JPH08503023A - 靭性を強化した金属マトリックス複合材および製造方法 - Google Patents

靭性を強化した金属マトリックス複合材および製造方法

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JPH08503023A JP6511323A JP51132394A JPH08503023A JP H08503023 A JPH08503023 A JP H08503023A JP 6511323 A JP6511323 A JP 6511323A JP 51132394 A JP51132394 A JP 51132394A JP H08503023 A JPH08503023 A JP H08503023A
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Abstract

(57)【要約】 未補強の金属および不連続に補強された金属の層が交互に積層された積層体を含んでなる金属マトリックス複合材である。好適例では、未補強金属はアルミニウム合金であり、不連続補強金属は炭化けい素粒子で補強されたアルミニウム合金である。この金属マトリックス複合材は、(a)未補強金属および不連続補強された金属の層から成る積層体を準備し、(b)この積層体に十分な熱および圧力を加えて層の層間接合を生じさせ、これにより積層された金属マトリックス複合材(MMC)を形成するようになす諸段階によって形成される。この層の積層体は、未補強金属および不連続補強された金属の層が交互に配置される。好適例では、積層体の外側層は未補強アルミニウム合金とされる。

Description

【発明の詳細な説明】 靭性を強化した金属マトリックス複合材 および製造方法 本発明は金属マトリックス複合材(MMCs)およびその製造に関する。特に 、本発明は不連続補強された積層組織を形成することで金属マトリックス複合材 の破壊靭性を増大させる方法に関する。 金属マトリックス複合材は、特性を改良した製品を作り出す手段としておおい に注目されてきた。しかしながら、ある種の性質に関して大きな利益をあげ得る が、これらはしばしば他の性質を犠牲にして得られる。例えば、アルミニウム業 界では、不連続補強されたアルミニウム(DRA)材料を形成するために不連続 な補強材を添加することでアルミニウム合金の降伏強度および弾性係数が増大で きることが知られている。それにも拘わらずに、破壊靭性の同程度の向上がこれ らの金属マトリックス複合材(MMCs)では得られない。このために、靭性が 重要である複合材では、他の性質の向上に利用できない。 したがって、降伏強度、弾性係数および破壊靭性がともに向上できるならば、 特にアルミニウム合金において極めて多大の利益をあげ得ることは理解できる。 本発明は、金属合金のこれらの性質を強化できるようにする。すなわち、本発明 は、弾性係数が改良され、破壊靭性は維持されるか改良された金属マトリックス 複合材(MMCs)を提供する。 本発明の主目的は、金属マトリックス複合材の靭性を向上させることである。 本発明の他の目的は、降伏強度または弾性係数を実質的に低下させずに、金属 マトリックス複合材の破壊靭性を向上させることである。 本発明の他の目的は、アルミニウム、チタン、鋼またはその組み合わせで形成 される金属マトリックス複合材の靭性を向上させることである。 したがって、破壊靭性を改良された金属マトリックス複合材が本明細書に開示 される。この金属マトリックス複合材は、未補強の金属層および不連続補強され た金属層の交互積層体で構成される。好適例では、未補強の金属がアルミニウム 合金であり、不連続補強された金属が炭化けい素粒子で補強されたアルミニウム 合金である。 本発明の第2例は、破壊靭性を改良された金属マトリックス複合材を提供する 方法である。この方法は、(a)未補強の金属層と不連続補強された金属層の積 層体を準備し、(b)この積層体に大きな圧力を加えて層間接合を引き起こさせ て、積層された金属マトリックス複合材(MMCs)を形成する諸段階を含む。 積層体は、未補強の金属および不連続補強された金属の層が交互に配置されて作 られる。未補強の合金が積層体の外側層を形成していることが好ましい。 好適例では、この方法は、(a)未補強のアルミニウム合金層と炭化珪素粒子 で補強されたアルミニウム合金層との交互積層体を準備し、(b)この積層体を 加熱し、そして(c)積層体に大きな圧力を加えて層間接合を引き起こさせる諸 段階を含む。その後、積層体は溶体化熱処理、および(または)高温時効を行わ れることができる。最適例では、金属箔が層間に配置されて相関接合を強化する ようになされる。 本発明の他の特徴は、添付図面とともに考慮されるべき以下の好適例の関連説 明において更に説明され、明白となされるであろう。添付図面においては、同じ 数字は同じ部品を示しており、更に 第1図は、本発明により作られたアルミニウム合金製品の顕微鏡写真である。 この積層体は試験されたもので、亀裂先端の尖っていない状態および衝撃試験に よって生じた境界面の剥離を示している。 第2図は、亀裂分離方向(crack dividerorientatio n)および亀裂阻止方向(crack arrestor orientati on)における本発明の積層体の説明図である。 用語「未補強の金属」は、本明細書では、5体積%よりも少なく1体積%より も少ないことが好ましいとされる非金属材料の補強材料が添加されて含有されて いる金属および合金を示すために使用されている。未補強の金属の例には、アル ミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、およびこれらの少なくとも1 つの材料が最大単一成分である合金が含まれる。 用語「補強された金属」および「補強された合金」は、本明細書では、5体積 %よりも多い非金属材料の補強材料が添加されて含有されている金属および合金 を示すために使用されている。補強金属の例には、繊維、ウィスカ(whisk er)、フィラメント、粒子、リボン、ワイヤー、フレーク、結晶、小板(pl atelet)、および他の非金属補強された材料が未補強の金属に意図的に添 加されてなる金属が含まれる。この用語は、体積および種類が弾性係数の実質的 な増大をもたらす場合を除いて、金属間相だけを含有する金属を含めるように意 図されていない。 用語「不連続補強された金属」および特に「不連続補強されたアルミニウム( DRA)」は、本明細書では、補強の形態が不連続であり、最もしばしば最大寸 法の最小寸法に対する比率が約10対1よりも小さい金属および合金を示すため に互換的に使用されている。この用語は、最大寸法の最小寸法に対する比率が約 10対1より大きい長繊維、リボンまたはウィスカで補強された合金を含めるよ うには意図されていない。 用語「複合材」は、本明細書では、2またはそれ以上の成分が結合されて、何 れの成分とも実質的に異なる性質を有する材料となされた材料を示すために使用 されている。補強された金属、補強された合金、不連続補強された金属および不 連続補強されたアルミニウムが金属マトリックス複合材の例である。典型的な複 合材は、1つの成分が非常に大きな強度、係数またはこの両方を有し、他方が大 きな延性を有するような材料である。その性質の幾つかは、混合の法則に一般的 に従う。例えば、弾性係数が関心のある性質とするならば、複合材の弾性係数は 成分の弾性係数のほぼ加重合計である。 用語「金属間相」は、本明細書では、化学および熱力学の相互作用の結果とし て本来の箇所に形成される相を示すために使用されている。金属間相は補強効果 を有し得る。しかしながら上述したように、用語「補強材料」は金属間相を含め るようには一般に意図されていない。 用語「靭性」および「破壊靭性」は、本明細書では、亀裂の破滅的な成長に抗 する材料の性質を示すために使用されている。 用語「積層される」は、本明細書では、性質の異なる少なくとも2つの層を有 する層組織を示すために使用されている。 用語「箔」は、本明細書では、約0.15mm(0.006インチ)よりも薄 い肉厚を有する層に形成された金属を示すために使用されている。箔は一般に四 角形の横断面を有する圧延製品である。 用語「シート」は、本明細書では、約0.15mm(0.006インチ)より も厚く、約6.325mm(0.249インチ)よりも薄い肉厚を有する層に形 成された金属を示すために使用されている。シートは一般に四角形の横断面を有 する圧延製品である。 用語「プレート」は、本明細書では、約6.325mm(0.249インチ) よりも厚い肉厚を有する層に形成された金属を示すために使用されている。プレ ートは一般に四角形の横断面を有する圧延製品である。 第1図を参照すると、本発明により製造されたアルミニウム合金製品の拡大横 断面を示している。DRA(明るい色の層)の部分は未補強の2つの合金の層間 に挟まれている。本発明の積層合金製品は、両方の層の種類により生じた有利な 性質を有している。 本発明の複合組織を形成するために積層される合金を得るためには、粉末冶金 が使用され得る。最終製品に望まれる性質にある程度応じて、同じ合金が未補強 の層および補強された層の両方に使用され、または異なる合金で層が形成され得 る。強度、靭性および疲労抵抗の最適な組み合わせを得るために、補強された層 では補強材料が製品全体に均等に分配されることが好ましい。 アルミニウム合金粉末から製品を作る場合、AAX2080,6113または X7093のような基アルミニウム粉末合金が所望される基本的性質に応じて選 択される。例えば粉末冶金合金X7093は、7075および7050のような 通常合金よりも大きい強度および靭性のレベルを示す。更に、微粒子組織を作り 出すために基アルミニウム粉末合金が選択できる。一般に、基アルミニウム粉末 は粒径マイナス(−)200〜マイナス(−)325メッシュ(フィッシャーの サブシーブ分粒スクリーン)の範囲内でなければならない。 未補強のアルミニウム合金は良好な強度および破壊靭性の能力を有するが、そ れらの弾性係数は強度の限界的な応用例に望まれるよりも小さくなると考えられ る。合金粉末に対する炭化けい素(SiC)粒子のような補強材料の添加は、未 補強マトリックス合金に関する弾性係数の向上のために作用する。上述で注目し たように、補強粒子の取り込みは、延性および破壊靭性のような破壊に関係する 性質を劣化させる。驚きに値することは、未補強の層および補強された層の組み 合わせが、改良した靭性を保持する一方で弾性係数に組み合わされた改良を有す る材料を生み出すということである。 第1図に見られるように、補強材料は亀裂を転向させるメカニズムを与える。 如何なる理論によっても意図するところは束縛されないが、亀裂を鈍化させると ともに亀裂前部を転向させるメカニズムによって、積層体の破壊靭性が高められ ると考える。亀裂の鈍化は必然的に亀裂の成長を邪魔することになる。亀裂前部 の転向は、破壊に関係する事象が生じるメッセージ部分を増大し、それ故に材料 のエネルギー吸収能力を高める。 補強材料の量は、弾性係数を著しく改良することが望まれるならば、非常な少 量からかなりの量までの範囲とされ得る。典型的には、補強される層すなわち範 囲は、少なくとも5体積%の補強成分を含み、好ましい量は少なくとも10〜3 0体積%とされる混合材料で形成される。通常は、この混合材料は55体積%を 超える量を含んではならない。 基粉末合金および補強材料は混合されて、補強材料が全体を通じて実質的に均 等に分散された混合材を形成するようになされる。その後、この混合材料は圧縮 されて圧粉体を形成するようになすことができる。 圧粉体は脱ガスの目的で真空予熱されることができる。典型的には、アルミニ ウムに関しては、予熱は427℃〜594℃(800゜〜1100゜F)の温度 範囲で行われる。その後、最高100%の密度を与えるために熱間プレスされ得 る。アルミニウム粉末に関しては、圧粉体は427℃〜594℃(800゜〜1 100゜F)の温度範囲で熱間プレスでき、このプレス処理は2109〜632 7kg/cm2(30000〜90000psi)の範囲の圧力で実行できる。 上述で説明したように制御された量の合金元素で合金を準備することは勿論、 合金が最も望まれる性質を与えるために特別な方法の段階によって準備されるこ とが好ましい。したがって、本明細書に記載の合金は、この分野で現在使用され ている技術により適当な錬製品に製造するために、インゴットまたはビレットと して与えられることができる。このインゴットまたはビレットは引き続く加工作 業に適当なストックを与えるように、先ず加工され、すなわち成形されることが できる。 補強された金属は圧延または押出し、またはその他の加工作業を受けて、シー ト、プレートまたは押出し成形品のようなストック、または最終製品に成形する ために好適な他のストックを作り出すようになされる。例えば、熱間プレスされ た圧粉体の典型的な押出しは、その合金の組成に応じて287℃〜683℃(5 50゜〜900゜F)の範囲内で実行されねばならない。 補強された金属シートまたはプレートは、次ぎに未補強の層と交互に積層され て積層体を形成される。層間接合を強力にするために、金属箔の層が層間に配置 できる。積層体は次ぎに圧延結合されて、未補強の材料および補強された材料の 層すなわち階層を交互に有する未補強の積層体を形成するようになされる。 次に、得られた積層体が所望製品に形成すなわち加工され、各種の温度操作が 金属内部に適当な冶金状態を得るために必要とされる。析出硬化合金の場合、溶 体化熱処理は実質的に溶解可溶元素に対して使用される。溶体化熱処理は、42 7℃〜594℃(800゜〜1100゜F)の温度範囲で、典型的には約683 ℃(900゜F)で約1時間にわたり実施されることが好ましい。 溶体化熱処理は数分から約2時間以上までにわたる範囲で、溶体化熱処理温度 にて行い得る。約2時間を超える溶体化熱処理の延長は、最終性質において更に 他に改良することは一般にない。 最終製品に必要な性質を更に改良するには、溶体化熱処理をされた合金は急冷 されて、不適当に形成されたときに性質を劣化しかねない各種の相の制御されな い析出を阻止するか、最小限に止めるようにする。冷水急冷が好ましい。したが って、本発明の実施において焼入れ速度が少なくとも5.6℃/秒(10゜F/ 秒)であり、急冷速度は少なくとも56℃/秒(100゜F/秒)であることが 好ましい。 製品は人工時効され得る。これは、所望の降伏強度を与えるために十分な時間 にわたって約93℃〜205℃(約200゜〜400゜F)の範囲の温度に製品 をすることで達成される。人工時効の時間は、数分から多時間に及ぶことができ る。ある種の合金、例えば7XXXシリーズの合金については、人工時効は製品 を少なくとも16時間にわたり121℃〜163℃(250゜〜325゜F)の 温度範囲にさせることで、達成される。 本明細書ではアルミニウム粉末合金製品を使用することを引用するが、アルミ ニウム合金以外の金属も最終製品の破壊抵抗を増大する意図と組み合わされるこ とのできることを理解するべきである。例えば、このような材料は、鋼、チタン 、または最終製品に所望される性質を有する他の材料のような金属を含むことが できる。 本発明は部分的に粉末冶金に関して説明されたが、この応用例はそれに限定さ れる必要性はない。すなわち、本発明は未補強の金属層と補強された金属層とか 交互に配置されて構成され、この層が組み合って組織の靭性、強度および破壊抵 抗を改良するように作用する二重すなわち両面組織を有する金属または合金の組 織を開示する。 以下の例は本発明の利点を示すために引用される。この例で使用されるX70 93粉末合金はザ・アルミニウム・カンパニー・オブ・アメリカ社(アルコア) から市場で人手できる。この例で使用されるSiCの補強材料はF−600等級 のSiCであり、ノートン・カンパニー社による市販品として入手できる。 例 1(従来技術) 粉末アルミニウム合金X7093の所定量が理論密度の70〜80%となるま で円筒形モールド内に均衡させて冷間圧縮された。この円筒形モールドはシール され、脱ガス処理されて、100%密度のビレットを製造するために683℃( 900゜F)で熱間プレスされた。その後、ビレットは454℃(850゜F) の温度で押出し加工された。弾性係数、降伏強度(YS)、および破壊時の歪み が測定されて、表1に記録された。 シャルピー衝撃試験が例1の材料のノッチ付きおよび非ノッチ試料で行われ、 その結果が表2、表3に記録されている。 例 2(従来技術) 例1で使用した粉末アルミニウム合金の所定量が15体積%の炭化けい素粒子 と混合されて、均等な混合材料を作り出すようにされた。この混合材料は、次に 、例1と同じように処理された。次に、弾性係数、降伏強度(YS)および破壊 時の歪みが測定されて表1に記録された。表1に見られるように、例2の補強さ れた材料は例1の材料よりも弾性係数で52%の増大を示し、降伏強度はほぼ同 じに保持された(約7%の増大)。 シャルピー衝撃試験が例1の材料のノッチ付きおよび非ノッチ試料で行われ、 結果は表2および表3に記録された。表2に見られるように、ノッチ付き試料の 衝撃エネルギー(全エネルギーとして報告されている)は、例1の未補強の材料 のほぼ25%にまで大きく低下した。表3は、非ノッチ試料の衝撃エネルギー( 全エネルギーとして報告されている)が例1の未補強の材料のほぼ6%にまで大 きく低下したことを示している。 例2の補強された材料は例1の未補強の材料よりも弾性係数で大きく増大した が、例2の材料の靭性は低下した。必要とされるのは、靭性において劇的な低下 の影響を受けない弾性係数の改良された材料である。 * mm * mm 例 3 例一および例2の材料がそれぞれ圧延されて約12.7mm(0.5インチ) 厚のプレートにされ、トリミングされた。例1の未補強の材料の2つの層が例2 の補強された材料を取り囲んで形成された3層積層体が、水酸化ナトリウム溶液 で表面を最初にエッチングするとともに結合面を機械的に磨滅して作られた。こ れらの層は次に積層され、スポット溶接で互いに保持され、そして約454゜C (850゜F)にまで予熱された。この加熱された積層体は、次にローラ−ニッ プを通過されて、1パス当りの減厚量約15%、3パスで積層体になされた。 次ぎに弾性係数、降伏強度(YS)および破壊時の歪みが測定され、表1に記 録された。表1に見られるように、例3の積層材は例1の材料よりも弾性係数で 36%の増大を示し、降伏強度はほぼ同じに保持された(2%の増大)。 シャルピー衝撃試験が例3の材料のノッチ付きおよび非ノッチ試料で行われ、 結果は表2および表3に記録された。驚きに値することは、ノッチ付き試料の衝 撃エネルギー(全エネルギーとして報告されている)は、例1の未補強の材料の ほぼ261%もの靭性の増大を亀裂阻止方向(第2図参照)で示し、また例2の 補強された材料の1000%を超える増大を示したことである。 表3は、例3の非ノッチ積層体の靭性すなわち衝撃エネルギー(全エネルギー として報告されている)の低下が、例2の補強された材料よりも小さいことを示 している。例3の非ノッチ試料の靭性は、例2の補強された材料よりも亀裂阻止 方向および亀裂分離方向の両方向で600%を超える程高かった。 第1図は亀裂の鈍化および例3の材料の境界面の剥離を示している。上述で説 明したように、亀裂の鈍化および境界面の剥離は材料の大きな破壊靭性を導く。 例3の積層材の大きな弾性係数および大きな靭性(阻止方向における)の組み合 わせは意外であり、補強された、または未補強のX7093単独の場合よりも航 空機に対する応用で翼、胴体および尾部などに更に有用であろう。 例 4 アルミニウム箔(A1100合金)の層が未補強および補強された合金の間に 配置されたこと以外は例3の手順が繰り返された。次ぎに弾性係数、降伏強度( YS)および破壊時の歪みが測定されて、表1に記録された。表1に見られるよ うに、例4の積層材は例1の材料よりも弾性係数で22%の増大を示した。 シャルピー衝撃試験が例4の材料のノッチ付きおよび非ノッチ積層材で行われ 、結果は表2および表3に記録された。驚きに値することは、ノッチ付き試料の 衝撃エネルギー(全エネルギーとして報告されている)は、例1の未補強の材料 のほぼ340%もの靭性の増大を亀裂阻止方向で示し、また例2の補強された材 料の1400%を超える増大を示したことである。意外なことに、例4の積層体 に層間箔を使用したことは、箔のない状態で形成された積層体(例3)の場合よ りも発生する衝撃エネルギーで増大をみた。 表3は、例4の非ノッチ積層体の靭性すなわち衝撃エネルギー(全エネルギ ーとして報告されている)の低下が、例2の補強された材料よりもかなり小さい ことを示している。例4の非ノッチ試料の靭性は、例2の補強された材料よりも 亀裂阻止方向および亀裂分離方向の両方向で600%を超える程高かった。例4 の積層材の大きな弾性係数および大きな靭性(阻止方向における)の組み合わせ は意外であり、補強された、または未補強のX7093単独の場合よりも航空機 に対する応用で翼、胴体および尾部などに更に有用であろう。 例 5 積層体が圧延結合される替わりに接着剤で結合されたこと以外は例3の手順が 繰り返された。エッチングの後に結合面にエポキシ層を塗布することで接着結合 は達成された。3Mコーポレーションから市場で入手できるAF1632Kエポ キシが接着剤として使用するのに好適である。接着剤が塗布された後、例3のよ うにスタックが形成された。このスタックは約4.9kg/cm2(70psi )且つ121゜C(250゜F)に1時間程保持され、エポキシを硬化された。 次ぎに弾性係数、降伏強度(YS)および破壊時の歪みが測定されて、表1に 記録された。表1に見られるように、例5の積層材は例1の材料よりも弾性係数 で16%の増大を示した。 シャルピー衝撃試験が例4の材料のノッチ付きおよび非ノッチ積層材で行われ 、結果は表2、表3に記録された。驚きに値することは、ノッチ付き試料の衝撃 エネルギー(全エネルギーとして報告されている)は、例1の未補強の材料のほ ぼ115%もの靭性の増大を亀裂阻止方向で示し、また例2の補強された材料の 470%を超える増大を示したことである。 表3は、例5の非ノッチ積層体の靭性すなわち衝撃エネルギー(全エネルギ ーとして報告されている)の低下が、例2の補強された材料よりもかなり小さい ことを示している。例3の非ノッチ試料の靭性は、例2の補強された材料よりも 亀裂阻止の方向で450%を超える程高かった。例5の積層材の大きな弾性係数 および大きな靭性(阻止方向における)の組み合わせは意外であり、補強された 、または未補強のX7093単独の場合よりも航空機に対する応用で翼、胴体お よ び尾部などに更に有用であろう。 本発明のある特徴は本発明から逸脱せずに変更できることが認識されねばなら ない。したがって、例えば、本発明は炭化けい素の補強材料に関して説明されて きたが、この分野で周知の他の材料も使用できる。一般に、これらの材料には広 く様々な酸化物、炭化物および窒化物が含まれる。特に、炭化チタン、炭化ボロ ン、黒鉛、炭素、アルミナ、窒化けい素、窒化アルミニウム、ムライト、ほう化 チタン、ほう化ジルコニウム、シリコンアルミニウムオキシニトライド(SiA lON)、およびそれらの組み合わせもまた補強材料として使用できる。 更に、本発明は一般に粉末として引用したが、他の材料が積層材の補強される 金属成分を形成するのに使用できることを理解しなければならない。他の方法に はスプレー形成、プラズマスプレー、ダイキャスト、圧力鋳造、レオキャスティ ング(rheocasting)、およびコンポキヤステイング(compo− casting)が含まれる。 本発明は同じ程度の厚さを有する材料で作られた3層の積層体を形成すること に関して説明されたが、本発明はそれに限定する必要はない。例えば、この積層 体はあらゆる数の層で形成できる。5または7つの層からなる積層体がこの分野 に有用であると見出されることが予想される。1以上の補強層が複合材を形成す るのに使用されるならば、同じ体積%の補強材料を全てが含有することが必要で ある。更に、積層体中の層は補強されたおよび未補強の材料が交互とされる必要 はない。例えば、積層体は5つの層で形成され、第1および第5の層が未補強の 材料で作られ、第2および第4の層が8体積%の補強材料を含有する材料で作ら れ、中央すなわち第3の層が18体積%の補強材料を含有する層とされることが 可能である。更に、幾つかの層は他の層よりも実質的に薄いが、箔よりは厚くさ れることが考えられる。 更に、本発明は一般に積層体を組成的に均質な平坦な圧延製品で作られた別個 の層から形成することを引用したが、本発明の積層体はこれに制限されないこと が理解されねばならない。積層体に使用される材料の各層はスプレー形成または プラズマスプレー技術で形成でき、補強材料の量は金属製品が付着されることに 伴って変化する。したがって、補強材料の体積%は補強材料層の厚さを横断する 方向に変化する。この達成%の体積%の変化は所望される結果に応じて急激また は徐々となる。更に、積層体全体は粒子材料の体積%を5体積%未満から5体積 %を越えて交互に変化させて形成でき、これにより1回のスプレー作動で二重組 織(未補強および補強された層)を形成できることが考えられる。同様に、付着 される合金の組成は各層または組織全体で変化できる。更に、各層は製品の全長 または全幅を延在する必要のないことが考えられる。 本発明は圧延結合および接着結合に関して説明されたが、本発明の基本はそれ に限定される必要のないことが理解されよう。例えば、層は爆発結合、拡散結合 、押出しおよび他のこの分野で知られている結合技術で積層できる。 更に、本発明は部分的にアルミニウムおよびその合金に関して説明されたが、 本発明はそれに限定される必要のないことが理解されよう。例えば、二重組織の 効果は鋼、チタンおよび他の合金のような他の金属組織に応用でき、これらは本 発明の範囲内で考えられる。 本発明の好適例はX7093アルミニウム合金部品を製造することにおいて特 に有益であることに関して上述で説明されたが、この分野に熟知した者には本発 明が約80重量%以上のアルミニウムおよび1以上の合金元素を含有する他のア ルミニウム合金で作られた積層複合材を有益に製造できることが明白となろう。 これらの適当な合金元素のうち、本質的に性質を形成する合金元素であり、Mn ,Zn,Be,Li,Cu,SiおよびMgを含んでなる群から少なくとも1つ の元素が選択される。それらの1つ以上の元素を含有する考えられる合金はそれ らの元素の特性を導きだすという理由で、これらの合金元素を本質的に性質を形 成するものと称する。通常、そのような性質を伝える元素の各々の量は、Mgお よびCuの各々に関しては、その元素が合金中に合金元素として存在するならば 合金全体の約0.5〜約10重量%であり、Zn元素に関しては、その元素が合 金元素として存在するならば合金全体の約0.05〜約12.0重量%であり、 Be元素に関しては、その元素が合金元素として存在するならば合金全体の約0 .001〜約5.0重量%であり、Li元素に関しては、その元素が合金元素と して存在するならば合金全体の約0.2〜約3.0重量%であり、Mn元素に関 しては、その元素が合金元素として存在するならば通常は合金全体の約 0.15〜約2.0重量%である。 Fe元素およびシリコン元素は、恐らく完全ではないが常に正確に基本的な結 果を形成する合金元素として分類されるが、しばしばアルミニウム合金中にかな りの量で存在し、それを含有するある種の合金の導きだされた特徴に対して顕著 な影響を及ぼすことができる。例えば、しばしば存在して望ましくない不純物と 考えられるFeは、ときに存在することが望ましく、合金全体の約0.3〜2. 0重量%の量に調整されて特別な機能を果たすようにされる。Siもまた、約0 .25〜多くても15重量%に変化する範囲内に見られる場合は、このように考 えられることができ、約0.3〜1.5重量%の範囲内に見られることが特別な 機能を果たすために一層しばしば望まれる。これらの元素の前述した二重組織に 照らして、また定義の便宜上、Fe元素およびSi元素は、ある合金中にその性 質に影響する量で存在することが少なくとも望まれるときには、性質形成合金成 分であると考えることが適当である。 これらの基本的な性質形成元素の1つ以上を含有するこのようなアルミニウム およびアルミニウム合金は、前述の性質形成元素の有無に関係なく、特定の性質 を強化する目的である量の周知の補助的な合金元素を含有することができる。こ のような補助的な元素は通常はCr,Ni,Zr,V,Ti,B,Pb,Cd, Bi,およびときに応じてSiおよびFeである。また、Liは基本的な性質形 成元素として上述にて掲載したが、ある例で前述で示した範囲内の量で補助的な 元素として合金中に存在することがある。これらの補助的な元素の1つが本明細 書で考慮した種類のアルミニウム合金中に存在するとき、合金全体の重量%に関 する量は該当元素で相違するものの通常は約0.05〜0.4%であり、Tiは 約0.01〜0.25%、VまたはZrは約0.05〜0.25%、Bは約0. 0002〜0.04%、Cdは約0.05〜0.5%、およびBiまたはPbは 約0.4〜0.7%である。 アルミニウム合金は、アルミニウム協会により番号2014、2017、 2117、2618、2219、2419、2024、2124、2224、 2036、6101、6201、6009、6010、6151、6351、 6951、6053、6061、6262、6063、6066、6070、 7001、7005、7016、7021、7029、7049、7050、 X7093、7150、7075、7175(b)、7475、7076、 7178で登録された錬アルミニウム合金および鍛造アルミニウム合金、および 同様番号の他の適当な合金を最も好ましく含んでいる。特に関心の持たれるもの はアルミニウム合金X2080、6113、X7093である。これらのアルミ ニウム合金は一般に2000番台の合金、6000番台の合金および7000番 台の合金である。本発明で処理可能な鋳造合金は、222、242、295、2 96、319、336、355、356および712の番号を付された鋳造アル ミニウム合金を持つとも好ましく含む。これらの鋳造合金は、一般に200番台 の合金、600番台の合金および700番台の合金である。 説明した形式のこれらのおよび他の変更が、本発明の精神から逸脱することな く本発明に対してなし得る。本発明の範囲は請求の範囲を表現している用語の広 義の意味によって示される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 オスマン,トッド エム. アメリカ合衆国 15108 ペンシルバニア 州コラオポリス,マグヌス レーン 644 【要約の続き】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.未補強金属および補強された金属の層が交互に積層された積層体を含む積 層金属マトリックス複合材。 2.請求項1に記載の複合材であって、前記未補強層の厚さが前記補強された 層と同じ程度である金属マトリックス複合材。 3.請求項1に記載の複合材であって、前記未補強層および前記補強された層 が約0.5mmより大きい厚さを有する金属マトリックス複合材。 4.請求項1に記載の複合材であって、前記未補強金属がAl,Cu,Fe, Ti,MgおよびZnからなる群から選択された金属の合金である金属マトリッ クス複合材。 5.請求項1に記載の複合材であって、前記未補強金属がAl合金である金属 マトリックス複合材。 6.請求項1に記載の複合材であって、前記補強された金属がAl,Cu,F e,Ti,MgおよびZnからなる群から選択された金属の合金である金属マト リックス複合材。 7.請求項1に記載の複合材であって、前記補強された金属が少なくとも5体 積%の補強材料を含有するAl合金である金属マトリックス複合材。 8.請求項1に記載の複合材であって、前記補強された金属が炭化ボロン、炭 化けい素、窒化けい素、黒鉛、アルミナ、炭化チタン、炭素、窒化けい素、窒化 アルミニウム、ムライト、ほう化チタン、ほう化ジルコニウム、シリコンアルミ ニウムオキシニトライド(SiAlON)、およびそれらの組み合わせからなる 群から選択された粒子を含有する金属マトリックス複合材。 9.請求項1に記載の複合材であって、前記補強された金属が炭化けい素の粒 子を含有する金属マトリックス複合材。 10.請求項1に記載の複合材であって、前記補強された金属が約50ミクロン より小さい平均粒径を有する炭化けい素粒子を含有する金属マトリックス複合材 。 11.請求項1に記載の複合材であって、前記未補強金属および前記補強さ れた金属が異なる合金で形成されている金属マトリックス複合材。 12.請求項1に記載の複合材であって、前記未補強金属および前記補強された 金属が異なるアルミニウム合金で形成されている金属マトリックス複合材。 13.請求項1に記載の複合材であって、金属箔が前記未補強金属および前記補 強された金属の層間に配置されている金属マトリックス複合材。 14.請求項1に記載の積層された金属マトリックス複合材で少なくとも部分的 に形成されている航空機の尾部または尾翼。 15.請求項1に記載の積層された金属マトリックス複合材で少なくとも部分的 に形成されている航空機の翼。 16.未補強アルミニウム合金層、および補強されたアルミニウム合金層で作ら れた複数の積層されたパネルを含む航空機の翼。 17.未補強のアルミニウム合金層、および炭化けい素の粒子材料を5〜55体 積%で含有する、前記未補強のアルミニウム合金と同じアルミニウム合金の層か ら成る複数のパネルを含む航空機の尾部。 18.未補強のアルミニウム合金層、および炭化けい素の粒子材料を5〜55体 積%で含有する、前記未補強のアルミニウム合金と同じアルミニウム合金の層か ら成る複数のパネルを含む航空機の翼およびその部分。 19.改良された弾性係数および破壊靭性の組み合わせを有する金属マトリック ス複合材を製造する方法であって、 (a)未補強金属層および補強金属層から成る複数の層を準備し、 (b)前記層を積層し、 (c)前記積層体に十分な熱圧力を加えて前記層を層間接合させる、 諸段階を含むことを特徴とする金属マトリックス複合材の製造方法。 20.請求項19に記載の方法であって、段階(a)が、 前記積み重ねた層が、未補強金属層および補強金属層から成る交互層を含むこ とを、更に包含する金属マトリックス複合材の製造方法。 21.請求項19に記載の方法であって、段階(a)が、 前記積み重ねた層が、未補強アルミニウム合金層および補強アルミニウム合金 層から成る交互層を含むことを、更に包含する金属マトリックス複合材の製造方 法。 22.請求項19に記載の方法であって、段階(a)が、 前記積み重ねた層が、未補強金属層および補強金属層から成る交互層を含み、 補強された金属が炭化ボロン、炭化けい素、窒化けい素、黒鉛、アルミナ、炭化 チタン、炭素、窒化けい素、窒化アルミニウム、ムライト、ほう化チタン、ほう 化ジルコニウム、シリコンアルミニウムオキシニトライド(SiAlON)、お よびそれらの組み合わせからなる群から選択された粒子で補強されていることを 、更に包含する金属マトリックス複合材の製造方法。 23.請求項19に記載の方法であって、 前記積み重ねた層を圧延接合させて結合製品を形成することを含む金属マトリ ックス複合材の製造方法。 24.請求項19に記載の方法であって、段階(b)が、 前記積み重ねた層を接着結合して結合製品を形成することを含む金属マトリッ クス複合材の製造方法。 25.改良された破壊靭性および弾性係数の組み合わせを有するアルミニウム合 金を製造する方法であって、 (a)第1のアルミニウム粉末合金を準備し、 (b)前記第1のアルミニウム粉末合金に補強材料を混合して混合材料を形成 し、 (c)この混合材料をプレスして圧粉体を作り、 (d)前記圧粉体をプレスし、 (e)熱間プレスされた圧粉体を加工して第1製品の平坦圧延製品を製造し、 (f)第2の平坦に圧延されたアルミニウム合金製品を製造し、 (g)前記第1および第2製品を積層して少なくとも3つの交互の層を形成し 、 (h)前記積み重ねた層を重ねる、 諸段階を含むアルミニウム合金の製造方法。 26.請求項25に記載の方法であって、 前記積み重ねた層を熱処理することを更に含むアルミニウム合金の製造方法。 27.請求項25に記載の方法であって、前記第1および第2の平坦な圧延 製品が同じアルミニウム合金で形成されているアルミニウム合金の製造方法。 28.請求項25に記載の方法であって、前記補強材料が混合材料の少なくとも 5体積%であるアルミニウム合金の製造方法。 29.請求項25に記載の方法であって、脱ガスのために圧粉体を真空予熱する 段階を更に含むアルミニウム合金の製造方法。 30.請求項25に記載の方法であって、427℃〜594℃(800゜〜11 00゜F)の温度範囲で前記積み重ねた層を加熱処理する段階を更に含むアルミ ニウム合金の製造方法。 31.請求項30に記載の方法であって、熱処理段階の後に製品を時効させる段 階を含むアルミニウム合金の製造方法。 32.請求項25に記載の方法であって、約93℃〜205℃(約200゜〜4 00゜F)の範囲で前記積み重ねた層を人工時効させる段階を含むアルミニウム 合金の製造方法。 33.請求項25に記載の方法であって、段階(h)が、前記積み重ねた層を圧 延結合させて結合製品を形成することを含むアルミニウム合金の製造方法。 34.請求項25に記載の方法であって、段階(h)が、前記積み重ねた層を接 着結合して結合製品を形成することを含むアルミニウム合金の製造方法。
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