JPH0843189A - 音場推定方法および装置 - Google Patents

音場推定方法および装置

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JPH0843189A
JPH0843189A JP17534094A JP17534094A JPH0843189A JP H0843189 A JPH0843189 A JP H0843189A JP 17534094 A JP17534094 A JP 17534094A JP 17534094 A JP17534094 A JP 17534094A JP H0843189 A JPH0843189 A JP H0843189A
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point
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measurement
estimation
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JP17534094A
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Hideo Suzuki
英男 鈴木
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Ono Sokki Co Ltd
Original Assignee
Ono Sokki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、音源から近距離離れた位置の音場を
測定して遠距離の音場を推定する音場推定方法およびそ
の方法の実施に用いる装置に関し、短時間にかつ正確に
その測定,推定を行う。 【構成】測定面20上の各測定点の音響インテンシティ
を測定してそれら各音響インテンシティの各測定点から
推定点30に向かう方向の成分を求め、あるいは、複数
の測定点における、各測定点と推定点とを結ぶ方向の音
響インテンシティを求め、それらを互いに加算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被測定音源から例えば
近距離離れた位置の音場を測定して遠距離の音場を推定
する音場推定方法およびその方法の実施に用いる装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近距離の音場を測定し、遠距離の音場を
推定することが必要である場合が多い。例えば、車両の
騒音を評価する方法として、図5に示すように、建物な
どの反射物が近くにない屋外で、車両1を直進進行させ
側方7.5m離れた位置での音圧を測定する方法が行わ
れている。この方法は法的に決められた方法であり、あ
る車種の騒音評価値を求めるにはこの方法に則って行う
必要がある(TRIAS20−1985)。
【0003】しかしながら、車両の開発段階ではいちい
ち屋外に持ち出して騒音測定することは天候条件なども
あり、手間がかかる。そこで現実には屋内の半無響室で
測定することが行われる。図6は、半無響室内に車両を
配置した状態を示す正面図(A)および平面図(B)で
ある。
【0004】この半無響室10の床11は反射性を有
し、床11以外の壁12や天井13は吸音性を有してい
る。この半無響室10内に車両1のタイヤ2を乗せる自
由回転ロール14を設置し、その自由回転ロール14上
にタイヤ2が載置されるように車両1を乗せ、車両1を
動かしてその騒音を測定する。
【0005】ここで問題となる点は、半無響室10内で
車両1の中心から側方7.5mの半無響空間をとれるよ
うな大きな半無響室は非常にコスト高となることであ
り、現実にはこれだけの距離をとれないことがほとんど
である。そこで近距離(例えば図6(B)に示すような
3.75m以内)で音場を測定し遠距離(例えば7.5
m以上)のそれを推定することが必要となる。この手法
の代表的なものとして音響ホログラフィ法がある。その
中でも平面音響ホログラフィ法が最も一般的である
(E.G.Williamas and J.D.Ma
ynard,“Nearfield holograp
hy,a new technique for no
ise radiation measuremen
t,”in Proceedings of INTE
R−NOISE 81,19−24, Noise C
ontrol Foundation, 1981)。
【0006】図7は、音響ホログラフィ法の説明図であ
る。音源1から所定距離離れた位置に測定面20Aを仮
定し、その測定面20A上の多数の各点の音圧を、その
位相まで含めて測定する。測定面20A上の音圧分布を
求めた後、その測定面20A上の多数の測定点の、音圧
の推定点30への寄与を求め、その寄与を測定面20A
全域にわたって積分する(多数の測定点すべてにわたっ
て加算する)ことにより推定点30の音圧を求めること
ができる。
【0007】ただし、半無響室の場合、床面11は反射
性であるため、実音源1Aのほか床11に関し対象の位
置に仮想音源1Bが存在すると考えることができ、この
場合、床面11の下側(図示のxのマイナス方向)にも
測定面20Bが存在し、その仮想的な測定面20B上の
音圧分布も実際の測定面20A上の音圧分布を床面11
に関し反転させた対称の音圧分布を有するものとし、そ
れらの測定面20A,20B全域にわたる音圧の、推定
点30への寄与を考慮した計算を行う必要がある。
【0008】この音響ホログラフィ法は理論上正確であ
り、測定面20A上の音圧分布をその位相分布まで含め
精密に測定することにより、推定点30の音圧を正確に
求めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ここで、音響ホログラ
フィ法の最大の問題点は、遠距離音場(推定点30の音
圧)を正しく推定するには、サンプリング定理により、
音波の波長の1/2以下の間隔で測定点を定め、各測定
点について、位相を含めた音圧を測定する必要がある点
である。例えば周波数が4kHzまでの音波の音圧を推
定しようとすると、測定面上の測定点の間隔は5cm以
下でなければならない。車両側方の騒音予測を行うに
は、その車両の大きさより広い測定面を仮定し、その広
い測定面上の、上記の間隔の多数の測定点について測定
する必要がある。たとえば乗用車を例にとると、測定面
20Aは少なくとも横5m高さ3m程度は必要である。
したがってこの場合、5m/5cm×3m/5cm=1
00×60=6000(点)の測定が必要となる。縦方
向に60個のマイクロフォンを配列し、60点の音圧を
一度に測定したとしても、100回測定する必要があ
る。しかもここでは位相情報を含めた音圧を測定する必
要があるため、ある基準点を定めてその基準点の音圧の
位相に対する各測定点の音圧の位相を測定することにな
るが、車両のような場合には騒音が時間的に一定してお
らず複雑に変動することや、独立な音源が多くあり、各
音源それぞれに対して位相を含めた音圧情報(ホログラ
ム情報)を求める必要がある。これらを総合すると1台
の車両の1回の測定に数時間から数十時間を要すること
になる。さらに問題となる点は車両のような場合には温
度変化などにより騒音特性が変化するため、長時間かけ
た測定では意味がないことになってしまう可能性があ
る。
【0010】本発明は、上記事情に鑑み、例えば上記の
ような車両の近距離における騒音を測定し遠距離におけ
る騒音を推定するにあたり、短時間にかつ正確にその測
定,推定を行うことのできる音場推定方法およびその方
法の実施に好適な装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の第1の音場推定方法は、音源から第1の距離だけ離
れた測定面上の音場を測定して、その音源から、第1の
距離とは異なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推
定する音場推定方法において、上記測定面上の互いに離
れた複数の各測定点の各音響インテンシティを測定し、
それら各音響インテンシティの、前記各測定点から推定
点に向かう方向の成分を求め、それら各音響インテンシ
ティの上記各成分を互いに加算することにより推定点の
インテンシティレベルを求め、そのインテンシティレベ
ルを用いて推定点の音圧レベルを推定することを特徴と
する。
【0012】また、上記目的を達成する本発明の第2の
音場推定方法は、音源から第1の距離だけ離れた測定面
上の音場を測定して、その音源から、第1の距離とは異
なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する音場
推定方法において、上記測定面上の互いに離れた複数の
各測定点の、それら各測定点から上記推定点に向かう方
向の各音響インテンシティを測定し、上記音響インテン
シティを互いに加算することにより推定点のインテンシ
ティレベルを求め、そのインテンシティレベルを用いて
前記推定点の音圧レベルを推定することを特徴とする。
【0013】ここで上記本発明の第1ないし第2の音場
推定方法において、上記音響インテンシティレベルの、
真の音圧レベルからの平均的な偏差を複数の周波数それ
ぞれについて求めておき、上記インテンシティレベルを
求めた際に、そのインテンシティレベルを前記偏差を用
いて補正することにより上記推定点の音圧レベルを推定
することが好ましい。
【0014】また、上記方法の実施に好適な本発明の第
1の音場推定装置は、音源から第1の距離だけ離れた測
定面上の音場を測定して、その音源から、第1の距離と
は異なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する
音場推定装置において、上記測定面上の互いに離れた複
数の各測定点の各音響インテンシティを測定する音響イ
ンテンシティ測定手段と、音響インテンシティ測定手段
により測定された各音響インテンシティの、各測定点か
ら推定点に向かう方向の成分を求めそれらの成分を互い
に加算することにより推定点のインテンシティレベルを
求める演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】また、上記方法の実施に好適な本発明の第
2の音場推定装置は、音源から第1の距離だけ離れた測
定面上の音場を測定して、その音源から、第1の距離と
は異なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する
音場推定装置において、上記測定面上の互いに離れた複
数の各測定点の、それら各測定点から上記推定点に向か
う方向の各音響インテンシティを測定する音響インテン
シティ測定手段と、前記音響インテンシティ測定手段に
より測定された前記各音響インテンシティを互いに加算
することにより推定点のインテンシティレベルを求める
演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】ここで、本発明の音場推定装置において、
上記の要件に加え、上記インテンシティレベルの、真の
音圧レベルからの平均的な偏差を複数の周波数それぞれ
について記憶する記憶手段と、上記偏差を用いて上記イ
ンテンシティレベルを補正することにより上記推定点の
音圧レベルを推定する補正手段とを備えることが好まし
い。
【0017】尚、上記本発明の第1の音場推定方法およ
び第1の音場推定装置は、各測定点の音響インテンシテ
ィを求めた後に、それら各測定点の音響インテンシティ
の、各測定点から推定点に向かう方向の成分を求めるも
のであり、この場合、例えば、測定面に垂直な方向に2
つのマイクロフォンが並ぶ一次元音響インテンシティセ
ンサを用いて各測定点の音響インテンシティを測定した
後に、演算により、その測定された各測定点の音響イン
テンシティの、各測定点から推定点に向かう方向の成分
が求められる。一方、上記本発明の第2の音場推定方法
および第2の音場推定装置は、各測定点における、それ
ら各測定点から推定点に向かう方向の音響インテンシテ
ィを直接測定するものであり、この場合、一次元音響イ
ンテンシティセンサを構成する2つのマイクロフォン
を、各測定点と推定点とを結ぶ方向に並ばせる必要があ
り、このため、各測定点でセンサを異なる角度に設定す
る(例えば、センサにパルスモータを取り付け、センサ
全体を各測定点に移動させるとともに、その移動した測
定点と所定の推定点とを結ぶ直線上に2つのマイクロフ
ォンが並ぶようにそのセンサの角度を調整する)等の操
作が必要となる。ただし、この場合、測定後、音響イン
テンシティの成分を求める演算は不要となる。
【0018】尚、本発明は、一次元音響インテンシティ
センサを用いることに限定されるものではなく、例えば
4個ないし6個のマイクロフォンを組み合わせた、測定
点の3次元的な音響インテンシティを測定する、三次元
音響インテンシティセンサを用いて各測定点の音響イン
テンシティを測定してもよい(三次元音響インテンシテ
ィセンサについては、例えば特開平5−288598号
公報参照)。
【0019】ただし、測定面に対し、例えば垂直な方向
の音響インテンシティを測定してその測定点から推定点
へ向かう方向の成分を求める手法も、センサの角度を調
整して各測定点から推定点に向かう方向の音響インテン
シティを測定する手法も、さらに三次元インテンシティ
センサを用いる手法も、本質的には何ら変わるところは
ない。
【0020】
【作用】車両の騒音測定方法として、正式には車両の側
方7.5mの位置の音圧を測定することと定められてお
り、その点の音圧を正確に求めるには、前述した音響ホ
ログラフィ法を採用することが理論上は正しい。しかし
ながら音響ホログラフィ法では、測定が大変であり、測
定に時間がかかりその間に騒音の方が変動し、かえって
不正確な推定値しか得られない結果となってしまうおそ
れがある。また、音圧は測定点が僅かに変化してもその
値が大きく変動する場合が多く、したがって車両の側方
7.5mの位置の音圧を測定しても測定点の僅かな位置
の相違によりその測定値が大きく変動してしまう。
【0021】本発明方法は、理論上は音圧を正しく推定
する方法ではないが、ここでは、推定点の騒音の大きさ
はその推定点に向かう音響パワーの集合と考え、シミュ
レーションを行った結果、極めて良好な結果を得ること
ができた。そのシミュレーションの条件および結果につ
いては後述する。本発明は、上記の考え方に基づき、測
定面上の複数の測定点の音響インテンシティを求めてそ
の音響インテンシティの、推定点に向かう方向の成分を
求め、あるいは、複数の測定点における、各測定点と推
定点とを結ぶ方向の音響インテンシティを求め、それら
を互いに加算したインテンシティレベルを求める。推定
点に向かう方向の音響インテンシティ(成分)が、その
推定点に向かって流れる音響パワーと考えられるからで
ある。
【0022】音響インテンシティを測定量として用いる
理由は、 (1)騒音源の音響パワーは音源を囲む面でその面に垂
直な音響インテンシティを測定し、面積分すれば求めら
れる。 (2)音響インテンシティレベルと音圧レベルは反射の
少ない音場ではほぼ同じ値になる。 (3)音圧と異なり、場所による変化が少ない。 (4)各測定点どうし位相関係を考慮する必要がない。
【0023】尚、音響インテンシティ自体については広
く知られた概念であり、またその測定方法も確立された
ものであり、ここでは音響インテンシティ自体について
の詳細な説明は省略する。このようにして推定点に集ま
る音響パワーを合計することにより、理論上は音圧とい
う概念とは異なるものの、良好な近似を得ることができ
る。このようにして求めたインテンシティレベル、即ち
推定点に集まる音響パワーと、例えば実際に7.5mの
位置で測定した音圧値との偏差を各周波数毎に求めてお
き、上記のようにして求めたインテンシティレベルを補
正することにより、一層良好な近似を得ることができ
る。
【0024】また、測定面上の音響インテンシティの測
定点どうしの間隔は、音圧測定時のそれと比べかなり粗
くても十分であり、また、音圧測定時のような位相の測
定はない。したがって前述した音響ホログラフィ法と比
較し、極めて短時間、例えば5分程度で測定を完了する
ことができる。ここで、本発明方法による推定手法の具
体的なステップの一例を以下に述べる。
【0025】・ステップ1:例えば、車両側方3.75
mの位置で横8m、高さ3mの測定面上の50cm間隔
の各測定点で、測定面に垂直な方向の音響インテンシテ
ィを測定する。これにより、例えば図1に実線の矢印で
示すような、測定面20に垂直な方向の音響インテンシ
ティが測定される。 ・ステップ2:ステップ1で測定された各測定点におけ
る音響インテンシティに、各測定点から推定点30(例
えば、車両の前後方向の中心線から側方に7.5m離れ
た位置)の方向への方向余弦を掛けることにより、各測
定点の音響インテンシティの、各測定点から推定点に向
かう方向に延びる成分(図1に示す破線の矢印)を求
め、そのようにして求めた成分どうしをすべての測定点
について加算したインテンシティレベルを求める。
【0026】・ステップ3:事前に求められた、測定条
件から決まる補正値を前述のインテンシティレベルに掛
け、その掛けた値を音圧の推定値とする。 以上のステップにより、推定点での音圧が推定される。
上述のステップ1は測定面を通過する音響パワーを求め
ることに相当する。ステップ2は測定面を通過した音響
インテンシティのうち、推定点の音響インテンシティに
寄与するものは各測定点から推定点を結ぶ方向を用いた
成分(ないしその方向の音響インテンシティ)である、
との仮定に基づく。この仮定の正しさは後述の数値シミ
ュレーションで検討する。ステップ3は本方法による推
定点での推定値と音圧とを結びつける理論的な裏付けが
ないためである。補正値の求め方は、音響ホログラフィ
ー法の結果とステップ2の結果とを対応させて求めても
よいし、車両を屋外に持ち出して測定した結果との対応
から求めてもよい。この作業は1度行えばよいので、現
実的に大きな問題となることはない。また、車両でなく
スピーカなどの音源を用いてもよいので、安定した条件
で補正値を求めることもできる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
2は、本発明の音場推定装置の一実施例の構成を示すブ
ロック図である。この音場推定装置100には、音響イ
ンテンシティを測定するための複数のインテンシティプ
ローブ101A,101B,101C,……,101N
が備えられている。
【0028】これら複数のインテンシティプローブ10
1A,101B,101C,……,101Nのそれぞれ
は、互いに所定の微小間隔だけ離れた2つのマイクロフ
ォンで構成されている。それら複数のインテンシティプ
ローブ101A,101B,101C,……,101N
は、音源1Aから放射された音の音響インテンシティの
測定に際し、測定面20に配置される。インテンシティ
プローブ101A,101B,101C,……,101
Nの数が測定点の数よりも少ないときは、それらのイン
テンシティプローブ101A,101B,101C,…
…,101Nを未測定点に順次移動させながら複数回の
測定が行われる。
【0029】それらのインテンシティプローブ101
A,101B,101C,……,101Nで測定された
音響インテンシティは、演算手段102に入力される。
この演算手段102では、図1参照して説明したよう
に、各音響インテンシティの、各測定点から推定点に向
かう方行の成分が求められ、それらの成分どうしが加算
されて加算値(インテンシティレベル)が求められる。
この加算値は、補正手段103に入力され、補正手段1
03では、その加算値に、記憶手段104にあらかじめ
格納されている補正値が掛け算され、これにより、推定
点の音圧に相当する値が求められる。この値は、表示手
段105に入力され、CRTディスプレイ上に表示さ
れ、あるいはプリントアウトされる。
【0030】次に、本発明手法により音圧がどの程度の
精度で推定されるかについて、シミュレーションの結果
に基づいて説明する。図3は、3つの独立な点音源(左
側の丸印)、音響インテンシティの測定面(中央の太
線)、および推定点の位置関係を示した図である。音源
の下の括弧内の数字は各音源のx,y,およびz座標で
ある。y軸は、図3の紙面に垂直な方向とする。ここで
は床は反射性としており、したがってy=0の面に関し
対称な位置にそれぞれのイメージ音源が存在する。3
個、2個および1個だけの音源から音を放射する各場合
について、本発明方法により推定される推定音圧と真の
音圧がどの様に変化するかを調べた。
【0031】図4の下部は推定点での真の音圧(点線)
と補正前の推定音圧(実線)をdBで示したものであ
る。ただし、真の音圧はx,y,z座標がそれぞれ
(0.0,1.2,7.5)の基準位置(推定点)での
音圧と、その基準位置に対してz=7.5mの面上で左
右(x方向)へ±0.1m、上下(y方向)へ±0.1
m移動した4点での音圧を求め、それら合計5点での音
圧の平均値を用いている。これは、ここでは離散的な数
少ない点音源を音源として用いているため、基準位置一
点のみの音圧は音源の配置位置や基準位置のとり方によ
り余りにも大きく変化するので、その影響を少なくする
ためである。音源の駆動条件は0.1.1などで示して
いる。これは、図3に示す音源を下から順に音源1,
2,3と呼んだとき、各音源1,2,3から音が放射さ
れているか(‘1’)、あるいは音が放射されていない
か(‘0’)を示したものであり、0.1.1は、音源
1は停止しており、音源2,3のみが音を放射している
ことを意味する。どの音源を停止しておきどの音源から
音を放射するかという種々の駆動条件に対して、推定点
における真の音圧と本発明手法により推定された音圧と
のレベル差を表わしたものが図4の上部に示す結果であ
る。
【0032】レベル差でみると、音源の駆動条件を変え
ても、周波数ごとにみると、駆動条件による真の音圧の
変化量より、レベル差の変化量の方が小さくなってい
る。このことは、音響インテンシティによる推定値が真
の音圧の変化に十分に追随していることを意味してい
る。125Hz、250Hzではこれがほぼ完全になさ
れている。1000Hzでは、真の音圧は、駆動条件に
より10dBほどの変化幅あるにもかかわらず、推定値
と真の音圧レベル差は5dB以内におさまっている。補
正値は各周波数ごとにレベル差の平均値が0dBとなる
ものとして決めればよい。このようにすれば音響インテ
ンシティによる推定値と真の音圧値の差を約±3.5d
B以内にすることが可能である。
【0033】図4から分かるように、真の音圧が所定の
分散を有するときに、推定値とのレベルの差でみるとそ
の分散がより小さくなるということは、音響インテンシ
ティの測定による推定が音圧の変化に対応していること
を示している。このシミュレーションでは音響インテン
シティの測定点数は7×17(点)であり、それぞれ2
つのマイクロフォンからなる7個のインテンシティプロ
ーブを用意すれば17回の測定で済む。これは従来の音
響ホログラフィ法と比べ非常に大きな計測時間の短縮効
果をもたらすものであり、例えば車両を音源とした場合
に長時間一定の運転を維持する必要がなくなり、クリテ
ィカルな運転条件を長時間維持する必要もなくなる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば音
響ホログラフィ法と比較して、はるかに少ない数の測定
点での音響インテンシティの計測により推定点での音圧
の推定が実用的に十分に許容できる精度で可能である。
また本発明によれば測定時間が大幅に短縮でき、したが
って特に自動車などの騒音評価にはその信頼性において
大きな改善がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定面上の音響インテンシティの模式図であ
る。
【図2】本発明の音場推定装置の一実施例の構成を示す
ブロック図である。
【図3】3つの独立な点音源(左側の丸印)、音響イン
テンシティの測定面(中央の太線)、および推定点の位
置関係を示した図である。
【図4】推定点で真の音圧、本発明方法により推定され
た音圧、およびそれらのレベル差を表わしたグラフであ
る。
【図5】車両の騒音の測定方法の説明図である。
【図6】半無響室内に車両を配置した状態を示す正面図
(A)および平面図(B)である。
【図7】音響ホログラフィ法の説明図である。
【符号の説明】
1 車両 1A 音源 1B 仮想音源 10 半無響室 20 測定面 30 推定点 100 音場推定装置 101A,101B,101C,……,101N イン
テンシティプローブ 102 演算手段 103 補正手段 104 記憶手段 105 表示手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音源から第1の距離だけ離れた測定面上
    の音場を測定して、該音源から、前記第1の距離とは異
    なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する音場
    推定方法において、 前記測定面上の互いに離れた複数の各測定点の各音響イ
    ンテンシティを測定し、 前記各音響インテンシティの、前記各測定点から前記推
    定点に向かう方向の成分を求め、 前記各音響インテンシティの前記各成分を互いに加算す
    ることにより前記推定点のインテンシティレベルを求
    め、 前記インテンシティレベルを用いて前記推定点の音圧レ
    ベルを推定することを特徴とする音場推定方法。
  2. 【請求項2】 音源から第1の距離だけ離れた測定面上
    の音場を測定して、該音源から、前記第1の距離とは異
    なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する音場
    推定方法において、 前記測定面上の互いに離れた複数の各測定点の、該各測
    定点から前記推定点に向かう方向の各音響インテンシテ
    ィを測定し、 前記音響インテンシティを互いに加算することにより前
    記推定点のインテンシティレベルを求め、 前記インテンシティレベルを用いて前記推定点の音圧レ
    ベルを推定することを特徴とする音場推定方法。
  3. 【請求項3】 前記インテンシティレベルの、真の音圧
    レベルからの平均的な偏差を複数の周波数それぞれにつ
    いて求めておき、 前記インテンシティレベルを求めた際に、該インテンシ
    ティレベルを前記偏差を用いて補正することにより前記
    推定点の音圧レベルを推定することを特徴とする請求項
    1又は2記載の音場推定方法。
  4. 【請求項4】 音源から第1の距離だけ離れた測定面上
    の音場を測定して、該音源から、前記第1の距離とは異
    なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する音場
    推定装置において、 前記測定面上の互いに離れた複数の各測定点の各音響イ
    ンテンシティを測定する音響インテンシティ測定手段
    と、 前記音響インテンシティ測定手段により測定された前記
    各音響インテンシティの、前記各測定点から前記推定点
    に向かう方向の成分を求め該成分を互いに加算すること
    により前記推定点のインテンシティレベルを求める演算
    手段とを備えたことを特徴とする音場推定装置。
  5. 【請求項5】 音源から第1の距離だけ離れた測定面上
    の音場を測定して、該音源から、前記第1の距離とは異
    なる第2の距離だけ離れた推定点の音場を推定する音場
    推定装置において、 前記測定面上の互いに離れた複数の各測定点の、該各測
    定点から前記推定点に向かう方向の各音響インテンシテ
    ィを測定する音響インテンシティ測定手段と、 前記音響インテンシティ測定手段により測定された前記
    各音響インテンシティを互いに加算することにより前記
    推定点のインテンシティレベルを求める演算手段とを備
    えたことを特徴とする音場推定装置。
  6. 【請求項6】 前記インテンシティレベルの、真の音圧
    レベルからの平均的な偏差を複数の周波数それぞれにつ
    いて記憶する記憶手段と、 前記偏差を用いて前記インテンシティレベルを補正する
    ことにより前記推定点の音圧レベルを推定する補正手段
    とを備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の音場
    推定装置。
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