
に行うことができる。
【0022】特に、爪片作動規制機構を、爪部材の一部
に設けた係合ピンと、それと嵌合するように、解除レバ
ーの一部に設けたカム溝とを具える構成としたときは、
解除レバーの引き操作に伴い、係合ピンが該カム溝を相
対的に摺動して、爪片がラック状歯を外れる方向に動き
うる。
【0023】このことは、前記とは逆に、解除レバーの
一部に係合ピンを設け、且つ爪部材の一部にカム溝を設
ける構成によっても達成されうる。
【0024】特に、解除レバーによる爪片の係合解除状
態をロックするロック機構を設けた場合には、爪部材を
係合解除状態に固定できるので、可動ジョーをフリーの
状態に保持できる。又このロック機構を、前記のように
本体レバーとノブ側レバーとからなる解除レバーを以っ
て構成し、該ノブ側レバーの周面部にL字状の規制溝を
設け、且つ該規制溝に規制ピンを係合させたときは、解
除レバーの引き操作とノブ側レバーの回動操作との連続
した操作によって、容易にロック状態に持ち込むことが
できる。
【0025】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。図1〜2において本発明に係るバイス1は、長尺
テーブル2の長手両側面部に設けた係合溝3,3に係合
可能な突条5を具えたベース6の前端側に固定ジョー7
を設けると共に、バイスの後端側に、可動ジョー9を具
えた押圧部10を前記固定ジョー7に対して、ベースの
上部分に設けた案内レール11に沿って進退自在に設
け、押圧部の前進により可動ジョー9を固定ジョー7に
対し押圧してワーク12を挟持するように構成されてい
る。なお前記ベース6は、図2に示すロックネジ13の
締め付けによって長尺テーブル2に固定される。
【0026】前記押圧部10には複動のエアシリンダ1
5が内蔵されており、該エアシリンダ15の伸長によっ
て可動ジョー9を前進せしめ、前記固定ジョー7との間
でワーク12を挟持する。このエアシリンダのストロー
クは、本発明のバイスがラック状歯を応用する暫定位置
設定機構を採用するため、比較的小さなものでよい。
【0027】前記ベース6の一側部には、図1、図3に
示すように、その長手方向に沿って且つ、ベースの後端
より内方に稍控えた位置からベースの中央部よりも稍固
定ジョー寄り部位に亘って、ラック状歯16が連続して
設けられており、該ラック状歯16の山形17を、ベー
ス6に直交する直交面19と、該直交面19の底部20
から前記固定ジョー7側に傾斜する傾斜面21との連続
により構成している。
【0028】このラック状歯16は、ベース6の両側部
に設けることもできるが、その場合には、これに対応す
る爪部材等の機構一式が必要となり、コスト高を招く。
そのためラック状歯は、好ましくは一側部に設けるのみ
でよい。
【0029】又前記押圧部10の一側部に、前記ラック
状歯16に対向するようにホルダー部22が設けられて
おり、該ホルダー部22には、図3、図6に示すよう
に、前記ラック状歯16に対して直交する方向に可動で
ある爪部材23と、該爪部材23の係合状態を解除する
解除レバー25とが組み込まれている。
【0030】該爪部材23は、前記ラック状歯16に対
して直交する方向にホルダー部22に貫設した案内孔2
6の内周面(案内壁)27と密接しながら摺動可能であ
る本体29の先端面に、爪片30を突設してなる。この
爪片30は、前記ラック状歯の山形17の直交面19と
当接しうる平坦な係合面32を有すると共に、それに対
向する側の面(山形部の傾斜面21と対向する側の面)
35は、先端に向かうにつれて爪片30が徐々に先細化
するように湾曲面として形成されている。
【0031】そして本体29の基端側部分を除く部分に
は、図3〜4に示すように、先端で開放する水平な割溝
36が設けられており、上下の挟持片37,37に、係
合ピン固定孔39,39が上下方向に貫設されている。
【0032】一方前記解除レバー25は、図3に示すよ
うに、前記爪部材23の摺動方向と直交する方向で且つ
ベースの後端に向けて引き操作可能である、ベース6と
平行した棒状に構成されており、ベースと平行して前記
ホルダー部22に貫設された挿通孔40に、貫通状態に
挿通せしめられている。該解除レバー25は、本実施例
においては、本体レバー41とその後端に連結されたノ
ブ側レバー42とからなる。
【0033】該本体レバー41は段付き円柱状をなし、
前記挿通孔40に納まる大径部43と、それと軸線を共
通にして大径部前端に突設された小径のバネ挿通軸45
とからなり、該バネ挿通軸45が、ホルダー部22の前
端部に設けた透孔46を挿通してホルダー部前方に突出
している。
【0034】そして、前記大径部43の中間部分の上下
が欠切されて挿入板部49が形成されており、図3〜4
に示すように、該挿入板部49が前記割溝36に嵌挿せ
しめられている。該挿入板部49には、解除レバーの軸
線に対して傾斜すると共にその前端50がラック状歯1
6から遠く且つ後端51がラック状歯16に近い長溝と
してのカム溝52が設けられ、該カム溝52を挿通する
円柱状の係合ピン53の両端が、前記係合ピン固定孔3
9,39に固定されている(図4)。
【0035】そして前記バネ挿通軸45には、その前端
部側に設けられた鍔状受部56とホルダー部の前端面5
7との間に、コイルバネ59が初期圧縮された状態で外
挿せしめられている。この初期圧縮されたコイルバネの
付勢作用によって、前記係合ピン53は、カム溝52の
後端側の内周面60と当接状態にある(図6)。
【0036】又前記大径部43の後端には、図3、図5
〜6に示すように、前記挿通孔40の後端寄り部位に設
けた矩形状開口部61内に収容される連結片62が設け
られている。この連結片62は、矩形状開口部61の後
面63と当接しうる基片65を有するコ字状部66の上
下端を内方に折曲してなり、幅広溝部67に幅狭溝部6
9が連設された、側面視で横T字状の連結溝70を有す
る。
【0037】又前記ノブ側レバー42は、挿通孔40の
後端側の部分40aに密接して挿通された軸部71の前
端に、前記幅狭溝部69を挿通する円柱軸72が突設さ
れ且つその前端に、前記幅広溝部67内に存する円板片
73が、円柱軸72と同心に突設されている。そして、
該円板片73が幅広溝部67内に存することによって、
該ノブ側レバー42は本体レバー41の後端に連結され
ている。又前記軸部71の後端には、円板状のノブ75
が突設されている。
【0038】そして前記軸部71の周面部には、図6に
示すように、解除レバーの軸線方向に延びる案内溝76
の前端に、解除レバーの周方向に延びる係合溝77を連
設してなるL字状の規制溝79が設けられている。又、
ホルダー部22の後端側の頂部に固定されて下方に突出
する規制ピン80の先端部分81が、前記規制溝79内
に嵌合せしめられており(図5〜6)、該先端部分81
は、ノブ側レバー42の引き操作及び回転操作に伴い、
相対的に、該規制溝79に沿って移動しうる。
【0039】そして、バイスの後端側に立つ作業者が図
6に示す状態からノブ75を手前に引くと、連結片62
を介して本体レバー41が、前記コイルバネ59を更に
圧縮させつつ後方に向けて引かれることになる。それに
伴い、前記係合ピン53が前記傾斜したカム溝52に案
内され、結果的に、爪片30がラック状歯16から外れ
る方向に摺動せしめられ(図7)、該係合ピン53がカ
ム溝52の前端50側に位置することにより(図8)、
爪片30とラック状歯16との係合状態が完全に解除さ
れた状態となる。然る後ノブ75を回動させ、前記規制
ピンの先端部分81を周方向の係合溝77内に導入する
と(図8)、解除レバー25はその状態で保持され、こ
れにより、前記爪片30の係合解除状態が保持される。
この状態で可動ジョー9は、固定ジョー7に対して進退
自在である。
【0040】然して本実施例に係るバイス1によるとき
は、その自由状態においては、図3、図6に示すよう
に、コイルバネ59の伸長方向の付勢作用によって、爪
片30が、ラック状歯16の直交面19に当接した係合
状態で保持されている。
【0041】この状態で、可動ジョー9を固定ジョー7
側に向けて前進させると、爪片30がラック状歯16の
傾斜面21に衝突する。前記のように、爪部材23がホ
ルダー部22に摺動自在に設けられているため、該爪部
材23はその後、コイルバネ59を圧縮変位させなが
ら、爪片30がラック状歯16から外れる方向にスライ
ドする(図7)。可動ジョー9を押し続けてこのような
作動を繰り返すことにより、爪片30が順次ラック状歯
の各山形部31を乗り越えていく。ラック状歯の所定の
山形部と爪片とは、コイルバネ59の伸長方向の付勢作
用によって自ずから係合状態となり、これにより、細か
い段階で可動ジョーの暫定位置が設定されることにな
る。従って、押圧部10を固定ジョー7に向けて前進さ
せ、図9に示すように、固定ジョー7と可動ジョー9と
の間でワーク12を挟持せしめうる。
【0042】ワークの加工が終了した時点等において、
可動ジョー9を固定ジョー7から離す場合は、バイスの
後端側に立つ作業者が、前記解除レバー25を図9に一
点鎖線で示すように後方に引き操作することにより、図
8に示すように爪片30がラック状歯16から外れた状
態となる。即ち、ノブ75を把持してこれを手前に引く
ことにより、爪片の係合解除と可動ジョーの後退を同時
に達成できることになる。即ち、解除レバーの引き操作
を、バイスの後端側に立つ操作者が手元側で容易に行う
ことができる。
【0043】又、爪部材23と解除レバー25とを連結
する爪片作動規制機構を、爪部材23の一部に設けた係
合ピン53と、それと嵌合するように、解除レバー25
の一部に設けたカム溝52とを具える構成としているた
め、解除レバー25の引き操作に伴い、係合ピン53が
該カム溝52を相対的に摺動して、爪片30がラック状
歯に対して直交する方向に動きうる。
【0044】本実施例においては、解除レバー25を、
本体レバー41とノブ側レバー42とから構成し、ノブ
側レバーの周面部にL字状の規制溝79を設け、該規制
溝79に規制ピン80を係合させる構成のロック機構を
採用するため、解除レバー25の引き操作とノブ側レバ
ー42の回動操作との連続した操作によって、解除レバ
ーによる爪片の係合解除状態をロックできる。
【0045】その他の実施態様 本発明に係るバイスにおいて、スプリングはコイル
バネ以外のものも用いることができ、このスプリングを
ホルダー部に内蔵してもよい。
【0046】 前記実施例におけるとは逆に、図10
に示すに、カム溝52を爪部材23の一部に設けると共
に、係合ピン53を解除レバー25の一部に設ける構成
を採用してもよい。この場合カム溝52は、解除レバー
の軸線に対し傾斜し、その前端50がラック状歯16か
ら遠く且つ後端51がラック状歯16に近いものとして
構成される。そしてこの場合も前記と同様に、コイルバ
ネ59の付勢作用によって、爪片30が、ラック状歯の
直交面19に当接する係合状態に保持される。又解除レ
バー25を、図10に一点鎖線で示すように、コイルバ
ネの付勢作用に逆らってベース後方に向け引き操作する
ことにより、爪片30をラック状歯16から後退させて
その係合状態を解除できる。
【0047】
【発明の効果】本発明は以下の如き優れた効果を奏する 本発明によるときは、荒い段階での仮止めとならざ
るを得ずしかも一々固定ピンの抜き差しを要した前記固
定ピン抜き差し方式のバイスにおける問題点を解決で
き、可動ジョーの暫定的な仮止め操作を、ラック状歯へ
の爪片の係合によって細かい段階でしかも可動ジョーを
押すだけの簡単な操作で行いうる。しかも、このように
細かい段階で暫定位置決めができながら、固定ピン抜き
差し方式におけるように、ベースの強度低下を招くおそ
れもない。
【0048】 又、可動ジョーを固定ジョーから引き
離す方向(ベース後方)に解除レバーを引き操作するこ
とにより、ラック状歯に対する爪部材の係合状態を解除
できる。従って、加工完了時等において可動ジョーを固
定ジョーから引き離す操作は、解除レバーを引き続ける
一動作だけで済む。このように本発明に係るバイスは、
前記引き離し作業を一人で簡便に行うことを可能とし、
操作性に非常に優れている。
【0049】 又本発明は、ラック状歯と爪部材によ
る係合構造を採用しているにも関わらず、爪部材の操作
ノブや付勢機構をバイスの側面に突出させる構成は採用
していない。即ち、解除レバーの引き操作の方向を爪部
材の摺動方向と直交させている。このようなことから、
前記操作ノブ等の突起物が作業者に引っ掛かる恐れがな
く、加工作業をスムースに能率よく行いうる。
【0050】 又本発明は、爪部材の操作ノブをベー
スの後端側に位置させている。それ故、長尺のワークに
対して、かかる構成のバイスを複数台並列に配置して使
用する場合において、各バイスを長尺テーブル上で滑動
させて位置決めする際、バイス同士を不測に衝突させて
しまったとしても、バイス側面に操作ノブを突出させる
場合に生ずる故障を未然に防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】その側面図である。
【図3】爪部材と解除レバーとを爪片作動規制機構によ
り連結してなる構造を説明する斜視図である。
【図4】解除レバーを構成する本体レバーに設けた挿入
板部を爪部材に設けた割溝に嵌挿させ、本体レバーと爪
部材とを係合ピンで連結した状態を示す断面図である。
【図5】解除レバーを構成するノブ側レバーを説明する
斜視図である。
【図6】爪部材と解除レバーとを爪片作動規制機構によ
り連結した状態を、爪部材がラック状歯と係合した状態
で示す断面図である。
【図7】押圧部を固定ジョーに向けてスライドさせる際
における爪片とラック状歯との係合解除を説明する断面
図である。
【図8】解除レバーを引き操作することにより爪片とラ
ック状歯との係合を解除した状態を示す断面図である。
【図9】可動ジョーを前進させて仮止めした状態を示す
側面図である。
【図10】爪部材と解除レバーとを爪片作動規制機構に
より連結した他の態様を説明する断面図である。
【図11】固定ピン抜き差し方式の従来バイスを説明す
る斜視図である。
【図12】係脱機構を応用したバイスを説明する平面図
である。
【図13】そのバイスにおける可動ジョーの暫定的な仮
止め機構を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 バイス 6 ベース 7 固定ジョー 9 可動ジョー 10 押圧部 16 ラック状歯 17 山形 19 直交面 21 傾斜面 22 ホルダー部 23 爪部材 25 解除レバー 26 案内孔 27 案内壁 32 係合面 41 本体レバー 42 ノブ側レバー 52 カム溝 53 係合ピン 59 コイルバネ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベースの前端側に固定ジョーを設けると
    共に後端側に、可動ジョーを具えた押圧部を前記固定ジ
    ョーに対して進退自在に設け、該押圧部の前進により前
    記可動ジョーを前記固定ジョーに対し押圧してワークを
    挟持するように構成したバイスにおいて、 前記ベースの少なくとも一側部に、その長手方向に沿っ
    てラック状歯を設け、そのラック状歯の山形を、ベース
    に直交する直交面と、該直交面の底部から前記固定ジョ
    ー側に傾斜する傾斜面との連続により構成してなり、 又前記ラック状歯に対向する、前記押圧部に設けたホル
    ダー部に、前記直交面と係合しうる爪片を具えた爪部材
    を、前記ラック状歯に対して直交する方向に摺動自在に
    設け、 又前記爪片の係合状態を解除する解除レバーを、前記爪
    部材の摺動方向に直交する方向で且つベース後方に向け
    て引き操作可能に設け、 又、押圧部が固定ジョーから離間するのを阻止するよう
    に、スプリングの付勢作用によって前記爪片を前記ラッ
    ク状歯との係合状態に保持せしめ、 前記爪部材と前記解除レバーとを爪片作動規制機構によ
    り連結し、前記可動ジョーを具えた押圧部を固定ジョー
    に向けてスライドさせる操作によって、又は前記解除レ
    バーの引き操作によって、前記爪片と前記ラック状歯と
    の係合状態を解除可能としたことを特徴とするバイス。
  2. 【請求項2】 解除レバーの前端側の部分をホルダー部
    の前端から突出させると共に、該突出部分の端部側に設
    けた受部とホルダー部の前端との間にスプリングを稍圧
    縮状態で介装したことを特徴とする請求項1記載のバイ
    ス。
  3. 【請求項3】 爪片作動規制機構が、爪部材の摺動をラ
    ック状歯に対して直交する方向に規制する、ホルダー部
    に設けた案内壁と、解除レバーの一部に設けた、該解除
    レバーの軸線に対し傾斜すると共にその前端がラック状
    歯から遠く且つ後端がラック状歯に近いカム溝と、爪部
    材の一部に設けられ且つ該カム溝に係合しうる係合ピン
    とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    バイス。
  4. 【請求項4】 爪片作動規制機構が、爪部材の摺動をラ
    ック状歯に対して直交する方向に規制する、ホルダー部
    に設けた案内壁と、解除レバーの一部に設けた係合ピン
    と、該係合ピンに係合するように前記爪部材の一部に設
    けられた、解除レバーの軸線に対し傾斜すると共にその
    前端がラック状歯から遠く且つ後端がラック状歯に近い
    カム溝とから構成されていることを特徴とする請求項1
    記載のバイス。
  5. 【請求項5】 解除レバーによる爪片の係合解除状態を
    ロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項
    1〜3の何れかに記載のバイス。
  6. 【請求項6】 解除レバーを、その前側をなし且つ爪片
    作動規制機構を介して爪部材に連結される本体レバー
    と、その後側をなし且つ後端にノブを具えたノブ側レバ
    ーとから構成し、該ノブ側レバーが、その軸線回りに回
    転可能となるように前記本体レバーの後端に連結されて
    おり、該ノブ側レバーの周面部に、解除レバーの軸線方
    向に延びる案内溝の前端に、解除レバーの周方向に延び
    る係合溝を連設してなるL字状の規制溝と、該規制溝に
    係合するように前記ホルダー部に設けられた規制ピンと
    からなることを特徴とする請求項4記載のバイス。
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