JPH09138097A

JPH09138097A - 防護ヘルメット

Info

Publication number: JPH09138097A
Application number: JP22660296A
Authority: JP
Inventors: Yoshinobu Sotoike; 芳信外池; Naoki Imaeda; 直樹今枝
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1995-09-13
Filing date: 1996-08-28
Publication date: 1997-05-27

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は、ライフル銃に対しても十分な耐弾性
能を有する防護ヘルメットを提供せんとするものであ
る。【解決手段】本発明の防護ヘルメットは、ヘルメットの
表面層にセラミックスで構成された層を有することを特
徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、銃の恐怖から身を
守る防弾ヘルメット、とりわけ狙撃銃として使用される
ライフル銃に対する耐弾性に優れたヘルメットに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より防弾ヘルメットとしては、特開
昭５８−２１４７９６号公報に提案されているように、
頭部への被弾から身を守るため防弾鋼板により構成され
た金属製のものあるいは重量当たりの耐弾性に優れた超
高強度合成繊維から成るコンポジット製の防護ヘルメッ
トがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
防護ヘルメットは、いずれも３８口径拳銃、カービン銃
等比較的弾速の遅い銃については十分耐弾できる能力を
有するが、ライフルのような弾速の速い狙撃銃に対して
は、耐弾能力は全くなく、将来的な観点からは頭部への
脅威は避けられない。

【０００４】本発明は、かかるライフル銃に対しても十
分な耐弾性能を有する防護ヘルメットを提供せんとする
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用する。すなわ
ち、本発明の防護ヘルメットは、ヘルメットの表面層に
セラミックスで構成された層を有することを特徴とする
ものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、弾速の速い狙撃銃に対
して、耐弾能力を有する防護ヘルメットを提供すべく、
鋭意検討したところ、ヘルメットにセラミック層を設け
ると、意外にも上述耐弾能力に著しく優れた材料を提供
することを究明したものである。

【０００７】本発明に用いる防護ヘルメットは、防弾鋼
板あるいは超高強度合成繊維からなる素材て構成されて
いる。かかる超高強度合成繊維の素材としては、芳香族
ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、全芳香族ポリ
エステル、超高分子量ポリエチレン、ポリビニルアルコ
ール、ポリオキシメチレン、ポリアクリロニトリル、ポ
リパラフェニレンベンズビスオキサゾール、ポリベンズ
イミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンテルファイ
ド、ノボロイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサ
ゾールなどからなる繊維や炭素繊維等を使用することが
できる。これらのなかでも、耐弾性、加工性の面から芳
香族ポリアミド繊維が好ましく使用される。

【０００８】また、これら繊維をコンポジット化するマ
トリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂のなかでも、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール変性ポリビニ
ルブチラール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニ
ルエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等が好ましく使用される。さらに熱可塑性樹脂と
しては、ポリエステル樹脂、飽和共重合ポリエステル樹
脂、ポリ酢酸ビニルエステル樹脂、ポリアクリル酸エス
テル樹脂あるいはゴム系バインダーなどが使用され、中
でも特にフェノール変性ポリビニルブチラール樹脂が好
ましく使用される。

【０００９】本発明でいうセラミックスとしては、アル
ミナ類、窒化類、珪石類、ボロン類、マグネシア類など
や、これらセラミックスの混合焼成物、また、セラミッ
クスを金属補強された構成物、あるいは、セラミックス
を繊維補強された構造物等が使用される。

【００１０】これらセラミックスにより、ライフルの弾
丸を効果的に耐弾させるためには、ヤング率２００００
kgf/mm²以上で、圧縮強度２００kgf/mm²以上で、硬さ
１０００Hv以上であるという性能を有するものが好まし
い。

【００１１】かかるセラミックスの形状については図３
（Ａ）に示す様なヘルメットの外形にフィットする形状
に湾曲したもの、さらに、該ヘルメットの頂点から放射
状に複数に分割して得られる三角形状を呈する型のもの
が好ましく使用される。かかる形状によれば、隙間なく
ヘルメット表面を被覆することができ、緻密配列がしや
すく、その上、形状がシンプルで、最も効率良く作業が
行える利点がある。また該三角形状片は放射状に分割す
る時、当配分となる様にしておけば、セラミックス片の
形状は一種類でよく、セラミックスの加工を考えると１
種類のセラミットクスを作っておけば良く極めて実用性
が高く好ましい。一片の大きさとしては、５〜１０００
cm²が好ましいが、さらに好ましくは、１０〜１００cm
²である。１cm²未満あるいは１０００cm²を超えると
ヘルメットの表面を被覆する作業面で困難をきたすので
良くない。もちろん該三角形状片は、図３（Ｂ）に示す
様にさらに分割してもよい。細分化することは、敷設加
工作業面での向上と、さらに実際に弾丸が着弾した時、
破砕面積は概ね細分化された小片の面積内に集中するた
め、セラミックスの破壊される面積を最小限度に止める
ため連射着弾された時を想定した場合にはより効果的で
ある。この場合の一片の大きさとしては、１〜５０cm²
が好ましいが、さらに好ましくは、５〜３０cm²であ
る。

【００１２】かかるセラミックス片の他の形状として
は、その他の多角形、または図４に示す様な輪管状でも
良い。また、セラミックスの殻体が真球でない場合は、
むしろ図５のような水平に３分割した、つまりヘルメッ
トと同形の型によって予め形成された、半真球型または
該ヘルメットの頂点と中心を結ぶ線に対し直角に輪切り
した形状である、図５のＡ，Ｂ，Ｃのような環状片の方
が好ましい。かかる他の多角形の配列方法としては、セ
ラミックス小片の形状にもよるが、上下左右はもちろん
全方向が密接配列に、且つ辺と辺の交点が一か所に集中
しない様に千鳥配列とすることが好ましい。

【００１３】またセラミックス片は面取り加工しない方
が良い。端面を突き合わせ状に並べた時、面取り加工し
ていると突き合わせ部に沿った筋状の溝が生じ、そこが
欠陥部分となるので、端は直角に切削したままかあるい
はあらかじめ直角に鋳型成型されたままの方が好まし
い。

【００１４】さらにセラミックス片が平面でなくＲ面の
場合には、カットはどの面も表面の接線と直角にカット
することが合わせ面が密着するので好ましい。

【００１５】かかるセラミックス片の厚みとしては、セ
ラミックス素材の種類によるが、薄片を積層した場合、
セラミックスの全厚みとして、好ましくは概ね３〜１５
ｍｍ、さらに好ましくは５〜１０mmのものがよい。３mm
未満になるとセラミックスの強度自体、曲げ強度が小さ
く、圧縮破壊エネルギーも小さくなり、ライフル銃弾の
持つ大きなエネルギーに対し防護できなくなる。１５mm
を越えると耐弾性の点では有利であるが、重量が重くな
り過ぎ、人体力学的にこの重量を支えるための頸部への
負担が大きく、疲労が激しくなるため実用的ではない。

【００１６】ヘルメットとセラミックス片の脱着の方法
としては、面ファスナーを利用する方法があるが、この
場合には面ファスナーの一方側をヘルメット側に、他方
側をセラミックス小片側に接着しておき、これらを嵌
合、離脱することにより可能となる。またこれらの離脱
の方法としては、離脱が困難な場合には、スパチュラ等
ヘラ状物を面ファスナーの嵌合の間に差し込み、起こし
ながら行えば比較的容易にできる。さらに他の方法とし
ては、粘着材を利用する方法があるが、この場合にはヘ
ルメット表面側に適度な離型剤処理をしておきセラミッ
クス片側に粘着剤を塗布することで実用上十分な接着力
は得られるし、又離脱に際しては作業をゆっくりするこ
とで比較的スムースな離脱作業が可能となる。

【００１７】また、セラミックスの形状が帽体形状の外
殻で構成されている場合、あるいはその他輪環状などの
形状においても、その脱着の方法としては、セラミック
ス殻体の縁に、先端にフックを付けたゴム等弾性体を取
り付けておき、防弾ヘルメットの縁に引掛けると良い。
また、図６に示すように、該セラミックス殻体よりベル
クロ付きのベルトを複数本引き出し、殻体縁部を抱き込
むように殻体内側で取り付け固定する方法もよい。さら
に好ましくは、セラミックス外殻と防護ヘルメットの間
に弾性体を配することは密着性が向上するのでガタツキ
を解消し着用感が良好になるのでよい。もちろん、面フ
ァスナーのによる着脱方法の場合には、面ファスナー存
在自身がある程度の弾性を示すので、効果的に使用でき
る。

【００１８】さらにセラミックス層は、着弾時放射状に
破片が飛散するため耐弾性能のロスを防ぐためと、近傍
の人への２次災害防止のため、該表面に飛散防止層を設
けるのが好ましい。かかる飛散防止層の構成材料として
は、ＦＲＰおよび弾性体から選ばれれた少なくとも１種
が好ましく使用される。また、かかる飛散防止層の目付
としては、特に規定されるものではないが、好ましくは
０．２〜２kg／ｍ²のものがよい。

【００１９】次に本発明のライフル用防護ヘルメットの
一例を図面により説明する。図１は本発明である防護ヘ
ルメット：１の一例を示す模式図であり、図から明らか
な様に基本的には前述したヘルメット２の表面にセラミ
ックス片３を前述したセラミックス小片を接着又は脱着
可能貼付層４により密着緻密配列させたものである。も
ちろんセラミックス形状は、前述した様に湾曲した３角
形状の物でもよいし、それを複数に分割したものでもよ
い、あるいは、緻密配列できる他の多角形も適用できる
ことは言うまでもない。

【００２０】防護材料の構成材料としては図２（Ａ）に
示す様に防弾鋼板５を、または図２（Ｂ）に示す様な高
強度繊維織物６の複数枚とマトリックス樹脂を帽体状に
圧着成型加工させたコンポジット７から成るものが使用
される。

【００２１】

【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、これらの実施例により限定されるものでは
ない。

【００２２】実施例１芳香族ポリアミド繊維のコンポジットから成るヘルメッ
トの表面に面ファスナーを図３（Ｂ）の様にカットしそ
の一方側をゴム系接着剤（コニシ株式会社製、ニトリル
系合成ゴム溶剤型、品番Ｇ１０３）で強固に接着した。
セラミックス片となるセラミックス品種は、アルミナを
素材とする９５％純度品、厚み９mm、形状はヘルメット
外形にフィットした湾曲型を呈する３角形状の小片物
で、底周長約１０cm、高さ周長約２１cmのを用い、それ
に面ファスナーの他方片をその貼付面に上記同様方法に
て強固に接着する。セラミックス小片から食み出た面フ
ァスナーは鋏等でカットした。

【００２３】該セラミックス片を該ヘルメットの外表面
に紙風船を形作る様にそれぞれが密接する様に敷き並べ
ることにより目的とするライフル用防弾ヘルメットを得
た。この様にして得られたライフル用防護ヘルメットの
耐弾性能評価として、３００６ライフルにて射程２５ｍ
として、帽体１個に１発の割合で合計１０発の実射テス
トを行った結果、そのうちの８発は、弾丸がヘルメット
内部への侵入はなくセラミックス自身のみの破砕で耐弾
した。セラミックスは、予想以上に細かく破砕すること
が確認され、直径約７mm位は粉末状に砕け、それらは着
弾時の強い衝撃でほとんどが飛散して、その部分は穴が
あき、残存物はない状態であった。残りの２発は、セラ
ミックスの破砕状況は、ほぼ同様であるが、弾丸はヘル
メットの内部に約１mm侵入したところで耐弾していた。

【００２４】実施例２セラミックス片を、接着剤（コニシ株式会社製、ニトリ
ル系合成ゴム溶剤型、品番Ｇ１０３）で接着した以外は
実施例１と同様方法で行い、評価結果は、ほとんど実施
例１と同等の結果を示し、弾丸が貫通するものは１発も
なかった。

【００２５】実施例３芳香族ポリアミド繊維のコンポジットから成るヘルメッ
トの表面にあらかじめヘルメット形状に成型した弾性体
（東レ株式会社製、発泡ポリエチレン弾性体“ペフ”３
００１０）をかぶせ、同様にアルミナを素材とする９５
％純度品、厚み９mmのヘルメット形状に成型したセラミ
ックスをかぶせ、５か所の弾性体付きフックで防弾ヘル
メットと一体固定し、ライフル用防護ヘルメットを得
た。

【００２６】得られたライフル用防護ヘルメットの耐弾
性能評価として、実施例１と同様方法にて行い、合計１
０発の実射で、１０発ともセラミックス層のみで完全に
耐弾することを確認した。

【００２７】比較例１実施例１で使用したヘルメットにおいて、セラミックス
で被覆しない以外は同様に製造したヘルメットを用い
て、実施例１と同様の実射テストを行った結果、耐弾性
能は全くなく１０発とも完全に貫通したことを確認し
た。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、頭部への狙撃銃、特に
ライフルに対しても十分な耐弾能力を有するヘルメット
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この図は、本発明の防護ヘルメットの一例を示
す全体概要図である。

【図２】この図は、ヘルメットの構成材料の断面を示
す。

【図３】この図は、セラミックス片形状の代表的な例を
示す。

【図４】この図は、セラミックス片形状の他の例を示
す。

【図５】この図は、セラミックス片形状の他の例を示
す。

【図６】この図は、セラミックス殻体の取り付け固定方
法の例を示す。

【符号の説明】

１：防護ヘルメット２：ヘルメット３：セラミックス片４：セラミックス片貼付層５：防弾鋼板６：超高強度繊維織物７：コンポジット８：ベルクロ付きベルト９：ベルクロＡ、Ｂ、Ｃ：セラミックス環状片

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ヘルメットの表面層にセラミックスで構成
された層を有することを特徴とする防護ヘルメット。
【請求項２】該セラミックス層が、複数のセラミックス
片で構成されている請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項３】該セラミックス片が、該ヘルメットの外形
にフィットする形状に湾曲した形状を有するものである
請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項４】該セラミックス片が、該ヘルメットの頂点
から放射状に複数に分割して得られる三角形状を有する
ものである請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項５】該三角形状を有するセラミックス片が、複
数に分割されている請求項４記載の防護ヘルメット。
【請求項６】該三角形状を有するセラミックス片が、５
〜１０００cm²の大きさを有する請求項４記載の防護ヘ
ルメット。
【請求項７】該複数に分割されセラミックス片が、１〜
５０cm²の大きさを有する請求項５記載の防護ヘルメッ
ト。
【請求項８】該セラミックス片が、ヘルメットと接着さ
れている請求項２記載の防護ヘルメット。
【請求項９】該セラミックス片が、ヘルメットと同形の
型によって予め形成された、半真球型または該ヘルメッ
トの頂点と中心を結ぶ線に対し直角に輪切りした形状で
ある環状片である請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項１０】該環状片が、頂点部分、中間部分および
縁部分に３分割されたものである請求項９記載の防護ヘ
ルメット。
【請求項１１】該セラミックスが、着脱可能に取付けら
れている請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項１２】該取付け手段が、面ファスナーまたは接
着剤のいずれかである請求項１１記載の防護ヘルメッ
ト。
【請求項１３】該セラミックスが、アルミナセラミック
スである請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項１４】該セラミックス層が、帽体形状の外殻に
存在し、かつ、殻体を構成している請求項１記載の防護
ヘルメット。
【請求項１５】該セラミックス層の脱着機構が、該セラ
ミック殻体の縁部にフック付きの弾性体を取り付けるこ
とにより行うものである請求項１〜１４のいずれかに記
載の防護ヘルメット。
【請求項１６】該ヘルメットが、アラミド繊維から成る
コンポジットで構成されている請求項１記載の防護ヘル
メット。
【請求項１７】該ヘルメットの形状が、半真球型または
該ヘルメットの頂点と中心を結ぶ線に対し直角に輪切り
した形状が円である請求項１記載の防護ヘルメット。
【請求項１８】該セラミックス層の脱着機構が、該セラ
ミックス殻体よりベルクロが一部または全部に取り付け
られたベルトを引き出し、該殻体内側で絡合させて固定
するものである請求項１〜１７のいずれかに記載の防護
ヘルメット。
【請求項１９】該セラミックス層の表面に、該セラミッ
クス破片飛散防止層を設けたものである請求項１〜１８
のいずれかに記載の防護ヘルメット。
【請求項２０】該セラミックス破片飛散防止層が、ＦＲ
Ｐおよび弾性体から選ばれた少なくとも１種である請求
項１９記載の防護ヘルメット。