JPH083677A - 耐衝撃性に優れた自動車用鋼板とその製造方法 - Google Patents
耐衝撃性に優れた自動車用鋼板とその製造方法Info
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- JPH083677A JPH083677A JP13862694A JP13862694A JPH083677A JP H083677 A JPH083677 A JP H083677A JP 13862694 A JP13862694 A JP 13862694A JP 13862694 A JP13862694 A JP 13862694A JP H083677 A JPH083677 A JP H083677A
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Abstract
動車用鋼板を得ること。 【構成】 フェライト相と5〜40%を占めるマルテンサ
イト相から構成されていて、そのマルテンサイト槽は平
均結晶粒径が3μmの大きさである組織を有する耐衝撃
性に優れた自動車用鋼板と、鋼材を、冷延後、 780〜90
0 ℃で仕上焼鈍し、 650℃までを5〜20℃/secで冷却
し、さらに 650〜 100℃を10〜30℃/secで冷却して上記
自動車用鋼板を得る製造方法。
Description
品などとしてプレス成形等の加工が施されてから用いら
れる鋼板、とくに自動車が走行中に万一衝突した場合に
優れた耐衝撃性が求められる部位の素材として好適に用
いられる自動車用鋼板とそれの製造方法に関するもので
ある。最近、地球環境保全の機運が高まってきたことを
背景として、自動車からのCO 2 排出量の低減、すなわち
自動車車体の軽量化が求められている。こうした軽量化
の方法としては、鋼板の高強度化による板厚の低減が有
効である。従って、自動車用鋼板としては、この高強度
化とともにプレス成形性の確保の両方の特性に優れたも
のが望ましい。さらに、自動車車体の設計思想に基づけ
ば、単純な鋼板の高強度化のみでなく、走行中に万一衝
突した場合の耐衝撃性に優れた鋼板、すなわち高歪速度
で変形した場合に高い変形抵抗を有する鋼板の開発が、
自動車の安全性の向上をもたらすとともに、車体の軽量
化の実現に有効に寄与するものと言える。
ライト単相組織では主としてSi, Mn,Pといった置換型
元素を添加することによる固溶強化、あるいはフェライ
ト相中にマルテンサイト相、ベイナイト相あるいはオー
ステナイト相を析出させた組織強化による方法が一般的
である。例えば、特開昭56−139654号公報等では、極低
炭素鋼( C≦0.015 wt%) に加工性、時効性を改善する
ためにNbを含有させ、さらにP等の強化成分を加工性を
害しない範囲で含有させて高強度化を図った鋼板を提案
している。その他、例えば特開昭59−193221号公報に
は、極低炭素鋼(C≦0.005 wt%)にB, Ti, Nbの複合
添加によってさらに高強度化を図る方法の提案がなされ
ている。また、特開昭60−52528 号公報には、低炭素鋼
を高温で焼鈍し、冷却後にマルテンサイト相を析出させ
ることにより延性に優れた高強度鋼の製造方法が開示さ
れている。
法での鋼板の高強度化では、自動車ボディの板厚をある
程度減少させることはできても、本質的に改善するまで
には至っていない。即ち、これらの提案は、鋼板強度の
指標である降伏強度あるいは引張強度を、歪速度が10-3
〜10-2(s-1) と極めて遅い、いわゆる静的な評価方法の
みに基づいて求めている。しかし、実際の自動車ボディ
の設計では、このような静的な強度よりもむしろ、衝突
時の安全性を考慮した、歪速度が10〜104 (s-1) の衝撃
的な変形を伴う、いわゆる動的な評価方法に基づく強度
の方が重要となる。従って、静的強度のみに着目して開
発されている, 上述した従来の各提案は、自動車車体の
軽量化に対して根本的な指標たり得ないという問題があ
った。
かった、高歪速度下での耐衝撃強度に優れた鋼板、具体
的には、 静動比=(歪速度102 (s-1) での降伏応力)/(歪速度
10-3(s-1) での降伏応力) で定義される静動比が、所定の値以上を示す鋼板の開発
を目的とする。本発明者らの研究によれば、この静動比
は、軟鋼板ではおよそ 1.6〜2.0 で、鋼板強度の増加に
したがい静動比は低下する。従って、この静動比が 1.6
以上である高張力鋼板であれば、強度への歪速度依存性
が軟鋼板と同等以上を示し、このような高張力鋼板を使
用することによって、自動車車体の安全性向上を伴う軽
量化を容易に実現することが可能である。そこで、本発
明の主たる目的は、プレス成形性と耐衝撃強度に優れる
自動車用鋼板を得ることにある。本発明の他の目的は、
自動車車体の安全性向上を伴う軽量化を達成できる自動
車用鋼板を得ることにある。
の実現に向け鋭意研究した結果、上記静動比に対して
は、化学組成、鋼組織、熱間圧延条件および冷間圧延後
の仕上焼鈍条件を適宜に調整することで、上述した課題
を解決できることを知見した。すなわち、本発明は、 (1) C:0.010 〜0.10wt%、Si:0.05〜2.0 wt%、Mn:
0.50〜3.00wt%、 P:0.01〜0.15wt%、S:0.01wt%
以下、 B:0.001 〜0.01wt%を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる成分組成を有し、かつその組
織が、体積比で95〜60%のフェライト相と体積比で5〜
40%のマルテンサイト相から構成されていて、そのマル
テンサイト相は平均結晶粒径が3μm以下である耐衝撃
性に優れた自動車用鋼板。 (2) 上記の発明(1) において、フェライト相とマルテン
サイト相との割合は、マルテンサイト相の場合、10〜20
%が好ましい範囲であり、また、マルテンサイト相の平
均結晶粒径は1.0 〜2.5 μmが好ましい範囲である。 (3) C:0.010 〜0.10wt%、Si:0.05〜2.0 wt%、Mn:
0.50〜3.00wt%、 P:0.01〜0.15wt%、S:0.01wt%
以下、 B:0.001 〜0.01wt%を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる鋼材を、熱間圧延につづき冷
間圧延を施した後、 780〜900 ℃の温度で仕上焼鈍を施
し、その冷却過程において、 650℃までの冷却を5〜20
℃/secの速度で行い、さらに 650℃から 100℃までの冷
却を10〜30℃/secの冷却速度で行うことを特徴とする耐
衝撃性に優れた自動車用鋼板の製造方法。 (4) 上記の発明(3) において、仕上焼鈍は 800〜840 ℃
の温度範囲で、上部冷却速度は10〜15℃/sec とし、下
部冷却速度は17〜25℃/sec とする条件がより好ましい
ものとなる。
るべく、Mn含有低炭素鋼をベースに、静動比におよぼす
冶金学的要因について検討した結果、化学組成、組織な
らびに冷延後仕上焼鈍条件などが強く影響していること
がわかった。とくに、鋼組織の検討では、所定量のマル
テンサイト相を析出させて静的強度を確保するととも
に、このマルテンサイト相の周囲に析出したフェライト
相中に存在する転位を制御すれば、静動比の向上が得ら
れることがわかった。以下に、このことについて、さら
に詳しく述べる。一般に、フェライト相とマルテンサイ
ト相からなる2相組織鋼では、製造工程すなわち、熱延
巻取後の冷却過程、あるいは冷延−仕上焼鈍後の冷却過
程において、低温域でマルテンサイト相が析出すると同
時にこのマルテンサイト相の周囲のフェライト相中には
転位が導入されることが知られている。そこで発明者ら
は、Dual Phase鋼の転位密度と鋼板が衝撃変形した場合
の変形挙動の関係を研究した。その結果、フェライト相
中の転位密度を高めると、衝撃変形した場合の鋼板強度
が増加するという知見を得た。ところが、鋼板の動的強
度を効果的に高めるには、従来のDual Phase鋼で得られ
るような109(cm-2)程度の転位密度では不足しており、
さらに転位を強制的に導入する必要のあることがわかっ
た。このような知見の下で発明者らは、かかるフェライ
ト相中への転位の導入方法につき種々検討した結果、マ
ルテンサイト相を微細化して分散析出させる必要があ
り、そのためには、鋼の成分組成としてはBの添加が
不可欠であり、そして、仕上焼鈍のヒートサイクルの
制御が必要であるとの結論に到達し、本発明に想到する
に至った。
として採用した静動比は、1.6 を臨界点とするが、上述
したようにこれは静動比に優れる軟鋼板のレベルに相当
する。ことによるものである。
分を上記のように限定した理由を説明する。 C:0.010 〜0.10wt% Cは、その含有量が 0.010wt%よりも少ない場合、マル
テンサイト相の析出が少なくなって十分な強度が得られ
ず、また、0.10wt%を超える場合は、スポット溶接性が
劣化する。従って、C含有量は、0.010 〜0.10wt%の範
囲に限定した。より好ましくは、0.06〜0.09wt%とする
ことが推奨される。 Si:0.05〜2.0 wt% Siは、その含有量が2.0 wt%を超えると静動比が劣化す
る。したがって、Si含有量の上限は2.0 wt%とした。ま
た、0.05wt%よりも少ない場合、フェライト相の充分な
強度が得られない。したがって、Si含有量の下限は0.05
wt%とした。より好ましいSiの含有量は 0.5〜0.9 wt%
とすることが推奨される。 Mn:0.50〜3.00wt% Mnは、その含有量が0.50wt%よりも少ない場合、マルテ
ンサイト相の析出が少なくなって十分な強度が得られ
ず、また、3.00wt%を超える場合は、静動比とスポット
溶接性が劣化するので、Mn含有量は0.50〜3.00wt%の範
囲に限定するが、より好ましくは 1.5〜2.0 wt%の範囲
内とすることが推奨される。 P:0.01〜0.15wt% Pは、その含有量が0.01wt%よりも少ない場合は、マル
テンサイト相の析出が少なくなって十分な強度が得られ
ず、また、0.15wt%を超える場合は、静動比とスポット
溶接性が劣化するので、0.01〜0.15wt%の範囲に限定し
た。好ましくは0.05〜0.12wt%がよい。 S:0.010 wt%以下 Sは、その含有量を低減することにより、鋼中の析出物
が減少して加工性が向上する。このような効果は、S量
を0.010 wt%以下とすることで得られるが、より好まし
くは0.0010wt%以下がよい。
左右する元素として最も重要な役割を担う成分である。
このBが 0.001wt%よりも少ないと、マルテンサイト相
微細化の効果が得られない。一方、この量が0.01wt%を
超えてもマルテンサイト微細化作用が飽和するし経済的
にも不利となるので、0.001 〜0.01wt%に限定する。よ
り好ましい範囲は0.003 〜0.006 wt%である。
おいては、この鋼組織を、体積比で95〜60%のフェライ
ト相と、体積比で5〜40%のマルテンサイト相とからな
る2相組織としなければならない。とくにマルテンサイ
ト量を5〜40%にすることが重要である。すなわち、体
積比で5%以上のマルテンサイト相を析出させる理由
は、それ未満では自動車用材料としての十分な静的強度
と動的強度、とくに必要な静動比が得られないからであ
る。また、このマルテンサイト相が40%を超えると、プ
レス成形性が著しく低下するので上限を40%に限定し
た。この範囲は10〜20%とすることがより好ましい。
ルテンサイト相を微細化( ≦3 μm) してフェライト相
中への転位の導入を図る点に特徴の1つがある。このフ
ェライト相中の転位密度の導入は、1010 (cm-2) 〜1015
(cm-2) 程度とする。それは、1010 (cm-2) 未満では十
分な動的強度の向上効果が得られないからであり、一
方、1015 (cm-2) を超える転位密度だと、鋼板の延性が
低下してプレス成形性が劣化するからである。
製造に当たっては、冷延後の仕上焼鈍を 780〜900 ℃に
加熱し、その後 650℃までの上部温度域での冷却を5〜
20℃/sec の速度で行い、次いで 650〜100 ℃の下部温
度域での冷却を10〜30℃/secの速度で行うことが必要
である。この理由を以下に説明する。 a.まず、冷延後仕上焼鈍時の加熱温度を 780℃以上に
限定したのは、それ未満では焼鈍中のオーステナイト相
析出が不十分で、冷却中のマルテンサイト相の析出が不
十分となる。一方 950℃を超えると結晶粒が粗大化しプ
レス成形性が低下するので上限を 950℃に限定した。好
ましくは 800〜840 ℃/sec の範囲がよい。 b.また、焼鈍時の上部温度域での冷却過程において、
650℃までの冷却を5〜20℃/sec の範囲で行うのは、
5℃/sec 未満ではオーステナイト相のマルテンサイト
相への変態が不十分で鋼板の十分な強度と静動比が得ら
れず、一方、20℃/sec を超えるとオーステナイト相へ
のC, Mn等の元素の濃化が不十分となり、同じようにマ
ルテンサイト相への変態が不十分で鋼板の十分な強度と
静動比が得られないので、冷却過程での 650℃までの冷
却を 5〜20℃/sec の範囲に限定した。好ましくは10〜
15℃/sec の範囲がよい。 c.さらに、焼鈍時の下部温度域での冷却過程におい
て、 650℃から 100℃までの冷却を10〜30℃/sec の速
度で行うのは、10℃/sec 未満ではマルテンサイト相の
析出が減少して静的強度が低下し、30℃/sec を超える
とフェライト相中の固溶C濃度が高まり静動比が低下す
るので、650 ℃から 100℃までの温度域の冷却を10〜30
℃/sec の速度に限定した。好ましくは17〜25℃/sec
の範囲がよい。
を有する素材から得られる表面処理鋼板に対しても同じ
ように、静動比の向上の効果を付与できる。また、本発
明鋼および方法は、自動車用鋼板を対象としているが、
その他、高歪速度下での強度を要求される用途に対して
も有効であることはいうまでもない。
これらの鋼を用いて熱間圧延することによって3mmt の
熱延鋼板を製造し、そして冷間圧延して 0.7mmt の冷延
鋼板(No.1〜17) を製造し、引張試験により歪速度10-3
と102 での降伏強度を測定し静動比を求め、その結果を
表1にまとめて示した。なお、表中のマルテンサイト体
積率は、鋼板断面の顕微鏡組織を画像解析して得た面積
率から求めた。また、マルテンサイト相の平均結晶粒径
(R)は、上記画像解析に基づき面積率と個数とを測定
し、平均面積を求めて、次式; R=2(A/π)1/2 により計算した。この表1に示す結果から明らかなよう
に、本発明に適合する鋼(No.1〜4) によれば、優れた
静動比を有する鋼板を製造することができる。これに対
し、比較例は、成分組成が不適合( No.11 〜17) の場
合、鋼組織が不適合( No.6, 8, 9, 10〜11) の場合、仕
上焼鈍条件が不適合( No. 5 〜10) の場合、のいずれの
場合も、動的な強度( YS:×102s-1)が低く、多くの場
合で静動比が小さい値に止まっている。
板の成分組成および鋼組織を適正化することによって、
静動比が従来よりも格段に優れた鋼板を製造することが
でき、これらを自動車用鋼板に利用することによって、
自動車車体の軽量化と安全性の向上を図ることができ
る。また、このような鋼板を、冷延後焼鈍条件を適正に
コントロールすることだけで確実に製造することができ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.010 〜0.10wt%、Si:0.05〜2.0 wt
%、 Mn:0.50〜3.00wt%、 P:0.01〜0.15wt%、 S:0.01wt%以下、 B:0.001 〜0.01wt%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有
し、かつその組織が、体積比で95〜60%のフェライト相
と体積比で5〜40%を占めるマルテンサイト相から構成
されていて、このマルテンサイト相は平均結晶粒径が3
μm以下である耐衝撃性に優れた自動車用鋼板。 - 【請求項2】C:0.010 〜0.10wt%、Si:0.05〜2.0 wt
%、 Mn:0.50〜3.00wt%、 P:0.01〜0.15wt%、 S:0.01wt%以下、 B:0.001 〜0.01wt%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材を、熱間
圧延につづき冷間圧延を施した後、 780〜900 ℃の温度
で仕上焼鈍を施し、その冷却過程において、 650℃まで
の冷却を5〜20℃/secの速度で行い、さらに 650℃から
100℃までの冷却を10〜30℃/secの冷却速度で行うこと
を特徴とする耐衝撃性に優れた自動車用鋼板の製造方
法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13862694A JP3370436B2 (ja) | 1994-06-21 | 1994-06-21 | 耐衝撃性に優れた自動車用鋼板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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JPH083677A true JPH083677A (ja) | 1996-01-09 |
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1994
- 1994-06-21 JP JP13862694A patent/JP3370436B2/ja not_active Expired - Fee Related
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