JPH0896997A - アンジュレータおよび自由電子レーザー装置 - Google Patents
アンジュレータおよび自由電子レーザー装置Info
- Publication number
- JPH0896997A JPH0896997A JP23157294A JP23157294A JPH0896997A JP H0896997 A JPH0896997 A JP H0896997A JP 23157294 A JP23157294 A JP 23157294A JP 23157294 A JP23157294 A JP 23157294A JP H0896997 A JPH0896997 A JP H0896997A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 自由電子レーザの発生効率を向上させる。
【構成】 磁場を形成する永久磁石2を絶縁物3を挾ん
でせて配列し、絶縁物中に静電圧電極4を装着して構成
したアンジュレータ1を用い、自由電子レーザを発振
し、発振した自由電子レーザに応じて静電圧電極に印加
する静電圧を制御し、荷電ビームを加速してエネルギー
を所定の水準を超えて保つ。荷電ビームを自由電子レー
ザの発振条件に維持し、従来、僅かに1%前後であった
自由電子レーザの発生効率を数倍に向上することができ
る。自由電子レーザの経済性と操作性とが大いに進歩
し、産業、医療、研究などの広い分野で、自由電子レー
ザの実用化に大きな効果がある。
でせて配列し、絶縁物中に静電圧電極4を装着して構成
したアンジュレータ1を用い、自由電子レーザを発振
し、発振した自由電子レーザに応じて静電圧電極に印加
する静電圧を制御し、荷電ビームを加速してエネルギー
を所定の水準を超えて保つ。荷電ビームを自由電子レー
ザの発振条件に維持し、従来、僅かに1%前後であった
自由電子レーザの発生効率を数倍に向上することができ
る。自由電子レーザの経済性と操作性とが大いに進歩
し、産業、医療、研究などの広い分野で、自由電子レー
ザの実用化に大きな効果がある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電ビームを蛇行させ
るために使用するアンジュレータ、このアンジュレータ
を利用した自由電子レーザ装置および自由電子レーザ発
振方法に関する。本発明は、とくに安定持続する自由電
子レーザを高利得で得ることができるので、レーザを必
要とする各種の産業分野に広く利用することができる。
るために使用するアンジュレータ、このアンジュレータ
を利用した自由電子レーザ装置および自由電子レーザ発
振方法に関する。本発明は、とくに安定持続する自由電
子レーザを高利得で得ることができるので、レーザを必
要とする各種の産業分野に広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】アンジュレータ中における荷電ビームの
エネルギーレベルの低下は、それがあまり大きくない場
合であっても、アンジュレータを使用する装置に大きな
効率低下をもたらすことがある。たとえば、自由電子レ
ーザ装置に利用した場合、高周波加速器からアンジュレ
ータに導入された荷電ビームに1%のエネルギー損失を
生じると、通常、エネルギーレベルが所定のしきい値に
達せず、自由電子レーザ発振条件が崩れ、発振しなくな
って、自由電子レーザ発生効率が極端に低下してしま
う。この種の問題を解決する手段の一つは、荷電ビーム
に何らかの方法でエネルギーを補い、発振条件を維持し
続けることである。J.F.Schmergeらは、高
周波加速器の電極に、荷電ビームを蛇行させるアンジュ
レータ構造を採用し、蛇行で失う電子エネルギーをマイ
クロ波電力で補う、高効率の自由電子レーザ装置を開発
した(J. F. Schmerge et al., Nucl. Instru. Meth. A
341(1994) p335 〜340 )。具体的には、ステンレス製
の直方体の加速管を用い、その内面上下に真空溶解鉄製
の静電圧電極を、荷電ビームの進行方向に交互にずらし
て配列する。上下の電極を左右に交互にずらすことによ
り、上下電極間に生ずる電場によって、荷電ビームは蛇
行し、かつ、加速される。この際、蛇行で失われるエネ
ルギーは静電圧電極に付与するマイクロ波電力で補われ
る。
エネルギーレベルの低下は、それがあまり大きくない場
合であっても、アンジュレータを使用する装置に大きな
効率低下をもたらすことがある。たとえば、自由電子レ
ーザ装置に利用した場合、高周波加速器からアンジュレ
ータに導入された荷電ビームに1%のエネルギー損失を
生じると、通常、エネルギーレベルが所定のしきい値に
達せず、自由電子レーザ発振条件が崩れ、発振しなくな
って、自由電子レーザ発生効率が極端に低下してしま
う。この種の問題を解決する手段の一つは、荷電ビーム
に何らかの方法でエネルギーを補い、発振条件を維持し
続けることである。J.F.Schmergeらは、高
周波加速器の電極に、荷電ビームを蛇行させるアンジュ
レータ構造を採用し、蛇行で失う電子エネルギーをマイ
クロ波電力で補う、高効率の自由電子レーザ装置を開発
した(J. F. Schmerge et al., Nucl. Instru. Meth. A
341(1994) p335 〜340 )。具体的には、ステンレス製
の直方体の加速管を用い、その内面上下に真空溶解鉄製
の静電圧電極を、荷電ビームの進行方向に交互にずらし
て配列する。上下の電極を左右に交互にずらすことによ
り、上下電極間に生ずる電場によって、荷電ビームは蛇
行し、かつ、加速される。この際、蛇行で失われるエネ
ルギーは静電圧電極に付与するマイクロ波電力で補われ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高周波加速器
の電極構造は、使用する高周波の周波数で制限されるの
で、J.F.Schmergeらの方法は、アンジュレ
ータにおいて任意の蛇行周期長をもたせることができな
い。従って、自由電子レーザ装置の利点である波長可変
の範囲を限定することになる。また、自由電子レーザを
発振していない場合にも荷電ビームが加速されるので、
発振条件の調整が難しいという問題もある。本発明は、
効率の高いアンジュレータ、とくに自由電子レーザの利
点を狭めることなく、容易に調整可能で発生効率の高い
自由電子レーザ装置を目的の研究の結果、完成されたも
のである。
の電極構造は、使用する高周波の周波数で制限されるの
で、J.F.Schmergeらの方法は、アンジュレ
ータにおいて任意の蛇行周期長をもたせることができな
い。従って、自由電子レーザ装置の利点である波長可変
の範囲を限定することになる。また、自由電子レーザを
発振していない場合にも荷電ビームが加速されるので、
発振条件の調整が難しいという問題もある。本発明は、
効率の高いアンジュレータ、とくに自由電子レーザの利
点を狭めることなく、容易に調整可能で発生効率の高い
自由電子レーザ装置を目的の研究の結果、完成されたも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を図面を参照して
説明する。前記の目的を達成するために、本発明は、永
久磁石2を用いたアンジュレータ1において、磁場を形
成する永久磁石を、間に絶縁物3を挾んで配列し、か
つ、前記絶縁物中に静電圧電極4を取付け、静電圧電極
を加速電極として作用させることを特徴とするアンジュ
レータを提供する。多くの場合、静電圧電極は、永久磁
石の表面よりも荷電ビームの通路内に突出させて絶縁物
中に固定することが好ましい。また、本発明は、アンジ
ュレータ1に荷電ビーム5を入射するための電子加速器
6と、磁場を形成する永久磁石2を、間に絶縁物3を挾
んで配列し、かつ、絶縁物中に静電圧電極4を取付け、
静電圧電極を加速電極として作用させるアンジュレータ
1と、アンジュレータ1を挟んで設けられた1組の光共
振器7とからなる自由電子レーザ装置を提供する。さら
に、電子加速器6と、磁場を形成する永久磁石2を、間
に絶縁物3を挾んで配列し、かつ、絶縁物中に静電圧電
極4を取付けたアンジュレータ1と、1組の光共振器7
とからなる自由電子装置を用い、電子加速器から荷電ビ
ーム5をアンジュレータに入射し、荷電ビームを磁場に
よって蛇行せしめて自発放射光10を放出せしめ、自発
放射光を光共振器間を往復させながら後続の荷電ビーム
に同期させて自由電子レーザを発振させ、発振した自由
電子レーザに応じて静電圧電極に印加する静電圧を制御
することを特徴とする、自由電子レーザ発振方法を提供
する。
説明する。前記の目的を達成するために、本発明は、永
久磁石2を用いたアンジュレータ1において、磁場を形
成する永久磁石を、間に絶縁物3を挾んで配列し、か
つ、前記絶縁物中に静電圧電極4を取付け、静電圧電極
を加速電極として作用させることを特徴とするアンジュ
レータを提供する。多くの場合、静電圧電極は、永久磁
石の表面よりも荷電ビームの通路内に突出させて絶縁物
中に固定することが好ましい。また、本発明は、アンジ
ュレータ1に荷電ビーム5を入射するための電子加速器
6と、磁場を形成する永久磁石2を、間に絶縁物3を挾
んで配列し、かつ、絶縁物中に静電圧電極4を取付け、
静電圧電極を加速電極として作用させるアンジュレータ
1と、アンジュレータ1を挟んで設けられた1組の光共
振器7とからなる自由電子レーザ装置を提供する。さら
に、電子加速器6と、磁場を形成する永久磁石2を、間
に絶縁物3を挾んで配列し、かつ、絶縁物中に静電圧電
極4を取付けたアンジュレータ1と、1組の光共振器7
とからなる自由電子装置を用い、電子加速器から荷電ビ
ーム5をアンジュレータに入射し、荷電ビームを磁場に
よって蛇行せしめて自発放射光10を放出せしめ、自発
放射光を光共振器間を往復させながら後続の荷電ビーム
に同期させて自由電子レーザを発振させ、発振した自由
電子レーザに応じて静電圧電極に印加する静電圧を制御
することを特徴とする、自由電子レーザ発振方法を提供
する。
【0005】
【作用と実施態様例】本発明について図面を参照しさら
に具体的に説明する。図1は、本発明のアンジュレータ
の模式図である。図2は、本発明に用いる電極の実施態
様例を示し、(a)は荷電ビームの上流側から見た正面
図、(b)は荷電ビームなどが通過する電極孔8の拡大
断面図である。本発明では、アンジュレータ1におい
て、荷電ビーム5にエネルギーを補うのに荷電ビームを
加速する手段を用いる。具体的には、永久磁石2の間に
適当な間隔で、加速電極として作用する静電圧電極4を
配列する。静電圧電極4は、荷電ビーム5を加速し、た
とえば、自由電子レーザを放射して失うエネルギーを補
い、自由電子レーザの発振条件を維持して発振を持続
し、発生効率を向上することができる。
に具体的に説明する。図1は、本発明のアンジュレータ
の模式図である。図2は、本発明に用いる電極の実施態
様例を示し、(a)は荷電ビームの上流側から見た正面
図、(b)は荷電ビームなどが通過する電極孔8の拡大
断面図である。本発明では、アンジュレータ1におい
て、荷電ビーム5にエネルギーを補うのに荷電ビームを
加速する手段を用いる。具体的には、永久磁石2の間に
適当な間隔で、加速電極として作用する静電圧電極4を
配列する。静電圧電極4は、荷電ビーム5を加速し、た
とえば、自由電子レーザを放射して失うエネルギーを補
い、自由電子レーザの発振条件を維持して発振を持続
し、発生効率を向上することができる。
【0006】従来のアンジュレータは、磁場を形成する
のに、極方向の異なる永久磁石を、直接、相互に接する
状態で整列していたが、本発明においては、永久磁石2
の間に絶縁物3を挾み、絶縁物3の中に静電圧電極4を
挿入して取付ける。具体的には、堅牢な絶縁物の枠3を
準備し、永久磁石2と静電圧電極4とをその枠中に組込
むと、アンジュレータ1を容易に精度よく製作すること
ができる。本発明のアンジュレータ1に使用する永久磁
石2は特別な制限はなく、他の形式のアンジュレータに
使用する永久磁石と同じものを用いることができる。ま
た、静電圧電極4は、荷電ビーム5の加速と集束に適し
た定常な静電場を形成させるために、通常、2または4
個の永久磁石2を挾んで設けるとよく、高周波加速器に
使用するのと同様の形式のものを用いることができる。
同様の理由から、図2(b)に示すように、電極孔8の
周囲を、荷電ビーム5の入射方向に対しすり鉢状に狭め
つつ突出させておくことが望ましい。9は端子である。
高真空にして使用する場合、静電圧電極4の材質は、無
酸素銅またはステンレス鋼が好ましい。
のに、極方向の異なる永久磁石を、直接、相互に接する
状態で整列していたが、本発明においては、永久磁石2
の間に絶縁物3を挾み、絶縁物3の中に静電圧電極4を
挿入して取付ける。具体的には、堅牢な絶縁物の枠3を
準備し、永久磁石2と静電圧電極4とをその枠中に組込
むと、アンジュレータ1を容易に精度よく製作すること
ができる。本発明のアンジュレータ1に使用する永久磁
石2は特別な制限はなく、他の形式のアンジュレータに
使用する永久磁石と同じものを用いることができる。ま
た、静電圧電極4は、荷電ビーム5の加速と集束に適し
た定常な静電場を形成させるために、通常、2または4
個の永久磁石2を挾んで設けるとよく、高周波加速器に
使用するのと同様の形式のものを用いることができる。
同様の理由から、図2(b)に示すように、電極孔8の
周囲を、荷電ビーム5の入射方向に対しすり鉢状に狭め
つつ突出させておくことが望ましい。9は端子である。
高真空にして使用する場合、静電圧電極4の材質は、無
酸素銅またはステンレス鋼が好ましい。
【0007】永久磁石2および静電圧電極4の配列は、
図1に例示のごとく、従来の一般的なアンジュレータ同
様、永久磁石は永久磁石と、静電圧電極は静電圧電極と
にそれぞれを対峙させて整列させる。永久磁石2の配列
ピッチλ0 は、自由電子レーザの波長λ(m)、荷電粒
子の相対エネルギーγ(γ=E/m0 c2 ただし、
E:粒子のエネルギー、m0 c 2 :粒子の静止エネルギ
ー)、およびアンジュレータのピーク磁場B(T)とλ
0 とで与えられるK=93.4Bλ0 によって表され
る、次式にもとづいて決めることができる。 λ=λ0 (1+K2 /2)/2γ2 また、静電圧電極4の配列ピッチは、電極間電場にもと
づいて決めることができる。使用する絶縁物3にとくに
制限はないが、セラミックが好ましい。前記の絶縁物の
枠を堅牢に構成でき、真空下で好ましく用いることがで
きる。電極2間における絶縁体3の厚さは絶縁体の絶縁
性や電極のピッチなどによって決められるが、通常は1
〜5mmにするとよい。
図1に例示のごとく、従来の一般的なアンジュレータ同
様、永久磁石は永久磁石と、静電圧電極は静電圧電極と
にそれぞれを対峙させて整列させる。永久磁石2の配列
ピッチλ0 は、自由電子レーザの波長λ(m)、荷電粒
子の相対エネルギーγ(γ=E/m0 c2 ただし、
E:粒子のエネルギー、m0 c 2 :粒子の静止エネルギ
ー)、およびアンジュレータのピーク磁場B(T)とλ
0 とで与えられるK=93.4Bλ0 によって表され
る、次式にもとづいて決めることができる。 λ=λ0 (1+K2 /2)/2γ2 また、静電圧電極4の配列ピッチは、電極間電場にもと
づいて決めることができる。使用する絶縁物3にとくに
制限はないが、セラミックが好ましい。前記の絶縁物の
枠を堅牢に構成でき、真空下で好ましく用いることがで
きる。電極2間における絶縁体3の厚さは絶縁体の絶縁
性や電極のピッチなどによって決められるが、通常は1
〜5mmにするとよい。
【0008】自由電子レーザ発振を例にとってさらに本
発明を説明すると、電子リニアック、シンクロトロンや
マイクロトロンなどの電子加速器6から放射された荷電
ビーム5は、本発明のアンジュレータ1に入射され、電
磁石2によって形成される磁場により所定の周期長で蛇
行する。蛇行によって放出される自発放射光10は、1
組の光共振器7、たとえば、精密なアライメントシステ
ムによって調整される1対のミラーの間を往復しながら
後続の荷電ビーム5のパルスと同期され、一定のエネル
ギーレベル、すなわち、しきい値に達して自由電子レー
ザを発振する。発振した自由電子レーザは出力11とし
て取り出され、利用される。自由電子レーザを発振し終
えた(または不要の)荷電ビーム12はビームキャッチ
ャ13に導かれる。14は電圧分割器である。
発明を説明すると、電子リニアック、シンクロトロンや
マイクロトロンなどの電子加速器6から放射された荷電
ビーム5は、本発明のアンジュレータ1に入射され、電
磁石2によって形成される磁場により所定の周期長で蛇
行する。蛇行によって放出される自発放射光10は、1
組の光共振器7、たとえば、精密なアライメントシステ
ムによって調整される1対のミラーの間を往復しながら
後続の荷電ビーム5のパルスと同期され、一定のエネル
ギーレベル、すなわち、しきい値に達して自由電子レー
ザを発振する。発振した自由電子レーザは出力11とし
て取り出され、利用される。自由電子レーザを発振し終
えた(または不要の)荷電ビーム12はビームキャッチ
ャ13に導かれる。14は電圧分割器である。
【0009】ところで、従来のアンジュレータでは、自
由電子レーザの発振により荷電ビーム5はエネルギーを
消費し、短期間にエネルギーレベルがしきい値に達しな
くなって自由電子レーザの出力11が止まり、持続安定
した発振を得られない。本発明のアンジュレータ1で
は、荷電ビーム5は、自由電子レーザを出力11し、エ
ネルギーを消耗するが、静電圧電極4によって集束、加
速されてエネルギーを補い、一定のエネルギーレベルを
保持することができる。自由電子レーザの発振に応じ、
静電圧電極4に印加する静電圧を制御れば、荷電ビーム
5のエネルギーレベルを一定に保つことができる。たと
えば、自由電子レーザの出力11を光子検出器を用いて
連続的に測定し、検出器の出力に応じて静電圧電極4の
印加静電圧を制御する。荷電ビームが自由電子レーザの
発振条件を維持できるので、発振が持続され、自由電子
レーザの発生効率を向上することができる。本発明の静
電圧電極2を備えたアンジュレータは、電極間の静電界
による荷電ビームの加速を有効なものにするため、通
常、真空封止形として使用することが好ましい。
由電子レーザの発振により荷電ビーム5はエネルギーを
消費し、短期間にエネルギーレベルがしきい値に達しな
くなって自由電子レーザの出力11が止まり、持続安定
した発振を得られない。本発明のアンジュレータ1で
は、荷電ビーム5は、自由電子レーザを出力11し、エ
ネルギーを消耗するが、静電圧電極4によって集束、加
速されてエネルギーを補い、一定のエネルギーレベルを
保持することができる。自由電子レーザの発振に応じ、
静電圧電極4に印加する静電圧を制御れば、荷電ビーム
5のエネルギーレベルを一定に保つことができる。たと
えば、自由電子レーザの出力11を光子検出器を用いて
連続的に測定し、検出器の出力に応じて静電圧電極4の
印加静電圧を制御する。荷電ビームが自由電子レーザの
発振条件を維持できるので、発振が持続され、自由電子
レーザの発生効率を向上することができる。本発明の静
電圧電極2を備えたアンジュレータは、電極間の静電界
による荷電ビームの加速を有効なものにするため、通
常、真空封止形として使用することが好ましい。
【0010】
【発明の効果】本発明のアンジュレータを利用すれば、
アンジュレータに装着した静電圧電極を用いて荷電ビー
ムを加速し、荷電ビームが失ったエネルギーを容易に補
えるので、荷電ビームを、たとえば、自由電子レーザを
発振するのに十分なエネルギーレベルに維持することが
できる。すなわち、自由電子レーザの発振に応じ、静電
圧電極に印加する静電圧を調整して、容易に荷電ビーム
を所定のエネルギーレベルに維持することができる。従
って、従来のアンジュレータでは、荷電ビームがエネル
ギーを失い、発振状態を持続できずに僅かに1%前後で
あった自由電子レーザの発生効率を、安定した発振状態
を持続させて数倍に向上することができる。装置として
も、たとえば、永久磁石を堅牢な絶縁物の枠に組込むこ
とにより、静電圧電極を任意の磁石間に容易に組込むこ
とができる。多くの場合、静電加速に必要なエネルギー
はあまり大きくなく、静電圧電極で補うエネルギーは、
荷電ビームのエネルギーの10%程度で足り、しかも調
整は容易である。本発明により、とくに、自由電子レー
ザの経済性と操作性とが大いに進歩し、産業、医療、研
究などの広い分野で、自由電子レーザの実用化に大きな
効果がある。
アンジュレータに装着した静電圧電極を用いて荷電ビー
ムを加速し、荷電ビームが失ったエネルギーを容易に補
えるので、荷電ビームを、たとえば、自由電子レーザを
発振するのに十分なエネルギーレベルに維持することが
できる。すなわち、自由電子レーザの発振に応じ、静電
圧電極に印加する静電圧を調整して、容易に荷電ビーム
を所定のエネルギーレベルに維持することができる。従
って、従来のアンジュレータでは、荷電ビームがエネル
ギーを失い、発振状態を持続できずに僅かに1%前後で
あった自由電子レーザの発生効率を、安定した発振状態
を持続させて数倍に向上することができる。装置として
も、たとえば、永久磁石を堅牢な絶縁物の枠に組込むこ
とにより、静電圧電極を任意の磁石間に容易に組込むこ
とができる。多くの場合、静電加速に必要なエネルギー
はあまり大きくなく、静電圧電極で補うエネルギーは、
荷電ビームのエネルギーの10%程度で足り、しかも調
整は容易である。本発明により、とくに、自由電子レー
ザの経済性と操作性とが大いに進歩し、産業、医療、研
究などの広い分野で、自由電子レーザの実用化に大きな
効果がある。
【図1】 本発明のアンジュレータの模式図。
【図2】 静電圧電極の実施態様例正面図。 (a)荷電ビームの上流側から見た正面図。 (b)荷電ビームなどが通過する電極孔の拡大断面図。
1:アンジュレータ 2:永久磁石 3:絶縁物 4:静電圧電極(加速電極) 5:荷電ビーム
6:電子加速器 7:光共振器 8:電極孔 9:端子 10:自
発放射光 11:出力自由電子レーザ 12:自由電子レーザを
発振し終えた(または不要の)荷電ビーム 13:ビ
ームキャッチャ 14:電圧分割器
6:電子加速器 7:光共振器 8:電極孔 9:端子 10:自
発放射光 11:出力自由電子レーザ 12:自由電子レーザを
発振し終えた(または不要の)荷電ビーム 13:ビ
ームキャッチャ 14:電圧分割器
Claims (4)
- 【請求項1】永久磁石2を用いたアンジュレータ1にお
いて、磁場を形成する永久磁石を、間に絶縁物3を挾ん
で配列し、かつ、前記絶縁物中に静電圧電極4を取付
け、静電圧電極を加速電極として作用させることを特徴
とするアンジュレータ。 - 【請求項2】静電圧電極を、永久磁石の表面よりも荷電
ビームの通路内に突出させて絶縁物中に固定することを
特徴とする、請求項1記載のアンジュレータ。 - 【請求項3】アンジュレータ1に荷電ビーム5を入射す
るための電子加速器6と、磁場を形成する永久磁石2
を、間に絶縁物3を挾んで配列し、かつ、絶縁物中に静
電圧電極4を取付け、静電圧電極を加速電極として作用
させるアンジュレータ1と、アンジュレータ1を挟んで
設けられた1組の光共振器7とからなる自由電子レーザ
装置。 - 【請求項4】電子加速器6と、磁場を形成する永久磁石
2を、間に絶縁物3を挾んで配列し、かつ、絶縁物中に
静電圧電極4を取付けたアンジュレータ1と、1組の光
共振器7とからなる自由電子装置を用い、電子加速器か
ら荷電ビーム5をアンジュレータに入射し、荷電ビーム
を磁場によって蛇行せしめて自発放射光10を放出せし
め、自発放射光を光共振器間を往復させながら後続の荷
電ビームに同期させて自由電子レーザを発振させ、発振
した自由電子レーザに応じて静電圧電極に印加する静電
圧を制御することを特徴とする、自由電子レーザ発振方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6231572A JP2794534B2 (ja) | 1994-09-27 | 1994-09-27 | アンジュレータおよび自由電子レーザー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6231572A JP2794534B2 (ja) | 1994-09-27 | 1994-09-27 | アンジュレータおよび自由電子レーザー装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0896997A true JPH0896997A (ja) | 1996-04-12 |
JP2794534B2 JP2794534B2 (ja) | 1998-09-10 |
Family
ID=16925623
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6231572A Expired - Lifetime JP2794534B2 (ja) | 1994-09-27 | 1994-09-27 | アンジュレータおよび自由電子レーザー装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2794534B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013527556A (ja) * | 2010-02-24 | 2013-06-27 | シーメンス アクティエンゲゼルシャフト | 荷電粒子用の加速器 |
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JP2794534B2 (ja) | 1998-09-10 |
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