JPH0913179A - 金属表面への親液性付与方法 - Google Patents

金属表面への親液性付与方法

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JPH0913179A
JPH0913179A JP9532796A JP9532796A JPH0913179A JP H0913179 A JPH0913179 A JP H0913179A JP 9532796 A JP9532796 A JP 9532796A JP 9532796 A JP9532796 A JP 9532796A JP H0913179 A JPH0913179 A JP H0913179A
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metal
concavo
uneven structure
lyophilicity
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JP9532796A
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Tomohiko Onda
智彦 恩田
Takashi Shibuichi
敬 四分一
Kaoru Tsujii
薫 辻井
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 金属表面に化学的処理によって特定のス
ケールの微細な凹凸構造を形成させることにより金属表
面に親液性を付与する方法、及び金属表面に化学的処理
によって微細な凹凸構造を形成させ、該凹凸構造が形成
された金属表面の全部又は一部を親液性物質でコーティ
ングすることにより金属表面に親液性を付与する方法。 【効果】 本発明によれば、簡便な操作で種々の金属表
面に優れた親液性を付与することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属表面への親液
性付与方法に関し、詳しくは水などの液体に対する親液
性が要求される製品、例えば流し台、皿、フライパン等
の台所用製品、冷暖房機の熱交換板表面、建築材、乗り
物などの被塗料塗布表面などの金属表面の表面処理に適
用し得る親液性付与方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属表面に親水性を付与する技術
としては、例えば金属表面にヒドロキル基を導入するな
どの化学的処理や水溶性ポリアミドなどの樹脂を塗布す
るなどの方法が知られている。また、固体表面を機械的
加工によって凹凸化することによって親液性が変化する
ことも、例えば「A.W.Adamson著Physi
cal Chemistry of Surfaces
(Jone Wiley& Sons. New Yo
rk)」などにも記述されているように、ある程度は知
られていた。実際、塗料に対する濡れ性をよくするため
に、固体表面を紙ヤスリなどで荒らすことは経験的によ
く行われている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】しかしながら、上記ヒドロキシル基の導入
や樹脂の塗布あるいは機械的加工によって金属表面を凹
凸化することにより得られる親液性及びその耐久性は十
分ではなく、さらに親液性が向上した金属表面を得るた
めの処理方法が望まれていた。
【0004】従って、本発明の目的は金属表面に安価か
つ簡便に、高度な親液性を付与することができる方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような実情におい
て、本発明者は金属表面の構造とその液体に対する濡れ
性について鋭意検討を行った結果、意外にも種々の化学
的処理によって金属表面に特定のスケールを有する微細
な凹凸構造を形成することにより、金属表面の親液性が
機械的加工による場合に比べて顕著に向上することを見
出し、また、その微細な凹凸構造を有する金属表面を親
液性物質で処理することにより、親液性や金属表面の耐
久性がさらに向上することを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0006】すなわち、本発明は、金属表面に化学的処
理によって特定のスケールの微細な凹凸構造を形成させ
ることを特徴とする金属表面への親液性付与方法、及び
金属表面に化学的処理によって微細な凹凸構造を形成さ
せ、該凹凸構造が形成された金属表面の全部又は一部を
親液性物質でコーティングすることを特徴とする金属表
面への親液性付与方法を提供するものである。
【発明の実施の形態】
【0007】本発明において親液性表面とは、金属表面
の液体に対する接触角が90度未満となる場合をいう。
本発明の対象は必ずしも水が付着する表面に限定される
ものではなく、アルコール、油、界面活性剤を含む液体
との接触角を減少させるためにも適用されるものであ
る。その際、金属表面の最終的なコーティング処理に用
いる親液性物質は、当該液体に対して接触角が90度未
満となる物質である。
【0008】金属表面に微細な凹凸構造を形成する化学
的処理としては、(1)酸又はアルカリの溶液に金属を
浸漬する方法、(2)金属を腐食させる方法、(3)金
属を電極として用いた電気分解を利用する方法、(4)
親水性モノマーを金属表面で電解酸化重合する方法が挙
げられる。
【0009】上記(1)の方法は、例えば次のような工
程によって実施することができる。塩酸等の酸と水とを
混合し、pH1〜6の間の適当なpHになるように濃度
を調整し、この溶液中に対象とする金属板を浸漬し、所
定温度で所定時間保持することにより、金属表面に微細
な凹凸構造が形成される。また、アルカリを用いる場合
は水酸化ナトリウムと水とを混合し、pH8〜14の間
の適当なpHになるように濃度を調整し、この溶液中に
対象とする金属板を浸漬し、所定温度で所定時間保持す
ることにより、金属表面に微細な凹凸構造が形成され
る。
【0010】上記(2)の方法としては、水蒸気を含む
雰囲気中で、対象とする金属板を所定温度で所定時間保
持し、自然腐食させる方法がある。
【0011】上記(3)の方法としては、電解質溶液中
に、対象とする金属板を陽極あるいは陰極として浸漬
し、両極間に所定電圧を所定温度で所定時間印加する方
法がある。その際、対象とする金属板から金属を溶出さ
せ凹凸構造を形成させる方法と、対象とする金属板に電
解質溶液中の金属あるいは他の物質を析出させ凹凸構造
を形成させる方法の二通りがある。前者には電解研磨、
後者には電気めっき、電着塗装などの例がある。
【0012】上記(4)の方法としては、ピロールなど
の重合性かつ親液性のモノマーを含む電解質溶液中に、
対象とする金属板を陽極として浸漬し、両極間に所定電
圧を所定温度で所定時間印加することにより、金属板表
面でモノマーを酸化重合させる方法がある。
【0013】本発明で用いる金属は、上記(1)〜
(4)の処理によって微細な凹凸構造が形成されるもの
であれば特に限定されるものではないが、上記(1)〜
(4)の処理に適した金属としては、亜鉛、ニッケル、
鉄、アルミニウム又はこれらの合金、ステンレス等が挙
げられる。
【0014】上記のような化学的処理がなされた金属表
面は微細な凹凸構造を有しており、そのような金属表面
の微細な凹凸構造としては、平面視で凹凸構造1cm2
たりの実表面積が十分大きくなる構造が概して好まし
い。しかしながら、凹凸の高さを通常の液滴の大きさ
(〜2mm)程度あるいはそれ以上に大きくすることによ
って、凹凸表面の実表面積を増やしても、親液性が向上
するものでもない。親液性に影響するのは、液滴と接触
し得る凹凸構造のごく表面近傍での実表面の稠密度、す
なわち単位体積あたりの実表面積であり、これが大きい
ことが親液性にとって好ましいのである。
【0015】この観点から、表面の微細な凹凸構造とし
ては、その幅が1nm〜800μm 、好ましくは1nm〜3
00μm であり、その高さが50nm〜300μm 、好ま
しくは30μm 以下であることが好ましい。そして、こ
の条件のもとに、平面視で凹凸構造1cm2あたりの実表
面積が大きいこと、具体的には3cm2以上となることが
好ましい。ただし、この実表面積が大きくなりすぎる
と、凹凸構造が薄片状や細線状となり、金属表面の機械
的強度が低下することになるため好ましくない。従っ
て、金属表面の強度を維持する観点から、凹凸構造実表
面積は20cm2未満であることが好ましい。また、凹凸
構造の全実表面積を有効に使うために、凹凸表面の接触
率、すなわちその凹凸表面に平滑な剛体をあてたときの
凹凸構造の接触面積が、剛体表面1cm2あたり0.2cm2
以下であることが好ましい。
【0016】なお、本発明において実表面積とは、BE
T法により測定した表面積をいう。このBET法は、
S.Brunauer、P.H.Emmett及びE.
Tellerによって提唱されたBET吸着式を利用
し、固体表面への気体分子(窒素ガス、クリプトンガ
ス)の吸着に基づいて、固体の表面積を算出する方法で
ある。また、凹凸構造の高さ、幅及び接触面積は固体の
断面SEM写真から画像解析により測定した。
【0017】化学的処理がなされた金属表面の微細な凹
凸構造は均一でなくともよい。また、凹凸構造の形状は
特に限定されるものではなく、りん片状、角柱状、円柱
状、角錐状、円錐状、針状などのいずれであってもよ
い。更にそれらの形状が複雑に組合わさってできた、2
次元以上3次元未満のフラクタル構造を持つフラクタル
構造又は自己アファイン構造であってもよい。
【0018】上記のように化学的処理により形成された
微細な凹凸構造を有する金属表面の親液性は、機械的加
工により形成された同様な凹凸構造を有する金属表面の
親液性に比べて顕著である。すなわち、機械的加工によ
る接触角の低下率はせいぜい20〜50%であるのに対
し、化学的処理による接触角の低下は50〜100%に
達する。
【0019】また、このような親液性金属表面を更に親
液性物質でコーティングすることによって、親液性に加
えて耐久性にも優れた超親液表面を得ることができる。
このとき用いるコーティング剤としては、特に限定され
るものではないが、耐久性を向上させる点から、金属表
面と結合を作るような物質が好ましく、例えば各種カッ
プリング剤が挙げられる。
【0020】コーティングに用いる親液性物質のうち例
えば液体として水を対象とした親水物質としては、アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトライソプ
ロピルビス(ジオクチルフォスファイト)チタネート、
イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チ
タネート等が挙げられるが必ずしもこの限りではない。
また、これらの混合物でもよい。
【0021】このときのコーティング層の厚さは、表面
の微細な凹凸をなくさない程度に薄ければ何れでもよい
が、特に100nm以下が好ましい。また、これら親液
性物質による処理に先だって又は同時にクロメート処理
などの防錆処理を施すことができる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、簡便な操作で種々の金
属表面に優れた親液性を付与することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0024】実施例1 サイズ10cm×5cm、厚さ0.3mmの亜鉛板(ニ
ラコ社製)を、塩酸でpHを3に調整した水溶液に3日
間室温で浸漬した。表面を電子顕微鏡(日立製、FE−
SEM、S−4000)を用いて観察したところ、図1
のように微細な凹凸構造が形成されていた。この凹凸構
造の高さは2〜50μm 、幅は0.5〜25μm 、平面
視で1cm2 あたりの実表面積は16.2cm2 、接触面積
は0.0043cm2 であった。
【0025】金属表面の液体に対する接触角は光学式接
触角測定装置(協和界面科学社製、CA−A型)を用い
て測定した。すなわち図2(a)、(b)に示すように
試験試料1を上記光学式接触角計の試料台2に載置し、
液滴滴下用のシリンジ3に液体を0.5ml入れ、シリ
ンジ3の針の先に直径1mmの液滴4を作った。液滴4
と試験試料1との間を約1cmに保ち、シリンジ3に振
動を与えて針先の液滴4を試験試料1の上に落下させ
た。液滴4を落下させた後、液滴4と試験試料1との間
の接触角(θ)を測定した。
【0026】平らな亜鉛板上での水、ぬれ指数標準液N
o.54及びNo.48(和光社製)の接触角はそれぞ
れ79度、68度及び66度であったが、それを酸に浸
漬することにより、水、ぬれ指数標準液No.54及び
No.48(和光社製)の接触角はそれぞれ12度、9
度及び8度まで減少し、親液性表面となった。
【0027】比較例1 サイズ10cm×5cm、厚さ0.3mmの亜鉛板(ニ
ラコ社製)を粗さ100番及び1200番の紙ヤスリで
磨くことで表面に凹凸構造を形成した。それぞれの亜鉛
板表面での水、ぬれ指数標準液No.54及びNo.4
8の接触角を測定したところ表1に示す結果となり、十
分な親液性は得られなかった。100番の紙ヤスリで磨
いた亜鉛板表面の凹凸構造の高さは2〜10μm 、幅1
〜50μm 、平面視で1cm2 あたりの実表面積は2.2
cm2 、接触面積は0.008cm2であり、1200番の
紙ヤスリで磨いた亜鉛板表面の凹凸構造の高さは5μm
、幅1〜50μm 、平面視で1cm2 あたりの実表面積
は2.9cm2 、接触面積は0.0026cm2 であった。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2 サイズ10cm×5cm、厚さ0.3mmのアルミニム
板(ニラコ社製)を、水道水700mlに水酸化ナトリ
ウム30gを加えてアルカリ水溶液としたものに室温で
3時間浸漬した。表面の構造を電子顕微鏡(日立製、F
E−SEM、S−4000)を用いて観察したところ、
図3のように微細な凹凸構造が形成されていた。この凹
凸構造の高さは2μm 、幅は1〜20μm 、平面視で1
cm2 あたりの実表面積は4.3cm2 、接触面積は0.0
015cm2 であった。
【0030】このようにして得られたアルミニウム板試
料の水に対する接触角を光学式接触角測定装置(協和界
面科学社製、CA−A型)を用いて測定した。平らなア
ルミニウム板上での水、ぬれ指数標準液No.54及び
No.48の接触角はそれぞれ70度、55度及び42
度であったが、それをアルカリ水溶液に浸漬することに
より、水、ぬれ指数標準液No.54及びNo.48に
対する接触角はすべて3度にまで減少し、親液性表面と
なった。
【0031】比較例2 サイズ10cm×5cm、厚さ0.3mmのアルミニム
板(ニラコ社製)を粗さ100番及び1200番の紙ヤ
スリで磨くことで表面に凹凸構造を形成した。それぞれ
のアルミニム板表面での水、ぬれ指数標準液No.54
及びNo.48の接触角を測定したところ表2に示す結
果となり、十分な親液性は得られなかった。100番の
紙ヤスリで磨いたアルミニウム板表面の凹凸構造の高さ
は1〜5μm 、幅5〜80μm 、平面視で1cm2 あたり
の実表面積は1.3cm2 、接触面積は0.03cm2 であ
り、1200番の紙ヤスリで磨いたアルミニウム板表面
の凹凸構造の高さは1〜5μm 、幅1〜50μm 、平面
視で1cm2 あたりの実表面積は1.9cm2 、接触面積は
0.02cm2 であった。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3 サイズ10cm×5cm、厚さ0.3mmの鉄板(ニラ
コ社製)を、濃度3重量%の食塩水に浸漬し、取り出し
て空気中で2週間放置することで表面を腐食させて微細
な凹凸構造を形成した。この凹凸構造の高さは2〜20
μm 、幅は0.5〜30μm 、平面視で1cm2 あたりの
実表面積は13.7cm2 、接触面積は0.005cm2
あった。このようにして得られた鉄板試料の水、ぬれ指
数標準液No.54及びNo.48に対する接触角を光
学式接触角測定装置(協和界面科学社製、CA−A型)
を用いて測定した。平らな鉄板上での水、ぬれ指数標準
液No.54及びNo.48の接触角はそれぞれ83
度、67度及び64度であったが、それを自然腐食させ
ることにより、水、ぬれ指数標準液No.54及びN
o.48に対する接触角はすべて3度にまで減少し、親
液性表面となった。
【0034】比較例3 サイズ10cm×5cm、厚さ0.3mmの鉄板(ニラ
コ社製)を粗さ100番及び1200番の紙ヤスリで磨
くことで表面に凹凸構造を形成した。それぞれの鉄板表
面での水、ぬれ指数標準液No.54及びNo.48の
接触角を測定したところ表3に示す結果となり、十分な
親液性は得られなかった。100番の紙ヤスリで磨いた
鉄板表面の凹凸構造の高さは5〜20μm 、幅5〜80
μm 、平面視で1cm2 あたりの実表面積は2.4cm2
接触面積は0.01cm2 であり、1200番の紙ヤスリ
で磨いた鉄板表面の凹凸構造の高さは5〜20μm 、幅
1〜50μm 、平面視で1cm2 あたりの実表面積は2.
8cm2 、接触面積は0.009cm2 であった。
【0035】
【表3】
【0036】実施例4 サイズ10cm×5cm、厚さ1mmの亜鉛板(ニラコ
社製)二枚を、0.01mol/l−塩化亜鉛水溶液中
に電極として42mmの間隔をおいて対向させて設置
し、直流安定化電源(インステック社製、GPS−30
30)により両極間に1.0Vの定電圧を5時間印加し
た。その結果、陰極の亜鉛板表面に塩化亜鉛水溶液中の
亜鉛イオンが析出した。その陰極表面の微細構造を電子
顕微鏡(日立製、FE−SEM、S−4000)を用い
て観察したところ、図4のように微細な凹凸構造が形成
されていた。この凹凸構造の高さは1〜20μm 、幅は
0.2〜30μm 、平面視で1cm2 あたりの実表面積は
15.3cm2 、接触面積は0.011cm2 であった。
【0037】このようにして得られた亜鉛板試料の水に
対する接触角を光学式接触角測定装置(協和界面科学社
製、CA−A型)を用いて測定した。平らな亜鉛板上で
の水の接触角は79度であったが、それを電気分解する
ことにより、水に対する接触角が3度以下にまで減少
し、親水性表面となった。
【0038】実施例5 実施例4において亜鉛板の代りにサイズ10cm×5c
m、厚さ1mmのアルミニウム板(ニラコ社製)二枚
を、塩化亜鉛水溶液の代りに25N−硫酸50mlを用
いた以外は実施例4と同様に設置し、直流安定化電源
(インステック社製、GPS−3030)を用いて電極
電流密度10mA/cm2 で3時間通電した。その結
果、陽極のアルミニウム板表面からアルミニウムが溶出
し、微細凹凸構造が形成された。その陽極表面の微細構
造を電子顕微鏡(日立製、FE−SEM、S−400
0)を用いて観察したところ、図5のように微細な凹凸
構造が形成されていた。この凹凸構造の高さは2μm 、
幅は1〜1.5μm 、平面視で1cm 2 あたりの実表面積
は14.7cm2 、接触面積は0.0072cm2 であっ
た。
【0039】このようにして得られたアルミニウム板試
料の水、ぬれ指数標準液No.54及びNo.48に対
する接触角を光学式接触角測定装置(協和界面科学社
製、CA−A型)を用いて測定した。平らなアルミニウ
ム板上での水、ぬれ指数標準液No.54及びNo.4
8の接触角はそれぞれ70度、55度及び42度であっ
たが、それを電気分解することにより、水、ぬれ指数標
準液No.54及びNo.48に対する接触角がすべて
3度以下にまで減少し、親液性表面となった。
【0040】実施例6 酢酸(関東化学社製、特級)50mlを蒸留水450mlに
混合し、これにアミノプロピルトリメトキシシラン(信
越化学工業社製)1mlを加えて処理液し、この処理液に
実施例5と同様の方法で作成した微細構造を持つアルミ
ニウム板を、室温下で12時間浸漬することでカップリ
ング処理を行った。このようにして得られたアルミニウ
ム板試料の水、ぬれ指標標準液No.54及びNo.4
8に対する接触角を光学式接触角計(協和界面科学社
製、CA−A型)を用いて測定したところ、水、ぬれ指
標標準液No.54及びNo.48に対する接触角が全
て3度以下まで減少し、親液性表面となった。
【0041】実施例7 アセトニトリル500mlにピロール(関東化学社製)
3.4gとP−トルエンスルホン酸ナトリウム(関東化
学社製)0.1gを溶解し、この溶媒中に、ニッケル板
(30mm×50mm×0.2mm)2枚を電極として、互い
に5cm離して平行に設置し、直流安定電源装置(インス
テックス社製,GPS−3030)により18Vの電圧
を6分間印加した。このようにして得られた、オクタデ
シルピロールを重合させたニッケル板の表面構造を走査
型電子顕微鏡(日立社製,S4000)で観察したとこ
ろ、サブミクロンオーダーの凹凸構造が認められた。こ
の凹凸構造の高さは2〜10μm 、幅は2〜10μm 、
平面視で1cm2 あたりの実表面積は11.3cm2 、接触
面積は0.005cm2 であった。このニッケル板試料の
水、ぬれ指標標準液No.54及びNo.48に対する
接触角を光学式接触角計(協和界面科学社製,CA−A
型)を用いて測定したところ、水、ぬれ指標標準液N
o.54及びNo.48に対する接触角が全て3度以下
まで減少し、親液性表面となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における酸処理された亜鉛板表
面の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図2】(a)及び(b)は接触角測定装置の要部の構
成及び接触角を示す図である。
【図3】本発明の実施例におけるアルカリ処理されたア
ルミニウム板表面の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例における電気分解処理された陰
極における亜鉛板表面の金属組織を示す顕微鏡写真であ
る。
【図5】本発明の実施例における電気分解処理された陽
極におけるアルミニウム板表面の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【符号の説明】
1 試験試料 2 試料台 3 シリンジ 4 液滴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25F 3/02 C25F 3/02 B // C23C 22/00 C23C 22/00 Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属表面に化学的処理によって微細な凹
    凸構造を形成させることを特徴とする金属表面への親液
    性付与方法。
  2. 【請求項2】 金属表面に化学的処理によって微細な凹
    凸構造を形成させ、該凹凸構造が形成された金属表面の
    全部又は一部を親液性物質でコーティングすることを特
    徴とする金属表面への親液性付与方法。
  3. 【請求項3】 微細な凹凸構造の高さが300μm 以下
    であり、平面視で該凹凸構造1cm2あたりの実表面積が
    3cm2以上であり、該凹凸構造表面に平滑な剛体をあて
    たときの接触面積が剛体表面1cm2あたり0.2cm2以下
    である請求項1又は2記載の金属表面への親液性付与方
    法。
  4. 【請求項4】 平面視で微細な凹凸構造1cm2あたりの
    実表面積が3cm2以上20cm2未満である請求項3記載の
    金属表面への親液性付与方法。
  5. 【請求項5】 微細な凹凸構造がフラクタル構造又は自
    己アファイン構造である請求項3又は4記載の金属表面
    への親液性付与方法。
  6. 【請求項6】 化学的処理が、酸又はアルカリの溶液に
    金属表面を浸漬する方法、金属を腐食させる方法、金属
    を電極として用いた電気分解を利用する方法又は親水性
    モノマーを金属表面で電解酸化重合する方法によってな
    されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記
    載の金属表面への親液性付与方法。
JP9532796A 1995-04-24 1996-04-17 金属表面への親液性付与方法 Pending JPH0913179A (ja)

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JP9879495 1995-04-24
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JP9532796A Pending JPH0913179A (ja) 1995-04-24 1996-04-17 金属表面への親液性付与方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008229512A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Jfe Engineering Kk 傾斜沈降装置
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JP2008266709A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属表面微細構造の作成方法
US7455045B2 (en) 2006-08-01 2008-11-25 Aisan Kogyo Kabushiki Kaisha Fluid flow control device for internal combustion engine
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JP2018188704A (ja) * 2017-05-09 2018-11-29 Jfeスチール株式会社 皮膜被覆溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
KR20200098351A (ko) * 2019-02-12 2020-08-20 김경민 화학적 방식에 의한 스테인리스 관로 내부 코팅방법

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