JPH08336996A - サーマルヘッド及びサーマルヘッドの製造方法 - Google Patents

サーマルヘッド及びサーマルヘッドの製造方法

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JPH08336996A
JPH08336996A JP14717895A JP14717895A JPH08336996A JP H08336996 A JPH08336996 A JP H08336996A JP 14717895 A JP14717895 A JP 14717895A JP 14717895 A JP14717895 A JP 14717895A JP H08336996 A JPH08336996 A JP H08336996A
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JP
Japan
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heating resistance
layer
inorganic insulating
resistance element
electrode
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Application number
JP14717895A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichiro Sakamoto
孝一郎 坂本
Minoru Ogawa
実 小川
Tokuhito Mochizuki
徳人 望月
Hiroshi Tsuchimoto
宏志 土本
Motoji Kajimura
元二 梶村
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TEC CORP
Original Assignee
TEC CORP
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Abstract

(57)【要約】 【目的】発熱抵抗素子の放熱効率を向上することで高速
印字を実現し、しかも、長寿命化を図る。 【構成】先端部に幅方向に沿った傾斜面を形成し、面上
を所定の平坦度に加工した金属基板23と、この金属基
板の面上に形成した無機絶縁層24と、この無機絶縁層
の上に傾斜面の幅方向に沿って多数配置した発熱抵抗素
子25と、この各発熱抵抗素子の一端に接続するように
傾斜面の先端側にこの傾斜面の幅方向に沿って配置した
共通電極26と、各発熱抵抗素子の他端に個々に接続す
るように配置した複数の個別電極27と、共通電極、各
個別電極及び各発熱抵抗素子の上に形成した保護層28
とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッド及びサ
ーマルヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にサーマルヘッドは感熱記録に用い
られるが、従来のサーマルヘッドは、図11に示すよう
に、アルミナ基板1の上にガラスグレーズ層2を形成
し、このガラスグレーズ層2の上に発熱抵抗層3を形成
し、さらにその上に電極層4を形成し、その後、エッチ
ングにより電極層4を分離して電極を形成すると共に発
熱抵抗層3を露出させて発熱抵抗素子5を形成し、その
後、この上に保護層6を形成して構成している。
【0003】このような構造のサーマルヘッドは、主と
してファクシミリ装置に搭載されている感熱プリンタに
用いられている。感熱プリンタは印字速度が5msec
/ライン程度と比較的遅いため上述した構造のサーマル
ヘッドで十分であるが、このようなサーマルヘッドを画
素密度が高く高速印字が要求されるバーコードプリンタ
に適用した場合は、印字直後の発熱抵抗素子に残留する
蓄熱のために次のライン印字に影響を及ぼすことから熱
履歴制御を特別に施す必要がある。
【0004】しかし、より高速を実現させる場合、単に
熱履歴制御だけでは蓄熱の影響を十分に除去することが
困難になってくる。例えば、300dpiの画素密度で
印字速度8インチ/秒で印字を行う場合、1ラインの印
字時間は0.4msec程度になり、このような高速印
字では熱履歴制御だけでは蓄熱の影響を十分に除去する
ことはできない。この原因はガラスグレーズ層2が一種
の断熱層として作用するためである。すなわち、通常ガ
ラスグレーズ層2の厚さは略60μm程度であり、発熱
抵抗素子5の熱をアルミナ基板1に効率よく放熱できな
いことが原因している。このため、ガラスグレーズ層の
厚さを薄くすることが考えられるが、製造工程等の制約
からガラスグレーズ層の厚さを放熱効率を十分に上げる
ほど薄くすることは困難となっている。
【0005】このようなことから、特開昭56−164
876号公報に見られるようにガラスグレーズ層の代わ
りにポリイミド層を用いたものが提案されている。すな
わち、図12に示すように、金属基板11の上にポリイ
ミド層12を成膜し、その上に発熱抵抗層13を形成
し、この発熱抵抗層13の上ら電極14を形成し、さら
にその上に保護層15を形成している。
【0006】しかし、ポリイミド層12は、ガラスグレ
ーズ層に比べて機械的剛性が小さく、このため印字時の
プラテンによる印加圧力により機械的変形を生じ易く、
機械的変形が生じると、発熱抵抗層13や保護像15に
クラック等が生じることになり、寿命上問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のサ
ーマルヘッドは、放熱効率が悪く、画素密度が高く高速
印字が要求されるプリンタには適用できない問題があっ
た。また、放熱効率を良好にしても寿命が短いという問
題があった。
【0008】そこで、本発明は、発熱抵抗素子の放熱効
率を向上でき、これにより画素密度が高く高速印字が要
求されるプリンタへの適用が可能となり、しかも、長寿
命化を図ることができるサーマルヘッド及びサーマルヘ
ッドの製造方法を提供する。
【0009】また、本発明は、さらなる高速印字に対応
でき、しかもストレートパス印字にも対応できるサーマ
ルヘッドを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用】請求項1対応の発
明は、面上を所定の平坦度に加工した金属基板と、この
金属基板の面上に形成した無機絶縁層と、この無機絶縁
層の上の先端部に幅方向に沿って多数配置した発熱抵抗
素子と、この各発熱抵抗素子の一端に接続するように先
端側に幅方向に沿って配置した共通電極と、各発熱抵抗
素子の他端に個々に接続するように配置した複数の個別
電極と、少なくとも共通電極、各個別電極及び各発熱抵
抗素子の上に形成した保護層とからなるサーマルヘッド
にある。
【0011】請求項2対応の発明は、金属基板のパター
ン形成面を所定の平坦度に形成し、この金属基板のパタ
ーン形成面に薄膜プロセスで無機絶縁層を成膜し、この
無機絶縁層の上に発熱抵抗層を成膜すると共に、さらに
その上に電極層を形成し、その後、発熱抵抗層及び電極
層をエッチングすることにより、先端部に幅方向に沿っ
て多数の発熱抵抗素子を形成し、また、先端側に幅方向
に沿って、しかも各発熱抵抗素子の一端に接続するよう
に共通電極を形成すると共に、各発熱抵抗素子の他端に
個々に接続するように複数の個別電極を形成し、その
後、共通電極、各個別電極及びこの共通電極と各個別電
極との間の発熱抵抗層の上に保護層を形成したことにあ
る。
【0012】請求項3対応の発明は、請求項2記載のサ
ーマルヘッドの製造方法において、さらに、金属基板の
パターン形成面に無機絶縁層を成膜した後、共通電極を
形成する部位の無機絶縁層をエッチングにより除去し、
その後、この無機絶縁層を除去した部位を含んで無機絶
縁層の上に発熱抵抗層を成膜することにある。
【0013】請求項4対応の発明は、先端部に幅方向に
沿った傾斜面を形成し、面上を所定の平坦度に加工した
金属基板と、この金属基板の面上に形成した無機絶縁層
と、この無機絶縁層の上に傾斜面の幅方向に沿って多数
配置した発熱抵抗素子と、この各発熱抵抗素子の一端に
接続するように傾斜面の先端側にこの傾斜面の幅方向に
沿って配置した共通電極と、各発熱抵抗素子の他端に個
々に接続するように配置した複数の個別電極と、少なく
とも共通電極、各個別電極及び各発熱抵抗素子の上に形
成した保護層とからなるサーマルヘッドにある。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1にサーマルヘッドの要部断面図を示すよう
に、先端部に幅方向に沿った傾斜面を形成した放熱基板
21の傾斜面を含む面上に絶縁部材22を間に介して金
属基板23を固着している。この金属基板23は、Fe
−Ni(Ni42%)、Mo、Ni−Co−Fe(Ni
29%,Co17%)、又はNi−Cr−Fe(Ni4
2%,Cr6%)からなり、前記放熱基板21の傾斜面
に合わせるように先端部を幅方向に沿った傾斜面とし、
他端を前記放熱基板21の面上の途中まで延出してい
る。
【0015】前記金属基板23の傾斜面を含む上面を所
定の平坦度に加工しパターン形成面としている。そし
て、この金属基板23のパターン形成面に無機絶縁層2
4を形成している。前記無機絶縁層24は先端が前記金
属基板23の傾斜面の下部途中までで、それから先端ま
での間は幅方向に沿って除去してある。
【0016】前記無機絶縁層24の上に傾斜面の幅方向
に沿って多数の発熱抵抗素子25を配置し、この各発熱
抵抗素子25の一端に接続するように傾斜面の先端側に
この傾斜面の幅方向に沿って共通電極26を配置すると
共に、前記各発熱抵抗素子25の他端に個々に接続する
ように複数の個別電極27を配置している。そして前記
共通電極26、各個別電極27及び前記発熱抵抗素子2
5の上に保護層28を形成している。
【0017】前記放熱基板21の上に、回路基板29を
間に前記絶縁部材22を介して固着している。前記回路
基板29の上に、前記各発熱抵抗素子25を発熱駆動す
る集積回路チップ30を配置すると共に回路パターン3
1を形成し、集積回路チップ30と前記各個別電極27
及び前記集積回路チップ30と回路パターン31をそれ
ぞれリード線32,33により接続している。
【0018】図2は先端部の構成を部分的に示す図で、
幅方向に沿って多数の発熱抵抗素子25,25,…を配
置し、これらの発熱抵抗素子25,25,…の一端に共
通電極26を接続すると共に他端に複数の個別電極2
7,27,…を個々に接続している。
【0019】図3は上述したサーマルヘッド20を使用
したプリンタの概略構成図で、サーマルヘッド20は、
先端傾斜面を発熱部としてプラテン34に対向して配置
し、この発熱部を介して熱転写インクリボン35を矢印
方向に走行すると共にプラテン34の矢印方向の回転に
より記録紙36を熱転写インクリボン35とプラテン3
4との間を介して矢印方向に搬送させるようになってい
る。
【0020】次にサーマルヘッド20の製造方法につい
て説明する。例えばMoからなる一枚の金属基板41を
型を使用して図4の(a) 及び(b) に示すようにプレス成
形する。このとき、200℃程度に加熱しながらプレス
成形すれば熱歪みが少なく精度よく成形できる。なお、
図中一点鎖線で示す部位は、金属基板41への薄膜パタ
ーンの形成後、個々の金属基板に分離切断する部位を示
している。これにより、一度に多数のサーマルヘッド基
板を製造することが可能となる。
【0021】次に金属基板41上に薄膜パターンを形成
するプロセスについて説明する。
【0022】先ず、図5の(a) に示すように、金属基板
41のパターン形成面にスパッタリング法、蒸着法、C
VD法等の薄膜プロセスで無機絶縁層42を成膜する。
この無機絶縁層42は、断熱層となり、例えば、SiO
2 層を10μmの厚さに成膜して形成する。なお、他の
材料としてはSiNX が好適である。これらの材料はド
ライエッチング等で所定のパターンに形成しやすく、ま
た、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等で精度よく
容易に形成しやすい特徴を有している。この場合、金属
基板41として通常の圧延材を使用することにより、パ
ターン形成面が所定の平坦度に加工されており、薄膜形
成には好適である。
【0023】無機絶縁層42の最適な厚さは、材質の熱
的特性(比熱、密度、熱伝導率等)に依存するが、ま
た、発熱抵抗素子を発熱駆動する条件にも依存する。よ
り高速の印字を実現するためには、できる限り無機絶縁
層42の熱容量を小さくし、かつ駆動条件として短パル
スで発熱抵抗素子に電力を印加することが好ましい。
【0024】次に図5の(b) に示すように、X部をドラ
イエッチング等により除去する。そして、図5の(c) に
示すように、その上に発熱抵抗層43を成膜する。発熱
抵抗層43としては、例えばBaRuO3 層をスパッタ
リング法で0.1μmの厚さに成膜する。その後、安定
化のために熱処理を行ってから、図5の(d) に示すよう
に、その上に電極層44を成膜する。電極層44として
は、例えばAl層を1μmの厚さに成膜する。
【0025】次に図5の(e) に示すように、フォトエッ
チングプロセスにより、所定のパターンを形成する。す
なわち、電極層44を共通電極44aと個別電極44b
とに分離し、かつ共通電極44aと個別電極44bと間
に発熱抵抗層43の露出部を形成して発熱抵抗素子43
aとする。これにより、金属基板41の傾斜面の幅方向
に沿って多数の発熱抵抗素子43aが形成され、この各
発熱抵抗素子43aの一端に接続するように傾斜面の下
側(一点鎖線に沿って切断した後は先端側となる。)に
この傾斜面の幅方向に沿って共通電極44aが形成さ
れ、かつ、各発熱抵抗素子43aの他端に個々に接続す
るように複数の個別電極44aが形成されることにな
る。
【0026】また、図中丸Yで囲んだ部分を拡大すると
図6に示すようになり、共通電極44aは発熱抵抗層4
3を介して金属基板41に対して電気的に接続すること
になる。これにより金属基板41は機能的に共通電極4
4aと同様の役割を果たすことになる。
【0027】ところで、サーマルヘッドを高速駆動する
には、印字の対象となる全ての発熱抵抗素子を同時に駆
動する必要がある。また、高速駆動のためには、発熱抵
抗素子に短時間でより多くの電力を与える必要がある。
それゆえに共通電極に流れる電流はより多くなり、共通
電極の低インピーダンス化が要求される。例えば、印字
幅が4インチサイズで画素密度が300dpiの発熱抵
抗素子の数は1200素子になる。全画素印字(120
0素子の全てを駆動)するとき、1画素当たり0.5W
印加し、発熱抵抗素子の抵抗値を1KΩとすると、共通
電極に流れる電流値は、25mA×1200=30A
(アンペア)となる。従って。Al層の共通電極のみで
はこの電流容量に対処するのは困難である。この点、本
実施例では金属基板41が共通電極44aと同様の役割
を果たすことで対処できる。
【0028】次に、図7に示すように、金属基板41を
図中一点鎖線で示す部位で切り離し、共通電極44a、
個別電極44b及び発熱抵抗素子43aの上に保護層4
5を形成する。保護層45は、例えばムライト層を2μ
mの厚さに成膜した上にSiC層を3μmの厚さに成膜
して形成する。SiC層は熱伝導性もよく、また、耐磨
耗性も極めて良好であり保護層として好適した材料であ
る。また、ムライト層はSiC層をアシストする効果が
大きい。SiC層単独では、印字中にクラック等が生じ
やすく寿命の点で問題が生じるが、ムライト層と組み合
わせることでクラック等の発生の問題が解決でき、長寿
命化を図ることができる。また、ムライト層は熱伝導性
の良好なアルミナ成分の含有量が多いことから熱特性も
良好である。
【0029】次に、本実施例のサーマルヘッドの熱応答
特性について説明する。図8はガラスグレーズ層の上に
発熱抵抗素子を形成した従来のサーマルヘッドの熱応答
特性を示すグラフで、300dpiの画素密度を有する
発熱抵抗素子に0.35W/1素子の電力を0.4ms
ec印加したときの発熱抵抗素子の表面温度の時間特性
を赤外線放射温度計を用いて測定した結果を示してい
る。図中一点鎖線のグラフはガラスグレーズ層の厚さが
60μmの場合であり、図中実線のグラフはガラスグレ
ーズ層の厚さが20μmの場合である。これによれば、
ガラスグレーズ層の厚さが60μmの場合はかなり熱応
答特性が悪く、ガラスグレーズ層の厚さを20μmにす
ることで熱応答特性の改善を図れることが分かる。しか
し、高速印字を実現するには不十分な熱応答特性であ
る。
【0030】これに対し、本実施例では、金属基板とし
てMoを使用し、無機絶縁層を厚さ10μmのSiO2
層で形成し、発熱抵抗層を厚さ0.06μmのBaRu
3層で形成し、画素密度が300dpi(1画素のサ
イズが、80μm×85μm)で、さらに保護層として
厚さが2μmのムライト層と厚さが3μmのSiC層で
形成したものを使用している。そして、印加電力0.5
W/1素子を0.15msec印加したときの熱応答特
性を図9に示す。図からも分かるように、従来のサーマ
ルヘッドに比べて熱応答特性が格段に優れている。すな
わち、電力を印加して1.0msec後には発熱抵抗素
子の表面温度はかなり低下する。このように熱応答性に
優れているので、高速駆動ができ、高速印字が可能とな
る。なお、本実施例の場合は、駆動条件を適当に選ぶ必
要がある。特に、無機絶縁層の厚さが薄いので電力の印
加時間を短くする必要がある。
【0031】また、発熱抵抗素子25を傾斜面の幅方向
に沿って配置しているので、発熱抵抗素子を平面上に配
置したものに比べて、記録紙に対する物理的コンタクト
が良好となり、発熱抵抗素子25からの熱エネルギーが
記録紙に効率よく伝達される。実験によれば発熱抵抗素
子を平面上に配置したものに比べて印加する熱エネルギ
ーが80%程度で同程度の濃度印字が得られた。これ
は、発熱抵抗素子25を傾斜面の幅方向に沿って配置し
た場合、記録紙に対する発熱抵抗素子の接触が線状接触
となるため発熱部に集中して印加圧力が加わるためと思
われる。このように少ない印加エネルギーで印字が可能
となるので、所定の濃度を得るための立上がり時間及び
放熱のための立下がり時間も少なくでき、高速印字が容
易に実現できる。また、発熱抵抗素子25を傾斜面の幅
方向に沿って配置することでストレートパス印字がで
き、カードのような曲げることができない印字媒体に対
しても容易に印字ができる。
【0032】次に本発明の他の実施例を図面を参照して
説明する。なお、前記実施例と同一の部分には同一の符
号を付して詳細な説明は省略する。これは平坦な取付基
板51の上面に絶縁部材52を間に介して金属基板53
を固定している。前記金属基板53は比較的厚く、先端
部の一部をカットして傾斜面を形成している。この金属
基板53は金属材料を機械加工して形成し、材料として
は、薄膜形成時に材料の安定化処理等のために高温で熱
処理を施す(例えば、発熱抵抗層の安定化処理には約5
00℃程度の熱処理を施す)ので、熱歪み等を小さくす
るために熱膨張係数の小さい材料が好ましい。また、保
護層はムライトやSiC、あるいはSiN等の無機化合
物を使用しており、このような無機化合物の熱膨張係数
は、40〜80×10-7/℃で、通常の金属に比べて小
さく、歪みに対してもろくクラック等が生じやすい。従
って、熱処理時等に歪みが生じないように保護層の熱膨
張係数に近い熱膨張係数を持つ材料が好ましい。
【0033】以上のことから、金属基板53の材料とし
ては、Fe−Ni(Ni42%)合金やNi−Co−F
e(Ni29%,Co17%)合金やMo等が好適であ
る。また、Ni−Cr−Fe(Ni42%,Cr6%)
合金も上記材料より多少熱膨張係数が大きいが、加工プ
ロセスにおける熱処理温度等が比較的低温のときは使用
できる。
【0034】このような金属材料を機械加工により所定
の形状に加工し、さらに、加工表面の平坦度が要求され
る発熱抵抗素子の形成面は、研削加工や研磨加工により
所定の平坦度を得るように加工する。好ましくは、プリ
ンタのプラテンの硬度や記録紙にも依存するが、表面粗
さは0.05μm以下が好ましい。
【0035】このようにして構成した金属基板53の上
に、前記実施例と同様にして無機絶縁層24、発熱抵抗
層、電極層を順次成膜し、傾斜面に発熱抵抗素子25、
共通電極26及び個別電極27を形成し、最後に保護層
28を形成してサーマルヘッドを製造する。この場合も
金属基板53は共通電極の機能を合わせ持つことにな
る。このようにして構成したサーマルヘッドも前記実施
例同様に熱応答性に優れ、また、印加エネルギーも少な
くでき、高速印字に対処できる。また、超寿命化を図る
ことができ、ストレートパス印字も実現できる。
【0036】なお、前記各実施例では、金属基板の先端
部に幅方向に沿った傾斜面を形成し、この傾斜面の幅方
向に沿って発熱抵抗素子を多数配置したサーマルヘッド
について述べたが必ずしもこれに限定するものではな
く、平坦な金属基板の平面上に幅方向に沿って発熱抵抗
素子を多数配置したサーマルヘッドに対しても本発明は
適用できるものである。この場合、記録紙に対する発熱
抵抗素子の接触が面状接触となるため、発熱抵抗素子を
傾斜面の幅方向に沿って配置したものに比べて熱エネル
ギーが増加するが、熱応答性が従来に比べて優れている
ので、高速印字に十分に対処できる。
【0037】
【発明の効果】以上、本発明によれば、発熱抵抗素子の
放熱効率を向上でき、これにより画素密度が高く高速印
字が要求されるプリンタへの適用が可能となり、しか
も、長寿命化を図ることができるサーマルヘッド及びサ
ーマルヘッドの製造方法を提供できる。
【0038】また、本発明によれば、さらなる高速印字
に対応でき、しかもストレートパス印字にも対応できる
サーマルヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すサーマルヘッドの要部
断面図。
【図2】同実施例のサーマルヘッドの先端部の部分平面
図。
【図3】同実施例のサーマルヘッドを使用したプリンタ
の概略構成図。
【図4】同実施例のサーマルヘッドの製造に使用するプ
レス成形した金属基板を示す図。
【図5】同実施例のサーマルヘッドの製造方法を説明す
るための断面図。
【図6】図5の丸枠Yの部分拡大図。
【図7】同実施例のサーマルヘッドの製造方法を説明す
るための断面図。
【図8】従来のサーマルヘッドの熱応答特性を示すグラ
フ。
【図9】同実施例のサーマルヘッドの熱応答特性を示す
グラフ。
【図10】本発明の他の実施例を示すサーマルヘッドの
要部断面図。
【図11】従来例を示す要部断面図。
【図12】他の従来例を示す要部断面図。
【符号の説明】
23…金属基板 24…無機絶縁層 25…発熱抵抗素子 26…共通電極 27…個別電極 28…保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土本 宏志 静岡県三島市南町6番78号 株式会社テッ ク技術研究所内 (72)発明者 梶村 元二 静岡県三島市南町6番78号 株式会社テッ ク技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面上を所定の平坦度に加工した金属基板
    と、この金属基板の面上に形成した無機絶縁層と、この
    無機絶縁層の上の先端部に幅方向に沿って多数配置した
    発熱抵抗素子と、この各発熱抵抗素子の一端に接続する
    ように先端側に幅方向に沿って配置した共通電極と、前
    記各発熱抵抗素子の他端に個々に接続するように配置し
    た複数の個別電極と、少なくとも前記共通電極、各個別
    電極及び前記各発熱抵抗素子の上に形成した保護層とか
    らなることを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 金属基板のパターン形成面を所定の平坦
    度に形成し、この金属基板のパターン形成面に薄膜プロ
    セスで無機絶縁層を成膜し、この無機絶縁層の上に発熱
    抵抗層を成膜すると共に、さらにその上に電極層を形成
    し、その後、前記発熱抵抗層及び電極層をエッチングす
    ることにより、先端部に幅方向に沿って多数の発熱抵抗
    素子を形成し、また、先端側に幅方向に沿って、しかも
    前記各発熱抵抗素子の一端に接続するように共通電極を
    形成すると共に、前記各発熱抵抗素子の他端に個々に接
    続するように複数の個別電極を形成し、その後、前記共
    通電極、各個別電極及びこの共通電極と各個別電極との
    間の発熱抵抗層の上に保護層を形成したことを特徴とす
    るサーマルヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 金属基板のパターン形成面に無機絶縁層
    を成膜した後、共通電極を形成する部位の無機絶縁層を
    エッチングにより除去し、その後、この無機絶縁層を除
    去した部位を含んで前記無機絶縁層の上に発熱抵抗層を
    成膜することを特徴とする請求項2記載のサーマルヘッ
    ドの製造方法。
  4. 【請求項4】 先端部に幅方向に沿った傾斜面を形成
    し、面上を所定の平坦度に加工した金属基板と、この金
    属基板の面上に形成した無機絶縁層と、この無機絶縁層
    の上に傾斜面の幅方向に沿って多数配置した発熱抵抗素
    子と、この各発熱抵抗素子の一端に接続するように傾斜
    面の先端側にこの傾斜面の幅方向に沿って配置した共通
    電極と、前記各発熱抵抗素子の他端に個々に接続するよ
    うに配置した複数の個別電極と、少なくとも前記共通電
    極、各個別電極及び各発熱抵抗素子の上に形成した保護
    層とからなることを特徴とするサーマルヘッド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006239924A (ja) * 2005-03-01 2006-09-14 Dainippon Printing Co Ltd 昇華型熱転写プリンタ
JP2012126048A (ja) * 2010-12-16 2012-07-05 Rohm Co Ltd サーマルプリントヘッドおよびサーマルプリントヘッドの製造方法

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