JPH09109738A - 架線式鉄道のトロリ線磨耗検知方法およびそのための検知装置 - Google Patents

架線式鉄道のトロリ線磨耗検知方法およびそのための検知装置

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JPH09109738A
JPH09109738A JP29591395A JP29591395A JPH09109738A JP H09109738 A JPH09109738 A JP H09109738A JP 29591395 A JP29591395 A JP 29591395A JP 29591395 A JP29591395 A JP 29591395A JP H09109738 A JPH09109738 A JP H09109738A
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trolley wire
plate
iron powder
wire
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Shoji Mimura
村 彰 治 味
Tsukasa Kono
野 宰 河
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】銅被覆鋼トロリ線が、限界磨耗状態に局部的に
でも達したことを十分な信頼度をもって確実、かつ能率
的に検知できるような検知装置を開発することをその課
題とする。 【解決手段】電車のパンタグラフ2上端のすり板3のす
ぐ後方に透明板5を配置し、当該透明板を電磁石4のS
極とN極とに当接させ、上記透明板の後方に光源7を配
置し、当該透明板の前方に受光器8を配置し、上記受光
器の出力を磨耗検知器9に接続し、上記磨耗検知器が、
微分手段と基準データ記憶手段と比較手段と判定手段と
を有し、上記受光器の出力量を微分して上記透明板の表
面に付着した鉄粉6の付着量の変化率を計測し、上記受
光器の受光量の微分値を上記基準データと比較し、銅被
覆鋼トロリ線1の鋼心線1aの磨耗状態を判定するよう
構成した架線式鉄道のトロリ線磨耗検知装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架線式電車に給電するた
めのトロリ線、殊に銅被覆鋼トロリ線が限界磨耗状態に
達したことを検知する装置に関するものであり、通常の
運行電車を利用して、確実に磨耗状態が限界に達したこ
とを検知することができ、銅被覆鋼トロリ線の磨耗状態
点検のためのメンテナンスコストを著しく低減すること
ができるものである。
【0002】
【従来の技術】架線式電車に給電するためのトロリ線の
主な断面構造として、鋼製の抗張力心線を銅によって被
覆した二重構造のもの、すなわち、銅被覆鋼トロリ線
(例えば特開平3−90440号公報)、鋼線を芯材と
し、この芯材の周りに銅によって構成されたトロリ線が
ある。また、電車の安全運行を確保するためにはトロリ
線の磨耗状態が限界に達したことを確実に検知して、必
要な処置を講じることが必要であり、この磨耗状態を確
実に検知するために、限界まで磨耗すると磨耗面に露出
する警報線をトロリ線の両サイドに埋設したものがある
(例えば、特開平2−70539号公報)。この方法は
警報線の破断し、この破断された警報線が下を通過する
パンタグラフに絡み付き車両の安全運行が阻害される危
険があり、また、警報線を埋設していないトロリ線につ
いては、人手で検査する外はないので、磨耗の進行に伴
って下面の幅が拡大することを利用して限界まで達した
ことを光学的に検知する方法が開発され、一部実用化さ
れている。この検知方法は、電車の屋根に受光器と発光
器(レーザ光源)を設置し、電車を運行時間外の時間に
走行させながらトロリ線の下面にレーザ光を照射して、
その反射光を受光器で受光するものであり、その受光量
を基準値と比較してトロリ線が磨耗限界に達したことを
検知するものである。ところが、トロリ線が一定の長さ
にわたって平均的に磨耗したものについては、この光学
的方法によって十分検知し得るが、何等かの事情で局部
的に磨耗が進行する場合にはこれを確実に検知すること
ができない。したがって、一定期間の間隔で人手によっ
て検査することが避けられない。このために局部的な磨
耗の進行に対してもこれに十分対応できる自動検知装置
の開発が求められる。ところで、電車の運行速度の高速
化を図るためにはトロリ線の波動伝搬速度を高めること
が必要であり、また、運行速度が高速化するとトロリ線
の磨耗速度が激しくなるので、その耐磨耗性、耐久性が
向上することが必要である。トロリ線の波動伝搬速度は
架線張力の平方根に比例し、トロリ線の線密度(単位長
さ当たりの重さ)の平方根に反比例する。上記の銅被覆
鋼トロリ線は破断強度が高いため張力を高く設定できる
ので波動伝搬速度が高くなり、また耐磨耗性に優れてお
り、さらに導電率が比較的高い。したがって、銅被覆鋼
トロリ線は優れたトロリ線であり、急速に普及してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、銅被覆鋼ト
ロリ線を対象として、局部的な磨耗をも十分な信頼度を
もって確実、かつ能率的に検知できるような検知方法を
開発することをその課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
〔第1番目の発明〕上記課題を解決するために講じた第
1番目の発明の手段は、次ぎの要素によって構成される
ものである。 (イ)電車のパンタグラフ上端のすり板との擦り合いに
よって銅被覆鋼トロリ線の鋼心線から飛散する鉄粉を、
電車のパンタグラフ上端後方において、電磁石による捕
捉板によって連続的に捕集したこと、(ロ)上記捕捉板
に捕捉された鉄粉の量の変化を電気的に検知し、捕捉さ
れた鉄粉の量の変化率を演算したこと、(ハ)算出した
上記の鉄粉の量の変化率を予め用意した基準値と比較し
て、銅被覆鋼トロリ線の磨耗状況を判定すること。
【0005】
【作 用】電車を所定の速度で走行させる。電車のパン
タグラフ上端のすり板との擦り合いによって銅被覆鋼ト
ロリ線の鋼心線から飛散する単位時間当たりの鉄粉の量
は、銅被覆鋼トロリ線の鋼心線の露出面の幅の大きさに
比例する。そして、銅被覆鋼トロリ線の鋼心線から飛散
した鉄粉の一部が、電車のパンタグラフの上端後方にお
いて電磁石による捕捉手段によって捕集される。捕捉さ
れる鉄粉の量は鉄粉を飛散させながら電車が走行する距
離と、その間の単位距離当たりの飛散量とに比例する。
単位距離当たりの飛散量は、電車の走行速度をほぼ一定
とするとき、銅被覆鋼トロリ線の鋼心線の露出面の幅の
大きさに比例するから、この鉄粉の捕集量の単位時間当
たりの増加率は銅被覆鋼トロリ線の鋼心線の露出面の幅
の大きさに比例することになる。この捕集量の単位時間
当たりの増加率を演算し、この鉄粉の増加率を、磨耗限
界に達した銅被覆鋼トロリ線について予め収集したデー
タに基づく基準値と比較し、その走行地点における鋼心
線の磨耗状況を判定することができる。上記増加率が磨
耗限界値(増加率の限界基準値)を越えたとき、このこ
とをもって、これを検知した走行地点において銅被覆鋼
トロリ線の磨耗が磨耗限界に達したものと判定すること
ができる。鉄粉の付着力がゼロから有意な値に急激に変
化したことによって、鋼心線が露出するまでトロリ線が
磨耗していることを検知することができ、また磨耗粉の
付着が継続していて、その増加率が所定の値を越えたと
き、鋼心線の露出面の幅が所定値以上に達していること
を検知することができる。
【0006】〔第2番目の発明〕第2番目の発明の解決
手段は、次ぎの要素によって構成されるものである。 (イ)電車のパンタグラフ上端のすり板のすぐ後方に透
明板を配置し、当該透明板を電磁石のS極とN極とに当
接させたこと、(ロ)上記透明板の後方に光源を配置
し、当該透明板の前方に受光器を配置したこと、(ハ)
上記受光器の出力を磨耗検知器に接続したこと、(ニ)
上記磨耗検知器が、微分手段と基準データ記憶手段と比
較手段と判定手段とを有し、上記受光器の出力量を微分
して上記透明板の表面に付着した鉄粉の付着量の変化率
を計測し、上記受光器の受光量の微分値を上記基準デー
タと比較し、鋼心線の磨耗状態を判定するものであるこ
と。なお、上記「当接」は電磁石の磁力によって「透明
板」の前面に効率良く鉄粉を捕捉させるための事項であ
るから、必ずしも文字通り「当接」しているものに限ら
ず、電磁石の磁力線によって「透明板」の前面に効率良
く鉄粉が捕捉されるように透明板に対して電磁石が配置
されていることを意味する。
【0007】
【作 用】上記手段の作用を図1の模式図を参照しつつ
説明する。光源7から光を上記透明板5を通して受光器
8によって受光して、これを電気信号に変換し、この電
気信号を磨耗検知器9に送信しつつ、電車を所定の速度
で走行させる。電車が、銅被覆鋼トロリ線1が磨耗して
その鋼心線1aの下面が露出している地点を通過すると
き、電車のパンタグラフ2の上端のすり板3との擦り合
いによって銅被覆鋼トロリ線1の鋼心線1aから鉄粉1
0が飛散する。この飛散する鉄粉10の一部が、電磁石
4の磁力によって透明板5の前面(電車の走行方向前
面)に吸着されて捕捉される。透明板5の前面に吸着さ
れた鉄粉6の量が増加するにつれて、透明板5を透過す
る光源7からの光量が低下するから、この透明板5の透
過光量を上記受光器8で検知することによって、透明板
5に付着した鉄粉6の量を光学的に定性的に検知するこ
とができる。そして、透明板5に付着する鉄粉6の単位
時間当たりの増加率は、銅被覆鋼トロリ線1の鋼心線1
aの鉄粉の単位時間当たりの飛散量に比例し、銅被覆鋼
トロリ線の鋼心線からの鉄粉の単位時間当たりの飛散量
は銅被覆鋼トロリ線の鋼心線1aの露出面積の大きさに
比例する。したがって、受光器8による鉄粉付着量の検
知信号を磨耗検知器9の演算手段によって微分して、こ
の微分値と所定の基準値(磨耗検知器9の記憶手段から
読み出したもの)とを磨耗検知器9の比較手段によって
比較し、これを越えたことを検知することによって、そ
の検知地点における銅被覆鋼トロリ線の磨耗状況を判定
することができる。例えば、鋼心線が露出していない銅
被覆鋼トロリ線に沿って走行していて、突然に局部的に
鋼心線が露出している地点を通過すると、上記の鉄粉付
着量の検知信号のその瞬間における微分値は極めて大き
い。この場合は、この局部的な磨耗が限界磨耗に達して
いるとは言えないが、上記微分値は有意な値を示すので
局部的に鋼心線が露出していることを確実に検知するこ
とができ、これによって、局部的に鋼心線が露出すると
いう、メンテナンスが必要な異常事態がその地点に存在
することを検知することができる。鋼心線の磨耗が限界
磨耗に達している地点を走行しているときは、上記の微
分値が限界磨耗を示す基準値を越えるから、これによっ
て、その他トロリ線の磨耗が磨耗限界に達していること
を検知できる。光学的な検知手段による第2番目の発明
においては、鋼心線の磨耗が比較的小さい区間を走行し
続けると、上記微分値が限界磨耗を示す基準値に達しな
いままで、鉄粉によって透明板の前面が徐々に覆われ、
やがて完全に覆われてその後の鉄粉の付着量の増加に関
わらず、受光器の検知信号に基づく上記微分値は零にな
る。しかし、上記微分値の最大値を予め経験的に設定し
た基準値と比較することによって、その磨耗状態をほぼ
正確に判定することができ、また、微分値が有意に変化
し始めてから微分値が零になるまでの走行距離および微
分値の変化を参酌することによって、当該走行区間にお
ける、鋼心線の平均的な磨耗状況を定量的に判定するこ
とができる。
【0008】〔第3番目の発明〕第3番目の発明の解決
手段は、次ぎの要素によって構成されるものである。 (イ)電車のパンタグラフ上端のすり板のすぐ後方に非
磁性板を配置し、当該非磁性板を電磁石のS極とN極と
に当接させたこと、(ロ)上記非磁性板の後方に電磁波
発生装置を配置し、当該非磁性板の前方に電磁波検知器
を配置したこと、(ハ)上記電磁波検知器の出力を磨耗
検知器に接続したこと、(ニ)上記磨耗検知器が、微分
手段と基準データ記憶手段と比較手段と判定手段とを有
し、上記電磁波検知器の出力量を微分して上記非磁性板
の表面に付着した鉄粉の付着量の変化率を計測し、上記
電磁波検知器の出力量の微分値を上記基準データと比較
し、鋼心線の磨耗状態を判定するものであること。な
お、上記の「当接」は電磁石の磁力によって「非磁性
板」の前面に効率良く鉄粉を捕捉させるための事項であ
るから、必ずしも文字通り「当接」しているものに限ら
ず、電磁石の磁力線によって「非磁性板」の前面に効率
良く鉄粉が捕捉されるように非磁性板に対して電磁石が
配置されていることを意味する。
【0009】
【作 用】電磁波発生装置からの電磁波を上記非磁性板
に照射して、非磁性板を透過した電磁波を電磁波検知器
によって検知して、これを電気信号に変換し、この電気
信号を磨耗検知器に送信しつつ、電車を所定の速度で走
行させる。電車が、銅被覆鋼トロリ線が磨耗してその鋼
心線が露出している地点を通過するとき、電車のパンタ
グラフ上端のすり板との擦り合いによって銅被覆鋼トロ
リ線の鋼心線から鉄粉が飛散する。この飛散する鉄粉の
一部が、電磁石の磁力によって非磁性板の前面(電車の
走行方向前面)に吸着されて捕捉される。非磁性板の前
面に吸着された鉄粉の量が増加するにつれて、これによ
って照射された電磁波が吸収され、電磁波検知装置によ
る検知量が低下するから、この非磁性板の電磁波透過量
を上記電磁波検知器によって検知することによって、非
磁性板に付着した鉄粉の量を電磁的に検知することがで
きる。そして、非磁性板に付着する鉄粉の単位時間当た
りの増加率は、銅被覆鋼トロリ線の鋼心線の鉄粉の単位
時間当たりの飛散量に比例し、銅被覆鋼トロリ線の鋼心
線の鉄粉の単位時間当たりの飛散量は銅被覆鋼トロリ線
の鋼心線の露出面積の大きさに比例する。したがって、
電磁波検知器による鉄粉付着量の検知信号(出力量)を
微分して、この微分値を所定の磨耗基準と比較し、これ
を越えたことを検知することによって、その検知地点に
おいて銅被覆鋼トロリ線が所定の磨耗状態に達している
と判定することができる。例えば、鋼心線が露出してい
ない銅被覆鋼トロリ線に沿って走行していて、突然に局
部的に鋼心線が露出している地点を通過すると、上記の
鉄粉付着量の検知信号のその瞬間における微分値は極め
て大きいが、この場合は、この局部的な磨耗が限界磨耗
に達しているとはいえない。しかし、この場合は、この
前後の検知データを参酌すること(この場合は前後の微
分値は零である)によって局部的に鋼心線が露出してい
ることを検知することができ、これによって、局部的に
鋼心線が露出するという、メンテナンスが必要な異常を
その地点において検知することができる。
【0010】
【試験例】図2、図3、図4を参照しつつ試験例を説明
する。
【0011】
【試験装置】実際に使用されている銅被覆鋼トロリ線1
2を環状にして、これを直径2000mmの回転円板1
1の外周に装着し、この回転円板を時計方向(矢印方
向)に270rpmで回転させる。このときの回転円板
11の周速度はおよそ時速100kmである。試験片に
供された銅被覆鋼トロリ線12の断面構造は図4に示す
とおりであり、鋼心線41の線径が12.3mm、銅被
覆42の線径が概略8.0mmのものである。そして、
試験時間を短縮するために銅被覆鋼トロリ線12の外周
を2.0mmの厚さだけ切削したものである。この銅被
覆鋼トロリ線12の外周に通常のパンタグラフ13の上
端のすり板14(銅系焼結合金製)を80ニュートンの
力で圧接させたものである。パンタグラフ13の左方、
すり板14よりも100mm下方に図1に示すとおりに
配置された電磁石、透明板、光源、受光器、磨耗検知器
からなる磨耗検知装置15を設置している。光源は光度
2000カンデラのハロゲンランプであり、受光器はフ
ォトダイオードである。また、透明板は表面を硬化処理
したアクリル製の強化プラスチック板であり、その透明
度はJIS K7105で光線透過率86%、厚さは5
mm、縦幅100mm、横幅200mmの四角な平板で
ある。そして透明板と光源との間隔は50mm、透明板
と受光器との間隔は200mmである。電磁石は調整可
能なものであり、スイッチによってON、OFFされる
ものである。
【0012】
【試験条件】試験条件を可及的に実際の自然条件に近づ
けるためには、雨、風を考慮しなければならず、その方
向の各種の方向に変化させなければならないが、この試
験においては電車の通常の走行状態での走行風のみを考
慮して、図2において右側から左側に向かって風速28
m/秒(時速100km)の風を吹き付けている。すり
板14とトロリ線12との間に直流200Vの電圧を印
加し、200Aの電流を流している。
【0013】
【試験結果】回転円板11を起動させて試験開始12時
間の間は受光器8からの検知信号は変化がなく、12時
間15分経過した時点で、受光器8からの検知信号に変
化が見られた。この時点で回転円板を停止させてトロリ
線12の磨耗状況を目視で点検した結果5mmの長さに
わたって鋼心線41が露出していることを確認すること
ができた。これによって、僅かに鋼心線41が露出した
ことを確実に検知できることを確認できた。電磁石をO
FFし、再びONして透明板の前面をクリーニングして
から試験を再開した。その結果、1秒当たりの受光器か
らの検知信号に基づく上記微分値の増加率は10%であ
った。その後、トロリ線を磨耗限界に近い状態にするた
めに、厚さ(図4における厚さt)3.5mmまで切削
してから、試験を再開した。再開当初の上記微分値の増
加率は12%であったが、その後微分値は25秒間増加
し続け、その後減少し始め、やがて70秒後(走行距離
にして2000m)に微分値は零になった。さらに、ト
ロリ線を磨耗限界まで切削して、透明板をクリーニング
してから試験を再開した。この再開当初の上記微分値
(増加率)は10%(磨耗限界基準値と同じ)であっ
た。再開当初の上記微分値は10%であったが、その後
微分値は20秒間増加し続け、その後減少し初め、やが
て50秒後(走行距離にして1500m)に微分値は零
になった。以上のことから、微分値を磨耗限界基準値と
することによって、トロリ線の鋼心線の磨耗が限界磨耗
に達していることを確実に検知でき、また微分値の最大
値と予め収集した基準値を比較することによって、鋼心
線の露出面の幅をほぼ正確に計測できることが確認され
た。
【0014】
【その他】非磁性板に鉄粉を吸着させて、これを電磁発
生装置と、電磁波検知器とによって計測する第3番目の
発明についての試験例はないが、上記の試験例の試験結
果から、これと同様の結果が得られることは常識的に予
想されることである。ただし、この場合は、非電磁板の
電磁波の透過度を検知するものであるから、非電磁板の
前面が鉄粉によって全面的に覆われても、なお、非電磁
板の前面への鉄粉の付着量の増加によって電磁検知装置
の検知信号は変化するので、上記検知信号が変化し始め
てから、微分値が零になるまでの走行距離は相当に長く
なり、より精緻な試験結果が得られることが常識的に予
想される。また、第2番目の発明の「透明板」、第3番
目の「非磁性板」に換えて「非導電板」を用い、この
「非導電板」の前面の上下、または左右両端に端子板を
固定し、両端子板間に電圧を印加しておくことも、第1
番目の発明の一実施態様である。この実施態様において
は、非導電板の前面に鉄粉が付着し、これを介して上記
両端子板間が導通すると、両端子板間を電流が流れる。
そして、鉄粉の付着量が増大するにつれて両端子板間の
電気抵抗が減少して、両端子板間を流れる電流値が増加
する。この電流値を微分することによって、非導電板の
前面に付着する鉄粉の量の変化を検知することができ
る。ただし、この実施態様は非導電板に雨水が付着して
非導電板の前面を雨水が覆う状況にある場合と、そうで
ない場合とで上記電流値の変化が異なるので、この点を
考慮しなければならない。しかし、吸着された鉄粉を介
して流れる電流の絶対値を問題にするのではなく、その
変化率を問題にするのであるから、十分実用に耐える精
度で鉄粉の付着量の変化を検知することができる。さら
に、捕捉板の前面に付着した鉄粉に誘導電流を発生さ
せ、この誘導電流を検出し、この誘導電流値の変化率を
演算するようにすることによって、捕捉板の前面に付着
する鉄粉の量の変化を検知することもできる。この実施
態様も第1番目の発明の一実施態様である。なお、以上
本発明の本質について説明したが、捕捉板に捕捉された
鉄粉の検知信号の変化をオシログラフに表し、これを目
視して、その変化の大小で鋼心線の磨耗の有無、その磨
耗面の幅の大小を人間が判断することも可能であり、こ
れによってトロリ線の点検を実施することも可能であ
る。このような形態で本発明を実施する場合は、検知信
号に基づいて微分し、この微分値を基準値と比較するた
めの手段、そのための上方処理手順は不要である。
【0015】
【効 果】本発明は、パンタグラフの後方、すり板の下
方に配置した電磁石によって銅被覆鋼トロリ線の鋼心線
から飛散する鉄粉を捕捉板によって捕捉し、捕捉板に捕
捉される鉄粉の有無を、電磁的、光学的、あるいは電気
的な手段によって検知し、この検知信号に基づいて磨耗
検知器によって微分して、捕捉板に付着する鉄粉の量の
変化率を計測し、これによって銅被覆鋼トロリ線の鋼心
線の磨耗の有無、およびその程度を間接的に計測するも
のであるから、その計測速度は高く、かつこの計測作業
を少ない人手で極めて能率的に行うことができる。ま
た、この発明による計測装置は可動部分が全くないの
で、その耐久性、作動の信頼性は高い。また、電磁石の
磁力によって捕捉板に鉄粉を捕捉するものであるから、
この電磁石の強さを加減することによって飛散する鉄粉
の捕捉率を状況に応じて適宜調節することができるの
で、状況に応じて必要な計測精度を常に確保することが
でき、また、電磁力を零にすることによって捕捉板に付
着した鉄粉を走行風によって吹き飛ばして、捕捉板の前
面を何時でも、簡単・容易に繰り返しクリーニングする
ことができるので、計測精度を高めることができる。さ
らに、光源と受光器、電磁波発生装置と電磁波検知器か
らなる、検知手段はその出力、感度を適宜遠隔で最適値
に調整できるので、実施条件の変化に関わらず、信頼度
の高い計測結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2番目の本発明の作用の説明用模式図であ
る。
【図2】本発明の効果確認のための試験装置の正面図で
ある。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図2の試験装置に供される試験片の断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・銅被覆鋼トロリ線 1a,41・・・鋼心線 2、13・・・パンタグラフ 3、14・・・すり板 4・・・電磁石 5・・・透明板 6,10・・・鉄粉 7・・・光源 8・・・受光器 9・・・磨耗検知器 11・・・回転円板 12・・・銅被覆鋼トロリ線の試験片 15・・・磨耗検知装置 42・・・銅被覆

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架線式電車に給電するための銅被覆鋼トロ
    リ線の磨耗状態を検知するトロリ線磨耗検知方法におい
    て、 電車のパンタグラフ上端のすり板との擦り合いによって
    銅被覆鋼トロリ線の鋼心線から飛散する鉄粉を、電車の
    パンタグラフ上端後方において、電磁石による捕捉板に
    よって連続的に捕集し、 上記捕捉板に捕捉された鉄粉の量の変化を電気的に検知
    し、捕捉された鉄粉の量の変化率を演算し、 算出した上記の鉄粉の量の変化率を予め用意した基準値
    と比較して、銅被覆鋼トロリ線の磨耗状況を判定する、
    架線式鉄道のトロリ線磨耗検知方法。
  2. 【請求項2】架線式電車に給電するための銅被覆鋼トロ
    リ線の磨耗状態を検知するトロリ線磨耗検知装置におい
    て、 電車のパンタグラフ上端のすり板のすぐ後方に透明板を
    配置し、当該透明板を電磁石のS極とN極とに当接さ
    せ、 上記透明板の後方に光源を配置し、当該透明板の前方に
    受光器を配置し、 上記受光器の出力を磨耗検知器に接続し、 上記磨耗検知器が、微分手段と基準データ記憶手段と比
    較手段と判定手段とを有し、上記受光器の出力量を微分
    して上記透明板の表面に付着した鉄粉の付着量の変化率
    を計測し、上記受光器の受光量の微分値を上記基準デー
    タと比較し、鋼心線の磨耗状態を判定する、架線式鉄道
    のトロリ線磨耗検知装置。
  3. 【請求項3】架線式電車に給電するための銅被覆鋼トロ
    リ線の磨耗状態を検知するトロリ線磨耗検知装置におい
    て、 電車のパンタグラフ上端のすり板のすぐ後方に非磁性板
    を配置し、当該非磁性板を電磁石のS極とN極とに当接
    させ、 上記非磁性板の後方に電磁波発生装置を配置し、当該非
    磁性板の前方に電磁波検知器を配置し、 上記電磁波検知器の出力を磨耗検知器に接続し、 上記磨耗検知器が、微分手段と基準データ記憶手段と比
    較手段と判定手段とを有し、上記電磁波検知器の出力量
    を微分して上記非磁性板の表面に付着した鉄粉の付着量
    の変化率を計測し、上記電磁波検知器の出力量の微分値
    を上記基準データと比較し、鋼心線の磨耗状態を判定す
    る、架線式鉄道のトロリ線磨耗検知装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100752313B1 (ko) * 2001-09-07 2007-08-29 주식회사 포스코 장입차용 판타슈 트롤리와이어의 절단 방지장치
JP2021050563A (ja) * 2019-09-26 2021-04-01 中松 義郎 地下鉄環境改善装置
CN117963811A (zh) * 2024-04-02 2024-05-03 山西通洲煤焦集团股份有限公司 管道托架车上可升降托板的防坠缓冲机构及其工作方法

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