JPH09122467A - 改良された回転体を有する流通型分散装置 - Google Patents

改良された回転体を有する流通型分散装置

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JPH09122467A
JPH09122467A JP28721795A JP28721795A JPH09122467A JP H09122467 A JPH09122467 A JP H09122467A JP 28721795 A JP28721795 A JP 28721795A JP 28721795 A JP28721795 A JP 28721795A JP H09122467 A JPH09122467 A JP H09122467A
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circumference
rotating body
rotation axis
cross
dispersing
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Application number
JP28721795A
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English (en)
Inventor
Mutsuko Uchida
睦子 内田
So Iwamoto
宗 岩本
Akihiko Nakajima
明彦 中島
Takayasu Ikeda
隆安 池田
Hisao Morita
尚夫 森田
Koji Kawano
浩司 川野
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率の良好な分散装置、特に高分子系での分
散体の再合一を防ぎ、効率的な分散操作を行う。 【解決手段】 円筒状の本体内部の中心に1本の回転軸
を有し、該回転軸を中心とする回転体を有し、本体内部
を仕切板で2室以上に区分させることにより2室以上の
剪断ユニット室を持ち、1つの剪断ユニットに1つの回
転体を備え、かつ各室は流体の流入口と仕切板を含む流
出口を有する回転式の流体の流通型分散装置でありか
つ、回転軸に対して垂直な断面における回転体の外周の
形状は、回転軸を中心とする円周部、及び円周部上の突
起した部分より成り、さらに特定の構造を持つ分散装置
及びそれを用いた樹脂の分散方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の分散装置に関する。
また本発明は2種以上の樹脂の混合・混練、添加剤の添
加、あるいはゴム状重合体を含有する樹脂中のゴム粒子
の分散等に有用な流体の分散装置ならびに上記の分散方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで流通型の分散装置は、例えば
「改訂 攪拌装置」化学工業社 山本一夫他著 180
頁 図6−5〜図6−9等に示されるラインミキサーが
公知である。しかしながら、かかる装置は分散を行うの
に有効であるが、例えば高分子を含む流体等に分散操作
を行う場合、分散体の粒子の大きさや分散粒子の分布、
また系中での均一混合において工業的な装置としては必
ずしも十分なものではなかった。例えばゴム成分を微小
なゴム粒子にコントロールする目的でABS樹脂等の製
造工程に上記のような装置を使用しても、剪断作用と同
時に分散した部分の合一も発生せしめる傾向があり、こ
のため十分な目的を果たすに至っていないという結論に
達した。
【0003】また処理量の少ない範囲では効果が現れた
としても、処理量を増加するにしたがい効果が低下し、
工業化に伴うスケールアップが困難であるという問題点
が残っていた。本発明はかかる目的を工業的に達成する
上で極めて効率の高い剪断装置を提供するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複雑な操作
・条件設定等を要することなく、スケールアップが容易
であり、また多大なエネルギーも要さず極めて効率的に
特に樹脂の流体の分散を行うことを目的とした流通型の
分散装置及び分散方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、円筒状の
本体内部の中心に1本の回転軸を有し、該回転軸を中心
とする回転体を有し、本体内部を仕切板で2室以上に区
分させることにより2室以上の剪断ユニット室を持ち、
1つの剪断ユニットに1つの回転体を備え、かつ各室は
流体の流入口と仕切板を含む流出口を有する回転式の流
体の流通型分散装置でありかつ、(1)回転軸に対して
垂直な断面における回転体の外周の形状は、回転軸を中
心とする円周部、及び円周部上の突起した部分より成
り、(2)回転軸に対して垂直な断面における回転体の
外周は回転軸を中心とした半径r1の円周であり、上記
突起した部分と回転軸中心間の距離の最大値をr2とし
たとき、r2−r1<10mmであり、(3)回転軸に
対して垂直な断面における回転体の上記突起した部分の
形状が、円周上の辺を含めて直線に近似しうる少なくと
も4辺以上からなり、直線に近似しうる変のうち円周上
の辺を除いて円周と実質的に平行にある辺(HP)を有
する多角形であり、(4)回転軸に対して垂直な断面に
おける回転体の上記突起した部分の辺HPを回転体の円
周上に投影した円周上の投影長さ(T)は、突起した部
分を除いた回転体の円周の0.1〜15%であり、
(5)回転軸に対して垂直な断面における回転体の上記
突起した部分の辺HPを回転体の円周上に投影した円周
上の投影長さ(T)の、1つの円周分の合計が突起した
部分を除いた回転体の円周の1〜80%であり、(6)
回転軸に対して垂直な断面における回転体の該突起した
部分を直線に近似したとき、円周上の辺の回転方向にあ
る先端の点Pと接する辺が、点Pを通る円の接線と20
°以内の角度を有することを特徴とする流通型分散装置
を提供することにある。
【0006】また、本発明は1つの剪断ユニットに設け
られた回転体の回転軸と平行方向の長さ(L)と、回転
体の回転軸に対して垂直断面での径(D)の比が1:3
〜1:9である前記の流通型分散装置を提供することに
ある。
【0007】また本発明は、前記剪断ユニット室を少な
くとも3室以上有する流通型分散装置を提供することに
ある。
【0008】また本発明は、各室に回転体を備えた少な
くとも2室以上の剪断ユニット室については、回転軸の
垂直方向のユニット室の内壁と回転体との隙間(C)が
平均的に0.3〜7mmの範囲にあり、回転軸と平行方
向の仕切板と回転体の隙間(SC)も平均的に0.3〜
7mmの範囲にあって、なおかつ該剪断ユニット室及び
その中の回転体及びこのユニット室の流出口側の仕切板
について、剪断ユニット室、剪断ユニット室の回転体、
仕切板のそれぞれの回転軸に垂直な方向の平均断面積を
SUcm2 ,SRTcm2 ,SDPcm2 ,仕切板の厚み部
分における回転軸の回転軸方向に垂直な断面の平均的な
断面積をSRAcm2 とするとき、これらの断面積が下記
関係式(数式(1)、数式(2))を満足する前記の流
通型分散装置を提供することにある。
【0009】
【数3】 0.7・SRT/SSU<0.98 (1)
【0010】
【数4】 0.1<{SSU−(SDP+SRA)}/(SRT−SRA)<0.75 (2) さらに本発明は、2種以上の樹脂またはゴムを混合ある
いは分散、あるいは分散粒子のサイズを微細化する際に
前記各々の分散装置を使用することを特徴とする樹脂の
分散方法を提供することにある。
【0011】さらに本発明は、ゴムを含有する樹脂を混
合または分散する際に前記各々の分散装置を使用するこ
とを特徴とする樹脂の分散方法を提供することにある。
【0012】また本発明は、ゴムを含有する樹脂でかつ
溶媒を含む系を混合または分散する際に前記各々の分散
装置を使用することを特徴とする樹脂の分散方法を提供
することにある。
【0013】また本発明は、前記ゴムを含有する樹脂が
ゴムを含有するスチレン系樹脂である前記の樹脂の分散
方法を提供することにある。
【0014】また本発明は、前記ゴムを含有するスチレ
ン系樹脂がABS樹脂である樹脂の分散方法を提供する
ことにある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、円筒状の本体内部の中
心に1本の回転軸を有し、該回転軸を中心とする回転体
を有し、本体内部を仕切板で2室以上に区分させること
により、2室以上の剪断ユニット室を持ち、1つの剪断
ユニットに1つの回転体を備え、かつ各室は流体の流入
口と仕切板を含む流出口を有する回転式の流体の流通型
分散装置でありかつ、(1)回転軸に対して垂直な断面
における回転体の外周の形状は、回転軸を中心とする円
周部、及び円周部上の突起した部分より成り、(2)回
転軸に対して垂直な断面における回転体の外周は回転軸
を中心とした半径r1の円周であり、上記突起した部分
と回転軸中心間の距離の最大値をr2としたとき、r2
−r1<10mmであり、(3)回転軸に対して垂直な
断面における回転体の上記突起した部分の形状が、円周
上の辺を含めて直線に近似しうる少なくとも4辺以上か
らなり、直線に近似しうる辺のうち円周上の辺を除いて
円周と実質的に平行にある辺(HP)を有する多角形で
あり、(4)回転軸に対して垂直な断面における回転体
の上記突起した部分の辺HPを回転体の円周上に投影し
た円周上の投影長さ(T)は、突起した部分を除いた回
転体の円周の0.1〜15%であり、(5)回転軸に対
して垂直な断面における回転体の該突起した部分の辺H
Pを回転体の円周上に投影した円周上の投影長さ(T)
の、1つの円周分の合計が突起した部分を除いて回転体
の円周の1〜80%であり、(6)回転軸に対して垂直
な断面における回転体の上記突起した部分を直線に近似
したとき、円周上の辺を除いた円周上の点Pと接する辺
が、点Pを通る接線と20°以内の角度を有する流通型
分散装置である。
【0016】また1つの剪断ユニットに設けられた、回
転体の回転軸方向に対して平行方向の長さ(L)と、回
転体の回転軸に対して垂直断面での径(D)の比が1:
3〜1:9、であるものを用いることが好ましい。さら
に、剪断ユニット室を少なくとも3室以上有することが
好ましい。
【0017】上記各室に回転体を備えた少なくとも2室
以上の剪断ユニット室については、回転軸の垂直方向の
ユニット室の内壁と回転体との隙間(C)が平均的に
0.3〜7mmの範囲にあり、回転軸と平行方向の仕切
板の回転体の隙間(SC)も平均的に0.3〜7mmの
範囲にあって、なおかつ剪断ユニット室及びその中の回
転体及びこのユニット室の流出口側の仕切板について
は、剪断ユニット室、剪断ユニット室の回転体、仕切板
のそれぞれの回転軸に垂直な方向の平均断面積をS SU
2 ,SRTcm2 ,SDPcm2 ,仕切板の厚み部分にお
ける回転軸の回転軸方向に垂直な断面の平均的な断面積
をSRAcm2 とするとき、これらの断面積が下記関係式
(数式(1)、数式(2))を満足することが好まし
い。
【0018】
【数5】 0.7・SRT/SSU<0.98 (1)
【0019】
【数6】 0.1<{SSU−(SDP+SRA)}/(SRT−SRA)<0.75 (2) なお、上記の比は回転体と仕切板を交互に配置し、隣り
合う回転体と仕切板を1組として算出する。また、本発
明においては、回転軸内部、及び回転体内部に冷媒を通
過させる構造を有していてもよい。
【0020】本発明のおいて、分散装置に装着する回転
体は通常200rpm〜5000rpm、好ましくは5
00rpm〜3000rpmの範囲で回転させる。該回
転体の回転数が200rpm満たない場合は分散粒子の
サイズが微細化されず、5000rpmを越える場合は
分散粒子の再合一が起こり粒子サイズが大きくなるので
好ましくない。
【0021】本発明の特定の分散装置を用いると、分散
の効率がよいので該装置に供給する流体、好ましくは樹
脂について様々なものが用いられる。例えばABS系樹
脂を製造する工程に本装置を使用する場合、反応槽の様
式・設置場所等に制限は受けず、特に規模を大きくして
も良好な物性のものが得られる。
【0022】本発明における回転体とは、分散装置内の
回転軸に接続した円板状の回転部を指し、その円周部に
突起物を備えていることが必要である。また、仕切板
は、剪断ユニット室を区切る部分を指し、回転軸の垂直
方向の断面形状はドーナツ状のものである。図3(c)
に一例を示すが上記条件を満たすものであれば、図のよ
うに回転軸が通る部分以外にも小孔を設けてもよい。円
周部に設ける突起物とは、この図では回転軸に対して垂
直な断面形状で、回転軸を中心とした円の円周部上のほ
ぼ四辺形に突き出した部分を指す。
【0023】本発明を説明するにあたり、図1及び図2
(a),(b),図3(a),(b),(c)及び図4
を用いて説明する。図1は本発明の一例の回転軸に対し
て平行な断面の図であり、図2は回転軸に対して垂直な
回転体の断面形状の一例である。図3は本発明の構成を
説明するための概念図である。いずれの図も本発明の例
示であり、本発明を限定するものではない。
【0024】図1において、1.入り口、2.剪断ユニ
ット室入り口、3.剪断ユニット室出口、4.回転体、
5.仕切板、6.回転軸、7.モーター、8.装置出口
であり、流体は1の入り口より入り、回転体と内壁の
間、あるいは回転体と仕切板の間で剪断作用を受け、8
の装置出口より出る。
【0025】図2(a)においては、9.回転体、1
0.突起物、L:回転軸と平行方向の回転体1つの長
さ、D:突起物を除いた回転体の回転軸に対して垂直断
面での直径を示す。図2(b)においては、HP,T:
HPを回転体の円周上に投影した円周上の投影長さを例
示する。
【0026】図3においては、上述のSSU,SRT
DP,SRAをより簡単に図示したものである。図3
(b)では、11:SRT,12:SSU,図3(c)では
13:SRA,14:SDPを表す。図4では数式(2)で
用いた面積を図示したものである。つまり、数式2では
剪断ユニットでの樹脂が回転体に接する面積と、仕切板
部を樹脂が通過できる面積との比を表す。
【0027】本発明においては分散装置に装着する回転
体が突起物を有しており、突起した部分から回転体外周
までの半径方向の距離が10mm未満であることが特徴
である。この距離が10mm以上となると分散効果が低
下するため好ましくない。
【0028】また、上記突起した部分で円周と実質的に
平行にある辺HPを円周上に投影した円周上の投影長さ
(T)は、突起した部分を除いた回転体の円周の0.1
〜15%、好ましくは0.3〜10%、より好ましくは
0.5〜8%となるようにし、Tの1つの円周分の合計
が突起した部分を除いた回転体の円周の1〜80%、好
ましくは2〜70%、より好ましくは4〜60%となる
ようにしたものを用いる。Tが回転体の円周の0.1%
未満、あるいはTの合計が回転体の円周の1%未満では
分散効果が低下して好ましくなく、Tが回転体円周の1
5%を越えたり、あるいはTの合計が回転体円周の80
%を越えると、分散したものの再合一が起こり効果的な
分散が行われず、特にゴム状重合体等を粒子として分散
させる場合、所望の粒子径にコントロールすることは困
難となる。
【0029】図2(b)に示すように、回転軸に対して
垂直な断面における回転体の突起した部分を直線に近似
したとき、円周上の辺を除いた円周上の点Pと接する辺
が、点Pを通る円の接線と20°以内、好ましくは15
°以内の角度を有する。該辺が点Pを通る円の接線と2
0°を越える角度であると、処理量が増加した場合十分
な処理能力が維持できない。
【0030】また、1つの剪断ユニットに設けられた回
転体の回転軸と平行な方向の長さ(L)と、回転体の回
転軸に対して垂直断面での直径(D)の比が1:3〜
1:9好ましくは1:4〜1:8であるものを用いる。
即ち、LがDの1/3より大きいと分散体の再合一が起
こり分散不良を起こす。また、LがDの1/9より小さ
いと分散能力が低下して好ましくない。
【0031】本発明において剪断ユニット室は回転体を
内部に有し、剪断ユニット質の出口は仕切板により区分
されている。本発明の目的達成の上で、この剪断ユニッ
ト室は少なくとも2室以上、好ましくは3室以上必要で
ある。1室では効率が低く十分な分散が行われない。
【0032】本発明において、少なくとも2室以上の回
転体を備えた剪断ユニット室については、ユニット室の
内壁と回転体との隙間が回転軸の垂直方向については平
均的に0.3〜7mm、好ましくは0.5〜5mmの範
囲にあり、回転軸の平行方向についても平均的に0.3
〜7mm、好ましくは0.5〜5mmの範囲になければ
ならない。上記各隙間は、剪断ユニット室毎に異なって
いてもよい。この隙間が0.3mm未満では流通系での
圧力損失が大きくなり、装置の運転が困難になり、また
剪断の生じる体積が減少するので処理の効率が悪くな
る。また、7mmを越えると剪断が十分かからず効率の
よい分散ができない。
【0033】本発明の構成において回転軸に垂直な断
面、また剪断ユニット室壁と回転体との隙間の定義に平
均の断面や隙間の値を求めているのは、本発明の各部を
軸に対して垂直な断面を軸の方向にずらしていく際、必
ずしも同一の面積の形状とならず、例えば傾斜等がある
場合を含むからである。例えば仕切板部の流れを均一化
する目的で、仕切板部開口部にテーパーを付加すること
も本発明の中に含まれている。かかる軸方向に沿って本
発明の各ユニットが変化する場合、本発明においては
0.1mmきざみに所定の方向(軸方向、または軸に垂
直方向)について断面または隙間を求め、その平均値を
本発明の断面または隙間の平均値として用いるものであ
る。
【0034】本発明において、前述の断面積SSUcm
2 ,SRTcm2 ,SDPcm2 ,SRAcm2 が、下記関係
式(数式(1)、数式(2))を満足する必要がある。
【0035】
【数7】 0.7<SRT/SSU<0.98 (1) 好ましくは0.75<SRT/SSU<0.95
【0036】
【数8】 0.1<{SSU−(SDP+SRA)}/(SRT−SRA)<0.75 (2) 好ましくは0.2<{SSU−(SDP+SRA)}/(SRT
−SRA)<0.7 SRT/SSUが0.7より小さいと分散性が悪く、0.9
8を越えると系の圧力損失が増大し好ましくない。式2
でも0.75より大きくなると分散性が低下し、0.1
以下では系内の圧力損失が増大する。
【0037】上記の条件を満足させる範囲内であれば本
体各部の回転軸に対して垂直な断面が完全な円でなく、
楕円や不定形であったりそれらの大きさが異なっている
ものも実質的に円筒状であって、本発明の範囲に包含さ
れることは明らかである。本発明の分散装置を用いるこ
とにより高分子等を含む系において、一度分散した部分
が再度合一することを防ぎ、効果的に分散操作が行え
る。また、例えばゴム状重合体を分散粒子として含有す
る樹脂等を製造する際に本装置を使用することで所望の
粒子径を形成することが可能となる。
【0038】
【実施例】以下にゴム状重合体を含有する樹脂を製造す
る際に、本発明を使用した場合を例にとって説明する。
【0039】実施例1 ポリブタジエン(5%スチレン溶液、25℃での溶液粘
度 35センチポイズ)13重量部をエチルベンゼン2
3重量部、スチレン75重量部、アクリロニトリル25
重量部に溶解して原料溶液として完全混合槽型第1反応
槽に供給した。転化率35%となるまで重合をすすめ、
ゴム状重合体を相転移させ2.8μmのゴム粒子を生成
させた。第1反応槽から重合液を連続的に取り出し、図
1に示す剪断ユニットを3室有する分散装置の入り口1
から供給する操作を分散装置への供給量を変えて行っ
た。分散装置には図2(b)に示す回転体を有し、突起
物の頂部の円周方向長さ(T)が突起物を除いた回転体
の円周の0.6%、Tの合計が回転体の円周の8%とな
る回転体を備えている。回転体の回転軸と平行方向の長
さ(L)と、回転体の断面積の径(D)の比は1:5と
し、回転軸に対して垂直方向のユニット室の内壁と回転
体の隙間が1mm、回転軸に対して平行方向の仕切板と
回転体の隙間を3mmとなるようにした。分散装置のS
RT/SSUは0.89,{SSU−(SDP+SRA)}/(S
RT−SRA)は0.6、回転体の外周の線速度は13m/
sec、回転体の回転数は2000rpmとした。また
突起が回転軸に対して垂直な断面における回転体の該突
起した部分を直線に近似したとき、円周上の辺の回転方
向にある先端の点Pと接する辺が、点Pを通る円の接線
と10°である。
【0040】図1の分散装置出口8から重合液を抜き出
し、第2反応槽に供給した。第2反応槽で単量体の転化
率が68%となるように重合を継続した。第2反応槽か
ら連続的に取り出された重合液は従来から知られている
脱揮発分装置を用いて高温、高真空下で未反応モノマー
及び溶剤を除去した後、押出機を用いてペレット化し
た。ゴム粒子平均径は、電子顕微鏡写真に基づきその体
積平均径を測定した。以下の比較例においても同様の評
価を行い、それぞれ図7に結果を示す。
【0041】比較例1 図5に示す回転体を装着し、仕切板の無い分散装置を用
いる以外は実施例1と同様にABS樹脂を得た。結果を
図7に示す。
【0042】比較例2 図5に示す回転体を装着し、仕切板は実施例1と同じも
のを用いて実施例1と同様にABS樹脂を得た。結果を
図7に示す。
【0043】比較例3 図6に示す回転体を装着し、仕切板は実施例1と同じも
のを用いて実施例1と同様にABS樹脂を得た。結果を
図7に示す。
【0044】比較例4 実施例1の方法で使用した分散装置の構造のうち、突起
が回転軸に対して垂直な断面における回転体の該突起し
た部分を直線に近似したとき、円周上の辺の回転方向に
ある先端の点Pと接する辺が、点Pを通る円の接線と6
0°である以外は同様な装置を用いて、その他の条件は
同様にして実験を繰り返した。結果を図7に示す。
【0045】実験に使用した装置の構造を表1に示す。
なお、比較例4で使用した装置は前記の角度以外は同じ
構造である。なお、各実験で用いた分散装置の回転体の
回転数は2000rpmである。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】以上の通り本発明は請求項の範囲に記載
の通りの分散装置であり、突起物を有する円盤状の回転
体を装着した剪断ユニット室と、仕切板が装着されてい
る部分を通過させることにより高分子系での分散体の再
合一を防ぎ、効率的な分散操作を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分散装置の一実施例を示す断面図。
【図2】(a) 本発明の回転体の形状の一例。 (b) 突起物の形状の一例。
【図3】本発明での各部の面積を示す図。 (a)一組の剪断ユニットと仕切板の断面図。 (b)図2(a)のA−A’部の断面図。面積SRT,S
Suを図示した。 (c)図2(a)のB−B’部の断面図。面積SRA,S
DPを図示した。
【図4】数式(2)の(SRT−SRA)部、SSU−(SDP
+SRA)部を図示した。
【図5】比較例1及び2で用いた分散装置の図である。
【図6】比較例3で用いた分散装置の図である。
【図7】各実施例及び比較例の結果を示す図である。
【符号の説明】 1 原料入り口 2 剪断ユニット室入り口 3 剪断ユニット室出口 4 回転体 5 仕切板 6 回転軸 7 モーター 8 装置出口 9 回転体 10 突起物 11 SRT 12 SSU 13 SRA 14 SDP
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 55:02 (72)発明者 池田 隆安 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 森田 尚夫 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 川野 浩司 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の本体内部の中心に1本の回転軸
    を有し、該回転軸を中心とする回転体を有し、本体内部
    を仕切板で2室以上に区分させることにより2室以上の
    剪断ユニット室を持ち、1つの剪断ユニットに1つの回
    転体を備え、かつ各室は流体の流入口と仕切板を含む流
    出口を有する回転式の流体の流通型分散装置でありか
    つ、(1)回転軸に対して垂直な断面における回転体の
    外周の形状は、回転軸を中心とする円周部、及び円周部
    上の突起した部分より成り、(2)回転軸に対して垂直
    な断面における回転体の外周は回転軸を中心とした半径
    r1の円周であり、上記突起した部分と回転軸中心間の
    距離の最大値をr2としたとき、r2−r1<10mm
    であり、(3)回転軸に対して垂直な断面における回転
    体の上記突起した部分の形状が、円周上の辺を含めて直
    線に近似しうる少なくとも4辺以上からなり、直線に近
    似しうる変のうち円周上の辺を除いて円周と実質的に平
    行にある辺(HP)を有する多角形であり、(4)回転
    軸に対して垂直な断面における回転体の上記突起した部
    分の辺HPを回転体の円周上に投影した円周上の投影長
    さ(T)は、突起した部分を除いた回転体の円周の0.
    1〜15%であり、(5)回転軸に対して垂直な断面に
    おける回転体の上記突起した部分の辺HPを回転体の円
    周上に投影した円周上の投影長さ(T)の、1つの円周
    分の合計が突起した部分を除いた回転体の円周の1〜8
    0%であり、(6)回転軸に対して垂直な断面における
    回転体の該突起した部分を直線に近似したとき、円周上
    の辺の回転方向にある先端の点Pと接する辺が、点Pを
    通る円の接線と20°以内の角度を有することを特徴と
    する流通型分散装置。
  2. 【請求項2】 1つの剪断ユニットに設けられた回転体
    の回転軸と平行方向の長さ(L)と、回転体の回転軸に
    対して垂直断面での径(D)の比が1:3〜1:9であ
    る請求項1に記載の流通型分散装置。
  3. 【請求項3】 剪断ユニット室を少なくとも3室以上有
    する請求項2に記載の流通型分散装置。
  4. 【請求項4】 各室に回転体を備えた少なくとも2室以
    上の剪断ユニット室については、回転軸の垂直方向のユ
    ニット室の内壁と回転体との隙間(C)が平均的に0.
    3〜7mmの範囲にあり、回転軸と平行方向の仕切板と
    回転体の隙間(SC)も平均的に0.3〜7mmの範囲
    にあって、なおかつ該剪断ユニット室及びその中の回転
    体及びこのユニット室の流出口側の仕切板について、剪
    断ユニット室、剪断ユニット室の回転体、仕切板のそれ
    ぞれの回転軸に垂直な方向の平均断面積をSSUcm2
    RTcm2 ,SDPcm2 ,仕切板の厚み部分における回
    転軸の回転軸方向に垂直な断面の平均的な断面積をSRA
    cm2 とするとき、これらの断面積が下記関係式(数式
    (1)、数式(2))を満足する請求項3に記載の流通
    型分散装置。 【数1】 0.7・SRT/SSU<0.98 (1) 【数2】 0.1<{SSU−(SDP+SRA)}/(SRT−SRA)<0.75 (2)
  5. 【請求項5】 2種以上の樹脂またはゴムを混合あるい
    は分散、あるいは分散粒子のサイズを微細化する際に請
    求項1〜4記載の分散装置を使用することを特徴とする
    樹脂の分散方法。
  6. 【請求項6】 ゴムを含有する樹脂を混合または分散す
    る際に請求項1〜4記載の分散装置を使用することを特
    徴とする樹脂の分散方法。
  7. 【請求項7】 ゴムを含有する樹脂でかつ溶媒を含む系
    を混合または分散する際に請求項1〜4記載の分散装置
    を使用することを特徴とする樹脂の分散方法。
  8. 【請求項8】 ゴムを含有する樹脂がゴムを含有するス
    チレン系樹脂である請求項6または7記載の樹脂の分散
    方法。
  9. 【請求項9】 ゴムを含有するスチレン系樹脂がABS
    樹脂である請求項6または7記載の樹脂の分散方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2871711A1 (fr) * 2004-06-18 2005-12-23 Pcm Pompes Sa Dispositif de melange dynamique en ligne
JP2014237083A (ja) * 2013-06-07 2014-12-18 アシザワ・ファインテック株式会社 高速回転型分散機

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