JPH08508421A

JPH08508421A - 抗菌性を有する医療装置およびその製造および使用方法

Info

Publication number: JPH08508421A
Application number: JP6522068A
Authority: JP
Inventors: シー．トーメイ，ジョン
Original assignee: メデックス，インコーポレイテッド
Priority date: 1993-03-30
Filing date: 1994-03-03
Publication date: 1996-09-10
Also published as: WO1994022522A1; CA2158477A1; EP0691869A1; AU6443394A

Abstract

(57)【要約】抗菌性を有する使い捨て医療装置、この装置を組み込んだシステム、およびその装置を製造および使用する方法が開示される。バルブ、注射部の装置、活栓、多岐管、端部閉栓、および標本採取部の装置などにおいて隔壁として使用される形式の可動な弾発性の栓体、のような本発明の医療装置は、内部流体通路（１４）と、流体源に連結するための少なくとも１つのポート（１５）とを有するハウジング（１２）を含む。この装置は更に、ハウジング（１２）の流体通路と連通されて該流体通路に対する導通を選択的に制御するための導通制御部材（１６）を含む。この導通制御部材は合成樹脂材とその内部に埋込モールドされた抗菌剤とを含んでなることが好ましいとされる。

Description

【発明の詳細な説明】抗菌性を有する医療装置およびその製造および使用方法発明の分野本発明は使い捨て装置に係わり、特に抗菌性を有する医療装置およびその装置の製造および使用方法に関する。発明の背景医療社会、特に病院環境においては、伝染の管理および感染の減少に関する意識がますます高まっている。病院内（病院関連）での１次感染源の１つは、例えば患者に注入される流体（すなわち血液、血漿、食塩水など）が装置に触れて感染原因となるバクテリアを取り込んでしまうような液体投与セットおよび血圧監視セットなどの医療装置、およびそれらの装置を組み込んだシステムを使用することで生じている。各種の医療装置に関連して抗菌性の部材を使用することで、この病院内感染の問題に対処する試みが行われてきた。特に、抗菌物質を含有する材料を表面に被覆したある種の物品が知られている。その例としては、カテーテル、チューブ、ドレンバッグなどがある。以下の米国特許は、ある形状をした抗菌性部材を含む様々な形式の医療装置に一般に関係しており、米国特許第３９８７００７号、第４５６３４８５号、第４５８１０２８号、第４６０５６５４号、第４０５４１３９号および第４８３６８８号を参照されたい。ある種の医療品および装置に関連して抗菌剤を使用することは周知であるが、本発明による本明細書に記載されるような抗菌性を有する医療装置の教示または示唆は、これまでなかった。発明の概要本発明は抗菌性を有する医療用装置、そのような装置を組み込んだシステム、およびそのような装置を製造し使用する方法が網羅される。本発明は、流体投与セットおよび液圧監視セット、および患者に触れることになる流体が接触する医療装置部材に特に適用できる。例えば、本発明はバルブ、注射用の装置、活栓、多岐管、端部閉栓（ｄｅａｄｅｎｄｅｒ）、および標本採取用の装置（ｓａｍｐｌｅｓｉｔｅｄｅｖｉｃｅ）における隔壁のような可動で弾発的な栓体を含めて、広範の医療装置を想定している。広義の見地によれば、本発明の１つの実施例は内部流体通路と流体源に連結するための少なくとも１つのポートとを有するハウジングを含む医療装置に向けられる。この装置は、流体通路に対する導通（アクセス）を選択的に制御するために流体通路に連通されてハウジングに組み付けられた部材を更に含む。以下に「導通制御部材」と称されるこの部材は、合成樹脂材および抗菌剤を含んでなる複合部材である。適当な合成樹脂材には高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、ポリウレタン、ポリカーボネートなどがある。抗菌剤に関して、銀、銅、亜鉛およびそれらの誘導体のようなある種の金属イオンは「極微作用」する、換言すればそれらの金属イオンは抗菌活性を発現し、したがって本発明の装置の抗菌剤の活性成分として利用できる。１実施例では、本発明の医療装置のハウジングは内部に埋め込みモールドされる抗菌剤を実質的に全く有していない。このハウジングに組み付けられて流体通路と連通される導通制御部材が抗菌剤を含むのであり、抗菌剤は少なくともハウジング内部の流体通路と連通する表面上に露出される。適当な抗菌物質の例は、銀元素を被覆されたガラス微粒子、ペレットまたはファイバーである。しかしながら、他の様々な抗菌物質が本発明の装置に使用できることは、当業者に認識されよう。好ましい実施例では、導通制御部材は重量比で約７５％〜９９％の合成樹脂と、重量比で約１％〜２５％の抗菌剤との範囲内で構成される。代替例では、装置の導通制御部材はハウジング内部の流体通路と連通する表面に接着固定された抗菌剤表面層を有する。更に他の代替例では、医療装置の導通制御部材はその少なくとも１面に少なくとも部分的に露出され、またイオンビーム移入によって付与された抗菌剤を有する。本発明の他の見地は、合成樹脂材および抗菌剤を含んでなる医療装置部材の製造方法に関する。本発明のこの見地による方法は、（１）合成樹脂材および抗菌剤を配合して混合材を形成する段階、（２）この混合材をモールド成形して医療装置部材（導通制御部材）を得る段階、および（３）この部材の少なくとも１面を削除して抗菌剤を少なくとも部分的に露出させる段階を含むことが好ましい。この削除段階は、導通制御部材またはその望まれる特定面を酸素含有プラズマに露出させることを含み得る。この段階は、表面層における小量の合成樹脂を削除して、モールド成形時に生じるであろうよりも大きな程度に抗菌剤を露出させるものと考えられる。本発明の更に他の見地は、感染を引き起こすバクテリアを含むことになり易い流体に曝される患者の病院内感染の発生を減少させる方法に向けられる。本発明のこの見地による方法は、内部流体通路と流体源に連結するための少なくとも１つのポートとを有するハウジングに対して流体を導通することを含む。導通制御部材がハウジングに組み付けられるとともに流体通路に連通されて備えられて、流体通路に対する導通を選択的に制御するようになされる。導通制御部材は上述で説明した形式のもので、合成樹脂材と、流体中の感染を引き起こすバクテリアを殺菌するのに有効な量の抗菌剤とを含んでなる複合部材を有している。本発明の他の見地において、患者に流体を投与するためのシステムが想定される。このシステムは流体源と、この流体源に連結されて患者と流体連通状態に置かれるようになされる流体導管と、流体通路およびこの流体通路を流体導管に直列に連結するための少なくとも２つのポートを有するハウジングと、ハウジングに組み付けられて流体通路と連通され、この流体通路に対する導通を選択的に制御するための導通制御部材とを含んでなる。本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、本発明の詳細な説明に関連した図面を参照することで当業者に明白となろう。図面の簡単な説明第１図は、本発明の１つの見地による医療装置の部分的に破断した斜視図；第２Ａ図は、互いに連結された本発明の２つの医療装置（活栓および端部閉栓）の斜視図；第２Ｂ図は、第２Ａ図に示された端部閉栓の、点線で示す活栓の一部と一緒の横断面図；第３図は、本発明の医療装置（標本採取用）の代替例の部分的に破断した横断面図；第４図は、本発明の他の代替例（プランジャーを有する注射器）の部分的に破断され、部分的に横断面とされた平面図；第５図は、本発明の流体投与システムの概略図；第６Ａ図は、本発明の導通制御部材の横断面での概略図；第６Ｂ図は、本発明の基本による表面処理後の第６Ａ図の導通制御部材を示し；第７図は、本発明の導通制御部材の代替例の横断面での概略図；および第８図は、本発明の導通制御部材の他の代替例の横断面での概略図である。図面の詳細な説明本発明の一般的な基本によれば、内部流体通路と、流体源に連結するための少なくとも１つのポートと、ハウジングに組み付けられ、流体通路に連通されてその流体通路に対する導通を選択的に制御するための導通制御部材とを含んでなる医療装置が示される。第１図〜第４図は本発明の医療装置の特定例を示している。第５図は、本発明の医療装置を組み込んだ本発明による流体投与システムの概略図である。第６Ａ図〜第８図は導通制御部材の代替例の概略図である。第１図を参照すれば、活栓１０はハウジング１２を含み、このハウジング１２は内部流体通路１４と、流体源に連結されるようになされる複数のポート１５とを有してなる。感染を引き起こすバクテリアを含むことが起こり得て患者に触れる流体は、この装置すなわち活栓１０の使用時に流体通路１４を通して流れる。活栓１０は更にバルブ１６のような導通制御部材を含んでおり、このバルブ１６は流体通路１４と連通して、その流体通路に対する導通を選択的に制御する。バルブ１６は合成樹脂材と抗菌剤とで構成されている。第６Ａ図および第６Ｂ図を参照すれば、導通制御部材の代替例の、全体を符号２０で示された部分が概略形で且つ横断面で示されており、この部分２０は全体を符号２２で示された合成樹脂材と、その内部に埋込モールドされた全体を符号２４で示された抗菌剤とを含んでなる。以下に記載される適当な抗菌剤は合成樹脂材と一緒に配合されて第１図の導通制御部材（バルブ）１６のような医療装置要素を形成するようにモールド成形される。第６Ａ図に示されるように、部分２０はその表面２６に少なくとも部分的に露出した抗菌剤２４を有する。本発明の更に他の基本によれば、表面２６はプラズマエッチング処理を施されて合成樹脂材２２を表面層から削除し、これにより第６Ｂ図に概略的な形で示されるように付加的に抗菌剤を露出させられる。この新しい表面は２６’として示されている。付加的な抗菌剤の露出に適当とされる表面処理が、以下に説明される。第２Ａ図は本発明の医療装置の代替例を示している。特に、図示した医療装置は活栓１０のポート３０に受け止められる端部閉栓２８である。第２Ｂ図は端部閉栓２８を横断面図で示しており、活栓１０のポート３０は点線で示されている。端部閉栓２８は、内部に抗菌剤２４を分散配合された合成樹脂材２２で構成されている。端部閉栓２８が活栓１０のポート３０内に挿入されるとき、ステム部分３２がポート３０と摩擦嵌合状態で係合し、その流体通路１４と連通して、その流体通路に対する導通を選択的に制御するようになす。第３図は本発明の基本による他の代替医療装置を示している。標本採取用または注射用の装置３４が示されており、この装置は内部流体通路３８と、この流体通路３８に連通されてその流体通路に対する導通を選択的に制御するための導通制御部材４０とを含んでなる。この実施例では、導通制御部材４０は内部に埋込モールドされた抗菌剤４４を有するゴム隔壁４２のような弾発性の栓体の形状とされ得る。これに替えて、導通制御部材４０を１９９２年３月２０日付けで出願された米国特許出願一連番号第０７／８５５１４７号明細書に示されて説明されたシール部材３８のようなバルブとすることができ、その明細書の開示内容は参照することで本明細書に全て組み入れられる。本発明の更に他の代替医療装置が第４図に示されている。注射器４６は内部流体通路５０を備えたハウジング４８を有する。注射器４６は更にプランジャー５２を含み、このプランジャー５２は流体通路５０に連通して流体通路５０に対する導通を選択的に制御する。プランジャー５２は、図示したように抗菌剤を内部に埋込モールドして有するゴムのような合成樹脂材で構成されることが好ましい。第７図は、本発明の医療装置に使用される導通制御部材の一部の代替実施例を概略形で示している。この実施例では、導通制御部材６０は抗菌剤６３を含有して表面６４に沿って接着固定された層６２を有している。抗菌剤含有層６２は、医療装置の流体通路と通じた表面６４に固定されることが好ましい。第８図は代替導通制御部材の概略図であり、医療装置の流体通路と通じるようになされるその表面６８は、以下に非常に詳しく説明するイオンビーム移入によって移入された抗菌剤７０を有している。第５図は血圧監視／採血装置１００の概略図である。本発明は、特に図示していないが流体投与セットのようなシステムを網羅することも意図している。この装置１００は、患者１０３に差し込まれてチューブ１０４で標本採取用の装置３４に連結されたカテーテル１０２を示しており、この標本採取用の装置３４は第３図に示される形式のものとされ得る。チューブ１０４は標本採取用の装置３４を活栓１０にも連結しており、この活栓１０は本明細書では図１に示される形式のものとされ得るとともに、それに対して連結されてその１つの出口ポートを閉止するための第２Ａ図および第２Ｂ図に示された形式の端部閉栓２８を有し得る。チューブ１０４は更に食塩水の供給源１１０に連結される。周知のように、食塩水供給源は圧力供給装置１１２およびそれに関連した圧搾球１１４によって加圧されることができる。この圧搾球１１４および圧力供給装置１１２の間のチューブラインに他の活栓１０を含めることができる。使用時に、流体標本は装置１００から標本採取用の装置３４を経て注射器４６で抜き取られることができ、注射器は第４図に示される形式のものとされ得る。本発明の装置およびそのシステムの構成に使用できる様々な適当材料がある。例えば、活栓、注射器、バルブ、分岐管などのような医療装置では、ハウジング部分は典型的にポリカーボネートでモールド成形されており、ポリカーボネートは所望される強度性質を有する一方、透明である。本明細書で説明されるように、活栓および端部閉栓に使用される導通制御部材は、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）でモールド成形されることが好ましい。弾発性の栓体のような他の導通制御部材は射出成形され、また標本採取用の装置は典型的にラテックスのようなエラストマー材料でモールド成形される。しかしながら当業者には、様々な他の合成樹脂材または天然材料が、本発明の範囲から逸脱しないで本発明を実施するために使用できることが認識されよう。各種の抗菌剤が本発明の装置に使用できることが確認された。このような材料の１つは合成の水酸化燐灰石（ＨＡＰ）であり、これにおいては結晶構造内部の幾分かのカルシウム元素が銀イオンで置換されている。適当な水酸化燐灰石の供給源は、アパシダー−エイダブリュ（ＡＰＡＣＩＤＥＲ−ＡＷ）との商品名で、米国カリフォルニア州ロス・アンゼルスのサンギー・グループ・アメリカ（ＳＧＡ）から購入できる。この替わりに、銀被覆したガラス球も抗菌剤として使用できる。本発明の実施において特に有用と見出されたコンダクト−オウ−フィル（ＣＯＮＤＵＣＴ−Ｏ−ＦＩＬ）の銀被覆したガラス微小球はＳ−２４２９−ＳおよびＳ−５０００−Ｓ２という商品番号で米国ニュージャージー州パーシパニーのポッターズ・インダストリーズ・インコーポレーテッドから購入できる。銀被覆したガラス粒子およびファイバーもまた有効利用できる考えられており、このような材料は「Ａｇクラッド・プレートレット」および「Ａｇクラッド・フィラメント」の商品名で米国テネシー州カッタノーガのＰＱコーポレーションから購入できる。上述で確認された特定の材料は抗菌性質を有する金属イオンとして銀を組み込んでいるが、銅や亜鉛およびその誘導体のような他の金属イオンもまた本発明による医療装置に使用することに好適な抗菌性質を有することが認識される。本発明は更に、医療装置を製造する方法、特に抗菌物質を含有する構成部材を製造する方法を網羅する。１実施例では、重量比で約７５％〜９９％の範囲の高密度ポリエチレンのような合成樹脂が重量比で約１％〜２５％の範囲の抗菌剤と調合され、またこの抗菌剤は上述で説明した物質の何れか１つとされるか、または混合物を形成するのに適当な他の何れかの抗菌物質とされることができる。この混合物はその後例えば射出モールド成形などによってモールド成形されて所望の医療装置部材に形成される。このような方法でモールド成形された部材は本明細書で説明するように典型的には医療装置に使用される導通制御部材とされる。何故なら、それらの部材は感染を引き起こすバクテリアを含む流体に触れるからである。本発明はまた、ある種の環境の下ではそうすることがハウジングの物理的特性に有害な影響を与えるとしても、代替実施例ではこのような医療装置の抗菌剤の添加されたハウジング部分のモールド成形を推測させる。感染を引き起こすバクテリアの殺菌に有効となるようにするために、医療装置の流体通路に通じた部材の少なくとも１面で抗菌物質が少なくとも部分的に露出されることが必要である。射出モールド成形時に低射出圧力、低射出速度および冷間モールド成形温度を使用することで、モールド成形された樹脂部品の表面に対する抗菌添加剤の移入を促進することが可能となる。本発明の部材における抗菌剤の露出度の増大は、その部材の少なくとも１面を削除することで達成されることが有利であると判断された。特に有用な、またそれ自体はこの分野で周知である１面処理はプラズマ削除処理であり、このプラズマ削除処理では医療装置部材は酸素含有プラズマ、好ましくは酸素／炭素フッ化物（Ｏ₂／ＣＦ₄）プラズマに約５分間ほど露出される。このプラズマ削除処理の効果は第６Ａ図および第６Ｂ図に示されており、これらの図面はそれぞれ表面処理の前および後における抗菌剤含有樹脂部材を示している。第６Ｂ図に示されるように、幾分かの樹脂材料が表面２６から削除され、したがってより多量の抗菌剤２４が新しい表面２６’に露出される。第７図に示された他の代替実施例では、本発明の医療装置に使用される導通制御部材の流体に触れる１つまたはそれ以上の表面は、標準的な高温スタンプ転写方法によって付着固定された銀元素の被覆を有している。この方法では、銀含有被覆すなわちフィルム６２は標準的な技法、すなわち銀元素の薄いフィルムをポリエステルフィルム上に載せた後接着剤で処理して形成されるのであり、このフィルム６２はその後導通制御部材の表面６４に転写されて接着固定される。この替わりに、第８図に示されるように、医療装置の導通制御部材６６の流体通路に通じるようにされる表面６８は、電子ビーム、ＣＤまたはＲＦスパッタリングによって溶着された抗菌剤（例えば銀元素）の薄いフィルム７０を有している。更に、表面エネルギーの小さな樹脂（例えばポリオレフィン）で作られた部材表面に対する銀の付着を向上させるために、薄いフィルムの溶着の後に、溶着銀原子を表面内部に混入させるためにイオンビーム移入が使用できる。イオンビームにより増強した溶着方法は、イオンビーム衝撃と同時に銀の薄いフィルムを溶着させると推測される。この方法は表面に対する銀の付着を最適化させる。薄いフィルムの溶着、イオンビームによる移入、およびイオンビームにより増強した溶着方法の全ては、薄い金属フィルムおよびイオンを露出面に溶着し移入させるための周知の技法である。本発明はその実施例を説明することで示される一方、実施例は詳細に説明されたが、これらの詳細内容に添付の請求の範囲に記載の範囲を限定し、または何れかに制限することは本発明者の意図するところでない。付随的な利点および変更は当業者に容易に明白となろう。本明細書に説明した特定の医療装置の例はただの例であって、特に説明してはいない付随的な医療装置が本発明の基本にしたがって抗菌性質を組み入れるように製造できる。本発明はそれ故に広義の見地においてこの特定の詳細内容、代表的装置および方法、および図示し説明された図解例に限定されることはない。したがって、本発明者の一般的な発明の概念の精神または範囲から逸脱せずに、このような詳細内容と相違することができる。

【手続補正書】特許法第１８４条の８【提出日】１９９５年３月２８日【補正内容】明細書抗菌性を有する医療装置およびその製造および使用方法発明の分野本発明は使い捨て装置に係わり、特に抗菌性を有する医療装置およびその装置の製造および使用方法に関する。発明の背景医療社会、特に病院環境においては、伝染の管理および感染の減少に関する意識がますます高まっている。病院内（病院関連）での１次感染源の１つは、例えば患者に注入される流体（すなわち血液、血漿、食塩水など）が装置に触れて感染原因となるバクテリアを取り込んでしまうような液体投与セットおよび血圧監視セットなどの医療装置、およびそれらの装置を組み込んだシステムを使用することで生じている。各種の医療装置に関連して抗菌性の部材を使用することで、この病院内感染の問題に対処する試みが行われてきた。特に、抗菌物質を含有する材料を表面に被覆したある種の物品が知られている。その例としては、カテーテル、チューブ、ドレンバッグなどがある。以下の米国特許は、ある形状をした抗菌性部材を含む様々な形式の医療装置に一般に関係しており、米国特許第３９８７００７号、第４５６３４８５号、第４５８１０２８号、第４６０５６５４号、第４０５４１３９号および第４８３６８８号を参照されたい。ドイツ国実用新案登録第９１００７４３．７号は、ソケットを有し、このソケットが患者に対する流体供給のための注入ポートとして作用するカニューラを記載している。使用されない状態では、このポートは下面に栓を有するキャップで密閉される。この栓は抗菌剤を被覆されるか、全体としてそのような抗菌剤で形成されるか、または開放孔を含み、それらの開放孔の中に抗菌剤が付与されて構成される。この栓は注入ポート内の微生物の繁殖を抑制する。ある種の医療品および装置に関連して抗菌剤を使用することは周知であるが、本発明による本明細書に記載されるような抗菌性を有する医療装置の教示または示唆は、これまでなかった。発明の概要本発明は抗菌性を有する医療用装置、そのような装置を組み込んだシステム、およびそのような装置を製造し使用する方法が網羅される。本発明は、流体投与セットおよび液圧監視セット、および患者に触れることになる流体が接触する医療装置部材に特に適用できる。例えば、本発明はバルブ、注射用の装置、活栓、補正された請求の範囲１．内部流体通路、および流体源に連結される少なくとも１つのポートを有するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられ、前記流体通路と連通して該流体通路に対する流体導通を選択的に制御する導通制御部材とを含んでなる医療装置であって、導通制御部材が合成樹脂材および抗菌剤を含んでなる複合構造を有すること、および抗菌剤が合成樹脂材と調合されて、導通制御部材を形成するようにモールド成形されることを特徴とする医療装置。２．請求項１に請求された装置であって、抗菌剤が導通制御部材の少なくとも１面にて少なくとも部分的に露出された装置。３．請求項２に請求された装置であって、導通制御部材が抗菌剤を少なくとも部分的に露出させるために少なくとも１つの削除面を有している装置。４．請求項１から請求項３までの何れか１項に請求された装置であって、導通制御部材が重量比で約７５％〜９９％の合成樹脂材と、重量比で約１％〜２５％の抗菌剤との範囲で構成されている装置。５．請求項４に請求された装置であって、導通制御部材が重量比で約７５％の合成樹脂材と、重量比で約２５％の抗菌剤とで構成されている装置。６．請求項１に請求された装置であって、抗菌剤が銀元素を被覆されたガラス微粒子、または銀を被覆されたガラスプレートレットまたは銀を被覆されたガラスファイバーを含んでなる装置。７．内部流体通路、および流体源に連結される少なくとも１つのポートを有するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられ、前記流体通路と連通して該流体通路に対する導通を選択的に制御する導通制御部材とを含み、この導通制御部材は抗菌剤層を流体通路に通じる少なくとも１面に有している合成樹脂材を含んでなる医療装置であって、抗菌剤層が該表面に接着固定されたことを特徴とする医療装置。８．内部流体通路、および流体源に連結される少なくとも１つのポートを有するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられ、前記流体通路と連通して該流体通路に対する流体導通を選択的に制御する導通制御部材とを含んでなる医療装置であって、流体導通制御部材が合成樹脂材および抗菌剤を含んでなる複合構造を有すること、および抗菌剤が導通制御部材の少なくとも１面に露出されて該面に対してイオンビーム移入によって付与されていることを特徴とする医療装置。９．請求項１から請求項５までの何れか１項、請求項７または請求項８に請求された装置であって、抗菌剤が活性成分として銀、銅、亜鉛およびその誘導体からなる群から選択された金属を有している装置。１０．請求項１から請求項５までの何れか１項、請求項７または請求項８に請求された装置であって、抗菌剤が活性成分として銀およびその誘導体を有している装置。１１．請求項１から請求項１０までの何れか１項に請求された装置であって、合成樹脂材がポリエチレンを含んでなる装置。１２．請求項１から請求項１１までの何れか１項に請求された装置であって、ハウジングが実質的に合成樹脂材で構成されている装置。１３．請求項１２に請求された装置であって、合成樹脂材がポリカーボネートを含んでなる装置。１４．請求項１から請求項１３までの何れか１項に請求された装置であって、ハウジングに実質的に抗菌剤がない装置。１５．請求項１から請求項１４までの何れか１項に請求された装置であって、更に第２ポートを含み、導通制御部材が第１および第２のポートの間に配置されたバルブであり、第２ポートと流体通路との間の流体導通を選択的に制御するように作動可能な装置。１６．請求項１から請求項１４までの何れか１項に請求された装置であって、更に第２ポートを含み、導通制御部材が第２ポートに受け入れられてそれを閉止することのできる端部閉栓である装置。１７．請求項１から請求項１４までの何れか１項に請求された装置であって、更に流体通路に連通した第２ポートを含み、導通制御部材が第２ポート内で可動な栓体である装置。１８．請求項１から請求項１４までの何れか１項に請求された装置であって、更に流体通路に連通した第２ポートを含み、導通制御部材が第２ポート内の弾発性の栓体である装置。１９．請求項１から請求項１４までの何れか１項に請求された装置であって、ハウジングが注射器本体を含み、導通制御部材が注射器本体内部を可動な注射器プランジャーである装置。２０．流体源と、流体源に連結され、患者と流体連通状態に置かれるようになされる流体導管と、請求項１から請求項１４までの何れか１項に請求された装置とを含んでなる患者に流体を投与するシステムであって、ハウジングが流体通路を流体導管と直列に連結する少なくとも２つのポートを有している装置。２１．合成樹脂材と抗菌剤とを調合してその混合物を形成する段階を含む、合成樹脂材と抗菌剤とを含んでなる医療装置部材を製造する方法であって、この混合物をモールド成形して医療装置部材を作り出す段階と、医療装置部材の少なくとも１面を削除して前記抗菌剤を少なくとも部分的に露出させるようにする段階とを特徴とする方法。２２．請求項２１に請求された方法であって、削除段階が前記少なくとも１面を酸素含有プラズマに露出させることを含む方法。２３．請求項２２に請求された方法であって、プラズマ削除段階が約５分間継続される方法。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＨＵ，ＪＰ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＬ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＩ，ＳＫ，ＵＡ，ＵＺ，ＶＮ

Claims

【特許請求の範囲】１．内部流体通路、および流体源に連結される少なくとも１つのポートを有するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられ、前記流体通路と連通して該流体通路に対する導通を選択的に制御する部材とを有し、前記導通制御部材が合成樹脂材および抗菌剤を含んでなる複合構造を有することを特徴とする医療装置。２．請求項１の医療装置であって、前記合成樹脂材がポリエチレンを含んでなる医療装置。３．請求項１の医療装置であって、前記抗菌剤が活性成分として銀またはその誘導体を有する医療装置。４．請求項３の医療装置であって、前記抗菌剤が銀元素を被覆されたガラス微粒子を含んでなる医療装置。５．請求項３の医療装置であって、前記抗菌剤が銀を被覆されたガラスプレートレットを含んでなる医療装置。６．請求項３の医療装置であって、前記抗菌剤が銀を被覆されたガラスファイバーを含んでなる医療装置。７．請求項１の医療装置であって、前記抗菌剤は活性成分として銀、銅、亜鉛およびそれらの誘導体からなる群から選択された金属を有している医療装置。８．請求項１の医療装置であって、前記抗菌剤が前記合成樹脂材と調合され、前記導通制御部材を形成するようにモールド成形された医療装置。９．請求項８の医療装置であって、前記抗菌剤が前記導通制御部材の少なくとも１面にて少なくとも部分的に露出された医療装置。１０．請求項８の医療装置であって、前記導通制御部材が前記抗菌剤を少なくとも部分的に露出させるために少なくとも１つの削除面を有している医療装置。１１．請求項１の医療装置であって、表面層とされた前記抗菌剤が前記導通制御部材の少なくとも１面に接着固定されている医療装置。１２．請求項１の医療装置であって、前記抗菌剤が前記導通制御部材の少なくとも１面に少なくとも部分的に露出され、イオンビーム移入によって該面に付与されている医療装置。１３．請求項１の医療装置であって、前記導通制御部材が重量比で約７５％〜９９％の合成樹脂材と、重量比で約１％〜２５％の抗菌剤との範囲で構成されている医療装置。１４．請求項１３の医療装置であって、前記導通制御部材が重量比で約７５％の合成樹脂材と、重量比で約２５％の抗菌剤とで構成されている医療装置。１５．請求項１の医療装置であって、前記ハウジングが実質的に合成樹脂材で構成されている医療装置。１６．請求項１５の医療装置であって、前記合成樹脂材がポリカーボネートを含んでなる医療装置。１７．請求項１の医療装置であって、前記ハウジングには実質的に抗菌剤がない医療装置。１８．請求項１の医療装置であって、更に第２ポートを含み、前記導通制御部材が前記第１および第２のポートの間に配置されたバルブであり、前記第２ポートと前記流体通路との間の流体導通を選択的に制御するように作動可能な医療装置。１９．請求項１の医療装置であって、更に第２ポートを含み、前記導通制御部材が第２ポートに受け入れられてそれを閉止することのできる端部閉栓である医療装置。２０．請求項１の医療装置であって、更に前記流体通路に連通した第２ポートを含み、前記導通制御部材が前記第２ポート内で可動な栓体である医療装置。２１．請求項１の医療装置であって、更に前記流体通路に連通した第２ポートを含み、前記導通制御部材が第２ポート内の弾発性の栓体である医療装置。２２．請求項１の医療装置であって、前記ハウジングが注射器本体を含んでおり、前記導通制御部材が前記注射器本体内部を可動な注射器プランジャーである医療装置。２３．内部流体通路、および流体源に連結される少なくとも１つのポートを有するハウジングと、前記ハウジング憎み付けられ、前記流体通路と連通して該流体通路に対する導通を選択的に制御する部材とを含み、前記導通制御部材が合成樹脂材を含んでなり、前記流体通路に通じる少なくとも１面に接着固定された抗菌剤層を有することを特徴とする医療装置。２４．合成樹脂材と抗菌剤とを含んでなる医療装置部材を製造する方法であって、合成樹脂材と抗菌剤とを調合してその混合物を形成する段階と、前記混合物をモールド成形して医療装置部材を作り出す段階と、前記医療装置部材の少なくとも１面を削除して前記抗菌剤を少なくとも部分的に露出させるようにする段階とを含む製造方法。２５．請求項２４の製造方法であって、前記削除段階が前記少なくとも１面を酸素含有プラズマに露出させることを含む製造方法。２６．請求項２５の製造方法であって、前記プラズマ削除段階が約５分間継続される製造方法。２７．請求項２４の製造方法であって、前記抗菌剤が活性成分として銀被覆したガラスビードを有する製造方法。２８．請求項２４の製造方法であって、前記抗菌剤が活性成分として銀被覆したガラスプレートレットを有する製造方法。２９．請求項２４の製造方法であって、前記抗菌剤が活性成分として銀被覆したガラスファイバーを有する製造方法。３０．請求項２４の製造方法であって、前記抗菌剤が活性成分として銀、銅、亜鉛およびその誘導体からなる群から選択された金属を有する製造方法。３１．感染を引き起こすバクテリアを含むことになり易い流体に曝される患者の病院内感染の発生を減少させる方法であって、内部流体通路と、流体源に連結するための少なくとも１つのポートとを有するハウジングに対する前記流体の連結部が、前記ハウジングに組み付けられ且つ前記流体通路に連通する導通制御部材を備えており、この導通制御部材により前記流体通路に対する導通を選択的に制御するようになされており、前記導通制御部材が合成樹脂材と、前記流体中の感染を引き起こすバクテリアを殺菌するために有効量の抗菌剤とを含んでなる複合材を有していることを特徴とした方法。３２．患者に流体を投与するシステムであって、流体源と、前記流体源に連結され、患者と流体連通状態に置かれるようになされる流体導管と、内部流体通路、および前記流体導管と直列に前記流体通路を連結するための少なくとも２つのポートを有するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられて前記流体通路と連通され、該流体通路に対する導通を選択的に制御するようになされる部材とを含み、前記導通制御部材が合成樹脂材および抗菌剤を含んでなる複合材を有することを特徴とするシステム。３３．請求項３２の装置であって、前記合成樹脂材がポリエチレンを含んでなる装置。３４．請求項３２の装置であって、前記抗菌剤が活性成分として銀またはその誘導体を有する装置。３５．請求項３４の装置であって、前記抗菌剤が銀元素を被覆されたガラス微粒子を含んでなる装置。３６．請求項３４の装置であって、前記抗菌剤が銀を被覆されたガラスプレートレットを含んでなる装置。３７．請求項３４の装置であって、前記抗菌剤が銀を被覆されたガラスファイバーを含んでなる装置。３８．請求項３２の装置であって、前記抗菌剤が活性成分として銀、銅、亜鉛およびそれらの誘導体からなる群から選択された金属を有している装置。３９．請求項３２の装置であって、前記抗菌剤が前記合成樹脂材と調合され、前記導通制御部材を形成するようにモールド成形された装置。４０．請求項３９の装置であって、前記抗菌剤が前記導通制御部材の少なくとも１面に少なくとも部分的に露出されている装置。４１．請求項３９の装置であって、前記導通制御部材が前記抗菌剤を少なくとも部分的に露出させるために少なくとも１つの削除面を有している装置。４２．請求項３２の装置であって、前記導通制御部材が重量比で約７５％〜９９％の合成樹脂材と、重量比で約１％〜２５％の抗菌剤との範囲内で構成されてなる装置。４３．請求項４２の装置であって、前記導通制御部材が重量比で約７５％の合成樹脂材と、重量比で約２５％の抗菌剤とで構成されてなる装置。４４．請求項３２の装置であって、前記ハウジングが実質的に合成樹脂材で構成されている装置。４５．請求項４４の装置であって、前記合成樹脂材がポリカーボネートを含んでなる装置。４６．請求項３２の装置であって、前記ハウジングには実質的に抗菌剤がない装置。４７．請求項３２の装置であって、前記ハウジングが第１および第２ポートを含み、前記導通制御部材が前記第１および第２のポートの間に配置されたバルブであり、前記第２ポートと前記流体通路との間の流体導通を選択的に制御するように作動可能な装置。４８．請求項３２の装置であって、前記ハウジングが第１および第２ポートを含み、前記導通制御部材が前記第２ポートに受け入れられて該第２ポートをシールする端部閉栓である装置。４９．請求項３２の装置であって、前記ハウジングが前記流体通路に連通する第１および第２ポートを含み、前記導通制御部材が前記第２ポート内で可動の栓体である装置。５０．請求項３２の装置であって、前記ハウジングが前記流体通路に連通する第１および第２ポートを含み、前記導通制御部材が前記第２ポート内の弾発性の栓体である装置。５１．請求項３２の装置であって、前記導通制御部材が前記注射器本体内部を可動な注射器プランジャーである装置。