JPH0835058A - 撥水性有機膜の形成方法および装置 - Google Patents

撥水性有機膜の形成方法および装置

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JPH0835058A
JPH0835058A JP16829194A JP16829194A JPH0835058A JP H0835058 A JPH0835058 A JP H0835058A JP 16829194 A JP16829194 A JP 16829194A JP 16829194 A JP16829194 A JP 16829194A JP H0835058 A JPH0835058 A JP H0835058A
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water
repellent organic
target
organic film
ion beam
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JP16829194A
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Mitsuharu Kodama
充晴 兒玉
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N T T LEASE KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体表面に撥水性をもたせるとともに、透明
または半透明の撥水膜を形成し、さらに、撥水膜の密着
性、耐摩耗性および耐候性を向上させる。 【構成】 真空容器内で加速した金属イオンビームをそ
の容器内に配置されたターゲットとなる固体表面に向け
て照射する工程の実行中に、その容器内で撥水性有機物
質を蒸発させ、そのターゲットに撥水性有機膜を蒸着さ
せる。 【効果】 金属、セラミックス(ガラスなど)、有機物
質(プラスチック、繊維、紙など)を含む建築材料、車
両窓材料、工業製品その他ほとんどの生活品を対象とし
て撥水性をもたせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス、セラミック
ス、プラスチック、金属、紙、繊維、その他あらゆる固
体の表面に撥水性をもたせるために利用する。本発明
は、固体の表面に撥水性有機膜を形成する方法に関す
る。本発明は、固体表面に撥水性をもたせるとともに、
撥水膜の付着力の耐摩耗性および耐候性を向上する技術
に関する。
【0002】本発明により製造された物は、車両船舶航
空機などの窓材料、建築用窓もしくは屋根材料、高速道
路用防風防音壁の材料、その他雨水にさらされるガラス
もしくはプラスチックの透明もしくは半透明材料に利用
するに適する。本発明により製造された物は、メガネの
レンズ、バックミラー、太陽電池、船底材料、窓ガラ
ス、フロントガラス、その他に利用することができる。
本発明は、室内装飾品、家具、その他の材料にも利用す
ることができる。
【0003】本発明による処理は、ガラス材料、プラス
チック材料、金属材料その他固体の表面にはりつけて使
用するフィルム材に対して行うこともできる。
【0004】
【従来の技術】従来のドライな撥水処理方法としては、
被処理材表面へのフッ素系樹脂の蒸着が広く知られてい
る。
【0005】図2は従来のプラスチックなどを対象とし
たプラズマ撥水処理装置の要部の構成を示したものであ
る。この装置は特開平5−171410号公報に開示さ
れたもので、図外の真空ポンプに接続する真空排気孔1
02およびプロセスガスを導入するガス導入孔103が
備えられた真空容器101と、被処理材バイアス電極1
09に接続され真空容器101に絶縁物107を介在し
て保持されその内部で被処理材105を固定する固定治
具106と、真空容器101内に配置され蒸着材(フッ
素系樹脂)113を蒸発させる蒸発源114と、真空容
器101に絶縁物108を介在して保持され被処理材1
05と蒸着材113との間に位置してプラズマを発生す
るプラズマ発生電極104と、このプラズマ発生電極1
04に接続され高周波インピーダンスマッチングを行う
高周波インピーダンスマッチング回路110と、この高
周波インピーダンスマッチング回路110に高周波電力
を供給する高周波電源111とが備えられている。
【0006】この装置による撥水性有機膜の形成処理
は、真空容器101内が真空排気された後に、蒸発源1
14により蒸着材113を蒸発させてプラズマ発生電極
104によりフッ素系ガスのプラズマを発生させ、被処
理材バイアス電極109により被処理材固定治具106
上の被処理材105にバイアスを印加させることによっ
て行われる。これにより、フッ素系イオンが被処理材1
05に印加されたバイアス電圧で加速されて被処理材1
05の表面に突入し、強制的に被処理材105の表面に
フッ素を含む撥水性を有する膜が形成される。
【0007】また、特公昭63−39667号公報には
イオンビーム蒸着装置が開示されている。この装置は蒸
気化した物質の少なくとも一部をイオン化するイオン化
領域を備えておき、このイオン化領域でイオン化された
蒸気化物質に運動エネルギを付与し、イオン化した蒸気
化物質をイオン化されない蒸気化物質とともに被処理材
(本例では基板)に移送して蒸着させるものである。
【0008】さらに、特公昭58−1186号公報に
は、イオンプレーティング装置に関する開示がある。こ
の装置は、蒸着物質の蒸気をイオン化して電界により加
速し、被処理材(本例では基板)に突出させることによ
って被膜形成を行うものである。このイオンプレーティ
ングによる方法は、高エネルギのイオン化粒子による基
板表面のスパッタリングと被着工程とが同時に進行する
ので被処理材の表面が常に清浄に保たれ、密着度の高い
強固な被膜を得ることができる。
【0009】また、本発明に係わるものとして、特公昭
63−53211号公報に開示された技術がある。これ
は緻密で付着強度が大きく、かつ物理的諸性質を制御す
ることができる有機物薄膜の形成方法に関するものであ
る。この方法は、有機物質を密閉形のるつぼ内で蒸気化
し、るつぼを内部蒸気圧の1/100以下の圧力の雰囲
気中に配置して蒸気化した有機物質を噴出させて断熱膨
張による過冷却状態を生じさせ、噴出蒸気が凝集した巨
大なクラスタ(塊状集団)を形成させる。次いで、この
クラスタに電子ビームを照射してイオン化させ、噴出時
の運動エネルギあるいは電界により加速ないし減速を行
い被処理材の表面まで輸送する。この輸送途中、あるい
は被処理材表面への射突時にクラスタを構成する元素の
一部引き抜き、切断、開裂、再結合などの有機ポリマー
形状のための中間状態を現出させ、被処理材の表面上で
有効に重合あるいは縮重合させるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術によ
る各種の装置あるいは方法によれば、固体表面にフッ素
系樹脂などの蒸着材を蒸着させることによって撥水性を
有する被膜を得ることができるが、被処理材としての固
体が限定される場合があるとともに、その固体表面に形
成された被膜の密着性、耐摩耗および耐候性が十分なも
のとはいえず消費者が満足する域に到っていない。
【0011】本発明はこのような背景のもとに行われた
ものであって、撥水性において従来の蒸着により得られ
た被膜と同等もしくはそれ以上の機能を有し、かつ被処
理材としてガラス、セラミックス、プラスチック、金
属、紙、繊維、その他あらゆる固体表面を対象とするこ
とができ、密着性、耐摩耗性、耐候性にすぐれた均一な
被膜を形成することができる方法および装置を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の観点は、
固体表面に撥水性をもたせる撥水性有機膜の形成方法に
おいて、真空容器内で加速した金属イオンビームをその
容器内に配置されたターゲットとなる固体表面に向けて
照射する工程の実行中に、その容器内で撥水性有機物質
を蒸発させ、そのターゲットに撥水性有機膜を蒸着させ
ることを特徴とする。前記容器内で加速した撥水性有機
物質のイオンビームを形成途上の撥水性有機膜に向けて
照射することもでき、撥水性有機物質はフッ素系樹脂で
あり、金属イオンはNi、Cr、Ti、Al、Cu、Z
nの内から選択された一以上の金属イオンであることが
望ましい。
【0013】本発明の第二の観点は、固体表面に撥水性
をもたせる撥水性有機膜の形成方法において、真空容器
内で加速した撥水性有機物質のイオンビームをその容器
内に配置されたターゲットとなる固体表面に向けて照射
する工程の実行中に、その容器内で撥水性有機物質を蒸
発させ、そのターゲットに撥水性有機膜を蒸着させ、そ
のターゲットに撥水性有機膜を蒸着させることを特徴と
する。
【0014】本発明の第三の観点は、固体表面に撥水性
をもたせる撥水性有機膜の形成方法において、真空容器
内に配置されたターゲットとなる固体表面に向けて加速
した金属イオンビームを照射する工程の実行中に、加速
した撥水性有機物質のイオンビームを照射することによ
りその固体の表面に撥水性有機膜を形成することを特徴
とする。
【0015】本発明の第四の観点は、撥水性有機膜を形
成する撥水性有機膜の形成装置において、真空容器と、
この容器内に設けられ撥水性有機物質を蒸発させる蒸発
源と、この容器内に設けられターゲットに向けて金属イ
オンビームを照射するイオン銃とを備えたことを特徴と
する。ターゲットには被膜形成物質が連続的に供給され
ることが望ましい。
【0016】撥水性有機膜形成は、その他の方法とし
て、真空容器内に配置されたターゲットとなる固体の表
面に向けて加速した撥水性有機物質のイオンビームを照
射することによりその固体の表面に形成することによっ
ても実現することができる。
【0017】
【作用】真空容器内で加速した金属イオンビームをその
真空容器内に配置されたターゲットとなる固体の表面に
向けて照射しているときに、その真空容器内で撥水性有
機物質を蒸発させ、そのターゲットに撥水性有機膜を蒸
着させる。併せて撥水性有機物質のイオンビームを形成
途上の撥水性有機膜に向けて照射することもできる。撥
水性有機物質としてはフッ素系樹脂が用いられる。金属
イオンはNi、Cr、Ti、Al、Cu、Znのどれか
一つまたはそれ以上の金属イオンが用いられる。
【0018】撥水性有機物質は元来被処理材としての固
体の表面には付着しにくい性質を有している。そこで前
述のように金属または撥水性有機物質の加速したイオン
ビームを固体表面に照射しているときに、撥水性有機物
質を蒸着させると、蒸着した撥水性有機物質にそのイオ
ンビームが突入し蒸着被膜を固体表面に固着させる。こ
れにより、撥水性を損なわずに密着性、耐摩耗性、耐候
性にすぐれた被膜を形成することができる。工業製品、
生活用品として用いられるあらゆる固体を対象として被
覆することができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明実施例を図面に基づいて説明す
る。図1は本発明実施例の撥水性有機膜形成装置の要部
の構成を示す図である。
【0020】本発明実施例装置は、真空容器1と、この
真空容器1内に設けられ撥水性有機物質10を連続的に
蒸発させる蒸発源2と、真空容器1内に設けられターゲ
ット3に向けて金属イオンビームを照射する第一イオン
銃4および撥水性有機物質のイオンビームを照射する第
二イオン銃5と、この第一イオン銃4および第二イオン
銃5からのイオンビームをそれぞれ個別に照射する照射
装置6と、この照射装置6からのイオンビームを加速さ
せる加速電極7と、ターゲット3を固定する固定治具8
と、ターゲット3の加熱または冷却を行う加熱・冷却装
置9とを備える。また、ターゲット3の近傍にターゲッ
ト3がプラスの電荷を持った場合に、電子のマイナスの
電荷で中和するための電荷中和用フィラメント15を備
える。
【0021】第一イオン銃4および第二イオン銃5の内
部にはビーム用容器11と、イオン化を行うイオン化フ
ィラメント12とが備えられ、第一イオン銃4内のビー
ム用容器11には金属13が投入され、第二イオン銃5
のビーム用容器11には撥水性有機物質11が投入され
る。
【0022】次に、このように構成された本発明実施例
装置による撥水性有機膜の形成方法について説明する。
【0023】(第一の方法)第一イオン銃4内に配置さ
れたビーム用容器11内の金属13をイオン化フィラメ
ント12により(+)イオンにイオン化し、照射装置6
および加速電極7で加速し金属イオンビームとしてター
ゲット3の表面に照射する工程を実行中に、真空容器1
内で蒸発源2内に投入された撥水性有機物質10を蒸発
させ、固定治具8に固定されたターゲット3の表面に撥
水性有機膜を蒸着させる。
【0024】撥水性有機物質としてはフッ素系樹脂が用
いられ、金属イオンはNi、Cr、Ti、Al、Cu、
Znのうちの一つ以上の金属イオンが用いられる。
【0025】(第二の方法)第一イオン銃4内に配置さ
れたビーム用容器11内の金属13をイオン化フィラメ
ント12により(+)イオンにイオン化して照射装置6
および加速電極7で加速し金属イオンビームとしてター
ゲット3の表面に形成途上の撥水性有機物質に向けて照
射するとともに、第二イオン銃5内に配置されたビーム
用容器11内の撥水性有機物質10をイオン化フィラメ
ント12により(+)イオンにイオン化して照射装置6
および加速電極7で加速し撥水性有機物質のイオンビー
ムとしてターゲット3の表面に形成途上の撥水性有機物
質に向けて照射する工程を実行中に、真空容器1内で蒸
発源2内に投入された撥水性有機物質10を蒸発させ、
固定治具8に固定されたターゲット3の表面に撥水性有
機膜を蒸着させる。
【0026】撥水性有機物質は第一の方法同様にフッ素
系樹脂が用いられ、金属イオンはNi、Cr、Ti、A
l、Cu、Znのうちの一つ以上の金属イオンが用いら
れる。
【0027】(第三の方法)第二イオン銃5内に配置さ
れたビーム用容器11内の撥水性有機物質10をイオン
化フィラメント12により(+)イオンにイオン化して
照射装置6および加速電極7で加速し撥水性有機物質の
イオンビームとしてターゲット3の表面に形成途上の撥
水性有機物質に向けて照射す工程を実行中に、真空容器
1内で蒸発源2内に投入された撥水性有機物質10を蒸
発させ、固定治具8に固定されたターゲット3の表面に
撥水性有機膜を蒸着させる。
【0028】撥水性有機物質は第一の方法同様にフッ素
系樹脂が用いられ、金属イオンはNi、Cr、Ti、A
l、Cu、Znのうちの一つ以上の金属イオンが用いら
れる。
【0029】(第四の方法)形成途上の撥水性有機膜に
向けて第一イオン銃4内に配置されたビーム用容器11
内の金属13をイオン化フィラメント12により(+)
イオンにイオン化して照射装置6および加速電極7で加
速し金属イオンビームとして照射する工程を実行中に、
真空容器1内に配置された固定治具8に固定されたター
ゲット3の表面に向けて、第二イオン銃5内に配置され
たビーム用容器11内の撥水性有機物質10をイオン化
フィラメント12により(+)イオンにイオン化し、照
射装置6および加速電極7で加速して撥水性有機物質1
0のイオンビームとして照射する。
【0030】撥水性有機物質は第一の方法同様にフッ素
系樹脂が用いられ、金属イオンはNi、Cr、Ti、A
l、Cu、Znのうちの一つ以上の金属イオンが用いら
れる。
【0031】次に、前述の装置および方法により形成し
た撥水性有機膜について説明する。
【0032】(第一実施例)本第一実施例は第二の方法
により撥水性有機膜を形成したもので、撥水性有機物質
10としてフッ素系樹脂を用い、イオン化する金属には
Niを用い、ターゲット3としてガラスを用いた。
【0033】まず、室温状態で蒸発源2からフッ素系樹
脂を蒸発させ、第二イオン銃5内に配置されたビーム用
容器11内のフッ素系樹脂をイオン化フィラメント12
により(+)イオンにイオン化して加速電極7に1kV
の加速電圧を印加することにより加速されたイオンビー
ムを照射するとともに、第一イオン銃4内に配置された
ビーム用容器11内のNiをイオン化フィラメント12
により(+)イオンにイオン化して加速電極7に2kV
の加速電圧を印加することにより加速されたイオンビー
ムを照射した。
【0034】これにより、ガラス上にはフッ素系樹脂が
712Åの膜厚で蒸着され、さらに、イオンビームによ
る膜厚475Åのフッ素樹脂膜と膜厚34ÅのNi膜と
が形成された。その撥水角度は141度であった。この
ようにして形成された撥水性有機膜に対し1kg/cm
2 の圧力で木綿による布拭テストを100回行ったが、
撥水角度はテスト前の状態が維持されていて撥水特性の
劣化はみられず、密着性および耐摩耗性にすぐれている
ことが実証された。
【0035】(第二実施例)本第二実施例は第三の方法
により撥水性有機膜を形成したもので、撥水性有機物質
としてフッ素系樹脂を用い、ターゲット3としてガラス
を用いた。
【0036】室温状態で第二イオン銃5内に配置された
ビーム用容器11内のフッ素系樹脂をイオン化フィラメ
ント12により(+)イオンにイオン化して加速電極7
に1.8kVの加速電圧を印加し膜厚722Åの撥水性
有機膜を形成し、さらに蒸発源2から撥水性有機物質1
0を蒸発させ膜厚923Åの撥水性有機膜を形成した。
その撥水角度は141度であったが、第一実施例により
も密着度はやや劣るものの実用上問題ないことがわかっ
た。
【0037】(第三実施例)本第三実施例は、前述の第
二の方法により撥水性有機膜を形成したもので、ターゲ
ット3にガラスを用い、室温の状態で、(1)第一イオ
ン銃4により89Åの薄膜を形成する割合でイオン化し
たNiに加速電圧3kVを印加して加速したイオンビー
ムを照射する、(2)第二イオン銃5により425Åの
薄膜を形成する割合でフッ素系樹脂に加速電圧0.6k
Vを印加してイオンビームを照射する、(3)蒸発源2
から496Åの薄膜を形成する割合でフッ素系樹脂をイ
オンビーム化することなく蒸着することをターゲット3
に向けて同時に行い撥水性有機物質を形成させた。この
ようにして形成された撥水性有機膜は撥水角度が14
1.1度あり、すぐれた撥水性および耐摩耗性を得るこ
とができた。
【0038】(第四実施例)第三実施例と同様の方法に
より、金属含有膜厚比(金属膜の膜厚×100/形成さ
れた膜の合計膜厚)5%で薄膜を形成し、膜厚に対する
撥水角を測定したところ図2に示す結果を得た。これに
よると全体の膜厚が500Åを超えた範囲で撥水角が大
きくなり良好な撥水特性が得られた。
【0039】(第五実施例)第三実施例の方法により金
属含有膜厚比(金属膜の膜厚×100/形成された膜の
合計膜厚)の異なる1000Åの薄膜を形成し、その金
属含有膜厚比に対する撥水角を測定したところ図3に示
す結果を得た。これによると金属含有膜厚比が15%以
下で良好な撥水角が得られ、それを超えると撥水角は小
さくなり撥水特性の劣化がみられた。
【0040】(第六実施例)第三実施例の方法で金属に
NiおよびTiを用い、金属含有膜厚比5%、膜厚10
00Åの薄膜を形成し、1kg/cm2 の負荷を加えた
木綿による布拭き試験を行い、薄膜の密着度測定を行っ
たところ図4に示す結果を得た。これによると布拭き回
数が30回まで撥水角の劣化がみられず、十分な耐摩耗
性のあるとこが実証された。
【0041】(参考例)ガラスのターゲット3に対し、
室温の状態で、第二イオン銃5内に配置されたビーム用
容器11内のフッ素系樹脂をイオン化フィラメント12
により(+)イオンにイオン化して加速電極7に1.2
kVの加速電圧を印加することにより加速されたイオン
ビームを照射した。その結果、フッ素系樹脂が200Å
の膜厚でガラス面に蒸着された。その撥水角度は135
度で高い撥水性を有する被膜を得ることができた。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、固
体表面に密着性、耐摩耗性、耐候性にすぐれた透明また
は半透明の撥水性被膜を形成することができ、固体には
ガラス、セラミックス、プラスチック、金属、紙、繊維
など、工業製品、生活用品として用いられるあらゆる材
質を対象とすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例装置の要部の構成を示す図。
【図2】本発明第四実施例における金属含有膜厚比5%
での膜厚と撥水角との関係を示す図。
【図3】本発明第五実施例における膜厚1000Åの薄
膜の金属含有膜厚比と撥水角との関係を示す図。
【図4】本発明第六実施例における布拭き回数と撥水角
との関係を示す図。
【図5】従来例におけるプラズマ撥水処理装置の要部の
構成を示す図。
【符号の説明】
1、101 真空容器 2、114 蒸発源 3 ターゲット 4 第一イオン銃 5 第二イオン銃 6 照射装置 7 加速電極 8、106 固定治具 9 加熱・冷却装置 10 撥水性有機物質 11 ビーム用容器 12 イオン化フィラメント 13 金属 15 フィラメント 102 真空排気孔 103 ガス導入孔 104 プラズマ発生電極 105 被処理材 107、108 絶縁物 109 被処理材バイアス電極 110 高周波インピーダンスマッチング回路 111 高周波電源 113 蒸着材(フッ素系樹脂)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内で加速した金属イオンビーム
    をその容器内に配置されたターゲットとなる固体表面に
    向けて照射する工程の実行中に、その容器内で撥水性有
    機物質を蒸発させそのターゲットに撥水性有機膜を蒸着
    させることを特徴とする撥水性有機膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記容器内で加速した撥水性有機物質の
    イオンビームを形成途上の撥水性有機膜に向けて照射す
    る請求項1記載の撥水性有機膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 撥水性有機物質はフッ素系樹脂である請
    求項1または2記載の撥水性有機膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 金属イオンはNi、Cr、Ti、Al、
    Cu、Znの内から選択された一以上の金属イオンであ
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の撥水性有機膜の
    形成方法。
  5. 【請求項5】 真空容器内で加速した撥水性有機物質の
    イオンビームをその容器内に配置されたターゲットとな
    る固体表面に向けて照射する工程の実行中に、その容器
    内で撥水性有機物質を蒸発させそのターゲットに撥水性
    有機膜を蒸着させることを特徴とする撥水性有機膜の形
    成方法。
  6. 【請求項6】 真空容器内に配置されたターゲットとな
    る固体表面に向けて加速した金属イオンビームを照射す
    る工程の実行中に、加速した撥水性有機物質のイオンビ
    ームを照射することによりその固体の表面に撥水性有機
    膜を形成することを特徴とする撥水性有機膜の形成方
    法。
  7. 【請求項7】 真空容器と、この容器内に設けられ撥水
    性有機物質を蒸発させる蒸発源と、この容器内に設けら
    れターゲットに向けて金属イオンビームを照射するイオ
    ン銃とを備えた撥水性有機膜の形成装置。
  8. 【請求項8】 ターゲットに被膜形成物質が連続的に供
    給される請求項6記載の撥水性有機膜の形成装置。
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