JPH0868672A - 盛土崩壊検知装置 - Google Patents

盛土崩壊検知装置

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JPH0868672A
JPH0868672A JP6227228A JP22722894A JPH0868672A JP H0868672 A JPH0868672 A JP H0868672A JP 6227228 A JP6227228 A JP 6227228A JP 22722894 A JP22722894 A JP 22722894A JP H0868672 A JPH0868672 A JP H0868672A
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embankment
collapse
rod
measuring rod
wave
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JP6227228A
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English (en)
Inventor
Takeaki Yamagata
毅章 山形
Yoshiya Suzuki
喜也 鈴木
Satoshi Kobayashi
聡 小林
Takanori Nakaoka
敬典 中岡
Norio Takayanagi
則男 高柳
Toshiaki Sasaki
寿朗 佐々木
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Nippon Koei Co Ltd
West Japan Railway Co
Original Assignee
Nippon Koei Co Ltd
West Japan Railway Co
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Publication date
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 盛土崩壊以外の要因(列車走行など)による
誤動作がなく、かつ長大な盛土に安価で、精度よく常時
計測監視できる装置を得ることを目的とする。 【構成】 細長いウェーブガイド22に高脆性のAE発
生材25を設け、変形に起因してAE波を発生する検知
ロッド21と、AE波を電気信号に変換するAEセンサ
10とを組み合わせたAE計測ロッド20を、鉄道線路
30の盛土32内に、平行に埋設する。盛土32の変位
によってAE計測ロッド20は湾曲し、AE発生材25
に多数のひび割れが生じる。AE波はウェーブガイド2
2を伝播してほとんど減衰することなくAEセンサ10
へ送られ、電気信号に変換される。演算制御部35で
は、フィルタ40で雑音が除去され、盛土32の崩壊に
よる信号と判断すると、この時系列電圧変化情報を基に
して崩壊の発生を実時間で特定し、列車の運転を停止す
るための電気信号を出力して事故を未然に防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道、道路、滑走路な
どの長大盛土の崩壊、変状などを的確に検知し、伝達し
て安全性を確保するために利用される盛土崩壊検知装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道線路は、盛土の上に敷設されている
ため、列車の安全な運行を確保するためには、盛土の崩
壊や変状を常時検知することが極めて重要である。しか
し、従来から、盛土の崩壊や変状を常時検知するには、
人手による監視が行なわれており、盛土の斜面の不特定
箇所の予防的計測や崩壊検知について未だ機器によるシ
ステム化が行なわれていないのが現状である。
【0003】人手による方法では、時間的にも、監視範
囲的にも限界がある。しかるに、一般的な地すべりや地
盤崩壊など、斜面崩壊を検知する方法には、インバー
線による方法(図11、特公平3−9247号公報)、
AEセンサ10を用いたAE直接検知法(図12、特
開昭62−83685号)、AE計測ロッド16を用
いたAE間接検知法(図13、特公平5−23719
号)、その他、図示しないが、光ファイバの局所的な曲
げや断線を検知する方法、水管傾斜計による方法、地中
に埋設したパイプの変形を歪として検出する地中変位計
による方法など、これまでに多数提案されている。
【0004】これら従来の方法をさらに詳しく説明す
る。 インバー線による方法(図11) 地滑りを検知しようとする地面50に、所定間隔で光フ
ァイバ用杭53を打ち込み、上端の作動箱55間に順次
1本の光ファイバ54を貫通する。また、作動箱55か
らインバ線52を引出して別に打ち込んだインバ線用杭
51に連結しておく。
【0005】地面50が地すべりして光ファイバ用杭5
3が流されると、作動箱55の内部のストッパ62がカ
ム58から外れて、図11(b)のように上下ローラ5
6、57が常時付勢されている矢印方向に回転し、カム
58、59により光ファイバ54に局部的な曲げが発生
する。または、図11(c)のように錘60が落下して
カッター61により光ファイバ54が切断される。
【0006】光ファイバ54の局部的な曲げまたは切断
により、後方散乱光の強度が急激に減少して出力特性線
に段差を生じる。すると、地すべり発生時刻と、光パル
スの段差までの往復時間から地すべり発生場所を検出す
る。
【0007】このインバー線による方法では、多数の杭
51、杭53の地中への打ち込み、作動箱55の取付
け、光ファイバ54とインバ線52の引き回しなど、設
置作業が極めて面倒である。
【0008】また、杭51、53の上端部が地上に露出
しているので、地すべり以外の外圧、例えば、風、雨、
雪、倒木、落石、動物などによっても、作動する恐れが
あり、原因の判別ができなかった。また、作動箱55内
に機械的駆動部品を有するので、長期間放置すると動作
しなくなる恐れがある。
【0009】AE直接検知法(図12) 固体が変形または破壊するときの音(AE(アコーステ
ィックエミッション)波、すなわち微小弾性波)を、A
Eセンサ10(PZT)で直接検知する方法で、計測地
盤15に孔をあけ、鉄筋ロッドからなるウェーブガイド
11を埋め込み、セメントミルク14を充填し、ウェー
ブガイド11の両端のAEセンサ10で地盤15の変形
などによる音がセメントミルク14からウェーブガイド
11に直接伝達され、端部のAEセンサ10で電気信号
に変換し、出力するものである。
【0010】このAE直接検知法は、ウェーブガイド1
1に気象等の環境に起因する雑音が混入しやすく、不特
定の種々雑音とAEとの区別が困難であること、AE波
がセメントミルク14を経て外部に散逸するため、急激
に減衰し(η=0.8以上)、測定距離の長い場合の計
測には使用できず、ウェーブガイド11の長さに限度が
ある。
【0011】AE間接検知法(図13) 地盤の塑性的な変形挙動を一旦AE計測ロッド16に伝
達し、この変形に応じてAE計測ロッド16内のグラス
ファイバー・ロジン複合体17が破壊して発する音を間
接的にAEセンサ10で検知する方法で、地盤15の変
形などがセメントミルク14を介してAE計測ロッド1
6に伝達されると、内部の高脆性のグラスファイバー・
ロジン複合体17が変形してひび割れなどの破壊音を発
生し、この音をウェーブガイドとしての鋼管18を介し
て両端のAEセンサ10に伝達し、電気信号に変換し出
力するものである。
【0012】このAE間接検知法は、グラスファイバー
・ロジン複合体17が天然ロジンを主素材としている
が、天然ロジンには、多くの雑物が混入し、品質にばら
つきがあり、イベント数の計測精度を悪くしている。天
然ロジンを使用すると、AE計測ロッド16の変形量と
発生するイベント数との線形性が失われ、計測不能とな
ることがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】一般に、盛土の斜面を
常時計測監視するには、崩壊以外の要因による誤動作を
極力避けなければならない。この点から、前記インバー
線による方法のような表面接地型よりも、AE直接検知
法やAE間接検知法のような地中埋設型の方が有利であ
る。しかし、従来の地中埋設型を鉄道線路の盛土の崩壊
検知に利用しようとすると、鉄道線路を敷設するための
盛土は、あまりにも長大であるため、局所的な地すべり
を検知するセンサをそのまま使用することができない。
また、特に列車の走行時の信号と、盛土崩壊時の信号と
の識別が不完全であり、不必要に列車停止信号を出力し
たり、肝心な崩壊時に出力しなかったりするおそれがあ
るなどの問題があった。
【0014】本発明は、盛土の崩壊以外の要因(例えば
列車走行)による誤動作がなく、かつ、長大な盛土に安
価で、かつ精度よく常時計測監視できる装置を得ること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、細長いウェー
ブガイド22に高脆性のAE発生材25を設け、変形に
起因してAE波を発生する検知ロッド21と、この検知
ロッド21に取付けられ、前記AE波を電気信号に変換
するAEセンサ10とを組み合わせたAE計測ロッド2
0を、盛土32内に、鉄道線路30と平行に埋設し、ま
た、AEセンサ10の出力側に演算制御部35を結合
し、この演算制御部35内に、雑音を除去するバンドパ
スフィルタ40を具備してなる盛土崩壊検知装置であ
る。
【0016】
【作用】盛土32に変位が生じると、AE計測ロッド2
0も変形する。この変形に応じてAE計測ロッド20は
スペーサ24を支点として湾曲し、高脆性のAE発生材
25に多数のひび割れが生じる。AE波はほとんど減衰
することなく伝達される。このAE波は、ウェーブガイ
ド22を伝播してAEセンサ10へ送られ、電気信号に
変換されて演算制御部35に送られる。この演算制御部
35で、盛土32の崩壊による信号と判断すると、この
AE計測ロッド20により得られた時系列電圧変化情報
を基にして、盛土32に発生した崩壊の発生を実時間で
特定し、列車の運転を停止するための電気信号を出力し
て事故を未然に防止する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1は、本発明による盛土崩壊検知装置を用いて、
鉄道線路30の盛土32における崩壊を検知する場合を
示している。鉄道線路30は、通常、地盤15を切り開
き、盛土32を行ない、さらに平坦部分に砕石31を敷
いて鉄道線路30を敷設する。
【0018】前記盛土32には、鉄道線路30と平行
に、AE計測ロッド20が埋設される。このAE計測ロ
ッド20は、イベントの計測精度が高く、かつ距離の長
い場所に使用できるように改良された間接検知型のもの
からなり、詳細は後述する。このAE計測ロッド20
は、1〜数本が、盛土32の被測定地に、所定の深さと
所定の間隔で埋設される。また、崖地側にも盛土32が
なされているようなときには、その盛土32にも必要に
応じてAE計測ロッド20を埋設する。
【0019】前記AE計測ロッド20には、それぞれ一
端部または両端部に、場合によっては中途部分にAEセ
ンサ10が取付けられており、このAEセンサ10のリ
ード線は、演算制御部35に接続される。リード線が長
くなるときには、必要に応じて何段かの増幅器その他の
中継器が介在される。前記演算制御部35、AEセンサ
10、中継器などの電源として、商用電源を用いてもよ
いし、また太陽電池34から供給するようにしてもよ
い。前記演算制御部35の出力側には、列車の運転手な
どに報知するため、発光機37、警報機、表示装置など
の通報機や管制室などに出力する出力部36に接続され
る。
【0020】本発明に使用される前記AE計測ロッド2
0を図2ないし図3にて説明する。このAE計測ロッド
20は、検知ロッド21と、外筒23と、これらの間に
一定間隔で介在されたスペーサ24とからなる。
【0021】前記検知ロッド21は、例えば直径が50
mm程度の鋼管からなるウェーブガイド22と、このウ
ェーブガイド22の中に充填されたAE発生材25とグ
ラスファイバー26の複合材とで構成されている。この
うちAE発生材25が最も重要であり、以下の条件を満
たすものが用いられる。 1)品質管理、品質設計、材料の安定的供給など一定し
た品質の材料であること。このため、天然樹脂に代え
て、石油樹脂が用いられる。 2)微小変形に対しても多数の亀裂が生じる高脆性材料
であること。すなわち、変形による歪が生じると、どこ
でも、しかも数多く亀裂が生じること。このため、1分
子中のモノマー率が高く、規則正しい分子構造を有する
もので、かつ分子量の小さいものが用いられる。 3)太陽の熱や地盤15内の熱により溶融しないこと。
このため、軟化点は少なくとも90℃以上であること。
地熱の発生する場所などで使用する場合には、さらに高
い軟化点のものが必要となる。
【0022】以上のような条件を満足するAE発生材と
して、例えば、芳香族系のモノマーをカチオン共重合さ
せた石油樹脂、具体的には、軟化点140℃、分子量1
350のペトロジン(商品名)#140が用いられた。
【0023】前記AE発生材25に用いられる石油樹脂
は、以上の例に限られるものではなく、石油樹脂の主原
料であるC5およびC9留分であって、これらの組成物で
あるモノマー(例えば、ビニルトルエン、インデン、C
9アルキルベンゼン、スチレンなど)を1または複数種
類を共重合させ、軟化点90℃以上、分子量600〜3
000程度とし、かつ高脆性を有するものであればよ
い。カチオン重合に限らず、ラジカル重合、アニオン重
合であってもよい。
【0024】軟化点は、分子量が大きくなるにつれて高
くなる。また、分子量が同じ場合、芳香族系石油樹脂
は、脂肪族系石油樹脂よりも軟化点が高い。したがっ
て、本発明のAE発生材25には、低分子量で高軟化点
の芳香族系石油樹脂がよりすぐれているが、上記条件を
満足すれば脂肪族系石油樹脂であってもよい。
【0025】前記AE発生材25は、高脆性で、一度に
大規模亀裂が進展するため、微小変形に応じて多数の微
小亀裂とAEが発生するとは限らない。そこで、図2お
よび図3に示すように、AE発生材25の中にグラスフ
ァイバー26を混入することによって、大規模亀裂が一
度に進展することを防止している。グラスファイバー2
6の他、AE発生材25の中にテープ状のグラスファイ
バークロスを軸方向に配列したもの、テープ状のグラス
ファイバークロスを線材にて挾み込み、これを捻じって
撚り線にしたものを、AE発生材25の中心に配置した
もの(この場合、この線材がウェーブガイドを兼ねるこ
とができる)、AE発生材25の中心にグラスファイバ
ー、金網などからなる円筒コイルを配置したものなどが
考えられる。
【0026】図2において、この検知ロッド21の外周
に所定間隔でスペーサ24が嵌合固着される。このスペ
ーサ24は、例えば内径50mm、外径70mm、厚さ
5mmのリング状をなす。また、図4のように、AE計
測ロッド20は、取扱の上から一定長(例えば180c
m)とし、一端から30cm、60cm、60cm、3
0cmの間隔でスペーサ24が取付けられる。このスペ
ーサ24の外周には、塩化ビニールなどの外筒23が被
せられる。また、このスペーサ24は、隙間のあるリン
グ状とし、この隙間にAEセンサ10に接続されたケー
ブル31が通される。前記スペーサ24は、外筒23か
らの応力を検知ロッド21に伝達するものであるが、検
知ロッド21側から外筒23へできるだけAE波を伝播
しないものであることが望ましい。
【0027】以上のようにして構成されたAE計測ロッ
ド20は、一定長のまま現場に運ばれ、盛土32に埋設
する際に数10m〜数100mに連結される。連結する
には、検知ロッド21の端面と外筒23の端面は、完全
に一体となるように、溶融、接着剤、連結具などを用い
て行なう。このAE計測ロッド20の一端面または両端
面に、必要に応じて中途部分に、AEセンサ10が取付
けられる。盛土32に埋設する場合、計測すべき盛土3
2を掘り起こし、場合によっては計測地点に孔をあけ、
AE計測ロッド20の回りにセメントミルク14、山砂
などを充填して盛土32とのなじみをよくする。
【0028】この状態で盛土32に変位が生じると、A
E計測ロッド20も変形する。この場合、盛土32の変
位は、外筒23、スペーサ24を介して検知ロッド21
に伝えられる。外筒23とウェーブガイド22の間は、
スペーサ24の部分を除いて空隙27となっているか
ら、AE計測ロッド20はスペーサ24を支点として湾
曲し、高脆性からなるAE発生材25に多数のひび割れ
が生じる。すなわち、スペーサ24が一定間隔で設けら
れ、かつ空隙27を有するので、AE計測ロッド20が
局部的に変形しても、ウェーブガイド22は大きな曲率
半径で湾曲し、したがって、発生するひび割れが小さ
く、かつ数多く発生する。このとき、スペーサ24は、
外筒23からの変形を検知ロッド21に伝達するが、検
知ロッド21側から外筒23へできるだけAE波を伝播
しないものが用いられるので、AE波の減衰が小さく
(η=0.1以下)、したがって、遠くまで伝達され
る。
【0029】このひび割れに伴うAE発生材25の破壊
音がウェーブガイド22を伝播してAEセンサ10へ送
られ、このAEセンサ10で電気信号に変換されて演算
制御部35に送られる。この演算制御部35で、盛土3
2の崩壊による信号と判断すると、発光機37、警報
機、表示装置などの通報機を作動するとともに、出力部
36を介して管制室などへ出力する。すなわち、AE計
測ロッド20により得られた時系列電圧変化情報を基に
して、盛土32に発生した崩壊の発生を演算制御部35
で実時間で特定し、列車の運転を停止するための電気信
号を出力して事故を未然に防止する。
【0030】つぎに、鉄道線路30を敷設する盛土32
の場合、盛土32の崩壊による信号以外の主たる雑音源
は、列車の走行である。この列車走行時のデータの採取
実験と、その結果を説明する。まず、AE計測ロッド2
0の固有のAE波がどのような特性を有するかを確認す
るため、図5に示す回路を準備した。AE波を計測する
ため、検知ロッド21のAE発生材25に針を圧入し、
亀裂を生じさせてAEセンサ10で受感し、さらに1〜
5kHzのバンドパスフィルタ40を通してディジタル
ストレージスコープ42で計測したところ、図7に示す
ように略4kHzのAE波が確認された。この周波数
は、AE発生材25の材質によって変動するが、同一材
質で、かつ品質が一定であれば、発生媒体固有のもので
ある。なお、図5において、38は遮音材、41はテー
プレコーダ、43はAEアナライザである。このうち、
AEアナライザ43は、後述する図9および図10にお
けるAE計測ロッド20の変形量とAE波の累計数の相
関関係を確認するためものである。
【0031】つぎに、列車走行時の雑音集音のため、図
6に示すように、盛土32に3本のAE計測ロッド20
を埋設した。このAE計測ロッド20の埋設に際して
は、幅30cmの溝を掘り、細砂を敷き詰め、その上に
AE計測ロッド20を設置埋設した。上段、中段、下段
のAE計測ロッド20a、20b、20cは、それぞれ
水平距離が4.0m、4.9m、5.7m、垂直距離が
1.2m、1.8m、2.6mとした。
【0032】この状態で列車を走行させ、前記バンドパ
スフィルタ40を通さずに計測したところ、上段、中
段、下段のAE計測ロッド20a、20b、20cのい
ずれも走行音を受感した。ただし、出力レベルは、上段
を1とすると、中段は約0.5、下段は約0.4と下方
に従い小さくなった。また、周波数を分析すると、上
段、中段、下段のAE計測ロッド20a、20b、20
cのいずれも図8のAのように数100Hz以下の低周
波であった。そこで、AE波だけを通すように、1〜5
kHzの前記バンドパスフィルタ40を通してディジタ
ルストレージスコープ42で計測したところ、図8のB
に示すように、レールの継目と車輪によって生じる大き
な音をはじめ、走行音はどの位置の収録データからもす
べて除去された。
【0033】つぎに、列車走行時の雑音以外の他の雑音
として、 ・人の走行 ・降雨 ・温度変化 ・地盤変動(例としてバックホーによる掘削) の各場合について計測確認を行なったが、上段、中段、
下段のAE計測ロッド20a、20b、20cのいずれ
も感知しなかった。
【0034】つぎに、最も重要な盛土32の崩壊実験に
よる計測結果について述べる。図9に示す盛土32を作
り、内部に上段、中段、下段のAE計測ロッド20a、
20b、20cを埋設する。さらに詳しくは、盛土32
の高さを4mとし、地盤15を1.0m:0.6mの階
段状にし、その側面に盛土32を行なう。この盛土32
は、天部で水平に1.0mで、法面の勾配を1:0.6
とする。崩壊が起こりやすいように、上面の途中から斜
め方向に山砂45を敷き詰めた。また、上段のAE計測
ロッド20aは、法肩から内側に0.25mで天部から
0.5m、中段のAE計測ロッド20bは、法肩から外
側に0.25mで天部から1.5m、下段のAE計測ロ
ッド20cは、法肩から外側に1.25mで天部から
3.5mの各位置に埋設した。盛土32の法面には、崩
壊を防止する抑えパネル46を当てておいた。
【0035】この状態で盛土32の掘削、法面の抑えパ
ネル46の撤去、天端部分への散水の順序で行なった。
すると、散水後約10分経過後に崩壊が生じた。崩壊の
形態と形状はつぎのとおりである。斜面表面の至る所で
肌落ちが観察され、1つの土塊が最終的に一気に滑り落
ちた。この間、1〜2分であり、崩壊土塊の移動は、数
秒間起こった。この崩壊によって、中段のAE計測ロッ
ド20bの斜面側が露出した。その後散水の再開によ
り、上段のAE計測ロッド20aの斜面側の露出、引き
続きその背面土塊が断続的に流れるような崩壊が観察さ
れた。
【0036】以上のような崩壊に伴い上段のAE計測ロ
ッド20aと中段のAE計測ロッド20bでは、図10
(a)(b)のようなAE波が計測された。しかし、下
段のAE計測ロッド20cには、AE波は発生しなかっ
た。この図からつぎのことがわかる。散水開始による崩
壊の前兆として小さなAE波が発生し、約4分経過後か
ら1〜2分の間、中段のAE計測ロッド20bの斜面土
塊の崩壊で、この中段のAE計測ロッド20bに多くの
イベントが発生している。この時、上段のAE計測ロッ
ド20aの斜面土塊の崩壊が少ないので、この上段のA
E計測ロッド20aによるイベント数は少ないが、確実
にAE波は発生している。さらにそれから約2分経過後
に散水を再開したことにより上段のAE計測ロッド20
aの露出、背面土塊の流出が生じて、上段のAE計測ロ
ッド20aと中段のAE計測ロッド20bから多くのイ
ベントが発生している。
【0037】なお、以上のデータは、AE計測ロッド2
0の一端部のAEセンサ10からの出力に基づくもので
あるが、AE計測ロッド20の両端にAEセンサ10を
設けることによって、出力波形に時間的ずれが生じるの
で、この時間的ずれのデータから崩壊の発生位置を知る
ことができる。
【0038】
【発明の効果】
(1)AE波の減衰が極めて小さいので、AE波を発生
するAE計測ロッド20を長大な鉄道線路などを敷設す
るための盛土にそのまま利用できる。 (2)AEセンサ10の出力側に演算制御部35を結合
し、この演算制御部35内に、雑音を除去するバンドパ
スフィルタ40を具備するとともに、入力したAE波を
盛土32の崩壊による信号として実時間で特定し、かつ
列車を停止するための信号を出力する回路を具備するこ
とにより、特に列車の走行時の信号と、盛土崩壊時の信
号とを明確に識別でき、不必要に列車停止信号を出力し
たり、肝心な崩壊時に出力しなかったりすることがな
い。
【0039】(3)AE計測ロッド20と演算制御部3
5を稼働するための電源として太陽電池34を具備する
ことにより、予測できない災害を常時監視できる。 (4)検知ロッド21の両端にAEセンサ10を取付け
ることにより、これら2つのAEセンサ10の時系列電
圧変化情報により崩壊発生位置の標定を行なうことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による盛土崩壊検知装置の一実施例を示
す斜視図である。
【図2】本発明の盛土崩壊検知装置に用いられたAE計
測ロッド20の一部切り欠いた正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2におけるAE計測ロッド20の全体の正面
図である。なお、図面の都合上、直径は長さに比較して
太く描いてある。
【図5】図1におけるAE計測ロッド20と演算制御部
35の詳細なブロック図である。
【図6】列車走行音検出実験のためのAE計測ロッド2
0の埋設説明図である。
【図7】AE計測ロッド20におけるAE波の波形図で
ある。
【図8】列車走行音の出力波形図Aとフィルタ40通過
後の波形図Bである。
【図9】盛土32崩壊実験のためのAE計測ロッド20
の埋設位置と、盛土32崩壊の説明図である。
【図10】図9による崩壊実験時の上段のAE計測ロッ
ド20aと中段のAE計測ロッド20bのAE波の波形
図である。
【図11】従来のインバー線による地すべり検知装置の
説明図である。
【図12】従来のAE直接検知方法による地すべり検知
装置の説明図である。
【図13】従来のAE間接検知方法による地すべり検知
装置の説明図である。
【符号の説明】
10…AEセンサ、11…ウェーブガイド、14…セメ
ントミルク、15…地盤、16…AE計測ロッド、17
…グラスファイバー・ロジン複合体、18…鋼管、19
…塩ビ管、20…AE計測ロッド、21…検知ロッド、
22…ウェーブガイド、23…外筒、24…スペーサ、
25…AE発生材、26…グラスファイバー、27…空
隙、28…ケーブル、30…鉄道線路、31…砕石、3
2…盛土、34…太陽電池、35…演算制御部、36…
出力部、37…発光機、38…遮音材、40…バンドパ
スフィルタ、41…テープレコーダ、42…ディジタル
ストレージスコープ、43…AEアナライザ、44…崩
壊土塊、45…山砂、46…抑えパネル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 聡 大阪府大阪市北区芝田二丁目4番24号 西 日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 中岡 敬典 大阪府大阪市北区芝田二丁目4番24号 西 日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 高柳 則男 茨城県稲敷郡茎崎町高崎2304番地 日本工 営株式会社中央研究所内 (72)発明者 佐々木 寿朗 茨城県稲敷郡茎崎町高崎2304番地 日本工 営株式会社中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細長いウェーブガイド22に高脆性のA
    E発生材25を設け、変形に起因してAE波を発生する
    検知ロッド21と、この検知ロッド21に取付けられ、
    前記AE波を電気信号に変換するAEセンサ10とを組
    み合わせたAE計測ロッド20を盛土32内に埋設する
    ことを特徴とする盛土崩壊検知装置。
  2. 【請求項2】 盛土32内に、鉄道線路30と平行にA
    E計測ロッド20を設置するようにした請求項1記載の
    盛土崩壊検知装置。
  3. 【請求項3】 AEセンサ10の出力側に演算制御部3
    5を結合し、この演算制御部35内に、雑音を除去する
    バンドパスフィルタ40を具備してなる請求項1または
    2記載の盛土崩壊検知装置。
  4. 【請求項4】 演算制御部35は、入力したAE波を盛
    土32の崩壊による信号として実時間で特定し、かつ列
    車を停止するための信号を出力する回路を具備した請求
    項3記載の盛土崩壊検知装置。
  5. 【請求項5】 盛土32の崩壊による列車を停止するた
    めの信号により作動する発光機37、警報機、表示装置
    などの通報機を具備してなる請求項4記載の盛土崩壊検
    知装置。
  6. 【請求項6】 AE計測ロッド20および/または演算
    制御部35を稼働するための電源として太陽電池34を
    具備してなる請求項1、2、3、4または5記載の盛土
    崩壊検知装置。
  7. 【請求項7】 検知ロッド21の両端にAEセンサ10
    を取付け、これら2つのAEセンサ10の時系列電圧変
    化情報により崩壊発生位置の標定を行なうようにした請
    求項1、2、3、4、5または6記載の盛土崩壊検知装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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