JPH0858880A - 大量液体運搬容器 - Google Patents

大量液体運搬容器

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JPH0858880A
JPH0858880A JP6235842A JP23584294A JPH0858880A JP H0858880 A JPH0858880 A JP H0858880A JP 6235842 A JP6235842 A JP 6235842A JP 23584294 A JP23584294 A JP 23584294A JP H0858880 A JPH0858880 A JP H0858880A
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water
inexpensive
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Kazuo Kuki
一夫 九鬼
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 価値ある安価な大量の液体を、天然の流れを
利用して、安価に輸送する為の容器と方法を確保する。 【構成】 非透水性で柔軟な材質の高分子膜をその全部
又は一部に含み、そのまま、又は織り畳み、組立等にに
より、内容積を極端に変化させ得る容器内に、価値ある
安価な大量の液体を充填し、これを天然の水流に乗せて
長距離運搬し、空になった容器の見かけ体積を縮小して
返送し、再使用する安価な液体運搬用容器及びこれを用
いた液体運搬方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大量の価値ある液体を収
容し、貯蔵し、輸送する容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来人類にとって価値ある多種の液体
は、通常、陸地上の大気中に設置された強固な(金属、
陶磁器、高分子、木材その他でできた)容器(蓋つき・
蓋なし、加圧・非加圧)に収容され、保存された。 水
面上では、船の甲板上に陸上と同様の容器を設置した
り、船体内に専用の船槽を設置したりして、この中に収
容していた。 稀にこれを水中に保存する際にも、非透
水性の同様に強固な材料からなる密閉容器中に収容した
後、密閉した容器を水面下に(潜水式)、あるいは容器
の一部を水面中に没した状態で(半潜水式)その中に収
容されていた。 具体的にはコンテナ船、液化天然ガス
運搬船、飲料水運搬船、原油を運ぶタンカー等である。
最近では水の抵抗を軽減する他だめ、潜水式や半潜水
タンカー等も出現している。 しかし、これらのいずれ
の容器も、堅固な材料で一定の形状に仕上げられたもの
であった。 産業界で利用される容器の大部分は鉄製
で、中に収容する価値ある液体の性質によってはその他
の材料も利用されてきた。しかし、飲料水、工業用水、
農業用水等、容積の割に価値の小さい液体の運搬につい
ては、運搬コストが相対的に過大となり、採算に合わな
いので実施出来ず、より安価な大量運搬方法が望まれて
いた。 先端的な未来技術を検討する人の中には、海流
を利用して液体を運搬する方法を思いつく人も居たが、
通常の容器を用いる方法では容器の返送等にコストがか
かって採算が合わず、安価な液体運搬方法の出現が待た
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、第1に人類にとって価値はあるが、単価が非常に安
価なもの(例えば真水)を大量に輸送しようとする場合
に、従来の材料を使い従来の設計・製法で作成した容器
ではコスト的に引き合わないので、もっと容器の単位容
積当たりのコストの安い容器で、価値ある大量の液体を
収容し運搬すること。 第2に堅固な容器に価値ある液
体(例えば飲料水や原油)を収容して運搬した場合、帰
路運搬するものがなければ、運賃は割高になる。 又、
容器自体又は容器を運搬する手段(例えば船)の構造に
よっては、バランスをとる為容器を空に出来ず、不要な
もの(例えば海水)を適当量収容せねばならない。 こ
れが次に価値あるもの(例えば飲料水や石油)を運搬す
る時には支障(たとえば錆の誘発)となる。 第3に価
値あるものの運搬に人工的な動力を用いず、潮の流れや
川の流れ等の自然現象を利用しようとした場合、天然の
力が加わることは避けられない。 この場合、従来の如
く堅固な容器の場合には、自然力に対抗し得る堅固な構
造が必要となる。 自然の力の加わり方は千変万化する
から、極めて多様なケースを想定し、その何れの場合に
も耐え得なければならないから、通常の状態では不必要
に堅固なものとなり、結果的には従来の船と大差のない
高コストなものとなっていた。 つまり従来は、人類に
とり価値はあるが価格の安い液体を、一方向に継続して
大量に運搬しようとする場合には、離島への飲料水供給
等コストを度外視した場合を除き、実質的に有効な容器
を見い出し得なかった。本発明はこれらの要望に叶う手
段を提供するものである。
【0004】
【課題を解決する為の手段】この課題を解決する為、価
値ある安価な大量の液体を非透水性で柔軟性のある高強
度の高分子膜でその全側壁又は側壁の一部を構成し、そ
の内部に価値ある安価な大量の液体を充填し、水中又は
海水中に浮遊させた液体運搬容器、を用いる。
【0005】又、この容器には下記の工夫がなされてい
る。 即ち、内部に価値ある安価な大量の液体を収容す
る場合には、容器の全側壁又は一部を構成する高分子膜
の柔軟性や伸縮性により、限度内の必要な容積になるま
で拡大し、内部の液体を排出した場合には、容器の柔軟
性や伸縮性により、可能な限り小さな見かけ容積になる
まで縮小する機能を持たせた上述の容器である。
【0006】更にこの容器を用い、価値ある安価な大量
の液体を内部に充填し、そのまま自然の海流又は水流に
乗せ、所定の長距離の間流れに乗せて運搬した後、目的
地で内部の価値ある液体を取り出し、空になった容器を
縮小し、縮小した容器を、別の手段で元の場所に戻し、
そこで再び価値ある安価な液体を充填し、運搬すること
を繰り返す液体運搬の方法である。
【0007】更に価値ある安価な大量の液体を、上述の
容器に収容し、一定場所で貯蔵する液体貯蔵方法であ
る。
【0008】此処で”価値ある安価な大量の液体”と
は、原油や液化天然ガスや飲料水や水銀等現存する液体
のすべてを意味しているわけではない。 先ず天然自然
の状態(常温常圧下での状態)でなく、何等かの人工の
加圧手段や冷却手段を使って液体状態になっているもの
は除外する。 従って液化天然ガスや液体プロパンガス
等は除外する。 又、従来の容器を用いても十分採算の
合う多くの工業薬品や飲食品類も含まない。 従って当
然、それ自体に稀少価値があり貴重で高価なもの、例え
ば水銀や、高価な液体状の医薬品類は含まない。 更
に、もしも容器が破損し、中の液体が漏れ出した場合
に、環境汚染(海水中への原油流出等)や重大な社会的
影響をもたらす恐れのあるもの、例えば原油等は、この
発明の方法の詳細技術の開発が進み、社会的にその安全
性・信頼性が容認されるまで当分の間は除外する。 従
って該当する液体は、当分の間は、仮に漏出しても自然
環境を汚染しない飲料水・工業用水・農業用水等に限定
する。
【0009】次に”非透水性で柔軟性のある高強度の高
分子膜”とは、次のような膜である。まず非透水性であ
るが、文字通り水を透過させない性質である。 織布や
多孔性では勿論困るが、逆浸透膜の様なものでも不適で
あり、完全に水を透過させないものが必要である。 許
容される透過度を数値化するのは困難であるが、少なく
とも1米の水頭差の加わる状態で1ケ月放置した状態
で、周囲の海水が内部の水中に浸透したことが通常の分
析手段で検知されない程度が必要である。 もしある材
質を選定し、遮断性が不足している場合には厚みを増し
て確保する。又逆に、中に収容する液体が外部へ透過す
る場合も同様に不適当である。 更にこの容器の最深部
は水面下に数十米沈下するが、この場合にも非透水性が
保持されるものでなければならない。
【0010】更に非透水性は一枚の膜自体のみでなく、
この膜を複数枚使用して容器を構成する場合や、一枚の
膜を展開図的に切断したり必要カ所に切れ目を入れた上
適当に組み立てて容器を構成する場合、必要な接合個所
(組立時稜となる場合が多い)においても確保されねば
ならない。 例えば6枚の正方形の膜を用い、立方体の
容器を構成する場合、6枚の膜のそれぞれの辺を接合し
て12の稜を構成する場合には、12の稜の部分の接合
が非透水性でなければならない。 又、これを一枚の膜
を展開図的に切断し、その内の14カ所の辺を接続して
7つの稜として立方体を作る場合には、7つの稜の部分
が非透水性でなければならない。
【0011】又、強靭な柔軟性については次の典型的な
2ケースがある。 その1は容器の殆ど全部の隔壁が非
透水性の強靭で柔軟な高分子膜でできている場合であ
る。この場合には、柔軟な材料で構成されている容器の
膈壁の各部において、内部の液体の水頭圧と外部の水面
からの水頭圧とが等しくなる状態になるように壁が変形
し、それがその時点の容器の形状となる。 もし容器の
壁膜の何処かで内部の水頭圧が過大で有れば、容器の壁
膜はその部分で外方に向かって変形し、容器内部の体積
を増大する。 その結果、液体の液位が下がり、壁膜の
内外の圧力が等しい状態で安定する。 逆の場合には容
器内部の体積が減少する方向の変形が起こり、壁膜の両
側の圧力が等しい状態で安定する。容器の各膈壁の高分
子膜に要求される柔軟性は上記の自由変形が可能であれ
ば十分である。
【0012】強靭な柔軟性が要求される第2のケース
は、容器の各膈壁の一部分が通常の堅固な材料、例えば
硬質の高分子薄板、金属薄板等で出来て居り、これらを
高分子膜で接続し巨大な容器に組み上げる場合に、これ
ら隣り合った硬質薄板同士の位置関係が、多少自由に変
化する場合である。 この場合は関節としての機能を発
揮できる程度に柔軟であれば良い。 通常は180度程
度の折り曲げ変形が可能であればよいが、これは硬質薄
板間の距離や高分子膜の厚みが影響するので、材料に合
わせて適宜詳細構造と共に選定すれば良い。尚この場
合、この高分子膜に多少の塑性弾性が備わっていれば、
更に好ましい。この場合には、壁膜の一部に外力が加わ
っても、弾性変形でその外力が吸収され、外力が去れば
その弾性で元の安定した形状に復元するからである。
同様に、この意昧で高分子膜に代えて、薄いゴム(天然
・合成)膜を利用することも可能である。
【0013】強度については下記の条件を満せられれば
良い。 この容器は巨大さの程度にもよるが、その内部
には数十米の深さまで価値ある液体を充填する。 但し
地表上に設置せず、内部に充填する価値ある液体と比重
が殆ど同じか若干大きい水や海水中に浮遊させている。
従ってこれに加わる静差圧はそれほど大きいものでは
ない。 しかし、この容器は自然流に乗って長距離(数
百kmから千数百km)を流動し、その間、波浪、強
風、強い日射、温度変化、壁膜材各部の相対位置の変
化、局部応力、等様々な自然現象とその影響を受け続け
る。 更に価値ある液体を輸送した後は出来るだけコン
パクトな形に縮小され再度出発地に返送され、容器とし
て再使用される。 これを数百回繰り返す。 この時受
ける変形応力にも十分に耐える必要がある。 使用する
素材はこれらに対し出来るだけ永く使用に耐えるものが
望まれる。 だから単に引っ張り強度や圧縮強度のみで
なく、耐侯性や耐衝撃性等非透水性高分子膜としての種
々の実用特性においても妥当なものが望ましい。 可能
性のある高分子膜としては、塩化ビニル系、ポリエチレ
ン系、66延伸ナイロン系等種々の高分子フイルムやシ
ートが用いられる。 今後の技術開発の方向としては、
より薄く、より軽く、より長寿命で、より安価なものと
なろう。
【0014】但し、ここで容器膈壁として必要な強度
は、通常の強固な変形し難い材料で出来た容器を水中に
浮かべた場合に比し小さなものですむ。 それは、強固
な変形し難い材料で出来ている場合には、種々の自然現
象により局所に加わった外力にはその箇所で対抗しなけ
ればならないのに対し、この場合は高分子膜の柔軟性に
より変形し、局部外力をそらしたり広い範囲に分散させ
て緩和させることが可能だからである。
【0015】必要な諸特性をすべて唯一種の膜に保有さ
せることができない場合には、それぞれ卓越した特性を
持つ数種の膜を複合させた複合膜を使用することが望ま
しい。
【0016】この膜で囲ってできる容器は、地上の大気
中においてその全形状を明確にできるものに限らない。
地表の大気中においては容器としての形状が明確に認
められなくとも、水中に入れた場合にその形状が明確に
なるもので良い。 更に又、水中に入れても未だ形状が
不明確であっても、水中において、その容器の内部に価
値ある液体を充填すれば、その形状が次第に明確になる
ようなものでも構わない。 容器の柔軟性や伸縮性によ
り、容器内部に充填する価値ある液の充填量によりその
形状が自由に変わるものでよい。
【0017】この容器は内部に価値ある液体を充填した
まま、水中又は海水中に浮遊させることを条件としてい
る。 だから容器を浮かべるのは比重が1か1より僅か
に大きい液体である。 容器の質量を無視すれば、1よ
り小さい比重の価値ある液体をこの容器に充満しても、
原理的には全体が底まで沈下することはないが、1より
大きい場合には沈下してしまうおそれがある。 この場
合には全体が沈まない程度に、容器内部に若干の空間部
を残して価値ある液を充填したり、容器の外周に浮力を
加える為の適当な大きさの浮き子(フロート)を付加す
れば良い。
【0018】次に”価値ある安価な液体を収容する場合
には、容器の全側壁又は一部を構成する高分子膜の柔軟
性・伸縮性により、限度内の必要な容積になるまで拡大
し、内部の液体を排出した場合には、容器の柔軟性・伸
縮性により、可能な限り小さな見かけ容積に縮小し得る
容器”について説明する。 ここでいう柔軟性や伸縮性
は既に説明した通りである。拡大・収縮の第1の場合
は、基本的に一枚の連続した膜(といっても実際は複数
枚の膜を張り合わせて一枚状に仕上げたものである。
当然張り合わせ部の諸性質は他の部分と同等以上であ
る)で構成された場合で、縮小された状態で水中に入
れ、内部に価値ある液体を充填すれば自然と所定の形状
に拡大する。 内部の液体を排出すれば容器は収縮し、
一山の塊となる。第2の場合は平面展開図状に切断した
り必要個所に切り込みをいれた一枚の膜を組み立て、必
要個所を非透水的に接続し所定の容器状に組み立てたも
のである。この場合は予め地上で必要個所を接続し、こ
れを水中に沈めた上、内部に価値ある液体を充填すれば
所定の形状に仕上がる。 内部の液体を排出すれば接続
部分を元に戻せば容器は元の形の一枚の膜にまで収縮す
る。第3の場合は数枚の膜を用い同じく必要な容器形状
に組み立てる場合である。この場合も上と同様、必要な
接続箇所は組立・分解可能な非透水構造でなければなら
ない。 これを組み立てれば必要な容積の容器となり、
接続箇所を分解すれば数枚の膜にまで縮小する。いずれ
にしろこれらの方法で容器は拡大・縮小するが、その形
状は球形・円筒形・直方体等に限らず、和風提灯状や不
定形等任意の形状にすることが可能でありその形状を特
定するものではない。
【0019】次に”上の容器を用い、価値ある安価な大
量の液体を内部に充填し、そのまま自然の海流又は水流
に乗せ、所定の長距離の間流れに乗せて運搬した後、目
的地で内部の価値ある液体を取り出し、空になった容器
を縮小し、縮小した容器を、別の手段で元の場所に戻
し、そこで再び価値ある安価な液体を充填し、運搬する
ことを繰り返す液体運搬の方法。”について若干補足説
明を行うと、価値ある安価な大量の液体を仮に飲料水と
する。 これの取容されている容器を海流や水流に乗せ
て運搬し、目的地に着けばそこで飲料水を揚陸し、容器
を空にした後容器を畳んで縮小し、適当な貨物船に乗せ
て元の飲料水の豊富な場所に返送する。この場合、容器
を構成する材料の重量は従来に比し軽くなる。又、縮小
した容器の体積は従来の容器に比し格段に小さいから、
その返送費用は僅かて済み、全体としての容器費は著し
く低減する。
【0020】更にこの容器は価値ある安価な大量の液体
を運搬する場合のみでなく、これを運搬先近くの水域
(海域を含む)の所定場所に係留することにより、この
容器を貯蔵容器としても利用する事が出来る。
【0021】
【作用】柔軟な材料で出来た非透水構造の容器であるか
ら、容器の膜を通して価値ある液体とこれを囲む水又は
海水とが混ざり合うことはない。 つまりこの容器が水
または海水中にあるかぎり、この膜でできた容器は容器
としての機能を保持できる。 次にこの容器が密閉構造
であればその容器が多少粗雑に扱われて、上下左右に大
きくゆれることがあっても、中の価値ある液体が外に漏
れることはない。もし、容器の一部例えば水中に浮かん
だ場合に、最も水面より高い位置にある部分が開いてい
て、内部が大気と繋がっている場合には、ここから周囲
の水が混入するおそれがあるが、この状態が保持される
限り内部の価値ある液体とこれを浮かべている周囲の水
または海水とが混じり合うことはない。 つまり容器と
しての機能は保持される。 しかし、この場合に種々の
天然現象でこれが大きく傾くと周囲の水や海水が容器内
に混入し、内部の液体を周辺の外部の水から隔離すると
いう容器の機能が損なわれるので、何等かの対策(例え
ば蓋をするとか傾きを限度内に押さえる方策を講じると
か)が必要である。 いずれにしろ正常な状態である限
り、容器としての基本的な機能つまり特定の液体を隔離
する機能が保持される。
【0022】更にこの容器は薄い高分子膜で出来ており
柔軟性があり、その見かけの形状(見かけの大きさを含
む)が自由に変化するので、全体の総重量は従来の容器
に比し、著しく軽くなる。 価値ある液体を充填してい
る場合にはその内容積を拡大し、価値ある液体がない空
の場合にはその内容積を縮小する事が出来る。 従って
空の場合にはその見かけの総体積は著しく小さくなり、
取り扱いが容易になる。 また、これを船で運搬する場
合には、(運賃は通常容積で決るから)運賃は著しく安
くなり価値ある液体の運搬コストが低減される。
【0023】価値ある液体を発明の容器に入れ、これを
水流を利用して運搬すれば基本的に往路の運賃コストは
0に近くなる。 価値ある液体を目的地に運搬した後、
この容器を畳みその見かけの体積を縮小(重量に変化は
ないが)すれば、容器返送の復路の運賃コストは著しく
減少する。 元の場所に容器を返送した後、また新たな
価値ある液体を充填し、水流によって運搬すれば安いコ
ストの運搬システムが成立する。
【0024】
【実施例1】直径30米の球形の容器全体を見かけ比重
ほぼ1の厚さ約1ミリの軟質ポリエチレンの高分子膜で
作成し、これに充填口を設け、ここから屋久島に降った
天然水を貯めた池からポンプで充填した後この充填口を
封じ、これを黒潮の流れの中まで曳航し放流する。 約
10日後、この容器は黒潮の流れに乗って房総半島付近
に達するので、近くの吸水設備のある港迄曳航し、中の
天然水をポンプで吸引し、関東地方の渇水で困窮してい
る家庭に給水することができる。 空になった軟質ポリ
エチレンの容器は、予め計画された方法で小容積になる
よう畳まれた後、集められ、定期的に屋久島に返送され
る。 この方法により約14000トンの飲料水を、極
めて安価に関東地方の住民に給水することができる。
【0025】
【実施例2】直径約10米高さ約10米で、66ナイロ
ンシートでできた円柱状の容器を上下2枚の膜と胴部を
構成する1枚の筒状の膜で作成する。 接続部は非透水
性ではあるが、後で切り放し出来るような構造にする。
例えば接続部を折り返し構造にした上、合わせ目に非
透水性で弾力の大きいゴム質のクッション材をいれ、こ
れらの両外側を変型し難い堅固な合成樹脂の押さえ板で
連続的に挟み、この両板に適当な間隔で通しボルトを通
し、ナットで非透水的に締め付ける等の構造である。
更に、上下が転倒しないよう円筒状の底部には重錘を、
円筒状の上側面には浮き子を付加し転倒することを防止
した。 この容器約100ケを連結して1群とし、内部
に屋久島の天然水を充填し、実施例1と同様に黒潮中に
放流すれば、約10日後、7万8千トン余の天然水を関
東地方に供給することができる。天然水を運搬後、接続
部のボルト・ナットをゆるめ、押さえ板を外し、元の3
枚の膜に戻し、更に運搬容易な形状に梱包して船で屋久
島に返送する。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明の容器は、価
値ある安価な大量の液体を、天然の水流(海流を含む)
に乗せて長距離運搬し、運搬後は小体積になるように畳
み、元地に返送して再使用することが出来るので、採算
上不可能であった価値ある安価な大量の液体の長距離運
搬を可能ならしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本体部が球形の1枚の膜で出来た容器に、価値
ある液体が充填され、洋上に浮かんでいる状態(上)
と、液体を排出し容器が縮小している状態(下)とを示
す状態図である。
【図2】本体を構成する2枚の円形の膜(上下)と円筒
形の1枚の膜と、これらを水蜜(非透水)状態で接続す
る挟み治具一式と、浮力を増す為の浮き子で構成される
容器が、液体を充填し洋上に浮かんでいる状態(左)
と、液体を排出し、部材のみに縮小されている状態
(右)とを示す状態図である。
【図3】屋久島で天然水を充填した容器を、黒潮に乗せ
て房総半島沖まで運搬し、空になり縮小した容器を、船
で屋久島に返送する状況を示す運搬方法の概念図であ
る。
【符号の説明】
1 容器本体 2 液体の排出入口 3 容器内に充填されている価値ある液体 4 容器を浮かべている水又は海水 5 水平線 6 分散した容器構成膜を水密的(非透水的)に接続す
る治具一式 7 浮き子 11 本州 12 屋久島 13 房総半島 14 黒潮 15 液体を充填して浮かんでいる容器 16 屋久島の積み出し港 17 房総半島の陸揚げ港 18 空になり縮小した容器 29 19を返送する船 20 屋久島に降る天然水の雨 21 関東地方に渇水をもたらす太陽

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 価値ある安価な大量の液体を非透水性で
    柔軟性のある高強度の高分子膜でその全側壁又は側壁の
    一部を構成し、その内部に価値ある安価な大量の液体を
    充填し、水中又は海水中に浮遊させた液体運搬容器。
  2. 【請求項2】 内部に価値ある安価な大量の液体を収容
    する場合には、容器の全側壁又は一部を構成する高分子
    膜の柔軟性や伸縮性により、限度内の必要な容積になる
    まで拡大し、内部の液体を排出した場合には、容器の柔
    軟性や伸縮性により、可能な限り小さな見かけ容積にな
    るまで縮小し得る請求項1の容器。
  3. 【請求項3】 請求項2の容器を用い、価値ある安価な
    大量の液体を内部に充填し、そのまま自然の海流又は水
    流に乗せ、所定の長距離の間流れに乗せて運搬した後、
    目的地で内部の価値ある液体を取り出し、空になった容
    器を縮小し、縮小した容器を、別の手段で元の場所に戻
    し、そこで再び価値ある安価な液体を充填し、運搬する
    ことを繰り返す液体運搬の方法。
  4. 【請求項4】 価値ある安価な大量の液体を、請求項1
    又は2の容器に収容し、一定場所で貯蔵する液体貯蔵方
    法。
JP6235842A 1994-08-23 1994-08-23 大量液体運搬容器 Pending JPH0858880A (ja)

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