【発明の詳細な説明】
タイル細分化を用いたデジタル・イメージの圧縮
発明の背景
1.発明の技術分野
本発明はデジタル・イメージの圧縮に関し、より詳しくは、イメージをより小
さなタイルに連続的に細分化して、各タイル内の全てのピクセルを限定されたカ
ラー・パレットで色指定することによって、デジタル・イメージを圧縮するシス
テム、及び方法に関する。
2.関連技術の説明
デジタル・イメージの圧縮は、デジタル符号化イメージを記憶するのに必要な
データ容量を小さくする。従って、デジタル圧縮は、フロッピーディスクやCD-R
OMのような、有限なデータ記憶媒体上に膨大、かつ複雑なイメージの記憶を容易
にすることを含んだ、多くの利点を提供する。
QuinnellのEDNにおける、1993年1月21日、3月4日、5月13日の「Image Com
pression」(第1、2、及び3部)、及びLehtinenのTV Technologyにおける、1
993年3月の「lndustry Catches the Compression Wavelet」で説明されている
ように、いくつかの圧縮技法が現代技術において存在する。
ラン−レングス符号化、及びエントロピー符号化のような「ロスレス(Loss1e
ss)」圧縮技法は、最終的にイメージが表示された場合に、
そのイメージの知覚品質に影響を与えることなく、必要なデータ記憶域を低減さ
せる。こうした技法の主たる欠点は、それらが誤差の許容範囲を小さくしてしま
うことである。例えば、ラン−レングス符号化イメージにおける単一ビットの誤
差によって、表示されたイメージの大部分は正しく表示されない。更に、ロスレ
ス技法は限定された量の圧縮しか達成できない。
「ロシー(Lossy)」圧縮技法は大きな誤差の許容範囲とより高い圧縮レベル
を提供する。この技法は通常、ある方法で細部を除去し、ぼかすことによって必
要なデータ記憶域を低減させる。こうした技法は、必要に応じてデータを量子化
することが多い。こうした除去とぼかしは、時間領域、及び/又は空間領域にお
いて行われる可能性がある。通常、できるだけ異論のない方法でぼかしや量子化
の試みがなされる。しかし、定義に基づくロシー圧縮技法は、イメージの知覚品
質を低下させる。
Quinnellにおいて説明されているように、ある公知のロシー圧縮技法はJPEG(
Joint Photographic Experts Group)として知られており、この技法は、2次元
の離散コサイン変換(DCT)を用いて、イメージ・データを空間的周波数表現に
変換する。この技法は、異なる程度の粒子で構成要素を量子化し、その結果を符
号化する。JPEGは、広く静止イメージに用いられている。
MPEG(Moving Picture Expert Group)として知られる別の技法は、時間領域
に沿った冗長性を利用する。従ってMPEGは、前のイメージに基づいてイメージの
特性を予測しようとし、次にその予想とイメ
ージの差を変換し、符号化する。MPEGは広く動画に使用されている。静止イメー
ジが記憶され、送信される場合に、MPEGの時間領域量子化はいかなる圧縮利得も
生じない。
従来のロシー圧縮技法の1つの欠点は、伸張処理が比較的複雑なことである。
従って、通常精巧で高価なハードウエア、及び/又はソフトウエアが、イメージ
を伸張するのに必要である。更に、伸張処理は長時間を要し、リアル-タイムの
動作を妨げる。
別の欠点は強力さの欠如である。上述のように、ロシー技法はロスレス技法に
比べて大きな誤差の許容範囲を提供するが、JPEGとMPEGの両方はなお誤差に対し
て敏感である。更に、MPEGは前のイメージから作られる予想に依存するので、ユ
ーザが自由自在に早送りや巻き戻しができる、CD-ROMやビデオテープのようなア
プリケーションには適応しない。
第3の欠点は柔軟性の欠如である。様々な程度の圧縮を提供するために、従来
の圧縮技法は、所望の目標サイズ、及びイメージ品質に基づく所望の圧縮の程度
が達成されるまで、連続して増加する量子化レベル(「積極度(aggressiveness
)」)を使用する。しかし、特定の量子化レベルで達成されるべき圧縮の程度は
、正確に予測するのが難しいことが多い。従って、量子化の試みは圧縮の所望の
程度を上回ることも、又下回ることもあり、結果的にa)記憶域を浪費するか、b
)過度の圧縮によってイメージ品質が劣化するか、又はc)様々な積極度レベル
で量子化が繰り返し試みられたことで無効になるかのいずれかである。要するに
、従来の技法では、必要なものよ
り、積極度の程度が大きかったり、小さかったりすることが多い。
発明の概要
本発明に従って、所望の圧縮レベルが達成されるまで、2つのカラーにイメー
ジを最大量子化することに続いて、繰り返し詳細さを増大させることによって、
デジタル・イメージの圧縮を行うシステム、及び方法が提供される。繰り返して
詳細さを増大させることは、連続的にイメージをより小さなタイルに細分し、各
タイル内の全ピクセルを制限されたカラー・パレットで色指定することによって
達成される。
本発明の方法は、デジタル・イメージを所望の解像度にサイジングすること、
デジタル・イメージのカラーを減らすこと、及びデジタル・イメージをタイルに
細分化することを含む。最初に、全てのタイルには厳密な減色処理が行われ、そ
こで各タイル毎に、「高」カラー及び「低」カラーと呼ばれる2つのカラーが選
択され、タイル内の各ピクセルがその2つのカラーの内1つのカラーに割り当て
られる。各タイルに関する平均2乗誤差(MSE)が計算される。
次に、再帰的処理が開始され、最大のMSEを有するタイルが「サブタイル」と
して知られる2つの部分に細分化される。各サブタイル毎に新しい「高」カラー
及び「低」カラーが選択され、各サブタイル内の各ピクセルに再びその2つのカ
ラーの内1つのカラーが割り当てられる。2つのサブタイルのそれぞれに関して
新しいMSEが計算される。
最大MSEタイル、又はサブタイルの細分化が、制約条件に達するま
で実施される。この制約条件は最大データ・サイズ、最大許容MSE、最大予想伸
張時間、又はその他の計測可能な条件として定義されうる。
サブタイルの配置、各タイルに関する「高」カラー及び「低」カラー、及び「
高」カラー及び「低」カラーのピクセルの構成を記述するデータ列が形成される
。
本発明の方法はデータを比較的異論のない方法で量子化するロシー圧縮を提供
する。小さな細部を含んでいるイメージの一部がより積極的に細分化され、結果
的にその細部を維持することになる。
更に、その結果圧縮されたデータ列は、比較的単純なハードウエア、又はソフ
トウエアを用いてリアル−タイムに伸張可能である。伸張処理は、サブタイルの
配置を参照することによって、及びその中で2進ビットマップ、及びカラー・パ
レットを用いて各タイル、及びサブタイルの色指定を行うことによって達成され
る。
更に、本発明の圧縮技法は、改良された強力さを提供する。この技法は前のイ
メージの予測に基づいていないので、比較的短時間で容易に誤差の影響から回復
することができる。従ってこのことは、データ列が容易に正しいものでなくなる
場合には、アプリケーションにとって理想的である。
最後に、本発明の圧縮技法は柔軟性を有している。最大量子化で始まり、連続
的に詳細さのレベルを増大させることによって、この方法は結果的に、所望の目
的サイズとイメージ品質に極めて近い、圧縮されたデータ・ファイルを、所望の
目的サイズとイメージ品質
を上回ったり下回ったりすることなく提供する。最初に、最大量子化を用いて、
圧縮されたデータ・サイズが最小となる。再帰的なサブタイルの分割、及び色指
定のステップが実施される度に、結果として圧縮されたデータのサイズが徐々に
増加する。これらのステップは、事前に定義された制約条件に達するまで、所望
の回数、又はそれ以下の回数だけ実施可能である。イメージ品質はほとんど全て
、圧縮率に依存し、この圧縮率は連続的に変化して、データ・サイズや表示品質
のような、いくつかの要素によって制御可能である。従ってこの技法は、所定の
量の空間がイメージの記憶域として使用可能であるか又は、他のいくつかの制約
条件が事前に分かっている場合に、アプリケーションにとって理想的である。
図面の簡単な説明
図1は、本発明を実施するための装置のブロック図である。
図2は、本発明に従う、好適圧縮方法を示すフローチャートである。
図3Aは、本発明に従う、未分割のタイルのデータ・フォーマットの例を示す図
である。
図3Bは、本発明に従う、未分割のタイルの表現を示す図である。
図4Aは、本発明に従う、細分化されたタイルのデータ・フォーマットの例を示
す図である。
図4Bは、本発明に従う、細分化されたタイルの表現を示す図である。
図5は、本発明に従う、サブタイル配置コードの例を示す図である。
図6は、本発明に従う、タイルの1/4のサブタイル配置コードの例を示す図であ
る。
図7は、本発明に従う、好適伸張方法を示すフローチャートである。
好適実施例の詳細な説明
ここで図1を参照すると、本発明を実施するための装置100の機能ブロック図
が示されている。この好適実施例において、データ圧縮プロセッサ103が本発明
の方法の各ステップを実行するが、任意のタイプのプロセッサや多重プロセッサ
も使用可能である。イメージ入力装置101は、ビデオ・カメラや記憶されたビデ
オ・データ列に対するインタフェース(図示せず)が考えられ、イメージの入力
を提供する。イメージ・メモリ102は、従来のランダム−アクセス・メモリ(RAM
)が考えられ、イメージ入力を記憶する。プロセッサ103は、プログラム・メモ
リ104に記憶されるプログラム命令に従って、本発明の各ステップを実行し、イ
メージ・メモリ102に記憶されているイメージを圧縮する。圧縮されたイメージ
は圧縮イメージ・メモリ105に記憶される。
プログラム・メモリ104に記憶されるプログラム命令に従って、データ符号化
プロセッサ106は、圧縮されたイメージをデータ列に変換する。このデータ列は
次に、出力/記憶装置107に送信される。この出力/記憶装置107はコンパクト・
ディスク、又は他のデータ記憶媒体であっても良い。
好適実施例において、本発明の方法は、イメージ入力装置101からの個別静止
イメージのそれぞれに適用される。従って、イメージ・フレームの列が提供され
た場合、本発明の方法は各フレームを個別に操作する。前のフレームに関する情
報は要求されないが、当業者
には、MPEG圧縮に関連して上述したように、イメージの特性を予測することによ
って圧縮率を改善することができる。例示のため、本発明の方法を単一フレーム
、又は静止イメージに関して説明する。
次に図2を参照すると、本発明の好適方法が静止イメージに対して適用されて
いるものとして示されている。この好適実施例において、図2に示された各ステ
ップが、プロセッサ103によって実行される。最初に、必要であれば、プロセッ
サ103が従来の方法で、イメージが所定の有限数の個別ピクセルによって表現可
能なように、イメージ解像度の低減(202)とカラーの削減(203)を行う。イメ
ージ解像度とカラーの削減レベルは、最小のイメージ品質仕様、記憶域と処理時
間の可用性、入出力装置の技術的精度、及びその他の要因に依存する。本発明の
方法は減少されたイメージではなく(ピクセルあたり32ビットといったような)
全体イメージで使用されるため、ステップ202、及び203は、好適方法を実行する
際に必ずしも必要でない。
プロセッサ103は次に、イメージをタイルに細分化する(204)。好適実施例で
は、各タイルのサイズは8×8ピクセルであるが、他の任意のサイズを使用する
こともできる。次にポインターが第1のタイルを参照するようセットされる(20
5)。好適実施例では、最も上の行のタイル内の左端のタイルが「第1の」タイ
ルに指定されるが、任意のタイルを第1のタイルに指定できる。
プロセッサ103は次に、2つのカラーを選択し、「高」カラー、及び「低」カ
ラーを第1のタイルに関して指定する(206)。好適実施例
では、カラーの選択は以下のように実施される。1)タイル内の全てのピクセル
の輝度の平均値を求める。2)全てのピクセルを「高」カラー(平均より大きい
輝度を有する)、又は「低」カラー(平均以下の輝度を有する)として分類する
。3)高ピクセルのカラー値(RGB値)の平均を求める。そして、4)低ピクセル
のカラー値(RGB値)の平均を求める。2つのカラー値の平均が、第1のタイル
に関する2つのカラー(「高」カラー及び「低」カラー)として選択される。
好適実施例においては、「高」カラー又は「低」カラーへの分類が、輝度の値
を比較することによって実施された。こうした技法が開発されて、カラー・イメ
ージ、及び白黒イメージでうまく機能している。又、ピクセルを「高」カラー又
は「低」カラーに分類するために、クロミナンス、RGB値、YCrCb値、又はいくつ
かのそれらの組み合わせといった他の値が使用されうる。例えばQuinnellにおい
て上述したように、多くのカラー値表現技法が当業界で知られている。
プロセッサ103は次に、タイルの平均2乗誤差(MSE)を求める(208)。MSEは
、タイルのカラー・パレットを2つのカラーに減じ、タイル内の各ピクセルをそ
の2つのカラーの内の1つで表現することによって生じる誤差の測定値である。
好適実施例ではMSEが使用されているが、カラー削減の相対的な精度を示す、任
意の誤差の計測値が使用可能である。ゼロのMSEは、多くとも2つのカラーで構
成されている元のイメージ内にあるタイルを示している。ゼロより大きいMSEは
、2つのカラーより多くのカラーで構成されたタイルを示し、MSEの値
は、割り当てられた2つのカラーの輝度と、元のイメージのピクセル輝度の間の
差を示す。好適実施例では、MSEは以下のように求められる。1)それぞれ高ピク
セル毎に、元の輝度の値と、ステップ206で選択された「高」カラーの輝度との
差の2乗を計算する。2)それぞれ低ピクセル毎に、元の輝度の値と、ステップ2
06で選択された「低」カラーの輝度との差の2乗を計算する。そして、3)これ
らの差の平均を計算する。この計算は以下の方程式で表される。
(式1)
ここで、
Mはタイル内の高ピクセルの数であり、
Nはタイル内の低ピクセルの数であり、
Ciはi番目の高ピクセルの元の輝度であり、
Cjはj番目の低ピクセルの元の輝度であり、
Hはタイルの選択された高カラー値の輝度であり、及び
Lはタイルの選択された低カラー値の輝度である。
高カラー値と低カラー値、及びMSEに従う、「高」カラー又は「低」カラーへ
の各ピクセルの分類は、圧縮イメージ・メモリ105に記憶される。プロセッサ103
は次に、処理すべきタイルがまだあるかどうかを判定するためのチェックを行う
(209)。まだあれば、処理はステップ210に進み、次のタイルを処理する。好適
実施例においては、プロセッサ103は、現在のタイルのすぐ右のタイルに進む。
プロセッサ1
03がタイルの行末に達した場合、プロセッサは現在行のすぐ下の行を処理する。
全てのタイルに関して、一度ステップ206ないし208が実行されると、イメージ
の各タイルが、2つのカラー定義(高カラー、及び低カラー)を有する2カラー
・ビットマップを表す、2進ストリングによって表現される。従って、イメージ
を記憶するために必要なデータ記憶空間は、元のイメージを記憶するために必要
な空間よりも、かなり小さいものとなる。しかし、イメージ品質を改善するため
に、プロセッサ103は次に、選択されたタイルを細分し、上記処理を繰り返す。
プロセッサ103は最大MSEを有するタイルを選択し(211)、それを「サブタイル
」として知られる、2つの部分に細分する(212)。この2つのサブタイルのそ
れぞれに関して、プロセッサ103は次に、高カラーと低カラーを選択してピクセ
ルを高カラー、及び低カラーとして分類するステップ213、及びMSEを求めるステ
ップ215を繰り返す。
理論的には、ステップ211ないし215は、各サブタイルのMSEがゼロになるまで
(これは最悪の場合、各サブタイルが2つのピクセルを含む時に発生するが)、
各タイルとサブタイルに対して繰り返すことができる。しかし、ステップ213で
各サブタイル毎にセットされた新しいカラーをそれぞれ選択することは、イメー
ジを記憶するのに必要なデータ空間を増大させることになる。従って、好適実施
例において、イメージを記憶するのに必要な全データ空間が事前に定義された限
界に達するまで、ステップ211ないしステップ215が繰り返される。ステップ211
ないしステップ215が繰り返し処理される度に、
プロセッサ103が、その限界に達したかどうか判定するためにチェックを行う(2
16)。その限界に達するまで、又はMSEの合計がゼロになるまで、プロセッサ103
はステップ211ないし215を繰り返す。
細分化操作の繰り返しに関する制約条件として、他の基準が使用されうる。例
えば、プロセッサ103は、イメージを再構築するのに必要とされる見積もり時間
が所定の制限を越えるまで、処理を繰り返すことができる。又、プロセッサ103
は、タイル(又はサブタイル)によって重み付けされた、全てのタイル、及びサ
ブタイルに関するMSEの合計が所定の量を下回るまで、処理を繰り返すことがで
きる。従って、最低限の表示品質レベルが保証される。
しかし、ほとんどのアプリケーションでは、必要とされるデータ空間の合計が
所定の制限に達するまで、細分化が繰り返される。この基準を用いることによっ
て、本発明の方法が、このように利用可能なデータ記憶空間の全てを用いて、予
想可能なサイズを有する圧縮されたイメージを提供するという利点を提供する。
制約条件に達すると、データ符号化プロセッサ106(データ圧縮プロセッサ103
と同じ物理プロセッサに実装される可能性もある)が、圧縮イメージ・メモリ10
5から圧縮されたイメージを読み取り、符号化されたデータ列を生成する(217)
。符号化されたデータ列は次に、CD-ROMのような出力装置、又は記憶装置107に
提供される。
好適実施例において、2つのデータ列フォーマットのタイプがステップ217で
生成される。1つはサブタイルに細分化されていないタイルに関するものであり
、もう1つはサブタイルに細分化されてい
るタイルに関するものである。
ここで図3Aを参照すると、サブタイルに細分化されていない、8×8のタイ
ルのデータ・フォーマットの例が示されている。データ・レコード300は、タイ
ルに適用されている、64個の可能なサブタイルの配置を示す、6ビットのサブタ
イル配置コード(STAC)301を含んでいる。好適実施例において、コード111111
(又は16進で3F)は、細分化されていないタイル全体を示している。STAC 301の
後に高カラー値302、及び低カラー値303がある。各値は7ビットの長さで、従来
の2進カラー符号化技法に従うカラー・パレットの、可能な128個のカラーの中
から選択可能である。このカラー値の後には、タイル内の64個の個別ピクセルに
対応する、ビットマップ304を表現する64ビットの2進ストリングが続く。
ここで図3Bも参照すると、64個のピクセル306を有するタイル305が示されて
いる。パス307は、ビットマップ304内のビットの順序を示している。従って、ビ
ットマップ304内の第1のビットは、タイル305の左上の角にあるピクセルに対応
し、ビットマップ304内の最後のビットは、タイル305の右下の角にあるピクセル
に対応する。各ビットは高カラーが、対応するピクセルに適用されるべきことを
示す「1」又は、低カラーが適用されるべきことを示す「0」にセットされる。
図4Aを参照すると、サブタイルに細分化されている、8×8のタイルのデー
タ・フォーマットの例が示されている。データ・レコード400は、サブタイルに
細分化されている、8×8のタイルを記述するデータを含んでいる。レコード40
0は、タイルの上半分に適用され
ている、64個の可能なサブタイルの配置を示す、6ビットのサブタイル配置コー
ド(STAC)401を含んでいる。次に図5を参照すると、様々なサブタイル配置に
関するSTACの例が示されている。従って、例えば、示された配置において、STAC
20が8つの2×2のサブタイルに対応し、STAC 2Bが3つの4×2のサブタイル
、及び2つの2×2のサブタイルに対応している。上部STAC 401の後に1つ又は
複数の高カラー値402、404、及び低カラー値403、404の対が続く。タイルの上半
分の各サブタイル毎に1つのカラーの対がある。従って、STAC 20の構成に関し
て、8つのカラーの対があり、STAC 2Bの構成に関して、5つのカラーの対があ
る。カラーの対が特定のSTACについて提供される場合の順序は、図5のサブタイ
ルにおける数字の符号によって示される。各カラー値は7ビットの長さであり、
128の可能なカラーから選択することができる。このカラー値の後には、タイル
の上半分の32個の個別ピクセルに対応する、上部ビットマップ406を表す32ビッ
トの2進ストリングが続く。レコード400は、タイルの下半分に関しても同様の
情報を有し、下部STAC 407、1つ又は複数の高カラー値408、410、及び低カラー
値409、411の対、及び下部ビットマップ412を表す32ビットの2進ストリングを
含む。
今度は図4Bを参照すると、サブタイルに分割されているタイル305が示されて
いる。タイル305は、上半分のタイル308と下半分のタイル309とで表現すること
ができ、各半分のタイルは32個のピクセル306を有している。パス310は上部ビッ
トマップ406のビットの順序を示しており、パス311は下部ビットマップ412のビ
ットの順序を示し
ている。従って、上部ビットマップ406の第1のビットは上半分のタイル308の左
上の角のビットに対応しており、上部ビットマップ406の最後のビットは上半分
のタイル308の右下の角のビットに対応している。同様に、下部ビットマップ412
の第1のビットは下半分のタイル309の左上の角のビットに対応しており、下部
ビットマップ412の最後のビットは下半分のタイル309の右下の角のビットに対応
している。各ビットは高カラーが、対応するピクセルに適用されるべきことを示
す「1」又は、低カラーが適用されるべきことを示す「0」にセットされる。
図4Bでは、例示のために、各半分のタイル308、309が8つの2×2の領域に
分割されている。これらの領域は図5に示される例の、最小のサブタイル領域に
対応している。
本発明の代替実施例として、より小さい、又はより大きいサイズのサブタイル
を含んだ、追加のサブタイル配置を使用することもできる。例えば、図6は2×
1サブタイルを含んだ、1/4のタイルに関するSTACを示している。
ここで図7を参照すると、タイル毎の基準に基づいて、符号化された圧縮デー
タを伸張する好適方法が示されている。伸張器はイメージの第1のタイルから処
理を開始し(702)、そのタイルに関するSTAC、カラー値の対、及びビットマッ
プをダウンロードする(703)。第1のSTACはそのタイルが細分化されているか
どうかを示している。細分化されていない場合、伸張器は高カラー値、及び低カ
ラー値302、303を、(図3Aに示すように)ビットマップ304に従って、個別
ピクセルに適用する(705)。タイルが細分化されている場合は、半分のタイル
がそれぞれ別に処理される。半分のタイルのそれぞれで、STACはサブタイルの配
置、及び提供されるカラー値の対の数を示す。伸張器は第1のサブタイルに進み
(706)、そのサブタイルに関する高カラー値、及び低カラー値を、ビットマッ
プに従って適用する(707)。更にサブタイルがあれば、伸張器は次のサブタイ
ルに進み(709)、ステップ707を繰り返す。タイルが色指定されてしまうと、伸
張器は、またタイルがあるかどうか判定する(710)。まだあれば、伸張器は次
のタイルに進み(711)、ステップ703ないし710を繰り返す。従って、伸張処理
を行う際には、数学的操作を行う必要がなく、最小限の処理能力が必要なだけで
ある。
更に、多くの連続するタイルが同一であれば、同一なタイルの数を示す追加フ
ィールドが、レコード300、又は400に追加されて、そのタイルの情報が繰り返さ
れることはない。本発明は従来のラン-レングス符号化の変形であり、イメージ
の一部がほぼ同質である場合に特に有用である。
従って、本発明は、イメージをより小さいタイルに連続的に細分化し、各タイ
ルの全てのピクセルを、制限されたカラー・パレットで色指定することによって
、デジタル・イメージを圧縮する、新規で有利なシステム、及び方法を提供する
。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年5月17日
【補正内容】
請求の範囲
1.複数のピクセルを有するデジタル・イメージの圧縮表現を生成する方法であ
って、各ピクセルが元のカラー値を有する前記方法が、
(a)複数のサブタイル配置コードを定義するステップであって、各コードがタ
イルを複数のタイルに分割する場合の配置を記述しているステップ、
(b)少なくともデジタル・イメージの一部に対応する領域を含む、少なくとも
1つのタイルを定義するステップ、
(c)各タイル毎に、
(c.1)タイルに関して少なくとも2つのカラー値を選択するサブステップ、
(c.2)少なくとも2つの、タイルのピクセルの部分集合を定義して、複数の
ピクセル部分集合定義を形成するサブステップ、
(c.3)定義されたピクセルの部分集合のそれぞれに対して、選択されたカラ
ー値の1つを定義された部分集合に割り当てるサブステップ、及び
(c.4)選択されたカラー値の表現と、定義された部分集合を表現する2進ス
トリングを記憶するサブステップを実行するステップ、
(d)全てのタイルに関する比較テストに応答して、タイルの1つを選択するス
テップ、
(e)選択されたタイルを複数のタイルに細分化するステップ、
(f)前記複数のタイル内の各タイル毎に、ステップ(c.1)ないし(c.
4)を実行するステップ、及び
(g)ステップ(d)及び(e)の結果に基づいて、サブタイル配置コードの順序
を形成するステップを含むことを特徴とする、前記方法。
2.ステップ(d)ないし(f)を、所定の条件に達するまで反復的に繰り返すス
テップ(h)を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
3.各ピクセルが元の輝度の値を有し、
(c.3.1)ピクセルの部分集合のそれぞれに対して、
割り当てられたカラー値に対応する輝度の値を求め、求められた輝度の値を部
分集合内の各ピクセルの元の輝度の値と比較するステップ、及び
(c.3.2)ステップ(c.3.1)の結果に応答して、タイルに関する誤差測定値を生
成するステップをステップ(c.3)の後に更に含み、
更にステップ(d)が、
(d.1)タイルの全ての中で最大の誤差測定値を有するタイルを選択するサブス
テップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
4.ステップ(d)ないし(f)を、所定の条件に達するまで繰り返し反復的に実
行するステップ(h)を更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
5.ステップ(d)ないし(f)を、全てのタイルの中で最大の誤差測定値が所定
の値より小さくなるまで繰り返し反復的に実行するステップ(h)を更に含むこ
とを特徴とする、請求項3に記載の方法。
6.(f.1)全てのタイルの誤差測定値の合計を求めるステップ、及
び
(h)ステップ(d)ないし(f)、及び(f.1)を、全てのタイルの誤差測定値の
合計が所定の値より小さくなるまで繰り返し反復的に実行するステップを更に含
むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
7.(f.1)表現の記憶に必要な記憶空間の量を求めるステップ、及び
(h)ステップ(d)ないし(f)、及び(f.1)を、記憶空間の量が所定の量を超
えるまで繰り返し反復的に実行するステップを更に含むことを特徴とする、請求
項3に記載の方法。
8.(f.1)表現を伸張するために必要な時間を求めるステップ、及び
(h)ステップ(d)ないし(f)、及び(f.1)を、時間が所定の量を超えるまで
繰り返し反復的に実行するステップを更に含むことを特徴とする、請求項3に記
載の方法。
9.複数のピクセルを有するデジタル・イメージの圧縮表現を生成する方法であ
って、各ピクセルが元の輝度の値を有する前記方法が、
(a)複数のサブタイル配置コードを定義するステップであって、各コードがタ
イルを複数のタイルに分割する場合の配置を記述しているステップ、
(b)少なくともデジタル・イメージの一部に対応する領域を含む、少なくとも
1つのタイルを定義するステップ、
(c)各タイル毎に、
(c.1)タイルのピクセルの輝度の平均値を求めるサブステップ、
(c.2)タイルの輝度の平均値より大きい元の輝度の値を有するタイルのピク
セルを含む、ピクセルの第1の部分集合を定義するサブステップ、
(c.3)タイルの輝度の平均値より小さい元の輝度の値を有するタイルのピク
セルを含む、ピクセルの第2の部分集合を定義するサブステップ、
(c.4)タイルのピクセルの第1の部分集合の第1のカラー値の平均を求める
サブステップ、
(c.5)タイルのピクセルの第2の部分集合の第2のカラー値の平均を求める
サブステップ、
(c.6)第1のカラー値の平均をピクセルの第1の部分集合に割り当てるサブ
ステップ、
(c.7)第2のカラー値の平均をピクセルの第2の部分集合に割り当てるサブ
ステップ、及び
(c.8)カラー値の平均の表現、及び定義された部分集合を表現する2進スト
リングを記憶するサブステップを実行するステップ、
(d)全てのタイルに関する比較テストに応答して、タイルの1つを選択するス
テップ、
(e)選択されたタイルを複数のタイルに細分化するステップ、
(f)前記複数のタイル内の各タイル毎に、ステップ(c.1)ないし(c.8)を実
行するステップ、及び
(g)ステップ(d)及び(e)の結果に基づいて、サブタイル配置コードの順序
を形成するステップを含むことを特徴とする、前記方法。
10.ステップ(c)が更に、
(c.9)第1のカラー値の平均に対応する、第1の輝度の値を求めるステップ、
(c.10)第2のカラー値の平均に対応する、第2の輝度の値を求めるステップ、
(c.11)第1の部分集合の各ピクセルに対して、第1の輝度の値をピクセルの元
の輝度の値と比較するステップ、
(c.12)第2の部分集合の各ピクセルに対して、第2の輝度の値をピクセルの元
の輝度の値と比較するステップ、及び
(c.13)ステップ(c.11)と(c.12)の結果に応答して誤差測定値を生成するス
テップを含み、更に
ステップ(d)が、全てのタイルの中で最大の誤差測定値を判定する比較テスト
に応答して、タイルの1つを選択するサブステップを含み、更に、(g.1)複数
のタイル内の各タイルに関して、ステップ(c.9)ないし(c.13)を実行するス
テップ、及び
(i)所定の条件に達するまで、ステップ(d)ないし(g)、及び(g.1)を繰り
返し、反復的に実行するステップを更に含むことを特徴とする、請求項9に記載
の方法。
11.複数のピクセルを有するデジタル・イメージの圧縮表現を伸張する方法であ
って、前記圧縮表現がイメージの少なくとも一部分に対応するビットマップを表
現する、少なくとも1つの2進ストリング、複数のカラー値の表現、及び少なく
とも1つのサブタイル配置コードを含み、各コードが、タイルを複数のタイルに
分割する場合
の配置を記述している前記方法が、
(a)複数のサブタイル配置コードを定義するステップ、
(b)イメージの少なくとも一部分に対応するビットマップを表現する、2進ス
トリングを読み取るステップ、
(c)複数のカラー値を読み取るステップ、
(d)イメージの一部がサブタイルに細分化されているかどうかを判定するため
に、イメージの一部のサブタイル配置コードを読み取るステップ、
(e)イメージの一部がサブタイルに細分化されていないことに応答して、2進
ストリングに従って、カラー値で示されたカラーを適用するステップ、及び
(f)イメージの一部がサブタイルに細分化されていることに応答して、サブタ
イルに対応する2進ストリングの部分に従って、カラー値で示された、サブタイ
ルに対応するカラーを適用するステップを含むことを特徴とする、前記方法。
12.複数のピクセルを有したデジタル・イメージの圧縮表現を生成するシステム
であって、各ピクセルが元のカラー値を有する前記システムが、
デジタル・イメージを受信するためのイメージ入力装置、
複数のサブタイル配置コードを定義するための、サブタイル配置コード定義手
段であって、各コードが、タイルが複数のタイルに分割される場合の配置を記述
している前記手段、
デジタル・イメージの少なくとも1部分に対応する領域を含んだ、
少なくとも1つのタイルを定義するための、前記イメージ入力装置に接続された
タイル定義手段、
選択されたタイルを複数のタイルに細分化するための、前記タイル定義手段に
接続されたタイル細分化手段、
複数のタイル内の各タイルに関して少なくとも2つのカラー値を選択するため
の、前記タイル定義手段に接続されたカラー選択手段、
複数のタイル内の各タイルのピクセルの少なくとも2つの部分集合を定義する
ための、前記タイル定義手段に接続されたピクセル部分集合定義手段、
複数のタイル内の各タイル内で定義されたピクセルのそれぞれの部分集合に関
して、前記定義された部分集合に選択されたカラー値を割り当てるための、前記
タイル定義手段に接続されたカラー割り当て手段、
カラー値の表現、及び複数のタイル内の各タイルのカラー割り当てを表現する
2進ストリングを記憶するための、前記カラー選択手段と前記カラー割り当て手
段に接続された記憶装置、
全てのタイルに関する比較テストに応答して、タイルの内1つを選択するため
の、前記カラー選択手段と前記カラー割り当て手段に接続されたタイル選択手段
、及び
タイル細分化手段の出力に基づいて、サブタイル配置コードの順序を形成する
ための、前記サブタイル配置コード定義手段と前記タイル細分化手段に接続され
た、サブタイル配置符号化手段を含むことを特徴とする、前記システム。
13.各ピクセルが元の輝度の値を有し、各タイル毎に、割り当てられたカラー・
レベルに対応する輝度の値と部分集合内の各ピクセルの元の値を比較し、その比
較結果に応答してタイルの誤差測定値を生成するための、前記カラー割り当て手
段に接続された誤差測定手段を更に含むことを特徴とする、請求項12に記載のシ
ステム。
14.前記選択手段が、全てのタイルの中で最大の誤差測定値を有するタイルを選
択することによってタイルの内の1つを選択することを特徴とする、請求項13に
記載のシステム。
15.ステップ(e)が、ステップ(c.2)で形成されたピクセルの部分集合の定義
とは独立して、選択されたタイルを複数のタイルに細分化するステップを含むこ
とを特徴とする、請求項1に記載の方法。
16.ステップ(e)が、複数のタイルの中の各タイルが、ステップ(c.2)で定義
されたピクセルの各部分集合に属している、少なくとも1つのピクセルを含むこ
とを確立するために、選択されたタイルを複数のタイルに細分化するステップを
含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
17.ステップ(e)が、選択されたタイルをサイズの同じ複数のタイルに細分化
するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
18.ステップ(e)が、選択されたタイルを2つのサイズの同じタイルに細分化
するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
19.ステップ(b)が、デジタル・イメージの少なくとも一部分に対応
する領域を含む、少なくとも1つの矩形タイルを定義するステップを含み、及び
ステップ(e)が、選択されたタイルを2つのサイズの同じ矩形タイルに細分化
するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK
,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,S
K,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 キーン,ダナ
アメリカ合衆国カリフォルニア州94306
パロ・アルト,バーロン・アヴェニュー・
530
【要約の続き】
れる。最大MSEタイル、又はサブタイルの細分化が、制
約条件に達するまで実施される。この制約条件は最大デ
ータ・サイズ、最大許容MSE、最大予想伸張時間、又は
その他の計測可能な条件として定義されうる。イメージ
品質はほとんど全て、圧縮率に依存し、この圧縮率は連
続的に変化して、データ・サイズや表示品質のような、
いくつかの要素によって制御可能である。従ってこの技
法は、所定の量の空間がイメージの記憶域として使用可
能であるか又は、他のいくつかの制約条件が事前に分か
っている場合、アプリケーションにとって理想的であ
る。一旦制約条件に達すると、サブタイルの配置、各タ
イルの「高」カラー及び「低」カラー、及び各ピクセル
のカラー割り当てを記述するデータ列が形成される。