JPH09145878A - 原子炉用炉心、原子炉および原子炉の運転方法 - Google Patents

原子炉用炉心、原子炉および原子炉の運転方法

Info

Publication number
JPH09145878A
JPH09145878A JP7307603A JP30760395A JPH09145878A JP H09145878 A JPH09145878 A JP H09145878A JP 7307603 A JP7307603 A JP 7307603A JP 30760395 A JP30760395 A JP 30760395A JP H09145878 A JPH09145878 A JP H09145878A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactor
core
cores
nuclear reactor
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7307603A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3445423B2 (ja
Inventor
Kazutaka Hida
和毅 肥田
Masatoshi Kawashima
正俊 川島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP30760395A priority Critical patent/JP3445423B2/ja
Publication of JPH09145878A publication Critical patent/JPH09145878A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3445423B2 publication Critical patent/JP3445423B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】原子炉の停止時における未臨界性を十分に確保
し、特に小型原子炉に最適な原子炉用炉心、原子炉及び
原子炉の運転方法を提供する。 【解決手段】原子炉は、4つの炉心4…4及び水素含有
率が水よりも低い材料を充填して成る水排除棒23を備
える。炉心4…4に複数の燃料集合体28…28を設
け、この複数の燃料集合体28…28を原子炉運転開始
時の低温状態における原子炉臨界性に関する設定値が臨
界未満の状態となるように形成する。水排除棒23を複
数の炉心間の軸方向に沿って挿入及び引抜き可能に配置
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、原子炉用炉心、
原子炉および原子炉の運転方法に係り、とくに原子炉臨
界性に基づく炉心構造及びその運用に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、減速材および冷却材として水を使
用する軽水型原子炉の内の沸騰水型原子炉の一例を図8
〜図10に示す。
【0003】図8に示す沸騰水型原子炉には、原子炉圧
力容器1の中心部に円筒形のシュラウド2が配設されて
おり、このシュラウド2の内側に炉心支持板3で支持さ
れた炉心4が装備され、炉心4の上側には上部格子板5
が配置されている。
【0004】この原子炉においては、冷却水がシュラウ
ド2の外側にあるダウンカマ6を下降し、炉心支持板3
の下側の下部プレナム7に至ると共に、その下部プレナ
ム7から上昇して炉心4を通過し、この通過中に沸騰し
て気液二相流となり、そのまま上部格子板5の上側にあ
る上部プレナム8を経て気水分離器9に達し、ここで水
と水蒸気とに分離する。そこで、水蒸気が蒸気乾燥器1
0で乾燥された後に蒸気出口からタービン(図示しな
い)に供給される一方、水が上記と同じ経路でダウンカ
マ6を経て再び炉心4に導入される。
【0005】炉心4は、図9に示す電気出力52万kW
の原子炉の場合では、円柱形のシュラウド2内に高さが
370(cm)、一辺の長さが15(cm)の大きさを有す
る多数の燃料集合体11…11を一定間隔で規則正しく
配列して成るもので、隣接する4体の燃料集合体11…
11に1本の割合で制御棒12…12が炉心4の下部か
ら上部に向けて挿抜自在に配設されている。
【0006】燃料集合体11…11は、図10に示すよ
うに、チャンネルボックス13内に一定間隔で規則正し
く配列された多数本の燃料棒14…14と、冷却水流路
用のウォータロッド17とを収容した構造となってい
る。燃料棒14…14は、被覆管15内に二酸化ウラン
の燃料ペレット16を充填して成るもので、この燃料棒
14…14の間を流れる冷却水が沸騰して上記の気液二
相流となる。これに対し、チャンネルボックス13の外
側及びウォータロッド17内を流れる冷却水は、沸騰し
ない。
【0007】制御棒12…12は、図10に示すよう
に、十字状支持部18内に固設されるU字状のシース1
9…19と、このシース19…19内に配列されるB4
Cの粉末を充填して成る多数本の中性子吸収棒20…2
0とを備えたもので、運転停止中には全てが炉心4内に
挿入され、出力運転時には数本又は十数本を除く大部分
が炉心4外に引き抜かれる(図8中の点線部分参照)。
【0008】ここで、沸騰水型原子炉の臨界性を図11
に基づき説明する。
【0009】図11は、制御棒12…12が引抜位置に
ある場合の燃料集合体11…11の無限増倍率の変化を
説明するもので、具体的には縦軸に無限増倍率をとり、
横軸に原子炉の運転状態を表す、中性子減速材である水
素原子数とウラン原子数との比(水素原子数/ウラン原
子数)をとって、曲線21で代表される出力運転中の状
態における無限増倍率の変化と、曲線22で代表される
出力運転前の状態における無限増倍率の変化とを比較検
討するものである。
【0010】同図において、出力運転中では、曲線21
に示すように、中性子減速材の密度減少に伴って、即ち
炉心4の下端部(ボイド率0%)、炉心平均部(ボイド
率40%)、上端部(ボイド率70%)に至るボイド率
増加に伴って無限増倍率が減少し、負の減速材密度係数
をもつ。これに対し、出力運転前(停止状態付近)の低
温時では、曲線22に示すように、原子炉の温度変化に
伴って減速材密度が変化し、正の減速材密度係数をも
つ。ここで、曲線21と曲線22との無限増加率の違い
は、出力運転時に核分裂生成物であるXeが出力に比例
して蓄積し、中性子吸収量が増加すること、および燃料
棒14…14の温度上昇に伴うドップラー効果により中
性子吸収量が増加することに起因するものである。
【0011】上記のように出力運転中では、例えばボイ
ド率の増加による減速材密度の減少に伴って無限増倍率
が減少するのに対し、出力運転前の低温時には、そのま
まの状態で運転を開始すると、減速材温度が上昇して無
限増倍率が上昇してしまう。そこで、実際には、停止中
には炉心4内に制御棒12…12を挿入することで、図
11に示す正の減速材密度係数による無限増倍率の変化
とは異なり、出力運転時と同様に負の減速材密度係数で
無限増倍率を変化させる。
【0012】一般に、原子炉の炉心は、出力運転時には
数本又は十数本を除く大部分の制御棒12…12を炉心
4から引き抜くことで臨界状態を維持し、出力停止時に
は全ての制御棒12…12を挿入することで臨界未満の
状態となる。このような原子炉の臨界性は、通常、「実
効増倍率」の値で判断されている。
【0013】つまり、この「実効増倍率」をkeff
し、中性子の漏れを考慮しない増倍率、即ち「無限増倍
率」をkとし、「中性子移動面積」をM2 とし、「バ
ックリング」をB2 としたとき、実効増倍率keff を、
【数7】 の式で求め、その結果により、keff =1.0のときを
臨界状態、keff <1.0のときを臨界未満の状態とす
る。ここで、上記[数7]式中の右辺分母(1+M2
2 )は、炉心からの中性子漏れによる増倍率低下分を
表す。
【0014】「無限増倍率k」は運転時と停止時とで
異なり、運転時よりも低温で水の密度が大きい停止時の
方が0.05程度大きい。「中性子移動面積M2 」も、
運転時と停止時とで異なり、通常、運転時ではM2 =7
0〜80(cm2 )、停止時ではM2 =30〜40(c
m2 )である。
【0015】これに対し、「バックリングB2 」は、炉
心形状にのみ依存するもので、運転時と停止時とで変化
せず一定である。ここで、円柱形の炉心(例えば図9中
の炉心4の形状参照)を例に上げると、この炉心の半径
をR(cm)とし、その高さをH(cm)としたとき、バッ
クリングB2 (cm-2)は、
【数8】 の式で求めることができる。
【0016】例えば、電気出力52万kWの大型の原子
炉を例に上げて説明すると、この原子炉の炉心は、R=
170(cm)、H=370(cm)であるため、これらの
値を上記[数8]式に代入してバックリングB2 を求め
ると、B2 =2.7×10-4(cm-2)となる。このバッ
クリングB2 の値と、上記の中性子移動面積M2 の運転
時及び停止時の値を上記[数7]式中に代入して中性子
漏れによる増倍率低下分を示す分母(1+M2 ・B2
の値を求めると、運転時では1.02、停止時では1.
01となる。また、無限増倍率kは、運転時でk
1.04とすると停止時ではk=1.08となること
から、両者の値と上記で求めた分母の値とを上記[数
7]式に代入して実効増倍率keff を求めると、運転時
ではkeff=1.02、停止時ではkeff =1.08と
なる。
【0017】従って、無限増倍率k及び中性子の漏れ
のいずれの側面においても、運転時よりも停止時の方が
実効増倍率を高める傾向にある。そこで、実際には、停
止時には全ての制御棒12…12を炉心4に挿入するこ
とで、無限増倍率kを0.95程度とし、実効増倍率
eff が0.94程度となる十分な未臨界状態を達成し
ている。なお、この場合に、運転時ではkeff =1.0
2となり、臨界状態のkeff =1.0よりも大きくなる
ため、実際の原子炉では全ての制御棒12…12を炉心
4から引き抜くのではなく、数本又は数十本の制御棒1
2…12の挿入状態をそのまま維持させることで実効増
倍率keff を0.01〜0.02程小さくし、keff
1.0の臨界状態で運転している。
【0018】ところで一方、特に多くの発展途上国にお
いては人口増加に伴いエネルギー需要が急増している
が、このようなエネルギー需要を満たすと共に、化石エ
ネルギーの燃焼による地球温暖化を抑制する必要から、
これらの国々では原子力発電が有望視されている。しか
し、これらの国々では国土が広い又は島が多い等の理由
で発電網の整備が不十分又は困難な状況となっている。
そこで、これらの国々では上記の如く大型の原子炉を少
数基、設置するよりも、出力の比較的小さい小型の原子
炉を多数基、分散して設置する方が望ましいとされてい
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の原子炉の炉心構造をそのままの状態で小型の原
子炉に採用する場合には、原子炉の臨界特性に関して、
大型原子炉にはない小型炉原子炉に特有の新たな問題が
生じることが判明した。
【0020】例えば、電気出力2.3万kWの原子炉を
例に上げて説明する。まず、この原子炉の炉心の半径
R、高さHをR=62(cm)、H=115(cm)に設定
した。これは、中性子の漏れを最小とするため上記[数
2]式で求まるバックリングB2 が最小となり、かつ、
原子炉出力、即ち体積が一定の場合に望ましいとされて
いる関係式(R=0.54H)を満足させるためであ
る。
【0021】この炉心の半径R及び高さHの値を前記
[数8]式に代入してバックリングB2 の値を求める
と、B2 =2.2×10-3(cm-2)となる。このバック
リングB2 の値を前記[数7]式に代入して中性子漏れ
を表す実効増倍率keff の分母値を計算すると、運転時
では1.17、停止時では1.08となった。
【0022】従って、小型原子炉では中性子漏れが増大
するため、これを防止して運転時の臨界性を十分確保す
る観点から、燃料のウラン濃縮度を高めて運転時の無限
増倍率kを1.19程度としなければならない。しか
し、この場合には、制御棒が挿入されている停止時の無
限増倍率kが1.09となるため、実効増倍率keff
は、運転時でkeff =1.02、停止時でkeff =1.
01(>1.0)となって、停止時における未臨界性を
十分確保できないことが判明した。
【0023】この問題は、電気出力2.3万kWの原子
炉の場合であったが、一般に、20万kW以下の場合で
も該当することが確認された。これは、図12に示すよ
うに、電気出力を変えて上記と同様に求めた停止時と運
転時との実効増倍率の差(制御棒引抜時)が原子炉の小
型化に伴って増加し、特に20万kW前後で急激に増加
するためである(以下、特に断らない限り、「小型原子
炉」とは20万kW以下の原子炉をいう)。
【0024】一方、上記のような小型原子炉の発電プラ
ントを多数基建設することは、その基数分、燃料交換の
手間がかかることを意味するが、この労力を極力回避す
るためには、燃料の燃焼効率を高めて燃料交換頻度を極
力低減することが重要となる。しかしながら、従来の小
型原子炉においては、これを特に意識したものとはなっ
ていない。
【0025】この発明は、上述した従来の問題を考慮し
てなされたもので、原子炉の停止時における未臨界性を
十分に確保し、特に小型原子炉に最適な原子炉用炉心、
原子炉及び原子炉の運転方法を提供することを、第1の
目的とする。
【0026】また、この発明は、小型原子炉等の原子炉
の燃料交換頻度を低減できる原子炉用炉心、原子炉及び
原子炉の運転方法を提供することを、第2の目的とす
る。
【0027】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明に係る原子炉用炉心は、複数の
燃料集合体を備え、この複数の燃料集合体を原子炉運転
開始時の低温状態における原子炉臨界性に関する設定値
が臨界未満の状態となるように形成している。
【0028】請求項2記載の発明では、前記原子炉臨界
性に関する設定値は炉心形状に基づくバックリングを含
む設定値であると共に、前記低温状態における無限増倍
率及び中性子移動面積をk及びM2 とし、実効増倍率
をkeff とし、上記バックリングをB2 としたとき、
【数9】 の式で求まる実効増倍率keff の値が1未満の状態とな
る未臨界条件を満たすように前記複数の燃料集合体を形
成している。
【0029】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
原子炉用炉心は円柱状体で成り、この円柱状体の高さ及
びその半径をH及びRとしたとき、
【数10】 の式で求まる前記バックリングB2 が前記未臨界条件を
満たすように上記円柱状体の高さH及びその半径Rを設
定している。
【0030】上記請求項1〜3記載の発明に係る原子炉
用炉心において、「原子炉運転開始時の低温状態」と
は、制御棒の存在を前提とした場合(後述のように制御
棒は本発明の必須要件ではない)には当該制御棒を複数
の挿入する前の原子炉停止状態付近の温度(室温で約2
0℃)をいう。この低温状態における実効増倍率は、前
述のように小型原子炉の場合には、一般に大型の原子炉
と比べて大きくなる傾向を示すが、本発明によると原子
炉臨界性に関する設定値が臨界未満の状態、例えば実効
増倍率が1よりも十分小さくなるようにバックリングを
十分大きくし、これに合わせて炉心を小さく設定したた
め、原子炉停止時において炉心を確実に臨界未満の状態
とすることができる。
【0031】請求項4記載の発明では、請求項1〜3の
内のいずれか1項記載の原子炉用炉心において、前記複
数の燃料集合体は、全ての運転状態において減速材密度
係数が負の状態となるように形成している。ここで、
「全ての運転状態」とは、停止時を含む原子炉の運転状
態をいう。
【0032】例えば、前述の図11で説明したように、
従来技術の燃料集合体は、制御棒挿入前の低温時には減
速材密度係数が正の状態であるため、運転開始と共に徐
々に減速材温度が上昇し、実効増倍率が更に増加してし
まう。これに対し、上記請求項4記載の発明では、起動
途中に炉心部の温度が上昇してくると実効増倍率が低下
するため、これに合わせて複数の燃料集合体間(後述の
複数の原子炉用炉心の場合には各炉心間)の間隙の水量
を減少させることで、実効増倍率を適宜な状態に制御で
きる。
【0033】請求項5記載の発明では、請求項4記載の
原子炉用炉心において、前記複数の燃料集合体を含む炉
心構造体を中性子吸収材から成る制御棒の非存在下で形
成している。これは、従来の中性子吸収材から成る制御
棒を含まない新規な炉心構造を構築することを意味す
る。つまり、上記請求項4記載の発明において全ての運
転状態において減速材密度係数が負の状態となるように
燃料集合体を構成したため、燃料集合体の自己制御作用
(後述の複数の原子炉用炉心の場合には各炉心間の水量
調整による制御作用を含む)により、制御棒を使用しな
くても、原子炉停止を含めて、実効増倍率を制御できる
ためである。
【0034】請求項6記載の発明に係る原子炉は、請求
項1〜5の内のいずれか1項記載の原子炉用炉心と、こ
の原子炉用炉心を収納する原子炉圧力容器とを備えてい
る。
【0035】請求項7記載の発明では、請求項6記載の
原子炉において、1つの前記原子炉圧力容器内に複数の
前記原子炉用炉心を収容している。原子炉運転時におい
て複数の原子炉用炉心を互いに結合させて1つの大きな
原子炉用炉心とすることで、中性子漏れが減少して実効
増倍率が増大し、原子炉を確実に臨界状態にすることが
できるためである。
【0036】請求項8記載の発明では、請求項7記載の
原子炉において、原子炉運転時における中性子輸送方程
式の解を前記複数の原子炉用炉心が個別に存在すると想
定した第1の体系と、前記1つの原子炉圧力容器に収納
した全ての原子炉用炉心を含めた第2の体系とで個別に
算出したときの上記第1の体系で求まる上記解が臨界未
満の状態となり且つ上記第2の体系で求めた上記解が臨
界の状態となるように上記複数の原子炉用炉心を形成し
ている。
【0037】請求項9記載の発明では、請求項8記載の
原子炉において、前記中性子輸送方程式は、原子炉運転
時及びその停止時の中性子移動面積をMh 2 及びMc 2
とし、原子炉運転時の無限増倍率をkh とし、原子炉運
転時及びその停止時の無限増倍率の差をΔkとし、原子
炉運転時及びその停止時のバックリングをBh 2 及びB
c 2 としたとき、
【数11】 の式又はこの式から上記Δkを消去して求まる、
【数12】 の式で定めた原子炉臨界性に関する第1の条件と、前記
1つの原子炉圧力容器内に収納する前記複数の原子炉用
炉心の個数をnとし、当該原子炉用炉心の高さ及びその
実効半径をH及びRとし、n個の原子炉用炉心の軸方向
に直交する横断面積の合計と等しい面積を有する仮想円
の半径をR´としたとき、
【数13】 の式で求まる上記バックリングBh 2 及びBc 2 に関す
る第2の条件とを同時に満足させる、
【数14】 の中性子輸送モデルに基づく条件式であり、この条件式
を満たすように上記複数の原子炉用炉心を形成してい
る。
【0038】上記請求項8及び9記載の発明に係る原子
炉では、中性子輸送方程式に基づいて複数の原子炉用炉
心を設定したため、運転時に臨界状態とし、停止時に臨
界未満の状態とすることができる。ここで、実効増倍率
から原子炉の臨界状態を正確に知るため、請求項8記載
の発明では詳細な計算コード等に基づく中性子輸送方程
式を採用している。実際には、比較的簡易な計算コード
に基づく中性子輸送モデルによる簡易式でも殆ど支障は
ないため、好適な態様の1つとして請求項9記載の発明
では簡易式を使用している。
【0039】例えば、原子炉用炉心の実効半径R、高さ
H、原子炉圧力容器に収納した原子炉用炉心の個数nを
上記[数14]式を満足するように選定し、無限増倍率
hを燃料集合体の濃縮度調整などで適宜値に設定する
ことで上記[数11]又は[数12]式を満足させるこ
とができる。
【0040】ここで、上記[数14]式を満足する実効
半径Rの上限値は、高さHに比例するため、Hが十分に
大きい場合、例えばn=4(個)、Δk=0.05、M
h 2=75(cm2 )、Mc 2 =35(cm2 )としたと
き、R<43(cm)となる。
【0041】また、実効半径Rに求められる値は、複数
の原子炉用炉心の各断面形状により異なり、同じ体積
(同じ断面積)をもつ任意形状の原子炉用炉心を考える
と、中性子の漏れは任意形状の内の円柱形の場合が最も
最小となるため、円柱形を除く任意形状の炉心の場合に
あっても上記の如くRを設定しておけば、原子炉停止時
の未臨界性を十分に確保できる。また、原子炉運転時に
は実際にほぼ円柱形をした1つの原子炉用炉心を形成す
ると想定できるため、上記Rの設定条件で任意形状の全
ての炉心を臨界状態とすることができる。
【0042】請求項10記載の発明では、請求項7〜9
の内のいずれか1項記載の原子炉において、前記複数の
原子炉用炉心は少なくとも3つである。
【0043】ここで、炉心の実効半径Rを満足すべき値
は、上記炉心形状だけでなく、1つの原子炉圧力容器内
に収容する原子炉用炉心の数によっても異なるため、原
子炉停止時の未臨界性を十分に確保する、即ち実効増倍
率を低下させるためには、より小さい原子炉用炉心を多
数設けることが望ましい。
【0044】「少なくとも3つ」と数値限定した理由
は、例えば上記[数14]式を満足させるためには、同
式中の右辺の平方根内の分子が正の状態となる必要があ
り、上記例と同様に実際的な数値としてMh 2 =75
(cm2 )、Mc 2 =35(cm2 )としたとき、n>2.
2(個)となるためである。これにより、上記[数1
4]を成立させることができ、上記[数11]又は[数
12]式を満足するため、原子炉停止時の未臨界性を十
分に確保できる。
【0045】請求項11記載の発明では、請求項7〜1
0の内のいずれか1項記載の原子炉において、前記複数
の原子炉用炉心の内の互いに隣接する2つの原子炉用炉
心間の間隙長を15cm以上に設定している。
【0046】「15cm以上」に数値限定した理由は、
上記例と同様に低温時の中性子移動面積の実際的な数値
であるMc 2 =30〜40(cm2 )を、中性子が核分裂
反応により生成してから燃料中に吸収されるまでの直線
移動距離の平均値を求める式、即ち(6Mc 2 1/2
代入して求まる最大値(約15cm)を炉心間の間隙長
の下限値とすることで、原子炉用炉心から漏れ出した中
性子を隣接する他の原子炉用炉心に到達する前に十分に
吸収できるからである。従って、原子炉停止時には、複
数の原子炉用炉心を互いに独立した小さな炉心として作
用させることができ、実効増倍率を十分に低下させて未
臨界性を十分に確保できる。
【0047】請求項12記載の発明では、請求項7〜1
1の内のいずれか1項記載の原子炉において、前記複数
の原子炉用炉心の内の隣接する2つの原子炉用炉心の互
いに対向する外側表面の少なくとも一部を凹凸状に形成
している。
【0048】「凹凸状」にしたことで、各原子炉用炉心
の表面積が増大するため、原子炉停止時には中性子漏れ
が多くなり、実効増倍率を低下させて未臨界性の効果を
更に高めることができる。また、原子炉運転時には凹凸
状の表面から飛び出した中性子の多くが隣接する他の原
子炉用炉心に飛び込むため、中性子漏れを抑え、実効増
倍率の低下を抑制して臨界状態を十分に維持させること
ができる。
【0049】請求項13記載の発明では、請求項7〜1
2の内のいずれか1項記載の原子炉において、前記複数
の原子炉用炉心間の中性子減速材量を、原子炉運転時よ
りも原子炉停止時の方が大きくなるように調整可能な制
御体を更に備えている。ここで、中性子減速材として
は、例えば水が望ましい。
【0050】中性子減速材は、適量の場合には核分裂で
生成する中性子のエネルギーを低下させて核分裂反応断
面積を増大させるため、実効増倍率を増大させるが、過
剰な量の場合には中性子を吸収する効果を発揮して逆に
実効増倍率を低下させる作用がある。このため、原子炉
停止時に、隣接する原子炉用炉心間の間隙にある中性子
減速材の量を、上記中性子吸収効果を発揮させるのに必
要な量となるように原子炉運転時よりも大きくすること
で、大量の中性子減速材を中性子吸収材として作用させ
ることができる。従って、原子炉停止時には炉心から漏
れ出した中性子が中性子減速材で十分に吸収されるた
め、各炉心の実効増倍率が低下して未臨界性の効果をよ
り一層高めることができる。
【0051】請求項14記載の発明では、請求項13記
載の原子炉において、前記制御体は、水素含有率が水よ
りも低い材料を充填して成る水排除棒を備え、この水排
除棒を前記複数の原子炉用炉心間の軸方向に沿って挿入
及び引抜き可能に配置している。
【0052】「水排除棒」の動作により、各炉心間の間
隙中の水量を調整して各炉心間の結合状態を制御できる
ため、運転時と停止時の実効増倍率を確実に制御でき
る。
【0053】請求項15記載の発明では、請求項14記
載の原子炉において、前記水排除棒は少なくとも2つの
棒状体から成り、この棒状体を前記複数の原子炉用炉心
間の軸方向に沿って個別に移動させる駆動機構を更に備
えている。
【0054】例えば、原子炉停止中に完全に引き抜かれ
ている水排除棒が誤動作、誤操作等の理由により各炉心
間に挿入される事態を想定した場合、一部の棒状体が誤
まって挿入され、その部分の水が排除されたとしても、
他の棒状体はそのまま引抜状態にあり、その部分の炉心
間はそのまま水で充満されているため、全体としては実
効増倍率の増大を抑制し、未臨界性の信頼度を高めるこ
とができる。
【0055】請求項16記載の発明では、請求項14又
は15記載の原子炉において、前記水排除棒は、前記原
子炉用炉心の軸方向の高さよりも短い軸長を有してい
る。
【0056】原子炉運転時には、上下に長い炉心の内の
水排除棒が挿入されている一部分だけが臨界状態とな
る。この部分は運転時間に比例して燃焼が進み、核燃料
物質が減損するため、やがて臨界を維持できなくなる。
従って、水排除棒を未だ燃焼させていない上下部位に移
動させることで、燃料全体の寿命を長くし、原子炉運転
の継続時間を長期化させ、燃料交換頻度を減少させるこ
とができる。
【0057】請求項17記載の発明では、請求項14〜
16の内のいずれか1項記載の原子炉において、前記水
排除棒を、原子炉停止時に原子炉用炉心の軸方向の下方
位置の移動させると共に、原子炉運転時に上記軸方向の
上方位置に向けて移動させる手段を備えている。
【0058】例えば、原子炉運転中に外乱等の理由で水
排除棒が重力落下する場合を想定した場合、水排除棒が
炉心部から引き抜かれることはあっても、挿入される事
態は生じないため、このような場合が生じても原子炉用
炉心の実効増倍率が必ず低下し、原子炉の安全性をより
一層高めることができる。
【0059】請求項18記載の発明に係る原子炉の運転
方法は、請求項16記載の原子炉の運転方法であって、
原子炉停止時に前記原子炉用炉心の軸方向の下方位置で
停止している前記水排除棒を、原子炉運転に伴って上記
原子炉用炉心の軸方向の上方位置に向けて挿入移動させ
ていくようになっている。
【0060】原子炉運転時に、燃料減損により臨界が維
持できなくなるまで水排除棒を固定しておくと、燃料集
合体の内の水排除棒の上下端部に相当する部位は十分に
燃焼しないまま次の部位の燃焼を行うことになる。従っ
て、運転に伴って水排除棒を移動させる方法を採用する
ことで、原子炉用炉心に装荷されている燃料集合体のよ
り多くの部位を殆ど均等に燃焼させることができ、燃料
の燃焼効率を高めることができる。
【0061】請求項19記載の発明に係る原子炉は、請
求項13記載の原子炉において、前記制御体は、前記複
数の原子炉用炉心間に隔離配置された制御領域を備え、
この制御領域内の水位を軸方向に沿って調整可能に形成
している。機械的な駆動機構を必要としない分、点検の
必要性や故障の心配が殆どなく、原子炉運転の維持負担
を大幅に軽減できる。
【0062】請求項20記載の発明では、前記制御領域
は、少なくとも2つに隔離分割された領域から成ってい
る。例えば、原子炉停止中に制御領域部内の一部の水量
が減少したとしても、水の減少を局所的に抑えることが
でき、全体として実効増倍率の増大を抑制できる。
【0063】請求項21記載の発明に係る原子炉の運転
方法は、請求項19又は20記載の原子炉の運転方法で
あって、原子炉停止時に前記原子炉用炉心の上端よりも
上位にある前記制御領域内の水位を、原子炉運転に伴っ
て下降させていくようになっている。請求項18記載の
発明と同様に、原子炉用炉心に装荷されている燃料集合
体のより多くの部位を殆ど均等に燃焼させることがで
き、燃料の燃焼効率を高めることができる。
【0064】なお、炉心と炉心との間隙の水量を調整す
ることで実効増倍率を制御する方法は、既に従来公知
(例えば、特開昭57−128885号公報)である
が、この従来例は、そもそも本発明の主要な課題、即ち
小型原子炉の停止時の未臨界性を確保するといった観点
で成されたものではない。従って、この従来例では、原
子炉停止は制御棒挿入で行い、炉心間の間隙長も5〜1
0(cm)と明記されており、本発明の課題達成手段の要
部、例えば炉心の大きさ、炉心の数、炉心間の間隙長な
どが開示又は示唆されていない。例えば、本発明では原
子炉停止を含めて水量調整だけで実効増倍率を制御可能
な構成としたため、前述のように制御棒は必須の構成要
素でない。
【0065】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、この発明の第1実施形態を図1
に基づいて説明する。この第1実施形態は、電気出力
2.3万kWの沸騰水型原子炉に適用したものである。
ここで、従来の原子炉と実質的に同一又は同等の構成要
素については、同一又は同等の符号を付してその説明を
簡略又は省略する。
【0066】図1の概観図に示す原子炉は、請求項6〜
11記載の複数の原子炉用炉心を要部に備えた構成で、
図示しない1つの原子炉圧力容器内に収納された1つの
シュラウド内に4つの原子炉用炉心(以下、「炉心」)
4…4を配設している。従って、この炉心4…4は、前
記[14]式で定まる臨界及び未臨界条件と、前述の配
置個数要件(少なくとも3つ)および各炉心間の間隙長
要件(15cm以上)とを満足するように設定されてい
る。また、この原子炉は、請求項13、14、及び17
記載の制御体の要部を成す水排除棒を備え、この水排除
棒23を4つの炉心間に挿入及び引抜き自在に配置して
いる。
【0067】炉心4…4の夫々は、請求項1〜5記載の
複数の燃料集合体を要部に備えた構成で、炉心毎に13
個の燃料集合体28…28を配設している。従って、こ
の燃料集合体28…28は、原子炉運転開始時の低温状
態における実行増倍率が1よりも十分小さくなる未臨界
条件と、全ての運動状態において減速材密度係数が負の
状態となる条件とを満足するように設定されている。こ
のため、この炉心は、従来の中性子吸収材から成る制御
棒を備えていない。
【0068】燃料集合体28…28は、従来と同様に図
示しないチャンネルボックス内に複数の燃料棒及びウォ
ータロッドを備えたもので、全ての運転状態で減速材密
度係数が負の状態となるように、非沸騰水が流れるチャ
ンネルボックスの外側領域の大きさが従来の約3/5、
即ち燃料集合体の境界をチャンネルボックスとしたとき
の炉心内における配置間隔が従来の約半分に設定されて
いる。ここで、減速材密度係数を負の状態にする別の方
法としては、燃料集合体内のウォータロッドが占める領
域を小さくする方法や複数の燃料棒の配列を変える方法
等がある。
【0069】図11は、この燃料集合体28…28の減
速材密度係数を説明するもので、同図中の曲線29は運
転中の状態を示し、曲線30は低温時の状態を示す。つ
まり、減速材密度係数は、低温時の状態から運転状態に
至る全ての状態において負の状態となっている。
【0070】水排除棒23は、例えばジルコニウム合金
から成る断面十字形で幅20cm程の薄板を有し、この
薄板内に炉心部とほぼ同程度の圧力を維持するためのヘ
リウムガス等の不活性ガス(水よりも水素含有量が低い
物質)を封入して成るもので、水圧を利用した機構(従
来の沸騰水型炉で採用されている水圧駆動)又は電動モ
ータを用いた機構(最近の沸騰水型炉で採用されている
電動モータ式)等の駆動機構(図示しない)により、軸
方向に配置された複数の支持材24…24で支持された
状態で複数の駆動棒26…26に沿って上下動する。
【0071】つまり、この水排除棒23は、駆動機構に
より停止時に炉心の軸方向の下方位置に移動し、運転時
に軸方向の上方位置に移動する(図中の二点鎖線矢印a
及び符号27の水排除棒引抜き位置参照)。例えば、運
転起動時には炉心部の温度が上昇すると、前述の如く燃
料集合体の減速材密度係数が負の状態であることから、
実効増倍率が低下してしまう。この実効増倍率低下分を
補償するため、水排除棒23を挿入して各炉心4…4の
間隙の水を排除し、水量を減少させることで、実効増倍
率を臨界状態の適宜値に制御するようになっている。
【0072】この水排除棒23には、軸方向に直交する
断面の4つの端部に軸方向に沿って酸化ベリリウム等か
ら成る中性子反射用の反射体25…25が配設されてい
る。反射体25…25は、酸化ベリリウムのほか、軽
水、重水、炭素、水素化ジルコニウム等で形成してもよ
い。反射体25…25の設置箇所は、水排除棒の軸方向
の側面のほか、水排除棒23の上下面でもよい。さら
に、燃料集合体28…28のチャンネルボックスの外側
を流れる非沸騰水等を中性子反射用として兼用すれば、
必ずしも反射体25…25を設ける必要はない。
【0073】次に、この実施形態に係る原子炉の作用を
説明する。
【0074】まず、原子炉停止時を考えると、この原子
炉停止に際し、水排除棒23は駆動機構により各炉心4
…4の外側に引き抜かれた状態にある(図1中の符号2
7参照)。この状態では、各炉心4の間隙に水が充満し
ているため、炉心4…4から間隙に漏れ出していく中性
子は、水に吸収され、隣接する他の炉心に到達困難とな
る。従って、4つの炉心4…4は互いに独立した小さな
炉心として作用するため、中性子漏れが増加して実効増
倍率が低下し、原子炉は臨界未満の状態を維持する。
【0075】次いで、原子炉を未臨界の停止状態から起
動させたとする。この原子炉起動に際し、炉心の外側に
ある水排除棒23を駆動機構により各炉心4…4の間隙
に挿入していく。このとき、原子炉は、炉心4…4に対
する水排除棒の所定の挿入深度(例えばH=50(c
m))において低温のまま臨界状態に達し、水排除棒2
3を更に深く挿入していくと、臨界超過の状態に移行す
る。しかしながら、水排除棒23の挿入深度に比例して
水温も同時に上昇していくため、実効増倍率が低下し、
原子炉は再び臨界状態に戻る。このように水排除棒挿入
による実効増倍率増加分と水温上昇による実効増倍率低
下分とのバランスを取って臨界状態を維持しながら、所
定の挿入深度において圧力で定まる飽和温度(図11中
では286℃が70気圧の飽和温度)に達する。その
後、更に水排除棒23を挿入すると水が沸騰し、炉心平
均で40%のボイド率で運転を開始する。
【0076】次いで、このように水排除棒23が炉心部
に挿入されて運転を開始した原子炉の運転中の状態を考
える。この状態では、炉心4…4から飛び出した中性子
が水排除棒23を貫通して隣接する炉心4…4に飛び込
むため、あたかも1つの大きな炉心として作用する。こ
のとき、水排除棒23を伝わって横方向の端部へ漏れ出
していく中性子が、その端部にある反射体25…25に
より反射され、再び中央に戻る。従って、このような運
転時における中性子漏れに起因する実効倍増率の低下現
象は殆ど生じず、臨界性が十分に維持される。
【0077】また、原子炉運転時に炉心部に挿入されて
いた水排除棒23が誤操作や誤動作等により重力落下し
たしても、各炉心4…4の間隙は水で満たされて実効増
倍率が低下するため、原子炉運転が確実に停止し、不都
合な事態は回避される。
【0078】次に、この原子炉の有効性を調べる目的
で、検証実験(シミュレーション)を行った。
【0079】この検証実験では、前記[数14]式の条
件を満足させるため、例えば炉心の個数n、高さH、及
び半径Rを、n=4(個)、H=230(cm)、R=3
1(cm)とし、使用した燃料集合体28…28の運転時
及び停止時における中性子移動面積Mh 2 及びMc 2
無限増倍率の差Δkを、Mh 2 =75(cm2 )、Mc 2
=35(cm2 )、Δk=0.08として、各炉心4…4
を円柱形として近似しない詳細な方法でシミュレートし
た。
【0080】ここで、実験条件の設定にあたり、負の減
速材密度係数に起因した運転時と停止時の無限増倍率の
差Δkの増加分を回避し、Δkを小さくする目的で、出
力密度を従来の同規模の原子炉に比べて約半分に抑制
し、運転時のXeによる中性子吸収量を減少させ、運転
時の無限増倍率を増加させた。また、出力密度を従来の
約半分に減少させたたため、この状態における原子炉出
力を十分に維持する目的で、炉心4…4の高さHを従来
よりも高めに設定し(H=230(cm))、半径Rも前
記[数14]式を許容する範囲内で大きめに設定した
(R=31(cm))。
【0081】この実験結果によると、運転時及び停止時
の実効増倍率は、1.00及び0.96であった。従っ
て、従来の制御棒を全く使用しない制御棒非存在下にお
ける炉心構造で水排除棒の移動操作を行うことにより、
原子炉の臨界性を確実に制御でき、原子炉停止を含めた
出力運転を実行できることが確認された。
【0082】(第2実施形態)次に、この発明の第2実
施形態を図2に基づき説明する。この第2実施形態は、
上記第1実施形態の反射体の代わりに燃料集合体を配置
したものである。ここで、上記第1実施形態と同一又は
同等の構成要素について、同一又は同等の符号を付して
その説明を簡略又は省略する。
【0083】図2の横断面図に示す原子炉は、前記と比
べ水排除棒31の断面方向の長さを短く設定し、その先
端部に中性子反射用としての燃料集合体28a…28a
を装荷している。燃料集合体28a…28aは、隣接す
る2つの炉心4、4間に1個の割合で配設されている。
【0084】この原子炉では、運転時に水排除棒31を
介して横方向に漏れ出していく中性子を燃料集合体28
a…28aで再び中央に戻し、臨界状態を維持すると共
に、停止時に1体の燃料集合体28aだけでは隣接する
2つの炉心4、4間を結合する作用が殆ど働かないた
め、実効増倍率が低下し、臨界未満の状態となる。
【0085】従って、この実施形態では、上記第1実施
形態と実質的に同等の効果に加え、同一の原子炉圧力容
器内に多数の燃料集合体を配置できるため、原子炉出力
を更に高める利点がある。
【0086】(第3実施形態)次に、この発明の第3実
施形態を図3に基づき説明する。この第3実施形態は、
上記第1実施形態の水排除棒の構造を変更し、制御棒を
補助的に追加したものである。ここで、上記第1実施形
態と同一又は同等の構成要素について、同一又は同等の
符号を付してその説明を簡略又は省略する。
【0087】図3の横断面図に示す原子炉は、請求項1
5記載の水排除棒の要部を備えた構成で、4つの炉心4
…4間に挿入及び引抜き可能な水排除棒32を互いに独
立しした4つの棒状体32a…32aで形成している。
また、この原子炉の各炉心4…4には、13個の燃料集
合体11…11間に複数の制御棒12…12が配設され
ている。
【0088】棒状体32a…32aには、個別に駆動機
構(図示しない)が取り付けられている。この駆動機構
により、棒状体32a…32aは、通常時には同時に稼
働するようになっている。また、誤動作等により、原子
炉の停止中に炉心部の外側にある水排除棒32が炉心部
に誤挿入される事態を想定すると、誤挿入されるのは全
ての棒状体32a…32aではなく、その一部の棒状体
32aに抑えることができるため、このような誤挿入の
事態が生じても各炉心間の結合が小さく、実効増倍率の
増加を抑制できる。
【0089】制御棒12…12は、従来と同様の制御棒
から成るもので、1つの炉心に3本配置されている。こ
の制御棒12…12は、原子炉停止機構としては補助的
に使用される。即ち、通常時は水排除棒32の動作だけ
で原子炉の運転及び停止を行い、例えば緊急時に原子炉
の運転を急速停止したり、何れかの理由で特定の炉心だ
けを制御する必要がある場合にのみ使用される。また、
運転開始の際に使用すると、低温状態における燃料集合
体の減速材密度係数を負の状態に制御できるため、原子
炉起動をスムーズに行うことができる。
【0090】従って、この実施形態では、上記第1実施
形態と実質的に同等の効果に加え、原子炉停止時におけ
る水排除棒の誤挿入に起因して生じる不都合な事態を極
力回避できる利点がある。
【0091】(第4実施形態)次に、この発明の第4実
施形態を図4に基づき説明する。この第4実施形態は、
上記第4実施形態の炉心及び水排除棒の形状を工夫した
ものである。ここで、上記第1実施形態と同一又は同等
の構成要素について、同一又は同等の符号を付してその
説明を簡略又は省略する。
【0092】図4の横断面図に示す原子炉は、請求項1
2記載の複数の原子炉用炉心の要部を備えた構成で、前
述よりも1体多い14体の燃料集合体28…28を装荷
して出力を高めた4つの炉心4…4と、5つの棒状体3
3a…33aから成る水排除棒33とを収容している。
【0093】炉心4…4は、互いに対向する側の外側表
面(内表面)の横断面形状が前述のように直線状でな
く、燃料集合体28…18の外側形状に規制される凹凸
状(例えば、略T字状)に設定されている。また、この
炉心形状に合わせて、水排除棒33の横断面形状も十字
型ではなく、凹凸状に設定されている。
【0094】従って、原子炉停止時には、水排除棒33
が引き抜かれて各炉心4…4が分離したときに隣接する
炉心4…4間の対向側の内表面が凹凸状になり、外側に
向かって凹状になる部分をもたない同一体積の炉心に比
べてその表面積が大きくなっているため、中性子の漏れ
が増加する。即ち、実効増倍率が低下するため、原子炉
を確実に臨界未満の状態とすることができる。
【0095】また、原子炉運転時には、内表面から飛び
出した中性子は隣接する炉心4…4に容易に飛び込むた
め、実効増倍率が殆ど低下せず、原子炉の臨界状態を確
実に維持させることができる。
【0096】従って、この実施形態では、上記第1実施
形態と実質的に同等の効果に加え、各炉心の互いに対向
する側の表面積を増加させたため、原子炉臨界性の信頼
度をより一層高める利点がある。
【0097】(第5実施形態)次に、この発明の第5実
施形態を図5に基づき説明する。この第5実施形態は、
上記第4実施形態の炉心及び水排除棒の形状を変更して
実施したものである。ここで、上記第1実施形態と同一
又は同等の構成要素について、同一又は同等の符号を付
してその説明を簡略又は省略する。
【0098】図5の横断面図に示す原子炉は、2つの炉
心34、35及び水排除棒36を軸方向に直交する同一
円の異なる円周方向に層状に配置している。即ち、この
原子炉では、中央部に円柱状の炉心34、その外側円周
部に4つの円弧状体に分割された独立稼働可能な棒状体
36a…36aから成る略円管状の水排除棒36、その
外側円周部に略円管状の炉心36を備えている。2つの
炉心34、35間の対向する側の表面積は、上記第4実
施形態と同様に大きくなっている。
【0099】従って、この実施形態でも、炉心の対向側
の表面積増加に起因した上記第4実施形態と同等の効果
を発揮させることができる。
【0100】(第6実施形態)次に、この発明の第6実
施形態を図6に基づき説明する。この第6実施形態は、
上記第1実施形態の水排除棒に対する燃料集合体の高さ
を変更して実施したものである。ここで、上記第1実施
形態と同一又は同等の構成要素について、同一又は同等
の符号を付してその説明を簡略又は省略する。
【0101】図5の概観図に示す原子炉は、請求項16
記載の水排除棒の要部を備えた構成で、4つの炉心4…
4及び十字状の水排除棒23を有し、第1実施形態(図
1参照)と比べると、水排除棒23の高さH1が同じで
燃料集合体37…37の高さ(炉心の高さ)H2が2倍
となっている。即ち、水排除棒23の高さは、燃焼集合
体28…28の約半分と短い。
【0102】ここで、この原子炉の運転方法(請求項1
8記載の要部を成す)を説明する。
【0103】まず、原子炉起動に際し、停止時に炉心部
よりも下方に引き抜かれている水排除棒23を徐々に上
昇させる。そこで、原子炉が運転状態になると、運転中
においても少しずつ上方に向けて移動させていく。
【0104】つまり、炉心4…4の下部の核燃料物質が
減損しても水排除棒23が挿入されていない上部では未
だ不燃焼であるため、この部分に徐々に水排除棒23を
押し上げることにより、新たな不燃焼部分を下部から上
部に向けて順次、臨界状態に移行させ、全体として原子
炉運転を長期にわたり継続させることができる。従っ
て、燃料の交換寿命を大幅に延長できる利点がある。
【0105】また、上下方向の任意位置に水排除棒23
が挿入されている状態で、誤操作又は誤動作等により水
排除棒23が重力落下したとしても、燃料集合体37…
37の下部は既に燃焼済みで核燃料物質が減損している
ため、各炉心4…4間が結合して実効増倍率が高まり、
臨界状態となる不都合な事態を殆ど回避できる。従っ
て、水排除棒23の重力落下に対する安全性をより一層
高める利点がある。
【0106】なお、燃料集合体37…37の高さを水排
除棒23の2倍としたが、これに限定されるものでな
く、3倍又はそれ以上に設定してもよい。要するに、水
排除棒の軸長が燃料集合体よりも短い構成であればよ
い。
【0107】(第7実施形態)次に、この発明の第7実
施形態を図7に基づき説明する。この第7実施形態は、
上記第1〜6実施形態の水排除棒の代わりに制御領域シ
ステムを配置して実施したものである。ここで、上記第
1実施形態と同一又は同等の構成要素について、同一又
は同等の符号を付してその説明を簡略又は省略する。
【0108】図7の縦断面図に示す原子炉は、前述の水
排除棒の代わりに請求項19及び20記載の制御領域を
搭載した制御領域システムを備える。この制御領域シス
テムは、公知の制御領域及びその駆動機構(例えば、特
開平4−102093号公報)を適用したものである。
【0109】制御領域システムは、炉心支持板3の下部
から複数の炉心4…4間の間隙を挿通し、その上方にあ
る上部格子板5、上部プレナム8、気水分離器9に至る
軸方向にシリンダ状に閉塞して延びた制御領域38と、
この制御領域38の底部に給水管41及びそのバルブ4
6を介して通流可能に連結される注水タンク40と、制
御領域38の頂部に給気管44及びそのバルブ43を介
して通気可能に連結される加圧器42とを要部に備え
る。この内、注水タンク40及び加圧器42は、例えば
原子炉圧力容器1の外部に配設されている。
【0110】制御領域38は、その外側がシリンダ状の
仕切体45で形成されており、この仕切板45により各
炉心4…4との間の水の往来を回避している。この制御
領域38は、注水タンク40からの水45を給水管41
を介して底部から受け入れると共に、加圧器42からの
窒素等のガスを給気管44を介して頂部から受け入れ
る。
【0111】次に、この原子炉の運転方法(請求項21
記載の要部を成す)を説明する。
【0112】まず、原子炉停止中には、注水タンク40
のバルブ46を操作して制御領域38内に水45が供給
され、制御領域38内の水位が上部格子板5よりも上位
に維持されている。この状態で原子炉の運転を開始す
る。
【0113】この運転開始に際し、注水タンク40のバ
ルブ46を開けた状態で加圧器42のバルブ43を開
け、制御領域38内にガスを送り込む。この導入ガスに
より制御領域38内の水位が徐々に低下し始め、ガスの
占める領域が制御領域38内の頂部から中央付近に達す
ると、原子炉は臨界状態となる。この臨界状態で一定の
期間運転を行って燃料集合体(図示しない)の上部の核
燃料物質が減損すると、ガスを更に送り込み、制御領域
38内の水位を更に低下させる。
【0114】従って、未だ不燃焼で燃料が減損していな
い燃料集合体の下部を利用して再び臨界状態を維持する
ことができるため、上記第6実施形態と実質的に同等の
効果を発揮させることができる。
【0115】なお、この実施形態の構成に制御棒を加え
てもよい。この場合には、実効増倍率の制御に要する時
間を更に短縮できる利点がある。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜5記載
の発明に係る原子炉用炉心及び請求項6〜17、19及
び20記載の原子炉によると、小型原子炉においても原
子炉停止時における未臨界性を十分に確保できるため、
例えば発展途上国等における小型原子炉の設置要求を十
分に満足させることができる。また、制御棒の操作を必
ずしも必要としない炉心構造で原子炉の運転及び停止を
実行できるため、原子炉運転が容易になるだけでなく、
炉心構造を比較的簡素に構築でき、例えば制御棒の非存
在下での炉心構造を採用した場合には、2次的な効果と
して建設コストを大幅に節約できる。
【0117】また、請求項18及び21記載の原子炉の
運転方法によると、燃料集合体の燃焼効率が高まって燃
料寿命が長期化されるため、燃料の交換頻度を大幅に削
減し、これにより、例えば発展途上国等における小型原
子炉の多数基設置要求に伴う燃料交換の手間を大幅に低
減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の概観図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の横断面図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の横断面図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の横断面図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の横断面図。
【図6】本発明の第6実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の概観図。
【図7】本発明の第5実施形態に係る原子炉用炉心及び
原子炉の要部構成を示す概略の縦断面図。
【図8】従来の大型の沸騰水型原子炉の要部構成を示す
概略の縦断面図。
【図9】従来の大型の沸騰水型原子炉の要部構成を示す
概略の横断面図。
【図10】従来の燃料集合体及び制御棒の要部構成を示
す概略の横断面図
【図11】水素原子数/ウラン原子数に対する無限増倍
率の変化を説明するグラフ。
【図12】電気出力に対する停止時と運転時との実効増
倍率差の変化を説明するグラフ。
【符号の説明】
1 原子炉圧力容器 2 シュラウド 3 炉心支持板 4、35、36 炉心 5 上部格子板 6 ダウンカマ 7 下部プレナム 8 上部プレナム 9 気水分離器 10 蒸気乾燥器 11、28、37 燃料集合体 12 制御棒 13 チャンネルボックス 14 燃料棒 15 被覆管 16 燃料ペレット 17 ウォータロッド 18 十字状支持部 19 シース 20 中性子吸収棒 23、31、32、33、34 水排除棒 32a、33a、36a 棒状体 24 支持材 25 反射体 26 駆動棒 27 水排除棒の引抜き位置 38 制御領域 39 仕切板 40 注水タンク 41 給水管 42 加圧器 43、46 バルブ 44 給気管 45 水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 7/24 GDB G21C 7/10 GDBC 17/06 GDB GDBJ G21D 3/08 GDB 17/06 GDBE GDBF

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の燃料集合体を備え、この複数の燃
    料集合体を原子炉運転開始時の低温状態における原子炉
    臨界性に関する設定値が臨界未満の状態となるように形
    成したことを特徴とする原子炉用炉心。
  2. 【請求項2】 前記原子炉臨界性に関する設定値は炉心
    形状に基づくバックリングを含む設定値であると共に、
    前記低温状態における無限増倍率及び中性子移動面積を
    及びM2 とし、実効増倍率をkeff とし、上記バッ
    クリングをB2 としたとき、 【数1】 の式で求まる実効増倍率keff の値が1未満の状態とな
    る未臨界条件を満たすように前記複数の燃料集合体を形
    成した請求項1記載の原子炉用炉心。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の原子炉用炉心は円柱状体
    で成り、この円柱状体の高さ及びその半径をH及びRと
    したとき、 【数2】 の式で求まる前記バックリングB2 が前記未臨界条件を
    満たすように上記円柱状体の高さH及びその半径Rを設
    定した請求項2記載の原子炉用炉心。
  4. 【請求項4】 前記複数の燃料集合体は、全ての運転状
    態において減速材密度係数が負の状態となるように形成
    した請求項1〜3の内のいずれか1項記載の原子炉用炉
    心。
  5. 【請求項5】 前記複数の燃料集合体を含む炉心構造体
    を中性子吸収材から成る制御棒の非存在下で形成した請
    求項4記載の原子炉用炉心。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の内のいずれか1項記載の
    原子炉用炉心と、この原子炉用炉心を収納する原子炉圧
    力容器とを備えたことを特徴とする原子炉。
  7. 【請求項7】 1つの前記原子炉圧力容器内に複数の前
    記原子炉用炉心を収容した請求項6記載の原子炉。
  8. 【請求項8】 原子炉運転時における中性子輸送方程式
    の解を前記複数の原子炉用炉心が個別に存在すると想定
    した第1の体系と、前記1つの原子炉圧力容器に収納し
    た全ての原子炉用炉心を含めた第2の体系とで個別に算
    出したときの上記第1の体系で求まる上記解が臨界未満
    の状態となり且つ上記第2の体系で求めた上記解が臨界
    の状態となるように上記複数の原子炉用炉心を形成した
    請求項7記載の原子炉。
  9. 【請求項9】 前記中性子輸送方程式は、原子炉運転時
    及びその停止時の中性子移動面積をMh 2 及びMc 2
    し、原子炉運転時の無限増倍率をkh とし、原子炉運転
    時及びその停止時の無限増倍率の差をΔkとし、原子炉
    運転時及びその停止時のバックリングをBh 2 及びBc
    2 としたとき、 【数3】 の式又はこの式から上記Δkを消去して求まる、 【数4】 の式で定めた原子炉臨界性に関する第1の条件と、 前記1つの原子炉圧力容器内に収納する前記複数の原子
    炉用炉心の個数をnとし、当該原子炉用炉心の高さ及び
    その実効半径をH及びRとし、n個の原子炉用炉心の軸
    方向に直交する横断面積の合計と等しい面積を有する仮
    想円の半径をR´としたとき、 【数5】 の式で求まる上記バックリングBh 2 及びBc 2 に関す
    る第2の条件とを同時に満足させる、 【数6】 の中性子輸送モデルに基づく条件式であり、この条件式
    を満たすように上記複数の原子炉用炉心を形成した請求
    項8記載の原子炉。
  10. 【請求項10】 前記複数の原子炉用炉心は少なくとも
    3つである請求項7〜9の内のいずれか1項記載の原子
    炉。
  11. 【請求項11】 前記複数の原子炉用炉心の内の互いに
    隣接する2つの原子炉用炉心間の間隙長を15cm以上
    に設定した請求項7〜10の内のいずれか1項記載の原
    子炉。
  12. 【請求項12】 前記複数の原子炉用炉心の内の隣接す
    る2つの原子炉用炉心の互いに対向する外側表面の少な
    くとも一部を凹凸状に形成した請求項7〜11の内のい
    ずれか1項記載の原子炉。
  13. 【請求項13】 前記複数の原子炉用炉心間の中性子減
    速材量を、原子炉運転時よりも原子炉停止時の方が大き
    くなるように調整可能な制御体を更に備えた請求項7〜
    12の内のいずれか1項記載の原子炉。
  14. 【請求項14】 前記制御体は、水素含有率が水よりも
    低い材料を充填して成る水排除棒を備え、この水排除棒
    を前記複数の原子炉用炉心間の軸方向に沿って挿入及び
    引抜き可能に配置した請求項13記載の原子炉。
  15. 【請求項15】 前記水排除棒は少なくとも2つの棒状
    体から成り、この棒状体を前記複数の原子炉用炉心間の
    軸方向に沿って個別に移動させる駆動機構を更に備えた
    請求項14記載の原子炉。
  16. 【請求項16】 前記水排除棒は、前記原子炉用炉心の
    軸方向の高さよりも短い軸長を有する請求項14又は1
    5記載の原子炉。
  17. 【請求項17】 前記水排除棒を、原子炉停止時に原子
    炉用炉心の軸方向の下方位置の移動させると共に、原子
    炉運転時に上記軸方向の上方位置に向けて移動させる手
    段を備えた請求項14〜16の内のいずれか1項記載の
    原子炉。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の原子炉の運転方法で
    あって、原子炉停止時に前記原子炉用炉心の軸方向の下
    方位置で停止している前記水排除棒を、原子炉運転に伴
    って上記原子炉用炉心の軸方向の上方位置に向けて挿入
    移動させていくことを特徴とする原子炉の運転方法。
  19. 【請求項19】 前記制御体は、前記複数の原子炉用炉
    心間に隔離配置された制御領域を備え、この制御領域内
    の水位を軸方向に沿って調整可能に形成した請求項13
    記載の原子炉。
  20. 【請求項20】 前記制御領域は、少なくとも2つに隔
    離分割された領域から成る請求項19記載の原子炉。
  21. 【請求項21】 請求項19又は20記載の原子炉の運
    転方法であって、原子炉停止時に前記原子炉用炉心の上
    端よりも上位にある前記制御領域内の水位を、原子炉運
    転に伴って下降させていくことを特徴とする原子炉の運
    転方法。
JP30760395A 1995-11-27 1995-11-27 原子炉及びその運転方法 Expired - Fee Related JP3445423B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30760395A JP3445423B2 (ja) 1995-11-27 1995-11-27 原子炉及びその運転方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30760395A JP3445423B2 (ja) 1995-11-27 1995-11-27 原子炉及びその運転方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09145878A true JPH09145878A (ja) 1997-06-06
JP3445423B2 JP3445423B2 (ja) 2003-09-08

Family

ID=17971042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30760395A Expired - Fee Related JP3445423B2 (ja) 1995-11-27 1995-11-27 原子炉及びその運転方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3445423B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109830309A (zh) * 2019-02-20 2019-05-31 哈尔滨工程大学 一种分离式核反应堆堆芯
CN114242273A (zh) * 2021-12-17 2022-03-25 中国核动力研究设计院 一种基于9×9棒栅燃料组件的小型反应堆堆芯

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109830309A (zh) * 2019-02-20 2019-05-31 哈尔滨工程大学 一种分离式核反应堆堆芯
CN114242273A (zh) * 2021-12-17 2022-03-25 中国核动力研究设计院 一种基于9×9棒栅燃料组件的小型反应堆堆芯
CN114242273B (zh) * 2021-12-17 2024-02-06 中国核动力研究设计院 一种基于9×9棒栅燃料组件的小型反应堆堆芯

Also Published As

Publication number Publication date
JP3445423B2 (ja) 2003-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6925138B2 (en) Reactor core and method for operating nuclear reactor
US6259760B1 (en) Unitary, transportable, assembled nuclear steam supply system with life time fuel supply and method of operating same
WO2018074341A1 (ja) 燃料集合体及びそれを装荷する沸騰水型原子炉の炉心
EP2088600A1 (en) Core of a boiling water reactor
JP6503188B2 (ja) 原子炉炉心及び燃料集合体装荷方法
US5143690A (en) Fuel-assembly inversion for dual-phase nuclear reactors
JP3445423B2 (ja) 原子炉及びその運転方法
JP2019163945A (ja) 燃料集合体及びそれを装荷する軽水炉の炉心
JP6965200B2 (ja) 燃料集合体
EP3457414B1 (en) Fuel assembly and nuclear reactor core loaded with same
JP4558477B2 (ja) 沸騰水型原子炉の燃料集合体
JP6670133B2 (ja) 燃料集合体及び原子炉の炉心
JP5361964B2 (ja) 原子炉の初装荷炉心
US3703437A (en) Means for supporting fissile material in a nuclear reactor
JP7365297B2 (ja) 燃料集合体及び沸騰水型原子炉
JP7168528B2 (ja) 燃料集合体
JP2022177385A (ja) 燃料装荷方法および炉心
JP2022025334A (ja) 燃料集合体
Sasaki et al. Design study of smr class Super FR core for In-Vessel Retention
JP5700554B2 (ja) 原子炉の燃料取出し方法及びその燃料交換方法
JP2023058274A (ja) 燃料集合体及び原子炉の炉心
JPH03264893A (ja) 原子炉の炉心
JPH04291195A (ja) 原子炉の炉心
JP2003075575A (ja) 沸騰水型原子炉及びその運転方法
Glasstone et al. Power reactor systems

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100627

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100627

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees