JPH0852206A - 臍帯血採取装置および臍帯血採取器具 - Google Patents

臍帯血採取装置および臍帯血採取器具

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Publication number
JPH0852206A
JPH0852206A JP6215377A JP21537794A JPH0852206A JP H0852206 A JPH0852206 A JP H0852206A JP 6215377 A JP6215377 A JP 6215377A JP 21537794 A JP21537794 A JP 21537794A JP H0852206 A JPH0852206 A JP H0852206A
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JP
Japan
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umbilical
blood
cord blood
circuit
replenisher
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Pending
Application number
JP6215377A
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English (en)
Inventor
Yuichi Yamamoto
雄一 山本
Koichi Nishihira
浩一 西平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Publication of JPH0852206A publication Critical patent/JPH0852206A/ja
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/15Devices for taking samples of blood
    • A61B5/150007Details
    • A61B5/150015Source of blood
    • A61B5/150038Source of blood for blood from umbilical cord

Abstract

(57)【要約】 【目的】 臍帯血を短時間で簡便かつ効率的に、しかも
菌汚染の危険性が少ない状態にて、採取することが可能
な臍帯血採取装置および採取器具を提供する。 【構成】 臍帯血採取装置1は、臍帯動脈もしくは臍帯
静脈の一方に接続される補充液注入回路2と、臍帯動脈
もしくは臍帯静脈の他方に接続される採血回路3と、補
充液注入回路2に設けられた送液手段24と、採血回路
3に設けられた送液手段34と、補充液注入回路2側が
高く採血回路3側が低くなるように圧力差を形成する圧
力差形成手段4とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移植治療、自己血輸
血、培養血液製剤などに利用するために、ヒト臍帯およ
び胎盤から臍帯血を採取するための臍帯血採取装置およ
び臍帯血採取器具に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒト胎児または新生児の臍帯および胎盤
の臍帯血は、造血系幹細胞および造血系前駆細胞を含ん
でおり、骨髄移植治療や遺伝子治療のために、また将来
の培養自己血輸血に有効であると考えられている。骨髄
移植は、造血組織である骨髄に何らかの原因による機能
喪失や欠陥がある場合に、正常な骨髄の移植によって造
血機能の正常化をはかろうとする治療法である。固形癌
を化学療法または放射線照射によって治療する場合に
も、造血機能を回復する目的で、骨髄移植が実施される
ことがある。骨髄移植は骨髄提供者の違いによって、一
卵性双生児をドナーとする同系骨髄移植、他人をドナー
とする同種骨髄移植、あらかじめ凍結保存しておいた自
己骨髄を利用する自家骨髄移植に区分されている。移植
可能な造血幹細胞は末梢血中にも存在し、化学療法後の
造血回復期のような誘導的造血の状態では、顕著に増加
することが明らかとなってきており、移植への応用が試
みられている。自家骨髄移植と自己末梢血幹細胞移植
は、HLA適合ドナーが得られない場合に、同種骨髄移
植に代わる方法として実施されることもあるが、多くの
場合悪性腫瘍の治療に利用されている。
【0003】遺伝子治療は先天性代謝性疾患のみなら
ず、白血病や再生不良性貧血、悪性腫瘍といった広範な
疾患群の治療として期待がもたれており、造血系幹細胞
への遺伝子導入も研究されている。培養自己血輸血は、
造血系幹細胞の増殖と分化を人為的にin vitroでコント
ロールできるようになった場合、あらかじめ凍結保存し
ておいた自己幹細胞を原料にして必要量の血液製剤を調
製して手術などの際に利用しようとする構想である。
【0004】これらの治療法で用いられる造血系幹細胞
を含む血液の採取方法としては、腸骨から骨髄液を採取
する方法がある。この方法では、改良小宮針、イスラム
針などの骨髄穿刺針を刺して注射器で吸引することによ
り骨髄液を採取する。また、末梢血から採取する場合に
は、成分採血装置を利用して血液150ml/kgを3
〜5時間体外循環して白血球を採取することにより行わ
れている。上記の両方法は、採血者に対する負担が多
く、かつ極めて手間のかかるものであった。
【0005】そして、最近は骨髄に代わる造血系幹細胞
源として、臍帯と胎盤が注目されてきている。胎児の血
液には、造血系幹細胞または前駆細胞が成人骨髄液と同
等以上に含まれている。そのため、従来廃棄処分されて
いた出産後の臍帯または胎盤内の胎児に由来する臍帯血
を同種の造血系の再構築や疾患時の自家移植、あるいは
in vitro増殖による自己血輸血や血液製剤の製造などに
使用することが研究されている。臍帯血は、骨髄液と比
較して、入手が簡単であり、麻酔過誤や疼痛など採取に
よる副作用もない。臍帯血はウィルス、細菌感染の危険
性が小さく、成熟T細胞の混入がなくGVHD発症の危
険も少ないなどの利点を有している。さらに、前もって
準備できるので、移植のスピードアップをも図ることが
できる。
【0006】臍帯血を同種骨髄移植の骨髄液の代わりに
用いる臍帯血移植は、フアンコニ貧血症や若年型慢性骨
髄性白血病などの幼児に施行されている。(H.E.Broxme
yeret al、Bone Marrow Transplantation,9(Suppl
1),7(1992), J.E.Wagner, Journal of Hematotherapy
2,225,1993) また、臍帯血を採取して保存する臍帯血バンク事業は、
英国のブリストル大学で実施されている。米国では、ビ
オサイト社が積極的に取り組んでおり、アプライド・イ
ムノ・サイエンス社とニューヨーク血液センターもチー
ムを組んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】臍帯血採取方法とし
て、臍帯血管に12ゲージ針を刺し、2,500単位ヘパリ
ンを含むRPMI1640メジウム25mlが充填され
た250ml血液分離バッグへ重力落下で臍帯血を収集
することが行われている。採取された臍帯血は、10%
ジメチルスルホキサイド中で、液体窒素を用いて凍結保
存され、移植に際しては37℃水浴で融解し、そのまま
輸注されている。(E.Gluckmanら、Prog.Clin.Res.,37
7,591-602(1992)) 従来の臍帯血採取法では、臍の緒を切断し子宮収縮を利
用して採血するか、臍帯血管や胎盤血管へ針を刺し注射
器で吸引するか、落差で血液を容器へ集めるという方法
により行われており、菌汚染を受けやすく、手間のかか
る方法であった。
【0008】本発明の目的は、臍帯血を短時間で簡便か
つ効率的に、しかも菌汚染の危険性が少ない状態にて、
採取することが可能な臍帯血採取装置および臍帯血採取
器具を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、臍帯動脈もしくは臍帯静脈の一方に接続される補充
液注入回路と、臍帯動脈もしくは臍帯静脈の他方に接続
される採血回路と、前記補充液注入回路に設けられた送
液手段と、前記採血回路に設けられた送液手段とを備え
る臍帯血採取装置である。
【0010】上記目的を達成するものは、臍帯動脈もし
くは臍帯静脈の一方に接続される補充液注入回路と、臍
帯動脈もしくは臍帯静脈の他方に接続される採血回路
と、前記補充液注入回路側が高く前記採血回路側が低く
なるように圧力差を形成する圧力差形成手段を備える臍
帯血採取装置である。
【0011】上記目的を達成するものは、臍帯動脈もし
くは臍帯静脈の一方に接続される補充液注入回路と、臍
帯動脈もしくは臍帯静脈の他方に接続される採血回路
と、前記補充液注入回路に設けられた送液手段と、前記
採血回路に設けられた送液手段と、前記2つの送液手段
を制御する制御部を有し、該制御部は、前記補充液注入
回路側が高く前記採血回路側が低くなるように圧力差を
形成する圧力差形成機能を備える臍帯血採取装置であ
る。
【0012】前記採血回路は、抗凝固剤注入回路を備え
ていることが好ましい。前記圧力差形成手段は、両者の
差圧が20〜200mmHgとなるような圧力差形成が
可能であることが好ましい。前記臍帯血採取装置は、臍
帯血から造血幹細胞分画を分離可能な遠心分離器あるい
は膜分離器を備えることが好ましい。また、前記臍帯血
採取装置は、密度勾配液を用いて、比重1.03から比
重1.09の媒体間に存在する造血幹細胞分画を遠心分
離して、無菌的に容器へ捕集する造血幹細胞分離採取回
路を備えることが好ましい。
【0013】上記目的を達成するものは、臍帯動脈また
は臍帯静脈もしくは臍帯動脈接続器具または臍帯静脈接
続器具の一方に接続するための第1の接続部と、補充液
充填容器と、該補充液充填容器と前記第1の接続部とを
連通する補充液送液チューブとを有する補充液注入回路
と、臍帯静脈または臍帯動脈もしくは臍帯静脈接続器具
または臍帯動脈接続器具の他方に接続するための第2の
接続部と、臍帯血採取容器と、該臍帯血採取容器と前記
第2の接続部とを連通する送血チューブと、抗凝固剤充
填容器と、該抗凝固剤充填容器を前記送血チューブに連
通する抗凝固剤送液チューブとを有する採血回路とを備
える臍帯血採取器具である。
【0014】前記臍帯血採取器具は、前記補充液注入回
路側が高く、前記採血回路側が低く、かつ両者の差圧が
20〜200mmHgとなるような圧力差形成が可能で
あることが好ましい。前記補充液送液チューブ、前記抗
凝固剤送液チューブおよび前記送血チューブは、所定の
長さを有する可撓性チューブにより形成されており、補
充液充填容器、抗凝固剤充填容器および臍帯血採取容器
間に落差を形成することができ、該落差により、前記補
充液注入回路側と前記採血回路側との間に圧力差が形成
されるものであることが好ましい。
【0015】
【実施例】そこで、本発明の臍帯血採取装置を図面に示
した実施例を用いて説明する。以下、本発明を図1に示
す実施例の臍帯血採取装置を用いて説明する。図1は、
本発明の臍帯血採取装置の一例の概略図である。臍帯血
採取装置1は、臍帯動脈もしくは臍帯静脈の一方に接続
される補充液注入回路2と、臍帯動脈もしくは臍帯静脈
の他方に接続される採血回路3と、補充液注入回路2に
設けられた送液手段24と、採血回路3に設けられた送
液手段34と、2つの送液手段24、34を制御する制
御部4を有し、制御部4は、補充液注入回路2側が高く
採血回路3側が低くなるように圧力差を形成する圧力差
形成機能を備えている。また、補充液注入回路2と採血
回路3により、臍帯血採取回路(臍帯血採取器具)を構
成している。
【0016】補充液注入回路2は、臍帯動脈または臍帯
静脈もしくは臍帯動脈接続器具または臍帯静脈接続器具
の一方に接続するための第1の接続部21(動脈接続部
21)と、補充液充填容器22と、補充液充填容器22
と第1の接続部21とを連通する補充液送液チューブ2
3とを有している。第1の接続部は、この実施例では、
直接臍帯動脈に接続できる接続針または挿入管を先端に
有するものが使用される。接続部が臍帯動脈に直接接続
するものの場合には、臍帯動脈が2本あることより、臍
帯動脈への挿入管を2本有するものが好適である。この
ような臍帯接続部を備えることにより、臍帯への接続が
容易になると共に、臍帯血管に確実に接続されるため、
臍帯血管内に補充液を容易かつ効率的に注入することが
できる。また、接続部は直接臍帯動脈に接続できるもの
でなく、臍帯動脈接続器具(例えば、血管内留置針、カ
テーテル)に接続可能なものでもよい。
【0017】補充液送液チューブ23は、先端に上記接
続部21が取り付けられ、他端は、補充液充填容器22
と連通している。補充液送液チューブ23の他端には、
2つ以上の補充液充填容器を取り付けてもよい。補充液
送液チューブとしては、軟質であり、所定の長さと透明
性を有する合成樹脂チューブ(例えば、軟質塩化ビニル
チューブ、シリコーンゴムチューブ)が好適に使用され
る。補充液送液チューブ23の途中には、図1に示すよ
うに、チャンバー25を設けることが好ましい。これに
より、補充液送液チューブは、上流側チューブ23bと
下流側チューブ23aに分かれる。チャンバー25は、
所定量の液体を貯留できる内部空間と異物を除去するた
めのネット状のフィルター25aを備えている。また、
チャンバー25には連通管が取り付けられており、その
端部に、圧力センサ26が取り付けられている。このチ
ャンバー25を設けることにより、補充液中の気泡をト
ラップすることおよび異物の除去が可能となる。また、
圧力の検知も容易である。チャンバー25としては、少
量の貯液空間を有する軟質のものが用いられる。
【0018】送液チューブ23には、送液手段24(送
液ポンプ)が取り付けられている。送液手段としては、
蠕動式ポンプ、プランジャーポンプ、ローラーポンプな
どの公知のものが使用できる。送液手段としては、流量
0.1〜50ml/min程度の送液能力を有するもの
が好適である。送液手段は、血液チャンバーの上流、下
流のいずれに設けてもよい。
【0019】補充液充填容器22としては、軟質合成樹
脂(例えば、可塑化塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエチレン樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合
体、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレ
フィン、ポリフルオロカーボン、ポリイミドなど)によ
り形成された密閉型の貯血容器が好適である。また、開
放型の貯血容器、例えば、菌不透過性の疎水性フィルタ
ーを有する硬質合成樹脂(例えば、ポリカーボネート、
硬質塩化ビニル樹脂)製容器などでもよい。
【0020】補充液充填容器内に充填される補充液とし
ては、抗凝固剤が好適である。また、補充液は生理的等
張液であることも好ましい。抗凝固剤としては、ヘパリ
ン、ACD液、CPD液、EDTA液などが好適であ
る。等張液としては、生理食塩液、リンゲル液、乳酸リ
ンゲル液などの等張電解質液、またはリン酸緩衝化生理
食塩液、Hank's Balanced Salt Solution, Earle's Ba
lanced Salt Solutionなどの等張緩衝液、あるいは、RP
MI1640メジウム、AIM-V,Eagle's minimum essential m
edium(MEM),Fisher's medium,Ham's F-10,McCoy's S
Aメジウム、メジウム199などの培養液が好適に用いられ
る。補充液としては、抗凝固剤を含有する等張液が好ま
しく、上述のACD液、CPD液、EDTA液、上述の
等張緩衝液にヘパリンなどの抗凝固剤を添加したものが
特に好適である。
【0021】採血回路3は、臍帯静脈または臍帯動脈も
しくは臍帯静脈接続器具または臍帯動脈接続器具の他方
に接続するための第2の接続部31(静脈接続部)と、
臍帯血採取容器32と、臍帯血採取容器32と第2の接
続部31とを連通する送血チューブ33と、抗凝固剤充
填容器51と、抗凝固剤充填容器51を送血チューブ3
3に連通する抗凝固剤送液チューブ52とを有してい
る。
【0022】第2の接続部31は、この実施例では、直
接臍帯静脈に接続できる接続針または挿入管を先端に有
するものが使用される。臍帯静脈は1本であるので挿入
管も1本でよい。また、接続部31は臍帯静脈に接続で
きるものでなく、臍帯動脈接続器具(例えば、血管内留
置針、カテーテル)に接続可能なものでもよい。
【0023】送血チューブ33は、先端に上記接続部3
1が取り付けられ、他端は、臍帯血採取容器32と連通
している。送血チューブ33の他端には、2つ以上の採
取容器を取り付けてもよい。送血チューブとしては、軟
質であり、所定の長さと透明性を有する合成樹脂チュー
ブ(例えば、軟質塩化ビニルチューブ、シリコーンゴム
チューブ)が好適に使用される。送血チューブ33の途
中には、図1に示すように、血液チャンバー35を設け
ることが好ましい。これにより、送血チューブは、上流
側チューブ33bと下流側チューブ33aに分かれる。
血液チャンバー35は、所定量の血液を貯留できる内部
空間と異物を除去するためのネット状のフィルター35
aを備えている。また、チャンバー35には連通管が取
り付けられており、その端部に、圧力センサ36が取り
付けられている。この血液チャンバー35を設けること
により、送血チューブを流れる血液中の気泡のトラッ
プ、異物であるマイクロアグリゲートなどの凝集塊、組
織片、骨片、脂肪塊などの捕捉をすることができる。
【0024】フィルター35aとしては、0.2mm以
上の物質を捕捉可能な開口を有するものが好適であり、
このような大きさの異物を除去しておくことにより、移
植に際して血管栓塞の危険性がより減少する。また、フ
ィルターの目詰まりを防止し速やかに濾過するために、
異物除去器内の除去手段として、開孔直径の大きなフィ
ルターから順に開孔直径の小さなフィルターへと複数の
フィルターを組み合わせてたものを用いることが好まし
い。フィルターの材質としては、細胞に損傷を与えない
ものが好ましく、セルロース、ポリオレフィン、ポリフ
ルオロカーボンなどの有機高分子、ステンレス、セラミ
ックなどの無機物が好適に用いられる。血液チャンバー
35としては、少量の貯血空間を有する軟質のものが用
いられる。
【0025】この実施例では、採血回路3は、抗凝固剤
注入回路を備えている。抗凝固剤注入回路は、抗凝固剤
充填容器51と、この抗凝固剤充填容器51を送血チュ
ーブ33に接続するための抗凝固剤送液チューブ52を
備えている。また、送液チューブ52は、接続部31付
近、言い換えれば、送液チューブ33の上流側に接続さ
れている。
【0026】送血チューブ33には、送液手段34(送
液ポンプ)が取り付けられている。送液手段としては、
蠕動式ポンプ、プランジャーポンプ、ローラーポンプな
どの公知のものが使用できる。送液手段としては、流量
0.1〜50ml/min程度の送液能力を有するもの
が好適である。送液手段は、血液チャンバーの上流、下
流のいずれに設けてもよい。
【0027】抗凝固剤送液チューブ52にも、送液手段
53(送液ポンプ)が取り付けられている。送液手段と
しては、上述したものが使用できる。また、送液手段3
4と送液手段53は、1台の送液手段により行うものと
してもよい。例えば、送液手段として、ローラポンプを
用い、ローラの中央より左側にて抗凝固剤送液チューブ
をしごき、ローラの中央より右側にて送血チューブをし
ごくようにすることにより、1台の送液手段により、抗
凝固剤の注入と送血を両者を行うことができる。
【0028】臍帯血採取容器32としては、軟質合成樹
脂(例えば、可塑化塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、
エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィ
ン、ポリフルオロカーボン、ポリイミドなど)により形
成された密閉型の貯血容器が好適である。また、開放型
の貯血容器、例えば、菌不透過性の疎水性フィルターを
有する硬質合成樹脂(例えば、ポリカーボネート、硬質
塩化ビニル樹脂)製容器などでもよい。さらに、臍帯血
採取容器32は、凍結保存可能であることが好ましく、
このためには、ポリオレフィン、ポリフルオロカーボ
ン、ポリイミドなどの耐低温性の高い材料にて形成する
ことが好適である。
【0029】臍帯血採取容器32内には、血液の凝固を
防ぎ、混入雑菌の発育を抑制して、臍帯血を生きの良い
状態で維持するために、あらかじめ抗凝固剤、保存液、
抗生物質、培養液のいずれかまたはそれらを組み合わせ
た血液保存液を充填しておいてもよい。抗生物質として
は、ペニシリン、ストレプトマイシン、カナマイシン、
アンホテリンBなどが好適に用いられるが、抗菌スペク
トルの点からペニシリンとストレプトマイシンの組み合
わせが特に好適である。さらに、臍帯血採取容器32を
凍結保存する場合には、凍害防止剤を添加することが好
ましく、凍害防止剤として、ジメチルスルホキサイド、
グリセリン、エチレングリコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリグリコール、デキストラン、ヒドロキシエチル
スターチなどを充填しておくことが好適であり、ジメチ
ルスルホキサイドが安全性の点より特に好適である。保
存液としては、ACD−A液、CPD液、CPDA−1
液、SAG−M液,Adsolなどが好適である。培養
液としては、RPMI1640メジウム、AIM-V,Eagle's minim
um essential medium(MEM),Fisher's medium,Ham's F
-10,McCoy's SAメジウム、メジウム199などが使用され
る。
【0030】抗凝固剤充填容器51としては、軟質合成
樹脂(例えば、可塑化塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエチレン樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合
体、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレ
フィン、ポリフルオロカーボン、ポリイミドなど)によ
り形成された、密閉型の貯血容器が好適である。また、
開放型の貯血容器、例えば、菌不透過性の疎水性フィル
ターを有する硬質合成樹脂(例えば、ポリカーボネー
ト、硬質塩化ビニル樹脂)製容器などでもよい。抗凝固
剤液としては、ヘパリン水溶液、ACD液、CPD液、
EDTA液などが好適である。また、抗凝固剤は等張液
であることが好ましく、等張液としては、生理食塩液、
リンゲル液、乳酸リンゲル液などの等張電解質液、また
はリン酸緩衝化生理食塩液、Hank's Balanced Salt So
lution, Earle's Balanced Salt Solutionなどの等張緩
衝液、あるいは、RPMI1640メジウム、AIM-V,Eagle's m
inimumessential medium(MEM),Fisher's medium,Ham'
s F-10,McCoy's SAメジウム、メジウム199などの培養
液が好適に用いられる。さらに、上述の臍帯血採取容器
に添加する代わりに、この抗凝固剤中に上述の抗生物
質、凍害防止剤を添加してもよい。
【0031】この実施例の臍帯血採取装置1は、制御部
4を備えている。この制御部4には、図1および図5に
示すように、補充液注入回路側送液手段24、採血回路
側送液手段34、53、補充液注入回路側圧力センサ2
6、採血回路側圧力センサ36が電気的に接続されてい
る。この制御部4は、補充液注入回路側送液手段24、
採血回路側送液手段34、53を制御することにより、
補充液注入回路側が採血回路側より圧力が高くなるよう
に制御する。具体的には、補充液注入回路側が採血回路
側より20〜200mmHg圧力が高くなるように制御
する。両者の実際の圧力は、補充液注入回路側圧力セン
サ26および採血回路側圧力センサ36により実測さ
れ、この測定値を用いて、両回路の差圧が上記範囲内と
なるように制御する。また、この採取装置1は、補充液
注入回路側流量センサ27、補充液注入回路側液面セン
サ28、補充液注入回路側流路開閉手段29、採血回路
側流量センサ37、補充液注入回路側液面センサ38、
採血回路側流路開閉手段39、抗凝固剤流量センサ54
を備えている。上記各部材は、制御部4と電気的に接続
されている。圧力センサ26、36としては、半導体圧
力センサ、ロードセルなどが使用される。流量センサ2
7、37、54としては、超音波流量計、電磁流量計な
どが使用される。液面センサ28、38としては、光学
式液面センサ(例えば、赤外線液面センサ)、超音波液
面センサなどが使用される。特にセンサ38としては、
臍帯血と補充液との差異を検知可能なものが使用され
る。流路開閉手段29、39としては、電磁弁が使用さ
れる。また、送液手段24、34、53も制御部4に電
気的に接続されており、制御部により制御される。
【0032】制御部4は、図5に示すように制御回路4
1、入力部42、表示部43を備えている。また、入力
部42には、電源スイッチ71、胎盤重量入力スイッチ
72、圧力差入力スイッチ73、スタートスイッチ7
4、スタンバイスイッチ75が設けられている。制御回
路41は、入力された胎盤重量に基づき、圧力差、補充
液流量、採血流量、抗凝固剤流量を演算し設定する。具
体的には、制御回路が、入力された胎盤重量より、含有
臍帯血量を概算し、概算臍帯血重量よりその量に見合っ
た圧力差を算出し、その圧力差に対応して補充液流、採
血流量、抗凝固剤流量を演算し設定する機能を有してい
る。また、制御回路は、入力された圧力差に基づき、補
充液流量、採血流量、抗凝固剤流量を演算し設定する機
能を備えている。入力部には、補充液流量入力スイッ
チ、採血流量入力スイッチを設けてもよい。
【0033】表示部43には、電源ランプ81、スター
トランプ82、胎盤重量表示部83、設定圧力差表示部
84、警報ランプ85、測定圧力差表示部86が設けら
れている。さらに、測定補充液流量表示部、測定臍帯血
流量表示部、測定抗凝固剤流量表示部を設けてもよい。
また、測定圧力差ではなく、測定補充液側圧力表示部、
測定採血回路側圧力表示部を設けてもよい。警報ランプ
は、採血作業中に異常が生じると点滅する。制御回路4
1には、ブザー87が接続されている。このブザーは、
採血作業中に異常が生じると鳴動する。上述の臍帯血採
取装置では、複数の送液手段を備えているが、これに限
らず、落差により、補充液注入回路側が高く、採血回路
側が低く、かつ両者の差圧が20〜200mmHgとな
るような圧力差形成が可能なものでもよい。
【0034】このためには、補充液送液チューブを軟質
かつ所定の所定の長さを有するものとし、使用時に補充
液充填容器22を接続部21より十分に高い位置に設置
し、第1の接続部21と補充液充填容器22間に落差を
形成する。この落差により補充液を臍帯動脈(または臍
帯静脈)に注入する構成としてもよい。この場合、送液
チューブの長さ(接続部21から補充液充填容器22ま
での長さ)は、200〜1000mm程度が好適であ
る。同様に、送血チューブを軟質かつ所定の長さを有す
るものとし、使用時に採取容器32を接続部31より十
分に低い位置に設置し、第2の接続部31と臍帯血採取
容器32間に落差を形成する。落差により臍帯血を採取
する。この場合、送血チューブの長さ(接続部31から
採取容器32までの長さ)は、200〜1000mm程
度が好適である。さらに、抗凝固剤送液チューブを軟質
かつ所定の長さを有するものとし、使用時に抗凝固剤容
器を接続部より十分に高い位置に設置し、第2の接続部
31と抗凝固剤充填容器51間に落差を形成する。この
落差により抗凝固剤を送血チューブに注入する構成とし
てもよい。この場合、送血チューブの長さ(接続部31
から抗凝固剤充填容器51までの長さ)は、200〜1
000mm程度が好適である。
【0035】なお、この実施例の臍帯血採取装置では、
補充液を動脈側より注入し、静脈側より臍帯血を排出し
て採取する構成となっている。また、この実施例に限ら
ず、補充液を静脈側より注入し、動脈側より臍帯血を排
出して採取する構成としてもよい。なお、補充液を動脈
側より注入し、静脈側より臍帯血を排出して採取するも
のとすれば、胎盤内に流れていた血液流と同方向に補充
液が流れるので、毛細管などに損傷をあたえることなく
好適であると考える。
【0036】次に、図2に示す実施例の臍帯血採取装置
について説明する。この臍帯血採取装置10と、上述し
た図1に示した臍帯血採取装置1との相違は、この実施
例の採取装置10が、臍帯血から造血幹細胞分画を分離
可能な分離器を備える点である。具体的には、血液チャ
ンバー35と臍帯血採取容器32間に設けられた膜分離
器55を備えている。
【0037】膜分離器55としては、造血幹細胞を通過
させ、かつ、造血幹細胞より大きい物質を通過させない
膜を備えた分離器が使用される。具体的には、血漿分離
器が使用できる。この実施例の膜分離器55は、血液流
入口56と濃厚赤血球(非造血幹細胞成分)である血液
流出口58と、血液を血漿成分と血球成分とに分離する
血液分離機能(分離膜)と、分離された造血幹細胞含有
成分(血漿成分)の流出口57を有している。造血幹細
胞成分流出口57は、チューブを介して臍帯血採取容器
32に接続されており、濃厚赤血球流出口58には、濃
厚赤血球採取容器59が接続されている。
【0038】分離器の構造としては、中空糸膜型、平膜
型などが使用される。分離器に使用される膜部材として
は、例えば、血漿分離膜でもある、硝酸セルロース、酢
酸セルロース等の有機酸エステル等のセルロースエステ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート
等のある程度の可撓性を有する合成樹脂膜(膜厚30〜20
0μm)を相分離法、抽出法、延伸法、荷電粒子照射法
等の公知の方法で製膜したもので、その平均孔径が0.
1〜1μm程度、好ましくは0.1〜0.8μmのもの
である。
【0039】次に、図3に示す実施例の臍帯血採取装置
について説明する。この臍帯血採取装置20と、上述し
た図1に示した臍帯血採取装置1との相違は、この実施
例の採取装置20が、密度勾配液を用いて、比重1.0
3から比重1.09の媒体間に存在する造血幹細胞分画
を連続的に遠心分離して、無菌的に容器へ捕集する造血
幹細胞分離採取回路を有する点である。
【0040】臍帯血採取装置20は、遠心ボウル61
と、遠心ボウル61を臍帯血採取容器32と接続する採
取臍帯血送血チューブ62と、密度勾配液充填容器67
と、この密度勾配液充填容器67を送血チューブ62と
接続する送液チューブと、遠心ボウル61に接続された
送血チューブ65と、この送血チューブ65の分岐チュ
ーブ65aの一端に取り付けられた造血幹細胞採取容器
63と、送血チューブ65の分岐チューブ65bの一端
に取り付けられた非造血幹細胞成分採取容器64と、送
血チューブ62に設けられた送液手段(送液ポンプ)7
0を備えている。
【0041】臍帯血採取装置20は、臍帯血より造血幹
細胞を分離するために遠心分離部を備えており、臍帯血
採取容器32に採取された臍帯血は、送液手段70によ
って遠心ボウル61に導入され、密度勾配液を用いる密
度勾配遠心分離法によって造血幹細胞分画を分離し、造
血幹細胞は造血幹細胞採取容器63に採取され、非造血
幹細胞成分は、採取容器64に採取される。
【0042】次に、図4に示す実施例の臍帯血採取装置
について説明する。この臍帯血採取装置30と、上述し
た図1に示した臍帯血採取装置1との相違は、この実施
例の採取装置30が、密度勾配液を用いて、比重1.0
3から比重1.09の媒体間に存在する造血幹細胞分画
を連続的に遠心分離して、無菌的に容器に採取するとと
もに採取した造血幹細胞を洗浄することができる造血幹
細胞分離および洗浄臍帯血採取回路を有する点である。
【0043】臍帯血採取装置30は、遠心ボウル61
と、遠心ボウル61を臍帯血採取容器32と接続する採
取臍帯血送血チューブ62と、送血チューブ62に接続
された送液チューブ68と、この送液チューブ68の分
岐チューブ68aの一端に取り付けられた密度勾配液充
填容器67と、送液チューブ68の分岐チューブ68b
の一端に取り付けられた洗浄液充填容器66と、遠心ボ
ウル61に接続された送血チューブ65と、この送血チ
ューブ65の分岐チューブ65aの一端に取り付けられ
た造血幹細胞採取容器63と、送血チューブ65の分岐
チューブ65bの一端に取り付けられた非造血幹細胞成
分および廃液採取容器64と、送血チューブ62に設け
られた送液手段(送液ポンプ)70を備えている。
【0044】この臍帯血採取装置30は、臍帯血より造
血幹細胞の分離および分離された造血幹細胞を洗浄する
ための回路を備えており、臍帯血採取容器32に採取さ
れた臍帯血は、送液手段70によって遠心ボウル61に
導入され、密度勾配液を用いる密度勾配遠心分離法によ
って造血幹細胞分画を分離し、造血幹細胞は造血幹細胞
採取容器63に採取され、非造血幹細胞成分は、採取容
器64に採取される。
【0045】造血幹細胞分画を採取した造血幹細胞採取
容器63は、チューブ65a部分にて切断され、臍帯血
採取容器32もチューブ62部分にて切断され、回路よ
り切り離される。切り離された造血幹細胞採取容器63
は、チューブ62に接続され、また、チューブ65aの
端部には、新しい造血幹細胞採取容器63が接続され
る。そして、造血幹細胞採取容器63内の造血幹細胞
は、送液手段70によって遠心ボウル61に導入され、
洗浄液充填容器容器66に充填された等張緩衝液を用い
て遠心洗浄され、洗浄された造血幹細胞は新しい造血幹
細胞採取容器63に採取され、廃液は廃液容器64に流
入する。上述の臍帯血採取装置10、20、30によれ
ば、一旦採取した臍帯血から造血幹細胞分画を遠心分離
あるいは膜分離して、無菌的に捕集することができる。
採取された造血幹細胞、直接移植治療、自己血輸血、培
養血液製剤などに利用することができる。
【0046】次に、本発明の臍帯血採取装置の作用を図
1、図5および図6を用いて説明する。胎児の血液は、
臍動脈(臍帯を走る2本の血管)を通って胎盤に達し、
絨毛の中で毛細血管のループをなし、臍静脈(臍帯を走
る1本の血管)となって、胎児に帰る。従って、臍帯血
管内の血液を収率良く採取するためには、動脈もしくは
静脈から胎盤方向へ補充液を加圧送液して、毛細血管内
の血液を静脈側もしくは動脈側へ押し出し、静脈もしく
は動脈の新生児側出口から吸引することによって容易に
臍帯血を採取できることを本発明者が知見した。この場
合、動脈と静脈間の差圧が大きいことが採取時間の短縮
など採取効率が高いことを見いだした。また、動脈と静
脈間の差圧があまり大きすぎると胎盤内の毛細血管を破
断させる危険性があることも見いだした。
【0047】そして、採取方法としては、種々考えられ
る。第1の方法として、動脈から胎盤方向へ加圧送液し
た後も送液を継続し、動脈と静脈間の差圧を一定に保ち
ながら、静脈の新生児側出口から吸引して採血する方法
である。具体的には、臍帯動脈へポンプを用いて補充液
を注入し、臍帯静脈に比べて20〜200mmHg加圧
した後、更に補充液の送液を続けて、加圧状態を維持し
ながら、ポンプを用いて、臍帯静脈から臍帯血を効率よ
く採取することが考えられる。
【0048】第2の方法として、動脈から胎盤方向へ加
圧送液した後に、一時送液を停止し、静脈の新生児側出
口から吸引することによって、徐々に動脈と静脈間の差
圧を減らしながら採血する方法が考えられる。具体的に
は、臍帯動脈へポンプを用いて補充液を注入し、臍帯静
脈圧に比べて20〜200mmHg加圧した後、ポンプ
を用いて臍帯静脈から臍帯血を吸引採取する操作を2〜
5回繰り返して臍帯内を採取することが考えられる。
【0049】そこで、上記の第1の方法に基づいて制御
設計された制御部を有する実施例の臍帯血採取装置の作
用を図6を用いて説明する。図6のフローチャートに示
すように、制御部4の入力部42に設けられている電源
スイッチ71をオンする。これにより、採取装置が作動
を開始する。入力部に設けられた胎盤重量入力スイッチ
72より胎盤重量が入力されると、制御回路41は、胎
盤重量に見合った圧力差を演算し設定する。続いて、圧
力差に見合った補充液流量の設定、臍帯血送血流量、抗
凝固剤流量を設定する。以降の臍帯血の採取作業は、制
御部により演算された設定値に従って行われる。また、
図6に示すように、胎盤重量が入力されることなく、圧
力差が入力されると、制御回路41は、圧力差に見合っ
た補充液流量の設定、臍帯血送血流量、抗凝固剤流量を
設定する。以降の臍帯血の採取作業は、制御部により演
算された設定値に従って行われる。
【0050】補充液注入回路2に、図1に示すように電
磁弁29などの器具を取り付ける。同様に、採血回路3
にも電磁弁39などの器具を取り付ける。続いて、スタ
ンバイスイッチ75をオンすると、電磁弁29が所定時
間開放するとともに送液ポンプ24が所定時間作動し、
補充液を回路の接続部21まで満たしたのち、電磁弁2
9は閉塞状態となり送液ポンプ24は停止する。この
時、チャンバーの上部には所定量のエアーが貯留する。
同様に、電磁弁39が所定時間開放するとともに送液ポ
ンプ53が作動し、抗凝固剤を回路の接続部31まで満
たしたのち、電磁弁39が閉塞状態となり送液ポンプ5
3は停止する。続いて、臍帯血採取器具を胎盤に接続す
る。具体的には、補充液注入回路2の接続部21を臍帯
動脈に接続し、採血回路3の接続部31を臍帯静脈に接
続する。このようにして、採血準備が行われる。
【0051】スタートスイッチ74をオンすると、電磁
弁29、39が開放状態、送液ポンプ24、34、53
が作動し、胎盤への補充液の注入と、胎盤からの臍帯血
の排出が行われる。送液ポンプ24、34、53は制御
部によりそれぞれの送液量が制御され、これにより、補
充液注入回路側が高く採血回路側が低い圧力差が形成さ
れている。
【0052】採血作業中、常時補充液注入回路側の圧力
はセンサ26により、採血回路側の圧力はセンサ36に
より測定され、その測定信号は制御部に入力され、逐次
実際の圧力差が演算されている。図6のフローチャート
に示すように、測定圧力差と設定圧力差は逐次比較さ
れ、両者の差が許容範囲内(具体的には、250mmH
g以内)であるか判断している。両者の差が許容範囲内
を越えた場合であって、測定圧力差が設定圧力差より高
い場合には、制御部はポンプ24の送液量を減少させ、
補充液流量を低下させる。また、ポンプ34の送液量を
増加させ送血量を増加させてもよい。また、両者の差が
許容範囲内を越えた場合であって、設定圧力差が測定圧
力差より高い場合には、制御部はポンプ34の送液量を
減少させ、送血量を低下させるとともに、ポンプ53の
送液量も比例して減少させる。また、ポンプ24の送液
量を増加させ補充液流量を増加させてもよい。
【0053】図6のフローチャートに示すように、採血
作業中、常時補充液流量は流量センサ27により、臍帯
血流量は流量センサ37により測定され、その測定信号
は制御部に入力され、設定流量と逐次比較されている。
測定流量と設定流量の差が許容範囲(具体的には、±2
0%)を越えるような低下があった場合には、ブザー8
7が鳴動するとともに警報ランプ85が点滅し、スター
トスイッチ74がオフとなり、電磁弁29、39が閉塞
状態、送液ポンプ24、34、53の作動が停止する。
そして回路などの異常を確認し、異常処理を行う。再び
スタートスイッチをオンすることにより、採血作業が再
開される。
【0054】採血回路の液面センサ38が、臍帯血でな
く補充液を検知するまで、採血作業は継続される。液面
センサ38が液面(臍帯血と補充液との液面もしくは補
充液)を検知すると、血液チャンバーと臍帯血採取容器
間のチューブ内の臍帯血を採取容器内に採取するため
に、所定時間待ったのち、スタートスイッチ74がオフ
となり、電磁弁29、39が閉塞状態、送液ポンプ2
4、34、53の作動が停止し、ブザーが鳴動し、採血
作業が終了する。
【0055】次に、上述の第2の方法に基づいて制御設
計された制御部を有する実施例の臍帯血採取装置の作用
を説明する。臍帯血採取器具(補充液注入回路と採血回
路)を胎盤に接続するまでの作用および作業は上述した
第1の方法に基づくものと同じである。なお、胎盤重量
を入力した際に演算される圧力差は、上述した第1の方
法に基づくものより高く、胎盤内の毛細管に損傷を与え
ない程度の最高圧力差と最低圧力差が設定される。最高
圧力差は200mmHg以下に、また最低圧力差は20
mmHg以上に設定される。
【0056】スタートスイッチ74をオンすると、電磁
弁29が開放状態、送液ポンプ24が作動し、胎盤への
補充液の注入が行われる。この時点では、電磁弁39は
閉塞状態であり、ポンプ34、53は作動しない。補充
液の注入により胎盤内の圧力は上昇し、圧力センサ2
6、36により測定された圧力差が設定最高圧力差に達
すると、電磁弁29が閉塞状態、送液ポンプ24が停止
し、電磁弁39が開放状態、ポンプ34、53が作動
し、臍帯血の採取が開始される。そして、臍帯血の採取
が進むにつれて胎盤内の圧力は低下し、圧力センサ2
6、36により測定された圧力差が設定最低圧力差に達
すると、電磁弁39が閉塞状態、ポンプ34、53が停
止し採血作業が停止する。そして、上記の補充液の注入
作業と、臍帯血の吸引を1セットとする採血作業を複数
回(例えば、2〜5回)繰り返して、臍帯血を採取す
る。
【0057】
【発明の効果】本発明の臍帯血採取装置は、臍帯動脈も
しくは臍帯静脈の一方に接続される補充液注入回路と、
臍帯動脈もしくは臍帯静脈の他方に接続される採血回路
と、補充液注入回路に設けられた送液手段と、採血回路
に設けられた送液手段とを備える。このため、臍帯血を
ほぼ閉鎖系にて菌汚染の危険性がなく容易に採取でき
る。
【0058】本発明の臍帯血採取装置は、臍帯動脈もし
くは臍帯静脈の一方に接続される補充液注入回路と、臍
帯動脈もしくは臍帯静脈の他方に接続される採血回路
と、前記補充液注入回路側が高く前記採血回路側が低く
なるように圧力差を形成する圧力差形成手段を備えてい
る。このため、臍帯血をほぼ閉鎖系にて菌汚染の危険性
がなく容易に採取できる。さらに、形成された圧力差に
より効率よく臍帯血を採取できる。
【0059】本発明の臍帯血採取装置は、臍帯動脈もし
くは臍帯静脈の一方に接続される補充液注入回路と、臍
帯動脈もしくは臍帯静脈の他方に接続される採血回路
と、補充液注入回路に設けられた送液手段と、採血回路
に設けられた送液手段と、前記2つの送液手段を制御す
る制御部を有し、該制御部は、前記補充液注入回路側が
高く前記採血回路側が低くなるように圧力差を形成する
圧力差形成機能を備える。このため、臍帯血をほぼ閉鎖
系にて菌汚染の危険性がなく容易に採取できる。さら
に、形成された圧力差により効率よく臍帯血を採取でき
る。
【0060】本発明の臍帯血採取器具は、臍帯動脈また
は臍帯静脈もしくは臍帯動脈接続器具または臍帯静脈接
続器具の一方に接続するための第1の接続部と、補充液
充填容器と、該補充液充填容器と前記第1の接続部とを
連通する補充液送液チューブとを有する補充液注入回路
と、臍帯静脈または臍帯動脈もしくは臍帯静脈接続器具
または臍帯動脈接続器具の他方に接続するための第2の
接続部と、臍帯血採取容器と、該臍帯血採取容器と前記
第2の接続部とを連通する送血チューブと、抗凝固剤充
填容器と、該抗凝固剤充填容器を前記送血チューブに連
通する抗凝固剤送液チューブとを有する採血回路とを備
える。このため、臍帯血をほぼ閉鎖系にて菌汚染の危険
性がなく容易に採取できる。
【0061】この臍帯血採取装置によれば、一旦採取し
た臍帯血から造血幹細胞分画を遠心分離あるいは膜分離
して、無菌的に捕集することができる。採取された造血
幹細胞、直接移植治療、自己血輸血、培養血液製剤など
に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の臍帯血採取装置の一実施例の
概略である。
【図2】図2は、本発明の臍帯血採取装置の他の実施例
の概略図である。
【図3】図3は、本発明の臍帯血採取装置の他の実施例
の概略である。
【図4】図4は、本発明の臍帯血採取装置の他の実施例
の概略図である。
【図5】図5は、本発明の臍帯血採取装置に使用される
制御部の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の臍帯血採取装置の作用を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
1 臍帯血採取装置 2 補充液注入回路 3 採血回路 4 制御部(圧力差形成手段) 10 臍帯血採取装置 20 臍帯血採取装置 30 臍帯血採取装置 21 第1の接続部 22 補充液充填容器 23 補充液送液チューブ 24 送液手段(送液ポンプ) 25 チャンバー 31 第2の接続部31(静脈接続部) 32 臍帯血採取容器 33 送血チューブ 34 送液手段(送液ポンプ) 51 抗凝固剤充填容器 52 抗凝固剤送液チューブ 35 血液チャンバー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 臍帯動脈もしくは臍帯静脈の一方に接続
    される補充液注入回路と、臍帯動脈もしくは臍帯静脈の
    他方に接続される採血回路と、前記補充液注入回路に設
    けられた送液手段と、前記採血回路に設けられた送液手
    段とを備えることを特徴とする臍帯血採取装置。
  2. 【請求項2】 臍帯動脈もしくは臍帯静脈の一方に接続
    される補充液注入回路と、臍帯動脈もしくは臍帯静脈の
    他方に接続される採血回路と、前記補充液注入回路側が
    高く前記採血回路側が低くなるように圧力差を形成する
    圧力差形成手段を備えることを特徴とする臍帯血採取装
    置。
  3. 【請求項3】 臍帯動脈もしくは臍帯静脈の一方に接続
    される補充液注入回路と、臍帯動脈もしくは臍帯静脈の
    他方に接続される採血回路と、前記補充液注入回路に設
    けられた送液手段と、前記採血回路に設けられた送液手
    段と、前記2つの送液手段を制御する制御部を有し、該
    制御部は、前記補充液注入回路側が高く前記採血回路側
    が低くなるように圧力差を形成する圧力差形成機能を備
    えることを特徴とする臍帯血採取装置。
  4. 【請求項4】 臍帯動脈または臍帯静脈もしくは臍帯動
    脈接続器具または臍帯静脈接続器具の一方に接続するた
    めの第1の接続部と、補充液充填容器と、該補充液充填
    容器と前記第1の接続部とを連通する補充液送液チュー
    ブとを有する補充液注入回路と、臍帯静脈または臍帯動
    脈もしくは臍帯静脈接続器具または臍帯動脈接続器具の
    他方に接続するための第2の接続部と、臍帯血採取容器
    と、該臍帯血採取容器と前記第2の接続部とを連通する
    送血チューブと、抗凝固剤充填容器と、該抗凝固剤充填
    容器を前記送血チューブに連通する抗凝固剤送液チュー
    ブとを有する採血回路とを備えることを特徴とする臍帯
    血採取器具。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998032840A1 (fr) 1997-01-24 1998-07-30 Asahi Medical Co., Ltd. Procede de separation des cellules

Cited By (2)

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WO1998032840A1 (fr) 1997-01-24 1998-07-30 Asahi Medical Co., Ltd. Procede de separation des cellules
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