JPH0874476A - ガラス建具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成を簡単にし、保守点検の簡略化及びコス
トダウンを可能にするガラス建具を提供する。 【構成】 ２枚の板ガラス１，２を一定間隔にして対向
配設し、内部が密封されるように周囲を封止部材３によ
って固定した複層ガラスを用いたガラス建具にあって、
前記複層ガラス空間内の上下方向に回動可能で且つ周囲
温度に応じて取付角度が変化する形状記憶合金を用いた
複数のルーバ４を設け、更に前記複層ガラス空間内に熱
伝達用の媒体５を満たし、ルーバ４を日射量に応じて開
度を自動的に可変できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、２枚のガラスを所定の
間隔をもって対向配設した複層ガラスを用いて構成した
ガラス建具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は複層ガラスを用いて構成した従来
のガラス建具を示す部分斜視図である。スペーサ１４で
枠部を形成し、この外側に乾燥材１５を介在させ、この
乾燥材１５の両側面に特殊な接着テープ１６を配し、更
に乾燥材１６の表面（周面）に接着材１７を配して枠体
を形成している。この枠体を固定部材とし、その両側に
板ガラス１８，１９を対向配設し、枠体の接着テープ１
６及び接着材１７に板ガラス１８，１９を枠体内に乾燥
空気を密封した状態で密着させれば、窓ガラス等のガラ
ス建具が完成する。

【０００３】このように複層ガラスを用いたガラス建具
は、単板ガラスの２倍以上の断熱効果を有することか
ら、冷暖房負荷を軽減することができる。更に、室内外
の温度差が著しい場合でも、結露を防止し、透視性を確
保することができる。また、防音性能を高めることがで
きる特徴もある。

【０００４】なお、上記構成に加え、日射の進入防止、
外景の遮断等の機能を付加したい場合、ブラインドやブ
ラインドボックスを組み合わせる構成が採用されてい
る。更に、日射との連動等の機能を加える場合、ブライ
ンド角度変更と昇降に伴う装置として日射センサ、制御
盤、昇降用モータ、操作盤などの機器や装置を加えた構
成も採用されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
技術にあっては、ブラインドやブラインドボックスの併
用が必要になり、或いは、日射センサ、制御盤、昇降用
モータ、操作盤などの機器や装置を必要とする。このた
め、サッシ部分の大型化及びブラインドボックスの取り
付けに伴う工数及び作業負担の増加やコストアップを招
いていた。また、制御装置（モータ、操作ボックス、接
続配線等）の取り付けが必要になるため、コストアップ
を招くと共に、保守点検の複雑化及び建築施工上の複雑
化を招くという問題がある。

【０００６】そこで、本発明は、構成を簡単にし、保守
点検の簡略化及びコストダウンを可能にするガラス建具
を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、２枚の板ガラスを一定間隔をもって
対向配設し、内部が密封されるように周囲を封止部材に
よって固定した複層ガラスを用いたガラス建具におい
て、前記複層ガラスによる空間内の上下方向に回動可能
に配設され、且つ周囲温度に応じて取付角度が変化する
板状の複数の開閉部材と、前記複層ガラス空間内に満た
される熱伝達用の媒体とを設けるようにしている。

【０００８】この場合、開閉部材は一端を固定したルー
バであると共に、それ自体が形状記憶合金である構成に
することができる。

【０００９】また、開閉部材は、一端が回動可能に支持
された板状体と、この板状体に前記媒体の温度に応じた
回転力を付与する形状記憶合金製の駆動部材とを備えて
構成することができる。

【００１０】前記ルーバ又は板状体の動作角度は、四季
を通して日射をカット可能な第１の角度と、外景を遮断
可能な第２の角度とを含むように設定することができ
る。

【００１１】更に、前記各開閉部材を備えたガラス建具
にあっては、媒体の温度を強制的に変更する媒体温度制
御手段を設けることができる。

【００１２】

【作用】上記した手段によれば、複層ガラス空間内に侵
入した日射は、空間内の媒体を加熱し、その媒体温度は
各開閉部材に伝達され、各開閉部材は媒体温度に応じた
開角度になる。これにより、自動的に屋内に対する日射
量を制御し、また、外景の遮断、断熱、結露防止等を図
ることができる。

【００１３】開閉部材は種々の形状が考えられるが、窓
として用いるガラス建具にあってはルーバが適し、これ
自身が形状記憶合金製であれば、媒体の温度を受けて該
温度に応じた角度にルーバが位置決めされる。したがっ
て、一般のブラインドと同様の機能をルーバに持たせる
ことができ、手動によらず自動的にブラインド機能を発
揮させることができる。

【００１４】又、ルーバは単に遮光部材又は外景制御部
材としての機能を有するものとし、このルーバを駆動す
る部材を形状記憶合金製とすることにより、コストダウ
ンを図ったガラス建具の構成が可能になる。この構成に
よっても、日射量を制御し、また、外景の遮断、断熱、
結露防止等が可能である効果に変わりはない。

【００１５】ルーバや板状体の設計及び取り付けに際
し、四季を通して日射を遮る第１の角度、及び屋外の景
色を見えなくし或いは外から室内を見えなくする第２の
角度を確保できるように形状記憶合金の動作範囲を設定
する。これにより、ブラインドに求められていた機能を
本発明の開閉部材によって満たすことができる。

【００１６】更に、ルーバの現状の開閉状態が屋内の居
住者等にとって満足できない場合がある。そこで、ルー
バの角度を強制的に変更する手段として、媒体の温度を
冷却又は加熱することでルーバの角度を任意の角度位置
に変更することができる。これにより、日射等の状況に
かかわらずユーザの希望に応じた室内環境を形成するこ
とが可能になる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１８】〔実施例１〕図１は本発明によるガラス建
具の第１実施例を示す側面断面図である。

【００１９】２枚の板ガラス１，２は一定間隔に対面配
置され、両者は封止部材３（金属枠と樹脂材、シール材
等の組み合わせによる）によって周囲が固定（必要に応
じて接着材、シール材等を用いる）されている。板ガラ
ス１，２間の空間には、形状記憶合金製のルーバ４（開
閉部材）が上下方向に一定間隔に配設されている。この
ルーバ４はガラリ状に配設され、一端が固定軸によって
支持されている。そして、ルーバ４が形状記憶合金であ
るために、その温度によって厚み方向に形状が変形し、
これによってルーバ角度が変化する。

【００２０】更に、板ガラス１，２間の空間内には、一
方の板ガラスを通して入射する太陽熱を吸収し、これを
ルーバ４の各々へ均一に伝熱する液状の媒体５が空間内
全体を満たす状態で封入されている。したがって、封止
部材３と板ガラス１，２間は、媒体５が外部に漏れ出な
いように密封構造にしている。

【００２１】以上の構成によるガラス建具は、病院、コ
ンピュータ室、図書館など、恒温性と防音性を求められ
る箇所に設置される。

【００２２】このようなガラス建具において、屋外の日
射状態に応じ、ブラインドの様にルーバ４を開閉したい
という要求がある。ガラス建具を通しての屋内への日光
の差し込みは太陽の位置、換言すれば季節及び時間によ
って異なるが、光透過部における日射量が多いときには
屋内への日射を遮り、日射量が少ないときには透過状態
にすることにより快適な居住性が得られる。また、日射
による熱負荷の侵入を防止することもできる。

【００２３】そこで、ルーバ４に要求される角度可変範
囲から、形状記憶合金の素材及びルーバ寸法及び形状を
決定し、また、ルーバ４据え付け時の初期位置を設定す
る。つまり、図２に示すように、ルーバ４の形状記憶合
金による変形量を年間を通して日射の侵入をカットでき
る最低の太陽高度の角度θ2 と、外景を遮断（外景を見
えなくする）できる角度θ1 とを設定することにより、
効果的に遮光及び熱負荷低減が可能になる。

【００２４】日差しが強いほど、また外気温が高いほど
板ガラスを通して入射する外光によって媒体５は温めら
れ、その熱は媒体５に接するルーバ４に伝達される。熱
を受けたルーバ４は、その温度に応じて変形し、上記し
た角度θ1 〜角度θ2 の範囲内の或る角度になる。そし
て、日射量が多いほど、ルーバ４は垂直方向に寄った角
度になる。午前の太陽が登り始めた頃から正午過ぎまで
は、日射量が徐々に増えるため、ルーバ４は水平位置状
態から徐々に角度を下げ、最終的には完全な遮光状態ま
で変化する。一方、日中から夕方、更には夜に向かう過
程では日射量は次第に減少し、最終的には０になる。こ
の場合には、ルーバ４は垂下状態から徐々に上向きにな
り、最終的には水平位置になる。

【００２５】このように、図１に示した実施例によれ
ば、日射量に応じてルーバ４の角度が自動的に変化し、
日射量に応じてブラインドを自動的に変えたのと同様の
動作をさせることができる。しかも、構成的には別部品
によるブラインドを必要とせず、ガラス建具の小型化、
ローコスト化、保守点検の簡略化等が可能になる。ま
た、ルーバ４自体が金属であるため、“閉”状態では電
気的なシールド効果を得ることもできるし又電気的接点
が皆無のため工場敷地内の防爆環境下での使用も可能で
ある。

【００２６】〔実施例２〕図３は本発明によるガラス建
具の第２実施例を示す構成図である。

【００２７】上記した実施例は、日射量に応じてルーバ
４を自動的に開閉でき、手動操作の煩わしさがない。し
かし、日射状況に応じてルーバ４の角度が変化し、ルー
バ４が互いに重なる位置（目隠し状態）、或いは水平位
置（透視状態）にあるとき、この状態が在室者等にとっ
て希望の状態でない場合があり、現状の状態を強制的に
解除したい場合が生じる。

【００２８】本実施例は、このような場合に対処できる
ものであり、外部に媒体温度制御装置６を設け、この媒
体温度制御装置６とガラス建具１０との間を配管７（ガ
ラス建具１０内の媒体５を循環できるように敷設）で接
続し、更に、媒体温度制御装置６にルーバの開、閉を指
示するための操作盤８が信号線９を介して接続されてい
る（媒体温度制御装置６及び操作盤８によって媒体温度
制御手段を形成）。媒体温度制御装置６は、媒体を加熱
する加熱手段（ヒータ等）及び媒体を冷却する冷却手段
（冷水供給装置、冷凍機等）又は加熱・冷却手段に熱電
素子（熱電対）を利用した装置ルーバ４の角度と媒体温
度の関係をテーブルで持っており、角度値、或いは「全
開」、「閉鎖」、「半開」、「結露除去」等の語句によ
って操作盤８で指示できるように構成されている。

【００２９】例えば、屋内・屋外のガラス面が結露状態
にあるとき、これを強制的に結露除去したい場合につい
て説明する。まず、操作盤８を操作し、「結露除去」に
ダイアルを合わせる。この指示を受けた媒体温度制御装
置６は、ガラス面が「結露除去」に相当する温度になる
ように加熱手段を駆動し、ガラス建具１０に送り込む媒
体の温度を加熱する。このようにして所定の温度に加熱
された媒体は、配管７を通してガラス建具１０内へ送り
込まれ、それまでの媒体５と入替えられる。この結果、
媒体５の温度が高くなり、ガラスの表面温度が上がるた
め、ガラス面の結露状態は強制的に除去される。

【００３０】〔実施例３〕図４は本発明によるガラス建
具の第３実施例の主要部の構成を示す側面図である。

【００３１】前記各実施例においては、ルーバ４自身に
形状記憶合金を用いたが、本実施例ではルーバ自身は温
度による変形を生ぜず、ルーバを駆動する部材に形状記
憶合金を用いた構成にしている。

【００３２】図４に示すように、普通の金属又はプラス
チックによるルーバ１１（開閉部材）の回転軸１２には
形状記憶合金製でゼンマイ形に加工された駆動部材１３
の一端が固定され、この駆動部材１３の他端はルーバ１
１の側面に固定されている。駆動部材１３は、周囲温度
が高ければ長さが伸びるように変形し、周囲温度が下が
れば縮むように変形する。この変形に応じてルーバ１１
が図の矢印方向に回動する。

【００３３】このように本実施例では部品点数が増える
ものの、ルーバに形状記憶合金を用いずに済むため、図
１の実施例に比べコストダウンが可能になる。また、ル
ーバが常に同一形状であるため、デザイン的な変化が生
じないという利点もある。なお、この実施例において
も、図３に示した媒体温度制御装置６及び操作盤８を設
け、現状の状態を強制的に解除するようにすることがで
きる。

【００３４】なお、上記実施例においては、ルーバ４が
１枚の状態のまま変形するものとしたが、蟹の挟みの様
に２枚の板部分が開脚する構成にしてもよい。

【００３５】更に、ルーバに鏡面を形成することによ
り、屋内への日射量を低減することができる。また、ル
ーバに着色を施せば、デザインに利用できる他、ディス
プレィ効果を得ることもできる。

【００３６】また、上記実施例においては、ルーバの支
持を上端部で行うものとしたが、下端部で支持するよう
にしてもよい。

【００３７】

【発明の効果】以上説明した通り、この発明は、２枚の
板ガラスを一定間隔をもって対向配設し、内部が密封さ
れるように周囲を封止部材によって固定した複層ガラス
を用いたガラス建具において、前記複層ガラス空間内の
上下方向に回動可能に配設され、且つ周囲温度に応じて
取付角度が変化する板状の複数の開閉部材と、前記複層
ガラス空間内に満たされる熱伝達用の媒体とを設けるよ
うにしたので、自動的に屋内に対する日射量を制御し、
また、外景の遮断、断熱、結露防止等を図ることが可能
になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるガラス建具の第１実施例を示す側
面断面図である。

【図２】本発明にかかるルーバの角度設定の説明図であ
る。

【図３】本発明によるガラス建具の第２実施例を示す構
成図である。

【図４】本発明によるガラス建具の第３実施例の主要部
の構成を示す側面図である。

【図５】複層ガラスを用いて構成した従来のガラス建具
を示す部分斜視図である。

【符号の説明】

１，２ 板ガラス ３ 封止部材 ４，１１ ルーバ ５ 媒体 ６ 媒体温度制御装置 ７ 配管 ８ 操作盤 ９ 信号線 １０ ガラス建具 １２ 回転軸 １３ 駆動部材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の板ガラスを一定間隔をもって対向
   配設し、内部が密封されるように周囲を封止部材によっ
   て固定した複層ガラスを用いたガラス建具において、 前記複層ガラス空間内の上下方向に回動可能に配設さ
   れ、且つ周囲温度に応じて取付角度が変化する板状の複
   数の開閉部材と、前記複層ガラス空間内に満たされる熱
   伝達用の媒体とを具備することを特徴とするガラス建
   具。
2. 【請求項２】 前記開閉部材は一端を固定したルーバで
   あると共に、それ自体が形状記憶合金であることを特徴
   とする請求項１記載のガラス建具。
3. 【請求項３】 前記開閉部材は、一端が回動可能に支持
   された板状体と、この板状体に前記媒体の温度に応じた
   回転力を付与する形状記憶合金製の駆動部材とを備えて
   構成されることを特徴とする請求項１記載のガラス建
   具。
4. 【請求項４】 前記ルーバ又は板状体の動作角度は、四
   季を通して日射をカット可能な第１の角度と、外景を遮
   断可能な第２の角度とを含むことを特徴とする請求項２
   又は３記載のガラス建具。
5. 【請求項５】 前記媒体の温度を強制的に変更する媒体
   温度制御手段を設けることを特徴とする請求項１記載の
   ガラス建具。