JPH0859501A - 医薬組成物 - Google Patents

医薬組成物

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JPH0859501A
JPH0859501A JP6200775A JP20077594A JPH0859501A JP H0859501 A JPH0859501 A JP H0859501A JP 6200775 A JP6200775 A JP 6200775A JP 20077594 A JP20077594 A JP 20077594A JP H0859501 A JPH0859501 A JP H0859501A
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JP
Japan
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peptide
plc
binding
protein
antibody
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JP6200775A
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English (en)
Inventor
Masahito Hirata
雅人 平田
Hitoshi Yagisawa
仁 八木澤
Akira Awaya
昭 粟屋
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 イノシトールリン酸化合物類のタンパク質な
どとの結合を調節する医薬の開発。 【構成】 Lys−Val−Lys−Ser−Ser−
Ser−Trp−Arg−Arg−Glu−Arg−P
he−Tyr−Lysなるアミノ酸配列を少なくとも含
むペプチドあるいは該アミノ酸配列の一部を含むペプチ
ドを含む医薬組成物、もしくは当該ペプチドに対する抗
体を含む医薬組成物。 【効果】 本発明の医薬組成物は、イノシトールリン酸
化合物類がその結合する相手のタンパク質、ペプチドな
どと結合する際に、その結合を阻害する。それによっ
て、細胞内カルシウム(Ca)放出糸が介在する広範な
生理作用によって惹起される様々な病態・疾患を予防・
治療することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な、循環器系疾患、
炎症性疾患、精神・神経系疾患、内分泌系疾患、悪性腫
瘍・癌などの疾患に対する医薬、診断薬に関するもので
ある。さらに詳しくいえば、イノシトールリン酸化合物
類がその結合する相手のタンパク質、ペプチドなどと結
合する際に、その結合を阻害することによって、細胞内
カルシウム(Ca)貯蔵小胞体からのCaの放出などに
基づく広範な生理作用によって惹起される様々な病態・
疾患を予防・治療する医薬およびこれら生体反応が関係
する病態・疾患に対する診断薬に関するものである。
【0002】さらに上記の相手のタンパク質、ペプチド
がホスホリパーゼC並びにその断片ペプチドである場
合、イノシトールリン酸化合物類が結合するのを調節す
ることによって、ホスホリパーゼCの作用を制御し、そ
れに引き続く情報伝達系、細胞内Ca放出系などを介し
て惹起される様々な病態・疾患を予防・治療する医薬お
よびこれら生体反応が関係する病態・疾患に対する診断
薬に関するものである。
【0003】
【従来の技術】イノシトール類、特にミオイノシトール
のリン酸エステル化合物は天然にフィチン酸として存在
する。フィチン酸はイノシトールヘキサ(六)リン酸化
合物である。また近年の細胞生物学の研究の進展によ
り、イノシトールトリ(三)リン酸(IP3 )、イノシ
トールテトラ(四)リン酸(IP4 )などの細胞内情報
伝達系における役割がかなり明らかにされてきた。
【0004】即ちホルモンや増殖因子や各種の細胞外刺
激因子などのリガンド、アゴニストの刺激に対して、そ
れらに対応する受容体(レセプター)が反応して、ホス
ファチジルイノシトール等の加水分解に端を発するイノ
シトールリン脂質代謝が亢進し、IP3 ,IP4 などの
イノシトールリン酸化合物が細胞内に放出され代謝され
てゆく。IP3 については、細胞内Ca貯蔵小胞体膜上
のIP3 レセプターと結合し、このIP3 レセプターが
構成する細胞内膜系Ca放出チャンネルを介して、Ca
が細胞質内に放出されることが明らかにされてきた。
【0005】本発明者らはIP3 ,IP4 等イノシトー
ルリン酸化合物の全化学合成に最初に成功し特許出願し
た(日本国特許番号1737330号)。またIP3
IP 4 等イノシトールリン酸化合物の各種誘導体を化学
合成し、IP3 アゴニストあるいはIP3 アンタゴニス
トとしての生物活性を検索してきた(特願平1−245
161、特願平2−210263)。
【0006】さらにそれら各種誘導体をセファロースな
どに結合させたイノシトールリン酸化合物担持のセファ
ロースカラムを作製し特許出願した(特願平4−178
394)。そしてそのイノシトールリン酸化合物担持ア
フィニティーカラムを用いて、イノシトールリン酸化合
物結合タンパク質を動物の臓器抽出物等より分離・精製
する研究を行ってきた。そしてラット大脳抽出物より、
IP3 結合タンパク質として分子量130KDと85K
Dのタンパク質を単離することができ(Hirata,
M.et al;J.Biol.Chem.,267
6518−6525,(1992))、それぞれの一部
ペプチド断片の構造解析を行ったところ、130KDタ
ンパク質は、現在研究途上であるが、文献未知のタンパ
ク質であり、85KDタンパク質は本発明者らが別途S
HRラット血管平滑筋細胞よりpCD2ベクターを用い
てcDNAライブラリーを構築し、クローニングしてい
たホスホリパーゼCのδ1型アイソザイム(PLC−δ
1)(Yagisawa,H.et al:J.Hyp
ertens.,,997〜(1991))であるこ
とが明らかとなった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】PLC−δ1はホスフ
ァチジルイノシトール類を加水分解し、IP3等イノシ
トールポリリン酸類とジアシルグリセロールに変換する
酵素であるが、PLC−δ1がIP3 結合タンパク質で
あるということは、とりもなおさず反応産物であるIP
3 がPLC−δ1酵素に結合し、この代謝反応系を制御
している可能性を示唆していることになるし、またIP
3 はPLC−δ1とどのように結合しているのか、IP
3 はPLC−δ1のどのペプチド断片ドメインと結合す
るのかという問いが発せられる。
【0008】この問いに解答を与えることは、PLC類
の異常発現の病態、PLC類の作用調節などホスファチ
ジルイノシトール代謝系の代謝調節を解明することにな
るし、更にはイノシトールリン酸化合物類と、イノシト
ールリン酸化合物類に対する細胞内Ca貯蔵小胞体膜上
のレセプターとの結合に端を発する、Caの放出などに
基づく広範な生理作用によって惹起される様々な病態・
疾患を制御できる方策を考案させるものと想到した。
【0009】このような考察のもとに本発明者らはPL
C−δ1を材料として、イノシトールリン酸化合物の結
合ペプチドドメイン、コアを鋭意探索した結果、そのコ
ア部位を絞り込み、その断片ペプチドを化学合成し、更
にはその断片ペプチドに対する抗体も作製し、その断片
ペプチド自身およびこの抗体が、イノシトールリン酸化
合物とPLC−δ1の結合を、濃度依存的に促進ないし
阻害することを明らかにするに及び、これら試剤が薬物
としてPLC活性はじめ生体のホスファチジルイノシト
ール代謝過程を調節・制御できる可能性を示し、本発明
を完成するに至った。
【0010】即ち本発明の目的はイノシトールリン酸化
合物類が、その結合する相手のタンパク質、第1のペプ
チドなどと結合する際に、その結合を促進ないし阻害す
る第2のペプチドないしは、その結合を阻害する第2の
ペプチドに対する抗体を含む医薬組成物を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上に記した
既にクローニングしたPLC−δ1遺伝子をグルタチオ
ンS−トランスフェラーゼ(GST)などのタンパク質
との融合タンパク質の形で、大腸菌等で発現させた。
【0012】そして大腸菌を破砕後、その上清をIP3
等を担持したセファロースや樹脂にアプライし、0.5
M−食塩(NaCl)溶液で洗浄した後、2M−NaC
l溶液で吸着蛋白を溶出した。
【0013】この分画あるいは更にゲルロ過を行った分
画のIP3 結合活性とSDS−電気泳動パターンを調べ
ると、このレコンビナントPLC−δ1もIP3 結合活
性を有し、天然のPLC−δ1と同じ85KDの位置に
バンドが泳動した。
【0014】そこで本発明者らはPLC−δ1分子のど
のドメイン、コアがIP3 結合を担っているのかを調べ
るために、図1に示すような様々な欠失ミュータント
(Construct 2−6)を作り、同様に大腸菌
に発現させ、欠失ミュータントタンパクを得たり、ま
た、Full Constructを大腸菌に発現させ
て得たタンパクをトロンビンやトリプシンなどのプロテ
アーゼで消化したタンパクを得た。そして各々のタンパ
クを含有する試料について、IP3 結合(阻害)活性を
調べた。
【0015】IP3 結合(阻害)能を測定する系として
はたとえば、50mM Tris−HCl,pH8.
3,1mM EDTAを含む反応液を用いることができ
る。この反応液にIP3 結合タンパクや阻害作用のある
分画を添加しその活性を測定する。1nM[3 H]IP
3 (22.000dpm)を加えて総量を0.45ml
とし、氷中で15分間放置する。
【0016】50μlの10mg/mlウシガンマグロ
ブリンと0.5mlの30%(w/v)ポリエチレング
リコール6000を加えて氷中でさらに5分間放置す
る。
【0017】その後、15.000回転で5分間遠心し
て、上清を注意深く除き、沈殿に1mlの0.1NNa
OHを加えて沈殿を溶解する。
【0018】ついで、10mlのシンチゾールEX−H
(同仁化学社製)とよく混和して液体シンチレーション
カウンターで測定する。
【0019】非特異的結合は1μM非放射性IP3 を含
んだ条件で行い(通常は150−200dpm程度)、
活性から引き算をして特異的結合活性を求めることがで
きる。
【0020】図2に例示するが、各々のタンパクを含む
大腸菌の破砕上清そのもののIP3結合活性をAに示
し、大腸菌の破砕上清をグルタチオン−セファロースカ
ラムにかけ、グルタチオンで競合溶出させた分画のIP
3 結合活性をBに示し、また大腸菌の破砕上清をIP3
担持担体カラムにアプライして、2M−NaCl溶液で
溶出させた分画のIP3 結合活性をCに示す。
【0021】いずれのタンパク含有液を試験しても、C
onstruct2および3由来のタンパクはIP3
合活性が殆んど消失することがわかり、PLC−δ1の
IP 3 結合性ドメインはアミノ末端から223番目まで
の範囲のタンパク部分にあることがわかった。
【0022】一方Full Constructを大腸
菌に発現させ、その破砕上清をグルタチオン−セファロ
ースカラムにかけ、よく洗浄して、非特異的吸着タンパ
クを洗い去った後、トロンビン等で限定分解し、GST
とPLC−δ1との隔合部位を切断して、前述のように
85KDの分子サイズを持つPLC−δ1が得られた。
【0023】またこのトロンビン等のプロテアーゼ処理
により、PLC−δ1タンパク中の特定の部位で開裂が
起こり、一部のペプチド断片が欠損したタンパクが得ら
れる可能性が考えられた。
【0024】実際たとえば、トロンビンを用いた場合、
トロンビン量を増やしたり、あるいは処理時間を長目に
設定したりすると85KD分子とともに76KD分子も
併せて生成してきた。
【0025】この85KD分子と76KD分子とを分離
するため、この混合物をDEAE−陰イオン交換樹脂カ
ラムなどにかけた。この結果を図3のAに例示する。
【0026】各分画についてSDS−電気泳動を行うと
両分子が分離されることが分かる(B)。
【0027】各分画についてIP3 結合活性とPLC−
δ1活性を併せて測定すると、76KD分子はIP3
合活性が欠落していることが明らかとなった。85KD
および76KDの両分子のアミノ末端からの配列を決め
ると、85KD分子は−5から始まり、-5GSRST1
MDSGRDFPTLHであり、一方76KD分子はP
LC−δ1の61番目から始まって61SPESQLFS
IEDIQであった。
【0028】これらの結果からPLC−δ1のアミノ末
端から60番目までにIP3 結合性ドメインが存在する
と結論づけられた。
【0029】そこでPLC−δ1の60番目までのアミ
ノ酸配列を精査すると、30番から43番にかけて正に
荷電した塩基性アミノ酸のクラスターが存在することに
気づき、この14個のアミノ酸残基のペプチドコアKV
KSSSWRRERFYKを化学合成することにした。
【0030】ペプチド合成は固相法でも、液相法でも実
施しうる。アプライドバイオシステム431Aペプチド
合成機などを用いて、所望のペプチドをFmoc(N−
(9−fluorenyl)methoxycarbo
nyl)cleavagemethodなどの方法によ
り合成することが簡便である。
【0031】PLC−δ1(30−43)のペプチドの
他、N端にCys残基を付加したペプチド、さらにこの
配列と組成は同じであるが配列の中に極性アミノ酸を均
等に分散するように設計した配列(WKSRFKSER
YKSRV)のN端にCys残基を付加したペプチドも
合成し、これらをN−Cys−PLC−δ1(30−4
3)、N−Cys−PLC−δ1(random30−
43)と表わした。
【0032】PLC−δ1のこの14残基の塩基性ペプ
チドコアとは構造的には無関係であるが、同じくらいの
大きさの塩基性ペプチドを対照ペプチドとして作製し
た。
【0033】即ちラット肝臓UDP−グルクロノシルト
ランスフェラーゼ(Iyanagi,T.,et a
l:J.Biol.Chem.,261,15607−
15614,(1986))の516−529残基に対
応するUDP−GT(516−529):GKGRVK
KSHKSKTHおよびラット肝臓UDP−グルクロノ
シルトランスフェラーゼアイソフォームA−18(Iy
anagi,T.:J.Biol.Chem.,26
,24048−24052,(1991))の85−
98残基に対応するUDP−GT(85−98):FQ
NENVTAAFVELGそしてヒトビタミンD3レセ
プター(Baker,A.et al:Proc.Na
tl.Acad.Sci.U.S.A.,85,329
4−3298,(1988))の106−120残基に
対応するVitD3 R(106−120):MILKR
KEEEALKDSLを上記同様431Aペプチド合成
機で合成した。
【0034】これら合成したペプチドはμ−Bonda
sphere 5μ−C18−100Åカラム(Wate
rs,3.9×15cm)を用いた逆相HPLC等によ
り精製することができる。
【0035】これら合成したペプチドをBSA(bov
ine serum)(albumin)やKLH(k
eyhole limpet hemocyanin
e)とコンジュゲートさせ、前記同様にIP3 結合活性
を調べると、図5に例示するようにBSA−N−Cys
−PLC−δ1(30−43)は量に応じてIP3 結合
活性が増大してゆくが、対照のBSA−N−Cys−P
LC−δ1(random30−43)やKLH−N−
Cys−UDP−GT(516−529)などの他の合
成ペプチドでは殆んど著明なIP3 結合活性は観察でき
なかった。
【0036】従ってPLC−δ1(30−43)ペプチ
ド断片が、IP3 濃度1nMという低濃度でも、特異的
に高親和にIP3 結合活性を有していることが分かっ
た。
【0037】一方、上記の30−43番目の領域内の塩
基性アミノ酸を酸性アミノ酸に置換したPLC−δ1を
GSTとの融合タンパクの形で得るべくsite−di
rected mutagenesisを行い、GST
−PLC−δ1アナローグ融合タンパクを製造し、IP
3 結合能を同様にして調べたが、30番目のKをEに、
32番目のKをEに、37番目のRをDに、38番目の
RをEに、40番目のRをDに、43番目のKをEに、
37,38番目の2つのRをDEに変換したこれら融合
タンパク質にはIP3 結合活性がないことが分かり、3
0−43番目の本発明のペプチド断片の特異的なIP3
結合能がさらに確証された。
【0038】ついで、N−Cys−PLC−δ1(30
−43)とKLHやBSAとのコンジュゲートをウサギ
に免疫し、抗血清を得、さらにN−Cys−PLC−δ
1(30−43)の結合した抗原カラムを通して、抗P
LC−δ1(30−43)ペプチド精製IgG抗体を得
た。さらにこのIgGをパパイン処理してFab抗体を
得た。
【0039】そしてこれら抗体が、レコンビナントPL
C−δ1に対するIP3 結合をどの程度阻害するかを検
討したところ、図6に例示するように、抗PLC−δ1
(30−43)whole IgG抗体は量を増加させ
ても、PLC−δ1のIP3結合阻害はかからないまま
であったのに対して、抗PLC−δ1(30−43)F
ab−モノマー抗体は量をふやすにつれ、PLC−δ1
へのIP3 結合は顕著に阻害されることが分かり、PL
C−δ1(30−43)がIP3 結合コアであることが
更に明らかにされた。この知見において、whole
IgGでは立体的に大きく、PLC−δ1(30−4
3)をとりまく環境には入れないと考えられた。
【0040】他方、PLC−δ1(30−40)ペプチ
ド断片について同様の試験を行ったところ、本ペプチド
断片を共存させるとPLC−δ1へのIP3 結合を促進
することが分かった。
【0041】これらの結果に加え、本発明のPLC−δ
1(30−40)ペプチドおよび該ペプチドに対するI
gGのFab断片抗体のPLC−δ1活性に及ぼす効果
を調べたところ、PLC−δ1(30−40)はPLC
−δ1活性を亢進すること、一方Fab抗体はPLC−
δ1活性を抑制することが明らかにされた。
【0042】これら知見はこれら試剤が薬物として、ホ
スファチジルイノシトール代謝過程やIP3 等イノシト
ールリン酸化合物が結合する種々のタンパク質を調節・
制御できる可能性を示唆するものである。
【0043】実際、PLC−δ1(30−40)ペプチ
ドコアとIP3 との結合は、他のリン酸化合物たとえば
D−1,4,5,6−イノシトール四リン酸(IP
4 )、イノシトール六リン酸(IP6 )、ATPなどの
添加によって置換・妨害されることも一方で明らかにさ
れ、PLC−δ1のこのペプチドコアにおける各種生体
物質との相互作用が、本発明のPLC−δ1(30−4
3)ペプチドや該ペプチドに対するIgGのFab断片
抗体などの薬剤によって調節・制御できる可能性がある
ことも示唆される。
【0044】なお本発明の抗体は必要に応じ、ヒト型抗
体にかえ提供することができる。
【0045】本発明のPLC−δ1(30−43)ペプ
チドおよび該ペプチドに対する抗体を有効成分として含
有する医薬組成物、あるいは診断薬は、イノシトールリ
ン酸化合物類がその結合する相手のタンパク質、ペプチ
ドなどと結合する際に、その結合を阻害することによっ
て、細胞内カルシウム(Ca)貯蔵小胞体からのCaの
放出などに基づく広範な生理作用によって惹起される様
々な病態・疾患を予防・治療する医薬およびこれら生体
反応が関係する病態・疾患に対する診断薬として有用で
ある。
【0046】また上記の相手のタンパク質、ペプチドが
ホスホリパーゼC並びにその断片ペプチドである場合、
イノシトールリン酸化合物類が結合するのを阻害するこ
とによって、ホスホリパーゼCの作用を制御し、それに
引き続く情報伝達系、細胞内Ca放出系などを介して惹
起される様々な病態・疾患を予防・治療する医薬および
これら生体反応が関係する病態・疾患に対する診断薬と
して有用である。
【0047】従ってこのような病態がかかわる循環器系
疾患、炎症性疾患、精神・神経系疾患、内分泌系疾患、
悪性腫瘍・癌などの疾患に対する医薬、診断薬として本
発明のペプチド断片および該ペプチド断片に対する抗体
は用いることができる。
【0048】本発明のペプチドあるいは該ペプチドに対
する抗体を有効成分とする医薬組成物は、必要に応じた
各種添加剤と混合することによって調製することができ
る。該添加剤としては、例えばアルブミン、ゼラチン、
デキストラン、Tween80などのポリソルベート系
等の非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油、脂肪酸アルコールエステル、ポリグリコールエー
テル、リン酸緩衝生理食塩水、各種アミノ酸、各種有機
酸、デキストロース、マンニトール、グルコース、キシ
リトール、乳酸、ショ糖、ガラクトース、フラクトー
ス、マルトース、サッカロース、ソルビトールなどの糖
類、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン
等を挙げることができ、これらの1種または2以上を組
み合せて用いることができる。 更に、本発明の医薬用
組成物は、製薬的に許容される担体等の添加剤として、
上記の例示物の他に、充填剤、結合剤、滑沢剤、温潤
剤、崩壊剤、乳濁および懸濁液、保存剤、希釈剤、甘味
剤あるいは芳香剤等として作用する各種物質を含有し得
る。
【0049】これらの添加剤の例としては、とうもろこ
し澱粉、結晶セルロース、アラビアゴム、リン酸カルシ
ウム、アルジネート、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロ
ース、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、ゼラ
チン、シロップ、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、メチルヒドロキシ安息香酸エステル、プロ
ピルヒドロキシ安息香酸エステル、タルク、ステアリン
酸マグネシウム、不活性なポリマー類、水及び鉱油等が
挙げられる。
【0050】なお、本発明の医薬組成物は、投薬の後の
活性成分の放出速度が所望に応じて制御されるように処
方しても良い。
【0051】錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤等
の経口投与の場合、又は静脈内点滴もしくは注射、ある
いは筋肉内注射等の非経口投与の場合、本発明のペプチ
ドないし該ペプチドに対する抗体の有効量を、ブドウ糖
水溶液、等張食塩水、無菌水あるいは類似の液体に溶解
し、バイアルまたはアンプルに密封することができる。
【0052】なお、バイアルまたはアンプル剤とした場
合には、その安定性を向上させるために、本発明のペプ
チドないし該ペプチドに対する抗体の凍結乾燥品をバイ
アルやアンプル内で調製しても良い。本発明のペプチド
ないし該ペプチドに対する抗体は軟膏剤としても投与す
ることができる。本発明の医薬組成物中での本発明のペ
プチドないし該ペプチドに対する抗体の含有量は、必要
に応じて適宜選択すれば良いが、例えば単位投薬量形状
あたり、0.1μg〜200mg程度とすることができ
る。
【0053】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 PLC−δ1タンパク質遺伝子発現系の構築 ラットPLC−δ1の発現に用いたプラスミド:pGS
T3/PLC−δ1の構築は以下のように行った。
【0054】ファルマシア社のグルタチオンSトランス
フェラーゼ融合タンパク質遺伝子発現ベクター:pGE
X−2TのマルチプルクローニングサイトをBamHI
部位ならびにEcoRI部位で切断し、BamHI部位
を部分塩基導入したのち、pBluescriptII
(KS+)(東洋紡)のマルチプルクローニングサイト
の一部(XhoI、EcoRI断片の後XhoI部位を
部分塩基導入して前者の修飾BamHI部位と相補性を
持たせたもの)を結合し、これをpGST3とした。
【0055】ラット(SHR:Okamoto−Kyo
to strain)の胸部大動脈平滑筋細胞cDNA
ライブラリー(pCD2ベクター:阪大微生物病研究所
由来を使用)よりクローニングしたPLC−δ1のcD
NAをもつプラスミド、PCD2/Sδ1、の5′転写
開始領域の直前に、SalI部位を導入するようにオリ
ゴヌクレオチドを設計し遺伝子増幅装置(PCR)でこ
の部分を増幅した。この増幅DNAをSalIとHpa
Iで切断して、翻訳枠を含む断片を切り出し、SalI
とSmaIで切断したpTV119Nベクター(宝酒
造)に導入した。その後このコンストラクトをSalI
とSmaIで切断し、SalIとHindIII で切断し
HindIII 部位を末端平滑化したpGSTベクターに
導入した。 実施例2 欠失変異体遺伝子発現系の作製 プラスミド(pGST3/PLC−δ1:constr
uct1)のDNA1μgに対し次のような制限酵素処
理ならびに必要な場合にはDNA突出末端平滑化処理を
施した。Construct2に関してはSalIとB
amHI、Construct3に関してSalIとX
hoI、Construct4に関してはSacI、C
onstruct5に関してはEcoRIとXhoI、
Construct6に関してはEcoRIで処理し
た。なお反応液容量は10μl、各制限酵素の量は約5
〜10ユニット、反応条件は37℃1時間とした。
【0056】その後反応産物をエタノール沈殿し、10
μlの10mMTris・HCl(pH7.5),1m
MEDTAに溶かし、Construct2,5はT4
DNAポリメラーゼによるDNA突出末端平滑化処理を
行ってから、またConstruct3,4,6はその
ままT4DNAリガーゼを用いたライゲーション反応を
行った。
【0057】ライゲーション反応はこれらの溶液各0.
5μl(DNA量にして約50ng)を使用し、DNA
ライゲーションキット(宝酒造)を用い、全体量6μ
l、16℃、30分の条件で行った。この溶液を大腸菌
DH5αのコンピタント細胞200μlと混ぜ、42
℃、30秒の熱ショックによってトランスフォーメーシ
ョンを行った。
【0058】菌をアンピシリン(50μg/ml)入り
LB寒天培地に播き、生えてくるコロニーをそれぞれ増
殖させプラスミドDNAを調製した。これらの中から、
プラスミドDNAの制限酵素地図、また菌体を0.5m
MIPTGによって4時間誘導した場合に発現するタン
パクの見かけ上の分子量、ならびに抗PLC−δ1モノ
クローナル抗体による検出から、目的の欠失変異体であ
るかを検定することができる。 実施例3 レコンビナントPLC−δ1の発現 pGST3/PLC−δ1を大腸菌DH5αに形質導入
した。単一コロニーを100mlのアンピシリン(50
μg/ml)入りLB培地に播き、37℃で12時間培
養した。この培養液を900mlのアンピシリン(50
μg/ml)入りLB培地に加え、さらに1時間37℃
で旋回培養を行った。この結果OD600は0.9にな
った。この培養液を20℃に冷却し、IPTGを0.1
Mの終濃度になるように添加しGST融合タンパクの発
現を誘導した。
【0059】20℃にてさらに20時間培養した。培養
液を300ml容量の遠心管に分取し、3000回転で
10分間遠心した。細胞の沈渣を10mlの冷リン酸緩
衝液入り生理食塩水(PBS)に懸濁し、硬質ガラス試
験管に移し、プローブ型超音波破砕機で氷上で破砕し
た。破砕条件は50%間歇で4分間である。
【0060】その後、1.2mlの10%トリトンX−
100を添加し、よく攪拌した後、9700回転(10
000×g)で5分間遠心して上清12mlを得た。
【0061】この上清のタンパク濃度は34.4mg/
ml、総タンパク量は412mgであった。この上清に
対して1mlのglutathione−Sephar
ose4B樹脂(50%スラリー:Pharmacia
−LKB)を加え、4℃で3時間穏やかに攪拌した。
【0062】さらに3000回転で10分間遠心し樹脂
を回収した。この樹脂を12.5mlの冷PBSで三回
洗浄した後に、内径1cmのミニカラムに充填した。3
mlのPBSでカラム内を3回洗浄した後、50mMr
is−HCl(pH9.5),5mMglutathi
oneを1mlずつ3回加え、それぞれの溶出液を分画
として回収した。
【0063】この操作で13mgのタンパクが樹脂から
遊離したが、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SD
S−PAGE)による分析によると、その大部分は推定
分子量約103KのGST−PLC−δ1融合タンパク
と判断された。
【0064】この溶出を行った後に、樹脂を3mlの5
0mMTrisHCl(pH7.5),150mMNa
Clで洗浄し、さらに3mlの2.5mMCaCl2
50mMTrisHCl(pH7.5)150mMNa
Clを加えて平衡化した。
【0065】この後、カラムの流出口を止め、0.5μ
gトロンビン(シグマ社)を含んだ200μlの2.5
mMCaCl2 ,50mMTrisHCl(pH7.
5),150mMNaClを添加し、25℃で1時間反
応させた。樹脂のベッド容量に対応する500μlずつ
50mMTrisHCl(pH7.5),150mMN
aClを6回加え、それぞれの溶出液を分画として回収
した。
【0066】この操作ですべての分画を合わせると14
mgのタンパクが樹脂から遊離したが、SDSポリアク
リルアミド電気泳動による分析から、その大部分は推定
分子量約85KDaのタンパクであり、融合タンパクか
ら切り離されたPLC−δ1と判断された。 実施例4 75KDa分解産物の生成と分離 上記のトロンビン処理の際に2.5μgのトロンビンを
含んだ200μlの2.5mMCaCl2 ,50mMT
risHCl(pH7.5),150mMNaClを添
加し、同様に反応させた。
【0067】上記と同様に得られる画分中にはSDS−
PAGEで推定分子量約85KDaのタンパクの他に、
推定分子量約76KDaのものが存在した。
【0068】又は、上記のように精製した85Kタンパ
ク溶液にCaCl2 を2.5mMになるように加え、さ
らに0.5%(重量比)となるようにトロンビンを加
え、室温で2時間反応させるとSDS−PAGEで85
Kタンパクのバンドが減少し、推定分子量約76Kのバ
ンドが生成した。
【0069】このようにして得られる85K/75K混
合物(タンパク量で1mg)1mlを20mMTris
/HCl(pH8.0),1mMEDTA,0.1mM
DTTに平衡化したのち、DEAE−5PWイオン交換
高速液体クロマトグラフィーで0.1−0.2MのNa
Cl濃度勾配で溶出分画した。溶出画分の代表的なもの
(各1ml)について、25μlを使用してPIP2を
基質としたPLC活性、また50μlを使用して[3
H]IP3 結合活性を調べた。 実施例5 欠失変異体大腸菌発現系の破砕上清の調製:各欠失変異
体プラスミドを大腸菌(DH5α)に形質導入して得た
もののシングルコロニーを3mlのアンピシリン(50
μg/ml)入りNZCYM培地に播き、37℃で10
時間培養した。終濃度0.5mMになるようにIPTG
を入れ、さらに4時間37℃で培養した。
【0070】培養液を2本の1.5mlエッペンドルフ
チューブに分取し、5000回転で1分遠心した。細胞
沈渣をチューブあたり150μlの冷PBSに懸濁し、
バス型超音波破砕機(コスモバイオ)で4℃3分間破砕
した。その後、15000回転5分の遠心をかけ、上清
のタンパク量を定量した。破砕上清のうちタンパク量に
して1μgを使用して、[3 H]IP3 結合活性を調べ
た。 実施例6 PLC−δ1(30−40)ペプチドの合成 Fmoc(N−(9−fluorenyl)metho
xycarbonyl)cleavage metho
dによりペプチド合成を行った。配列にあるアミノ酸に
対して一残基あたり1.0mMのFmoc−L−アミノ
酸を使用した。
【0071】反応担体としてp−hydroxymet
hylphenoxymethyl−polystyr
ene resin 277mgを反応容器の中に入
れ、全自動ペプチド合成機(ABI社:モデル431
A)にてFmoc法プログラムによる合成反応を行っ
た。合成終了後の乾燥レジンの重量は1.00gであっ
た。
【0072】合成ペプチドの脱保護(Fmoc切断)を
行うためにこのレジンをガラスフラスコに入れ、氷上で
0.75gのクロマトグラフィー用結晶フェノール、
0.25mlのエタンジチオール、0.5mlのチオア
ニソール、0.5mlの蒸留水、10mlのトリフルオ
ロ酢酸を加えた。室温で3時間スターラーで攪拌した。
【0073】窒素ガスにてトリフルオロ酢酸を蒸発さ
せ、70mlの冷ジエチルエーテルで未反応物を抽出し
た。1分ほど攪拌し生じた白色沈殿を30μm孔のフィ
ルター上に回収し、20mlの冷ジエチルエーテルで3
回ほど洗浄した。フィルター上のペプチドを40mlの
2N酢酸を加え溶出し、凍結乾燥すると471mgの生
成物が得られた。
【0074】この生成物200mgを蒸留水に溶解し、
μBondasphare5μ−C18−100Aの逆
相カラムを使用した高速液体カラムクロマトグラフィー
(Waters社)にて精製した。280nmに吸収を
持つ最大ピークを凍結乾燥すると99%純粋なペプチド
が81mg得られた。 実施例7 N−Cys−PLC−δ1(30−43)ペプチドの合
成 実施例6同様に配列にあるアミノ酸に対して一残基あた
り1.0mMのFmoc−L−アミノ酸を使用した。
【0075】反応担体としてp−hydroxymet
hylphenoxymethyl−polystyr
ene resin 277mgを反応容器の中に入
れ、全自動ペプチド合成機(ABI社:モデル431
A)にてFmoc法プログラムによる合成反応を行っ
た。合成終了後の乾燥レジンの重量は1.04gであっ
た。
【0076】合成ペプチドの脱保護(Fmoc切断)を
行うためにこのレジンをガラスフラスコに入れ、氷上で
0.75gのクロマトグラフィー用結晶フェノール、
0.25mlのエタンジチオール、0.5mlのチオア
ニソール、0.5mlの蒸留水、10mlのトリフルオ
ロ酢酸を加えた。
【0077】室温で3時間スターラーで攪拌した。窒素
ガスにてトリフルオロ酢酸を蒸発させ、70mlの冷ジ
エチルエーテルで未反応物を抽出した。1分ほど攪拌し
生じた白色沈殿を30μm孔のフィルター上に回収し、
20mlの冷ジエチルエーテルで3回ほど洗浄した。
【0078】フィルター上のペプチドを40mlの2N
酢酸を加え溶出し、凍結乾燥すると493mgの生成物
が得られた。
【0079】この生成物200mgを蒸留水に溶解し、
μBondasphare5μ−C18−100Aの逆
相カラムを使用した高速液体カラムクロマトグラフィー
(Waters社)にて精製した。280nmに吸収を
持つ最大ピークを凍結乾燥すると99%純粋なペプチド
が30mg得られた。 実施例8 N−Cys−PLC−δ1(random30−43)
ペプチドの合成 実施例6同様に配列にあるアミノ酸に対して一残基あた
り1.0mMのFmoc−L−アミノ酸を使用した。
【0080】反応担体としてp−hydroxymet
hylphenoxymethyl−polystyr
ene resin 277mgを反応容器の中に入
れ、全自動ペプチド合成機(ABI社:モデル431
A)にてFmoc法プログラムによる合成反応を行っ
た。
【0081】合成終了後の乾燥レジンの重量は0.97
gであった。合成ペプチドの脱保護(Fmoc切断)を
行うためにこのレジンをガラスフラスコに入れ、氷上で
0.75gのクロマトグラフィー用結晶フェノール、
0.25mlのエタンジチオール、0.5mlのチオア
ニソール、0.5mlの蒸留水、10mlのトリフルオ
ロ酢酸を加えた。室温で3時間スターラーで攪拌した。
【0082】窒素ガスにてトリフルオロ酢酸を蒸発さ
せ、70mlの冷ジエチルエーテルで未反応物を抽出し
た。1分ほど攪拌し生じた白色沈殿を30μm孔のフィ
ルター上に回収し、20mlの冷ジエチルエーテルで3
回ほど洗浄した。フィルター上のペプチドを40mlの
2N酢酸を加え溶出し、凍結乾燥すると560mgの生
成物が得られた。
【0083】この生成物200mgを蒸留水に溶解し、
μBondasphare5μ−C18−100Aの逆
相カラムを使用した高速液体カラムクロマトグラフィー
(Waters社)にて精製した。280nmに吸収を
持つ最大ピークを凍結乾燥すると99%純粋なペプチド
が57mg得られた。 実施例9 牛血清アルブミン(BSA)結合ペプチドの作製 10mgのBSA(fractionV:シグマ社)を
2mlの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
に溶解した。
【0084】1mgのm−maleimidebenz
oic acid,N−hydroxysuccini
mide ester(MSB)を溶かした67μlの
N,N′−dimethylformamideをゆっ
くりと添加し、チューブを室温で30分旋回させた。
0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で平衡
化したBiorad P−10カラムにアプライし溶出
させ、活性化BSAの分画を分取し、タンパク定量を行
った。(全量2ml)。
【0085】この中に3.8mgのN−Cys−PLC
−δ1(30−43)、またはN−Cys−PLC−δ
1(random30−43)の水溶液100μlを加
え4℃で一晩振盪した。最終BSA濃度が2mg/ml
になるようにPBSを加えると、どちらの場合にも1m
olBSAあたり13molのペプチドが結合したBS
A溶液5.8mlを得た。 実施例10 KLH−N−Cys−PLC−δ1(30−43)結合
ペプチドの作製 10mgのKLH(keyhole limpet h
emocyanin)とクロスリンカーとしてSulf
o−MBS3mgをtotal 4ml PBS中で室
温で1h放置した。この間にKLH中のアミノ基にSu
lfo−MBSが結合する。遊離のSulfo−MBS
を除くためゲルロ過を行った。
【0086】KLH−SulfoMBSにペプチド5m
gをまぜ合わせ、室温に2h放置した。この間にペプチ
ドのN末に余分につけたCysがSulfo−MBSに
結合してKLH−peptideが生成した。くっつか
なかったペプチドを除くため透析すると、1.7mg/
mlの濃度で5ml位、KLH−peptideが得ら
れた。 実施例11 KLH−N−Cys−PLC−δ1(30−43)に対
する抗体作製 実施例10で作製したKLH結合PLC−δ1(30−
43)ペプチド含有溶液0.5mlをCFA0.5ml
とまぜ合わせ、ウサギに注射した。以後2週間おきにI
CFA0.5mlとまぜ合わせ追加免疫した。
【0087】ブースターを2〜3回行ったところで抗血
清を集めた。予め、ペプチド−レジンと称する抗原カラ
ム(臭化酢酸(BrCH2 COOH)のN−hydro
xysuccinimide esterをEAH−S
epharose4Bレジンと混合。このレジンはアミ
ノ基を有しているのでレジンの先端にBrCH2 CON
H----というように臭化酢酸が結合する。
【0088】これにペプチドを混ぜるとN末に余分につ
けたCysがBrと置きかわって結合する。)を作製し
ておき、これに30mlの抗血清をかけ、0.17M
glycine−HCl(pH1.7)で溶出して、直
ちにPBSに対して透析すると、0.15mg/mlで
2ml、計0.3mgの抗ペプチド抗体が作製された。
【0089】ついで、300μgのIgG抗体を3μg
papain(20mM DTTの存在下)で37
℃、16h処理した。混合物をゲルロ過して、分子量5
0K分画を集め、再び抗原カラムにかけた。0.14m
g/mlで0.4ml、計56μgのFab抗体が得ら
れた。 実施例12 PLC−δ1(30−43)100mg、コンドロイチ
ン硫酸ナトリウム10mg、乳糖100mgを5mMリ
ン酸緩衝液(pH7.0)25mlに溶解し、濾過滅菌
して得た溶液を2.5mlずつバイアルビンに充填し
た。これを凍結乾燥してペプチド製剤を製造した。 実施例13 ヘパリン2mgを実施例12のコンドロイチン硫酸ナト
リウム10mgのかわりに用いる他は実施例12と同様
に行なった。 実施例14 濾過滅菌した抗PLC−δ1(30−43)抗体の1%
水溶液を10mlバイアルに入れ凍結乾燥した。 実施例15 濾過滅菌した抗PLC−δ1(30−43)抗体および
ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルの最終濃度
がそれぞれ1mg/ml、40mg/mlとなるように
リン酸緩衝液で調製したpH6.5の製剤を得た。 実施例16 濾過滅菌した抗PLC−δ1(30−43)抗体および
ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテルの最終濃
度がそれぞれ10mg/ml、20mg/mlとなるよ
うにリン酸緩衝液で調製したpH6.5の製剤を得た。 実験例1 キャリアタンパク結合ペプチドのIP3 結合能 N−Cys−PLC−δ1(30−43)−BSA、N
−Cys−PLC−δ1(30−43)−KLH、N−
Cys−PLC−δ1(random30−43)−B
SAおよびUDP−GT(516−529)−KLHを
BSAあるいはKLHにして最終量0〜80μg/45
0μlになるように[3 H]IP3 結合アッセイ系(4
50μl)に加え、その[3 H]IP3 結合量を測定し
た。
【0090】その結果を図5に示す。
【0091】PLC−δ1(30−43)のみが特異的
に[3 H]IP3 を結合することがわかる。 実験例2 PLC−δ1(30−43)ペプチドによる[3 H]I
3 結合亢進効果:通常の[3 H]IP3 結合アッセイ
系に10-10 〜10-4Mに系列希釈したPLC−δ1
(30−43)を加え、精製した85KDaコンビナン
トPLC−δ1(0.5μg)存在下、あるいは非存在
下で[3 H]IP3 結合を解析した。ペプチドは10μ
Mでコントロールの約160%、100μMでコントロ
ールの約400%に[3 H]IP3 結合を上昇させた。
結果を図7に示す。
【0092】このアッセイ系ではペプチドのみはポリエ
チレングリコールによって沈殿しないので(図7○)、
この結果は[3 H]IP3 を結合したペプチドがPLC
−δ1がアソシエートすることによって沈殿する、ある
いは高濃度のペプチド存在下ではペプチドとPLC−δ
1が複合体を形成し、この複合体がIP3 結合に対する
高親和性を示すからだと考えられる。 実験例3 PLC活性に対するペプチドならびにペプチドBSAの
効果:N−cys−PLC−δ1(30−43)および
N−Cys−PLC−δ1(random30−43)
のPLC活性に対する影響を調べた。
【0093】PIP2 −PLC活性の測定は次のように
行った。
【0094】50μlの反応溶液中には370Bq
(0.01μCi)の[3 H]PIP2,2.5μgP
IP2 ,25μg phosphatidyletha
nolamineを懸濁させた20mM Hepes/
NaOH(pH7.2),0.08%sodium c
holate,0.83mM MgCl2 、1mM d
ithiothreitol,2mM EGTA,0.
2mM EDTA,30mMKCl,2mM CaCl
2 を入れた。またGSTアフィニティーカラムクロマト
グラフィーで精製したレコンビナントPLC−δ1(1
00ng)を反応溶液に入れた。
【0095】そしてペプチドの影響を見るために、最終
濃度36μg/μlになるようにN−Cys−PLC−
δ1(30−43)あるいはN−Cys−PLC−δ1
(random30−43)を添加した。反応はCaC
2 を反応溶液中に終濃度2mMCaCl2 になるよう
に加えることで開始し、37℃10分行った。
【0096】加水分解によって遊離するIP3 を1ml
のchloroform/methanol/HCl
(100:100:0.6)と0.3mlの1NHCl
/5mM EGTAで抽出分離し、水相に回収される分
を液体シンチレーション測定機で測定した。
【0097】
【表1】 表:ペプチドによるPIP2 −PLC活性の亢進 ─────────────────────────────────── sample PIP2 加水分解 (dpm/100ng enzyme/10min) ─────────────────────────────────── control(PLC-δ1 only) 5009 ± 872 (n=4) …P<0.005 +N-Cys-PLC-δ1(30-43) 36μg/ml 9768± 976 (n=2) ……P>0.2 +N-Cys-PLC-δ1(random30-43) 36μg/ml 6271±1629 (n=2) 表に示すようにN−Cys−PLC−δ1(rando
m30−43)は活性に対して影響を与えなかったが、
N−Cys−PLC−δ1(30−43)はPLC−δ
1の酵素活性を有意に亢進した。 実験例4 実施例3h準じてPLC−δ1(50ng)を用いて行
った、別の実験結果を図8h示す。PIP2−PLC活
性がペプチドhより修復されることがわかる。 実験例5 本発明のペプチドの単回静脈投与毒性をラットを用いて
調べたところ、20mg/kg投与でも死亡するラット
はいなかった。 実験例6 本発明の抗体の単回静脈投与毒性をラットを用いて調べ
たところ、100μg/kg投与でも死亡するラットは
いなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】GST−PLC−δ1融合タンパク質およびト
ロンビン分解産物の構造とそれらの生物活性を示す図
【図2】GST−PLC−δ1融合欠失タンパク質発現
大腸菌破砕溶液分画の[3 H]−イノシトール三リン酸
(IP3 )結合能を示す図
【図3】トロンビン分解産物、85Kおよび76Kタン
パク質のイオン交換クロマトグラフィーによる分離を示
す図
【図4】ラット脳PLC−δ1のアミノ酸配列の一部を
示す図
【図5】キャリアタンパク結合ペプチドの[3 H]−I
3 結合能を示す図
【図6】抗PLC−δ1(30−43)抗体による、レ
コンビナントPLC−δ1への[3 H]−IP3 結合の
阻害を示す図
【図7】PLC−δ1(30−43)ペプチドによる[
3 H]IP3 結合亢進効果を示す図
【図8】PIP2−PLC活性のPLCδ1(30−4
3)ペプチドによる修飾を示す図
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/00 ADU 39/395 AAA D AEE N // C07K 14/47 ZNA 8318−4H 16/18 8318−4H G01N 33/53 N A61K 37/02 ABN ADU

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イノシトールリン酸化合物類がその結合
    する相手のタンパク質、第1のペプチドなどと結合する
    際に、その結合を調節する第2のペプチドを含む医薬組
    成物。
  2. 【請求項2】 イノシトールリン酸化合物類がその結合
    する相手のタンパク質、第1のペプチドなどと結合する
    際に、その結合を阻害する第2のペプチドに対する抗体
    を含む医薬組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1の第2のペプチドがLys−V
    al−Lys−Ser−Ser−Ser−Trp−Ar
    g−Arg−Glu−Arg−Phe−Tyr−Lys
    なるアミノ酸配列を少なくとも含むペプチドあるいは該
    アミノ酸配列の一部を含むペプチドである請求項1の医
    薬組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2の抗体が請求項3のペプチドに
    対する抗体である請求項2の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項2の抗体がwhole IgGで
    はなく、papain処理して作製したIgGのFab
    断片である医薬組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5の請求項2の抗体が請求項4の
    抗体である医薬組成物。
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