JPH08507288A - Il−2による未成熟なトリの処置法 - Google Patents

Il−2による未成熟なトリの処置法

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JPH08507288A JP6513544A JP51354494A JPH08507288A JP H08507288 A JPH08507288 A JP H08507288A JP 6513544 A JP6513544 A JP 6513544A JP 51354494 A JP51354494 A JP 51354494A JP H08507288 A JPH08507288 A JP H08507288A
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エンブレクス,インコーポレイテッド
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    • A61K38/20Interleukins [IL]
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Abstract

(57)【要約】 未成熟なトリにおいて細菌感染症を抑制する有効量のインターロイキン-2(IL-2)から成るT-細胞増殖因子を未成熟なトリに投与することによって、未成熟なトリにおいて大腸菌およびサルモネラ菌感染症を含む細菌感染症を抑制する方法が明らかにされている。本法は、インキュベーション約18日目のニワトリにおいて実施するのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】 IL−2による未成熟なトリの処置法 発明の範囲 本発明は、細菌感染症を抑制するためにインターロイキン-2を投与することに よるトリの処置法に関する。 発明の背景 卵から孵化するトリは、割れた卵殻と殻膜から遊離する病原菌に晒される。吸 入あるいは経口的にトリの体内に摂取された細菌は、呼吸器または胃腸管の粘膜 にコロニー形成し、上皮バリアーを通過することができる。孵化したトリは最初 は母体由来の抗体によって病原菌から防御されている。しかし、母体由来の抗体 は、トリ自身の免疫システムがまだ未熟な孵化前後の期間に、一時的な防御機能 を提供するに過ぎない。天然の抗体合成により未成熟なトリを病原菌から十分に 防御できるようになる前に、母体由来の抗体レベルが弱まることがしばしばあり 、これが抗体レベル低下の原因となる。この抗体レベルの低下は、孵化後2週目 から3週目に起こり、病原菌による死亡率のピーク、特に孵化後3週目から4週 目の大腸菌性敗血症を伴うことがしばしばある。 BerkhoffおよびVinalの米国特許第4,775,621号は、孵卵器内に侵入性大腸菌が 存在するか否かを決定することによりトリにおける大腸菌性敗血症の診断法につ いて論じているが、大腸菌性敗血症の治療法については論じていない。 前記の理由から、トリにおける細菌感染症を抑制する新しい手段が今なお必要 である。 発明の要約 未成熟なトリの処置方法がここに明らかにされている。この方法は、未成熟な トリにおいて細菌感染症を抑制する有効量のインターロイキン-2(IL-2)を、未 成熟なトリに投与することから成る。 未成熟なトリにおいて大腸菌感染症を抑制する有効量のインターロイキン-2( IL-2)を未成熟なトリに投与することから成る未成熟なトリにおける大腸菌感染 症を抑制するための未成熟なトリの処置方法も明らかにされている。 上記方法の特定の実施例は、一群のトリにおいて大腸菌性敗血症性感染症を抑 制する方法を示している。この方法は、未成熟なトリに大腸菌感染症を抑制する 有効量のIL-2を卵内(in ovo)投与し、トリを共通の孵卵器内で一緒に孵化させ るためにインキュベートし、続いて少なくとも2週令までトリを飼育することか ら成る。 未成熟なトリにおいてサルモネラ菌感染症を抑制する有効量のインターロイキ ン-2(IL-2)を、トリに投与することから成る未成熟なトリにおけるサルモネラ 菌感染症を抑制するための未成熟なトリの処置方法も明らかにされている。 本発明の別の面は、ここに既述されている処置法を実行するための薬剤を調製 するためのIL-2の使用である。 米国特許第5,028,421号は、トリにIL-2を卵内投与し、孵化後の体重増加を促 進する方法と、ワクチンと併用するIL-2の卵内投与を明らかにしている。米国特 許第5,106,617号は、孵化後の未成熟なトリにIL-2を投与することにより、未成 熟なトリの体重増加を誘発する方法を明らかにしている。今、予想外ではあった が、トリに卵内投与されたIL-2は、細菌感染症、特に大腸菌およびサルモネラ菌 感染症を抑制することが明らかにされた。IL-2がこのような効果を引き起こす能 力を有することは、今まで報告されていない。 発明の詳細な説明 ここに使用される“トリ”という言葉は、全ての鳥類の雄または雌を含めるこ とを意図しているが、卵や肉を得るために商業的に飼育される家禽を含めること を主として意図している。従って、“トリ”という言葉は、特にオンドリ、メン ドリ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジを含むこと を意図している。一般にトリと呼ぶこととする。ここに使用される“未成熟”と いう言葉は、成年に達していないトリ全てを含むことを意図しており、卵内(in ovo)のトリを含む。 ここに使用される“インターロイキン-2(IL-2)”という言葉は、ウシ、ヒツ ジ、ネズミ、ヒトまたはトリのIL-2を含む全ての種のIL-2を指す。米国特許第5, 106,617号および第5,028,421号(ここで引用した米国特許の全ての開示内容を引 用することにより本明細書の一部とすることを、出願人は特に意図している。) に記載されているように、多くの種類のIL-2が公知である。 ここに使用される“トリのIL-2”という言葉は、あらゆる鳥類によって生産さ れるIL-2に相当するIL-2を意味する。“トリの(avian)”という言葉は、全て のトリ種を含むことを意図しており、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチ ョウ、ウズラ、キジを含むが、これらに限定されない。様々なトリのIL-2が公知 である。例えば、米国特許第5,028,421号および第5,106,617号を参照すること。 簡単に述べれば、トリのIL-2は、トリのドナー(トリのドナーの脾臓から最も得 やすい)からリンパ球を収集することによって得られ、コンカナバリンA(Conc anavalinA)のようなT細胞分裂促進剤を含む培地(血清を含まない培地が望ま しい)内でリンパ球を増殖させ、任意に、培地からIL-2を回収する。従って、IL -2条件培地そのものをIL-2投与に使用できる。本発明の実施にトリのIL-2を使用 する際、少なくとも血清と分裂促進因子を実質的に含まないことが望ましいが、 トリのIL-2の純度は重要ではない。粗IL-2製剤は、種々の公知の分離法のいずれ によっても精製でき、これらの分離法から得られた種々の分画は、本技術におい て公知のIL-2分析法によりIL-2活性をスクリーニングすることができる。IL-2は 、適切な薬剤学的に許容可能な担体のいずれかに含めて供給できるが、燐酸緩衝 食塩水のよ うな水性担体に含めて供給するのが望ましい。 種々のトリ種のIL-2の交差反応性は、IL-2応答細胞を用いる公知のバイオアッ セイ法によりルーチンで決定することができる。例えば、Schnetzler et al., 上記、561を参照。あるいは、1標本群のトリにIL-2を卵内投与し、その種にお けるIL-2活性を決定することによって簡単にスクリーニングできる。一般に、い ずれの場合でも、投与されるIL-2が由来する種と、処置されるトリの種が近い程 、投与されるトリにおけるIL-2の生物活性は高いものと予想される。従って、こ こに明らかにされた方法において投与されるIL-2が由来する種は、処置される被 験動物の種と一致していることが望ましいが、必須ではない。本技術に精通する 者は、公知のIL-2の交差反応性と、本技術に精通する者にとって公知の簡単なス クリーニングテストに基づき、処置されるトリに適切なIL-2組成を選択すること ができる。トリ1羽あたりのIL-2投与量は、処置される種によって、IL-2が由来 する種によって、被験動物の年齢によって、トリの注入部位によって、IL-2の純 度によって異なる。 上記に述べたように、ニワトリのIL-2は、14K種と30K種として存在する。Fred ericksenおよびSharma、上記;Schnetzler、上記、565を参照。30K種は、天然型 と考えられている。米国特許第5,028,421号の実施例3(ここで引用する全ての 引用特許の開示内容は、引用することにより本明細書の一部とする)に従って調 製され、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって97%の純度であることが 明らかにされた30KトリIL-2製剤から、タンパク質1ミリグラム当たり約100〜30 0活性単位の30KトリIL-2が得られる。本発明を実施するには、卵あたり約0.0035 活性単位以上の量のトリIL-2を投与する。より望ましくは、卵あたり約0.035活 性単位以上の量のIL-2を投与する。本発明を実施するには、卵あたり約35活性単 位までの量のトリIL-2を投与する。より望ましくは、卵あたり約3.5活性単位ま での量のIL-2を投与する。 本発明を実施する際、IL-2はIL-2条件培地の形態で投与することができる。例 えば、インキュベーション約18日目にIL-2条件培地を投与されたニワトリにおい て、本発明の方法によって陽性の結果が予想される。この場合、投与されたIL-2 条件培地は、卵あたり約0.0035活性単位以上の量のトリIL-2を含む。より望まし くは、投与されたIL-2条件培地は、卵あたり約0.035活性単位以上の量のトリIL- 2を含む。本発明を実施する際、投与されるIL-2条件培地は、卵あたり約35活性 単位までの量のトリIL-2を含む。より望ましくは、投与されるIL-2条件培地は、 卵あたり約3.5活性単位までの量のトリIL-2を含む。 本出願人が知るかぎり、トリIL-2の類似体はまだ合成されていない。しかし、 トリ種以外における種々のIL-2の交差反応性を考えると、入手可能ならば、トリ IL-2の合成類似体を、本発明における活性に関して一般的な方法でスクリーニン グすることができ、天然に存在するIL-2と実質的に同じ方法で本発明において機 能する筈である。 ここに使用される“卵内(in ovo)”という言葉は、孵化前の卵の中にはいっ ているトリを指す。従って、本発明は、卵を処置する方法と、トリを処置する方 法の両者と考えることができる。本発明は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル 、ガチョウ、ウズラ、キジを含むどのような種類のトリの卵を用いても実施でき る。ニワトリとシチメンチョウの卵が望ましく、ニワトリの卵が最も望ましい。 本発明の方法によって処置される卵はインキュベーションの第4四半期にある受 精卵が望ましい。ニワトリの卵は、インキュベーション約15日目から19日目の間 に処置され、インキュベーション約18日目(胚発生の18日目)に処置されるの が最も望ましい。シチメンチョウの卵はインキュベーション約21日目から26日目 に処置されるのが望ましく、インキュベーション約25日目が最も望ましい。 本発明は、グラム陰性菌とグラム陽性菌の両者の感染症を抑制するのに使用で きる。このようなグラム陽性菌には、パスツレラ(Pasteurella)属、ブドウ球 菌属、 連鎖球菌属が含まれるが、これらに限定されない。グラム陰性菌には、大腸菌、 シュードモナス属、サルモネラ属が含まれるが、これらに限定されない。腸炎菌 (Salmonella enteriditis)は、商業用産卵業界において重要な病原菌である。 産卵鶏の卵巣にコロニー形成すると、食用卵にサルモネラ菌が母体感染すること があるからである。 ここに使用される“大腸菌性敗血症(colisepticemia)”という言葉は、侵入 性大腸菌によって引き起こされる大腸菌感染症による敗血症を指す。大腸菌の株 の中には非侵入性のものもあるが、宿主組織に侵入することができ、重篤な疾病 を引き起こす侵入性株が存在する。大腸菌性敗血症が家禽に伝染する経路はまだ 十分判明していない。 本発明において、IL-2条件培地を使用する投与を含むIL-2の未成熟なトリへの 投与は、卵内投与、静脈内注入、腹腔内注入、皮下注入等の適切などの方法によ っても実施できる。殻を通して化合物を送達するどのような手段によっても卵に IL-2を投与できる。しかし、望ましい投与方法は注入法である。注入部位は、羊 水と胚そのものを含む羊膜によって囲まれた領域内、卵黄包内、あるいは気室内 が望ましい。インキュベーションの第4四半期が始まるまでに、羊膜は十分大き くなっているので、卵の大きい方の端の中央から長軸に沿って注入すれば、殆ど いつでも確実に羊膜から透過させることができる。ワクチンは、IL-2と同じ方法 で、同じ部位に投与できる。 注入のメカニズムは重要ではないが、胚の組織および器官あるいは胚を取り囲 んでいる胚外膜を不当に障害せず、従って処置により斬化率を低下させない方法 が望ましい。約18ないし22ゲージ注射針が付いた皮下シリンジがこの目的に適っ ている。気室内に注入するには、卵の中に針を約2ミリメートル挿入するだけで よい。1インチ針を卵の大きい方の端の中央から完全に挿入すると、殻、気室を 取り囲む外殻および内殻膜、および羊膜を貫通する。胚の発生段階と位置が正確 ならば、この長さの針の末端は、ヒナの上方の羊水かヒナ自体の中に入る。針が 破損したり、鈍くなるのを防止するために、針を挿入する前に殻に試験的に穴を 開けたり、ドリルで穴を開けることができる。希望する場合には、望ましくない 細菌が続いて侵入するのを予防するために、ワックス等の実質的に細菌不透過性 の密封材料で卵を密封することができる。 本発明を実施するにあたり、トリ胚用高速自動注入システムが特に適切と考え られる。多くのこの種の機器が入手可能であり、多くの例が以下の米国特許に明 らかにされている。Hebrankの米国特許第4,903,635号および第4,681,063号、Lew isの米国特許第5,056,464号、Millerの米国特許第4,040,388号、第4,469,047号 および第4,593,646号(ここで引用する全ての特許の開示内容は、引用すること により本明細書の一部をなすものとする)。本発明の実施用に改変されたこのよ うな機器は全て、ここに報告されているように、トリIL-2を含む注入器を有し、 この注入器は、この装置により保持された卵にトリIL-2を注入できるように配置 される。この装置のその他の特徴は、上記に論じられている。更に、必要な場合 には、注入後卵の穴を封ずるために、注入装置と関連して作動する密封装置も供 給できる。 本発明を実施するために望ましい装置がHebrankの米国特許第4,903,635号、Le wisの米国特許第5,056,464号に明らかにされており、引用することにより、これ らの開示内容は本明細書の一部をなすものとする。これらの装置は、液体物質を 複数の卵に注入するための注入装置と注入装置に対してそれらの卵を一列に並べ る装置から成る。本発明を実施するために、これらの装置の特徴を、上記に記載 された装置の特徴と組み合わせることができる。本発明を実施する場合には、注 入された卵をインキュベートして孵化させ、トリは少なくとも2週令まで飼育す る。 以下の実施例は、本発明を更に詳細に説明するために提示されたもので、それ らを限定するものと見なすべきではない。以下の実施例において、℃はセ氏温度 を意味し、μはミクロンを、mmはミリメートルを、cmはセンチメートルを、ccは 立法センチメートルを、mlはミリリットルを、μlはマイクロリットルを、gは グラムを、mgはミリグラムを、μgはマイクログラムを、nは数を、ozはオンス を、Mはモルを、mMはミリモルを、TSBはトリプチケース大豆肉汁(trypticase s oy broth)を、PBSは燐酸緩衝食塩水(pH=7.4)を、IL-2はトリインターロイキ ン-2を、IL2CMはトリインターロイキン-2条件培地を、Con-Aはコンカナバリン-A (Concanavalin A)を、RBCは赤血球を、rpmは1分間当たりの回転数を、CO2は 二酸化炭素を、CFUはコロニー形成単位を、IMは筋肉内を、MTTは3-[4,5-ジメチ ルチアゾリル-2]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイドを、RPMIはロズウ ェルパーク記念研究所を、ODは光学密度を意味する。 実施例1 脾臓細胞の調製 脾臓は、4週令から10週令のハイライン、SCニワトリから入手し、被膜を剥離 した脾臓から1つの細胞から成る懸濁液を調製した。具体的に述べると、脾臓を 燐酸緩衝食塩水(PBS)(pH=7.4)に入れ、5mlのシリンジに通し、続いて18ゲ ージの注射針に通した。懸濁液を室温で5分間放置し、間質を沈殿させ、上清を 収集した。沈殿した間質に更に5mlのPBSを加え、混合し、5分間放置し、上清 を収集し、最初の上清と共にプールした。次に、これらの細胞からペレットを得 、下記の実施例2に記載されているRPMI-G培地を加える前に、PBSで2回洗浄し た。トリパンブルー色素除外法により測定した細胞の生存可能性は95%以上であ った。 実施例2 IL-2条件培地の調製 RPMI-G培地は、L-グルタミン(2mM)を補足したRPMI-1640培地と硫酸ゲンタ マイシン(50マイクログラム/ミリリットル)(シグマ社、セントルイス、ミズ ーリ州) から構成された。 脾臓から調製した1つの細胞から成る懸濁液を、RPMI-G培地50ミリリットルを 含む75立法センチメートルのフラスコの中に、6×106細胞/ミリリットルの細 胞濃度となるように入れ、コンカナバリンA(シグマ化学、セントルイス、ミズ ーリ州)の濃度を4マイクログラム/ミリリットルにした。40℃の5%CO2を含 む加湿された大気中で64〜96時間インキュベート後、これらの培養からIL-2条件 培地(IL2CM)が得られた。生成ピークは96時間後であった。 実施例3 IL−2分析 トリIL-2の活性は、分裂促進剤に予め接触させておいたT-細胞のin vitroの増 殖反応によって規定される。増殖反応は、特定の色素(MTT、すなわち3-[4,5- ジメチルチアゾリル-2]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)のミトコ ンドリアの取り込み量によって示される。1活性単位は、以下の細胞増殖分析に おいて測定される最大増殖反応の50%すなわち1/2を引き起こす物質の量として 定義される。1.リンパ球懸濁液の調製 ニワトリを屠殺し、摘出した脾臓をゲンタマイシン(gentamicin)を含む冷た いPBS(PBS1000mlあたり25mg/mlのゲンタマイシンを2ml加えたもの)に入れる 。脾臓の被膜を除去し、滅菌シリンジを通して押し出し、組織を細かくする。3 つの脾臓から得られた細かく刻まれた組織のスラリーを18ゲージの注射針を通し て、50mlの試験管内に移し、冷たいPBSを加え、容量を50mlにする。 細胞間質と余分な組織を除去するために、組織スラリーを7分間沈殿させ、各 試験管の上部から細胞懸濁液35mlを除去する。各試験管の残りの間質にPBSを加 え、総容量を約47mlにする。15mlの目盛りより上の細胞懸濁液を除去し、最初に 収集した懸濁液と合わせてプールする。細胞懸濁液を200rpmで5分間遠心分離し 、余分 なRBCを除去する。次に、上清を1500rpmで15分間遠心分離する。上清をデカント し(ペレットは取っておく)、1500rpmで15分間再度遠心分離する。 各ペレットを50mlの冷たいPBSに再懸濁し、上清と共に遠心分離する(1500rpm で15分間)。次に、上清を廃棄し、細胞ペレットを50mlまたはそれ以下の冷たい PBSの中にプールする。細胞懸濁液を均等に2つに分け、各容量をPBSで37mlにす る。 頂部にPBSに溶解した60%パーコル(Percoll)12mlを、底部にPBSに溶解した2 0%パーコル15mlを用いて、パーコル密度勾配を調製する。各密度勾配の上に細 胞懸濁液6mlを載せ、15℃で2000rpmで25分間遠心分離する。各密度勾配から白色 細胞を除去し、別の50ml試験管の中に入れる。冷たいPBSを加え各試験管の総容 量を50mlにし、1600rpmで10分間遠心分離する。上清を捨て、細胞ペレットをプ ールし、総容量35から40mlの冷たいPBS中に再懸濁し、1200rpmで10分間遠心分離 する。 上記の実施例1から得られた細胞ペレットを総容量35から45mlのRPMI培養培地 に再懸濁する。総容量500mlのRPMI培養培地のそれぞれに関して、RPMI(シグマ 社カタログ番号R-7509 RPMI 1640、フェノールレッドを含まない)に、100×L- グルタミン5mlとゲンタマイシン(25mg/ml)1mlを混合する。 細胞は、4%トリパンブルー(Trypan Blue)中の1:100の希釈係数で計数さ れる(すなわち、450μlのトリパンブルー+50μlの細胞=1:10;50μlの 1:10+450μlのトリパンブルー=1:100)。細胞を、RPMI培養培地に15×106 個/cm2で接種する。遊離Con-Aを加え、リンパ芽球の変換を促進する。組織培 養グレードのコンカナバリンA(シグマ社、カタログ番号C-5275)、2μg/ml 培地が必要である。 フラスコ内に100mlの細胞懸濁液を入れて、リンパ芽球を変換するために、細 胞懸濁液をインキュベートする。各フラスコに5%CO2を含む空気を30秒間供給 し、37℃で5%CO2中に横倒しにする。ガス交換ができるように、フラスコのキ ャップを緩め、フラスコを44時間から48時間インキュベートする。2.分析用細胞収集 細胞と培地を50ml/試験管で、1200rpm 10分間遠心分離する。細胞ペレットを 総容量25mlのRPMI培地内にプールし、40℃で15分間インキュベートする。細胞懸 濁液を混合し、遠心分離器の中に入れ、400rpmにして、遠心分離器のスイッチを 切る。上清を保存し(ペレットは廃棄する)、100rpmで5分間遠心分離する。上 清を廃棄し、細胞ペレットを15ml試験管中のRPMI培地10mlの中に再懸濁する。細 胞懸濁液を氷上に30分間おき、凝集沈殿させる。約9mlの細胞懸濁液を試験管か らピペットで取り出し、残りの凝集物を廃棄する。 細胞懸濁液を400rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄する。細胞ペレットを5 〜7mlのRPMI培地に、3×106細胞/mlの濃度で再懸濁する。3.細胞増殖分析 96ウェルミクロタイタープレートを使用する。各プレートの上、下、横の外側 の1つのウェルにウェル当たり200μlのPBSを入れる。残りのウェルに次の添加 剤を含むRPMI培地(シグマ社カタログ番号R-7509 RPMI 1640、フェノールレッド を含まないもの)を100μl入れる。ゲンタマイシン1ml(硫酸ゲンタマイシン 、カタログ番号16051、米国バイオケミカル社);L-グルタミン(100×/500ml を5ml;ジブコ社(Gibco),カタログ番号321-5030A6);2%H.I.ニワトリ血 清(シグマ社、カタログ番号C5405);0.1Mマノピラノシド(Mannopyranoside) (3.884g/200ml)(シグマ社、カタログ番号M-6882)。 テスト試料をそれぞれ2検体ずつ3列目に入れる(プレート当たり3種類の試 料を分析できる)。ウェル当たり100μlの試料を加え、試料当たり2つのウェ ルを使用する。まず、3列目で試料と培地を混合することによって、連続希釈液 を調製する。3列目から10列目まで連続希釈液が入る。10列目を混合後、100μ lを廃棄すると、各ウェルの中に100μl残る。各ウェルに100μlの細胞懸濁液 を加える。2列目と11列目は対照ウェルである(試料を含まず細胞のみ)。マイ クロタイタープレートを46時間以上50時間以下、5%CO2、37℃のインキュベー タ内に入れる。 MTT色素取り込みに関しては、5mgのMTT(米国バイオケミカル社、カタログ番 号19265)をPBS 1mlに溶解する。溶解したMTTを0.45μ滅菌フィルター装置で濾 過し、25μlを各プレートの各ウェルに加え、プレートを5%CO2、37℃のイン キュベータ内で60分間インキュベートする。60分間のインキュベーション終了時 に、150μlを各ウェルから除去し、100μlの酸性イソプロパノール(イソプロ パノール1000mlに12M HCl 3.3mlを溶解)を加える。各プレートをミクロタイタ ープレートシェーカーで高速で2分間混合する。570ナノメーターの波長でミク ロタイタープレートアナライザーによりプレートを測定する。 バックグランドウェル(PBSのみを含むウェル)の平均光学密度(OD)を、ミ クロタイタープレート毎に計算する。平均バックグランドODを、各対照および試 料ウェルのOD測定値から減ずる。平均ODは、各希釈度における各対照および各試 料ウェルについて2例ずつ調製したウェル(マイナスバックグランド)から計算 する。平均対照(試料を含まない細胞)ODを各プレート毎に計算し、平均対照値 を分析に使用した全てのプレートに関して計算する。 連続希釈度毎の試料のパーセント変化量を、平均対照値に対して計算する。 x=%変化量に関する未知の値 (x試料OD)−(x対照OD)=ΔOD値 各希釈度の対数に関してパーセント変化量をプロットする。対照値以上の基準 物質に関する最大反応の50%インターセプト基準ラインを計算する。インターセ プトにおける対数値を決定し、逆対数を計算し、各試料に関する希釈力価を決定 する。1単位は、最大増殖反応の50%すなわち2分の1を引き起こす試料物質の 量と定義される。 実施例4 材料および方法 卵の注入と飼育管理。受精したハバードX(Hubbard X)ハバードブロイラー 養鶏用卵を商業目的の孵化場から入手し、16℃で保存した。インキュベーション 0日目に、卵を一段階ジェームスウエイ252強制換気孵卵器に無作為にセットした 。温度と湿度の条件は、製造者のガイドラインに忠実に従った。インキュベーシ ョン10日目に、卵を孵卵器から取り出し、蝋燭で照らして生存可能性を検査した 。無精卵、位置異常の卵、生存不可能な卵は全て試験から除外した。 孵化卵を無作為に処置群に分け、表示し、注入し斬化バスケットに移し、孵卵 器に戻した。卵の注入は、18ゲージ注射針を使用して、卵の上端または下端から 殻に5mm通すことから成る。次に、1ccツベルクリンシリンジに取り付けた23ゲ ージ注射針を穿孔した穴から22mm挿入し、テスト物質を注入した。注入部位は、 密封も消毒もしなかった。 孵化しない卵は全て破壊し、後期死亡、生存ヒナ、死亡ヒナ、死亡ヒヨコ、ま たは失格のいずれかに分類した。位置異常および奇形の胚は孵化率分析から除外 した。生存可能なヒナを数え、体重測定し、標識バンドを付けた。トリは処置群 によりカラーコードで識別した。 細菌投与用材料。大腸菌培養(セログループ01)またはネズミチフス菌(Salm onella typhimurium)のナリディキシックノボビオシン(nalidixic novobiocin )耐性菌株をトリプチケース大豆肉汁(TSB)中で37℃で生育させた。密集成長 培養菌を必要に応じて0.9%食塩水で希釈した。経口投与用の大腸菌接種材料の 用量を調製するには、遠心分離により10倍の濃度にする必要があった。投与まで 、砕いた氷の上で細菌懸濁液を保存した。投与製剤を連続希釈し、実際の投与量 を決定するためにトリプチケース大豆寒天平板上に3例ずつ平板培養した。 実施例5 孵化時の大腸菌経口投与 18日目孵化ブロイラー卵にPBSまたは0.35活性単位のIL2CMを注入した。孵化し た日に、各処置群から40羽のヒナに8.8×108CFUの大腸菌を含むPBS 100μlを経 口胃管投与した。卵の中でPBSを投与された更に40羽のヒナにPBS 100μlを胃管 投与した。ヒナは1つの檻の中に混合し、食餌と水は自由摂取させた。1日当た りの死亡率を連続5日間記録し、その時全てのヒナの体重を測定し、研究を終了 した。 結果。卵内投与したIL2CMは、大腸菌を経口投与したブロイラーのヒナの5日 間死亡率を10%から2.5%に有意に減少させた(表1)。更に、IL2CMを卵内投与 されたトリの体重は、大腸菌を投与された対照群と大腸菌を投与されなかった対 照のいずれよりも数字の上で高かったことは、残りのトリが罹患していないこと を示している。孵化率に対するIL2CM卵内投与の効果は明らかでなかった。孵化 率は、注入時(インキュベーション18日目)に生存していた卵から孵化したヒ ナの数に基づいた。 これらの結果は、18日目孵化卵にIL2CMを単回卵内投与することにより、新た に 孵化したヒナを経口摂取された大腸菌から保護できることを示している。保護効 果は、孵化と同時に発揮された。 実施例6 ネズミチフス菌の孵卵器内伝染と孵化後の伝染 150個の18日目の孵化ブロイラー卵に、PBSまたは0.35活性単位のIL2CMを注入 した。各処置群の75個の卵を対照孵卵器に戻した。各処置群の別の75個の卵を、 隔離室内の孵卵器の中に入れた。更に、170CFUのネズミチフス菌(Salmonella t yphimurium)を25個の卵の気室の中に注入した。これらの卵は、孵卵器最上部の 孵卵トレイの中に入れられ、孵卵器内の水平感染用としてのみ利用された。この 孵卵器は現在まで汚染用に指定されている。孵化20日目の汚染された孵卵器内か ら得られた15分間エーロゾルプレートの細菌数の平均値は、169CFUであった。ノ ボビオシンとナリジキシン酸(nalidixic acid)を含む選択的寒天培地が使用さ れた。各孵化用バスケット内に配置されたプレートから得られた細菌数は同じで あった。対照孵卵器からテスト菌株は分離されなかった。孵化時、対照孵卵器と 汚染された孵卵器の両者から各処置群あたり25羽のヒナが、2つの檻にそれぞれ 入れられた。対照孵卵器からのトリと、汚染された孵卵器からのトリを1:1の 比率で混合すると、孵卵器で細菌に接触したヒナから接触しなかったヒナへの孵 化後の水平感染が生じた。ヒナの食餌と水は自由摂取とした。死亡率は毎日計測 した。孵化後12日目に、トリの体重を測定し、試験を終了した。 結果。孵化率は、卵内処置と孵卵器処置では同等であった。サルモネラ菌を注 入された卵の孵化率は、72%であった。これらのヒナは檻には入れなかった。卵 内IL2CM投与は、孵卵器内水平サルモネラ感染と孵化後水平サルモネラ感染の両 者を防御した。孵卵器内でサルモネラ菌に接触したヒナの12日目死亡率は、36% から28%に有意に減少した(表2)。孵卵器内で汚染されたトリと混合されたヒ ナの死亡率は、20%から12%に減少した(表2)。IL2CMで処置されたトリの体 重が 数字の上で低いことから、胃腸管におけるサルモネラ菌のコロニー形成には影響 しないが、血液伝染性病原菌は減少することを示唆している。 これらの結果は、18日目孵化卵にIL2CMを単回卵内投与することによって、孵 化前と孵化後のサルモネラ菌感染症からヒナを守ることができることを示してい る。 実施例7 孵化後18日目の大腸菌筋肉内投与 18日目孵化ブロイラー卵にPBSまたは0.35活性単位のIL2CMを注入した。孵化時 、処置毎にヒナの羽にバンド標識し、檻の中で混合した。孵化後18日目に、処置 群あたり均一サイズの30羽のトリの体重を測定し、104または106CFUの大腸菌を 含むPBS 100μlを胸筋内に注入した。更に、PBSを卵内投与された30羽のネガテ ィブコントロールのトリにPBS 100μlを筋注した。トリを檻に戻し、7日間毎 日死亡数を監視し、7日目にトリの体重を再度測定し、試験を終了した。 結果。細菌は、孵化後18日目に投与した。この時期は、母体の抗体レベルが低 下し、天然の抗体合成が不十分であるため、細菌感染し易い時期である。10,000 CFUの大腸菌を投与されたトリの死亡率は僅かで、卵内投与とは無関係に細菌投 与後2羽しか死亡しなかった(表3)。卵内投与間で死亡率に差はなかったが、 IL2 CMを投与されたトリの体重の数字が増加したことは、トリの有病率は低い値を維 持したことを示唆している。これに反して、1,000,000CFUの大腸菌を投与された トリは、予めIL2CMを卵内投与されていた場合には、死亡率が低下した(表3) 。残りのトリの体重は数字の上で減少していた。 これらの結果は、18日目孵化卵へのIL2CMの単回卵内投与により、ヒナを長時 間保護することができ、孵化後18日目のヒナを大腸菌筋肉内投与から守れること を示唆している。 前記の実施例は、本発明を説明するものであり、本発明を制限するものと見な すべきではない。本発明は、ここに含められる請求項と同等物と共に、以下の請 求項によって規定される。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年9月23日 【補正内容】 請求の範囲(補正) 1. 大腸菌感染症とサルモネラ菌感染症から成るグループから選択された細 菌感染症を抑制する有効量のトリIL-2を未成熟なトリに投与することにより、当 該トリにおける細菌感染症を抑制する薬物を調製するためのトリのインターロイ キン-2(IL-2)の使用。 2. IL-2がニワトリIL-2である請求項1記載の使用。 3. トリIL-2が30KニワトトリIL-2である請求項1記載の使用。 4. トリがトリIL-2を卵内投与される請求項1記載の使用。 5. トリIL-2が卵内インキュベーションの第4四半期頃にトリに卵内投与さ れる請求項1記載の使用。 6. 大腸菌感染症を抑制する有効量のトリIL-2を未成熟なトリに投与するこ とにより、当該トリにおける大腸菌感染症を抑制する薬物を調製するためのトリ インターロイキン-2(IL-2)の使用。 7. トリIL-2がニワトリのIL-2である請求項6記載の使用。 8. トリIL-2が30KニワトリIL-2である請求項6記載の使用。 9. トリがIL-2を卵内投与される請求項1記載の使用。 10. トリIL-2が卵内インキュベーションの第4四半期頃にトリに卵内投与さ れる請求項6記載の使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV ,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,V N (72)発明者 フェルプス,パトリシア・ヴイ アメリカ合衆国、27608 ノース・キャロ ライナ、ローリー、アンダーソン・ドライ ヴ 2514

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 細菌感染症を抑制する有効量のIL-2を未成熟なトリに投与することによ り、当該トリにおける細菌感染症を抑制する薬物を調製するためのインターロイ キン-2(IL-2)の使用。 2. IL-2はトリIL-2である請求項1記載の使用。 3. IL-2はニワトリIL-2である請求項1記載の使用。 4. IL-2は30KニワトリIL-2である請求項1記載の使用。 5. トリは、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ から成るグループから選択される請求項1記載の使用。 6. トリはIL-2を卵内投与される請求項1記載の使用。 7. IL-2は卵内インキュベーションの第4四半期頃にトリに卵内投与される 請求項1記載の使用。 8. 細菌感染症は大腸菌感染症とサルモネラ菌感染症から成るグループから 選択される請求項1記載の使用。 9. 細菌感染症はサルモネラ菌感染症である請求項1記載の使用。 10. 大腸菌感染症を抑制する有効量のIL-2を未成熟なトリに投与することに より、当該トリにおける大腸菌感染症を抑制する薬物を調製するためのインター ロイキン-2(IL-2)の使用。 11. IL-2はトリIL-2である請求項10記載の使用。 12. IL-2はニワトリIL-2である請求項10記載の使用。 13. IL-2は30KニワトリIL-2である請求項10記載の使用。 14. トリは、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ から成るグループから選択される請求項10記載の使用。 15. トリはIL-2を卵内投与される請求項10記載の使用。 16. IL-2は卵内インキュベーションの第4四半期頃にトリに卵内投与される 請求項10記載の使用。 17. 細菌感染症は大腸菌感染症とサルモネラ菌感染症から成るグループから 選択される請求項10記載の使用。 18. 細菌感染症はサルモネラ菌感染症である請求項10記載の使用。
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