JPH08500854A - 繊維質植物原料のパルプ化及び生成する副生物の回収 - Google Patents

繊維質植物原料のパルプ化及び生成する副生物の回収

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JPH08500854A
JPH08500854A JP5513540A JP51354093A JPH08500854A JP H08500854 A JPH08500854 A JP H08500854A JP 5513540 A JP5513540 A JP 5513540A JP 51354093 A JP51354093 A JP 51354093A JP H08500854 A JPH08500854 A JP H08500854A
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カッツェン,ラファエル
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ウー,チー,ファエ
ゴーパル,ゴーヤル,シー
ウィナー,ステファン,アール
レブランク,ロン
ラスキン,ミハイル,エヌ
エイガー,リチャード,シー
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アルセル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 パルプの漂白及び脱リグニンからの濾液がリサイクルされ、パルプ化、分離、及びリグニンその他の副生物の回収において再使用され、かなりのエネルギーの節約、及び漂白に典型的に随伴している汚染の排除或いは緩和という結果をもたらす。本発明はまた、本発明の工程から導かれる生成物、及び該工程を実施する装置にも関している。種々の分子量のリグニン、及びパルプ化工程の副生物もまた回収(13)される。これらのリグニンは、木材(100)を高温高圧においてパルプ化することにより生成された黒液(40)から、高収率及び高速で沈殿(20)される。この工程の一つの副生物として、精製フルフラール生成物が回収される(71)。このフルフラールは、この工程の低分子量リグニンの回収において使用するためにリサイクルすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 繊維質植物原料のパルプ化及び生成する副生物の回収関連出願に対するクロスリファレンス 本出願は、1991年2月1日に出願された「リグノセルロース原料のパルプ化及 び生成する副生物の回収」と題する米国特許出願第07/649683号に対応する1992 年1月29日に出願された国際出願PCT/US92/00720号の一部継続出願であり、上 記の米国特許出願は1988年8月15日に出願された「リグニン回収」と題する米国 特許第07/232298号の一部継続出願であり、該出願は1986年12月11日に出願され 現在米国特許第4764596号である「リグニンの回収」と題する米国特許出願第06 /940460号の分割出願であり、該出願は1985年11月5日に出願され現在放棄され ている「リグニン回収工程」と題する米国特許第06/795069号の一部継続出願で ある。発明の背景 本発明は一般的にはリグノセルロース原料その他の繊維質植物原料のパルプ化 、及びパルプ化工程から得られる生成副生物の回収に関する。より詳しくは、本 発明は水混和性有機溶媒(例えば低級脂肪族アルコール)中での繊維質植物原料 のパルプ化、及びその有機溶媒並びにパルプ化工程の種々の副生物(例えばセル ロース、リグニン、フルフラールヘミセルロース、及び糖)の回収及びリサイク ルに関するものである。繊維質植物原料のパルプ化、及び生成する副生物の回収 は、連続工程又はバッチ工程の何れにおいても実行さ れ得る。 木材をアルコールのような有機溶媒で処理して、木材のリグニン、ヘミセルロ ース、糖、及びセルロースフラクションを分離する工程は、現在では周知である 。例えばKleinertらの米国特許第1856567号、及びKleinertの米国特許第3585104 号を参照のこと。このような溶媒パルプ工程は、クラフト及び亜硫酸のような、 比較的設備投資が高く、公害の問題がある在来の化学パルプ化工程に対する魅力 的な代替手段のように思われる。 Dieboldらの米国特許第4100016号に開示された一つの溶媒パルプ化工程は、空 気又は水の顕著な汚染、或いは固形廃棄物の問題なしに、アルコール溶媒の回収 、木材のセルロース及びリグニンフラクションの分離、並びにセルロースパルプ の回収を非常に効率的にもたらすという点において、特に魅力的なものであると 考えられる。この特許されている工程はまた、クラフトパルプ及び亜硫酸広葉樹 パルプに等しいか又はより優れた収率、カッパー価、粘度、繊維強度、及び漂白 性特性を備えた広葉樹パルプを提供するものであった。 しかしながら、Dieboldらの米国特許第4100016号の溶媒パルプ化工程により生 成されたアルコール/水の黒液から、リグニンその他の副生物を回収することは 、比較的不十分であり、また制御が困難であった。この米国特許ではリグニンは 黒液から、まず黒液からアルコールを回収(好ましくは真空ストリッピング)し 、次いで沈殿するリグニンを回収塔の底部又は後部から(好ましくは沈降濃縮し 、回収塔底部からの沈降固形物を遠心分離することにより)分離する ことによって回収されている。しかしながら、リグニンの一部は回収塔の内側表 面上に対して粘着性のタール又はゴムとして沈殿する傾向があり、それにより回 収塔を汚染し、黒液からアルコールを回収するについての効率を減ずる。リグニ ンはまた、回収塔の底部から粘着性の無定形塊として沈殿する傾向があるが、こ れは取り扱いが困難であると共に、このリグニン塊をパウダーへと変換させるた めにかなりの粉砕を必要とする。 その結果、Dieboldらの米国特許第4100016号に開示された如き溶媒パルプ化工 程により生成される黒液からリグニン及びその他の副生物を除去するための、よ り効率的な手段が希求されている。一つの方法は、アルコール/水の黒液を水で 希釈することにより、黒液からリグニンを沈殿させることを伴っている。Rydhol mの「パルプ化工程」pp.672-673, Interscience Publishers, New York (1971) を参照のこと。しかしながらこの方法では、リグニンの沈降速度が非常に遅いと いう結果になり、場合によってはリグニンの非常に安定なコロイド状懸濁液が形 成され、濾過又は遠心分離が困難となる。従って、アルコール/水の黒液からリ グニン及びその他の副生物を高収率及び高速でもって、且つ取り扱いが容易で有 用な形態において回収するための、比較的単純な方法に対する必要性が依然とし て存在している。さらにまた、溶媒パルプ化工程は、強度、白色度、及び清浄度 において、同じ木材種から生成されるクラフトパルプに匹敵する広葉樹パルプを 生成するものであるが、そのようなパルプ化作業により得られるパルプは、パル プ中に含有される残留リグニ ンがより多い。従って、溶媒パルプ化工程により得られるパルプは一般に、パル プカッパー価により測定される残留リグニン含量が高く、特に、満足できる漂白 パルプを生成するためには、大量の漂白用化学物質を必要とする。在来の漂白技 術を用いた大量の漂白用化学物質の使用が増大することは、そのような化学物質 の処理又はリサイクルのための新たな漂白方法及び/又はシステムを案出する必 要性を生み出している。さらに、溶媒パルプ化工程は副生物としてフルフラール を生成するが、これはパルプ化溶媒中に蓄積され、脱リグニンを妨害しうる。従 って、繊維質植物原料をパルプ化し、パルプ化工程の副生物を回収するための、 エネルギー効率がよく、環境的に魅力的で、経済的に実現可能な手段を提供する 方法、装置及び/又はシステムに対する顕著な必要性が存在している。 Loraらの米国特許第4764596号は、上記の問題の幾つかを対象としている。Lor aの特許では、リグニン及びパルプ化工程のその他の副生物は、木材又は他の繊 維質植物原料が水混和性の有機溶媒(例えばエタノール/水溶媒)と高温高圧で 接触した場合に生成される「黒液」から回収される。Loraの工程は、パルプ化に 際して遊離されたリグニンの殆どを含めて、多くの副生物を成功裡に回収するこ とを可能にしている。また本明細書に記載するLoraの上記特許の改良を通じて、 低分子量リグニン及びフルフラールを含むさらなる副生物も回収することができ 、その一方で同時に工程の全エネルギー効率を増大し、システム全体を通じて必 要とされる溶媒の消費量を減少させ、そして環境的に望ましくない廃液を大きく 減少又は排除 することが見い出されている。 本明細書に記載した発明は上記の改良を含み、また付加的には黒液の脱リグニ ンを加速し、パルプ化工程からの付加的な副生物及び流動物を回収することを可 能にする。本発明はリグニンの回収に際して生成された残留する黒液の濾液から フルフラールを回収するばかりではなく、それをシステム中にリサイクルさせる ことにより、そのフルフラールを用いて低分子量リグニンを回収するものである 。さらに本明細書中に取り上げられているものは、新規な漂白技術に対処するだ けではなしに、漂白廃液の濾液のリサイクルをもたらし、脱リグニンを加速する と共に汚染を緩和するシステムである。発明の概要 本発明は、繊維質原料のパルプ化からの、リグニン及びその他の特性物の回収 をもたらすものである。本発明によれば、溶媒及び濾液は回収され、リサイクル されて再利用される。その結果、かなりの溶媒及びエネルギーの節約となる。 本発明によれば、本発明のパルプの漂白及び脱リグニンからの濾液は、連続式 又はバッチによるパルプ化、リグニン及び他の副生物の分離回収において、再利 用のためにリサイクルされる。漂白濾液の再利用の結果、脱リグニンは促進され 、作業効率は増大する。最終的な結果は、エネルギーのかなりの節約、及び漂白 に典型的に随伴する汚染の排除もしくは緩和である。 本発明によればリグニンは、リグニン、ヘミセルロース、及び水混和性有機溶 媒の溶液からなる黒液から、希釈された黒液上澄みと、 タール状リグニン沈殿を形成しない沈殿リグニン固形物とを含む希釈された残留 黒液を形成する条件の下に、黒液を水及び酸でもって希釈することによってリグ ニン固形物を沈殿させ、希釈された残留黒液上澄みからリグニン固形物を分離す ることによってリグニンを回収することにより、回収される。 本発明の別の側面によれば、新規なリグニンが本発明の工程により沈殿される 。好ましいリグニンは、約700から1500g/モルの数平均分子量と、約70°から17 0℃のガラス転移温度と、約4より小さい多分散性と、天然のリグニンのそれに ほぼ等しいメトキシル含量によって特徴付けられる。 本発明の別の側面によれば、新規な低分子量リグニンが得られる。好ましいリ グニンは、600g/モルよりも小さい範囲にある低い平均分子量と、約24°から75 ℃の範囲にあるガラス転移と、特に広葉樹に関する場合については約2.7:1か ら5.3:1というシリンガアルデヒド対バニリンのモル比によって特徴付けられ る。新規な構造を有するより溶解性のリグニンが生成されることが予想される。 本発明の別の側面によれば、精製フルフラール生成物が回収される。このフル フラール生成物は、約95から98%のフルフラールと、約0.1から0.5%のエタノー ルと、約0.1から2%の水を含んでいる。 本発明の他の側面は、図面及び請求の範囲を含めて本明細書の残りの部分を読 むことにより明らかとなろう。図面の簡単な説明 図1、図11及び図12は、繊維質植物原料をアルコール水溶液で処 理することにより繊維質植物原料からセルロースパルプを生成し、またアルコー ル/水の黒液からリグニン及び他の副生物を回収するためのバッチ処理のフロー チャートである。 図2は、図1、図3、図4、図9、図10、図11及び図12の工程からのアルコー ル/水の黒液からリグニンを沈殿させるための装置の一例の概略的な断面図であ る。 図3、図4、図9及び図10は、木材をアルコール水溶液で処理することにより 木材からセルロースパルプを生成し、またパルプ化工程で生成されたアルコール /水の黒液からリグニン及び他の副生物を回収するための連続工程のフローチャ ートを示す。 図5は、液/液交差流抽出に続いて浸透気化を行うことによる、粗製フルフラ ールの品質改善及び精製を示す概略図である。 図6は、液/液向流抽出に続いて浸透気化を行うことによる、粗製フルフラー ルの品質改善及び精製を示す概略図である。 図7は、低分子量リグニンの回収のためのフローチャートである。 図8は、図3、図4、図9及び図10の工程において用いられる連続抽出器を示 す概略図である。好ましい実施例の詳細な説明 図1に示す工程は最初に、ホッパ1から抽出器2へと装填される木材チップそ の他の繊維質植物原料のバッチをパルプ化することに関している。抽出器2は、 Dieboldらの米国特許第4100016号に従って高温(例えば約180°から210℃)及び 高圧(例えば約20から35気圧)において、また溶媒の存在下で作動する。溶媒は 、約40から80 %(容積)の炭素数1から4の水混和性低級脂肪族アルコール(例えばメタノー ル、エタノール、イソプロパノール、又はtert−ブタノール)と、20から60%の 水、そして必要ならば、無機酸(例えば塩酸、硫酸、燐酸、又は硝酸)或いは有 機酸(例えばシュウ酸、好ましくは酢酸、蟻酸、又はペルオキシ酸)といった少 量の強い水溶性の酸、若しくは少量の無機塩からなる。この溶媒はさらに、工程 から回収されたアルコール及びアルコール/水濾過物を含むことができる。 好ましくは、抽出器2内の繊維質植物原料は低圧蒸気で予備加熱され、次いで 2回使用の60%エタノール/40%水、即ち一次溶媒アキュムレータ3からの一次 溶媒が、抽出器2内の繊維質植物原料に接触する。この一次溶媒は抽出器2及び せん頭負荷(例えば蒸気加熱)熱交換器4を通じて迅速に再循環され、繊維質植 物原料の温度を数分で(好ましくは約5分を越えずに)約190°から200℃へと上 昇させる。或いはまた、大規模プラントにおける操作では、約5から60分の時間 が必要とされる。この最初のパルプ化段階が完了した後に、抽出器2内に得られ た抽出物、即ち「黒液」は、1回使用の60%エタノール/40%水、即ち二次溶媒 アキュムレータ6からの二次溶媒(好ましくは190°から200℃に加熱された)で 置換されて、回収送りアキュムレータ5へと入る。リグニン、ヘミセルロース、 繊維質植物原料及びエタノールからの他の糖類及び抽出物(例えば樹脂、有機酸 、フェノール、及びタンニン)を含有している黒液は、回収送りアキュムレータ 5における約20から35気圧の圧力の下で、 約180°から210℃の温度において回収される。黒液の置換の終わりに当たり、抽 出器2内の二次溶媒は、新溶媒アキュムレータ7からの60%エタノール/40% 水の新しい溶媒(好ましくは190°から200℃に加熱された)によって置換されて 、一次溶媒アキュムレータ3に入る。抽出器2内のこの新溶媒は次いで、二次溶 媒アキュムレータ6へと流出される。流出が行われたならば、抽出器2は抜気さ れ、この抽出器からのアルコールに富む蒸気は水冷(「C.W.」)凝縮器8におい て凝縮され、凝縮器8から結果的に得られるエタノール/水混合物は、新溶媒ア キュムレータ7へとリサイクルされる。抽出器2を抜気した後、抽出器中のパル プの残存アルコールは低圧蒸気でもって回収され、得られるアルコール/水の蒸 気は以下のようにして凝縮され、回収される。蒸気回収の後、抽出器2内のパル プは水で運び流され、保持タンク9へと送られて、パルプスクリーン10を介し て押し出される。その場合にパルプは、在来のパルプ処理、漂白、及び抄紙工程 を受けるのに適したとものとなっている。代替的には図11に示されているように 、蒸気回収工程は省略することができ、回収した溶媒で保持タンク9へとパルプ を運び流した後に、パルプはライン59を介して送られて、パルプ洗浄装置47(例 えば1以上の圧カディフューザ、ドラム洗浄機、ベルト洗浄機)において、保持 タンクであるタンク7aからの再循環溶媒とライン49からの補給アルコールで洗 浄される。このパルプは80℃未満の温度に冷却されると同時に、さらなるリグニ ンが取り除かれてライン60を介してタンク7へと再循環され、カッパー価は漂白 可能なグレードにまで低 減される。このパルプはさらに、多段向流洗浄装置44(例えば1以上のドラム洗 浄機又はベルト洗浄機)において、ライン43を介して水を導入することにより、 又は漂白濾過物を導入することによって洗浄され、約40°から70℃の温度に冷却 される。向流洗浄装置44は、従来のよりエネルギー効率の低い蒸気回収方法を置 換するものであり、パルプ中から約50から約90%のアルコールをさらに除去する 。或いはまた図12に示されているように、パルプは洗浄装置77(例えば1以上の ドラム又はベルト洗浄機)においてタンク7aからの再循環アルコールで洗浄す ることができ、その一方で同時にさらなるリグニンが取り除かれ、ライン60を介 してタンク7へと再循環される。このパルプはさらに洗浄装置77において、ライ ン43を介して水を導入することにより、又は漂白濾過物によって洗浄され、約40 °から70℃の温度に冷却される。向流洗浄装置44又は代替的には洗浄装置77にお いてパルプを洗浄した後、パルプは保持タンク9へと移送され、パルプスクリー ン10を介して給送される。このパルプは次いで、在来のパルプ処理、漂白、及び 抄紙工程を適宜受けることができる。 抽出器2にはホッパ1からの別の繊維質植物原料のバッチを装填することがで き、その繊維質植物原料は上述のようにして、アキュムレータ3、6、及び7か らの一次、二次、及び新溶媒により接触されうる。 代替として、連続的パルプ化工程が図3、図4、図9及び図10に示されている 。最初に、木材チップ(50%水分)その他の繊維質原料が蒸熱ビン31において、 大気圧において蒸気を噴射することによ って予備蒸気加熱される。図3、図4、図9及び図10に示されているように、チ ップは湿潤され、角度をなして配設することのできる計量スクリュー32へと通さ れる。計量スクリュー32における蒸気凝縮物からの過剰の水分及び湿潤チップは 、第一のロータリ弁フィーダ33を介して通され、約270°Fから約330°F(130 °から170℃)の温度及び約30から約100psig(210から690kPa)でもってライン4 6において直接蒸気噴射により加熱される。他の実施形態においては、直接蒸気 噴射は種々の方法により達成することができる。例えば約200°Fから約340°F (90°から170℃)の温度及び約30から約100psig(210から690kPa)でもって蒸 熱装置を用いることにより達成できる。蒸熱装置にはベントを備えることができ 、このベントは例えば水冷凝縮器である熱交換機に接続することができる。この 凝縮器は全ての蒸気を凝縮させ、凝縮物を生成して溶媒回収塔14へと戻し、溶媒 と共に再使用するために再循環するよう用いることができる。ライン46には蒸気 バリアを備えることができ、これはアルコール含有蒸気がロータリ弁フィーダ33 内へと後退することを防止するのを助ける。蒸熱された繊維質植物原料は第二の ロータリ弁フィーダ34を介して通され、図3及び図4に示すように、ライン45に おいてライン36からの溶媒と混合される。この溶媒は高圧スルース35においてチ ップと混合され、或いはこの溶媒は図9及び図10に示すように、チップスルース タンク65においてチップと混合される。 チップは含浸され、高圧スルース35又はチップスルースタンク65からの生成ス ラリーはライン37を介して通され、入り口38から抽出 器100に入る。図9及び図10に示されているように、このスラリーは多段遠心ポ ンプシステム67を介して加圧されるが、これは少なくとも一つの遠心ポンプ又は 直列の数個の遠心ポンプからなるよう選択され得るものであり、かくしてスラリ ーは抽出器100の動作圧力まで加圧される。この蒸解混合物が入り口38から抽出 器100に入るに際して、液体分離器101が抽出器100内への混合物の流れを調節す る。出口39において抽出器100から溢れる過剰の蒸解混合液は、ライン57を介し てリサイクルされ、高圧スルース35へと送り戻される。高圧スルース35からのこ の過剰の蒸解液は、ライン58を介して給送され、サージタンク50内へとリサイク ルされて戻る。サージタンク50内の蒸解混合物は、ライン51を介して内部混合さ れる。サージタンク50からの何らかの溢流蒸解混合物は、ライン54を介してライ ン37へと給送される。好ましい実施例においては、機械的セパレータ101が用い られて、上述した如き液体の分離を達成する。さらに、機械的セパレータ101は 繊維質植物原料のスラリーを抽出器100へと、過剰の蒸解混合液の自由流れを維 持するような仕方で運ぶのに用いられる。さらに機械的セパレータ101は可動の スクリーンを含み、パルプ化される繊維質原料及び抽出器100におけるパルプ化 条件に鑑みて、機械的セパレータ101におけるこうしたスクリーンの抽出器100の 内側及び頂部に対する位置調節を、所望に応じて行うことを可能とする。 或いはまた図9及び図10に示されているように、過剰の蒸解混合液は、出口39 において抽出器100から溢れるに際し、ライン57を介してリサイクルされる。こ の蒸解混合液は溶液サージタンク68を通っ て流れる。溶液サージタンク68にはレベル指示器が備えられ、蒸解混合液の溢流 レベルが制御される。溶液サージタンク68は蒸解混合物から非凝縮気体を分離す ることができ、また例えば水冷凝縮器である熱交換機へと接続可能なベントを備 えることができる。溶液サージタンク68からの過剰気体は凝縮し、溶媒回収塔14 へとリサイクルし、溶媒と共に再使用するよう再循環させることができる。蒸解 混合物はライン57を介して、チップスルースタンク65へと通される。本発明の一 つの実施例においては、ライン57には熱交換機69が備えられ、これは蒸解混合物 の温度を、蒸解混合物が減圧装置70(例えば減圧弁又はタービン)を介して通さ れる場合や蒸解混合物がチップスルースタンク65を介して通される場合に、蒸解 混合物中の液体が燃焼しないレベルにまで低減させるように動作することができ る。減圧装置70はライン57における蒸解混合物の圧力を低減、即ち650psig(4.5 MPa)から約20から650psig(140KPaから4.5MPa)へとするように動作することが できる。好ましい実施例においては、減圧装置70はライン46内の圧力を、抽出器 100内の作動圧力からライン46内のその時の圧力よりも僅かに低い圧力へと低減 するように動作する。減圧装置70がタービンである場合には、生成されるエネル ギーを用いて、多段遠心ポンプシステム67を動作させることができる。好ましい 実施例においては、チップスルースタンク65は抽出器100の圧力範囲内、即ち約1 50から650psig(1から4.5MPa)にあることができる。別の好ましい実施例にお いては、チップスルースタンク65はライン46と同じ圧力にあることができる。他 の好ましい実施例におい ては、チップスルースタンク65はライン46内の圧力よりも低い圧力にあることが でき、こうした圧力は溶媒蒸気がライン46内へと逃げないようにするのに十分低 いレベルのものである。 抽出器100内の含浸されたチップは、入口52及び53から抽出器100内へと供給さ れる溶媒で蒸解され、抽出される。好ましくは、この溶媒は図1に示した工程で 用いられた溶媒に類似のものである。図3、図4、図9及び図10に示されている ように、溶媒は、49で導入される適当な量の補給アルコールと、7及びライン45 において導入されるこのアルコールから回収されたアルコール及び副生物回収系 と、向流洗浄器44からのアルコール/水濾液又は洗浄装置77からのアルコール/ 水濾液を含む。図3及び図4に示されているように、ライン36に含まれる溶媒は 、出口41において抽出器100を出るパルプとの熱交換により、パルプ洗浄装置47 (例えば1以上の圧力ディフューザ、ドラム洗浄機又はベルト洗浄機)において 加熱され、或いは図9及び図10に示されているように、ライン36に含まれる溶媒 は洗浄装置77においてパルプとの熱交換によって加熱される。 使用される抽出器の型式は重要ではないが、しかしながら、それは蒸解混合物 の連続的パルプ化に適合可能なものでなければならない。典型的な抽出器の大き さは、抽出器に必要とされる能力に依存している。例えば抽出器100は、約150か ら約650psig(1から4.5MPa)の圧力範囲において、連続的並流/向流モードに おいて作動する。このような抽出器は、直列的な反応領域と、溶媒を添加し除去 する手段とからなる。後者は液体抽出スクリーンの形を取ることができ、 ワイパーその他の、例えば蒸気噴出器のような、スクリーンの閉塞を防止する洗 浄デバイスを備える。 図8に示した一つの特定の抽出器構成においては、典型的には95%の溶媒中に 5%のチップを含む蒸解混合物が抽出器100を通され、6つの反応領域に順次暴 露される。この特定の抽出器構成では、分離領域(a)において約100°から130 ℃の一定の温度において約2から約20分間、チップのさらなるアルコール含浸が 生ずる。分離領域(a)においては、チップのレベルよりも蒸解混合物中の溶媒 のレベルが高い状態で、蒸気ヘッドスペースが保たれる。何らかの過剰の溶媒は 出口39を通して除去され、前述のようにしてリサイクルされる。蒸解混合物チ ップの温度は、蒸解混合物が予備加熱領域(b)内へと通るにつれて上昇され、 約50分の間に約150°から180℃へと予備加熱される。予備加熱領域(b)におけ る蒸解混合物の加熱は、蒸気で加熱された熱交換器(典型的には管又はシェル型 式)を通して蒸解溶媒を向流的に循環させることによって達成される。熱交換器 の温度は、予備加熱領域(b)にある蒸解混合物の約150°から180℃への加熱を 生ずるのに十分なレベルに維持される。この予備加熱された蒸解混合物は、一次 抽出領域(c)において約160°から205℃へとさらに加熱され、約70分間にわた って蒸解及び抽出を受ける。蒸解混合物は、蒸解溶媒を上述した如き熱交換器を 介して並流的に循環させることによって、一次抽出領域(c)において加熱され る。領域(c)においては、熱いエタノール/水抽出物、即ち「黒液」が、蒸解 及び抽出工程の間に生成される。リグニン、ヘミ セルロース、他の糖類及び抽出物(例えば樹脂、有機酸、フェノール、及びタン ニン)を含有するこの熱い黒液は、ライン40を介して蒸解混合物から分離され、 次いでリグニン及びその他のパルプ化工程の副生物を回収するように処理される 。 蒸解混合物は二次抽出領域(d)において、約150°から180℃の温度において 約60分間さらに蒸解及び抽出される。この温度は二次抽出領域(d)において、 上述した如き熱交換器において蒸解溶媒を再循環させることによって冷却された ものである。この熱交換器の温度は、二次抽出領域(d)において約150°から1 80℃の温度を維持するような蒸解混合物の冷却を達成するのに十分なレベルに保 たれる。蒸解混合物は三次抽出領域(e)において約45分間さらに蒸解及び抽出 され、蒸解混合物を上述した如き熱交換器を通して並流的に再循環させることに より、混合物は約130°から160℃の温度に冷却される。この蒸解混合物は冷却領 域(f)において約22分間、約70°から100℃へとさらに冷却され、ミキサー102 によりパルプへと解繊される。冷却領域(f)における蒸解混合物の冷却は、こ の混合物を、入口52からは向流的に導入され、入口53からは並流的に導入され る溶媒と混合することによって達成される。この溶媒混合物は、補給アルコール 、このアルコールからリサイクルされたアルコール及び回収副生物、並びに向流 洗浄装置44からの、代替的には洗浄装置77からのアルコール/水濾液とからなる 。パルプはライン41を介して抽出器100を出る。 図3及び図4に示されているように、パルプは減圧弁42を通過す るに際して脱繊維化される。減圧弁42は好ましくはブロー弁である。このパルプ はパルプ洗浄装置47(例えば1以上の圧力ディフューザ、ドラム洗浄機又はベル ト洗浄機)において、ライン7を通じてリサイクルされたアルコールとライン49 を介しての補給アルコールで洗浄され、80℃より低い温度へと冷却され、その一 方で同時に、さらなるリグニンがライン36を介して除去されリサイクルされて、 カッパー価は漂白可能グレードにまで減少される。パルプは、ライン43を介して 水又は漂白濾液を導入することにより、多段階向流洗浄装置44においてさらに洗 浄され、約40°から70℃の温度に冷却される。向流洗浄装置44は、エネルギー効 率の劣る在来の蒸気回収法を置き換えるものであり、パルプから約50から約90% のさらなるアルコールを除去する。代替的には図9及び図10に示されているよう に、またある種の繊維質植物原料に関して、パルプの強度を保持するのに十分な 圧力、可能ならば大気圧にある保持タンク74へとライン41を介してパルプを移送 することが可能であると考えられる。パルプは洗浄装置77において、ライン7か らの再循環されたアルコールとライン49からの補給アルコールで洗浄され、80℃ 未満の温度へと冷却され、その一方で同時に、さらなるリグニンがライン36を介 して除去されリサイクルされる。パルプはライン43を介しての水の導入又は漂白 濾液によって洗浄装置77でさらに洗浄され、約40°から70℃の温度へと冷却され る。 向流洗浄装置44又は代替的に洗浄装置77でパルプを洗浄した後、パルプは保持 タンク9へと通され、パルプスクリーン10を介して給 送される。この場合にパルプは、在来のパルプ処理、漂白、及び抄紙工程を受け るに適したものとなっている。 一つの漂白技術においては、ブラウンストックと呼ばれる状態になっているこ のパルプを、過酢酸又は過酸化水素のようなペルオキシ化合物を用いた事前のペ ルオキシ処理との組み合わせにおいて、酸素で処理することによって脱リグニン することができる。酸性条件の下においてかくして得られた濾液は、ブラウンス トック洗浄用の洗浄水としてリサイクルさせることができる。これらの濾液は入 口43において導入され、水と混合されて、ライン36において溶媒の一部となる。 脱リグニンの速度は溶媒の酸性度に直接的に比例するから、これらの酸性濾液は 脱リグニンの速度を加速するものと考えられる。また、濾液中におけるリグニン ナトリウム(sodium lignate)の有機酸の存在は、脱リグニン速度を加速するも のと考えられる。このような酸で触媒された脱リグニンの結果、抽出器100にお ける作動温度及び圧力は低くなると考えられる。また、幾つかのペルオキシ化合 物での処理が連続して用いられる場合には、向流濾液をリサイクルすることがで きる。或いはまた、pH調節の後に、アルカリ酸素脱リグニンからの濾液もまた 用いることができる。例えば酸素によるパルプの脱リグニンは、最初に約9から 15%の固形パルプ重量コンシステンシーのパルプスラリーを水酸化ナトリウム溶 液(カセイ)と混合し、さらに高い剪断でもって酸素ガスと混合することによっ て実行できる。添加されるカセイの量は、オーブンで乾燥した(o.d.)パルプの %重量/重量ベースで、好ましくは約2か ら8%、より好ましくは約3から6%であり得る。反応混合物の温度は好ましく は約60℃から110℃の間にあり、より好ましくは約70℃から90℃の間にある。そ して漂白容器中における酸素の圧力は、酸素脱リグニンについては好ましくは約 40から110psig(280から760kPa)に維持され、より好ましくは約80から100psig (550から690kPa)であり、酸化性抽出物を用いた脱リグニンについては約32か ら60psig(220から410kPa)である。酸素での反応時間は、好ましくは約6から6 0分であり、より好ましくは約40から50分である。強度特性を保持するのを助け るために添加されうるさらなる化学的添加剤には、0.5%から1%の硫酸マグネ シウム、0.5%のジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、及び3%までの珪 酸ナトリウムが含まれる。例えば、パルプのペルオキシ処理は、約2から約10の pHにおいてパルプに対して過酢酸を、オーブン乾燥パルプの重量当たり過酢酸 約0.5から約4重量%の量でもって混合することによって達成できる。パルプの コンシステンシーはどのようなものでも構わないが、しかし固形パルプ重量%で 約10から12の間にあるのが好ましい。反応時間は、約40℃から90℃の温度におい て、好ましくは約20分から約3時間である。或いは、パルプのペルオキシ処理は また、約2から11のpHにおいて、過酸化水素の量を約0.5%から約4%として 、過酸化水素をパルプに混合することによって達成できる。パルプのコンシステ ンシーはどのようなものでも構わないが、しかし固形パルプ重量%で約10から12 の間にあるのが好ましく、反応温度は約40°から90℃に維持することができる。 パルプの粘度を保護するために、 硫酸マグネシウムを約0.5%から1.0%で添加することができ、またマンガン、銅 、及び鉄といった金属イオンによる過酸化物の接触分解を防止するため、DTPAを 約0.05から0.5%添加することができる。 図1、図3、図4、図9、図10、図11及び図12に示されているように、黒液は フラッシュタンク11内へとフラッシングされて、エタノールの一部が回収される 。フラッシュタンク11は、操作の単純化のために大気圧にあることもできるし、 又は減圧として黒液をさらに冷却し、アルコールの回収を高めることもできる。 フラッシュタンク11内における減圧は、エタノールの部分的な蒸発を生じ、エタ ノール含量30から45%、好ましくは約35から40%の残留黒液をフラッシュタンク 内に残す。この残留黒液はこの段階に際して約95℃未満の温度へと、好ましくは 約80°から92℃へと冷却されるが、フラッシュタンク11内におけるリグニンの早 すぎる沈澱を回避するために、70℃未満にはされない。黒液はフラッシュタンク 11におけるフラッシングの前に、蒸気噴射又は間接加熱によって加熱することが でき、それによってより多くのエタノールを蒸発させて、黒液中のエタノール濃 度を約25から34%へと減じ、また沈澱に必要とされる希釈水の量を約20から70% 減少させる。蒸気噴射又は間接加熱はまた、フラッシュタンク11内へ、或いはフ ラッシュタンク11と直列にして用いることのできる全てのフラッシュタンクに直 接に導入することができる。得られるアルコール/水の蒸気は凝縮器8内で濃縮 され、補給エタノール、水、及び/又は酸と共にリサイクルされて、後続の繊維 質植物原料のバッチを処理するために用いられる。或い はまた、図3、図4、図9及び図10に示したような連続工程においては、フラッ シュタンク11(又はフラッシュタンク11と直列をなしているフラッシュタンク) からのエタノール/水の蒸気は、リボイラー24においてリサイクルさせることが でき、それにより溶媒回収塔14における蒸留のためのエネルギーを与える。溶媒 回収塔14を、該溶媒回収塔14と直列に配設されたさらなる溶媒回収塔及びリボイ ラーとインタフェースすることによって、溶媒の回収をさらに高めることができ る。 本発明によれば、フラッシュタンク11から排出される残留黒液から、次いでリ グニンが分離される。この段階は、フラッシュタンク11を出るに際して、水及び 酸で残留黒液を希釈し、好ましくは冷却して、希釈残留黒液を形成することによ って実行される。この場合に、a)アルコール含有量約30%(容積)未満、好ま しくは約10から25%、特に約12から21%であって、約8%のアルコール含有量が 後の段階でアルコールを経済的に回収するための実用的な最小限であり、b)温 度は約75℃未満、好ましくは約60℃未満、特に約35゜から55℃、及びc)pHは 約3未満、好ましくは約2.5未満、特に約1.5から2.5である。この段階において 、希釈残留黒液において温度を高くすると、一般にリグニンの沈降速度は増大し 、より暗色のリグニンが生成され収率も減少しうるものではあるが、特定の温度 が臨界的なものではない。約75℃というのが、タール状リグニン沈澱の形成を回 避するための最大温度であり、環境温度(例えば約20℃)が実用的な最小限であ る。しかし、より遅い沈降速度が許容されう るのであれば、より低い温度(例えば約0℃まで)を用いることもできる。約65 ℃未満、特に60℃未満の温度は、かなり明るい色のリグニン沈澱をもたらす。或 いは大規模プラントでの操作においては、タール状リグニン沈澱の形成を回避す るためには、約30℃が最低限の温度である。また、希釈残留黒液の特定のpHは この段階において臨界的ではないが、しかしより低いpHは希釈残留黒液からの リグニン沈澱の収率を増大させ、希釈残留黒液の温度をより高くして用いること を可能にする。しかしながら、pHを約1未満に下げても収率は殆ど或いは全く 改善されないという理由から、より低いpHを用いることは可能であるが、約1 というpHが実用的な最小限である。約3未満のpHにおいては、リグニンは希 釈残留黒液から高い収率で、且つ高速でもって、微細な固形物として沈澱する。 これらのリグニン固形物は次いで、在来の手法により、残っている残留希釈黒液 の上澄みから分離することができる。好ましくは、リグニン固形物は、在来の清 澄器又は沈降タンク12において約6から12%(重量)のペーストとして沈降させ 、次いでこのリグニン固形物のペーストを在来の遠心分離器において濃縮して固 形分約30から40%の湿潤ケークを形成し、そしてこの湿潤ケークを乾燥して微細 且つ均一な自由流動パウダーを形成することによって分離される。或いはまた、 大規模プラントの操作においては、リグニン固形物は好ましくは、リグニンケー クの容易な洗浄を可能にする大規模フィルタ(例えばベルトフィルタ及びフィル タプレス、好ましくはドラムフィルタ)を用いることによって分離される。 フラッシュタンク11からの残留黒液を水及び酸で希釈してリグニンを沈澱させ るにおいて、約3.0未満、好ましくは約2.50未満のpHを有する希釈残留黒液を もたらす、どのような在来の水溶性の酸を用いることもできる。例えば強い無機 酸(例えば塩酸、硝酸、硫酸、又は燐酸)或いは強い有機酸(例えはシュウ酸、 好ましくは酢酸、蟻酸、又はペルオキシ酸)を用いることができる。或いはまた 、漂白段階からの濾液もまた用いることができる。これらはライン43において水 に添加することができ、代替的には、混合タンク20に添加することもできる。さ らに、酸素脱リグニン濾液はpH調節の後に、約3.0を越えるpHにおいて、好 ましくは約3.5から約4.0の間において、リグニンを沈澱させることができる。 好ましくは、残留黒液の希釈に用いる前に、水及び酸は一緒に混合される。こ れに関して、酸と水との特に好ましい混合物は、繊維質植物原料の前のバッチか ら導かれた残留黒液の上澄みであって、a)この上澄みが繊維質植物原料の前の バッチからのリグニン固形物から、図3及び図9に示すように沈降タンク12及び 遠心分離器13において、或いは図4、図10、図11及び図12に示すように大規模フ ィルタ63において分離され、b)この上澄み中のアルコール含有量が在来の溶媒 凝縮器15において後述のようにして回収された後に、リサイクルされ、フラッシ ュタンク11からの残留黒液を希釈するように用いられているものである。リサイ クルされた残留黒液上澄み即ち回収塔のカン出液は、フラッシュタンク11からの 残留黒液を希釈するために用いられた場合、図3及び図9に示すように沈降タン ク12及び遠心分離器13において沈澱するリグニン固形物のより高い収率及びより 速い沈降をもたらす。 フラッシュタンク11からの残留黒液からリグニンを沈澱させるにおいて、残留 黒液が酸及び水と迅速且つ念入りに混合されている限りは、残留黒液を水及び酸 で希釈するやり方もまた臨界的ではない。例えば残留黒液は、全体を20で示す在 来の固定分散ミキサー又は混合タンクにおいて、それを酸及び水に添加すること によって、適切に希釈され得る。残留黒液はまた、例えば図2において概略的に 示した、全体を20で示すベンチュリ型式のデバイスによって、水及び酸の溶液か らなる流れの中へと、細かく分けた流れでもって添加することによって希釈され 得る。図1、図3、図4、図9、図10、図11及び図12におけるフラッシュタン ク11からの残留黒液は、図2に示したベンチュリ型式のデバイス20において管22 のほぼ中央に配置した小径ノズル21を介して給送することができ、酸及び水の溶 液は、管22において沈降タンク12へと流れることができる。残留黒液がノズル21 によって管22内の酸及び水の溶液中へと噴射されるに際し、残留黒液は管22内の 酸及び水によって迅速に希釈され、冷却される。リグニンは得られる希釈残留黒 液から微細固形物として管22内で迅速に沈澱し、この固形物は沈降タンク12及び 遠心分離器13において容易に集められ、濃縮される。或いは図4、図10、図11及 び図12に示すように、残留黒液は混合タンク20を出て、大規模フィルタ63(例え ばベルトフィルタ、フィルタプレス、好ましくはドラムフィルタ)及び乾燥器66 からなる液/固分離系へと入る。アルコールと、 及びヘミセルロースを含む溶解固形物との濾液はフィルタ63から抽出され、溶媒 回収塔14において蒸留される。沈澱するリグニンケークはフィルタ63から排出さ れて、乾燥器66において乾燥されて粉末状形態となる。 本発明に従ってリグニンを沈澱するにおいては、リグニンの収率及び沈降速度 は一般に、a)木材の種類、b)抽出器2において用いられる工程の条件、c) (i)フラッシュタンク11からの残留黒液及び(ii)それを希釈するのに用いら れる酸及び水の温度、pH、及び固形物含有量、並びにd)黒液を希釈するのに 用いられる酸及び水に対する黒液の比、の関数である。例えばトウヒ(spruce) のような針葉樹からのリグニンは、約1.5から2.5のpHの酸及び水の溶液を用い た希釈後の温度を約40°から60℃として、また残留黒液の酸及び水の溶液に対す る比を約0.5から約1として沈澱されるのが好ましい。ポプラ(aspen)のような 広葉樹については、約1.2から2.2のpHを有する酸及び水の溶液を用い、また希 釈後の温度が約50℃未満となるようにするのが好ましい。これに関して好ましい ことは、酸及び水の溶液に対する残留黒液の比を、a)希釈後の温度が約40℃の 場合には約0.2から0.8、そしてb)希釈後の温度が約40℃未満(例えば周囲温度 まで)の場合には約0.6から1.0として用いることである。モミジバフウ(sweetg um)、楓、及びオークのような広葉樹については、希釈後の温度を約40°から60 ℃とし、酸及び水の溶液のpHを約1.5から2.5とし、並びに酸及び水の溶液に対 する残留黒液の比を約0.35から0.7として用いることが好ましい。 リグニン固形物分離段階からの、清澄化された残留黒液濾液は、アルコール、 フルフラール、木の糖類、酢酸、及び沈澱工程において捕捉されなかった低分子 量リグニンフラグメントを含む。図1、図3、図9、図10、図11及び図12におい て示されているように、エタノール含量は好ましくは、溶媒回収塔14及び溶媒凝 縮器15において回収される。上澄み中のエタノール含量は、大気圧において溶媒 回収塔14において在来の仕方で除去する(例えば約200ppmまで)ことができる。 好ましくは塔14は、図1、図11及び図12に示されているように、抽出器2におい てパルプから残留エタノールを除去するのに用いる低圧蒸気を用いて、塔14から のカン出液の一部を熱交換器24において加熱しリサイクルすることによって加熱 される。或いはまた、溶媒回収塔14と直列に、付加的な回収塔が用いられた場合 には、塔14は真空下又は与圧下に作動することができる。塔14からのエタノール /水の蒸気は在来の仕方でもって、水冷凝縮器15(又は除去フィードとの熱交換 により)において凝縮され、次いで、次の熱交換器24内での低圧スチーミングに より凝縮したエタノール/水混合物と共にリサイクルされる。本発明によれば、 沈降タンク12及び遠心分離器13からの、或いは代替的には図4及び図10に示され た如き大規模フィルタ63からの上澄み中のエタノール含量を、溶媒回収塔14内で 沈澱するリグニンが塔の内側表面上にタール状又はゴム状の付着物を形成するこ となしに、単純な仕方でもって高収率で適切に回収することができる。 リグニン固形物分離段階からの清澄化された残留黒液濾液は、典 型的には、約0.2から0.8%のフルフラール、約10から15%のアルコール、約0.5 から10%の溶解固形物、及び水を含んでいる。図1、図3、図4、図9、図10、 図11及び図12に示されているように、黒液は溶媒回収塔14へと供給され、フルフ ラールの側部引き抜きが取り出されるが、これは約12から30%のフルフラールを 含んでいる。このフルフラール側部引き抜きはライン700において、供給プレー トの上部のプレートにおいて取られ、側部流中におけるフルフラールの重量ベー スで約2から約4%の2−ヒドロキシ−エチルブタノエート(HEB)を含む。HEB はライン700へと無機酸、例えば硫酸、塩酸その他の酸性溶液を約1から約2.5の pHにおいて少なくとも約5分間、好ましくは約5から約120分間、そして好ま しくはライン700における動作温度において導入することによって、かなり破壊 することができる。或いはまた、HEBはライン700へと例えば水酸化ナトリウム、 水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムそ の他のアルカリ溶液を約8から約11のpHにおいて少なくとも約5分間、好まし くは約5から約120分間、ライン700における動作温度において導入することによ って、かなり破壊することができる。これらの酸又はアルカリはHEBをエタノー ル及び2−ヒドロキシ酪酸へと触媒的に分解する。フルフラールの重量ベースで 約1.5から約3.5%の2−ヒドロキシ酪酸を含む、処理されたフルフラール側部流 は熱交換器701における間接的熱交換により、約50°未満の温度へと冷却され、 デカンタ71において、約60から75%のフルフラールとフルフラールの重量ベース で約1.5から約3.5%の2−ヒド ロキシ酪酸を含む粗製フルフラール層と、溶媒回収塔14へと直接に戻されるアル コールに富む層とに分離される。粗製フルフラールは、液/液抽出を用いて約85 から91%のフルフラールへと品質改善可能であり、また浸透気化を用いて約95か ら98%のフルフラールへとさらに精製することができる。他の精製技術には、凍 結濃縮、脱水、及び乾燥剤の使用が含まれる。 典型的には約60から75%のフルフラール、約5から15%のエタノール、約0.5 から2%のメタノール、約7から15%の水及び約1.5から約3.5%の2−ヒドロキ シ酪酸を含有する粗製フルフラール層は、液/液抽出を用いて品質改善すること ができる。交差流液体抽出を用いることができ、図5に示されているように、粗 製フルフラールはミキサー71において機械的攪拌を用いて、溶媒、好ましくは水 と混合される。粗製フルフラールと水とが沈降器72において分離した時点で、フ ルフラールのラフィネートと、アルコールに富む水抽出物が得られる。順次直列 に配設された一つより多いミキサーと沈降器を用いて、数回の抽出段階(図5に おける抽出段階=N)を用いることができる。しかしながら、粗製層の品質改善 は、好ましくは2回又は3回の順次の交差流抽出によって、満足に達成すること ができる。水と粗製フルフラールとは約1:1から3:2の容積比でもって、約 0°から50℃の温度において約30分間混合される。図5に示されているように、 約0.5から6%のエタノール、約0.2から1%のメタノール、及び約6から10%の フルフラールを含有するアルコール抽出物は、溶媒回収塔14へと戻される。フル フラールのラフ ィネートは、約89から91%のフルフラール、約0.1から0.2%のエタノール、及び 約4.2から4.6%の水を含有するものとして得られる。 或いはまた図6に示されているように、粗製フルフラールは向流抽出を用いて 品質改善することもできる。粗製フルフラールは溶媒、好ましくは水により、向 流抽出器73において抽出される。約0゜から50℃の温度が用いられ、水に対する 粗製フルフラールの流量は約3:2である。品質改善されたフルフラールのラフ ィネートは、約85から90%のフルフラール、約0.2から1%のエタノール、及び 約4から7%の水を含有するものとして得られる。典型的には約1から12%のエ タノール、約0.4から1.5%のメタノール、及び約6から10%のフルフラールを含 有する水性アルコール抽出物は、溶媒回収塔14へと戻される。 品質改善されたフルフラールラフィネートはさらに精製して、水を除去する( 例えば脱水又は浸透気化により)ことができる。図5及び6は、浸透気化による 精製を例示している。浸透気化系80は、膜82によって2つの区画81及び83へと分 離されたセルからなる。膜82は好ましくは親水性の膜、例えばポリビニルアルコ ール膜である。品質改善されたフルフラールは区画81内へと供給され、この品質 改善されたフルフラール中に含まれている水は、膜82により優先的に引き付けら れる。この水は膜82を通り、区画83に至る。約0.8から8psia(好ましくは約1 から2psia)の蒸気圧がタンク83内に維持され、水は蒸発される。約95から98% のフルフラール、約0.1から0.5%のエタノール、及び約0.1から2%の水を含む 最終的なフルフラー ル生成物が得られ、区画81から取り出される。 代替的に、粗製フルフラールは、在来の蒸留を用いて品質改善することも可能 である。品質改善されたフルフラール留出物が得られ、これは約95から99%のフ ルフラールと、約0.2から1%のエタノールと、約0.2から1%の水とを含んでい る。これにより非常に純度の高いフルフラール留出物が得られるが、液/液抽出 及び浸透気化を用いたフルフラールの品質改善及び精製は、この単独の蒸留より も好ましい方法である。なぜならその場合には、少なくとも二倍のエネルギー節 約という結果が得られ、また得られるフルフラール生成物は、エタノール及び水 の含量がより小さいからである。 溶媒回収塔14から取り出されるカン出流は、木材の糖類、低分子量リグニン、 酢酸、灰、及びその他の少数の成分を含んでいる。カン出流の一部は、例えば多 重効用釜26において、在来の仕方で濃縮されるのが好ましい。この段階において 、蒸発設備のスケーリングや汚染は、重要な問題ではない。なぜなら溶媒回収塔 14からのカン出流中には、高分子量のリグニンは実施的に含まれていないからで ある。得られるシロップは、ヘミセルロースを少量の他の糖類、抽出物、及び非 常に低い平均分子量のリグニン(即ち約400g/モル未満の分子量のリグニン)と 共に含み、燃焼によりその燃料としての価値を取り戻し得るものであり、動物の 食餌として用いることができ、或いは他の化学製品に変換することができる。或 いはまた、低分子量リグニンを回収することができる。この低分子量リグニンは 、それらの低分子性及び水溶性の故に沈澱工程において捕捉すること のできなかったリグニンフラグメントに対応し、幾つかの異なる留分を分離する ことができる。一般に、低分子量リグニンは600g/モル未満の範囲にある低い平 均分子量留分と、約24°から75℃の範囲にある低いガラス転移温度によって特徴 付けることができる。広葉樹をパルプ化する場合の別の特徴は、低分子量リグニ ンが主にシリンギル核型式のものだということである。なぜならニトロベンゼン で酸化すると、シリンガアルデヒドがバニリンに対して、約2.7:1から約5 .3:1というモル比で生成されるからである。この低分子量リグニンは、フェ ノール系の木材接着剤において、増量剤として用いることができる。これはまた 、工程に際して水溶性が必要とされる用途(例えばガラス繊維のバインダー)、 及びシリンガアルデヒド及びその他の化学物質の合成用中間体として用いること もできる。 図7は、低分子量リグニンの回収について図示している。溶媒回収塔14から取 り出されたカン出流の一部が多重効用釜26により濃縮され、約10から30%の固形 分を含むシロップ90となる。カン出流を濃縮する前に、アルカリを添加すること によりこのカン出流のpHは任意に約2.0から約6.0のpHへと上昇される。カン 出流の濃縮に際して、低分子量リグニン留分はタール状有機相90aを形成し、こ れはカン出流中に存在していた約30から70%の低分子量リグニンと、水性フラク ション90bとを含んでいる。このタール状有機相90aは、約60から90%の低分子量 リグニン固形物を含み、また約60から95℃の温度において、約400から3000cps の粘度を有している。この有機相はデカンタ91において、水性フラクション90b から分離される。残 りの低分子量リグニンを含有しているこの水性フラクション90bは、蒸発器92に おいて固形物約40から65%へと濃縮され、向流液/液抽出力ラム93において、有 機溶媒(好ましくは1:1の容積比)で抽出される。ジエチルエーテル、シクロ ヘキサン、フラン、及び3−ヘキサノールのような有機溶媒を用いることができ るが、フルフラールが特に好ましい溶媒である。なぜならフルフラールは、水性 相中に存在している低分子量リグニンを一回の抽出でもって、70%より多く取り 除くからである。図5及び6に示したようにして品質改善及び精製により得たフ ルフラールもまた、上述のようにして低分子量リグニンを抽出するのに用いるこ とができる。カラム93からのラフィネートは、約5から20%の低分子量リグニン 、約70から85%のフルフラール、及び約5から15%の水を含んでいる。このラフ ィネートは、カラム94において真空蒸留される。カラム94からのカン出流は低分 子量リグニンを含み、本質的に約85から95%のフルフラールと約5から15%の水 を含む、凝縮器940からの凝縮物は、カラム93へとリサイクルされる。カラム93 からの抽出物は、約6から10%のフルフラール、約4から5%の糖類、及び約50 から80%の水を含み、カラム95内においてフルフラールから除去される。凝縮器 950におけるカラム95からの凝縮物はデカンタ96においてデカンテーションされ 、約85から95%のフルフラールと約5から15%の水を含んでいる重い相が、カラ ム93へとリサイクルされる。カラム95からのカン出流は、殆どがキシロースであ る糖類を含み、これは酸触媒脱水によるフルフラールの製造のためにさらに用い ることができる。 塔14から取り出されたカン出流の別の第二の部分は、好ましくは酸及び水の 溶液として用いられて、フラッシュタンク11からの残留黒液を希釈してリグニン をそこから沈澱させるために用いられる。この点に関して、塔14からのカン出流 のこの第二の部分は、約50℃未満の温度、好ましくは約25°から40℃(約0℃が 実用的な最小限度)へと冷却するのが好ましく、そのpHは必要ならば、水溶性 の強酸を添加することによって、約1.0から3.0へと調節される。次いで、この冷 却され酸性化されたカン出流の第二の部分(これまでは「リサイクルされた残留 黒液上澄み」と呼ばれていた)は、残留黒液と念入り且つ迅速に混合(例えば図 2のベンチュリ型式のデバイス20において)されて、残留黒液を希釈及び冷却し 、リグニンを沈澱させる。 沈降タンク12において、希釈された残留黒液から微細な固形物として沈澱する この非常に純粋なリグニンは、次いで遠心分離器13から、或いは代替的には図4 、図10、図11及び図12に示す如き大規模フィルタ63から取り出すことができ、水 洗され、在来の仕方で(例えばスピンフラッシュ乾燥により)乾燥されて、微細 で、一様で、自由流動性で、水溶性のパウダーが形成される。このリグニンは、 以下の性質を有するものとして特徴付けることができる。約700から1500g/モル 、好ましくは約900から1300g/モル、より好ましくは約800から1000g/モルとい う比較的低い数平均分子量。好ましくは約80°から170℃、好ましくは約130°か ら150℃、特に約80°から120℃、より特定的に約80゜から95℃のガラス転移温度 。しかし約70° から150℃、特に約90°から150℃のガラス転移温度もまた観測される。分子量分 布の狭さ、即ち約4未満、好ましくは約3よりも大きくない、特に僅かに約1.5 から2.7という多分散性。天然のリグニンにほぼ等しい、メトキシル含有量(即 ち広葉樹について約20%、針葉樹について約14%)。このリグニンはまた、好ま しくは約120°から150℃、特に約125°から150℃、より特定的には約130°から1 35℃の軟化温度を有する。これらの特性が示すものは、就中、本発明のリグニン の純度と、化学変性の度合いの低さである。このリグニンはまた、例えばパーテ ィクルボードや合板の製造に際して、フェノールホルムアルデヒド樹脂の増量剤 として用いることができる。このリグニンはまた、成形化合物、ウレタン及びエ ポキシ樹脂、抗酸化剤、放出制御剤、及び流れ制御剤の製造においても用いるこ とができる。 本発明、及びそれに伴う効果の多くは、以上の記述から理解されるところであ り、本発明の思想及び範囲から逸脱せず、またはその重要な利点の全てを犠牲に することなしに、種々の修正変更を行うことができることは明らかである。これ まのところで説明した工程は、単に好ましい実施例に過ぎないものである。例え ば、本発明のリグニンを沈澱させるための工程は代替的に、水混和性の有機溶媒 中に溶解したリグニン溶液に対して酸及び水を別個に添加して、約3未満のpH 、約30%未満の有機溶媒含有量、及び約75℃未満の温度を有する希釈水溶液を作 成し、この希釈水溶液からリグニンを一様な微細固形物として沈澱させることに よって実行することが可能 である。この点について、一次溶媒が繊維質植物原料をパルプ化するために抽出 器2内で用いられて黒液(フラッシュタンク11内でエタノールを除去した後に残 留黒液となる)を生成する前に、一次溶媒アキュムレータ3からの一次溶媒に対 して酸を添加することによって、酸は図1のフラッシュタンク11からの残留黒液 に対して別個に添加することができる。また、本発明の工程は、低級脂肪族アル コール(好ましくはエタノール)以外の水混和性有機溶媒、例えばアセトン、グ リコール又はグリセロール、或いはかかる溶媒の混合物についても実行すること ができる。また、これらの工程は、木材だけではなく、竹、バガス、ケナフ、わ らなどの如何なる繊維質植物原料を用いても実行できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クローンランド,マルコム アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州19425 チェスター・スプリングス,サドルブルッ ク・サークル・434 (72)発明者 ウー,チー,ファエ アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州19380 ウエスト・チェスター,ボウ・トゥリー・ ドライヴ・1607 (72)発明者 ゴーパル,ゴーヤル,シー アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州19426 カレッジヴィレ,シンカモア・コート・ 126 (72)発明者 ウィナー,ステファン,アール アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州19061 ブースウィン,マットンソン・ロード・ 180 (72)発明者 レブランク,ロン カナダ国アルバータ・ティ2ピー・3,カ ルガリー,840―セヴンス・アヴェニュ ー・サウスウエスト・1720 (72)発明者 ラスキン,ミハイル,エヌ アメリカ合衆国ペンシルヴェニア州19406 キング・オブ・プラッシャ,アパートメン ト・ナンバー・217,サウス・ガルフ・コ ート・606 (72)発明者 エイガー,リチャード,シー アメリカ合衆国オハイオ州45246スプリン グデイル,ウッドヴェイル・コート・ 11823

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.繊維質植物原料を水混和性有機溶媒中でパルプ化し、前記水混和性有機溶媒 、リグニン、及び前記繊維質植物原料のパルプ化から生ずる他の副生物を回収す るための工程であって、 前記繊維質植物原料を湿潤する段階と、 前記湿潤された繊維質植物原料を加熱する段階と、 前記加熱された繊維質植物原料を水混和性有機溶媒で含浸して、含浸された繊 維質植物原料混合物を形成する段階と、 前記含浸された繊維質植物原料混合物を前記水混和性有機溶媒で抽出して蒸解 混合物を生成する段階であって、該蒸解混合物がセルロースパルプ及び黒液から なり、該黒液が前記リグニン及び前記副生物からなり、及び 前記リグニンを前記黒液から回収する段階とからなる工程。 2.前記水混和性有機溶媒及び前記副生物を前記黒液から回収する段階をさらに 含む、請求項1の工程。 3.前記抽出段階が、 分離領域において前記蒸解混合物を前記水混和性有機溶媒で含浸する段階と、 前記分離領域において生成された前記蒸解混合物を、予備加熱領域において加 熱する段階と、 前記予備加熱領域において生成された前記蒸解混合物を、一次抽出領域におい て加熱する段階と、 前記一次抽出領域における前記加熱の間に前記蒸解混合物を 蒸解して、前記黒液を前記蒸解混合物から生じさせる段階と、 前記蒸解段階に際して、前記一次抽出領域において前記蒸解混合物を同時に抽 出する段階と、 前記一次抽出領域において生成された前記蒸解混合物を、二次抽出領域におい て蒸解する段階と、 前記二次抽出領域からの前記蒸解混合物を、三次抽出領域において蒸解する段 階と、 前記三次抽出領域において前記蒸解混合物を冷却する段階と、及び 前記三次抽出領域からの前記蒸解混合物を、冷却領域において冷却する段階と からなる、請求項2の工程。 4.前記黒液を前記蒸解混合物から分離する段階を含む、請求項3の工程。 5.前記水混和性有機溶媒が、補給アルコール、回収アルコール、アルコール/ 水の濾液、及び漂白濾液からなる、請求項4の工程。 6.前記セルロースパルプを前記蒸解混合物から分離する段階をさらに含む、請 求項5の工程。 7.前記セルロースパルプのカッパー価を減らし、ブラウンストックパルプを形 成する段階と、 前記ブラウンストックパルプを洗浄媒体で洗浄して、アルコール/水の濾液を 生成する段階と、 前記ブラウンストックパルプを漂白して、漂白濾液を生成す る段階と、 前記アルコール/水の濾液と前記漂白濾液とを組み合わせる段階と、及び 前記組み合わせたアルコール/水の濾液と漂白濾液をリサイクルする段階とを さらに含む、請求項6の工程。 8.前記洗浄媒体が、前記リサイクルしたアルコール/水の濾液と漂白濾液から なる、請求項7の工程。 9.前記洗浄段階の間に前記水混和性有機溶媒の残留物を除去する段階と、前記 水混和性有機溶媒が前記リグニンの残留物を含むこと、及び 請求項1の前記含浸段階及び抽出段階において用いるために、前記水混和性有 機溶媒をリサイクルする段階とを含む、請求項8の工程。 10.前記水混和性有機溶媒を向流的に循環させて前記予備加熱領域において前 記蒸解混合物を加熱させる段階と、 前記水混和性有機溶媒を並流的に循環させて前記一次抽出領域において前記蒸 解混合物を加熱させる段階と、 前記水混和性有機溶媒を並流的に循環させて前記二次抽出領域において前記蒸 解混合物を冷却する段階と、 前記水混和性有機溶媒を並流的に循環させて前記三次抽出領域において前記蒸 解混合物を冷却する段階と、及び 前記蒸解混合物を、第一の入口から向流的に導入された前記水混和性有機溶媒 と、第二の入口から向流的に導入された前記 水混和性有機溶媒と同時に混合して、前記蒸解混合物を前記冷却領域において冷 却する段階とを含む、請求項3の工程。 11.前記黒液をフラッシングして残留黒液を形成する段階と、 前記フラッシ ング段階からアルコールを回収する段階と、 前記回収アルコールをリサイクルする階段と、及び 前記リサイクルした回収アルコールを前記水混和性有機溶媒と組み合わせる段 階をさらに含む、請求項10の工程。 12.前記残留黒液から前記リグニンを分離する段階と、及び前記分離段階から 残留黒液濾液を生成する段階とをさらに含み、前記残留黒液濾液がフルフラール と、低分子量のリグニンと、前記副生物とからなる、請求項11の工程。 13.前記黒液濾液中の前記フルフラールが、 前記残留黒液濾液からフルフラールの側部引き抜きを生成する段階と、 前記フルフラール側部引き抜きを冷却し、粗製フルフラール層とアルコールに 富む層とを生成する段階と、 前記粗製フルフラール層を前記アルコールに富む層から分離する段階と、 前記粗製フルフラール層を溶媒抽出し、フルフラールラフィネート及びアルコ ール抽出物を生成する段階と、及び 前記フルフラールラフィネートを精製し、フルフラール生成物を生成する段階 とによって回収される、請求項12の工程。 14.前記アルコールを前記アルコールに富む層から回収する段階 と、 前記回収したアルコールをリサイクルする段階と、及び 前記リサイクルした回収アルコールを前記水混和性有機溶媒と組み合わせる段 階とを含む、請求項13の工程。 15.約95から99%のフルフラールからなる、請求項14のフルフラール生成物。 16.残留黒液カン出流を前記残留黒液濾液から生成する段階であって、前記残 留黒液カン出流が前記低分子量リグニン及び前記副生物からなる段階と、 前記低分子量リグニンからなる前記カン出流の第一の部分を分離する段階と、 及び 前記副生物からなる前記カン出流の第二の部分を分離する段階とをさらに含む 、請求項15の工程。 17.前記低分子量リグニンが、 前記残留黒液カン出流の前記第一の部分を濃縮し、前記残留黒液カン出流が前 記低分子量リグニンを含み、該濃縮段階から、タール状有機相と水性相とを形成 する段階と、 前記タール状有機相を前記水性相から分離する段階と、 前記水性相を濃縮する段階と、 前記濃縮された水性相を有機溶媒で抽出する段階であって、該有機溶媒がジエ チルエーテル、シクロヘキサン、フラン、3−ヘキサノール、及びフルフラール からなる群の要素からなる段階と、 水性抽出物及びラフィネートを生成する段階と、 前記ラフィネートを蒸留してカン出流を生成する段階であって、該カン出流が 前記低分子量リグニンと、前記有機溶媒からなる凝縮物からなる段階と、 前記カン出流を集め、前記タール状有機相と混合する段階と、及び 前記タール状有機相及び前記カン出流に含まれる前記低分子量リグニンを分離 する段階とによって回収される、請求項16の工程。 18.前記水性抽出物を前記有機溶媒から分離する段階と、 前記有機溶媒を前記分離段階から回収する段階と、及び 前記回収段階からの前記有機溶媒を、前記蒸留段階からの前記有機溶媒と組み 合わせる段階とをさらに含む、請求項17の工程。 19.前記回収した有機溶媒をリサイクルして、請求項16の抽出段階において 用いる段階を含む、請求項18の工程。 20.前記有機溶媒が、前記残留黒液濾液から回収したフルフラールを含む、請 求項19の工程。 21.500グラム/モル未満の数平均分子量を有する、請求項20の低分子量リグ ニン。 22.ガラス転移温度を有する、請求項21の低分子量リグニン。 23.前記ガラス転移温度が約24°から60℃の範囲にある、請求項22の低分子量 リグニン。 24.前記副生物を前記カン出流の第二の部分から回収する段階を含む、請求項 15の工程。 25.水混和性有機溶媒による繊維質植物原料のパルプ化において生成される黒 液からフルフラールを回収するための工程であって、 前記黒液を希釈して残留黒液を形成する段階と、 前記残留黒液から残留黒液濾液を生成する段階であって、前記残留黒液濾液が フルフラールを含む段階と、 前記残留黒液濾液からフルフラール側部引き抜きを除去する段階と、 前記フルフラール側部引き抜きを冷却して、粗製フルフラール層とアルコール に富む層とを形成する段階と、 前記アルコールに富む層のデカンテーションにより、前記粗製フルフラール層 を前記アルコールに富む層から分離する段階と、 前記粗製フルフラール層を溶媒で抽出し、フルフラールラフィネート及びアル コール抽出物を生成する段階と、及び 前記フルフラールラフィネートを精製してフルフラール生成物を生成する段階 とからなる工程。 26.前記アルコールを前記アルコールに富む層から回収する段階と、 前記回収したアルコールをリサイクルする段階と、及び 前記リサイクルした回収アルコールを前記水混和性有機溶媒 と組み合わせる段階とを含む、請求項25の工程。 27.前記抽出段階が、交差流溶媒抽出である、請求項26の工程。 28.前記粗製フルフラール層及び前記溶媒が、約1:1から3:2の容積比率 で混合される、請求項27の工程。 29.前記抽出段階が、向流溶媒抽出である、請求項26の工程。 30.前記粗製フルフラール層と前記溶媒が、約3:2の流量比率で混合される 、請求項29の工程。 31.前記フルフラールラフィネートが浸透気化により精製される、請求項26の 工程。 32.前記フルフラールラフィネートを第一の区画へと導入し、前記第一の区画 が膜によって第二の区画から隔てられている段階と、 前記第二の区画へと前記フルフラールラフィネート中に含まれる水を分離する 段階と、 前記フルフラールラフィネート中の前記水を蒸発させる段階と、及び 前記フルフラール生成物を前記区画から生成する段階とを含む、請求項31の工 程。 33.約95から98%のフルフラールを含む、請求項32のフルフラール生成物。 34.前記フルフラールラフィネートが蒸留によって精製される、請求項26の工 程。 35.約95から99%のフルフラールを含む、請求項34のフルフラー ル生成物。 36.水混和性有機溶媒による繊維質植物原料のパルプ化において生成される黒 液から低分子量リグニンを回収するための工程であって、 前記残留黒液から残留黒液濾液を生成する段階と、 前記残留黒液濾液から残留黒液カン出流を生成し、前記残留黒液カン出流が前 記低分子量リグニンを含む段階と、 前記低分子量リグニンを含む前記残留黒液カン出流の一部を濃縮し、タール状 有機相及び水性相を生成する段階と、 前記タール状有機相を前記水性相から、前記タール状有機相のデカンテーショ ンによって分離する段階と、 前記水性相を濃縮する段階と、 前記濃縮された水性相を、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、フラン、3− ヘキサノール、及びフルフラールからなる群より選択された要素からなる有機溶 媒で抽出する段階と、 水性抽出物及びラフィネートを生成する段階と、 前記ラフィネートを蒸留して、前記低分子量リグニン、及び前記有機溶媒を含 む濃縮物を含むカン出流を生成する段階と、 前記カン出流を収集する段階と、 前記カン出流を前記タール状有機相と混合する段階と、及び 前記タール状有機相及び前記カン出流に含まれる前記低分子量リグニンを分離 する段階とからなる工程。 37.前記水性抽出物を前記有機溶媒から分離する段階と、 前記有機溶媒を前記分離段階から回収する段階と、及び 前記分離段階からの前記有機溶媒と前記蒸留段階からの前記有機溶媒とを組み 合わせる段階とをさらに含む、請求項36の工程。 38.前記回収した有機溶媒を前記抽出段階において用いるべくリサイクルする 段階を含む、請求項37の工程。 39.500グラム/モル未満の数平均分子量を有する、請求項38の低分子量リグ ニン。 40.ガラス転移温度を有する、請求項39の低分子量リグニン。 41.前記ガラス転移温度が約24°から60℃の範囲内にある、請求項40の低分子 量リグニン。 42.500グラム/モル未満の数平均分子量を有する、低分子量リグニン。 43.ガラス転移温度を有する、請求項42の低分子量リグニン。 44.前記ガラス転移温度が約24°から60℃の範囲内にある、請求項43の低分子 量リグニン。 45.約95から99%のフルフラールからなる、フルフラール生成物。 46.水混和性有機溶媒で木材その他の繊維質植物原料をパルプ化して副生物と して黒液を生成し、該黒液から次いで溶媒を回収するための装置において、黒液 を酸水溶液で希釈して得られる希釈黒液からリグニンを沈殿させ、リグニン欠乏 上澄みを残す手段(a)と、及びその後、リグニン欠乏上澄みから沈殿したリグ ニンを分離する手段(b)とからなる、沈殿リグニン成分 を生成し回収する改良型装置。 47.繊維質植物原料をパルプ化し、パルプ及びパルプ化工程の副生物を回収す る装置であって、 繊維質植物原料を水混和性有機溶媒でパルプ化し、パルプ及び黒液を生成する 手段(a)と、 次いでパルプを黒液から分離する手段(b)と、 その後パルプを黒液から除去する手段(c)と、 その後黒液を酸水溶液で希釈して、得られる希釈黒液からリグニンを沈殿させ 、リグニン欠乏上澄みを残す手段(d)と、及び その後黒液をリグニン欠乏上澄みから分離する手段(e)とからなる装置。 48.繊維質植物原料をパルプ化し、パルプ及びパルプ化工程の副生物を回収す る装置であって、 繊維質植物原料を水混和性有機溶媒でパルプ化してパルプ及び黒液を生成し、 パルプを黒液から分離し除去する抽出器と、 溶媒を黒液から分離除去して残留黒液を残すフラッシュタンクと、 フラッシングした溶媒を濃縮しリサイクルする凝縮器と、 残留黒液、水、及び酸からなる混合物を迅速且つ念入りに混合して、残留黒液 からリグニンを沈殿させるミキサーと、 残留黒液、水、及び酸の混合物からリグニンを分離し、残留黒液、水、及び酸 を有するリグニン並びに清澄残留黒液上澄み を形成する沈降タンクと、 リグニンを残留黒液、水、及び酸からさらに分離し、パウダー状リグニン及び さらなる清澄残留黒液上澄みを形成する遠心分離器と、 沈降タンク及び遠心分離器から塔へと導入された上澄み中の溶媒含量を上澄み から回収し、さらなる繊維質植物原料のパルプ化に用いるようリサイクルしてカ ン出流を形成させる溶媒回収塔と、 カン出流を濃縮してヘミセルロース、糖類、抽出物、及び低分子量リグニンを 回収し又は燃料として燃焼させる蒸発器とからなる装置。 49.水混和性有機溶媒中において繊維質植物原料をパルプ化し、前記水混和性 有機溶媒、リグニン、及びパルプ化工程からの他の副生物を回収する装置であっ て、 前記繊維質植物原料を前記水混和性有機溶媒中でパルプ化して蒸解混合物を生 成する手段(a)であって、該蒸解混合物がセルロースパルプ及び黒液を含み、 該黒液が前記リグニン及び前記副生物を含み、 前記パルプ化手段(a)により生成された前記セルロースパルプ及び前記黒液 を分離する手段(b)と、 前記手段(b)により分離された前記セルロースパルプからブラウンストック パルプを分離する手段(c)と、 前記手段(c)により分離されたブラウンストックパルプを 回収する手段(d)と、 前記手段(b)により分離された前記黒液から前記リグニンを分離する手段( e)と、 前記手段(b)により分離された前記黒液から前記リグニンを回収する手段( f)と、 前記水混和性有機溶媒、及び前記手段(b)により分離された前記黒液から前 記副生物を分離する手段(g)と、及び 前記水混和性有機溶媒、及び前記手段(g)により分離された前記副生物を回 収する手段(h)とからなる装置。 50.前記手段(h)により回収された前記水混和性有機溶媒を前記装置におい てさらに使用すべくリサイクルする手段(i)をさらに含む、請求項49の装置。 51.前記手段(b)により分離された前記黒液から粗製フルフラールを分離す る手段(j)をさらに含む、請求項50の装置。 52.前記手段(j)により分離された粗製フルフラールからフルフラール生成 物を分離する手段(k)をさらに含む、請求項51の装置。 53.前記手段(k)により分離された前記フルフラール生成物を回収する手段 (l)をさらに含む、請求項52の装置。 54.前記手段(b)により分離された前記黒液からタール状有機相を分離する 手段(m)をさらに含む、請求項53の装置。 55.前記手段(m)により分離された前記タール状有機相から低分子量リグニ ンを分離する手段(n)をさらに含む、請求項54 の装置。 56.前記手段(n)により分離された低分子量リグニンを回収する手段(o) をさらに含む、請求項55の装置。 57.前記手段(l)により回収されたフルフラール生成物を、前記装置におい てさらに使用すべくリサイクルする手段(p)をさらに含む、請求項56の装置。 58.前記ブラウンストックを回収する前記手段(d)が、前記ブラウンストッ クを漂白する手段(q)をさらに含む、請求項57の装置。 59.前記ブラウンストックを漂白する前記手段(q)が、漂白されたブラウン ストックから漂白濾液を分離する手段(r)をさらに含む、請求項58の装置。 60.前記手段(r)により分離された前記漂白濾液を回収する手段(s)をさ らに含む、請求項59の装置。 61.前記手段(s)により回収された前記漂白濾液を、前記装置においてさら に用いるべくリサイクルする手段(t)をさらに含む、請求項60の装置。 62.水混和性有機溶媒中において繊維質植物原料をパルプ化し、前記水混和性 有機溶媒、リグニン、及び前記繊維質植物原料のパルプ化から得られる他の副生 物を回収する装置であって、 前記繊維質植物原料を前記水混和性有機溶媒でパルプ化して蒸解混合物を生成 する抽出器であって、該蒸解混合物がセルロースパルプ及び黒液を含み、前記黒 液及び前記セルロースパル プを前記蒸解混合物から分離する抽出器と、 前記黒液からアルコールを分離して残留黒液を形成する分離器と、 前記水混和性有機溶媒を回収する凝縮器と、 前記残留黒液を水及び酸と混合し、前記残留黒液からリグニンを分離させるミ キサーと、及び 前記リグニンを前記残留黒液から分離して残留黒液濾液を生成させる分離器と 、前記残留黒液濾液がフルフラール、低分子量のリグニン、及び前記副生物を含 むことからなる装置。 63.前記残留黒液濾液からアルコールを回収し、該回収したアルコールを前記 水混和性有機溶媒と共に用いるようリサイクルして、残留黒液のカン出流及びフ ルフラールを含む側部引き抜きを形成せしめる溶媒回収塔と、及び 前記残留黒液カン出流を濃縮して、低分子量のリグニン及び前記副生物を前記 黒液カン出流から回収せしめる蒸発器とをさらに含む、請求項62の装置。 64.前記セルロースパルプを前記回収アルコールで洗浄して前記セルロースパ ルプのカッパー価を減少させてブラウンストックパルプを形成し、アルコール/ 水濾液を前記洗浄から回収せしめる洗浄器と、 前記ブラウンストックパルプを水で洗浄する洗浄器と、及び 前記ブラウンストックパルプを漂白し、漂白濾液を生成させ、リサイクルさせ 、前記アルコール/水濾液と組み合わせる漂白 系とをさらに含む、請求項63の装置。 65.前記フルフラール側部引き抜きを冷却して、粗製フルフラール層とアルコ ールに富む層とを生成する熱交換器と、 前記粗製フルフラール層を前記アルコールに富む層から分離するデカンタと、 前記粗製フルフラール層を抽出してフルフラールラフィネート及びアルコール 抽出物を生成する抽出器と、及び 前記フルフラールラフィネートを精製してフルフラール生成物を生成する精製 系とをさらに含む、請求項64の装置。 66.前記アルコールに富む層から前記アルコールを凝縮させる凝縮器をさらに 含む、請求項65の装置。 67.前記低分子量リグニンを含む前記残留黒液カン出流の第一の部分を濃縮し てタール状有機相及び水性相を形成する蒸発器と、 前記タール状有機相を前記 水性相から分離するデカンタと、 前記水性相中の前記低分子量リグニンを分離して水性抽出物及びラフィネート を生成する抽出カラムと、 前記有機溶媒から前記水性抽出物を分離して前記有機溶媒を回収する溶媒回収 器と、及び 前記ラフィネートを蒸留して、前記低分子量リグニンを含むカン出流を生成す る蒸留カラムをさらに含む、請求項66の装置。
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