JPH0889581A - ガイドワイヤーセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】ガイドワイヤーと、該ガイドワイヤーの近位端
と接合または分離可能な管状延長体とからなることを特
徴とするガイドワイヤーセット。 【効果】本発明のガイドワイヤーセットによれば、体腔
内に挿入したカテーテルを交換する際に、管状延長体を
嵌合することにより容易に接続することが可能であり、
体腔内のガイドワイヤーの位置ずれを生ずることなく、
迅速で確実なカテーテルの交換が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カテーテル用のガイド
ワイヤーセットに関する。さらに詳しくは、本発明は、
体腔に挿入したカテーテルを交換するときに、ガイドワ
イヤーに管状延長体を接合し、ガイドワイヤーの長さを
容易に延長することができるガイドワイヤーセットに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】心臓血管造影や経皮経管冠動脈拡張術、
その他の体腔の診断や治療などを行う際に、患者の動脈
血管などの体腔内にあらかじめコアワイヤー、先端チッ
プ、安全ワイヤー、巻きワイヤーなどからなるガイドワ
イヤーを挿入しておき、カテーテルをガイドワイヤーに
被せるようにして導き、目的の体腔内に進めることが行
われる。体腔内に挿入されるカテーテルは、複数個のカ
テーテルを交換し使用することが多い。例えば、経皮経
管冠動脈拡張術においては、まず比較的小さいバルーン
を用いて冠動脈狭窄部位を拡張したのち、次第に大きい
バルーンを用いて拡張の程度を拡げていくことが行われ
る。このような場合には、体腔から一旦カテーテルを抜
き取り、次のカテーテルを挿入することが必要となる。
ガイドワイヤーは通常カテーテルより若干長いが、カテ
ーテルを体腔内から引き出すとガイドワイヤーの末端は
カテーテルの中に隠れてしまうので保持することができ
ず、所定の位置からずれたり、あるいは、カテーテルと
ともに抜け落ちるという問題が生ずる。そのため、カテ
ーテルの交換を行う際に、カテーテルを体腔内から抜き
取る前にガイドワイヤーを抜き取り、カテーテルの２倍
以上の長さを有する交換用ガイドワイヤーをカテーテル
内に挿入したのちカテーテルを交換用ガイドワイヤーを
通して抜き取り、次のカテーテルを交換用ガイドワイヤ
ーを通じて挿入し、最後に交換用ガイドワイヤーを抜き
取って通常のガイドワイヤーをカテーテル内に挿入する
ことが行われる。この操作は煩雑であり、時間がかか
り、患者の体腔壁に創傷や穿傷を与えるおそれがあるば
かりでなく、ガイドワイヤーの交換時にはＸ線透視によ
りガイドワイヤーの位置決めを行わなければならないの
で、患者のＸ線被曝量が多くなる。交換用ガイドワイヤ
ーを使用する煩雑さを避けるために、通常のガイドワイ
ヤーの末端に延長ワイヤーを接続してカテーテルの交換
を行い、カテーテルの交換後に延長ワイヤーを取り外す
方法が提案されている。ガイドワイヤーは、近位端にお
けるガイドワイヤー挿入操作力をガイドワイヤー遠位端
に伝えるための剛性と、生体腔の屈曲に対応できる柔軟
性とを要求されるものであり、さらに、ガイドワイヤー
挿入時に生体腔から挿入口を経て血液等が噴き出さない
ようにするために密実の線条体あるいは密実の線条体と
これを被覆するコイルとからなるものを用いなければな
らなかった。従って、延長ワイヤーもガイドワイヤーと
同一構造のものが用いられていた。この方法によれば、
体腔内に挿入したガイドワイヤーを抜き取る必要はなく
なった。しかし、ガイドワイヤーと延長ワイヤーを接続
するためには、ガイドワイヤーまたは延長ワイヤーの端
部の芯をくり抜くなどの困難な加工を要しあるいはガイ
ドワイヤー及び延長ワイヤーとは別に接続のためのコネ
クターを用意する必要があった。また、接続された延長
ワイヤーは体外において、その自重により垂れ下がり、
生体腔に挿入されたガイドワイヤーを引っ張るので、ガ
イドワイヤーの位置ずれが生じる。このため、簡便な加
工方法により得られ、ガイドワイヤーの位置ずれを生じ
にくいガイドワイヤーセットの開発が求められている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、体腔内に挿
入されたガイドワイヤーの位置ずれを生じることなく、
簡単な操作で短時間にガイドワイヤーを延長しカテーテ
ルの交換を行うことを可能とするガイドワイヤーセット
を提供することを目的としてなされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ガイドワイヤー
の近位端を管状延長体に嵌合せしめれば、容易にガイド
ワイヤーを延長しカテーテルの交換を行いうることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、（１）遠位端及び近位端を有
するガイドワイヤーと、該ガイドワイヤーの近位端と接
合または分離可能な管状延長体とからなることを特徴と
するガイドワイヤーセットを提供するものである。さら
に、本発明の好適な態様として、（２）ガイドワイヤー
の近位端以外の部分と管状延長体とが実質的に同一の外
径を有し、ガイドワイヤーの近位端が管状延長体の内径
と実質的に同一の外径を有するよう細径化されていて、
ガイドワイヤーと管状延長体とを嵌合により接続すると
き、接続部の外径がガイドワイヤーの外径及び管状延長
体の外径と実質的に同一となる前記(１)の管状延長体を
備えたガイドワイヤーセット、（３）ガイドワイヤー及
び管状延長体が金属材料からなり、管状延長体の内腔の
少なくとも一部分に補強構造が付与されており、該補強
構造材料が金属材料又は高分子材料からなる前記(１)又
は(２)のガイドワイヤーセット、を挙げることができ
る。

【０００５】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ガイドワイヤーセットは、遠位端及び近位端を有するガ
イドワイヤーと、これと接続可能な管状延長体とからな
るものである。ガイドワイヤーの遠位端とは、ガイドワ
イヤーの体腔内へ最初に挿入される末端であり、ガイド
ワイヤーの近位端とは、遠位端と反対の体外に留まるガ
イドワイヤーの末端である。体腔内に挿入するガイドワ
イヤーの長さは、使用するカテーテルの長さより通常３
００mm以上、好ましくは５００mm以上長い。管状延長体
の長さはガイドワイヤーの長さにほぼ等しいものである
ことが好ましい。本発明のガイドワイヤーセットは、ガ
イドワイヤーの近位端において管状延長体と嵌合するこ
とによりその長さがほぼ２倍に延長され、カテーテルの
体腔からの抜き取りが可能となる。本発明のガイドワイ
ヤーセットは、ガイドワイヤーと管状延長体とを接続又
は分離可能なものである。図１は、従来のガイドワイヤ
ーセットの態様を示す断面図である。従来のガイドワイ
ヤーセットは、体腔内に挿入するガイドワイヤーと同じ
構造の延長ワイヤーが使用されていたが、延長部分を中
空の管状体とすることにより、延長部分が軽量化して自
重によるたれ下がりが少なくなり取扱いが容易になり、
かつ特別な加工を施すことなくガイドワイヤーの近位端
との嵌合が可能となり、さらに、管状延長体の嵌合部が
破損又は汚染などのために更新する必要が生じた場合に
は、破損又は汚染部分を切断するだけで新しい嵌合部を
形成することができる。ガイドワイヤーと管状延長体を
接続する作業は、単にガイドワイヤーの近位端を管状延
長体の末端に嵌合するのみであるので、かしめや螺子な
どによる接続に較べ、はるかに容易に短時間で行うこと
ができ、体腔内に挿入したカテーテルの位置のずれが生
ずるおそれも少ない。本発明のガイドワイヤーセットに
用いられる管状延長体は、近位端から遠位端とを貫通す
る中空を有する管である。管状延長端の材質は限定され
ないが、金属材料からなるものが好ましい。金属材料と
しては、適当な弾性を有し、管状に加工しうるものであ
れば特に制限なく使用することができ、このような材料
としては、例えば、ニッケル、鉄、チタン、ステンレス
鋼や超弾性合金などを挙げることができる。また、これ
らの金属材料の表面改質のために樹脂コーティングなど
を施すことができる。管状延長体の内腔の少なくとも一
部には補強構造が付与されていることが好ましい。管状
延長体の内腔に付与する補強構造材料には特に制限はな
く、金属材料、高分子材料などを自由に選択することが
できる。管状延長体の内腔に補強構造を付与することに
より、管状延長体のキンク強度を向上せしめることが可
能となる。補強構造に使用する金属材料としては、例え
ば、管状延長体の内径にほぼ等しい外径を有するよう加
工された金属のスパイラル状構造物を管状延長体の内腔
に挿入することができる。高分子材料により管状延長体
の内腔に補強構造を付与する手段としては、例えば、架
橋剤を配合したポリウレタン樹脂組成物を液状を保って
いる間に管状延長体の中に吸引し、管状延長体の内腔内
で架橋硬化せしめ内腔壁を被覆する方法などを挙げるこ
とができる。図２は、本発明の内腔に補強構造を付与し
た管状延長体の一態様を示す断面図である。本図の管状
延長体は、内腔にスパイラル状の金属材料５が挿入され
ている。管状延長体は、その外径が通常０.２〜０.５m
m、好ましくは０.２５〜０.４mmのものであり、その内
径が通常０.１８〜０.４５mm、好ましくは０.２〜０.３
５mmのものである。

【０００６】本発明のガイドワイヤーセットの好適な態
様として、ガイドワイヤーと管状延長体が実質的に同一
の外径を有し、ガイドワイヤーの近位端が管状延長体の
内径と実質的に同一の外径を有するよう細径化されてお
り、ガイドワイヤーを管状延長体に嵌合したとき、接続
部の外径がガイドワイヤー及び管状延長体の外径と実質
的に同一となる。このように、接続部の外径がガイドワ
イヤーの外径及び管状延長体の外径と実質的に同一であ
ると、ガイドワイヤーと管状延長体の接続部に膨らみな
どが生じないので、カテーテルの抜き取り及び挿入をき
わめて円滑に行うことができる。ガイドワイヤーの細径
化した部分の長さは、通常１０〜１００mm、好ましくは
２０〜５０mmである。細径化部の長さが短いと接合強度
が弱くなり、長いと嵌合操作が困難になる。ガイドワイ
ヤーの細径化部分以外の部分の外径は、通常０.２〜０.
５mm、好ましくは０.２５〜０.４mmであり、細径化部の
外径は、細径化部以外の部分の外径に対して、通常、４
０〜９０％、好ましくは５０〜８０％である。４０％未
満または９０％を超えると接合強度が弱くなる。このよ
うな形態を有するガイドワイヤーセットを製作するに
は、実質的に同一の外径を有するガイドワイヤー及び管
状延長体を選定し、ガイドワイヤーの近位端を管状延長
体の内径と一致するよう切削加工し細径化する。細径化
部の断面形状または管状延長体の断面形状は、特に限定
されず、通常、円形、星形、四角形などが挙げられる。
ガイドワイヤーと管状延長体との接合力を高めるため
に、細径化部を雄ネジ、管状延長体の内面を雌ネジに形
成したもの（図３）、細径化部を波状（図４）に形成し
たものなどを採用することもできる。ただし、位置ずれ
が若干生じやすくなる。ガイドワイヤーと管状延長体と
の嵌合は、ガイドワイヤーと管状延長体を引き離すため
に必要な応力が１００〜２０００ｇ、好ましくは２００
〜５００ｇとなるように行う。ガイドワイヤーと管状延
長体を引き離すために必要な応力が１００ｇ未満である
と、カテーテルを抜き取る際にガイドワイヤーと管状延
長体の嵌合が外れるおそれがあるので好ましくない。ガ
イドワイヤーと管状延長体を引き離すために必要な応力
が２０００ｇを超えると、新しいカテーテルを挿入した
のちガイドワイヤーから管状延長体を外す際に力がかか
り、ガイドワイヤーの位置がずれるおそれがあるので好
ましくない。ガイドワイヤーと管状延長体とを接続する
方法は、ガイドワイヤー近位端及び管状延長体の内面の
形状によって異なるが、通常、ガイドワイヤー近位端を
管状延長体の中空にそのまま差し込むか、ねじ込むかす
る。図５は、本発明のガイドワイヤーセットの斜視図で
ある。ガイドワイヤー１の遠位端２は、単にガイドワイ
ヤー材料の先端を曲面状に研磨した状態とすることもで
きるが、ガイドワイヤーを体腔内に円滑に挿入するため
には、白金などの材料で製作するか、細径化するか、又
は、スパイラル状のスリットを入れるかなどの手段によ
り、柔軟な構造とすることが好ましい。ガイドワイヤー
の近位端３は、管状延長体４に嵌合するために、管状延
長体の内径と同一寸法以下の外径をもつよう細径化され
ている。図６は、本発明のガイドワイヤーセットの使用
状態の説明図である。体表皮９を通して体腔１０内に挿
入されたガイドワイヤー１に被せるようにカテーテル７
が挿入される［図６(ａ)］。カテーテルを抜き取るに
は、体腔内に挿入されたガイドワイヤー１の体外部に位
置する近位端に管状延長体４が接続され［図６(ｂ)及び
(ｃ)］、カテーテル７が抜き取られる［図６(ｄ)］。ガ
イドワイヤーの外径と管状延長体の外径は実質的に同一
であり、ガイドワイヤーと管状延長体の接続部８には膨
らみなどの障害はないので、カテーテルを円滑に抜き取
ることができる。

【０００７】

【発明の効果】本発明のガイドワイヤーセットによれ
ば、体腔内に挿入したカテーテルを交換する際に、管状
延長体を嵌合することにより容易に接続することが可能
であり、体腔内のガイドワイヤーの位置ずれを生ずるこ
となく、迅速で確実なカテーテルの交換が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、従来のガイドワイヤーセットの態様を
示す断面図である。

【図２】図２は、本発明の内腔に補強構造を付与した管
状延長体の一態様を示す断面図である。

【図３】図３は、本発明のガイドワイヤーセットの一態
様を示す断面図である。

【図４】図４は、本発明のガイドワイヤーセットの一態
様を示す断面図である。

【図５】図５は、本発明のガイドワイヤーセットの斜視
図である。

【図６】図６は、本発明のガイドワイヤーセットの使用
状態の説明図である。

【符号の説明】

１ ガイドワイヤー ２ 遠位端 ３ 近位端 ４ 管状延長体 ５ スパイラル状の金属材料 ６ モノフィラメント ７ カテーテル ８ 接続部 ９ 体表皮 １０ 体腔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大川 勝 神奈川県横浜市港北区篠原西町17−13

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガイドワイヤーと、該ガイドワイヤーの近
   位端と接合または分離可能な管状延長体とからなること
   を特徴とするガイドワイヤーセット。