JPH0910625A - 電気集じん装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 集じん極と放電極との距離を大きくしなくて
も短絡等が生じるおそれが少なく、より低い印加電圧で
の安定したコロナ放電により、ガス中のじん埃を確実に
除去できる電気集じん装置を提供する。 【構成】 円筒状の集じん極２、３を同心状に配置した
本体１内に、気体サイクロンとして機能するガスの流通
経路を構成し、かつ上記集じん極２、３の筒内に、逆極
性の電圧が印加される放電極４を配置した。 【効果】 寸法の大きいじん埃が気体サイクロンにて除
去されたガスを、集じん極２、３と放電極４との間に供
給するので、かかるじん埃による、両極間での短絡の発
生を減少できる。また集じん極２、３は円筒状に形成さ
れ、高温のガスを供給した際の熱変形が抑制されるの
で、放電極４ごとの放電のばらつきが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、たとえば燃焼炉
等の各種産業設備の排気ガス中に浮遊している微小なじ
ん埃を除去して、排気ガスを清浄化するための電気集じ
ん装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】集じん装置には、集じん原理の違いによ
って種々の方式のものがあるが、中でも、ごく微小なじ
ん埃まで集じんできる高性能の集じん装置として、いわ
ゆるコットレル集じん装置に代表される電気集じん装置
が知られている。かかる電気集じん装置は、ガスに正負
の電極から直流の電場を印加してコロナ放電を発生させ
ると、このコロナ放電に接触したじん埃が正負いずれか
の極性に帯電して逆極性の電極に吸引され、ガス中から
捕集されるという原理を利用したものである。

【０００３】従来の電気集じん装置の代表例を、図６
(a)(b)に示す。図の電気集じん装置は、略角筒状で、か
つその一端面にガスの供給口９１ａ、他端面にガスの排
出口９１ｂを設けるとともに、下面に、ガス中から捕集
されたじん埃Ｄの排出口９１ｃを設けた本体９１内に、
平板状の集じん極９２を、上記供給口９１ａから排出口
９１ｂへのガスの流れ（図中実線の矢印で示す）にそっ
て縦向けに複数枚（図では４枚）、互いに平行となるよ
うに配列するともに、各集じん極９２間に、それぞれ複
数本（図では５本ずつ）の放電極９３を、上記集じん極
９２と非接触の状態で配置することで構成されている。

【０００４】なお上記排出口９１ｃには、じん埃Ｄを装
置外に排出する際に開かれ、かつガス中からのじん埃Ｄ
の捕集の際には閉じられて、本体９１の気密を維持する
ロータリダンパ９５が設けられている。また、上記各部
のうち集じん極９２および放電極９３はそれぞれ、図６
(b) に二点鎖線で示すように、コロナ放電のための高圧
電源９４に接続されており、本体９１は接地されてい
る。

【０００５】さらに放電極９３は、筒状の本体９３ａ
と、この本体９３ａの軸方向にそって複数本、当該本体
９３ａを貫通するように取り付けられた放電針９３ｂと
を備えており、図７にみるように放電針９３ｂの針先
を、図中実線の矢印で示すガスの流れの上流側に向け
て、本体９１内に配置されている。上記各部からなる電
気集じん装置を用いてガスを清浄化するには、まずロー
タリダンパ９５を閉じて本体９１の気密を維持しつつ、
供給口９１ａからガスを供給するとともに、高圧電源９
４を作動して集じん極９２と放電極９３からガスに直流
の電場を印加する。

【０００６】そうすると、図７に破線で示すように、放
電極９３の放電針９３ｂの針先と、放電極９３の両側の
集じん極９２との間でコロナ放電が発生する。そして、
ガス中に浮遊するじん埃がこのコロナ放電に接触して、
正負いずれかの極性に帯電し、それとは逆極性の電圧が
印加された集じん極９２に吸引されて、当該集じん極９
２に捕集される。

【０００７】その結果、ガスは清浄化されて排出口９１
ｂから排出され、一方、捕集されたじん埃Ｄは、集じん
極９２との接触によって電荷を失って下方へ落下し、図
６(b) にみるように排出口９１ｃ上に蓄積され、装置の
運転終了後にロータリダンパ９５を開くことで、装置外
に排出される。なお、じん埃が正負いずれの極性に帯電
するかは、じん埃を構成する物質によって異なる。よっ
て、集じん極９２と放電極９３の極性は、じん埃の帯電
極性に応じて設定すればよい。たとえばじん埃が正に帯
電するものである場合は、集じん極９２を負極、放電極
９３を正極とすればよい。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の電気集じん
装置においては、たとえば繊維状、薄片状等の、少なく
とも１方向の寸法が大きなじん埃や、あるいは粒状で粒
径の大きなじん埃など、比較的寸法の大きなじん埃がガ
ス中に含まれていると、それが集じん極９２に捕集され
た際に、当該じん埃と、最寄りの放電極９３との距離が
小さくなったり、あるいは極端な場合には両者が接触し
たりする結果、上記じん埃を介して、放電極９３と集じ
ん極９２との間で短絡が発生し、それによってコロナ放
電が不安定化して、十分な集じん機能がえられなくなる
おそれがあった。

【０００９】また上記電気集じん装置を、たとえば焼却
炉等の燃焼炉からでる高温の排気ガスの処理に使用した
場合には、とくに平板状の集じん極９２が熱によって歪
みを生じて平面性を失い、放電極９３との距離が一定で
なくなって、集じん極９２との距離が拡がりすぎてコロ
ナ放電がおこらない放電極９３が生じたり、あるいは逆
に集じん極９２との距離が近づきすぎて短絡する放電極
９３が生じたりする結果、やはりコロナ放電が不安定化
して、十分な集じん機能がえられなくなるおそれがあっ
た。

【００１０】集じん極９２と放電極９３との距離を広め
に設定すれば、上記の問題はいずれも発生しにくくなる
が、両極間の距離が大きくなるほど、コロナ放電を発生
させるために高い電圧が必要となり、 電源装置が高価になる、 絶縁構造が複雑化する、 厳重な安全設備が必要となる、 といった問題が生じ、設備費が高くつくという問題があ
った。

【００１１】この発明の目的は、上記のような問題を生
じることなく、より低い印加電圧での安定したコロナ放
電により、ガス中のじん埃を確実に除去できる、新規な
電気集じん装置を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明の電気集じん装置は、縦型略円筒状で、そ
の側面にガスの供給口を設け、かつ内部に１重または多
重の円筒状の集じん極を同心状に配置した本体を有し、
この本体内に、上記供給口から供給されたガスを、本体
と集じん極との間の空間を渦巻き状に下方へ流通させ、
ついで集じん極の下端開口から集じん極の筒内を渦巻き
状に上方へ流通させる気体サイクロンとして機能するガ
スの流通経路が構成されているとともに、上記集じん極
の筒内に、当該集じん極と逆極性の電圧が印加される放
電極が、集じん極と非接触の状態で配置されていること
を特徴としている。

【００１３】上記構成からなる、この発明の電気集じん
装置においては、ガス中に、前述したような比較的寸法
の大きなじん埃が含まれていても、当該じん埃は、集じ
ん極と放電極との間に供給される前に、気体サイクロン
での遠心力によってガス中から除去されるため、かかる
じん埃が原因となる、両極間での短絡の発生が減少す
る。

【００１４】また集じん極は、上記のように円筒状に形
成されるため、たとえ高温のガスにさらされても、平板
状のものに比べて熱変形しにくく、放電極との距離がば
らつくことが抑制される。したがってこの発明によれ
ば、集じん極と放電極との距離を大きくしなくても短絡
等が生じるおそれが少なく、より低い印加電圧で、安定
したコロナ放電を発生できるため、気体サイクロンによ
る比較的寸法の大きなじん埃の除去効果と相まって、ガ
ス中のじん埃を確実に除去することが可能となる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態
を、その一例を示す図面を参照しつつ説明する。図１お
よび図２に示した電気集じん装置は、縦型略円筒状の本
体１と、この本体１内に同心状に配置された、円筒状の
外側集じん極２と、この外側集じん極２内に同心状に配
置された、小径でかつ円筒状の内側集じん極３と、上記
内外両集じん極２、３間に、当該両集じん極２、３と非
接触の状態で配置された放電極４とを備えている。

【００１６】上記各部のうち本体１は、側面にガスの供
給口１１ａを有する大径円筒状の入口ヘッダ部１１の下
部に、それより小径円筒状の胴部１２と、ろう斗状でか
つその下端にじん埃の排出口１３ａを有するホッパ部１
３とを、下方へ向かってこの順に接続するとともに、上
記入口ヘッダ部１１の上部に、側面にガスの排出口１４
ａが形成された、入口ヘッダ部１１より小径円筒状の出
口ヘッダ部１４と、それよりさらに小径円筒状の碍子箱
１５とを、上方へ向かってこの順に接続することで構成
さている。

【００１７】また、上記各部のうち入口ヘッダ部１１
と、胴部１２と、ホッパ部１３とは直接に連通してお
り、入口ヘッダ部１１と、出口ヘッダ部１４とは、仕切
り板１６によって仕切られている。そしてこの仕切り板
１６を貫通するように配置された外側集じん極２の筒内
と、この外側集じん極２内に配置された内側集じん極３
の筒内とを介して、内外両集じん極２、３の上下の開口
が臨むホッパ部１３と出口ヘッダ部１４とが連通してい
る。

【００１８】上記本体１は、図２に示すように、基礎Ｋ
上に設置された台枠５上に支持されている。なお図にお
いて符号５１は、本体１を台枠５上に固定するための固
定座、符号６は、ホッパ部１３の排出口１３ａから排出
されたじん埃を受ける容器である。外側集じん極２は、
その上端が、上記のように仕切り板１６を貫通すること
で、当該仕切り板１６によって支持されているととも
に、中間部が、胴部１２の上端部内方の複数箇所に設け
た旋回羽根１７によって支持されることで、本体１に対
して同心状に配置されている。

【００１９】旋回羽根１７は、上記のように外側集じん
極２の中間部を支持するとともに、後述するように、入
口ヘッダ部１１から、胴部１２と外側集じん極２との間
の空間に供給されたガスに下向きの渦巻きを発生させる
ためのもので、胴部１２および外側集じん極２に対して
所定角度、傾斜させて設けられている。また内側集じん
極３は、その上端が、上記外側集じん極２の上端部内方
の複数箇所に設けた支持板２１によって支持されること
で、外側集じん極２に対して同心状に配置されている。

【００２０】そして上記本体１内には、図中黒矢印で示
すように、供給口１１ａから供給されたガスを、入口ヘ
ッダ部１１から、前記旋回羽根１７の作用によって、胴
部１２と外側集じん極２との間の空間を渦巻き状に下方
へ流通させてホッパ部１３に至らせ、ついでホッパ部１
３から、内外両集じん極２、３の筒内を渦巻き状に上方
へ流通させて、出口ヘッダ部１４の排出口１４ａから装
置外に排出させる、気体サイクロンとして機能するガス
の流通経路が構成されている。

【００２１】放電極４は、その上端が、碍子箱１５内に
セットされた碍子Ｇによって、本体１と電気的に絶縁さ
れた状態で、内側集じん極３の中心線上に、当該内側集
じん極３と非接触の状態で配置された内側放電極４１
と、この内側放電極４１の途中に取り付けた吊りリング
４２から下方、内外両集じん極２、３の間の空間内へ、
当該両集じん極２、３と非接触の状態で挿入、配置され
た複数本の外側放電極４３と、各外側放電極４３の先端
をつなぐように取り付けられた先端リング４４とを備え
ている。

【００２２】上記のうち内側放電極４１は、図３(a) に
も示したように、筒状の本体４１ａと、この本体４１ａ
の軸方向にそって複数個、配置された、十字状の放電針
４１ｂとを備えている。なお放電針４１ｂは、図３(b)
にみるように直線状のものを、本体４１ａの軸方向にそ
って、交互に十字状に配置してもよい。

【００２３】また放電針４１ｂは、図４(a) にみるよう
に三叉状のものを、本体４１ａの軸方向にそって複数
個、配置してもよく図４(b) にみるように、上記三叉状
の放電針４１ｂを、角度をずらして配置してもよい。一
方、外側放電極４３は、同じく筒状の本体４３ａと、こ
の本体４３ａの軸方向にそって複数本、当該本体４３ａ
を貫通するように取り付けられた放電針４３ｂとを備え
ており、図５にみるように放電針４３ｂの針先を、前記
旋回羽根１７の作用によって内外両集じん極２、３間に
発生する、図中黒矢印で示す、上方への渦巻き状のガス
の流れの上流側に向けて、上記内外両集じん極２、３間
に配置されている。

【００２４】上記放電針４３ｂの針先を、ガスの流れの
上流側に向けて配置するのは、以下の理由による。すな
わち、放電針４３ｂの針先をガスの流れと直交する方向
に向けて配置した場合には、放電針の背面に発生する負
圧と渦のために放電針の、ガスの流れ下流側の側面にじ
ん埃が付着し、それによって放電が阻害されるおそれが
ある。また、上記放電針４３ｂの針先を、ガスの流れの
下流側に向けて配置した場合には、やはり負圧と渦のた
めに、放電に係わる上記針先にじん埃が付着し、それに
よって放電が阻害されるおそれがある。しかし、放電針
４３ｂの針先をガスの流れの上流側に向けて配置すれ
ば、そのような問題が生じるおそれはなく、常に安定し
た放電がえられるのである。

【００２５】上記各部からなる、図１、２の電気集じん
装置を用いて、ガス中に含まれるじん埃を除去するに
は、まず本体１の供給口１１ａからガスを供給するとと
もに、図示しない高圧電源を作動して内外両集じん極
２、３と放電極４からガスに直流の電場を印加する。そ
うするとガスは、図中に黒矢印で示すガスの流通経路を
通って、まず入口ヘッダ部１１から胴部１２と外側集じ
ん極２との間の空間に入り、旋回羽根１７の作用によっ
て、上記空間内を渦巻き状に下方へ流通して、その際の
遠心力により、ガス中に含まれるじん埃のうち、比較的
寸法の大きなじん埃が除去される。

【００２６】そして、上記のように比較的寸法の大きな
じん埃が除去されて軽くなったガスは、ホッパ部１３に
到達した後、内外両集じん極２、３の筒内を渦巻き状に
上方へ流通し、その際に、両集じん極２、３と放電極４
との間のコロナ放電と接触して、ガス中に含まれる、サ
イクロンでは分離できなかったより細かなじん埃が正負
いずれかの極性に帯電して、逆極性の電圧が印加された
両集じん極２、３に捕集、除去されて清浄化されたの
ち、出口ヘッダ部１４の排出口１４ａから装置外へ排出
される。

【００２７】また、上記のように遠心力によってガス中
から除去されたじん埃や、内外両集じん極２、３に捕集
されたじん埃は、ホッパ部１３の下端の排出口１３ａか
ら装置外へ排出され、その下に配置された容器６内に蓄
積される。なお、この発明の構成は、以上で説明した図
の実施形態のものには限定されない。

【００２８】たとえば図のものでは、胴部１２および外
側集じん極２に対して所定角度、傾斜させて設けられた
旋回羽根１７の作用によって、ガスの渦巻きを発生させ
ていたが、ガスの供給口１１ａを入口ヘッダ部１１の中
心線に対してずらして配置することで、ガスの渦巻きを
発生させるようにしてもよい。また図のものでは、集じ
ん極が外側集じん極２と内側集じん極３の２重構造にな
っていたが、集じん極は１重であってもよく、あるいは
３重以上の多重構造であってもよい。また放電極は、集
じん極の構造にあわせて適宜配置すればよい。

【００２９】その他、この発明の要旨を変更しない範囲
で、種々の設計変更を施すことができる。

【００３０】

【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明の電気集
じん装置においては、ガス中に比較的寸法の大きなじん
埃が含まれていても、当該じん埃は、集じん極と放電極
との間に供給される前に、気体サイクロンでの遠心力に
よってガス中から除去されるため、かかるじん埃が原因
となる、両極間での短絡の発生が減少する。また集じん
極は円筒状に形成されるため、たとえ高温のガスにさら
されても、平板状のものに比べて熱変形しにくく、放電
極との距離がばらつくことが抑制される。

【００３１】したがってこの発明の電気集じん装置は、
集じん極と放電極との距離を大きくしなくても短絡等が
生じるおそれが少なく、より低い印加電圧で、安定した
コロナ放電を発生できるため、気体サイクロンによる比
較的寸法の大きなじん埃の除去効果と相まって、ガス中
のじん埃を確実に除去でき、しかも集じん極と放電極と
の距離を大きくした際に生じる種々の問題をも解決でき
るという特有の作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の電気集じん装置の、実施の形態の一
例を示す部分切り欠き斜視図である。

【図２】図１の装置の断面図である。

【図３】同図(a) は、図１の装置に使用される内側放電
極の部分切り欠き斜視図、同図(b) は、内側放電極の変
形例を示す部分切り欠き斜視図である。

【図４】同図(a)(b)はそれぞれ、内側放電極の他の変形
例を示す部分切り欠き斜視図である。

【図５】図１の装置に使用される外側放電極と、内外両
集じん極との位置関係を示す拡大断面図である。

【図６】同図(a) は、従来の電気集じん装置の一例の、
横方向の断面図、同図(b) は、上記装置の、縦方向の断
面図である。

【図７】図６の装置に使用される放電極と集じん極との
位置関係を示す横方向の拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 本体 ２ 外側集じん極 ３ 内側集じん極 ４ 放電極 １１ａ供給口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】縦型略円筒状で、その側面にガスの供給口
   を設け、かつ内部に１重または多重の円筒状の集じん極
   を同心状に配置した本体を有し、この本体内に、上記供
   給口から供給されたガスを、本体と集じん極との間の空
   間を渦巻き状に下方へ流通させ、ついで集じん極の下端
   開口から集じん極の筒内を渦巻き状に上方へ流通させる
   気体サイクロンとして機能するガスの流通経路が構成さ
   れているとともに、上記集じん極の筒内に、当該集じん
   極と逆極性の電圧が印加される放電極が、集じん極と非
   接触の状態で配置されていることを特徴とする電気集じ
   ん装置。