JPH08327052A - 燃焼装置の火炎監視装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 過去のちらつきデータを時系列的に監視する
ことによって、異常時等の原因調査の一要因として火炎
状態を使用することを可能にした燃焼装置の火炎監視装
置を提供する。 【構成】 複数本のバーナを備えた燃焼装置の各バーナ
ごとに、複数方向に設定された検知視野を有する多視野
型採光ヘッドを設け、複数の採光ヘッドごとに少なくと
も一つの切換部と火炎状態解析部と火炎判定部とを設
け、切換部には火炎状態解析部および火炎判定部に伝達
すべき採光ヘッドの切換手段と採光ヘッド内の検知視野
切換手段とを設け、かつ火炎判定部の判定結果を表示す
る表示部とを設けた火炎検知装置において、あらかじめ
火炎の状態変化条件を入力する条件入力部と、複数本の
バーナについての火炎状態解析部からの火炎のちらつき
を継続してサンプリングする手段と、条件入力部の条件
を火炎判定部の判定結果が満たしたときに、その時点か
ら過去の一定期間のちらつきデータを保存する手段とを
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、燃焼装置の火炎監視装
置に係り、特に例えばボイラ装置などに付設する火炎検
知装置であって、光学式に火炎の性状を検出する火炎検
出装置において、火炎の状態変化時に火炎の過去の状態
変化を把握し、燃焼装置の運用に利用することができる
ようにした火炎検出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】本発明が適用される従来の多視野型火炎
検出器の縦断面を図２に示す。図２において、符号１は
装置本体を構成する外筒、２は外筒１内の先端部近傍に
支持部材３を介して取り付けた採光ヘッドである。この
採光ヘッド２の先端部には先端開口部３ａに向かって異
なる角度で３本の光ファイバ（４ａ、４ｂ、４ｃとして
各々を示す）が収納配置してあり、各々が線５ａ、５
ｂ、５ｃを中心として一定の視野を有するよう配置して
ある。例えばこれらの視野の中心線５ａ〜５ｃのなす角
α₁ 、α₂ はα₁ ≒α₂ ≒１５度である。なお、内部に
収容した光ファイバを保護するため採光ヘッド２および
採光ヘッド支持部材３のうち少なくとも支持部材３はセ
ラミックス等の耐熱性材料で形成されている。次に符号
６は外筒１内に一定の空間を介して配置した内筒、７は
この内筒６内に配置したコネクタであり前記３本の光フ
ァイバ４はこのコネクタ７を経て外筒１の基部に取り付
けたウインドボックス８に至る。同ボックス８は冷却用
空気供給用に利用するほか、光電変換器を収納して同ボ
ックス内で光電変換を行ない、ボックス外に対しては検
知した火炎の光を、例えば電気信号として出力するよう
構成されている。またウインドボックス８に入った冷却
用空気Ａは内筒６を経て一部は採光ヘッド２の周囲か
ら、また他は採光ヘッド２の光ファイバ収納溝２ｂを経
てヘッド先端の開口部３ａから噴射し、本体および内部
に収納した光ファイバを冷却するとともに採光ヘッド先
端部をバーナからの媒塵によりよごされないように保護
されている。

【０００３】図３は以上に示した火炎検知器を大型のボ
イラのバーナに取り付けた状態を示す説明図である。装
置本体たる外筒１は支持筒２０によりバーナ９に近接し
て配置されバーナ火炎Ｆに対して視野中心が５ａ、５
ｂ、５ｃとなるよう多視野で監視を行なう。一般に火炎
検知器は多数のバーナを設置したボイラにおいて、各バ
ーナごとに取り付けてそれぞれの燃焼状態を監視する。
図４は、この火炎検知器を用いて火炎検知する方法の一
例を示す説明図である。

【０００４】まず採光ヘッド２において各光ファイバに
より検知された光は光電変換部１０に至り、電気信号に
変換される。次に切換部１１において火炎検知を行ない
たいバーナごとに配置した採光ヘッド２からの信号を入
力するよう採光ヘッドの切換手段であるバーナ切換１１
ａにより行なう。ちなみに各バーナに対して各々一基づ
つの採光ヘッド２が配置されるわけであるから、図４の
場合は２基のバーナについての火炎検知を行なうもので
ある。次に検知視野の切換手段である光ファイバ切換１
１ｃにより検知視野中心の選択を行ない、かつこの光フ
ァイバからの光を受ける光電素子を検知したい周波数成
分に反応する光電素子に切りかえるため、火炎判定部の
光電素子切換手段である光電素子切換１１ｂにより行な
う。例えば光電素子としてシリコンフォトダイオードよ
りなる可視光用受光素子と硫化鉛光導電体からなる赤外
光用受光素子を備える。このようにして選択された電気
信号（アナログ）をＡ／Ｄ変換部１２においてデジタル
信号に変換し、その信号をフーリエ解析する周波数解析
装置１３によって、ちらつき成分を演算する。しかる後
火炎判定部１４において火炎の有無を判定し、この判定
結果およびちらつき成分をＣＲＴ１７やプリンタ１８等
に出力する。しかし、従来の火炎ちらつきデータは、リ
アルタイムでの監視は可能であったが、時系列的に監視
ができる機能がなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、過去
のデータの監視ができなかったために、異常時等の原因
調査で火炎状態のデータを使用することができなかっ
た。本発明の目的は、過去のちらつきデータを時系列的
に監視することによって、異常時等の原因調査の一要因
として火炎状態を使用することを可能にした燃焼装置の
火炎監視装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願で特許請求する発明は以下のとおりである。 （１）複数本のバーナを備えた燃焼装置の各バーナごと
に、複数方向に設定された検知視野を有する多視野型採
光ヘッドを設け、複数の採光ヘッドごとに少なくとも一
つの切換部と火炎状態解析部と火炎判定部とを設け、前
記切換部には火炎状態解析部および火炎判定部に伝達す
べき採光ヘッドの切換手段と採光ヘッド内の検知視野切
換手段とを設け、かつ前記火炎判定部の判定結果を表示
する表示部とを設けた火炎検知装置において、あらかじ
め火炎の状態変化条件を入力する条件入力部と、複数本
のバーナについての火炎状態解析部からの火炎のちらつ
きを継続してサンプリングする手段と、前記条件入力部
の条件を火炎判定部の判定結果が満たしたときに、その
時点から過去の一定期間のちらつきデータを保存する手
段とを設けたことを特徴とする燃焼装置の火炎監視装
置。 （２）複数本のバーナを備えた燃焼装置の各バーナごと
に、複数方向に設定された検知視野を有する多視野型採
光ヘッドを設け、複数の採光ヘッドごとに少なくとも一
つの切換部と火炎状態解析部と火炎判定部とを設け、前
記切換部には火炎状態解析部および火炎判定部に伝達す
べき採光ヘッドの切換手段と採光ヘッド内の検知視野切
換手段とを設け、かつ前記火炎判定部の判定結果を表示
する表示部とを設けた火炎検知装置において、前記表示
部に全バーナについての燃焼状態を表示する手段と、火
炎の状態変化条件を入力する条件入力部と、複数本のバ
ーナについての火炎状態解析部からの火炎のちらつきデ
ータを継続してサンプリングして表示するとともに一時
貯留する手段と、前記条件入力部から入力された条件と
火炎判定部の判定結果が一致したときに、その時点から
過去の所定期の前記ちらつきデータを保存する手段と、
バーナの燃焼状態変化原因究明時に前記データを再現表
示する手段とを設けたことを特徴とする燃焼装置の火炎
監視装置。

【０００７】

【作用】リアルタイムで監視していた火炎ちらつきデー
タを常時サンプリングしつつ、短い所定時間そのデータ
をホールドしつつ表示装置に表示し、火炎の状態変化時
には、ホールドしていた該当するデータを一定期間保存
することにより、過去のデータを時系列的に監視するこ
とができるようになるので、異常時等の原因調査の一要
因として火炎状態を未監視となることがない。

【０００８】

【実施例】火炎監視装置のハード部の構成については前
述の従来の技術として説明した図２、図３と同様であり
説明は省略する。本発明の実施例を図１について、ちら
つきデータを監視する方法の一例として示す。まず採光
ヘッド２において各光ファイバにより検知された光は光
電変換部１０に至り、電気信号に変換される。次に切換
部１１において火炎検知を行ないたいバーナごとに配置
した採光ヘッド２からの信号を入力するよう採光ヘッド
の切換手段であるバーナ切換１１ａにより行なう。ちな
みに各バーナに対して各々一基づつの採光ヘッド２が配
置されるわけであるから、図１の場合は２基のバーナに
ついての火炎検知を行なうものである。次に検知視野
（図２の５ａ、５ｂ、５ｃ）の切換手段である光ファイ
バ切換１１ｃにより検知視野中心の選択を行ない、かつ
この光ファイバからの光を受ける光電素子を検知したい
周波数成分可視光域と赤外光域の各々に反応する光電素
子に切り替えるため、火炎判定部に設けた光電素子切換
手段である光電素子切換１１ｂにより行なう。このよう
にして選択された電気信号（アナログ）をＡ／Ｄ変換部
１２においてデジタル信号に変換し、その信号をフーリ
エ解析する周波数解析装置１３によって、ちらつき成分
を演算する。演算された周波数解析装置１３からの出力
の一例を図６に示す。このちらつきおよび光量信号を火
炎判定部１４に入力し、火炎の点消火の判定、燃料弁開
閉時に規定時間内にバーナが点火、または消火したか否
かの判定を行ない、判定結果と解析装置１３からの図６
に示すちらつきデータなどを出力する。１４からの判定
結果およびちらつきデータをサンプリング装置１４Ａに
より常時サンプリングする。サンプリング装置１４Ａか
らこれらデータを記憶装置１６に短時間一時的にホール
ドしつつＣＲＴ１７、プリンタ１８に表示する。なお、
記憶装置１６に一時的にホールドされたデータは条件入
力装置からの信号による指令がない限り所定時間後消去
される。

【０００９】また条件入力装置１５より保存したい火炎
の状態信号として、サンプリング装置１４Ａに表１のN
o. １〜No. ２の点火、消火所要時間についての異常、N
o. ３〜No. ４に示すような消火、点火による火炎異常
の条件を入力しておき、１４からの信号がそれに一致し
たとき、その時より所定時間前のちらつきデータ（図
６）を記憶装置１６に保存する。

【００１０】

【表１】 上記のデータ保存時間、規定時間を任意に条件入力装置
で設定する。

【００１１】例えば失火前の数秒間のデータを保存する
等を入力しておき、火炎がそのような条件になったとき
希望する状態のサンプリングしたちらつきのデータを記
憶装置１６にて保存する。保存されたデータは事後、出
力装置としてＣＲＴ１７やプリンタ１８に出力可能なも
のとする。例えば失火した時の状態を調査したい時は記
憶装置１６に保存されたデータを出力装置のＣＲＴ１７
やプリンタ１８にて出力し、突然ちらつきレベルが低下
したものか、あるいは緩やかに低下したものか等をデー
タ分析することによって燃焼装置の異常の原因究明の一
手段とすることができる。

【００１２】なお、本実施例で対象とするボイラは、そ
の缶前と缶後の対向する各面に８本のバーナが、それぞ
れ二段に配列されており、本実施例では各バーナごとに
別々にＣＲＴに表示するのをやめ、一つ画面に全バーナ
についての燃焼状態の総合判定の状況を表示することと
した。これを図５に示す。一つのバーナ分の表示に約２
秒程度を要するので、前バーナの表示に約３０秒が必要
となる。本判定画像を監視することにより火炎判定の不
安定なバーナを見つけることができる。

【００１３】図６は一つのバーナについて、周波数解析
装置１３によって出力されたバーナちらつきデータを示
すものであり、そのバーナに付設した火炎検出器による
検出光量レベルおよびちらつきの範囲の状況を示す。図
において、１ｃｈ、２ｃｈは図２の採光ヘッド２内の光
ファイバ４ｃによる可視光帯域と赤外光帯域の検出光量
レベルとちらつき範囲を示す。また３ｃｈ、４ｃｈは光
ファイバ４ｂによる同様の光量レベルとちらつき範囲、
５ｃｈ、６ｃｈは光ファイバ４ａによる同様の光量レベ
ルとちらつき範囲を示す。なお、図６で示した光量レベ
ルは各チャンネルで受光した光について、数ケの波長点
ごとの光量を加算したもので表わし、かつ、そのちらつ
きの範囲も表示されている。燃料元弁が開弁しているに
もかかわらず消火判定したバーナについては、図６に示
した表示データが保存され、その時のバーナ火炎の状態
を再現することにより原因究明の一つの手がかりとす
る。例えば失火したバーナについての図６のような光量
データを再現した結果、５ｃｈ、６ｃｈの光量が缶内周
囲の光量とほぼ等しく、１〜４ｃｈについては周囲光量
より顕著に大きいときは、バーナノズルから離れた位置
で着火する火炎が形成されていたことを意味し、失火は
火炎の吹き飛びによるものと推定される。なお、図６に
示した缶内周囲光量は、あらかじめ求めておいた学習値
である。

【００１４】なお、図５に示した全バーナについての燃
焼状態の総合判定値の求め方と表示方法を示す。図７に
示すようにＡ−１のバーナ（図５、図８参照）について
の火炎検出器の１〜６チャンネルそれぞれについて、現
在の光量と学習した周囲光量の瞬間最大値の光量差を求
め、それらの差の値のうちの最大値６３０をもってその
バーナの総合判定値として表示する。なお、上記実施例
ではボイラ燃焼装置の全バーナについての総合判定表示
を一つ画面に表示する場合について示したが、二つの画
面に表示してもよい。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、多数のバーナを設けた
ボイラなどの燃焼装置において、全てのバーナ一つ一つ
についての総合的評価を一つ、または二つの画面にまと
めて数量的に表示するので、運転者にとって全体のバー
ナの状況を一目で把握することができる。また、あるバ
ーナの火炎状態が変化した時に、その時点から過去の一
定期間のデータを保存し、過去のデータの変化を検討す
ることにより、燃焼状態の的確な監視と燃焼装置に対す
る適切な処置をとることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる火炎監視装置の実施例図。

【図２】従来技術になる火炎検出器の縦断面図。

【図３】火炎検出器をバーナに取り付けた状況を示す
図。

【図４】従来の火炎検出装置を示す図。

【図５】ボイラなどの燃焼装置の全てのバーナについて
の燃焼状況（点、消火）を示す表示画像図。

【図６】ある一つのバーナに対する火炎検出器の各視野
ごとに検出した光量レベル、ちらつきの状況を示す画面
図。

【図７】図５における各バーナについての総合判定値の
求め方を示す図。

【図８】図７の方法によって求めた総合判定値を表示し
た例を示す図。

【符号の説明】

１…外筒、２…採光ヘッド、３…採光ヘッド支持部材、
４ａ、４ｂ、４ｃ…光ファイバ、５ａ、５ｂ、５ｃ…光
ファイバ４ａ、４ｂ、４ｃの視野の中心線、６…内筒、
７…コネクタ、８…ボックス、９…バーナ、１０…光電
変換部、１１…切換部、１２…Ａ／Ｄ変換部、１３…周
波数解析装置、判定部兼サンプリング装置、１５…条件
入力装置、１６…記憶装置、１７…ＣＲＴ、１８…プリ
ンタ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本のバーナを備えた燃焼装置の各バ
   ーナごとに、複数方向に設定された検知視野を有する多
   視野型採光ヘッドを設け、複数の採光ヘッドごとに少な
   くとも一つの切換部と火炎状態解析部と火炎判定部とを
   設け、前記切換部には火炎状態解析部および火炎判定部
   に伝達すべき採光ヘッドの切換手段と採光ヘッド内の検
   知視野切換手段とを設け、かつ前記火炎判定部の判定結
   果を表示する表示部とを設けた火炎監視装置において、
   あらかじめ火炎の状態変化条件を入力する条件入力部
   と、複数本のバーナについての火炎状態解析部からの火
   炎のちらつきを継続してサンプリングする手段と、前記
   条件入力部の条件を火炎判定部の判定結果が満たしたと
   きに、その時点から過去の一定期間のちらつきデータを
   保存する手段とを設けたことを特徴とする燃焼装置の火
   炎監視装置。
2. 【請求項２】 複数本のバーナを備えた燃焼装置の各バ
   ーナごとに、複数方向に設定された検知視野を有する多
   視野型採光ヘッドを設け、複数の採光ヘッドごとに少な
   くとも一つの切換部と火炎状態解析部と火炎判定部とを
   設け、前記切換部には火炎状態解析部および火炎判定部
   に伝達すべき採光ヘッドの切換手段と採光ヘッド内の検
   知視野切換手段とを設け、かつ前記火炎判定部の判定結
   果を表示する表示部とを設けた火炎監視装置において、
   前記表示部に全バーナについての燃焼状態を表示する手
   段と、火炎の状態変化条件を入力する条件入力部と、複
   数本のバーナについての火炎状態解析部からの火炎のち
   らつきデータを継続してサンプリングして表示するとと
   もに一時貯留する手段と、前記条件入力部から入力され
   た条件と火炎判定部の判定結果が一致したときに、その
   時点から過去の所定期の前記ちらつきデータを保存する
   手段と、バーナの燃焼状態変化原因究明時に前記データ
   を再現表示する手段とを設けたことを特徴とする燃焼装
   置の火炎監視装置。