JPH0910019A - 自動停止装置付スライドファスナー用スライダー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動停止機構を備えた合成樹脂製スライダー
であり、その組立の簡易性、製品の堅牢性、作動の円滑
性を図る。 【構成】 胴体、引手、カバー体を合成樹脂で造型し、
胴体１は弓状の弾性板９を前端から後端に向け設け、こ
の基部と自由端部に軸部１０、１１を設け、また上面に
突部１２、１３、後口側に凹欠部１６を設ける。カバー
体３は側壁２０に孔部２１、２２を設けて軸部１０、１
１と嵌合させ、また一端に延出部２４を設けて凹欠部１
６に嵌入させ、その下辺に停止爪２５を設けたもので、
引手２を突部１２、１３間に介在させ、カバー体３を弾
性板９に掩蔽固定する。弾性板は弾性機能を充分果せる
形態であり、カバー体を円滑に作動させ、また自動組立
加工も容易である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、スライドファスナー
用スライダーにおいて、自動停止機構が備えられ、かつ
スライダー自体は合成樹脂の射出成形手段によって成形
された部材を組合わせて形成した自動停止装置付スライ
ドファスナー用スライダーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来における合成樹脂製の自動停止装置
付スライドファスナー用スライダーとしては、下記のも
のがあるたとえば図５に示すように胴体、引手、弓状体
の三部材を合成樹脂の射出成形によって成形し、胴体は
案内柱に挿入孔を縦設し、上翼板上にはＶ字状の引手支
軸用の軸受を設けるとともに後口側に孔部を設ける。弓
状体は弾性を備えた全体がコ字状に形成され、一端に前
記挿入孔に挿入できるピンを突設し、他端先端には停止
爪を設けるとともに、先端を反転して鍵片を設け前記孔
部に挿入可能に形成したスライダーが特開昭６１−２０
５０５号公報に開示されている。

【０００３】また図６に示すように胴体、引手、カバー
体の三部材を合成樹脂の射出成形によって成形し、胴体
上面には前後に一対の隆起部を突設し、前部隆起部には
前方へ突出する弾性板と両側に突出する突起を設け、後
部隆起部の両側には爪孔を設ける。一方カバー体は箱型
で両側壁の中央に引手用の凹欠部およびその前方に前記
突起の装着用の案内溝と透孔を設け、また後端に停止爪
を突設し、これらの胴体、引手、カバー体を組合わせて
形成したスライダーが実公昭４２−１３１４８号公報に
開示されている。

【０００４】さらに図７に示すように胴体と引手とを組
合わせることによってスライダーを構成し、胴体の上翼
板上には弾性を備えた引手取付杆を前端から後端にかけ
て突設し、上翼板の後口側には凹部を設けるとともに、
引手取付杆の先端部に鉤片を設けて凹部に遊嵌し、引手
取付杆の先端に設けた停止爪を胴体内に進退可能に形成
したスライダーがドイツ特許出願公開第４１３９４８０
号明細書に開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前項で挙げた、公知の
自動停止装置付スライドファスナー用スライダーの第一
例は、停止爪を備えた弓状体は通常のスライダーにおい
てはカバーに相当するものであり、このカバーに弾性機
能を持たせるということはカバーの形態に制約をうけ、
一枚の弾性板として成形しなければならないので、胴体
上に設けたＶ字形の軸受あるいは胴体上に現われるピン
を隠蔽させることができず、スライダーの外観上好まし
い形態ではない、また作動においても安定性に欠ける形
態であるなど問題点がある。

【０００６】公知の自動停止装置付スライドファスナー
用スライダーの第二例は、停止爪を備えたカバーに弾性
を付与するために設置した弾性板を、カバーを枢支した
前部隆起部の前方へ突出するように設けなければならな
いため、弾性板の形態にも制約をうけ、弾性板を短尺に
成形しなければならないので、有効な弾性を得ることは
難しく、作動上不安定であるなどの問題点がある。

【０００７】公知の第三例のスライダーは、胴体と引手
の二部材から構成されているため、引手取付杆に弾性を
備えさせなければならないが、その形態には自づと制約
をうけ有効な弾性を付与することはきわめて難しく、作
動においても安定性に欠けるところがある。またスライ
ダーの製作上からも好ましい形態に成形することは難し
いなど問題点がある。

【０００８】この発明は、上述の問題点を解消するため
発明されたものであり、停止爪を備えたカバー体に有効
な弾性機能を付与するとともに、部品点数が少なく組立
が簡易に行える形態に成形し、しかも体裁のよいスライ
ダーを提供すること、および金属探知機による誤認感知
をなくすためのスライダー、さらには使い捨て商品に使
用されるスライダーのリサイクルを考慮し、スライダー
を合成樹脂で成形し、しかも的確に作動する自動停止機
構を備えたスライダーを提供することが目的である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明の自動停止装置付スライドファスナー用ス
ライダーは、胴体１、引手２、カバー体３の三部材から
構成され、胴体１には一端に自由端部を有する弓状の弾
性板９を上翼板４の上面の前端から後端に向けて突設
し、この弾性板９と上翼板４との間に引手２の支軸１８
を介在させ、弾性板９をカバー体３で掩蔽固定するとと
もに、カバー体３の端部下辺に突設した停止爪２５を常
時胴体１内に弾出できるように付勢した自動停止装置付
スライドファスナー用スライダーを主な構成としてい
る。

【００１０】この発明のスライダーは、胴体１の上翼板
４上面において斜面１４、１５が対向する引手支軸載置
用の突部１２、１３を前後に一対突設し、この後部突部
１３の基部から後口にかけて上翼板４に凹欠部１６を凹
設し、弾性板９の基部と自由端部における両側に軸部１
０、１１を突設するとともに、箱状に形成したカバー体
３の両側壁２０の前後に前記弾性板９に設けた軸部嵌入
用の孔部２１、２２および中央に引手２の支軸挿通用の
凹孔２３を設け、かつ停止爪２５の配設側の側壁２０に
延出部２４を設け、前記上翼板４上の凹欠部１６に嵌入
できるように形成した自動停止装置付スライドファスナ
ー用スライダーである。

【００１１】この発明のスライダーは、また胴体１の上
翼板４上面に突設した後部突部１３の基部には、上翼板
４に設けた凹欠部１６内に突出する突片１７が設けら
れ、カバー体３の延出部２４の内縁には凹部２６を凹設
し、前記突片１７と掛止できるように形成した自動停止
装置付スライドファスナー用スライダーでもある。

【００１２】この発明のスライダーは、さらにカバー体
３に設けた停止爪２５が、カバー体３の両側壁２０を下
方へ延設し延出部２４の下辺に齟齬状に突設し自動停止
装置付スライドファスナー用スライダーであり、また胴
体１、引手２、カバー体３全ての部材を合成樹脂の一体
射出成形手段によって成形した自動停止装置付スライド
ファスナー用スライダーでもある。

【００１３】

【作用】この発明の自動停止装置付スライドファスナー
用スライダーは、上述のような構成であり、引手２の支
軸１８を胴体１の上翼板４と弾性板９との間に介在させ
て、上方からカバー体３を被せて弾性板９を掩蔽し、カ
バー体３と弾性板９とを固定してスライダーを組立て
る。

【００１４】組立てられたスライダーは、図２に示すよ
うに常時は停止爪２５が胴体１のガイド溝８内に突出
し、ファスナーエレメントと係止しスライダーは停止状
態にあるが、図３に示すように引手２を持ち上げ引張る
と支軸１８は突部１５の斜面１５に沿って移動し、台形
状の凹孔２３の縁部に当接してカバー体３および弾性板
９を上方へ作動させ、停止爪２５をガイド溝８から脱却
させることによって、スライダーは自由に摺動させるこ
とができる。

【００１５】また引手２を胴体１の肩口側に引張ると、
引手２の支軸１８は突部１２の斜面１４に沿って移動
し、台形状の凹孔２３の縁部に当接し、弾性板９の弾力
に抗してカバー体３を引き上げ停止爪２５をガイド溝８
から脱却させることによって、自由にスライダーを摺動
させることができる。

【００１６】なお、カバー体３はむやみに作動できない
よう、カバー体３の延出部２４内縁に設けた凹部２６
と、上翼板４に設けた突片１７とが掛止して作動範囲を
規制することによって、弾性板９に加わる負担を軽減す
る。

【００１７】

【実施例】以下、この発明の自動停止装置付スライドフ
ァスナー用スライダーの実施例について、図面を参照し
ながら具体的に説明する。

【００１８】この発明の自動停止装置付スライドファス
ナー用スライダーは、図１に示すようにスライダーの胴
体１、引手２、カバー体３の三部材から構成され、胴体
１は上翼板４と下翼板５とを案内柱６で連結し、上翼板
４および下翼板５の両側縁には、ファスナーエレメント
をガイドするガイドフランジ７が屈設され、ガイド溝８
が形成されている。

【００１９】胴体１の上翼板４上面における前端すなわ
ち肩口側には、丁度案内柱６の上方から胴体１の後端す
なわち後口側に向けて弓状の弾性板９を突設させて弾性
機能を持たせる。この弾性板９の基部両側には小突起状
の軸部１０を突設し、さらに自由端部の両側にも小突起
状の軸部１１を突設する。

【００２０】上翼板４の上面であって弾性板９の基部か
ら後方すなわち弾性板９の下面に対向する個所に、前後
一対の突部１２、１３を突設し、この突部１２、１３の
対向面は内向に傾斜した斜面１４、１５が形成されてい
る。また弾性板９の自由端部の下方であって、しかも後
部突部１３の基部から後口にかけて上翼板４に凹欠部１
６が形成され、さらに後部突部１３の基部には、この凹
欠部１６内に突出する突片１７が設けられている。

【００２１】引手２は一端に支軸１８が架設され、支軸
１８に隣接する個所はカバー体３、弾性板９が挿入でき
る空隙が形成され、他端側には摘手部１９が一体に形成
されている。またこの支軸１８は胴体１の上翼板４上面
に突設されている一対の突部１２、１３間に載置され
る。

【００２２】一方カバー体３は前記弾性板９を掩蔽でき
る箱状形態であり、その両側壁２０には中央に引手２の
支軸１８が挿通できる台形状の凹孔２３が設けられ、か
つ側壁２０の前方には弾性板９に設けた軸部１０が嵌入
できる孔部２１、また後方には軸部１１が嵌入できる孔
部２２がそれぞれ設けられている。

【００２３】この孔部２２の下方の両側壁２０は下側に
突出して延出部２４が設けられ、前記上翼板４に設けた
凹欠部１６に嵌入できるように形成されている。この延
出部２４の下端には停止爪２５が互いに齟齬状になるよ
うに突設され、また延出部２４の内縁には凹部２６が形
成され、上翼板４の突片１７と掛止できるように形成さ
れている。

【００２４】以上のように構成されたスライダーの胴体
１、引手２、カバー体３は、全てポリアミド、ポリアセ
タール、ポリプロピレン、ポリプチレンテレフタレート
などの合成樹脂を一体射出成形手段によって造型する。

【００２５】最後にスライダーの組立てについて説明す
ると、まず引手２の支軸１８を胴体１の上翼板４と弾性
板９の自由端部との間を嵌通させ、一対の突部１２、１
３間に載置する。この状態でカバー体３が弾性板９を掩
蔽するよう後口側からカバー体３を引手２の空隙に挿入
し、凹部２６と突片１７とを遊嵌させると同時に、カバ
ー体３を弾性板９に被せ、弾性板９の基部に設けた軸部
１０および自由端部に設けた軸部１１と、カバー体３の
前部に設けた孔部２１および後部に設けた孔部２２とを
それぞれ嵌合させ、カバー体３を弾性板９に固定するこ
とによってスライダーは組立てられる。

【００２６】

【発明の効果】この発明の自動停止装置付スライドファ
スナー用スライダーは、以上説明したとおりの構成であ
り、この構成によって下記の効果を奏する。

【００２７】この発明のスライダーは、胴体、引手、カ
バー体から構成され、一端に自由端部を有する弓状の弾
性板を前端から後端に向けて設け、弾性板と上翼板との
間に引手の支軸を介在させ、弾性板をカバー体で掩蔽固
定し、カバー体の端部下辺に突設した停止爪を胴体内に
弾出するように形成したことによって、弾性板を長尺形
態に形成できるので、有効な弾性を付与することができ
停止爪の作動がきわめて円滑に行く、またカバー体で胴
体上に配された突部や弾性板などを掩蔽するので体裁の
よいスライダーに仕上げることができ、また部品点数が
少ないので、自動組立加工がきわめて容易に行えるなど
の利点がある。

【００２８】この発明のスライダーは、上翼板上に斜面
が対向する突部を突設したことによって、引手の支軸の
誘導が円滑に行え、また後口側に設けた凹欠部とカバー
体の延出部とを嵌入させるので、カバー体の作動を的確
に行うことができ、また弾性板の基部と自由端部の両側
に軸部を突設し、カバー体における両側壁の前後に孔部
を設けて双方を嵌合できるように形成したから、弾性板
とカバー体とを強固に固定でき、しかも嵌合操作も容易
にできるなどの利点がある。

【００２９】この発明のスライダーは、上翼板上に設け
た後部突部の基部に凹欠部内に突出する突片を設け、一
方カバー体の延出部の内縁に凹部を設け、両者が掛止で
きるように形成したことによって、弾性板の作動を容易
に規制し、弾性板に負担をかけないから、長期にわたっ
て円滑な作動が期待でき、耐久性のあるスライダーに仕
上げることができるなどの利点がある。

【００３０】この発明のスライダーは、また停止爪をカ
バー体の両側壁に設けた延出部の下端に齟齬状に突設さ
せることによって、停止爪を左右のファスナーエレメン
トに的確に挿入でき停止効果を高め、しかも停止爪を頑
丈に形成することができる利点がある。

【００３１】この発明のスライダーは、さらに胴体、引
手、カバー体を合成樹脂の一体射出成形手段によって成
形したので、金属探知機に感知されないスライダーであ
り、スライダーの使用範囲の拡大が図れ、しかも自動停
止機構を備えた高品質のスライダーを安価に製造できる
利点があるなど、この発明が奏する効果はきわめて顕著
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動停止装置付スライドファスナー用スライダ
ーの分解斜視図である。

【図２】同上スライダーの停止時における縦断面図であ
る。

【図３】同上スライダーの作動時における縦断面図であ
る。

【図４】図２に示す■−■拡大断面図である。

【図５】公知のスライダーの縦断面図である。

【図６】他の公知のスライダーの縦断面図である。

【図７】さらに他の公知のスライダーの縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 胴体 ２ 引手 ３ カバー体 ４ 上翼板 ５ 下翼板 ６ 案内柱 ９ 弾性板 １０、１１ 軸部 １２、１３ 突部 １４、１５ 斜面 １６ 凹欠部 １７ 突片 １８ 支軸 ２０ 側壁 ２１、２２ 孔部 ２３ 凹孔 ２４ 延出部 ２５ 停止爪 ２６ 凹部

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成７年８月１１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図４

【補正方法】変更

【補正内容】

【図４】図２に示すIV−IV拡大断面図である。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 胴体１、引手２、カバー体３から構成さ
   れ、一端に自由端部を有する弓状の弾性板９を上翼板４
   上の前端から後端に向けて突設し、該弾性板９と上翼板
   ４間に引手２の支軸１８を介在させ、弾性板９をカバー
   体３で掩蔽固定するとともに、カバー体３の端部下辺に
   突設した停止爪２５を常時胴体１内に弾出可能に付勢し
   たことを特徴とする自動停止装置付スライドファスナー
   用スライダー。
2. 【請求項２】 上翼板４上で斜面１４、１５が対向する
   支軸載置用の突部１２、１３を前後に一対突設し、後部
   突部１３の基部から後口にかけて上翼板４に凹欠部１６
   を凹設し、弾性板９の基部と自由端部における両側に軸
   部１０、１１を突設するとともに、箱状のカバー体３に
   おける両側壁２０の前後に前記軸部嵌入用の孔部２１、
   ２２、および中央に支軸挿通用の凹孔２３を設け、停止
   爪２５の配設側の側壁２０に延出部２４を設けて前記凹
   欠部１６に嵌入可能に形成してなる請求項１記載の自動
   停止装置付スライドファスナー用スライダー。
3. 【請求項３】 上翼板４上に突設した後部突部１３の基
   部には凹欠部１６内に突出する突片１７が設けられ、カ
   バー体３の延出部２４の内縁には凹部２６を凹設し、前
   記突片１７と掛止可能に形成してなる請求項１または２
   記載の自動停止装置付スライドファスナー用スライダ
   ー。
4. 【請求項４】 停止爪２５は、カバー体３の両側壁２０
   に延設された延出部２４下辺に齟齬状に突設してなる請
   求項１、２または３記載の自動停止装置付スライドファ
   スナー用スライダー。
5. 【請求項５】 胴体１、引手２、カバー体３をそれぞれ
   合成樹脂の一体射出成形手段によって成形してなる請求
   項１、２、３または４記載の自動停止装置付スライドフ
   ァスナー用スライダー。