JPH08506132A - 車道除氷組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （a）KAc又はNaAc等のアルカリ金属酢酸塩、（b）K₃PO₄等のリン酸イオン、及び（c）K₂SiO₃又はNa₂SiO₃等の溶解性珪酸塩の水溶液からなる液体除氷及び氷結防止組成物を提供する。これらの組成物は、環境的に安全であり、金属腐蝕性抵抗についてFAA標準を満たす。それらは、非常に低温（例えば-40℃）で効果的であり、粒状CMAと共に使用した場合、特に効果的な除氷組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 車道除氷組成物 発明の分野 本発明は、空港の滑走路及び他の道路の表面等の車道上における使用に適した 除氷組成物に関する。 背景 近年、入手可能な表面除氷組成物には、岩塩及び他の腐蝕性材料が使用されて いる。グリコールベースの配合物、ウレア含有配合物及びメタノール含有配合物 が、空港の滑走路用に意図され、使用されている。しかしながら、これらの配合 物は、有毒性であり、金属に対して腐蝕性であり、かつ易燃性であることが多い 。 スミスの米国特許第5,064,551号には、ホスフェート及びニトレートの形態の 金属腐蝕抑制剤を含み、かつEDTAを界面活性剤として含む除氷剤として使用する ための、アセテート及びホルメート溶液が教示されている。そのような組成物は 、全ての金属の十分な保護を提供しないだけでなく、ニトレートを含有すること により、環境に損害を与え得ると思われる。米国特許第4,913,831号に開示され たようなカルシウムマグネシウムアセテート（CMA）粒状材料は、環境的に受入 れ可能な除氷用組成物であるが、即座には作用しない。 道路表面、特に空港の滑走路の表面上において使用するための、効果的で、環 境的に受入れ可能な除氷溶液であって、無毒性であり、難燃性であり、かつ本質 的に金属に対して耐蝕性である除氷溶液に対する要求がある。滑走路上に分散さ せた除氷配合物は、最終的には、雨水の排水管システム又は水路に洗い流される ことが多いため、該溶液は、環境、特にアクアティックライフ（aquatic life） に無害であることが重要である。また、そのような除氷配合物は、様々な天候状 態において、堆積された氷及び雪を除去するための除氷剤、及び道路上での氷形 成を防止するための氷結防止剤の両方のものとして良好に機能し得ることが重要 である。更に、そのような除氷配合物は、滑走路表面等に適用した場合に、滑ら ないものであることが重要であり、さもなければ、それらにより、航空機及び他 の 車両のための該表面の静止摩擦が、望ましくなく減少する。本発明の目的は、空 港の滑走路に特に適した効果的な表面除氷剤であって、容易に適用することがで き、即座に作用し、滑らないものであり、かつ広範な温度及び天候状態で効果的 な除氷剤を提供することである。 本発明の要約 本発明は、金属に対して本質的に無腐蝕性であり、環境的にやさしく、効果的 な除氷及び氷結防止液体組成物を提供する。これらの液体組成物は、空港の滑走 路を除氷する際の使用に特に適している。本発明の組成物は、好ましくは、アル カリ金属リン酸塩の形態のリン酸イオン、及び好ましくはアルカリ金属珪酸塩の 形態の可溶性珪酸塩を含む腐蝕抑制剤パッケージを伴うアルカリ金属酢酸塩の水 溶液である。また、これらの組成物は、CMAと共に適用した場合に特に効果的で あることが分かった。 好ましい実施態様の詳細な記載 別に定義していない限り、本明細書において使用した技術的及び化学的用語は 、本発明の属する技術分野における当業者により通常に理解されるものと同様の 意味を有する。 本明細書において使用した用語“除氷組成物”とは、すでに氷が形成された表 面から氷を除去するように作用する組成物を意味する。本明細書において使用し た用語“氷結防止組成物”とは、まだ氷で覆われていない表面に適用し、該表面 上で水が凍結して氷を形成するのを防止するのに効果的な組成物を意味する。 本発明により、除氷及び氷結防止液体の両方のものとして効果的な液体組成物 が提供される。これらの組成物は、容易に適用され、即座に作用し、環境的にや さしく、ヒトに対して無毒であり、かつ金属に対して本質的に無腐蝕性である。 これらの組成物は、少なくとも１種のリン酸イオンの供給源、好ましくはリン酸 カリウム、及び少なくとも１種の可溶性珪酸塩を含む腐蝕抑制剤パッケージを伴 う、アルカリ金属酢酸塩の水溶液を含む。 本発明の組成物は、水溶液中において約40〜60重量％のアルカリ金属酢酸塩を 含む。アルカリ金属酢酸塩として、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、及び酢酸リ チウムがあり、それらの全てが水中において高度に可溶性である。好ましいアル カリ金属酢酸塩は、酢酸カリウム及び酢酸ナトリウムであり、それらは、市場で 容易に入手可能である。最も好ましいアルカリ金属酢酸塩は、酢酸カリウム（KA c）であり、それは、室温で水１ｌあたり約2000ｇまで可溶である。好ましい酢 酸カリウム濃度は、約50〜60重量％であり、その濃度のものは、有利に、約-40 ℃以下の降下した凝固点を有する。 本発明の組成物は、環境に対して無毒な添加剤の腐蝕抑制剤パッケージを含む 。これらの添加剤の配合により、航空機及び地上の車両のための本質的な金属腐 蝕保護が提供される。この腐蝕抑制剤の配合は、非常に低い濃度、即ち約50重量 ％のKAc等を含む全組成の1.0重量％以下で非常に効果的である。優秀な金属腐蝕 保護を提供するのに加えて、この抑制剤パッケージは、濃縮形態の除氷組成物の 生分解を遅延させるが、それぞれの成分が希釈された結果としての望ましくない 重大な影響は有さない。 腐蝕抑制剤パッケージに含まれている主な添加剤はリン酸イオンであり、最終 濃度において、百万部あたりの部（ppm）で少なくとも約200部の量、即ち0.02重 量％存在する（百万部あたりの１部は、0.0001重量％に等しい）。リン酸イオン は、高いレベル、例えば百万部あたり約10,000部（1.0重量％）で存在し、必要 ならば、その溶解度の限界までものレベルで存在していてもよいが、そのような レベルは、所望の効果を達成するには不必要であると思われる。 好ましくは、リン酸イオンは約500ppmより高く約10,000ppmより低い量で、最 も好ましくは約900ppm〜約1200ppmの量で存在する。本発明の組成物において、 リン酸イオンは、アルカリ金属リン酸塩又はリン酸の添加により提供する。適切 なアルカリ金属リン酸塩として、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムがあり、 通常は市場で入手可能な、モノ、ジ及びトリ−塩基型のそれらのいずれかを使用 することができる。リン酸塩の好ましい供給源は、水中において高度に溶解性（ 0℃の水中において約43.7重量％まで）のトリ塩基のリン酸カリウム（K₃PO₄）で ある。約2200ppmのK₃PO₄は、約1000ppmのリン酸イオンに等しいものである。 腐蝕抑制剤パッケージ中に存在する第２添加剤は、１種以上の溶解性珪酸塩、 好ましくはアルカリ金属珪酸塩である。溶解性珪酸塩は、最終濃度において、除 氷組成物中に、少なくとも約50ppmの濃度で存在し、それらは、実質的により高 いレベルで存在していてもよい。溶解性珪酸塩は、好ましくは、アルカリ金属珪 酸塩により提供されるが、それらは、また、珪酸、H₄SiO₄によっても提供され得 る。好ましい溶解性珪酸塩は、アルカリ金属珪酸塩、特に、溶解性珪酸ナトリウ ム及び溶解性珪酸カリウムである。 水ガラス（water glass又はsoluble glass）として知られる珪酸ナトリウムは 、Na₂SiO₃、Na₆Si₂O₇及びNa₂Si₃O₇型の混合物として市場で入手可能である。い くつかの珪酸カリウムは、溶解性カリガラス又は溶解性カリ水ガラス（soluble water glass）として知られており、それらは、市場で入手可能であるK₂Si₂O₅、 K₂Si₃O₇及びK₂SiO₃型の混合物の変動可能な組成を有する。好ましくは、無水型 がメタ珪酸塩として知られるNa₂SiO₃又はK₂SiO₃のいずれかを、溶解性アルカリ 金属珪酸塩の供給源として使用する。 溶解性珪酸塩添加剤は、一般に、少なくとも約50ppm、好ましくは約100ppm〜 約800ppm、最も好ましくは約200ppm〜約400ppmの濃度で存在する。しかしながら 、溶解性珪酸塩は、ある条件のために必要であれば、珪酸塩分子の溶解度の限界 までで存在していてもよい。 本発明の組成物は、好ましくは、約10〜約12のpH範囲内で維持される。一般に 、最終溶液のpHは、前記組成物のアルカリ金属酢酸塩中において使用された同一 のアルカリ金属の水素により、約11（プラス又はマイナス１pHユニット）で調節 される。この範囲のpHは、前記酢酸溶液中におけるバクテリア及び他の微生物の 成長を都合良く防止するが、10未満のpH値を有する組成物も除氷に効果的である 。 本発明の組成物は、透明、無色で、かつ難燃性の溶液である。前記組成物は、 道路表面に適用した場合、滑らないものであり、該表面の静止摩擦を減少させな い。この組成物のいずれの成分も、環境又はヒトの健康に対して有毒なものであ るとは思われない。これらの組成物は、非危険性であるため、特別な制限なく、 輸送及び貯蔵することができ、かつ、それらの貯蔵コンテナは、通常のゴミ処理 地に処理することができる。最も重要なことには、これらの組成物は、自然環境 において、重大な悪影響なしに容易に分解される。例えば、約50重量％の酢酸カ リウム、約2200ppmのK₃PO₄及び約200ppmのK₂SiO₃を含む好ましい除氷組成物は、 標準試験条件に暴露した場合、４℃で５日以内に約50％が生分解され、20℃で ５日以内に約80％が生分解されることが示された。これらの除氷組成物は、最終 的に、車道表面から雨水の排水管へ又は直接アクアティックシステムへ洗い流さ れることがもっともらしいため、無毒性及び低温度でも生分解する能力が特に重 要である。更に、前記組成物は、比較可能な除氷剤より、生物学的酸素要求量が 実質的に低い。 本発明の組成物は、表面から氷を除去するための除氷液体及び表面上での氷形 成防止のための氷結防止液体の両方のものとして有利に使用することができる。 除氷液体として、表面上にすでに形成された氷を効果的に除去するのに必要な量 は、周囲温度及び存在する氷の量により決定される。気温が低くなればなるほど 、また、氷が厚くなればなるほど、表面の氷又は雪を十分に取り除くのに必要な 除氷液体の量は多くなるが、該組成物は、有利に短い融解時間（thawing time） を示す。更に、それは、非常に低温で特に効果的であると思われる。例えば、− 40℃（−40°Ｆ）で1.27cm（0.5インチ）の氷を即座に溶解することが可能であ る。本発明の液体は、道路表面での氷結を防止するのに十分な濃度で、氷形成の 前に、氷結防止組成物として適用する。一般に、氷形成防止に必要な量は、表面 上にすでに形成された氷を除去するのに必要な量より少ない。 氷除去又は氷形成防止のために、望ましく使用される好ましい除氷組成物の量 は、周囲の気温により変動し、及び前の状況において、パッケージされた雪及び 氷の厚さと共に変動する。例として、以下の表１に、約50重量％の酢酸カリウム 、約2200ppmのK₃PO₄及び約200ppmのK₂SiO₃を含み、pHが11である好ましい除氷組 成物の、車道表面での氷形成を防止し又は雪及び氷を除去するのに使用される量 をまとめた。 表１から、堆積された雪又は水を除去するためには、通常、氷形成を防止する 時より、約７〜30倍の量の好ましい組成物が適用されることが分かる。従って、 これらの除氷組成物は、凍結が起こる前に適用するのがより効果的であることが 分かる。あるいはまた、前記組成物は、これ以降で議論するように、粒状CMAと 共に適用することができ、その組合せは非常に効果的に改良されている。 これらの液体組成物に必要な適用の頻度は、付加的な雪又は雨による、適用し た組成物の希釈量により、及び周囲温度により決定される。適用した液体は降水 により希釈されるため、該組成物の凝固点は上昇する。例えば、50重量％の酢酸 カリウム溶液の凝固点は約-40℃であるが、約40重量％溶液の凝固点は約-20℃で あり、一方、10重量％溶液の凝固点は約-10℃である。従って、適用の頻度は、 空気及び道路の温度及び前記組成物の適用後の降水の量に依存するが、該組成物 は、他の市販の除氷剤より長時間機能を維持する能力を示し、従って、必要とさ れる適用の頻度がより少ない。 本発明の組成物は、典型的には、例えば農業用スプレイヤー（agricultural s prayer）又はウォータートラック（water truck）等において使用されるタンク ローリー（tank truck）又はバルクドラムから、スプレーディスペンサー（spra y dispenser）を用いて適用する。使用するスプレー装置は、100m²あたり約４〜 12ｌ（1000ft²あたり約１〜３gallon）の密度で前記組成物を適用可能なもので あるべきである。 本発明の組成物は、タンクローリー、タンク車（tankcar）、ミニ−バルクコ ンテナ及びスチールドラム等を用いて、バルクで、有利に輸送することができる 。これらの組成物は無毒性であるため、ポリエチレン、ステンレススチール、ラ ッカーコーティングした軟鋼又はガラスからなるコンテナ中に貯蔵することがで きる。 上記で論議したような持久能力及び非常に好ましい環境的な特性に加え、酢酸 塩、リン酸塩及び珪酸塩の組合せから生じる前記組成物は、金属腐蝕性が非常に 低い。前記除氷剤の好ましい組成物は、AMS-1432下において確立された標準を容 易に満たす。更に、金属腐蝕性の試験を、20℃及び50℃の両方で、酢酸カリウム 含有量約10％〜約50％の範囲内の組成物を用いて行った。これらの全ての試験条 件下において、好ましい組成物は、優秀な結果を示し、かつアメリカ合衆国の空 港の滑走路及び誘導路等における使用についてFAAにより承認された。更に、鋳 鉄、炭素鋼、銅及び黄銅を用いた、スミスの'551特許に開示された好ましい組成 物との比較試験により、耐蝕性について相当の改良が示され、好ましい組成物の 希釈及び濃縮型の両方が、前述した金属のそれぞれとのこれらの試験において、 スミスの特許の組成物の、実質的に２分の１未満の腐蝕性のレベルを示した。前 記の好ましい組成物が、滑走路の除氷について、米連邦航空管理局（Federal Ae ronautics Administration，FAA）の規格、及び米国空軍の仮の規格を容易に満 たす事実から、この製品は、事業用空港及び軍事基地における使用に特に有益で ある。 本発明の除氷/氷結防止組成物は、単独で適用した場合、非常に効果的である が、これらは、他の粒状除氷材料と共に適用するのが有利である。例えば、除氷 組成物は、本明細書に組込まれる特許第4,913,831号に詳細に記載された固体カ ルシウムマグネシウムアセテート塩（CMA）と共に適用した場合、非常に効果的 である。CMA塩は、好ましくは、最初に、固体ペレットの形態で又はできる限り スラリーとして、道路又は空港の滑走路の表面に適用する。本発明の液体組成物 をCMA粒状又はスラリー材料の上に噴霧し、それらが、除氷を特に強め、かつ多 くの条件下において、相乗効果を生じることを見出した。前記液体除氷組成物は 、また、必要であれば、砂、石灰又は他の類似の材料等の静止摩擦助剤（tracti on aid）と共に、道路上に適用することができる。 本発明の組成物を、好ましい実施態様に関連して記載してきたが、種々の変更 が、以下の請求の範囲によってのみ限定されている本発明の範囲を逸脱すること なく可能であると理解される。本発明の特定の特徴を、以下の請求の範囲におい て強調する。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．約40〜60重量％のアルカリ金属酢酸塩、百万部あたりの部（ppm）が少なく とも200部のリン酸イオン、及び少なくとも約50ppmの可溶性珪酸塩を含む水溶液 らなる除氷又は氷結防止液体組成物。 ２．前記アルカリ金属酢酸塩が酢酸カリウムである請求項１に記載の組成物。 ３．前記リン酸塩がアルカリ金属リン酸塩である請求項１に記載の組成物。 ４．前記珪酸塩が珪酸カリウムである請求項３に記載の組成物。 ５．前記可溶性珪酸塩がアルカリ金属珪酸塩である請求項１に記載の組成物。 ６．前記リン酸塩がK₃PO₄である請求項１に記載の組成物。 ７．前記珪酸塩がK₂SiO₃である請求項６に記載の組成物。 ８．前記組成物が約10〜約12の範囲のpHを有する請求項１に記載の組成物。 ９．約40〜60重量％のアルカリ金属酢酸塩、百万部あたりの部（ppm）が少なく とも900部のリン酸イオン、及び少なくとも約50ppmの可溶性珪酸カリウム又はナ トリウムを含む水溶液からなる、空港の滑走路を除氷するのに有用な除氷又は氷 結防止液体組成物。 10．約10〜約12の範囲のpH値を有する請求項９に記載の組成物。 11．約50重量％の酢酸カリウム、約2200ppmのK₃PO₄、及び約200ppmのK₂SiO₃を含 む請求項10に記載の組成物。 12．有効量の除氷組成物を道路表面に適用することを含む、該表面を除氷する方 法であって、該除氷組成物が、約40〜60重量％のアルカリ金属酢酸塩、少なくと も200ppmのリン酸イオン及び少なくとも約50ppmのアルカリ金属珪酸塩を含むこ とを特徴とする方法。 13．前記アルカリ金属酢酸塩が酢酸カリウムであり、前記アルカリ金属珪酸塩が 珪酸カリウムであり、かつ前記組成物が10〜12のpH値を有する請求項12に記載の 方法。 14．前記除氷組成物が、約50重量％の酢酸カリウム、約2200ppmのK₃PO₄及び約20 0ppmのK₂SiO₃の水溶液を含む請求項13に記載の方法。 15．前記除氷組成物を、有効量の粒状カルシウムマグネシウムアセテートと共に 道路表面に適用する請求項12に記載の方法。