JPH0850991A - 異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法および加熱装置 - Google Patents

異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法および加熱装置

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JPH0850991A
JPH0850991A JP18753494A JP18753494A JPH0850991A JP H0850991 A JPH0850991 A JP H0850991A JP 18753494 A JP18753494 A JP 18753494A JP 18753494 A JP18753494 A JP 18753494A JP H0850991 A JPH0850991 A JP H0850991A
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food
microwave
laminated
different
heated
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Koji Yamamoto
康二 山本
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YAMAMOTO BINITAA KK
YAMAMOTO VINYTER
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YAMAMOTO BINITAA KK
YAMAMOTO VINYTER
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 異種材料積層食品の異なった材料を異なった
温度に同時加熱することができるようにする。 【構成】 異なった種類の材料が積層されてなる異種材
料積層食品10を搬送ベルト34で搬送し、搬送途中に
この異種材料積層食品10の加熱されるべき一方の材料
側に向けてマイクロ波発生装置4からのマイクロ波を照
射し、異種材料積層食品10を加熱する。上記搬送ベル
ト34に対向したマイクロ波照射口(先端開口部43)
を有する導波管42が上記マイクロ波発生装置4から延
設され、上記先端開口部43の開口面積は異種材料積層
食品10のマイクロ波被照射側の面の面積と略同じか若
干小さく寸法設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異なった種類の材料を
積層した異種材料積層食品をマイクロ波を用いて加熱す
る異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法および加熱装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、にぎり寿司や各種のトッピングが
施されたピザ等、異なった種類の材料が積層されてな
る、いわゆる異種材料積層食品が知られている。このよ
うな異種材料積層食品は、異なった材料の食品風味が同
時に味覚を刺激するため、材料の組合せを適切に選択す
ることによっては風味の点で食品価値の高いものが得ら
れるとともに、異種材料の積層によって栄養の偏りを有
効に抑止することもできることから、一般家庭ではもち
ろんのこと、食品産業分野でも工業規模で盛んに製造さ
れ、食生活を向上させる一助になっている。
【0003】このような異種材料積層食品は、使用され
る材料毎に調理条件が異なるため、通常別々に調理して
喫食直前に合体されるのが一般的である。従って、にぎ
り寿司などの異種材料積層食品は、工場規模での大量生
産にはなじまず、従来寿司店や料亭等での多品種少量受
注調理が主であったが、近年冷凍技術の発達と相俟って
工場規模で大量生産されることが行われるようになって
きた。そして、食品工場で大量生産された異種材料積層
食品は、冷凍された状態で市場に流通され、最終消費者
に渡る直前に解凍されるのが一般的である。
【0004】一方、近年マイクロ波を利用した優れた解
凍技術が冷凍品の解凍に適用されるようになり、解凍作
業の合理化が進んでいるが、異種材料積層食品は、異な
った材料が積層されて形成されているため、異種材料積
層食品に一律に高周波やマイクロ波を照射すると全体的
に必要以上に温度が上昇し、風味が損なわれてしまい商
品価値が損なわれることがある。
【0005】これは、異種材料積層食品においては、異
なった材料それぞれの最も好ましい温度状態が存在し、
それらが口の中で渾然一体になるところに旨さが発揮さ
れるのである。にぎり寿司を例にとって説明すると、飯
の部分の温度は人肌程度が最適であるが、上に積層され
る魚は低温であるほど好ましい。特に北海道地方の名産
である鮭ルイベを用いたにぎり寿司などはその代表例で
あるが、飯は人肌温度に設定され、かつ、鮭はチルド状
態の温度に設定されたものでないと旨いとは感じられな
い。
【0006】従って、従来にぎり寿司のような生鮮食料
品(鮮魚)と加熱調理済みの食料品(炊飯)との異種材
料積層食品の冷凍品については、次善の策として末端の
小売店において自然解凍が適用されていた。自然解凍で
あるため、温度が上がり過ぎることはなく、生鮮食料品
のゲル化は有効に防止される。
【0007】以上異種材料積層食品が、冷凍ぎり寿司で
ある場合を例に挙げて説明したが、異種材料積層食品が
ピザ等の加熱処理される食品においても、各積層材料が
異なった温度に加熱処理されることが好ましい場合があ
る。すなわち、ピザ等は、小麦粉を混練した生地の上に
野菜、果物、肉製品、鶏卵等の各種の材料がトッピング
され、オーブンで加熱処理されてでき上がっている。生
地の上に異種材料がトッピングされた状態で同時に加熱
処理される。
【0008】ところで、近年このようなピザ等について
も、工場規模で大量生産されるようになり、小麦粉を混
練した生地に異種材料のトッピングされた半製品が調製
され、それが冷凍処理されて半製品の冷凍品とされる場
合がある。そして、このような半製品の冷凍品が流通し
ている。
【0009】従って、末端消費者は半製品からなる冷凍
品を購入し、それをそのままオーブンで加熱処理するこ
とによって、面倒な小麦粉の混練操作や、異種材料の調
理およびトッピング操作を行うことなくピザ等ができ上
がり、家庭で専門家が調製した味を手軽に賞味すること
ができ非常に便利である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記にぎり
寿司等の生鮮食料品と炊飯等の調理済み食料品とからな
る異種材料積層食品にあっては、通常末端の小売店にお
いて冷凍された異種材料積層食品が自然解凍されるが、
そのための保管場所が必要になるとともに、解凍のため
に非常に長い時間を要し、その分保管コストが上昇する
という問題点を有している。
【0011】また、自然解凍の場合は強制解凍の場合に
起ることのある蛋白質のゲル化は回避されるが、にぎり
寿司等を構成しているそれぞれの異なった材料が同じ温
度になり、商品として店頭に陳列された段階ですでにそ
れぞれの材料本来の風味が損なわれた状態になってお
り、商品価値が下がるという問題点を有している。
【0012】つぎに、異種材料積層食品がピザ等の半製
品である場合、ピザ生地に溶き鶏卵をトッピングするこ
とがある。溶き鶏卵を加熱処理しないで生のまま冷凍処
理すると、鶏卵が変質してしまい、後のオーブンで加熱
処理して得られたピザ等の食味が非常に劣ったものにな
る。
【0013】そこで、冷凍処理を行う前に、予めピザ等
の生地をも含めて鶏卵をも加熱処理しておくことが考え
られるが、そのようにすると、冷凍品の加熱時に単にピ
ザ生地等の再加熱、すなわち温め直しが行われることに
なるため、ピザ等の生地が焼上がった直後の風味は到底
得ることができないという問題点を備えている。
【0014】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、異種材料積層食品の加熱処
理において、同時に異なった材料を異なった温度にする
ことが可能なマイクロ波加熱装置を提供することを目的
としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法は、異なった種
類の材料が積層されてなる異種材料積層食品の搬送途中
にこの異種材料積層食品にマイクロ波発生装置からのマ
イクロ波を照射して加熱する異種材料積層食品のマイク
ロ波加熱方法であって、上記搬送途中の異種材料積層食
品のより高温に加熱されるべき材料の層に対して直接マ
イクロ波を照射することを特徴とするものである。
【0016】本発明の請求項2記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱方法は、請求項1記載の異種材料積層
食品のマイクロ波加熱方法において、上記マイクロ波の
照射を、間歇的に行うことを特徴とするものである。
【0017】本発明の請求項3記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱装置は、異なった種類の材料が積層さ
れてなる異種材料積層食品を搬送し、搬送途中にこの異
種材料積層食品にマイクロ波発生装置からのマイクロ波
を照射して加熱する異種材料積層食品のマイクロ波加熱
装置であって、上記異種材料積層食品を所定の姿勢で搬
送する搬送手段と、この搬送手段上の異種材料積層食品
のより高温に加熱されるべき材料の層に対向し、かつ、
上記マイクロ波発生装置からのマイクロ波を照射するマ
イクロ波照射口とが具備されていることを特徴とするも
のである。
【0018】本発明の請求項4記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱装置は、請求項3記載の異種材料積層
食品のマイクロ波加熱装置において、上記マイクロ波照
射口は、加熱されるべき材料の進行方向に直交した寸法
に略等しい幅寸法を有していることを特徴とするもので
ある。
【0019】本発明の請求項5記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱装置は、請求項3または4記載の異種
材料積層食品のマイクロ波加熱装置において、上記異種
材料積層食品が冷凍食品であることを特徴とするもので
ある。
【0020】
【作用】上記請求項1記載の異種材料積層食品のマイク
ロ波加熱方法によれば、搬送途中の異種材料積層食品の
より高温に加熱されるべき材料の層に対して直接マイク
ロ波が照射されるため、照射されたマイクロ波は、加熱
されるべき材料側から食品内に深入し、他方の材料に外
部から照射される割合は極めて少ないものになる。従っ
て、照射された近辺の温度上昇が局部的に甚だしくな
り、加熱処理後の異種材料積層食品は直接照射されない
深奥部との間に一線が画された温度分布状態になる。
【0021】上記請求項2記載の異種材料積層食品のマ
イクロ波加熱方法によれば、搬送途中の異種材料積層食
品に対するマイクロ波の照射は、間歇的に行われるた
め、マイクロ波が照射されていない間に熱伝導によって
熱が拡散され、食品の温度分布は均一になる。
【0022】上記請求項3記載の異種材料積層食品のマ
イクロ波加熱装置によれば、搬送手段によって搬送され
つつある異種材料積層食品は、少なくとも一つのマイク
ロ波照射口から照射されるマイクロ波を受けて加熱され
る。そしてこの場合、マイクロ波照射口は、異種材料積
層食品のより高温に加熱されるべき材料の層のみに対向
されているため、照射されたマイクロ波は、加熱される
べき材料側から食品内に深入し、他方の材料に外部から
照射される割合は極めて少ないものになる。従って、照
射された近辺の温度上昇が局部的に甚だしくなり、加熱
処理後の異種材料積層食品は直接照射されない深奥部と
の間に一線が画された温度分布状態になる。
【0023】上記請求項4記載の異種材料積層食品のマ
イクロ波加熱装置によれば、マイクロ波照射口は、加熱
されるべき材料の進行方向に直交した寸法に略等しい幅
寸法を有しているため、加熱されるべき材料に向けて照
射されたマイクロ波は、その材料に深入するがそれに遮
られて他方の材料に外部から照射される割合は極めて少
ないものになる。従って、照射された近辺の温度上昇が
局部的に大きくなる。
【0024】上記請求項5記載の異種材料積層食品のマ
イクロ波加熱装置によれば、異種材料積層食品が冷凍食
品であるため、この冷凍食品の一方の材料にマイクロ波
が照射されことにより、一方の材料のみが解凍され、他
方の材料が解凍されない二層温度分布状態の異種材料積
層食品が得られる。
【0025】
【実施例】図1は、本発明の異種材料積層食品のマイク
ロ波加熱装置の一例を示す一部切欠き斜視図である。図
1においては、積層食品10として冷凍にぎり寿司10
a(図2)の解凍用として使用されるマイクロ波加熱装
置を示している。この図に示すように、本加熱装置1
は、内部に空洞を有する細長形状の箱型の金属製ケーシ
ング2と、このケーシング2の内部に設けられた異種材
料積層食品10を装置内で搬送する搬送手段3と、上記
ケーシング2の外部にあって加熱装置1の長手方向の略
中央部に対向して配設されたマイクロ波発生装置4とを
備えた基本構成を有する。
【0026】上記ケーシング2は、直方体状のケーシン
グ本体21と、このケーシング本体21の中央上部に立
設された内部にマイクロ波の上方反射空間24を有する
塔部22と、この塔部22の前後に水平方向に延設され
た前後一対のトンネル部23とから構成されている。こ
のようなケーシング2は、フロアF上に並設された複数
の角材からなる基礎脚11上に載置されている。
【0027】上記ケーシング本体21の前方のトンネル
部23のさらに前方には、上方が開口された積層食品1
0を受け入れるための食品受入口21aが設けられ、後
方のトンネル部23のさらに後方には、加熱処理された
積層食品10を取り出すための上方が開口された食品取
出口21bが設けられている。
【0028】また、上記ケーシング本体21の内部であ
って、上記反射空間24の搬送ベルト(搬送手段)34
を挟んだ下部には周りが金属壁で包囲され上部が開口し
た下部反射空間25が設けられている。この下部反射空
間25の前方および後方の上部にはそれぞれ上記トンネ
ル部23に対応した下部のトンネル部が形成されてお
り、これら上部のトンネル部23と下部のトンネル部を
通って加熱空間24aに対して積層食品10が出入され
るようになっている。
【0029】上記反射空間24の上部には、底部にガラ
スGが張られた水槽部22aが設けられており、この水
槽部22aに貯留された水に、積層食品10の加熱に用
いられなかった残余のマイクロ波が吸収され、マイクロ
波による積層食品10の過加熱および加熱空間24aか
らのマイクロ波の外部への漏洩が有効に阻止されるよう
になっている。
【0030】また、水槽部22aの適所には給水配管2
2bが設けられているとともに、他の適所には排水配管
22cが設けられ、これらの配管22b,22cに設け
られた図略のバルブを開閉操作することによって水槽部
22a内の貯留水量を調節するようになっている。
【0031】上記ケーシング本体21の内部には、その
四隅部に同内部を横断するように4つの水平軸31が設
けられ、これら4つの水平軸31の軸心回りに回転可能
に4つのプーリ32が軸支されている。そして、本実施
例においては、図の左下方の水平軸31が駆動軸31a
として設定され、駆動モータ33の回転駆動によって軸
心回りに回転するようになっている。そして、この駆動
軸31aに取り付けられたプーリ32は、駆動軸31a
と共回りする駆動プーリ32aとして設定されている。
この駆動プーリ32aを除く他のプーリ32は従動プー
リである。
【0032】このようなプーリ32に合成樹脂製のメッ
シュ品からなる搬送ベルト34が張設されている。従っ
て、上記ケーシング本体21の食品受入口21aおよび
食品取出口21bでは搬送ベルト34の上面が外部に露
出した状態になっており、積層食品10の装填および取
り出し操作はこのような露出状態の搬送ベルト34に対
して行われるようになっている。そして、本実施例の場
合、積層食品10である冷凍にぎり寿司10aの飯部1
0b(図2)を下にして搬送ベルト34上に載置するこ
とによって、積層食品10を所定の姿勢で搬送する状態
になる。
【0033】そして、ケーシング本体21の前後に設け
られた上下一対のプーリ32間にはテンションプーリ3
20が設けられ、図略の付勢手段によって対向状態の搬
送ベルト34が互いに接近する方向に押圧されるように
なっている。これらのテンションプーリ320の作用に
よって、搬送ベルト34は弛まず常に緊張状態が確保さ
れるようになっている。このような搬送ベルト34の塔
部22の反射空間24内に没入した部分に積層食品10
を加熱する上記加熱空間24aが形成されている。
【0034】上記マイクロ波発生装置4は、発生装置本
体41と、この発生装置本体41で発生したマイクロ波
を導波する導波管42とから構成されている。本実施例
の場合、ケーシング本体21の中央部外側のフロアF上
に2台の発生装置本体41が据え付けられており、これ
らからケーシング本体21に向けて一対の導波管42が
延設され、その先端部は図略のケーシング本体21の側
壁を貫通して下部反射空間25内に導入され、その先端
開口部43は加熱空間24aに位置した搬送ベルト34
の下面部に対向されている。
【0035】上記導波管42の先端開口部43の開口面
積は、その上部を通過する積層食品10の底面積と略同
じか若干小さくなるように寸法設定されている。従っ
て、先端開口部43の上部を通過する積層食品10は、
先端開口部43から照射されるマイクロ波をほとんど他
に逃がすことのない状態で吸収する。
【0036】なお、本発明においては、導波管42の先
端部に開口部43が設けられ、この先端開口部43から
マイクロ波が照射されるようになっているが、本発明
は、上記先端開口部43からマイクロ波が照射されるよ
うにすることに限定されるものではなく、搬送ベルト3
4の裏面部に沿うように導波管を配設し、この導波管の
搬送ベルト34に対向した面に複数のスリットを設けた
いわゆるスロットアンテナ方式のものを適用してもよ
い。
【0037】それぞれのマイクロ波発生装置4は、周波
数が2450MHzのものが用いられている。発生装置
の出力は、対象となる積層食品10の種類および加熱条
件によって適宜設定されるが、本実施例においては1台
当り1kWのものが用いられている。
【0038】上記のように、2本の導波管42が設けら
れているのは、搬送ベルト34によって加熱空間24a
内に送り込まれた積層食品10を、まず上流側の先端開
口部43から照射されるマイクロ波によって加熱し、下
流側の先端開口部43に到達するまでの間に積層食品1
0内の熱伝導によって温度分布の均一化を図るようにし
ているためである。
【0039】以下本発明の動作について図1および図2
を基に説明する。本実施例においては、加熱対象である
積層食品10として冷凍されたにぎり寿司が適用されて
いる。なお図2は、冷凍されたにぎり寿司が解凍されつ
つある状態を示す側面視の説明図である。
【0040】まず、図1に示す加熱装置1において、駆
動モータ33が駆動を開始する。その回転駆動が駆動軸
31aを介して駆動プーリ32aに伝達され、この駆動
プーリ32aの軸心回りの時計方向の回転によって搬送
ベルト34は4つのプーリ32間を時計方向に周回す
る。この状態でマイクロ波発生装置4の本体41に所定
の電力が供給されてマイクロ波の発生が開始される。発
生装置本体41で発生したマイクロ波は導波管42を通
って導波され、先端開口部43から加熱空間24aを移
動している搬送ベルト34の下面部に照射される。
【0041】この状態で、ケーシング本体21の食品受
入口21aから、移動している搬送ベルト34上に順次
にぎり寿司10aを載置する。この場合、にぎり寿司1
0aの飯部10bの下面を搬送ベルト34に載置するよ
うにし、魚部10cを上方に向けた状態にする。
【0042】そうすれば、にぎり寿司10aは搬送ベル
ト34の移動によりトンネル部23を通って加熱空間2
4a内に導入され、上流側の導波管42の位置に到達
し、飯部10bがまず上流側の導波管42の先端開口部
43から照射されるマイクロ波を受けて加熱される。そ
して、にぎり寿司10aが下流側の導波管42に到達す
れば、その先端開口部43から照射されるマイクロ波を
受けて第2回目の加熱が施され、その後下流側のトンネ
ル部23を通って運び出される。
【0043】このようににぎり寿司10aに対して2本
の導波管42から間歇的にマイクロ波が照射されるた
め、上流側の導波管42から下流側の導波管42に到達
するまでの間に飯部10b内における伝熱による熱の拡
散によって温度分布の均一化が図られる。
【0044】そして、導波管42の先端開口部43の開
口面積はにぎり寿司10aの底面積と略同じか若干小さ
く寸法設定されているため、先端開口部43に到達した
にぎり寿司10aに放射されるマイクロ波は、そのほと
んどが飯部10bに吸収される。
【0045】また、マイクロ波照射による誘電体物質の
発熱は、マイクロ波を受けることにより誘電体物質内部
の分子が振動することによって発生する摩擦熱に起因し
ており、その発熱量は、 Q≒0.133×f×E2×ε×tanδ×(1/1012)…… なお、上式において Q :物質内部の発生熱量(Cal/cm3sec) f :物質に加えられる周波数(Hz) E :物質に加えられる電界強度(V/cm) ε :物質の比誘電率 tanδ:物質の誘電正接 で表現されることが知られている。
【0046】本実施例においては、上記発熱量に影響を
与える要因のうち、周波数fおよび電界強度Eは一定で
あるため、発熱量の変動にに影響を与える要因は、物質
固有の比誘電率ε、および、誘電正接tanδということ
になる。
【0047】そして、本発明においては、上記fは、2.
45×109Hzであり、Eについても所定の一定値になって
いる。従って上記式はQ≒{0.133×f×E2×(1/1012)}
×ε×tanδ、となり、中括弧内の0.133×f×E2×(1/10
12)は定数kとみなすことができるため、 Q≒k×ε×tanδ …………………… と表現することができる。上記式によれば、物質にマ
イクロ波が照射されることによる発生熱量Qは、その物
質の比誘電率と誘電正接との積に比例することが判る。
【0048】積層食品10の比誘電率および誘電正接
は、水に負うところが極めて大きいため、水の両者の特
性を把握することによって発熱挙動の概ねを知ることが
できる。水は、0℃以下の氷結状態のときには、比誘電
率および誘電正接ともに周波数が2450MHzの状態
で非常に小さな値を示すが、0℃を超えると急激に大き
な値になるという性質を有している。
【0049】ところで、国内で頒布された技術雑誌「電
熱」のNo.45,1989(日本電熱協会発行)に
は、「電磁波加熱(2)マイクロ波加熱と誘電加熱」と
いう技術論文が掲載されており、この論文中に、水の比
誘電率および誘電正接についてのデータがグラフの形式
で紹介されている。このグラフは、縦軸に比誘電率およ
び誘電正接が目盛られ、横軸に対数目盛で0.1〜10
5MHZの範囲の周波数が目盛られている。そして、水
温が、−12℃(氷結状態)、25℃および85℃の各
々について周波数と比誘電率および誘電正接との関係を
示す曲線が描かれている。
【0050】そこで、発明者は、このグラフを利用し
て、2450MHzのときの上記水温毎の比誘電率およ
び誘電正接の値を読み取り(−12℃、25℃および8
5℃において、比誘電率は3.0,70および60、誘
電正接は0.016,0.34および0.71であっ
た)、その値から2450MHzにおける−12℃〜2
5℃の範囲内の温度と比誘電率との間の推定関係式およ
び温度と誘電正接との間の推定関係式を以下の通りに算
出した。
【0051】 εw=8.3328exp(0.0851t) …………… tanδw=0.0431exp(0.0826t)………… ただし、 εw :2450MHzのときの水の比誘電率 tanδw:2450MHzのときの水の誘電正接 t:水温(℃)(-12〜25℃)。
【0052】上記および式から、−10℃、0℃お
よび10℃における比誘電率および誘電正接の値を算出
し、さらに上記式によって発熱量を計算すると以下の
ようになる。 温度 -10℃ 0℃ 10℃ 比誘電率εw 0.36 8.33 19.51 誘電正接tanδw 0.019 0.043 0.098 水の発熱量Q 0.007k 0.37k 1.91k 。
【0053】この試算結果から判るように、−10℃の
冷凍状態の水の、マイクロ波を受けることによる発熱量
は、0.007kと非常に小さい値を示すのに対して、
0℃における同発熱量は0.37kと大きな値を示し、
約53倍にもなっている。また、10℃の同発熱量は
1.91kと非常に大きな値を示し、−10℃のときの
約270倍にもなっている。
【0054】従って、冷凍状態の積層食品10にマイク
ロ波が照射されると、まず照射された部分が発熱し水の
温度が上昇するが、この温度上昇によって水の比誘電率
および誘電正接が急激に大きくなり、その結果一旦温度
上昇が起った部分はさらに温度上昇が助長されるように
なる。これに対して、未だ氷結状態の部分については水
の比誘電率および誘電正接は小さな値のままであるため
発熱量は少なく、従って温度上昇も緩慢な状態になって
いる。
【0055】また、マイクロ波が被照射物(本実施例に
おいては水)に深入する半減深度L(m)は、 L≒(3.32×107)/(f・√(εw)・tanδw)… で表現されることが知られている。この式に水温が1
0℃のときの上記f、εw、およびtanδwの値(f=2.4
5×109、εw=19.51、およびtanδw=0.098)を代入す
れば、L=0.0313m(3.13cm)になる。こ
のことは、にぎり寿司10aの飯部10bにマイクロ波
を照射すれば、そのエネルギーの半分が略3cmの深さ
までで消耗してしまっていることを表しており、魚部1
0cへの影響が非常に少ないものになることを示してい
る。
【0056】以上より、上記導波管42の先端開口部4
3の開口面積は積層食品10の底面積より小さく寸法設
定されていることとも相俟って、にぎり寿司10aの底
面部にマイクロ波が部分照射されると、照射された近辺
の温度上昇が甚だしくなり、にぎり寿司10a内は直接
照射されない深奥部との間に一線が画された状態の温度
分布になるのである。
【0057】従って、マイクロ波発生装置4の出力、搬
送ベルト34および上流側の導波管42と下流側の導波
管42との間の距離を状況に応じて適切に設定すること
によって、にぎり寿司10aが下流側の導波管42を通
過した時点では、にぎり寿司10aの飯部10bはその
ほとんどの部分を10℃以上の解凍状態にするととも
に、魚部10cを0℃前後のチルド状態にすることが可
能であり、自然解凍や電子レンジのマイクロ波加熱では
到底達成することのできない理想的な温度分布、つまり
飯部10bは人肌温度で魚部10cはチルド温度という
明確に二層に分かれた温度分布を実現させることが可能
になる。
【0058】従って、本発明に係る方法を末端の小売店
で活用すれば、特に自然解凍のための保管スペースを確
保することなく、入荷時点で即座に、かつ理想的な温度
分布に解凍することが可能であり、保管コストや販売コ
ストを低減させる上で極めて有用である。
【0059】以上の本実施例においては、積層食品10
として冷凍状態のにぎり寿司10aが用いられ、それの
解凍処理に本発明が利用されているが、本発明は積層食
品10がにぎり寿司10aであることに限定されるもの
ではなく、ピザやお好み焼き等異種材料が積層されて形
成され、かつ層毎に温度が異なるように加熱されること
が好ましい食品であればどのようなものにも適用可能で
あり、また、解凍処理に限らず加熱処理にも使用するこ
とができる。
【0060】また、本実施例においては、マイクロ波は
搬送ベルト34の下部から積層食品10に照射されるよ
うになっているが、本発明は、マイクロ波が搬送ベルト
34の下部から積層食品10に照射されることに限定さ
れるものではなく、ピザの場合のようにマイクロ波が上
部から積層食品10に照射されるように構成してもよ
い。また、異なった材料のいずれもが水平方向に積層さ
れた状態で積層食品10を搬送ベルト34上に載置する
ときは、積層食品10の加熱されるべき材料の側部にマ
イクロ波を照射するようにすればよい。
【0061】さらに、本実施例においては、積層食品1
0は、搬送ベルト34によって加熱空間24a内に搬入
されるようになっているが、本発明は、積層食品10
が、搬送ベルト34によって加熱空間24a内に搬入さ
れることに限定されるものではなく、搬送手段としてタ
ーンテーブルを使用することもできる。このようにすれ
ば、導波管が1本のみであっても、ターンテーブルを複
数回転させることによってターンテーブルに載置された
積層食品10に間歇的にマイクロ波を照射することが可
能になる。
【0062】(試験例1)図1に示す加熱装置1を用
い、積層食品10のサンプルとして−18℃〜−20℃
の冷凍にぎり寿司10aを適用し、加熱試験を実施し
た。にぎり寿司10aの飯部10bは40g、魚部10
c(マグロの赤身)は10gに重量設定している。マイ
クロ波発生装置4の出力は1台当り1kW、マイクロ波
の周波数は2450MHzである。また、上流側の導波
管42の先端開口部43と、下流側の同先端開口部43
との間の距離は40cmに寸法設定されている。搬送ベ
ルト34の移動速度は40cm/分に設定した。
【0063】このような条件で冷凍にぎり寿司10aに
マイクロ波を照射して加熱処理し、照射後に赤外線映像
装置を用いて温度測定を行った。測定結果は図3に示す
とおりであり、飯部10bの上下方向の中央部以下は1
6℃〜42℃、平均32℃でちょうど人肌温度になって
いるのに対して、魚部10cは3.2℃〜4.8℃と非
常に冷たく、理想的な解凍状態が得られた。なお、飯部
10bの上部は10℃〜12℃であり、この部分が温度
分布の境界部分になっていることが判る。
【0064】(試験例2)搬送ベルト34の移動速度を
50cm/分に設定した以外は上記試験例1と同様の条
件で冷凍にぎり寿司10aの加熱処理を行った。加熱後
の温度測定結果を図4に示す。この図から判るように、
飯部10bの下半分は18℃〜26℃、平均は22℃で
あり、魚部10cは−3.2℃〜−2.0℃と試験例1
の場合よりも低くなっている。これは、搬送ベルト34
の移動速度を試験例1の場合よりも速くしたことによる
マイクロ波照射時間の減少に起因している。
【0065】そして、全体的に試験例1の場合よりも低
温になっているが、小売店での商品陳列時の時間の経過
を慮すれば、この程度の温度設定にするのが良策であ
る。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の請求項1記
載の異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法は、搬送途
中の異種材料積層食品のより高温に加熱されるべき材料
の層に対して直接マイクロ波を照射するように構成され
てなるものである。従って、照射されたマイクロ波は、
加熱されるべき材料側から食品内に深入し、他方の材料
に外部から照射される割合は極めて少ないものになる。
従って、照射された近辺の温度上昇が局部的に甚だしく
なり、加熱処理後の異種材料積層食品は直接照射されな
い深奥部との間に一線が画された温度分布状態になる。
【0067】このように、異種材料積層食品の加熱処理
において、異なった材料を異なった温度に同時加熱する
ことが可能であるため、上記食品を構成するそれぞれの
材料の特性を活かした加熱処理を迅速に行うことが可能
になり、調理効率が向上するとともに、異なった材料の
温度を異ならせることによって材料本来の持味を引き出
すことも可能であり、食品の風味を優れたものにするこ
とができる。
【0068】本発明の請求項2記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱方法によれば、搬送途中の異種材料積
層食品に対するマイクロ波の照射は、間歇的に行われる
ため、マイクロ波が照射されていない間に熱伝導によっ
て熱が拡散され、加熱されるべき材料を均一の温度分布
にする上で有効である。
【0069】本発明の請求項3記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱装置によれば、搬送手段によって搬送
されつつある異種材料積層食品は、少なくとも一つのマ
イクロ波照射口から照射されるマイクロ波を受けて加熱
される。そしてこの場合、マイクロ波照射口は、異種材
料積層食品のより高温に加熱されるべき材料のみに対向
されているため、照射されたマイクロ波は、加熱される
べき材料側から食品内に深入し、他方の材料に外部から
照射される割合は極めて少ないものになる。従って、照
射された近辺の温度上昇が局部的に甚だしくなり、加熱
処理後の異種材料積層食品は直接照射されない深奥部と
の間に一線が画された温度分布状態になる。
【0070】本発明の請求項4記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱装置によれば、マイクロ波照射口は、
加熱されるべき材料の進行方向に直交した寸法に略等し
い幅寸法を有しているため、加熱されるべき材料に向け
て照射されたマイクロ波は、その材料に深入するがそれ
に遮られて他方の材料に外部から照射される割合は極め
て少ないものになる。従って、照射された近辺の温度上
昇が局部的に甚だしくなり、一方の材料をより高温に加
熱する上で有利である。
【0071】本発明の請求項5記載の異種材料積層食品
のマイクロ波加熱装置によれば、異種材料積層食品が冷
凍食品であるため、この冷凍食品の一方の材料にマイク
ロ波が照射されことにより、一方の材料のみが解凍さ
れ、他方の材料が解凍されない二層温度分布状態の異種
材料積層食品を得ることが可能になり好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の異種材料積層装置の一例を示す一部切
欠き斜視図である。
【図2】冷凍ぎり寿司が解凍されている状態を示す説明
図である。
【図3】冷凍にぎり寿司の第1解凍試験の結果を示す温
度分布図である。
【図4】冷凍にぎり寿司の第2解凍試験の結果を示す温
度分布図である。
【符号の説明】
1 加熱装置 11 基礎脚 10 積層食品 10a にぎり寿司 10b 飯部 2 ケーシング 21 搬送手段内装部 21a 食品受入口 21b 食品取出口 22 塔部 22a 水槽部 22b 給水配管 22c 排水配管 23 トンネル部 24 反射空間 25 下部反射空間 3 搬送手段 31 水平軸 31a 駆動軸 32 プーリ 32a 駆動プーリ 320 テンションプーリ 33 駆動モータ 34 搬送ベルト(搬送手段) 4 マイクロ波発生装置 41 発生装置本体 42 導波管 43 先端開口部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なった種類の材料が積層されてなる異
    種材料積層食品の搬送途中にこの異種材料積層食品にマ
    イクロ波発生装置からのマイクロ波を照射して加熱する
    異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法であって、上記
    搬送途中の異種材料積層食品のより高温に加熱されるべ
    き材料の層に対して直接マイクロ波を照射することを特
    徴とする異種材料積層食品のマイクロ波加熱方法。
  2. 【請求項2】 上記マイクロ波の照射を、間歇的に行う
    ことを特徴とする請求項1記載の異種材料積層食品のマ
    イクロ波加熱方法。
  3. 【請求項3】 異なった種類の材料が積層されてなる異
    種材料積層食品を搬送し、搬送途中にこの異種材料積層
    食品にマイクロ波発生装置からのマイクロ波を照射して
    加熱する異種材料積層食品のマイクロ波加熱装置であっ
    て、上記異種材料積層食品を所定の姿勢で搬送する搬送
    手段と、この搬送手段上の異種材料積層食品のより高温
    に加熱されるべき材料の層に対向し、かつ、上記マイク
    ロ波発生装置からのマイクロ波を照射するマイクロ波照
    射口とが具備されていることを特徴とする異種材料積層
    食品のマイクロ波加熱装置。
  4. 【請求項4】 上記マイクロ波照射口は、加熱されるべ
    き材料の進行方向に直交した寸法に略等しい幅寸法を有
    していることを特徴とする請求項3記載の異種材料積層
    食品のマイクロ波加熱装置。
  5. 【請求項5】 上記異種材料積層食品が冷凍食品である
    ことを特徴とする請求項3または4記載の異種材料積層
    食品のマイクロ波加熱装置。
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