JPH09146443A - 近距離音場ホログラフィー装置 - Google Patents

近距離音場ホログラフィー装置

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JPH09146443A
JPH09146443A JP30610795A JP30610795A JPH09146443A JP H09146443 A JPH09146443 A JP H09146443A JP 30610795 A JP30610795 A JP 30610795A JP 30610795 A JP30610795 A JP 30610795A JP H09146443 A JPH09146443 A JP H09146443A
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JP
Japan
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sound
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sound field
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microphone
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Application number
JP30610795A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Takada
博 高田
Hooruman Daaren
ホールマン ダーレン
Boruton Suchiyuaato
ボルトン スチュアート
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】近距離音場ホログラフィー法を複数の独立した
音源が存在する音場に適用して任意の再生面の音圧を演
算する装置において、複雑な処理を用いることなく任意
の再生面の音圧を演算して音源の位置を把握できるよう
にする。 【解決手段】ホログラム面の全格子点の音圧を分割測定
する走査マイクの各格子点での出力信号と音場の固定点
の音圧データを測定する各基準マイクの出力信号との相
互スペクトル行列を作成し、偏関連度関数を用いて各基
準マイクの出力信号に相互相関のある部分音場を分離
し、個別に近距離音場ホログラフィー法を適用して再生
することにより該音源の位置把握を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は近距離音場ホログラ
フィー装置に関し、特に自動車、航空機、工作機械等の
一般機械における騒音の音源を把握するための近距離音
場ホログラフィー装置に関するものである。
【0001】
【従来の技術】騒音の制音対策を行う場合、問題となる
周波数成分の音源の探査、その発生原因の解明を行うこ
とは非常に重要である。これらを解明する手段として過
去に音響インテンシティー法、音響ホログラフィー法、
近距離音場ホログラフィー法が開発されて来た。
【0002】この内、音響インテンシティー法では、比
較的簡便な装置を用いて手軽に実行でき、また精度の良
い結果を得ることができる。
【0003】しかしながら、通常は空間上の一点毎の測
定なので、音響エネルギーが還流するような複雑な音場
では、測定する位置の決定や結果の解釈などにおいてか
なりの経験が必要である。経験が少ない場合、三次元空
間内の多数の点の測定が必要であり、その結果、計測に
要する時間が長くなる。また、測定した結果を用いて、
音源変更予測等のシミュレーションを行うことができな
い。
【0004】音響ホログラフィー法については、計測面
の形状、再生理論などによって各種の方法が開発されて
来た。この方法では、二次元平面のみ測定すればよいの
で、音響インテンシティー法より計測に要する時間が大
巾に短い長所がある。
【0005】しかしながら、遠距離音場で測定するの
で、音源探査精度・三次元音場の再生精度に本質的な問
題があり、したがって、測定した結果を用いて、音源変
更予測等のシミュレーションを行うことができない。
【0006】一方、近年注目されている近距離音場ホロ
グラフィー法は、高精度な音源把握が可能であることが
特徴である。
【0007】すなわち、音響ホログラフィー法が、対象
とする周波数の騒音の1波長以下の間隔で配置された音
源を分離できないのに対し、近距離音場で測定する近距
離音場ホログラフィー法においては、そのような制限は
本質的には存在しない。
【0008】これは、近距離音場で測定することにより
音源の本質的な情報を持つエバネッセント波を測定でき
ることによるものであり、以下に説明する。
【0009】半自由空間における近距離音場ホログラフ
ィー法は、音源に近接する二次元平面(ホログラム面)
において複素音圧を測定し、音源に接する平面を境界面
とする半自由空間内の音圧を再生する手法であり、再生
された音圧から粒子速度や音響インテンシティーが計算
される。
【0010】そして、音源に接する面において後進再
生、すなわち、音源に向かって再生すれば、音源の把握
を行うことができる。
【0011】近距離音場ホログラフィー法は、この半自
由空間内に音源がない場合の次の波動方程式を基本とす
る。
【数1】 ここで、Pは複素音圧、cは音速である。
【0012】式(1)を周波数軸に変換して単一周波数
のみを考慮すれば、次のヘルムホルツの方程式が得られ
る。
【数2】 ここで、kは波数である。
【0013】式(2)の解は、次のヘルムホルツの積分
方程式で与えられる。
【数3】 ここで、Gは自由空間におけるグリーン関数、Sは境界
面、rは再生点の位置ベクトル、r’はホログラム面の
位置ベクトルである。
【0014】ディリクレのグリーン関数GDを採用する
と、式(3)の第二項は消去され、次の第一レーリー積
分式が得られる。
【数4】
【0015】この式(4)は、二次元の畳み込みの形式
であり、二次元フーリエ変換により次式のような単純な
積の形式で表される。
【数5】 ここで、kx,yはホログラム面に平行な波数、z,
z’はそれぞれ再生面、ホログラム面の位置座標であ
る。
【0016】また、gDはグリーン関数GDの二次元フー
リエ変換であり、ここで採用しているデカルト座標系で
は、次式のようになる。
【数6】 ここで、kz=√(k2−kx 2−ky 2)である。
【0017】そして、kx 2+ky 2>k2のとき、kzは純
虚数となり、音源から離れるに従って指数関数的に減衰
して行く波を表す。
【0018】この波は、「エバネッセント波」と呼ばれ
ており、このエバネッセント波は、音源近傍の空間にお
ける音圧の過渡的な歪みであり、音源のもつ幾何学的情
報(すなわち、音源の詳細形状あるいはモード)は、こ
の波の中に含まれている。
【0019】ホログラム面から音源の存在しない方向の
再生を行う場合(すなわちz≦z’の場合であり、前進
再生と呼ばれる)には式(5)を適用するが、音源の存
在する方向の再生を行う場合(後進再生と呼ばれる)は
式(5)と逆になり、次式のようになる。
【数7】
【0020】ここで、0≦z<z’であり、後進再生で
はエバネッセント波は指数関数的に増幅されるので、音
源の分解能が高くなる。
【0021】式(5)及び式(7)の右辺を二次元逆フ
ーリエ変換すれば、ホログラム面に平行な半自由空間内
の再生面上の音圧が次式の如く再生できる。
【数8】
【0022】同様にオイラーの式から次式の如く粒子速
度が求められる。
【数9】
【0023】音響インテンシティーは、上記の式(8)
及び式(9)により求めた音圧と粒子速度から計算でき
る。
【0024】このようにして近距離音場ホログラフィー
法によれば、エバネッセント波に基づく二次元平面の測
定音圧を用いて、音源に接する半自由空間内の三次元の
近距離音場を精度良く再生して音源把握を可能にしてい
る。
【0025】したがって、精度は音響インテンシティー
法と同等であり、計測に要する時間は音響ホログラフィ
ー法と同等である。また、精度がよく、且つ、音場の再
生が可能であるので、測定した結果を用いて、音源変更
予測等のシミュレーションを行うことが可能である。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】平面近距離音場ホログ
ラフィー法の基礎理論は、近距離音場のホログラム面に
おいて複素音圧(すなわち、強度と位相)が測定可能で
あることが基本となっている。また、等間隔で格子状に
分割されたホログラム面上の全ての格子点における測定
音圧はコヒーレントでなければならない。すなわち、ホ
ログラム面における音圧の強度・位相は、全体的に相関
が取れていることが必要である。
【0027】したがって、従来の近距離音場ホログラフ
ィー法の適用は、独立な音源が一つだけ存在する音場の
ような最も簡単な場合に限られていた。
【0028】現実の機械では多数の独立した音源が混在
して同時に音を放射している場合が多く、このような多
数の独立な音源が存在する音場では、時間によって全体
音場の音圧のインテンシティ(強度)・位相がランダム
に変化するので、上記のコヒーレント仮定を直接適用す
ることはできない。
【0029】現実の機械に近距離音場ホログラフィー法
を適用するためには、各分割測定間のインテンシティ・
位相の相関を基準信号に基づいて確保した上で、測定時
間により変動する全体音場を、互いに無相関で且つ各音
場ごとにインテンシティ・位相の相関のある部分音場に
分離してコヒーレントな音場という基本仮定を満たす各
部分音場毎に個別に再生し、再生された部分音場の総和
として全体音場を再生する必要がある。
【0030】この原理に基づく近距離音場ホログラフィ
ー法として、従来、相互スペクトル行列に対し主成分分
析を用いることにより全体音場を互いに独立な部分音場
に分離する方式が提案されている。
【0031】しかしながら、この方式では、主成分分析
に特有な欠点として、処理が複雑なこと、主成分の物理
的な意味の理解が困難であること、雑音と信号の分離が
困難であることなどを有しており、複雑な音場への適用
は難しいという問題点があった。
【0032】したがって本発明は、近距離音場ホログラ
フィー法を複数の独立した音源が存在する音場に適用し
て任意の再生面の音圧を演算する装置において、複雑な
処理を用いることなく任意の再生面の音圧を演算して音
源の位置を把握することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る近距離音場ホログラフィー装置は、ホ
ログラム面の全格子点の音圧を分割測定する走査マイク
と、音場の固定点の音圧データを測定する複数の基準マ
イクと、該走査マイクの各格子点での出力信号と各基準
マイクの出力信号との相互スペクトル行列を作成し、偏
関連度関数を用いて各基準マイクの出力信号に相互相関
のある部分音場を分離し、個別に近距離音場ホログラフ
ィー法を適用して再生することにより該音源の位置把握
を行う演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0034】また、演算手段は、該部分音場を分離した
後の残差雑音音場を演算する演算部を有し、または該再
生した各部分音場の平均自乗音圧の輪を該音源の全体音
場の状態を示す値として再生するように構成することが
できる。
【0035】
【発明の実施の形態】多数の独立な音源が存在する音場
は、多入力線形系と考えることができる。すなわち、ホ
ログラム面の各測定点の音圧は単一の出力と見なすこと
が出来、さらに多数の独立した音源から放射される音
(それぞれ独立した入力と見なすことが出来る。)の線
形和である。
【0036】しかしながら、多数の独立した音源の信号
を直接測定することは困難であり、直接測定できるのは
音場に設置された基準マイク(参照マイク)の信号だけ
である。
【0037】基準マイクの信号もホログラム面の各測定
点の音圧信号と同様に多数の独立した音源から放射され
る音の線形和であるが、基準マイクの信号が全ての音源
の情報を含んでいるならば、基準マイクの線形和で各測
定点の音圧を構成することができる。
【0038】これは、基準マイク信号を入力と見なすこ
とができることを示しており、上記のようにコヒーレン
トな音場という基本仮定を満たす各部分音場毎に個別に
再生を行わなければならないので、基準マイク信号を用
いて音場をまず互いに独立した無相関な成分に分離する
ことが必要となる。
【0039】本発明に係る近距離音場ホログラフィー装
置では、「偏関連度関数」を用いて各入力に相関のある
成分を順次除去して行き、互いに無相関な残差スペクト
ルを計算し、さらに残差スペクトルから互いに無相関な
残差伝達関数を計算する方法を利用する。
【0040】基準マイク信号を用い、偏関連度関数によ
って多数音源の音場を互いに独立した無相関な成分に分
離する原理について図1のフローチャートを参照して説
明する。
【0041】なお、分離する際に重要なことは、設定し
た入力の数(ここでは、基準マイクの数)が実際の独立
した音源の数と等しいかまたはそれより多い必要がある
ことである。ここでは、入力の数は独立な音源の数に等
しいものとする。
【0042】まず、ホログラム面の走査マイクの出力信
号と、該走査マイクによる測定点の中の一つの音圧とm
個の基準マイクの出力信号とを同時に入力し(ステップ
S1)、且つこれらの出力信号をFFT処理などの周波
数分析を行う(ステップS2)。
【0043】そして、この周波数分析結果に基づき次式
の(m+1)×(m+1)の相互スペクトル行列を作成
する(ステップS3)。
【数10】
【0044】ここで、SXixjは基準マイク信号間の相互
スペクトル、Sxiy,yxiは基準マイク信号xiと或る一
つの走査マイクによる測定信号yとの相互スペクトルで
ある。すなわち、この相互スペクトル行列の最初のm×
mの行列は、入力(基準マイク出力)の相互スペクトル
行列を示しており、(m+1)番目の行と列ベクトルは
入力と出力(走査マイク出力)との関係を表している。
【0045】基準マイク信号の測定誤差が無視できると
すると、例えばx1とyの間の条件付H1伝達関数H'x1y
は、次式により精度良く計算できる。
【数11】
【0046】この伝達関数H'x1yはx1に相関の無い成
分は雑音と見なして除去して計算するので、ホログラム
面の測定音圧においてx1に相関のある部分音場は、次
式で与えられる(ステップS4)。
【数12】
【0047】部分音場の分離を進めて行くためには、x
2以降の基準マイク信号と測定信号yからx1に相関のあ
る成分を除去する必要がある。これは、関連度関数を用
いてx1に相関のない成分を残差スペクトルとして計算
することにより可能である。この計算は、ガウスの消去
法により効率よく計算でき、式(10)は次式のような
m×mの残差相互スペクトル行列となる(ステップS
5)。
【数13】
【0048】ここで、SXixjx1はx1に相関のある成分
を除去した基準マイク信号間の残差相互スペクトルであ
り、SXiyx1及びSyxix1はx1に相関のある成分を除去
したxiとyとの残差相互スペクトルである。これらを
詳しく書くと、次式のようになる。
【数14】
【数15】
【数16】
【0049】式(15),(16)は式(14)と形式
が同じなので、以下の式では走査マイクの測定信号yの
式は省略する。
【0050】i=jのとき、式(14)は次式で表され
る。
【数17】
【0051】ここで、γx1xi 2は基準マイク信号x1と基
準マイク信号xiとの間の通常の関連度関数であり、基
準マイク信号xiの基準マイク信号x1に対する線形従属
の程度を表しているので、式(17)は上述の如く基準
マイク信号xiから基準マイク信号x1に相関のある成分
を除去した残差スペクトルを示している。
【0052】式(13)で示す残差相互スペクトル行列
を用いて、式(11)及び(12)と同様に、入力x2
に相関のある残差伝達関数と残差部分音場は次式のよう
に計算することができる。
【数18】
【数19】
【0053】このようにして2つのコヒーレントであり
互いに独立した部分音場が全体音場から分離される。
【0054】同様に、式(13)からx2に相関のある
成分を除去すると、次式が得られる。
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】 ここで、γx2xix1 2は偏関連度関数である。
【0055】同様の処理を繰り返して、最後に互いに無
相関なm個の残差部分音場と、どの基準マイク信号にも
相関のない残差雑音音場と、に分離される(ステップS
4,S5)。
【0056】以上の処理により分離された互いに無相関
なm個のホログラム面における残差部分音場に対して、
個別に近距離音場ホログラフィー法を適用して残差部分
音場を再生することが可能となり(ステップS6)、音
源位置を把握することができる。
【0057】一方、このm回の分離処理後の残差音場
は、走査マイクによる測定音圧yから全ての基準マイク
信号に相関のある成分を除去した残差であるが、基準マ
イク信号の数と独立した音源の数が等しい場合、これは
測定誤差項(残差誤差音場)となる。
【0058】この残差誤差音場には測定上の様々な誤差
が含まれているので零にはならから、その残差誤差音場
に測定誤差より大きな信号成分が残されていると、基準
マイク信号の数が不足していて除去できない入力信号成
分が存在すると考えられ、残差誤差音場を再生精度の判
断材料として使うことができる。
【0059】ただし、上記のようにして再生された各残
差部分音場は互いに無相関な音場なので、これらの和を
求めても、実際の音場を表すことにはならない。また、
偏関連度関数により残差スペクトルを次々と分離して行
くので、これらの残差部分音場は現実の独立した音源と
必ずしも物理的に対応していない。
【0060】実際に多数の独立した音源が存在する音場
は、各音源のインテンシティ・位相が不規則に変化した
ものの総和であり一定値とはならないので、総和として
の表現には不適当である。
【0061】したがって全体音場の再生として意味をも
つ物理量は、位相情報を含まない量すなわち平均自乗音
圧の和(以下、MSPtと略称する)であり、次式で表
される。
【数25】
【0062】各残差部分音場は互いに無相関なので、式
(25)のクロス項はゼロとなり次式のようになる。
【数26】
【0063】これは、各残差部分音場のMSPの総和に
より、全体音場のMSPtが求められることを示してい
る。
【0064】同様に、全体音場の音響インテンシティー
tは、次式で与えられる。
【数27】
【0065】これらの式は、各残差部分音場のMSP,
Iの総和により、全体音場のMSP t,Itが求められる
ことを示している。したがって、各残差部分音場のMS
P,Iは、全体音場に対する各残差部分音場の寄与を示
す量となり、各残差部分音場が現実の独立した音源と物
理的に対応していれば、各音源のインテンシティの全体
に対する寄与率を解析することも可能となる。
【0066】
【実施例】図2は、本発明に係る近距離音場ホログラフ
ィー装置の実施例を示したもので、この実施例では、1
m×1mのホログラム面1を用意し、8個のマイク(走
査マイク)2を支持棒3に一定の間隔で縦方向に配置し
たマイク・アレイ4を設けている。
【0067】そして、支持棒3を所定距離づつ平行移動
して行くことにより、ホログラム面1の各格子点の音圧
の測定を行う。
【0068】また、互いに独立した音源が3個存在する
と仮定して3個の基準マイク5〜7を配置し、これらマ
イク・アレイ4からの8つのマイク出力信号と基準マイ
ク5〜7からの3つの出力信号の計11チャネルの信号
がマルチチャネル周波数分析器(FFTアナライザー)
8に送られ、この周波数分析器8において上記のとおり
再生面での音圧を演算してディスプレイ9に表示するよ
うにしている。
【0069】点線で示す如く音源として、3つの口径1
0cmの密閉型コーンスピーカー10〜12を30cm
の間隔で配置し、各スピーカー10〜12を信号発生器
13で発生された互いに無相関なランダム信号で駆動し
た。
【0070】また、基準マイク5〜7は図3に示すよう
に3種類の方法で配置した。配置は図2に示したよう
にそれぞれスピーカー10〜12の真上に配置する場合
(音源の位置が正確に判っている理想的な場合)、配置
はスピーカー10〜12付近に配置する場合(音源の
位置がほぼ判っている通常の場合)、配置はスピーカ
ー10〜12の位置にランダムに配置する場合(音源の
位置が全く判らない最悪の場合)、をそれぞれ示してい
る。
【0071】マイク・アレイ4における8つの走査マイ
ク2は支持棒3に6.25cm間隔で配置し、支持棒3
を6.25cmづつ平行移動して行くことにより、16
×16に分割された広さ1m×1mのホログラム面1の
音圧の測定を行った。基準マイクと音源との距離は12
cmであり、ホログラム面1と音源との距離は10cm
である。
【0072】また、支持棒2にはマイク4を6.25c
m間隔で配置し、この支持棒2を6.25cmづつ平行
移動していくことにより、16×16に分割された広さ
1m×1mの二つのホログラム面1,2の音圧の測定を
行った。基準マイク13はスピーカー16の横12cm
の位置に配置した。
【0073】図4〜6(a),(b),(c)には、各
配置〜において測定された音圧を基準マイク5〜7
について分離した残差部分音場のMSPが示されてお
り、図4〜6(d)には各配置〜における残差雑音
音場のMSPが示されている。なお、残差部分音場は基
準マイク5から基準マイク6及び基準マイク7と順次求
められて行くので、基準マイク5については正確には単
に部分音場が求められることになる。
【0074】また、図7(a),(b),(c)には、
各配置〜において測定された全体音場のMSPt
示す。
【0075】さらに、図8(a),(b),(c)に
は、各配置〜において音源から8cmの距離の平面
で再生した場合の全体音場を示す。全て600Hz成分
(バンド巾2.5Hz)の処理結果であるが、他の周波数
でも同様の結果が得られた。
【0076】理想的な場合では、図4に示す如く、各残
差部分音場(同図(a)〜(c))のMSPは物理的な
音源の位置をよく表現しており、残差雑音音場(同図
(d))も各残差部分音場のピークと比較して40dB
以上小さい。この場合は、現実の音源に物理的にほぼ対
応した部分音場が得られていると言える。
【0077】また、図7(a)に示す全体音場のMSP
は3つのピークを有するが、各ピークのすそ野が広く音
源の数が明確ではない。しかしながら、図8(a)で
は、音源に近づいた位置で再生(後方再生)しているの
で、3つのピークがより鮮明に分離されており、各音源
の強度の差も明確になっている。
【0078】通常の場合(図5に示す配置)と最悪の
場合(図6に示す配置)では、各残差部分音場のMS
Pはもはや物理的な音源に対応していないし(各図
(a)〜(c))、残差雑音音場(各図(d))も大き
くなる傾向にある。
【0079】しかしながら、最悪の場合(図6に示す配
置)の残差雑音音場(同図(d))のMSPの3つの
ピークの位置は音源の位置と等しく、基準マイク5〜7
の出力信号の数は真の音源の数と同じであり他に音源は
ないと判断できる。
【0080】また、図8(b)及び(c)に示す再生結
果では理想的な場合(図4に示す配置)と比較して、
音源の位置は同じであるが、強度がそれぞれ7.6%,
13.3%だけ小さいと評価されている。したがって、
これらの場合では、音源の位置は正確に把握できるが、
音源の強度の予測精度が悪くなると結論できる。
【0081】強度が過小評価される理由は、この分離の
過程でH1伝達関数を使用しているためと考えられる。
1伝達関数は、基準マイク信号の雑音は無視できると
いう仮定に基づいているので、上記の最悪の場合(図6
に示す配置)のように基準マイク信号のSN比が悪い
場合には、誤差が大きくなる。
【0082】したがって、基準マイク5〜7の位置は、
強度を正しく把握するためには、非常に重要である。測
定の前に基準マイクで音源近傍を移動させて音圧の大き
い位置を探査しておけば、最悪の場合は回避できるが、
強度の精度が重要である場合は、再生結果に基づいて基
準マイクの再配置を行うことが望ましい。
【0083】
【発明の効果】上述したように本発明は、ホログラム面
の全格子点の音圧を分割測定する走査マイクと、音場の
固定点の音圧データを測定する複数の基準マイクと、該
走査マイクの各格子点での出力信号と各基準マイクの出
力信号との相互スペクトル行列を作成し、偏関連度関数
を用いて各基準マイクの出力信号に相互相関のある部分
音場を分離し、個別に近距離音場ホログラフィー法を適
用して再生することにより該音源の位置把握を行う演算
手段と、を備えたことを特徴とする近距離音場ホログラ
フィー装置であるので、多数の音源の存在する音場にお
いて、各音源により音圧を精度良く演算することが可能
で正確な音源把握を行うことができる。
【0084】また、主成分分析を用いる方法を比較して
演算過程が簡単となるため、小型の演算処理装置、すな
わち、コンピュータを用いて演算処理を実行することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る近距離音場ホログラフィー装置の
概念を説明するためのフローチャート図である。
【図2】本発明に係る近距離音場ホログラフィー装置の
実施例を示したブロック図である。
【図3】本発明に係る近距離音場ホログラフィー装置に
用いられる基準マイクの配置例を示した図である。
【図4】図3の配置例において配置で測定した残差部
分音場と残差雑音音場を示した3次元グラフ図である。
【図5】図3の配置例において配置で測定した残差部
分音場と残差雑音音場を示した3次元グラフ図である。
【図6】図3の配置例において配置で測定した残差部
分音場と残差雑音音場を示した3次元グラフ図である。
【図7】図3の配置例において各配置〜で測定した
全体音場を示した3次元グラフ図である。
【図8】図3の配置例において各配置〜で測定した
全体音場を再生した3次元グラフ図である。
【符号の説明】
1 ホログラム面 2 走査マイク 3 支持体 4 マイク・アレイ 5〜7 基準マイク 8 マルチチャネル周波数分析器 9 ディスプレイ 10〜12 スピーカー 13 信号発生器 図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スチュアート ボルトン アメリカ合衆国、インディアナ州、ウェス ト・ラフィエット市1077、パデュー大学、 スクール・オブ・メカニカル・エンジニア リング、レイ・ダブリュ・ヘリック・ラボ ラトリー内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】近距離音場ホログラフィー法を複数の独立
    した音源が存在する音場に適用して任意の再生面の音圧
    を演算する装置において、 ホログラム面の全格子点の音圧を分割測定する走査マイ
    クと、音場の固定点の音圧データを測定する複数の基準
    マイクと、該走査マイクの各格子点での出力信号と各基
    準マイクの出力信号との相互スペクトル行列を作成し、
    偏関連度関数を用いて各基準マイクの出力信号に相互相
    関のある部分音場を分離し、個別に近距離音場ホログラ
    フィー法を適用して再生することにより該音源の位置把
    握を行う演算手段と、を備えたことを特徴とする近距離
    音場ホログラフィー装置。
  2. 【請求項2】該演算手段が、該部分音場を分離した後の
    残差雑音音場を演算する演算部を有することを特徴とし
    た請求項1に記載の近距離音場ホログラフィー装置。
  3. 【請求項3】該演算手段が、該再生した各部分音場の平
    均自乗音圧の和を該音源の全体音場の状態を示す値とし
    て再生することを特徴とした請求項1又は2に記載の近
    距離音場ホログラフィー装置。
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