JPH09101579A - 顔領域抽出方法及び複写条件決定方法 - Google Patents

顔領域抽出方法及び複写条件決定方法

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JPH09101579A
JPH09101579A JP25897695A JP25897695A JPH09101579A JP H09101579 A JPH09101579 A JP H09101579A JP 25897695 A JP25897695 A JP 25897695A JP 25897695 A JP25897695 A JP 25897695A JP H09101579 A JPH09101579 A JP H09101579A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー原画像中に存在する人物の顔に相当す
る領域を高い確度で適正に抽出する。 【解決手段】 カラー原画像((A)参照) を画素毎に分割
し複数の成分色に分解して測光した結果に基づいて、各
画素の色相が肌色の範囲に含まれるか否かを判断し、原
画像を肌色領域と非肌色領域とに分割する(肌色領域を
(B)にハッチングで示す)と共に、測光によって得られ
たデータに基づいて原画像中のエッジを検出し、原画像
中の各箇所をエッジ部分又は非エッジ部分に分類する
(エッジに分類した部分を (C)に太線で示す)。そして
肌色領域内に位置しており非エッジ部分と分類した画素
から成り、かつエッジ部分と判定された画素で囲まれた
領域を顔候補領域として抽出し(抽出した複数の顔候補
領域を (D)に異なるハッチングで示す)、抽出した顔候
補領域が人物の顔に相当する領域か否か判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は顔領域抽出方法及び
複写条件決定方法に係り、特に、カラー原画像中の人物
の顔に相当すると推定される領域を抽出する顔領域抽出
方法、及び該抽出方法によって抽出された顔領域内の画
像特徴量に基づいて露光量を決定する複写条件決定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】人物写
真を観賞するときに最も注目される部位は人物の顔であ
るので、例えばネガフィルム等に記録された原画像を印
画紙等の複写材料に焼付ける場合には、人物の顔の色が
適正な色に焼付けされるように、原画像中の人物の顔に
相当する領域を抽出し、抽出した領域の色や濃度に基づ
いて露光量を決定することが好ましい。
【0003】このため、特開昭 52-156624号公報、特開
昭 52-156625号公報、特開昭53-12330号公報、特開昭 5
3-145620号公報、特開昭 53-145621号公報、特開昭 53-
145622号公報等には、肌色データを抽出することによっ
て人物の顔のデータを抽出する方法として、カラー原画
像を多数の測定点に分割すると共に各測定点をR、G、
Bの3色に分解して測光し、測光データに基づいて各測
定点の色が色座標上で肌色の範囲内か否か判断し、肌色
の範囲内と判断した測定点のクラスタ(群)を顔の濃度
とすることが記載されている。しかしながら、上記で
は、原画像に例えば地面や木の幹等の肌色領域が存在し
ていた場合、この領域内の測定点のデータを顔の濃度デ
ータとして誤抽出することがあり、適正な露光量を得る
ことができないという問題があった。
【0004】また本出願人は、カラー原画像を多数画素
に分割し各画素毎にR、G、Bの3色に分解して測光
し、測光データに基づいて色相値(及び彩度値)につい
てのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを山毎に
分割し、各画素が分割した山の何れに属するかを判断し
て各画素を分割した山に対応する群に分け、各群毎にカ
ラー原画像を複数の領域に分割し(所謂クラスタリン
グ)、該複数の領域のうち人物の顔に相当する領域を推
定し、推定した領域の測光データに基づいて露光量を決
定することを提案している(特開平4-346333号公報参
照)。
【0005】しかし、原画像に存在している地面や木の
幹等の肌色の非人物領域が人物の顔に相当する領域と隣
接していた場合、理想的には例として図9(A)に異な
るハッチングで示すように、人物の顔に相当する領域と
非人物領域(図では背景に相当する領域)と異なる領域
として抽出することが好ましいが、上記技術では、図9
(B)に示すように人物の顔に相当する領域と非人物領
域とを分離することができない。また、人物の顔に相当
する領域内の色相や彩度が部分的に若干異なっていた場
合には、人物の顔に相当する領域内のデータによってヒ
ストグラム上で複数のクラスタが形成され、図9(C)
に示すように、人物の顔に相当する領域を過剰に分割し
てしまうこともあった。
【0006】上記技術では、分割した領域の何れかが人
物の顔に相当する領域であることを前提として処理を行
っているため、原画像を適正な範囲の領域に分割できな
かった場合には、人物の顔に相当する領域を誤判定し、
人物の顔を適正に焼付けできる露光量を得ることができ
ないという問題があった。
【0007】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、カラー原画像中に存在する人物の顔に相当する領域
を高い確度で適正に抽出することができる顔領域抽出方
法を得ることが目的である。
【0008】また本発明は、カラー原画像中に存在する
人物の顔に相当する領域を適正に焼付けできる複写条件
を高い確度で得ることができる複写条件決定方法を得る
ことが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明に係る顔領域抽出方法は、カラー
原画像上の多数箇所を複数の成分色に分解して測光し、
前記測光によって得られたデータが表す原画像上の各箇
所における色相が肌色の範囲に含まれるか否かを判断
し、原画像を肌色領域と非肌色領域とに分割すると共
に、前記測光によって得られたデータに基づいて原画像
中のエッジを検出し、原画像中の各箇所をエッジ部分又
は非エッジ部分に分類し、前記肌色領域内に位置してお
り、かつ非エッジ部分と分類した箇所の集まりで構成さ
れる原画像中の領域を顔候補領域として抽出し、抽出し
た顔候補領域が人物の顔に相当する領域か否か判定し、
人物の顔に相当する領域であると判定した顔候補領域を
抽出する。
【0010】上記では、原画像上の各箇所における色相
が肌色の範囲に含まれるか否かを判断して原画像を肌色
領域と非肌色領域とに分割しているので、人物の顔に相
当する領域の色相及び彩度が部分的に若干異なっていた
としても、前記領域内の各箇所の色相が全て肌色の範囲
に含まれると判断される可能性は非常に高く、前記領域
が単一の肌色領域となるように原画像が分割されること
になる。従って、人物の顔に相当する領域内の色相や彩
度が部分的に異なっている場合にも、この部分を過剰に
分割してしまうことはない。
【0011】また、原画像中のエッジを検出して原画像
中の各箇所をエッジ部分又は非エッジ部分に分類し、肌
色領域内に位置しており、かつ非エッジ部分と分類した
箇所の集まりで構成される原画像中の領域を顔候補領域
として抽出するので、例えば原画像中に、人物の顔と色
相が同一又は近似した背景領域が人物の顔に相当する領
域に隣接していたとしても、該背景領域と人物の顔に相
当する領域との境界部分がエッジ部分と分類されること
により、背景領域と人物の顔に相当する領域との間がエ
ッジ部分により区画され、両者は異なる顔候補領域とし
て抽出されることになる。
【0012】そして、上記のようにして抽出された顔候
補領域のうち人物の顔に相当する領域であるか否か判定
し、人物の顔に相当する領域であると判定した顔候補領
域を抽出するので、カラー原画像中に存在する人物の顔
に相当する領域を、過剰に分割したり、背景領域が混在
したりすることなく、高い確度で適正に抽出することが
できる。
【0013】請求項2記載の発明に係る複写条件決定方
法は、請求項1記載の顔領域抽出方法により、記録媒体
に記録された原画像から人物の顔に相当する領域を抽出
し、抽出した領域内における画像特徴量に基づいて、複
写材料への前記原画像の複写条件を決定することを特徴
としている。
【0014】上記では、請求項1の顔領域抽出方法を適
用して、記録媒体に記録された原画像から人物の顔に相
当する領域を抽出するので、前記と同様に、人物の顔に
相当する領域を高い確度で適正に抽出することができ、
更に抽出した領域内における画像特徴量に基づいて複写
材料への複写条件を決定するので、カラー原画像中に存
在する人物の顔に相当する領域を適正に焼付けできる複
写条件を高い確度で得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。図1には本発明を適用
可能な写真焼付装置10が示されている。写真焼付装置
10は、ネガフィルム12に記録された画像を焼付ける
ための露光光を射出する光源16を備えている。光源1
6の光射出側には、調光フィルタ等の色補正フィルタ1
8、拡散ボックス20、分配用プリズム22が順に配列
されている。
【0016】写真フィルムとしてのネガフィルム12の
搬送路は拡散ボックス20と分配用プリズム22との間
に形成されており、分配用プリズム22はネガフィルム
12を透過した光を2方向に分配する。光源16の光軸
を挟んで両側には、ネガフィルム12の搬送路に沿って
搬送ローラ対14A、14Bが設けられている。搬送ロ
ーラ対14A、14Bは各々モータ52A、52Bの駆
動軸に連結されており、モータ52A、52Bの駆動力
が伝達されることにより回転し、ネガフィルム12を搬
送する。
【0017】分配用プリズム22によって2方向に分配
された光の一方の光路上には、投影光学系24、ブラッ
クシャッタ26、及び複写材料としてのカラーペーパ
(印画紙)28が順に配置されており、他方の光路上に
は投影光学系30、CCDイメージセンサ32が順に配
置されている。CCDイメージセンサ32はネガフィル
ム12に記録された画像(1コマ)全体を多数の画素
(例えば256×256画素)に分割し、各画素をR
(赤)、G(緑)、B(青)の3色に分解して測光す
る。
【0018】CCDイメージセンサ32の信号出力端に
は、CCDイメージセンサ32から出力された信号を増
幅する増幅器34、アナログ−デジタル(A/D)変換
器36、CCDイメージセンサ32の感度補正用の3×
3マトリクス回路38が順に接続されている。3×3マ
トリクス回路38は、マイクロコンピュータ及びその周
辺機器で構成された制御部40の入出力ポート40Dに
接続されている。制御部40は、CPU40A、ROM
40B、RAM40C及び入出力ポート40Dを備えて
おり、これらはバスを介して互いに接続されている。
【0019】制御部40の入出力ポート40Dには、色
補正フィルタ18を駆動するドライバ46を介して色補
正フィルタ18が接続されており、ドライバ50A、5
0Bを介してモータ52A、52Bが各々接続されてい
る。また入出力ポート40Dには、LCD又はCRTか
ら成る表示手段としてのディスプレイ42と、オペレー
タが各種情報を入力するためのテンキー等のキーボード
44と、光源16の光軸を挟んで両側に配置されネガフ
ィルム12の透過光量を検出する画面検出センサ48が
接続されている。
【0020】次に図2のフローチャートを参照し、本実
施形態の作用を説明する。なお図2のフローチャート
は、写真焼付装置10にセットされたネガフィルム12
を所定方向に搬送すると共に画面検出センサ48からの
出力信号を監視して、ネガフィルム12に記録された画
像を露光位置に位置決めする毎に実行される。
【0021】ステップ100では露光位置に位置決めし
た画像をCCDイメージセンサ32によって測光し、C
CDイメージセンサ32から増幅器34、A/D変換器
36、3×3マトリクス回路38を介して出力される
R、G、B毎の測光データを取込み、更に取込んだ測光
データをRAM40C等のメモリに一旦記憶する。ステ
ップ102では、メモリに格納された測光データのノイ
ズ除去、すなわちスムージングを行なう。次のステップ
104では肌色領域抽出処理を行う。この肌色領域抽出
処理について、図3のフローチャートを参照して説明す
る。
【0022】ステップ130では、上記でスムージング
を行った各画素毎の測光データに基づいて、各画素の色
相が肌色の範囲に含まれるか否か判定する。なお、この
判定には、例えば特開昭 52-156624号等に記載されてい
る楕円体状の立体を用いることができる。
【0023】すなわち、ネガフィルムに記録された多数
の画像から抽出した多数の肌色点における緑色濃度G、
青色濃度B、赤色濃度Rは、各色濃度の平均値BAVE,
AVE,AVE を中心とする3次元ガウス分布となるので、
肌色点の各色濃度B、G、Rは、各色濃度B、G、Rを
各々座標軸とする3次元色座標上で定義される各色濃度
の平均値BAVE,AVE,AVE を中心とする楕円体(各色
の分布が等しくないために楕円となる、図5の楕円体6
0参照)の内側に存在すると考えられる。楕円体又は楕
円は次の一般式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】但し、αijは定数、x1 =B−BAVE 、x
2 =G−GAVE 、x3 =R−RAVE であり、nが3なら
ば楕円体である。従って、楕円体の場合には、 dS2 =C11dB2 +2C12dB・dG+C22dG2 + 2C23dG・dR+C33dR2 +2C31dR・dB …(2) とすることができる。dB=x1 、dG=x2 、dR=
3 であるので、dB=B−BAVE 、dG=G−
AVE 、dR=R−RAVE となる。また、Cijは次の分
散・共分散行列Aの逆行列の要素である。
【0026】
【数2】
【0027】但し、Nはデータの数、Bi,i,i は各
測定点における濃度を表す。ところで(2)式によって
定義される楕円体の大きさは、(2)式のdS2 の値に
よって変化する。色相が肌色ではない測定点のデータが
楕円体に含まれることのないようにするには、ネガフィ
ルムに記録された多数の画像から抽出した多数の肌色点
のデータの大多数(例えば95%)が楕円体に含まれるよ
うにdS2 のしきい値を設定し、上記の各パラメータを
求めておけばよい。
【0028】そしてステップ130では、各画素のデー
タを(2)式に代入してdS2 を演算し、得られたdS
2 の値が先に設定したしきい値以下の場合には、該画素
のデータが楕円体内に位置しているので該画素の色相は
肌色の範囲に含まれていると判断し、得られたdS2
値がしきい値よりも大きい場合には、該画素のデータが
楕円体の外に位置しているので、該画素の色相は肌色の
範囲外であると判断することができる。
【0029】なお、3次元色座標上における肌色点の分
布は、肌色点抽出元の画像を撮影した際の光源の種類に
応じて変化する。例として図5には、光源として蛍光灯
を用いて撮影した画像から抽出した肌色点のデータより
求めた楕円体を楕円体62として示し、光源としてタン
グステン灯を用いて撮影した画像から抽出した肌色点の
データより求めた楕円体を楕円体64として示す。従っ
て、光源の種類毎に(2)式のdS2 及び各パラメータ
の値を求めておき、各画素の色相が各楕円体によって定
義される肌色の範囲内に含まれているか否かを各々判定
するようにしてもよい。また、上記で説明した楕円体に
代えて、特開昭 53-145620号公報の第3図等に示されて
いる多角形状の領域を用いてもよい。
【0030】ステップ132では、ステップ130にお
ける判定結果に基づいて、原画像を、肌色領域内の画素
と判定された画素からのみ構成される肌色領域と、肌色
領域外の画素と判定された画素からのみ構成される非肌
色領域と、に分割すると共に、肌色領域内の画素か非肌
色領域内の画素かに応じて2値化した2値画像を生成
し、更に周囲が非肌色領域で囲まれた肌色領域を単一の
肌色領域とみなし、肌色領域の各々を識別するためにナ
ンバリングを行う。
【0031】次のステップ134では、分割された領域
の面積を判断することにより微小領域を除去し、ナンバ
リングをし直す。ステップ136では、肌色領域の境界
画素をすべて削除してひと皮分取り除く収縮処理と、収
縮処理とは逆に境界画素を背景画素方向へ増殖させてひ
と皮分太らせる膨張処理とを行なって大領域と繁がって
いる小領域を大領域から分離する。ステップ142では
ステップ134と同様に微小領域を除去してリナンバリ
ングを行う。次のステップ140ではステップ136、
138の処理を所定回(例えば2回)実行したか否か判
定する。判定が否定された場合にはステップ136へ戻
り、ステップ140の判定が肯定される迄ステップ13
6、138を繰り返す。これにより、弱い結合をしてい
る肌色領域同士が分離されることになる。
【0032】ステップ140の判定が肯定されるとステ
ップ142へ移行し、モフォロジー変換の4つの基本的
な変換の1つであるclosing により、肌色領域の穴埋め
を行う。closing は次の(3)式により定義される。
【0033】
【数3】
【0034】また、Bは構成要素と称される有界集合で
ある。モフォロジー変換では構成要素Bを変えることに
より様々な変換を得ることができる。一般にclosing
は、集合Xに対し雑音(構成要素Bによって定まる変則
的なパターン)を取り除く、外側からの平滑化を行うも
のである。このため、図6(A)に示すように、処理対
象としての原画像(2値画像)を集合Xとし、構成要素
Bとして規則的なものを選んだとすると、図6(B)に
実線で示すように、モフォロジー変換(closing)後の集
合X’は、集合Xに対し境界が滑らかとなり、狭い間
隙、細長い割れ目、小さな穴が埋まることになる。
【0035】ステップ142では集合Xとして肌色領域
を適用して上記の変換を行うことにより、肌色領域の穴
埋めを行う。上記により、例として図8(A)に示す原
画像(なお、この原画像は、例として背景に相当する領
域の色相が肌色の範囲に含まれる色相であるものとす
る)から、図8(B)に示すように肌色領域が抽出され
ることになる。図8(B)より明らかなように、上記の
肌色領域抽出処理では、顔領域に隣接している背景領域
の色相が肌色の範囲に含まれる色相であった場合、肌色
領域として顔領域と背景領域とが混在した領域が抽出さ
れるが、その代わりに顔領域内の色相や彩度が部分的に
若干異なっていたとしても、顔領域は全て同一の肌色領
域として抽出されることになる。そして、ステップ14
2で最終的な処理結果としての2値画像を画像Aとして
メモリに記憶した後に、図2のステップ106へ移行す
る。
【0036】ステップ106ではエッジ抽出処理を行
う。このエッジ抽出処理について、図4のフローチャー
トを参照して説明する。ステップ190では、図2のフ
ローチャートのステップ100で取り込んだ測光データ
に基づいて各画素毎に輝度値を演算し、輝度画像を表す
輝度画像データを生成する。ステップ192では、各画
素毎に、周囲に存在する8個の画素(所謂8近傍の画
素)へ各々向かう方向(合計8方向:図7に45°刻みで
互いに方向の異なる8本の矢印として示す)に沿った輝
度変化値(エッジ強度)をSobel 等の微分フィルタを用
いて各々演算する。前記8方向に沿ったエッジ強度を各
々演算するための8個の微分フィルタの一例を図7に示
す。
【0037】例えば所定方向に沿ったエッジ強度を演算
する場合には、図7に示す8本の矢印のうち前記所定方
向を向いた矢印が指し示す微分フィルタを用い、演算対
象の画素の濃度値及び演算対象の画素の周囲に存在する
8個の画素の濃度値に対し、前記微分フィルタの数値を
係数として各々乗じそれらの総和を演算することで前記
所定方向に沿ったエッジ強度を求めることができる。上
記演算を各方向に対応する8個の微分フィルタを用いて
行うことで、単一の画素における各方向に沿ったエッジ
強度を求めることができる。またステップ192では、
各画素毎に、上記各方向に沿ったエッジ強度を比較し、
エッジ強度の絶対値の最大値を処理対象画素のエッジ強
度として記憶する。
【0038】ステップ194では、上記で求めた各画素
毎のエッジ強度を予め定められた基準値と各々比較し、
エッジ強度が基準値以上であれば該画素を画像のエッジ
部分に相当する画素であると判断し、エッジ強度が基準
値以上であれば該画素を画像の非エッジ部分に相当する
画素であると判断することを繰り返すことにより、画像
を構成する各画素をエッジ部分と非エッジ部分とに分離
する。そして、各画素がエッジ部分か非エッジ部分かに
応じて2値化した2値画像を生成する。
【0039】次のステップ196では、上記で生成した
2値画像に対し、2値画像のエッジ部分を1画素幅のラ
インにする周知の細線化処理を施し、得られた画像を画
像Bとしてメモリに記憶する。これにより、例として図
8(A)に示す原画像から、図8(C)に示すようなエ
ッジ(図では太線で示す)が抽出されることになる。上
記によりエッジ抽出処理を終了し、図2のフローチャー
トのステップ108へ移行する。
【0040】ステップ108では、メモリに記憶されて
いる画像A及び画像Bのデータを取り出し、肌色領域抽
出処理によって肌色領域と判定され、かつエッジ抽出処
理において非エッジ部分と判定された画素で構成された
領域を抽出する。そしてステップ110では、ステップ
108で抽出した領域に対し、エッジ部分と判定された
画素で囲まれた領域を1つの顔候補領域とみなしてラベ
リングを行い、顔候補領域を識別する。
【0041】上記により、原画像中に、人物の顔に相当
する領域に隣接して、肌色の範囲に含まれる色相の非人
物領域(例えば背景に相当する領域)が存在していたと
しても、人物の顔に相当する領域と背景に相当する領域
との間は、人物の顔の輪郭に相当するエッジ部分により
区画されることになり、図8(D)に異なるハッチング
で示すように、人物の顔に相当する領域と、肌色の範囲
に含まれる色相の非人物領域と、は異なる顔候補領域と
して抽出されることになる。これにより、人物の顔に相
当する領域を顔候補領域として適正に抽出することがで
きる。
【0042】次のステップ112〜ステップ118で
は、ラベリングした顔候補領域の各々のうち人物の顔に
相当する領域である確度が最も高いと推定される領域を
判断する。すなわち、ステップ112では、先のステッ
プ108で抽出された顔候補領域の中から1個を取り出
し、ステップ114では取り出した顔候補領域の水平フ
ィレ径および垂直フィレ径が所定値になるように前記領
域の拡大縮小処理を行って前記領域のサイズの規格化を
行うと共に、次の(4)式に従って濃度値又は輝度値の
規格化を行う。
【0043】
【数4】
【0044】ただし、 dmax :領域内最大濃度値(または輝度値) dmin :領域内最低濃度値(または輝度値) ds :イメージセンサのフルスケール濃度値(または
輝度値) d :規格化前濃度値(または輝度値) dr :規格化後濃度値(または輝度値) ステップ116では、予め記憶された複数種(本実施形
態では10種類)の標準的な顔画像(正面から見た顔画
像、横から見た顔画像(左右)、下向き顔画像、上向き
顔画像等)に対する注目領域の相関係数rを次の(5)
式によって演算し、この相関係数を特徴量とする。この
標準的な顔画像は、顔の輪郭のみのデータであっても、
顔の輪郭のデータに顔の内部構造(眼、鼻、口等)デー
タを加えたデータであってもよい。
【0045】
【数5】
【0046】であり、Tは画像の水平、垂直フィレ径の
長さ(ここでは、フィレ径の長さは同じとした)、f
(x、y)は顔候補領域、g(x、y)は標準的な顔画
像を表している。
【0047】次のステップ118では、上記特徴量を変
量とした線形判別分析により顔候補領域が人物の顔に相
当する領域であるか否か判定し、判定結果を記憶する。
ステップ120では抽出された全ての顔候補領域に対し
て上記処理を行ったか否か判定し、ステップ120の判
定が肯定される迄ステップ112〜ステップ120を繰
り返す。
【0048】上記では人物の顔か否かの判定を行うため
に用いる特徴量として相関係数を使用したが、特開平4-
346333号に記載されているように、重心回りの正規化さ
れたセントラル・モーメントから導出される不変量、自
己相関関数または幾何学的不変量を特徴量として用い
て、人物の顔に相当する領域か否かの判定を行うように
してもよい。
【0049】ステップ122では、上記で決定された顔
領域の測光データと、画像の画面全体の平均濃度Dj と
に基づいて露光量Ej を演算する。なお、露光量Ej は
以下の(6)式で求めることができる。
【0050】 logEj =LMj ・CSj ・(DNj −Dj )+PBj +LBj +MBj +NBj +K1 +K2 …(6) 但し、各記号の意味は次の通りである。
【0051】LM:倍率スロープ係数。ネガフィルムの
種類とプリントサイズとで定まる引き伸ばし倍率に応じ
て予め設定されている。
【0052】CS:カラースロープ係数。ネガフィルム
の種類毎に用意されており、アンダ露光用とオーバ露光
用とがある。プリントすべき画像コマの平均濃度が標準
ネガ濃度値に対してアンダかオーバかを判定してアンダ
露光用とオーバ露光用の何れかを選択する。
【0053】DN:標準ネガ濃度値。 D :プリントすべき画像コマの濃度値。
【0054】PB:標準カラーペーパに対する補正バラ
ンス値。カラーペーパの種類に応じて決定される。
【0055】LB:標準焼付レンズに対する補正バラン
ス値。焼付けに用いるレンズの種類に応じて決定され
る。
【0056】MB:光源光量の変動やペーパ現像性能の
変化に対する補正値(マスタバランス値)。
【0057】NB:ネガフィルムの特性によって定まる
ネガバランス(カラーバランス)値。
【0058】K2 :カラー補正量。 K1 :以下の式で表される濃度補正量。
【0059】
【数6】
【0060】ここで、Ka、Kbは定数であり、FDは
顔領域平均濃度である。これにより顔領域を適正に焼付
できる露光量Ej が得られる。
【0061】また、上記(6)式の濃度補正量K1 をフ
ィルム検定装置によって求められた補正値とし、カラー
補正量K2 を次のように顔領域平均濃度を用いて表して
もよい。
【0062】
【数7】
【0063】但し、Kcは定数である。更に、上記
(1)式の濃度補正量K1 、カラー補正量K2 をフィル
ム検定装置によって求められた補正量とし、(1)式の
プリントコマの平均濃度Dj を顔領域の平均濃度FDj
に置き換えて露光量を求めてもよい。また、上記では人
物の顔に相当する領域の特徴量として、顔領域の3色平
均濃度を用いていたが、これに代えて顔領域の濃度ヒス
トグラム、最大濃度、最小濃度、濃度の分散等の各種特
徴量を用いるようにしてもよい。
【0064】次のステップ124では、上記で演算した
露光量Ej をドライバ46へ出力する。これにより、ド
ライバ46では入力された露光量Ej に基づいて、露光
量Ej に対応する位置に色補正フィルタ18を移動させ
る。また、制御部40はブラックシャッタ26を上記の
露光量Ej によって定まる所定時間だけ開放する。これ
により、露光位置に位置決めされた画像が、上記の露光
量Ej で印画紙28に焼付けされる。
【0065】なお、上記では、肌色領域抽出処理を行っ
た後にエッジ抽出処理を行うようにしていたが、何れの
処理を先に実行してもよく、また肌色領域抽出処理を行
う処理部とエッジ抽出処理を行う処理部とを別個に設
け、双方の処理部で並列に処理を行うようにしてもよ
い。
【0066】また、肌色領域の抽出にあたっては、特開
平4-346333号公報等に記載されているように、原画像を
測光することによって得られたデータに基づいて色相値
についてのヒストグラムを求め、求めたヒストグラムを
分割し、各画素が分割した山の何れに属するかを判断し
て各画素を分割した山に対応する群に分け、各群毎にカ
ラー原画像を複数の領域に分割し、該複数の領域のうち
色相が肌色の範囲に含まれる領域を判断するようにして
もよい。但し、上記処理のうちヒストグラムの分割にあ
たっては、図9(C)に示したように顔領域が過剰に分
割されることを防止するため、分割した各々に複数の山
が含まれるように分割することが好ましい。
【0067】更に、上記では抽出した顔候補領域に対
し、標準的な顔画像との相関係数rを求め、この相関係
数rに基づいて人物の顔に相当する領域か否かを判定す
るようにしていたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、抽出した顔候補領域に対し、人物の顔と人物の
特定の部分(例えば頭部、胴体等)との位置関係に対応
する位置に、前記顔候補領域に対応する大きさ、向き
で、前記特定の部分に特有の形状パターン(例えば頭
部、胴体等の輪郭を表す形状パターン等)が存在してい
るか否かに基づいて、人物の顔に相当する領域か否かを
判定するようにしてもよい。
【0068】また、上記では写真フィルムとしてのネガ
フィルム12に記録された画像から人物に相当する領域
を抽出し、前記画像を印画紙28へ焼付ける際の露光量
を決定するようにしていたが、画像の記録媒体としては
リバーサルフィルム等の他の写真フィルムや紙等の各種
の記録媒体を適用することができ、また電子写真式方式
等により画像を複写する際の複写条件の決定に本発明を
適用することも可能である。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
は、前記原画像上の各箇所における色相が肌色の範囲に
含まれるか否かを判断して原画像を肌色領域と非肌色領
域とに分割すると共に、原画像中のエッジを検出して原
画像中の各箇所をエッジ部分又は非エッジ部分に分類
し、肌色領域内に位置しており、かつ非エッジ部分と分
類した箇所の集まりで構成される原画像中の領域を顔候
補領域として抽出し、抽出した顔候補領域のうち人物の
顔に相当する領域であると判定した顔候補領域を抽出す
るようにしたので、カラー原画像中に存在する人物の顔
に相当する領域を高い確度で適正に抽出することができ
る、という優れた効果を有する。
【0070】請求項2記載の発明は、請求項1の顔領域
抽出方法により原画像から人物の顔に相当する領域を抽
出し、抽出した領域内における画像特徴量に基づいて複
写材料への複写条件を決定するようにしたので、カラー
原画像中に存在する人物の顔に相当する領域を適正に焼
付けできる複写条件を高い確度で得ることができる、と
いう優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る写真焼付装置の概略構成図で
ある。
【図2】本実施形態に係る写真焼付処理を説明するフロ
ーチャートである。
【図3】肌色領域抽出処理を説明するフローチャートで
ある。
【図4】エッジ抽出処理を説明するフローチャートであ
る。
【図5】色座標上で定義した、肌色領域を抽出するため
の楕円体を示す線図である。
【図6】(A)及び(B)はモフォロジー変換の1つで
あるclosing を説明するためのイメージ図である。
【図7】エッジを検出するための微分フィルタの一例を
示す概念図である。
【図8】一例として、(A)は原画像、(B)は原画像
から肌色領域を抽出した結果、(C)は原画像からエッ
ジを抽出した結果、(D)は顔候補領域を抽出した結果
を各々示すイメージ図である。
【図9】従来技術の問題点を説明するために、(A)は
顔候補領域を適正に抽出できた場合、(B)は顔領域と
背景領域とを分離できなかった場合、(C)は顔領域を
過剰に分割してしまった場合の一例を各々示すイメージ
図である。
【符号の説明】
10 写真焼付装置 12 ネガフィルム 28 印画紙 32 CCDイメージセンサ 40 制御部 60 楕円体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラー原画像上の多数箇所を複数の成分
    色に分解して測光し、 前記測光によって得られたデータが表す原画像上の各箇
    所における色相が肌色の範囲に含まれるか否かを判断
    し、原画像を肌色領域と非肌色領域とに分割すると共
    に、 前記測光によって得られたデータに基づいて原画像中の
    エッジを検出し、原画像中の各箇所をエッジ部分又は非
    エッジ部分に分類し、 前記肌色領域内に位置しており、かつ非エッジ部分と分
    類した箇所の集まりで構成される原画像中の領域を顔候
    補領域として抽出し、 抽出した顔候補領域が人物の顔に相当する領域か否か判
    定し、人物の顔に相当する領域であると判定した顔候補
    領域を抽出する顔領域抽出方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の顔領域抽出方法により、
    記録媒体に記録された原画像から人物の顔に相当する領
    域を抽出し、 抽出した領域内における画像特徴量に基づいて、複写材
    料への前記原画像の複写条件を決定することを特徴とす
    る複写条件決定方法。
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