JPH088926B2 - 首カラ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は首カラーに関し、より詳しくは平面形状で収
納され、組立てる必要のないあご支持部材を有する首カ
ラーに関する。

〔従来の技術および問題点〕

従来、種々の首の負傷の治療において首カラーを用い
ることが知られている。このようなカラーは、首の負担
を軽減しつつ、使用者の頭を特定の位置に保持すること
により基本的に機能する。自動車事故等のような多くの
緊急状態において、首の負傷は準医療従事者により診断
される。このような場合、できるだけ早く首を固定する
ことが重要である。したがって、首カラーを救急車に容
易に収納し、かつ負傷者に簡単に用いることは、非常に
重要である。

従来、首カラーは、使用者の頭を充分支持するため
に、厚く、かさばったものであった。この結果、このよ
うな首カラーの救急車への収納は制限されていた。多く
の首カラーを小さな空間に収納できるようにするため、
首カラーの形状を小さくする試みがなされている。イー
・ディー・ベラ・ニコル（E.D.Vera Nicoll）に対して
発行された米国特許第3164151号明細書は、膨張可能な
カラーを開示している。収縮した時このカラーは比較的
小さく、収納のための空間を小さくするが、この構造の
カラーは穴があいて使用不能になりやすい。さらに、こ
のカラーは不適当に膨張すると、使用者の頭を十分に支
持できない。ジオフレイ・シー・ガース（Geoffrey C.G
arth）に対して発行された米国特許第4413619号明細書
は、他のカラーを開示し、このカラーは少ない収納空間
で足りるが、首巻きバンドに固定されるあご支持部材を
有し、またこのあご支持部材を使用位置に定めるために
組立てを必要とする。

したがって本発明の目的は、少ない収納空間ですみ、
あご支持部材の組立てを必要とせず、かつ使用者の頭を
効果的に支持する首カラーを得ることである。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的のため、本発明に係る首カラーは、収納と持
運びを容易にするために平面形状で維持され、かつ首巻
きバンドの使用形状に容易に成形される可撓性パネルを
備える。パネルには、第１の位置から第２の位置へ揺動
可能な部材が連結される。第１の位置において、部材は
平らなパネルの外面に接近して置かれる。パネルをバン
ドの形に成形するとき、部材はパネルの上縁を越えて第
２の位置へ揺動し、第２の位置において、部材はバンド
を横切って延び、使用者のあごの支持部材となる。パネ
ルは適当な固定機構によりバンド形状に保持される。こ
こで固定機構は、パネルの各端部に配設され、帯片との
適当な相互接触によって重合連結するベルクロ（Velcr
o）（商標名）のようなものである。

〔実施例〕

以下図示実施例により本発明を説明する。

第１〜６図を参照すると、これらの図には本発明の一
実施例に係る首カラーが参照数字20により全体的に示さ
れ、この首カラー20は可撓性パネル22と、このパネル22
から延びる部材24を有する。後述するように、部材24は
適当に配置された使用者のあごを支持する。パネル22は
前部26、中間部28、後部30および端部32を有する。パネ
ル22は、好ましくは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルあ
るいはポリプロピレン等の合成樹脂のシート34と、ポリ
エチレンあるいはポリウレタンフォーム等の裏張り36と
から成る。

シート34は外面38、内面40、上縁42および下縁44を有
する。裏張り36は、シート34と裏張り36を貫通して延び
るリベット等の一連の固定部材50によって、内面40に固
定される。この構成により、シート34が平面形状（第１
〜３図）にあるとき、また首巻きバンド41の使用形状
（第４〜６図）を形成すべく巻きつけられるとき、裏張
り36をシート34のその形状に従わせることができる。

裏張り36は、後部30においてシート34の上縁42の上に
延びる上方部分52と、全長にわたってシート34の下縁44
を越えて延びる下方部分54とを有する。使用形状におい
て、第４〜６図る示されるように、下方部分54は使用者
60の胸56と背中58に接触し、上方部分52は首62の後部を
支持する。裏張り36の上方および下方部分52,54によ
り、シート34の下縁44および上縁42が使用者60の首62と
胸56に直接接触する場合よりも、もっと心地よい状態が
得られる。しかし、裏張りのない単体のシートから成る
パネル22もまた、典型的に心地よいものではないが、適
当に機能する。

シート34は２つの切除スリット66を有し、このスリッ
ト66はシート34の可撓性を増加させて後頭部の外形に沿
うようにし、また第４〜６図に示されるパネル22の首巻
きバンド41への成形を容易にする。開口70はパネル22に
穿設され、この開口70を介して頸動脈の脈はくが計られ
る。

パネル22には、パネル22を首巻きバンド41の形状に保
持するための保持手段が設けられる。保持手段はパネル
22の各端部72の近くに配設されたファスナを有する。ベ
ルクロ（Velcro）（商標名）のループ材料から成る帯片
74は、リベット等の固定部材50によりパネル22の内面40
に固定される。この帯片74は、パネル22の端部32のスリ
ットを通って、パネル22の内面40から外面38まで延び
る。ベルクロ（商標名）のフック材料から成る接着布76
は、パネル22の前部26の外面38へ固定される。パネル22
をバンド41に成形するため、帯片74は接着布76に重合し
て結合される。ベルクロ（商標名）材料の使用により、
首巻きバンド41の寸法調整が可能になり、この調整は帯
片74の接着布76への固定位置による。

部材24は引き伸ばされた細長の形態を呈し、可撓性ス
トラップ78と、そこに固定された緩衝材のパッド80とか
ら成る。ストラップ78は２つの端部84と中間部86を有す
る。各端部84は、シート34に連結される可撓性材料のリ
ボン88を有する。シート34は、２つの肩部92と中央突出
タブ94を含むＷ形の曲線状外形を有する上面部90を有す
る。タブ94はストラップ78の中間部86に連結される。空
間96はストラップ78と上縁42の間に形成される。タブ94
およびリボン88には十分な可撓性が与えられ、このため
部材24は第１図に示すようにシート34の外面38に接近し
た状態で折り畳むことが可能である。

首カラー20は一般的には第１図に示すような平面形状
でしかも部材24をシート34の外面に隣接させた形態で貯
蔵されたり輸送される。ストラップ78の一部は上縁42の
曲線状外形の上に延びる。首カラー20が使用者すなわち
患者60に取付けられる時、パネル22は首巻きバンド41の
形に巻かれる。バンド41の形に巻かれるとき、部材24
は、上縁42を支点として用い、少なくともある程度上縁
42の上方を覆うように回動し、そしてバンド41の一部を
横切って延びる位置まで移動し、このとき肩部92はスト
ラップ78の下側を支持する。この位置において、部材24
は使用者のあご98に対する支持部となる（第４図参
照）。

パネル22は、前部26を首62の前部に位置決めし、中間
部28および端部32を首62の側部に位置決めし、後部30を
首62の後部に位置決めして、使用者の首62を取囲む。保
持手段は、首62の側部において前部26を端部32に固定さ
せ、首カラー20を患者に水平状態で取付けることを容易
にする。

第７〜12図を参照すると、これらの図は参照数字120
により全体的に示された首カラーの第２実施例を示す。
第１実施例のように、カラー120はシート134を備えたパ
ネル122を有し、シート134は、例えばリベットのような
固定部材50によりシート134に固定された緩衝材から成
る裏張り136を有する。パネル120はシート134に切込ま
れた複数の溝160を有し、これにより、パネル120を第７
〜９図に示される平面形状から第10〜12図の首巻きバン
ド41の使用形状へ曲げることが容易になる。パネル122
は、気管に接近するための開口170と、開口170の下方に
配置され、反対側に位置する一対の突出部143とを有
し、これらの突出部143の間にはスリット145が形成され
る。スリット145により、気管への接近をしやすくする
ためにパネル120を広げたり、あるいは気管へ接近しに
くくするために突出部143を重合させることができる。
また、このように広げたり重合させることにより、シー
ト134の下縁部と裏張り136の形状が影響を受け、パネル
120が使用者の胸56に快適に当接すべく形状を調節する
ため突出部143が位置決めされる。

所定の位置に突出部143を保持するため、パネル120に
はスリット調節手段が設けられる。このスリット調節手
段は、対向する各突出部143と連結ストラップ147とに近
接するファスナを有する。ベルクロ（商標名）のフック
材料の接着布がパネル120の149と151の部分に設けられ
る。ループ材料のストラップ147は各接着布149,151上に
配置され、突出部143とスリット145を横切って延びる。
ストラップ143の接着布149,151上における位置は、ある
程度、パネル22の下縁153に接する胸の形状を決定し、
また影響を及ぼす。

首カラー120には、ストラップ178とパッド180を有す
る部材124が設けられる。この部材124は、可撓性材料の
リボン88により端部84に沿って連結される。部材124は
可撓性補助片127すなわちタブを有し、この補助片127は
部材124から下方へ延び、また固定部材50によってシー
ト134の中央部186に取付けられる。補助片127は、開口1
29を残して部材124を切取ることにより成形される。開
口129は、患者のあご98を快適に収容するとともに好ま
しくない動きを制限するような形状に定められている。
パネル122をバンド141の形に巻き、そしてそのバンドの
形にパネル122を保持する間、部材124の揺動は上述した
第１〜６図の首カラー20と同様に作用する。

【図面の簡単な説明】

第１図は平面形状の状態にある、本発明の一実施例に係
る首カラーの平面図、 第1A図は第１図の首カラーを第１図とは反対側から見た
状態を示す平面図、 第２図は第１図の２−２線に沿う断面図、 第３図は第１図の３−３線に沿う断面図、 第４図は使用形状で人間に取付けられた第１図の首カラ
ーの斜視図で、人間を想像線で示し、 第５図は第４図の５−５線に沿う断面図、 第６図は第４図の６−６線に沿う断面図、 第７図は平面形状の状態にある、本発明の他の実施例に
係る首カラーの平面図、 第7A図は第７図の首カラーを第７図とは反対側から見た
状態を示す平面図、 第８図は第７図の８−８線に沿う断面図、 第９図は第７図の９−９線に沿う断面図、 第10図は使用形状で人間に取付けられた第７図の首カラ
ーの斜視図で、人間を想像線で示し、 第11図は第10図の11-11線に沿う断面図、 第12図は第11図の12-12線に沿う断面図である。 20……首カラー、22……可撓性パネル、24……部材、41
……首巻きバンド、42……上縁。

Claims (21)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内面と、外面と、これら両面に連なる上縁
   面とからなる可撓性パネルであって、平面形状から首巻
   きバンド形状に変形可能な可撓性パネルと、 前記可撓性パネルに連結され、しかも該可撓性パネルに
   対して第１のあご不支持位置から第２のあご支持位置ま
   で回動可能なあご支持部材とを具備し、このあご支持部
   材が前記第１のあご不支持位置にあるとき該あご支持部
   材は前記可撓性パネルの外面に隣接して配置されてお
   り、前記可撓性パネルを首巻きバンド形状に変形させた
   際に装着者のあごを支持すべく前記あご支持部材が該可
   撓性パネルの上縁を越えて、該首巻きバンド形状を横切
   る第２のあご支持位置まで回動させられ、 更に、前記可撓性パネルを首巻きバンド形状に保持させ
   るための保持手段を具備して成る首カラー。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項に記載の首カラーに
   おいて、前記可撓性パネルが前面および後面を有する可
   撓性シートと、この可撓性シートの後面に対して固定さ
   れた緩衝材から成る裏張りとを具備することを特徴とす
   る首カラー。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第２項に記載の首カラーに
   おいて、前記首巻きバンドが使用者の頭と胸の間に広が
   るのに十分な幅を有し、前記裏張りが前記可撓性パネル
   の上縁の上に広がって使用者の頭に対してクッションを
   与えることを特徴とする首カラー。
4. 【請求項４】特許請求の範囲第３項に記載の首カラーに
   おいて、前記可撓性パネルが下縁を有し、前記裏張りが
   該下縁の下方に広がって使用者の胸に対してクッション
   を与えることを特徴とする首カラー。
5. 【請求項５】特許請求の範囲第１項に記載の首カラーに
   おいて、前記あご支持部材が可撓性ストラップと、この
   可撓性ストラップに固定された緩衝パッドとを有するこ
   とを特徴とする首カラー。
6. 【請求項６】特許請求の範囲第５項に記載の首カラーに
   おいて、前記可撓性ストラップが両端部と、この両端部
   間の中間部とを有し、各端部が前記可撓性シートに連結
   されるための可撓性材料製のリボンを有することを特徴
   とする首カラー。
7. 【請求項７】特許請求の範囲第６項に記載の首カラーに
   おいて、前記可撓性ストラップの中間部が前記可撓性シ
   ートに連結されることを特徴とする首カラー。
8. 【請求項８】特許請求の範囲第６項に記載の首カラーに
   おいて、前記可撓性シートと前記可撓性ストラップとが
   同一材料から成ることを特徴とする首カラー。
9. 【請求項９】特許請求の範囲第８項に記載の首カラーに
   おいて、前記可撓性シートと可撓性ストラップが一体的
   に形成されることを特徴とする首カラー。
10. 【請求項１０】特許請求の範囲第９項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルの裏張りと前記可撓性スト
    ラップの緩衝パッドとが同一材料から成ることを特徴と
    する首カラー。
11. 【請求項１１】特許請求の範囲第１項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルには気管に接近し得るよう
    になった開口が形成されることを特徴とする首カラー。
12. 【請求項１２】特許請求の範囲第10項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルの上縁には曲線状部が設け
    られ、その曲線状部と前記可撓性ストラップとの間には
    空間が形成されることを特徴とする首カラー。
13. 【請求項１３】特許請求の範囲第12項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルの上縁からはタブが突出さ
    せられ、該タブが前記あご支持部材の中間部に連結され
    ることを特徴とする首カラー。
14. 【請求項１４】特許請求の範囲第13項に記載の首カラー
    において、前記タブと前記リボンが可撓性を有し、この
    ため前記あご支持部材がその可撓性ストラップを前記可
    撓性シートの外面に接近させた状態で該外面に隣接して
    配置されるように折畳み可能であることを特徴とする首
    カラー。
15. 【請求項１５】特許請求の範囲第14項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルの上縁の曲線状部には２つ
    の離間した肩部が設けられ、前記タブが前記肩部間に配
    設され、前記可撓性パネルが首巻きバンド形状にあると
    き前記あご支持部材が前記肩部により支持されることを
    特徴とする首カラー。
16. 【請求項１６】特許請求の範囲第15項に記載の首カラー
    において、前記あご支持部材が折り畳まれるとき前記可
    撓性ストラップの一部が前記曲線状部の上方に延び、前
    記あご支持部材が前記上縁を越えて回動可能であり、前
    記可撓性パネルが首巻きバンド形状に変形されたとき、
    前記上縁が前記あご支持部材を支持することを特徴とす
    る首カラー。
17. 【請求項１７】特許請求の範囲第１項に記載の首カラー
    において、前記保持手段が２つの帯片を有し、一方の帯
    片がループ要素を含むと共に他方の帯片がフック要素を
    含み、各帯片が前記可撓性パネルの両端端部に接近して
    配置され、前記帯片が適当に相互に接触して連結される
    ことを特徴とする首カラー。
18. 【請求項１８】特許請求の範囲第17項に記載の首カラー
    において、前記帯片の一方が端部から延び、前記他方の
    帯片が前記可撓性シートの前面に取付けられることを特
    徴とする首カラー。
19. 【請求項１９】特許請求の範囲第11項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルが前記開口に連通するスリ
    ットを有し、前記スリットが反対側に離間して位置する
    ２つの突出部の間に形成され、前記突出部が前記スリッ
    トを広げるために拡幅可能であり、かつスリットを閉じ
    るために重合可能であることを特徴とする首カラー。
20. 【請求項２０】特許請求の範囲第19項に記載の首カラー
    において、前記可撓性パネルが前記突出部を相互に所定
    位置に調整して保持する手段を具備することを特徴とす
    る首カラー。
21. 【請求項２１】特許請求の範囲第20項に記載の首カラー
    において、前記保持手段が少なくとも前記各突出部に接
    近する接着布と、この接着布の間を延びるとともにこの
    接着布に連結するように接着布に位置決めされるベルト
    とを有することを特徴とする首カラー。