JPH0836642A - イメージ符号化システム及びその前処理フィルター装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、入力デジタルビデオ信号を適応
的にフィルタリングするイメージ符号化システムで用い
る新規な前処理フィルター装置に関する。 【構成】 本発明の前処理フィルター装置は、入力デ
ジタルビデオ信号の現フレームを１フレーム間隔だけ遅
延するフレーム遅延回路１０と、その遅延された前フレ
ームと現フレームの同一の領域で、前フレームのＮ×Ｎ
画素に対する画素平均値と、現フレームのＮ×Ｎ画素に
対する画素平均値との間の偏差信号を発生する偏差算出
器２０と、相異なる遮断周波数を有すると共に並列に配
列された、入力デジタルビデオ信号をフィルタリングす
る少なくとも二つのフィルタリングデバイス３０と、偏
差信号に応答して、フィルタリングされたデジタルビデ
オ信号の一つを発生する制御回路４０と、入力ビデオ信
号を適応的に符号化するイメージ符号化器７０とを有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はフィルター装置に関する
もので、特に、二つの連続したフレーム間の画素値の差
に基づいて入力デジタルビデオ信号を適応的にフィルタ
リングし、イメージ符号化システムで用いる改善された
前処理フィルター装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高精細度テレビ及びビデオ電話システム
のような多様な電子応用分野に於いて、イメージ符号化
システムはデジタルビデオ信号の各フレームを規定する
大量のデータを低減するために、多様なデータ圧縮技
法、例えば、離散的コサイン変換（Ｄｉｓｃｒｅｔｅ
Ｃｏｓｉｎｅ Ｔｒａｎｓｆｏｒｍ）を用いた変換符号
化、そして、前フレーム（１フレーム間隔分だけ前のフ
レーム）と現フレーム（現在のフレーム）と間の時間的
関係に基づいた動作補償符号化技法（ｍｏｔｉｏｎｃｏ
ｍｐｅｎｓａｔｉｏｎ ｃｏｄｉｎｇ）などを用いてい
る。

【０００３】前記データ圧縮処理を効果的に行い、画質
を向上させるため、当業者が入手可能なほとんどのリア
ルタイムのイメージ符号化システムでは、多様な前処理
フィルター装置が用いられている。このようなフィルタ
ー装置は、時間的なノイズを消去または低減しバンドを
限定する働きをするのに役立ち、画質と符号化効率を向
上させる。そのような一つの従来装置は、アンドリア・
ウォング（Andria Wong）らの論文、「MCPIC;A Video C
oding Algorithm for Transmission and Storage Appli
cations」、IEEE Communications Magazine、２４〜３
２ページ（1990年11月）に開示されている。この装置
は、もとのデータ、線形的にフィルタリングされたデー
タ、またはもとのデータと線形的にフィルタリングされ
たデータとの加重された合計の何れかを、もとのデータ
と線形的フィルタリングされたデータとの間の差の絶対
値に基づいて選択的に発生する。このフィルターはエイ
リアシング（aliasing）現象とノイズとを低減でき、画
質を大きく改善できる。しかし、このフィルタリング装
置は、動作がかなり高速の領域で人造雑像（artifact
s）現象を誘導することがある。

【０００４】セザー・エー・ゴンザレス（Cesar A.Gonz
ales）らに付与された、米国特許第５，２３１，４８４
号明細書には、目的のビット率を達成するために、以前
に符号化されたフレームの量子化レベルに基づいてフィ
ルタリングされたデータを適応的に出力する複数のメデ
ィアンフィルター（median filter）を用いる他の従来
の装置が開示されている。

【０００５】しかし、このフィルターは、以前に符号化
されたフレームの量子化レベルに基づいて現フレームを
フィルタリングするので、フィルターからのフィルタリ
ングされたデータは現フレームの細部を反映できない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
二つの連続したフレーム間の画素値の偏差に基づいて、
入力デジタルビデオ信号を適応的にフィルタリングする
ことによって、画質と符号化効率を向上できる、イメー
ジ符号化システムで用いる前処理フィルター装置を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】従って、上記目的を達成
するために、本発明の一実施例によれば、複数のフレー
ムを有する入力デジタルビデオ信号を適応的にフィルタ
リングするイメージ符号化システムで用いる前処理フィ
ルター装置であって、前記入力デジタルビデオ信号の現
フレームを一つのフレーム間隔だけ遅延する手段と、遅
延された前フレームと前記現フレームとの同一の領域
で、前記前フレームのＮ×Ｎ画素に対する画素平均値
と、前記現フレームのＮ×Ｎ画素に対する画素平均値と
の間の偏差信号を発生する手段と、互いに異なる遮断周
波数を有すると共に並列に配列された、前記入力デジタ
ルビデオ信号をフィルタリングする少なくとも二つのフ
ィルタリング手段と、前記偏差信号に応答して、前記フ
ィルタリングされたデジタルビデオ信号中の一つを発生
する制御手段とを有する。

【０００８】また、本発明の他の実施例によれば、複数
のフレームを有する入力デジタルビデオ信号を適応的に
符号化するイメージ符号化システムであって、前記入力
デジタルビデオ信号の現フレームを一つのフレーム間隔
だけ遅延する手段と、遅延された前記前フレームと前記
現フレームとの同一の領域で、前記前フレームのＮ×Ｎ
画素に対する画素平均値と、前記現フレームのＮ×Ｎ画
素に対する画素平均値との間の偏差を表す偏差信号を発
生する手段と、互いに異なる遮断周波数を有すると共に
並列に配列された、前記入力デジタルビデオ信号をフィ
ルタリングする少なくとも二つのフィルタリング手段
と、前記偏差信号に応答して、前記フィルタリングされ
たデジタルビデオ信号中の一つを発生する制御手段と、
前記発生されたデジタルビデオ信号を伝送するために好
適な大きさに圧縮するため、前記発生されたデジタルビ
デオ信号の冗長データを除去する手段とを有する。

【０００９】

【実施例】以下、本発明のイメージ符号化システムの前
処理フィルター装置を添付の図面を参照しながら詳細に
説明する。

【００１０】図１を参照すると、本発明の好ましい実施
例による前処理フィルター装置６０を有するイメージ符
号化システム１００が図示されている。

【００１１】このイメージ符号化システム１００は前処
理フィルター装置６０及びイメージ符号化器７０を含
み、ここで、前処理フィルター装置６０は、フレーム遅
延回路１０、偏差算出器２０、フィルタリングデバイス
３０、及び制御回路４０を含む。

【００１２】前処理フィルター装置６０に於いて、ビデ
オフレームソース、例えば、ビデオカメラ（図示せず）
から発生された入力デジタルビデオ信号は、フレーム遅
延回路１０、偏差算出器２０及びフィルタリングデバイ
ス３０へ各々印加される。この入力デジタルビデオ信号
は、一連のビデオフレームを含み、該ビデオフームの各
々は同一の大きさの複数のブロックに分割される。フレ
ーム遅延回路１０は入力デジタルビデオ信号を一つのフ
レーム間隔だけ遅延するフレームバッファメモリを有す
る。その後、この遅延されたデジタルビデオ信号は前フ
レームのデータとして、偏差算出器２０へ伝送される。

【００１３】偏差算出器２０は、ビデオフレームソース
から直接供給された現フレームデータと、フレーム遅延
回路１０から供給された前フレームのデータを受けて、
現フレームにおける各ブロックと、前フレームの同一の
位置の対応するブロックとを比較することによって、二
つのブロックの画素値間の偏差を表す動作補償されてい
ない偏差信号を発生する。この偏差信号は、前フレーム
と現フレームの同一の領域で、前フレームのＮ×Ｎ（例
えば、８×８）画素に対する画素平均値と、現在フレー
ムの８×８画素に対する画素平均値とを比較することに
よって得られる。その次に、偏差算出器２０で得られた
該偏差信号は制御回路４０へ順に印加される。

【００１４】一方、フィルタリングデバイス３０はビデ
オフレームソースから直接供給された現フレームの入力
デジタルビデオ信号を受けて、互いに異なる予め定めら
れた遮断周波数を有する複数のフィルターを用いて、現
フレームに対して、例えば、偏差算出器２０での偏差算
出のための処理単位と同一の８×８画素単位に対して、
フィルタリング処理を行う。即ち、フィルタリングデバ
イス３０は、Ｍ個の、例えば３個の通常の低域フィルタ
ー３０Ａ〜３０Ｃを含み、これらのフィルターは、遮断
周波数ＣＦ１、ＣＦ２及びＣＦ３にて現フレームに対し
てフィルタリング処理を同時に行うように並列接続され
ており、これらの遮断周波数の関係は、ＣＦ１＜ＣＦ２
＜ＣＦ３となっている。各低域フィルターは、当業者に
は公知のメジアンフィルター（Median filter）やラプ
ラシアンフィルター（Laplacian filter）などのデジタ
ルフィルターを用いることによって実現できる。

【００１５】フィルターの個数とフィルターの遮断周波
数とは、イメージ符号化システムにおける所望の符号化
効率と画質とに基づいて特定されることに注目すべきで
ある。

【００１６】フィルター３０Ａ〜３０Ｃでフィルタリン
グされた現フレームの各ブロックに対するデジタルビデ
オ信号と、偏差算出器２０で得られた対応する偏差信号
とは、制御回路４０に同時に印加される。この制御回路
４０は偏差算出器２０からの対応する偏差信号に応答し
て、フィルタリングされたデジタルビデオ信号の一つを
出力信号として発生する。

【００１７】例えば、偏差信号が第１の予め定められた
閾値ＴＨ１以下の場合、制御回路４０はデータ圧縮率を
低減させるために、フィルター３０Ｃからのフィルタリ
ングされたデジタルビデオ信号を出力し、偏差信号が第
２の予め定められた閾値ＴＨ２以上の場合、制御回路４
０はデータ圧縮率を増大させるために、フィルター３０
Ａからフィルタリングされたデジタルビデオ信号を出力
する。また、偏差信号が第１及び第２の予め定められた
閾値ＴＨ１、ＴＨ２の間にある値を有する場合、制御回
路４０はフィルター３０Ｂからフィルタリングされたデ
ジタルビデオ信号を出力する。ここで、第１及び第２の
閾値ＴＨ１、ＴＨ２は正の整数であって、ＴＨ２はＴＨ
１より大きい。結果的に、本発明は実際に人間の視覚の
特徴をよく反映する前処理フィルタリング動作を行うこ
とができる。

【００１８】制御回路における閾値は、イメージ符号化
システムにおける所望の符号化効率と画質に基づいて決
定されることに注目すべきである。

【００１９】制御回路４０からのデジタルビデオ信号は
イメージ符号化器７０に印加される。イメージ符号化器
７０は、当業者に公知の離散的コサイン変換器、量子化
器及び可変長符号化器を用いて、出力されたデジタルビ
デオ信号を圧縮する。即ち、イメージ符号化器７０は、
制御回路４０から出力されたデジタルビデオ信号を伝送
するためにより可用な大きさで圧縮するべく、デジタル
ビデオ信号の冗長データを除去する。

【００２０】前記に於いて、本発明の特定の実施例につ
いて説明したが本発明の範囲を逸脱することなく当業者
は種々の改変をなし得るであろう。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば、二つの連続したフレー
ム間の画素値の偏差に基づいて、入力デジタルビデオ信
号を適応的にフィルタリングして、画質と符号化効率を
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による前処理フィルター装置を説明する
ブロック図である。

【符号の説明】

１０ フレーム遅延回路 ２０ 偏差算出器 ３０ フィルタリングデバイス ３０Ａ〜３０Ｃ フィルター ４０ 制御回路 ６０ 前処理フィルター装置 ７０ イメージ符号化器 １００ イメージ符号化システム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のフレームを有する入力デジタル
   ビデオ信号を適応的にフィルタリングするイメージ符号
   化システムで用いる前処理フィルター装置であって、 前記入力デジタルビデオ信号の現在のフレームを１フレ
   ーム間隔だけ遅延する手段と、 遅延された前フレームと前記現フレームとの同一の領域
   で、前記前フレームのＮ×Ｎ画素に対する画素平均値
   と、前記現フレームのＮ×Ｎ画素に対する画素平均値と
   の間の偏差信号を発生する手段と、 互いに異なる遮断周波数を有すると共に並列に配列され
   た、前記入力デジタルビデオ信号をフィルタリングする
   少なくとも二つのフィルタリング手段と、 前記偏差信号に応答して、フィルタリングされた前記デ
   ジタルビデオ信号の一つを発生する制御手段とを有する
   ことを特徴とする前処理フィルター装置。
2. 【請求項２】 複数のフレームを有する入力デジタル
   ビデオ信号を適応的に符号化するイメージ符号化システ
   ムであって、 前記入力デジタルビデオ信号の現フレームを一つのフレ
   ーム間隔だけ遅延する手段と、 遅延された前フレームと前記現フレームとの同一の領域
   で、前記前フレームのＮ×Ｎ画素に対する画素平均値
   と、前記現フレームのＮ×Ｎ画素に対する画素平均値と
   の間の偏差を表す偏差信号を発生する手段と、 互いに異なる遮断周波数を有すると共に並列に配列され
   た、前記入力デジタルビデオ信号をフィルタリングする
   少なくとも二つ以上のフィルタリング手段と、 前記偏差信号に応答して、フィルタリングされた前記デ
   ジタルビデオ信号の一つを発生する制御手段と、 発生された前記デジタルビデオ信号を伝送するために好
   適な大きさに圧縮するため、発生された前記デジタルビ
   デオ信号の冗長データを除去する手段とを有することを
   特徴とするイメージ符号化システム。