JPH0880837A - 滑走防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄道車両のブレーキの滑走防止装置に関し、
ブレーキシリンダの空気圧に関係なく、制御のむだ時間
を一定となるようにする。 【構成】 供給用電磁弁１には空気圧供給側より配管１
２が、排気用電磁弁２にはブレーキシリンダ側からの配
管１３と１４が排気用フィルタ８を介して接続されてい
る。電磁弁１，２が共に消磁状態の時は空気圧はＩＮ側
より本体１１に流入し、供給用膜板５をバネ３に抗して
押上げ、ＯＵＴ側へ空気圧を送り、ブレーキ力を発生さ
せる。滑走状態が検知されると、電磁弁１，２が励磁さ
れ、ブレーキシリンダの空気圧がＯＵＴ側より本体１１
に流入し、排気用膜板６を押上げ、空気圧をサイレンサ
９へ防出し、ブレーキ圧をゆるめて車輪のタイヤフラッ
トを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は鉄道車両の滑走防止装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来の鉄道車両分野における滑走
防止装置における空気圧の回路構成図である。滑走防止
装置とはブレーキの滑走状態を検知し、電磁弁を制御し
てブレーキ圧を目標値まで変化させて滑走によって生ず
る鉄車輪タイフフラットを防止するものである。図にお
いて、１は空気圧供給用電磁弁、２は排気用電磁弁、３
は供給用バネ、４は排気用バネ、５は供給用膜板、６は
排気用膜板、７は供給用フィルタ、９はサイレンサ、１
０はふた、１１は本体である。１２は空気供給側から供
給用電磁弁１への配管、２０は空気供給側から排気用電
磁弁２への配管である。

【０００３】このような従来の滑走防止装置は、供給用
電磁弁１と排気用電磁弁２を励、消磁することにより、
供給用膜板５、排気用膜板６の上部パイロット指令圧を
制御し、ブレーキシリンダ空気圧をコントロールするも
のであるが、ブレーキシリンダ空気圧が低い場合には応
答する際にむだ時間が大きくなり、電磁弁１，２の励磁
時間も大きくなって制御応答が悪くなっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の滑走防止装置で
は、前述のようにブレーキシリンダ空気圧が高い場合、
電磁弁１，２への電気信号が入力されてからブレーキシ
リンダ空気圧が変化するまでのむだ時間が小さいが、ブ
レーキシリンダ空気圧が低い場合には、その低い圧力で
膜板６を作用させるので、膜板６が作動するまでに時間
を要し、そのむだ時間が大きくなり、そのため電磁弁の
励磁時間も長くなる。又、空気圧の変動によりこのむだ
時間を変化する。従って、ブレーキを作動させ、滑走状
態を検知後、ブレーキシリンダ空気圧を目標まで変化さ
せる全体の制御時間が長くなり鉄車輪のタイヤフラット
が発生しやすくなる。

【０００５】本発明は、上記の従来型滑走防止装置に於
ける問題点に対処するために開発されたものであり、む
だ時間を一定に制御するため電磁弁へフィードバック回
路を設け、ブレーキシリンダ側空気圧の大きさに関係な
くブレーキシリンダの空気圧を制御することのできる滑
走防止弁の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのため本発明は、供給
用電磁弁には空気供給口から分岐した供給側配管を、排
気用電磁弁にはブレーキシリンダ連通口から分岐した排
気側配管を設けてパイロット指令圧とし、本体内にはこ
れら電磁弁を介した空気圧で作動する供給用膜板及び排
気用膜板を設け、空気供給口からブレーキシリンダ連通
口への空気圧の供給、ブレーキシリンダ連通口から排気
口へのブレーキシリンダの空気圧の排気を制御する構成
とする。

【０００７】即ち、本発明は、ブレーキシリンダへの空
気圧を供給する供給用電磁弁と、排気用電磁弁と、空気
圧供給口、ブレーキシリンダ連通口及び排気口を有した
本体と、前記空気圧供給口から分岐して前記供給用電磁
弁へ接続する供給側配管と、前記ブレーキシリンダ連通
口から分岐して前記排気用電磁弁へ接続する排気側配管
と、前記本体内に移動可能に設けられ、前記供給用電磁
弁が前記供給側配管と前記本体とを連通させると同供給
側配管からの空気圧によって前記空気供給口と前記ブレ
ーキシリンダ連通口との導通を閉じ、前記供給用電磁弁
が前記本体との連通を閉じると前記空気供給口からの空
気圧で押されて移動し、同空気供給口と前記ブレーキ連
通口とを導通させて前記ブレーキシリンダへ空気圧を供
給する供給用膜板と、前記本体内に移動可能に設けら
れ、前記排気用電磁弁が前記排気側配管と前記本体とを
連通させると同排気側配管からの前記ブレーキシリンダ
の空気圧によって前記ブレーキシリンダ連通口と前記排
気口との導通を閉じ、前記排気用電磁弁が前記本体との
連通を閉じると前記ブレーキシリンダ連通口からの前記
ブレーキシリンダ空気圧で押されて移動し、同ブレーキ
シリンダ連通口と前記排気口とを導通させて前記ブレー
キシリンダの空気圧を排気する排気用膜板とを具備して
なることを特徴とする滑走防止装置を提供する。

【０００８】

【作用】本発明はこのような手段により、ブレーキ力発
生の場合には、供給側電磁弁は閉、排気側電磁弁は開と
する。この時、本体の空気供給口からの空気圧は供給用
膜板を移動させて空気圧を空気供給口よりブレーキシリ
ンダ連通口を介してブレーキシリンダに送る。一方、ブ
レーキシリンダ連通口からのブレーキシリンダのフィー
ドバック圧力は、排気側配管を通って排気用電磁弁から
排気用膜板の上部へ流入し、この排気用膜板でブレーキ
シリンダ連通口と排気口との導通を閉じるように作用す
る。

【０００９】ブレーキが作動後、滑走状態が検知される
とブレーキシリンダの空気圧を放出する。この場合に
は、供給側電磁弁は開、排気側電磁弁は閉とする。この
時、本体のブレーキシリンダ連通口からの空気圧は、排
気用電磁弁が閉じているので排気側配管と本体とは導通
していないので、排気用膜板を押上げ、ブレーキシリン
ダ連通口と排気口とが導通状態となり、ブレーキシリン
ダの空気圧力が放出される。一方、空気供給口からの空
気圧は、供給側配管を通って供給用電磁弁から供給側膜
板の上部へ流入し、この供給用膜板で空気供給口とブレ
ーキシリンダ連通口との導通を閉じるように作用する。

【００１０】又、滑走検知中一時的にブレーキシリンダ
の空気圧を保持する場合には、供給用電磁弁及び排気用
電磁弁共各配管と本体とをそれぞれ連通させる。この状
態では、供給用膜板の上下には供給側配管を通り空気供
給口からの空気圧が、排気用膜板の上下には排気側配管
を通りブレーキシリンダ連通口からの空気圧がそれぞれ
作用し、両膜板の移動はなく各ポートは閉じられ、空気
供給口、ブレーキシリンダ連通口及び排気口各間の導通
は防止され、ブレーキシリンダ圧力はこの間維持される
ことになる。

【００１１】このように排気用電磁弁のパイロット指令
をブレーキシリンダ連通口からの空気圧より排気側配管
でフィードバックさせることによりブレーキシリンダ空
気圧の大少による変動に関係なく一定のむだ時間によっ
てブレーキシリンダの空気圧を制御することができる。
従って最小の制御時間により、滑走状態を検知し、鉄車
輪タイヤフラットの発生防止が可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図１は本発明の一実施例に係る滑走防止
装置の空気圧回路の構成図である。

【００１３】滑走防止装置とは、供給、排気、重なりの
３つのモードによりブレーキシリンダ空気圧をコントロ
ールする制御弁であり、図１に於いて、符号１乃至７及
び９乃至１２は図５の従来例と同じものであり、再度説
明すると、ノーマルオープン状態の供給用電磁弁１、ノ
ーマルクローズ状態の排気用電磁弁２、供給用バネ３、
供給用バネ４、シリコン、等からなる供給用膜板５、排
気用膜板６、供給用フィルタ７、本発明の特徴となるブ
レーキシリンダ空気圧からのフィードバック回路となる
配管１３，１４及びこの両配管に連通する排気用フィル
タ８を新たに備え、サイレンサ９、ふた１０及び本体１
１から構成される。従来の滑走防止装置と異るところ
は、従来の排気用電磁弁２は空気供給側の配管１２から
分岐した配管２０に接続されていたが、本発明の実施例
においては、ブレーキシリンダ空気圧のフィードバック
回路の配管１４に接続されている点である。

【００１４】この滑走防止装置は、ノーマルオープンの
供給用電磁弁１とノーマルクローズの排気用電磁弁２を
励、消磁することにより、供給用膜板５、排気用膜板６
の上部パイロット指令圧を制御し、ブレーキシリンダ空
気圧をコントロールするものである。

【００１５】次に、各モードにおける作用について図２
乃至図４により説明する。まず、滑走を検知しない場
合、あるいは滑走状態を防止するように制御後の再粘着
の場合には、滑走防止弁は供給モードをとる。この状態
を図２に基づいて説明する。この状態では、供給用電磁
弁１、排気用電磁弁２は共に消磁状態とし、電磁弁１は
空気供給側配管１２との接続を断ち、電磁弁２を配管１
４と連通させてブレーキシリンダ空気圧のフィードバッ
ク回路として接続させる。従って、供給側の空気圧２０
ｂは配管１２からは電磁弁１が閉じているので供給用膜
板５の上部には流入せず、空気圧２０ａの１次側圧力に
より供給用膜板５が供給用バネ３に抗して押し上げられ
ブレーキシリンダへ空気圧２１として出力され、ブレー
キ力を発生させる。この場合、空気圧２２はブレーキシ
リンダのフィードバック圧力であり、電磁弁２を通り、
供給用膜板６の上部に入り、膜板６の上下にはブレーキ
シリンダ空気圧がかかり、供給用膜板６は押上げられる
ことなく、ブレーキ圧力の供給がなされる。

【００１６】次に、滑走検知の場合は滑走防止弁は排気
モードをとる。その作用説明図を図３に示す。この状態
では、供給用電磁弁１、排気用電磁弁２は共に励磁状態
とし、電磁弁１は空気供給側の配管１２と連通させ、電
磁弁２は配管１４との接続を断ち、フィードバック回路
との接続を断つ。従って、供給側の空気圧２０は、電磁
弁１が導通しているので供給用膜板５の上部、下部に入
り、膜板５は押上げられることなく、又、電磁弁２は配
管１４との連通が閉じているのでブレーキシリンダ空気
圧のフィードバック圧力は供給膜板６の上部に入らずに
ブレーキシリンダ空気圧２３により排気用膜板６が押し
上げられ、ブレーキシリンダ空気圧２３はサイレンサ９
を通り２４で示すように大気へ放出され、ブレーキ力が
緩められる。

【００１７】次に、滑走検知中一時的に入力側圧力より
ブレーキシリンダ側圧力を低く保つ場合、滑走防止弁は
重なりモードをとる。その作用説明図を図４に示す。こ
の状態では供給用電磁弁１は励磁、排気用電磁弁２は消
磁状態とし、供給用膜板５の上下部には入力側圧力２０
が、排気用膜板６の上下部にはブレーキシリンダ側圧力
２５がそれぞれ作用して、各ポートは閉じられ、ブレー
キシリンダ側圧力は保たれた状態となる。

【００１８】

【発明の効果】以上、具体的に説明したように、本発明
においては、空気供給用電磁弁には空気供給口から分岐
した供給側配管を、排気用電磁弁にはブレーキシリンダ
連通口より分岐した排気側配管を設けてパイロット指令
圧とし、本体内にはこれら電磁弁を介した空気圧で作動
する供給用膜板及び排気用膜板を設け、空気供給口から
ブレーキシリンダ連通口への空気圧の供給、ブレーキシ
リンダ連通口から排気口へのブレーキシリンダの空気圧
の排気を制御する構成としたので、排気用電磁弁はブレ
ーキシリンダ空気圧をフィードバックして取り込み、排
気用膜板を制御するため、ブレーキシリンダ空気圧の大
少、変化に関係なく一定のむだ時間によりブレーキシリ
ンダ空気圧の給排気を行うことが可能となり制御応答時
間を短くすることができるので、鉄車輪タイヤフラット
の発生を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る滑走防止装置の回路構
成図である。

【図２】図１に示す実施例の作用説明図で、ブレーキ力
発生モードの場合を示す。

【図３】図１に示す実施例の作用説明図で、ブレーキ開
放モードの場合を示す。

【図４】図１に示す実施例の作用説明図で、ブレーキ圧
力を保持する重なりモードの場合を示す。

【図５】従来の滑走防止装置の回路構成図である。

【符号の説明】

１ 供給用電磁弁 ２ 排気用電磁弁 ３ 供給用バネ ４ 供給用バネ ５ 供給用膜板 ６ 排気用膜板 ８ 排気用フィルタ ９ サイレンサ １０ ふた １１ 本体 １３ 配管 １４ 配管

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブレーキシリンダへの空気圧を供給する
   供給用電磁弁と、排気用電磁弁と、空気圧供給口、ブレ
   ーキシリンダ連通口及び排気口を有した本体と、前記空
   気圧供給口から分岐して前記供給用電磁弁へ接続する供
   給側配管と、前記ブレーキシリンダ連通口から分岐して
   前記排気用電磁弁へ接続する排気側配管と、前記本体内
   に移動可能に設けられ、前記供給用電磁弁が前記供給側
   配管と前記本体とを連通させると同供給側配管からの空
   気圧によって前記空気供給口と前記ブレーキシリンダ連
   通口との導通を閉じ、前記供給用電磁弁が前記本体との
   連通を閉じると前記空気供給口からの空気圧で押されて
   移動し、同空気供給口と前記ブレーキ連通口とを導通さ
   せて前記ブレーキシリンダへ空気圧を供給する供給用膜
   板と、前記本体内に移動可能に設けられ、前記排気用電
   磁弁が前記排気側配管と前記本体とを連通させると同排
   気側配管からの前記ブレーキシリンダの空気圧によって
   前記ブレーキシリンダ連通口と前記排気口との導通を閉
   じ、前記排気用電磁弁が前記本体との連通を閉じると前
   記ブレーキシリンダ連通口からの前記ブレーキシリンダ
   空気圧で押されて移動し、同ブレーキシリンダ連通口と
   前記排気口とを導通させて前記ブレーキシリンダの空気
   圧を排気する排気用膜板とを具備してなることを特徴と
   する滑走防止装置。