JPH08320321A - 細胞診断用標識剤及びそれを用いた細胞診断システム - Google Patents

細胞診断用標識剤及びそれを用いた細胞診断システム

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JPH08320321A
JPH08320321A JP5969296A JP5969296A JPH08320321A JP H08320321 A JPH08320321 A JP H08320321A JP 5969296 A JP5969296 A JP 5969296A JP 5969296 A JP5969296 A JP 5969296A JP H08320321 A JPH08320321 A JP H08320321A
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光昭 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糖鎖と細胞との特異的相互作用を利用した標
識剤を提供し、その標識剤を用いた細胞診断システムを
構築する。 【解決手段】 蛍光物質(2)を固定した糖鎖高分子
(3)からなる標識剤(1)、及びこの標識剤(1)の
少なくとも1つで標識した細胞をフローサイトメトリー
で測定し、得られた蛍光強度を蛍光パターンとして表現
して解析することからなる細胞診断システム。 【効果】 本発明の標識剤は、複雑な操作なしで合成で
き、安価で保存性が良好である。本発明の細胞診断シス
テムでは、細胞ごとに特別な抗体を用意する必要がな
く、同一条件での測定により、細胞の種類及びその状態
に関する多くの情報を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞診断用標識
剤、特に蛍光物質を固定した糖鎖を有する合成高分子か
らなる標識剤に関する。さらに本発明は、その標識剤を
用いた標識法による細胞診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】細胞が悪性な脱分化等を起こした際、細
胞の内外に生じる分子レベルの変化をモニターするに
は、細胞由来物質の電気泳動、病理組織の観察、電子顕
微鏡的観察、あるいは蛍光やラジオラベル化合物のよう
なプローブ化合物によって特定の細胞膜タンパク質を標
識するといった標識法が用いられている。しかし、これ
らのうち標識法以外は、サンプルの調整に長時間を要す
る上に、正確な診断を行うためにはオペレーターの熟練
が必要となる等、煩雑なものであった。
【0003】一方、標識法は、細胞表面の分化マーカー
に対して高い特異性を有するモノクローナル抗体に、
125I等の放射性同位元素や蛍光分子等を結合させた標
識剤を用い、細胞の標識剤への結合の程度を、シンチレ
ーションカウンターやフローサイトメーター等を用いて
機械的に定量するものである。この標識法によれば、細
胞表面上に発現した糖タンパク質等の分化マーカーに対
する抗体の結合量が評価され、これによって、細胞表面
の分化マーカーの種類(フェノタイプ)が同定でき、こ
のフェノタイプから細胞を分類することができる。
【0004】しかしながら、従来のモノクローナル抗体
を用いた標識剤は調整に手間がかかり、非常に高価であ
るので入手しにくいという問題があった。さらに、この
標識法は、細胞表面に発現された分化マーカーの有無を
判定することに基づいて、細胞の種類そのもの、あるい
は組織や血液中に占める特定の細胞の存在率等から病状
を診断する方法であるため、例えば細胞の活性化過程や
悪性の脱分化の過程を精密にモニターすることは困難で
あった。従って、このような抗体を利用した標識法によ
る細胞診断の結果と、実際の患者の病態とが相関しない
ことがしばしば見受けられた。
【0005】従って、最終的な病的状態の診断は、組織
切片や塗末標本の視覚的判断によっているのが現状であ
り、病態の発生の予測、病態の程度、あるいは予後の状
態等を、簡便かつ客観的にモニターできる新しい細胞診
断システムの開発が望まれていた。
【0006】一方、近年の糖鎖工学の進歩には目ざまし
いものがある。例えば、糖鎖を有する生体高分子として
は、細胞の安定化に寄与する植物細胞の細胞壁のプロテ
オグリカン、細胞の分化、増殖、接着、移動等に影響を
与える糖脂質、及び細胞間相互作用や細胞認識に関与し
ている糖タンパク質等が挙げられるが、これらの高分子
の糖鎖が、互いに機能を代行、補助、増幅、調節、ある
いは阻害しあいながら高度で精密な生体反応を制御する
機構が次第に明らかにされつつある。
【0007】さらに、このような糖鎖と細胞の分化増
殖、細胞接着、免疫、及び細胞の癌化との関係が明確に
されれば、この糖鎖工学と、医学、細胞工学、あるいは
臓器工学とを密接に関連させて新たな展開を図ることが
期待できる。
【0008】その一例として、細胞表面の糖鎖や、糖鎖
-レセプター間の相互作用異常による疾病の発生、ある
いはエイズなどのウイルス感染における糖鎖の役割等に
関する研究が活発化してきている。また、細胞-細胞間
相互作用、細胞-マトリックス間相互作用における糖鎖
の関与に関する研究も、生体反応を理解する上で重要に
なってきている。
【0009】本発明者らは、上記の事情に鑑み、糖鎖と
細胞との相互作用を詳細に検討した結果、糖鎖と細胞と
の相互作用の程度が細胞の種々の状態を表す指標になる
ことを見いだし、本発明をなすに至った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明における
課題は、糖鎖と細胞との特異的相互作用を利用した細胞
診断用の標識剤を提供し、その標識剤を用いた標識法に
より、糖鎖と細胞との特異的相互作用の程度を測定し、
解析することからなる細胞診断システムを構築すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】よって本発明は、糖鎖を
有する合成高分子に蛍光物質を固定してなる細胞診断用
の標識剤、及びその標識剤と細胞との相互作用の程度を
同定することからなる細胞診断システムを提供する。よ
り具体的には、本発明の標識剤は、種々の糖鎖を合成高
分子に結合させた糖鎖高分子に蛍光物質を固定してなる
ことを特徴とする。なお、本明細書でいう「糖鎖と細胞
との相互作用」とは、各種細胞による特異的糖鎖認識、
及び各種細胞上に存在するアシアロ糖タンパク質レセプ
ター等の糖鎖認識レセプターやレクチン様タンパク質に
よる特異的糖鎖認識に基づく相互作用を含むものとす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の標識剤を図面を
参照して詳細に説明する。図1は、本発明の標識剤の一
例を示す図であり、蛍光物質2の周囲に、複数の糖鎖高
分子が糖鎖3を外側にして固定されて標識剤1が形成さ
れている。
【0013】本発明の標識剤では、蛍光性物質として、
フルオレセインイソチオシアネート(FITCと略
記)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ま
たはフィコエリトリン、またはテキサスレッド等の蛍光
分子、あるいは、ポリスチレン、ポリエチレン等のビー
ズに蛍光分子を担持させた蛍光性ビーズ等を用いること
ができる。中でも、製造が容易であって入手しやすく、
しかも比較的大きな蛍光強度が得られ、糖鎖高分子に吸
着しやすい等の利点を持つ蛍光性ビーズを用いるのが好
ましい。
【0014】本発明の標識剤を形成する糖鎖高分子をな
す合成高分子は、側鎖として糖鎖を導入でき、通常の方
法で重合可能なものならば特に限られないが、例えば蛍
光物質として上記の蛍光性ビーズを使用する場合には、
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、または
それらの誘導体等の疎水性高分子を用いるのが好まし
い。特に、蛍光性ビーズの材料として広く使用されてい
るポリスチレンまたはその誘導体からなる合成高分子を
使用した場合には、蛍光性ビーズに対する吸着性が向上
するのでさらに好ましい。
【0015】また、この糖鎖高分子をなす糖鎖として
は、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マンノー
ス、マンノビオース、N-アセチルグルコサミン、ラミ
ナリビオース、ウロン酸関連物質、硫酸糖等の単糖類、
オリゴ糖類等がいずれも使用でき、上記合成高分子に側
鎖として結合した状態で、細胞と特異的相互作用する糖
残基を保持できるものならば、特に限定されるものでは
ない。
【0016】本発明の糖鎖高分子は、上記のような合成
高分子を主鎖とし、その主鎖に上述の糖鎖を側鎖として
結合させたものであるが、その合成高分子と糖鎖との結
合方法は、アミド結合、エステル結合等の共有結合とす
るのが好ましい。例えば、p-アミノメチルスチレンの
アミノ基と、ラクトン化した糖の末端カルボニル基間で
アミド結合を形成するのが好ましい。また、この合成高
分子と糖鎖とは、合成高分子をなすモノマーと糖鎖分子
とを結合させてから重合してもよいし、結合可能な官能
基を有するモノマーを重合した後に糖鎖を結合させても
よい。但し、1分子中に導入される糖鎖の数を制御でき
ることから、糖鎖を結合させたモノマーを重合するのが
好ましい。
【0017】また、この糖鎖高分子は、糖鎖を結合させ
たモノマーを単独重合させたホモポリマーとするのが好
ましいが、他のモノマーとのコポリマーとしてもよい。
この糖鎖高分子の分子量は、糖鎖高分子を水溶液中に溶
解させた際にミセルを形成して可溶化する程度であれば
特に限られるものではないが、糖鎖高分子のホモポリマ
ーの場合は3万から5万程度のものが通常用いられる。
但し、例えば親水性基を有するモノマーとのコポリマー
とした場合には、その親水性基によって上記の範囲をは
ずれる分子量を有しても水溶性が保たれるものがあり、
そのような糖鎖高分子も本発明の範囲に含まれる。
【0018】本発明の標識剤にあっては、上記のような
糖鎖高分子の中で、例えば、下記式(1)から(10)
で表される糖鎖高分子が特に好適に用いられる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】上記式(1)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-[O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→
4)-D-グルコンアミド])(以後、PV-LAと略記
する)は、p-アミノメチルスチレンとラクトースとか
ら合成されたモノマーを単独重合して得られるもので、
β-ガラクトース残基を有する。
【0030】上記式(2)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-[O-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-
D-グルコンアミド])(以後、PV-MAと略記する)
は、p-アミノメチルスチレンとマルトースとから合成
されたモノマーを単独重合して得られるもので、グルコ
ース残基を有する。
【0031】上記式(3)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-[O-β-D-マンノピラノシル-(1→4)-
D-マンナアミド])(以後、PV-Manと略記する)
は、p-アミノメチルスチレンとマンノビオースとから
合成されたモノマーを単独重合して得られるもので、マ
ンノース残基を有する。
【0032】上記式(4)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-[O-α-D-ガラクトピラノシル-(1→
6)-D-グルコンアミド])(以後、PV-MeAと略
記する)は、p-アミノメチルスチレンとO-α-D-ガラ
クトピラノシル-(1→6)-D-グルコースとから合成
されたモノマーを単独重合して得られるもので、ガラク
トース残基を有する。
【0033】上記式(5)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-[O-6-カルボキシメチル-β-D-ガラクト
ピラノシル-(1→4)-O-D-6-カルボキシメチル-グ
ルコンアミド])(以後、PV-LACOOHと略記す
る)は、p-アミノメチルスチレンとラクトースとから
合成されたモノマーを単独重合して得られたPV-LA
をカルボキシルメチル化したもので、カルボキシメチル
化ガラクトース残基を有する。
【0034】上記式(6)で表されるポリ(3-O-4’
-ビニルベンジル-D-グルコース)(以後、PV-Gと略
記する)は、p-クロロメチルスチレンとグルコースと
から合成されたモノマーを単独重合して得られるもの
で、グルコース残基を有する。
【0035】上記式(7)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-[O-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-
グルコピラノシル-(1→4)-O-D-2-アセトアミド-
2-デオキシ-β-D-グルコピラノシル-(1→4)-O-
D-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコンアミ
ド])、上記式(8)で表されるポリ(N-p-ビニルベ
ンジル-[O-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グル
コピラノシル-(1→4)-O-D-2-アセトアミド-2-
デオキシ-β-D-グルコンアミド])、またはそれらの
混合物(以後、いずれもPV-GlcNacと略記す
る)は、ともにN-アセチルグルコサミン残基を有す
る。
【0036】上記式(9)で表されるポリ(N-p-ビニ
ルベンジル-D-グルコンアミド)(以後、PV-GAと
略記する)は、D-グルコースを開環させてp-アミノメ
チルスチレンと結合させたモノマーを単独重合して得ら
れるものである。
【0037】上記式(10)で表されるポリ(N-p-ビ
ニルベンジル-[O-β-D-グルコピラノシル-(1→
3)-D-グルコンアミド])(以後、PV-Lamと略
記する)は、p-アミノメチルスチレンとラミナリビオ
ースとから合成されたモノマーを単独重合して得られる
もので、β1→3グルコース残基を有する。
【0038】上記式(1)から(10)の糖鎖高分子に
おいても、その分子量は3万から5万程度のものを用い
るのが好ましいが、この他の分子量のものも使用可能で
ある。また、これらの糖鎖高分子は、1種のみでも2種
以上を混合して用いてもよく、その使用目的に応じて適
宜選択できる。
【0039】本発明の標識剤は、上記のような糖鎖高分
子に蛍光物質が固定されて形成されている。その固定法
は、吸着などの物理化学的方法でもよいし、共有結合等
の化学的方法でもよい。例えば、一般に市販されている
予め蛍光分子が導入されたポリスチレン製蛍光性ビーズ
を用いる場合には、上記式(1)から(10)のような
ポリスチレン鎖を有する糖鎖高分子を蛍光性ビーズに吸
着させるのが好ましい。この場合は、蛍光性ビーズを糖
鎖高分子水溶液で処理するだけで、容易に本発明の標識
剤を得ることができる。
【0040】蛍光性ビーズを糖鎖高分子水溶液で処理す
る具体的方法は、1〜500μg/ml、好ましくは1
00〜300μg/ml、さらに好ましくは150〜2
50μg/mlの糖鎖高分子水溶液中に蛍光性ビーズを
浸漬し、室温で10分以上、好ましくは20分以上、さ
らに好ましくは1時間以上放置することにより行われ
る。蛍光性ビーズに吸着される糖鎖高分子の量は、蛍光
性ビーズの大きさや材質及び表面状態、さらには糖鎖高
分子水溶液の濃度等によって調整することができる。例
えば、直径5.0μmのビーズを上記式(1)のPV-
LA水溶液を用いて室温で2時間処理した場合、PV-
LAの吸着量を、β-ガラクトースを認識するレクチン
であるAllo-Aの結合量で表すと、ビーズ1mg当
たり約24ngである。
【0041】本発明の標識剤に用いられる蛍光性ビーズ
の大きさは、特に限られるものではないが、直径0.0
1〜5.0μm、好ましくは0.1〜1.0μm程度の
ものが用いられる。
【0042】また、FITC等の蛍光分子を直接固定す
る場合には、糖鎖高分子に共有結合させるのが好まし
く、その方法としては、例えば、微量のピリジンを添加
した溶媒に糖鎖高分子を溶解し、その溶液にFITCを
ジブチルスズジラウレート等の触媒とともに加えて加熱
する。得られた反応混合液からエタノール中で数回再結
晶させて濾過することにより、本発明の標識剤を得るこ
とができる。このFITCの含有量は、特に限定されな
いが、その含有量を多くすると感度良く検知できる。好
ましくは、糖鎖20〜200分子に対してFITC1分
子程度、さらに好ましくは糖鎖40〜60分子にFIT
C1分子とする。
【0043】また本発明は、上記の標識剤を用いた標識
法による細胞診断システムに関する。この細胞診断シス
テムは、上記の標識剤と細胞とを混合して、その細胞を
標識剤で標識する標識手段と、その標識した細胞の蛍光
強度を測定する測定手段と、測定した蛍光強度を解析す
る分析手段とから概略構成される。
【0044】本発明の細胞診断システムを構成する標識
手段は、上述の蛍光物質を糖鎖高分子に固定してなる本
発明の標識剤と、例えば赤血球やリンパ球等の血液細
胞、肝細胞等の組織細胞、またはマクロファージ等の貪
食細胞等の診断すべき細胞とを混合して、細胞を蛍光標
識することからなる。
【0045】この標識手段において使用する標識剤は、
本発明の標識剤の中から選択されるが、いかなる種類の
標識剤を選択するかは、診断すべき細胞の種類や糖鎖認
識性、あるいは検知すべき情報の種類を考慮して決定す
る。
【0046】各種細胞による糖鎖認識の特異性について
例示すると、肝実質細胞はガラクトース(Gal)やマ
ンンース(Man)を選択的に認識するのに対し、肝非
実質細胞はMan、グルコース(Glc)、N-アセチ
ルグルコサミン(GlcNAc)に対する親和性が高
い。血清組織はMan、GlcNAc、及びN-アセチ
ルマンノサミン(ManNAc)を、リンパ組織はMa
nNAc及びGlcNAcを特異的に認識する。
【0047】また、各種細胞表面に存在するマクロファ
ージ上のアシアロ糖タンパク質やレクチン様タンパク質
等の糖鎖認識タンパク質も、各々選択的に糖鎖を認識す
る。例えば、肺胞マクロファージ上の分子量175Kの
タンパク質は、Man、フコース(Fuc)、及びGl
cNAcを、腹腔マクロファージ上の分子量180Kの
タンパク質はMan、Fuc、及びGlcNAcを、ラ
ットクッパー細胞上の分子量30Kのタンパク質、腹腔
マクロファージ上の分子量42Kのタンパク質、及び活
性化マクロファージ上の分子量45〜60Kのタンパク
質はGal及びN-アセチルガラクトサミン(GalN
Ac)を、各々特異的に認識する。
【0048】一例として、上記式(1)で表されるPV
-LAを蛍光性ビーズに吸着させた標識剤(以下PV-L
A標識剤と略記する)を用い、肝細胞を標識する場合を
説明する。このPV-LA標識剤はガラクトース残基を
有し、特に肝細胞表面に存在するアシアロ糖タンパク質
レセプターと特異的に結合し、その結合を仲介として肝
細胞と非常に高い親和性を示す。このアシアロ糖タンパ
ク質レセプターの活性を検知することは代謝機能診断上
非常に重要なものである。
【0049】このPV-LA標識剤で肝細胞表面のアシ
アロ糖タンパク質レセプターを標識するためには、例え
ば、まずPV-LA標識剤を、0.1%ウシ血清アルブ
ミン(BSAと略記)及び0.1%NaN3を含むリン
酸緩衝液(PBSと略記)中に溶解して10ng/ml
の標識剤溶液を作製する。試料として、遠心により濃縮
した100×104個の肝細胞を懸濁したPBSを用意
する。その試料に上記標識剤50μlを溶液を加え、冷
却下(4℃)で時々攪拌しながら約15分間インキュベ
ーションすればよい。標識した細胞は、例えば0.1%
NaN3を含むPBSで2回程度洗浄し、必要に応じて
希釈した後に測定手段に提供される。細胞と標識剤との
混合比は、100×104個の肝細胞に対し、10ng
/mlの標識剤水溶液を50〜100μl程度とするの
が好ましいが、特に限られるものではない。
【0050】このようにして蛍光標識された細胞の蛍光
強度は、測定手段を用いて測定される。本発明で使用さ
れる測定手段とは、フローサイトメーター、蛍光分光光
度計などの、各細胞の蛍光強度を測定できる手段ならば
特に限られないが、フローサイトメーターを用いた場合
には、細胞1個ごとの蛍光強度が測定でき、その測定結
果に基づいて細胞を分取することもできるので特に好ま
しい。さらに、フローサイトメーターを用いた測定で
は、細胞の生物学的活性を表す蛍光強度の他に、細胞に
照射したレーザー光線の軸方向で細胞の大きさを反映す
る前方散乱光と、軸に垂直な方向で細胞質の状態を反映
する側方散乱光という2種の光が検知されるなど、得ら
れる情報量が多いことからも好ましい。
【0051】さらに、本発明の細胞診断システムは、前
記測定手段で測定した蛍光強度のデータを用い、細胞の
生物学的活性や病態などを解析する分析手段を有する。
例えば、1種類の糖鎖を有する標識剤で標識した細胞の
蛍光強度の測定結果から、その糖鎖を特異的に認識する
レセプターの活性などを知ることができる。また、フロ
ーサイトメーターを用いて測定した場合には、前方散乱
光及び側方散乱光を検知することにより、その細胞の大
きさや細胞質の状態等に関する情報を得ることもでき
る。
【0052】例えば、上で例示したPV-LA標識剤の
みで標識した肝細胞では、特に肝細胞表面に存在するア
シアロ糖タンパク質レセプターの活性、変質、密度など
を定量的に知ることができ、代謝機能の診断に有効な情
報を得ることができる。さらに、本発明者らは、このP
V-LA標識剤を肝癌細胞の標識に使用した場合、その
肝癌の種類によって異なった強度の蛍光を発するため、
癌種の識別が可能になることも見いだした。
【0053】しかしながら、本発明の細胞診断システム
にあっては、同種の細胞を、少なくとも2種、好ましく
は5種から10種の異なる糖鎖を有する標識剤で各々標
識して測定するのが特に好ましい。このように複数の異
なる標識剤で標識した細胞で測定された蛍光強度を比較
することにより、さらに詳細に細胞の状態を知ることが
できる。
【0054】例えば、同種の細胞を、各々が糖鎖Aから
Hまでの7種類の糖鎖を有する7種の標識剤で各々標識
し、それらの細胞の蛍光強度をフローサイトメーターで
測定した場合、同種の細胞であっても各々の糖鎖に応じ
て異なる蛍光強度が得られる。その結果を、例えば図2
に示すようなヒストグラムにまとめて蛍光パターンとす
ることができる。この蛍光パターンから、この細胞表面
には、糖鎖E及びGに特異的親和性を有する活性な糖鎖
認識分子が多数存在し、糖鎖C及びDに特異的な糖鎖認
識分子は、ほとんど存在しないか不活性化されており、
その他の糖鎖A、B、及びHに特異的な糖鎖認識分子
は、両者の中間の存在数または活性度を有することがわ
かり、細胞のフェノタイプが詳細に同定できる。
【0055】従って、本発明の細胞診断システムは、上
記のような蛍光パターンを記憶するメモリーなどの記憶
手段をさらに備えるのが好ましい。そのような記憶手段
に、多くの蛍光パターンを記憶させてデータベース化さ
せておくことにより、例えば未知の細胞を本発明の細胞
診断システムで分析して得られた蛍光パターンを、デー
タベースの多くの蛍光パターンと比較することにより、
その細胞のフェノタイプを容易に同定することができ
る。従って、本発明の細胞診断システムは、そのような
比較を行う論理演算手段を備えるのが好ましい。
【0056】なお、本発明でいう蛍光パターンは、前記
したヒストグラムに限られるものではなく、例えば折れ
線グラフ、円グラフ等のグラフで表示してもよいし、数
値で表示してもよい。ただし、フェノタイプの類似性な
どを容易に判断するためには、グラフなどの図形で表示
するのが好ましい。
【0057】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の標識剤及び細
胞診断システムを具体的に説明する。 (実施例1) (1)糖鎖高分子の合成及び被覆 上記式(1)から(5)、(7)、及び(9)で表され
る糖鎖高分子を、公知の方法(小林一清ら、ポリマー・
ジャーナル、第17巻、567〜575ページ、198
5年)にならって、各糖鎖高分子をなす各々の糖をラク
トン化し、そのラクトン化した糖とp-アミノメチルス
チレンとを反応させてモノマーを合成し、そのモノマー
を単独重合させることにより合成した。上記式(6)で
表される糖鎖高分子を、公知の方法(小林一清ら、マク
ロモレキュール、第13巻、234ページ、1980
年)にならって、グルコースとp-クロロメチルスチレ
ンとを反応させてモノマーを合成し、そのモノマーを単
独重合させることにより合成した。
【0058】次に、蛍光性物質を含まないポリスチレン
ラテックスビーズ(直径5μm)を、各200μg/m
lの上記糖鎖高分子水溶液で、室温で2時間処理して吸
着させ、8種類の糖鎖高分子被覆ポリスチレン・ビーズ
を作製した。
【0059】(2)糖鎖高分子によるポリスチレン・ビ
ーズ被覆の確認 糖鎖認識性タンパク質であるレクチンを用い、上記の糖
鎖高分子被覆ポリスチレン・ビーズのキャラクタリゼー
ションを行った。FITCで標識した4種のレクチン、
即ちヒト・ナチュラル・キラー細胞分離用レクチン(E
CL)、ピーナッツ凝集素(PNA)、レンズマメ凝集
素(LCA)、及びエンドウマメ凝集素(PSA)を用
意した。これらのうち、ECL及びPNAはガラクトー
ス認識性であり、LCA及びPSAはマンノース認識性
である。
【0060】[蛍光性レクチンによる標識]ECL、P
NA、LCA、及びPSAの20ng/mlのPBS懸
濁液20μlと、上記で作製した8種の糖鎖高分子被覆
ポリスチレン・ビーズを各々10ng/ml含むPBS
溶液50μlとを混合し、室温で30分間インキュベー
ションした後、PBSで数回洗浄した。
【0061】上記のようにして、蛍光性レクチンで処理
した糖鎖高分子被覆ポリスチレン・ビーズの蛍光強度
を、フローサイトメーター(FACScan、ベクトン
・ディッキンソン・イムノサイトメトリー・システム社
製)で測定した。結果を図3に示す。図3より、例え
ば、ガラクトース残基を有するPV-LAで被覆したビ
ーズでは、PNA及びECLが優先的に結合し、マンノ
ース残基を有するPV-Manで被覆したビーズでは、
PSA及びLCAが優先的に結合している。
【0062】以上の結果より、上述の糖鎖高分子で被覆
したポリスチレン・ビーズでは、被覆した糖鎖高分子の
特異性が明らかに発現されている。よって、蛍光性のポ
リスチレン・ビーズに糖鎖高分子を被覆した本願の標識
剤は、その糖鎖と相互作用する細胞等を特異的に標識で
きることがわかる。
【0063】(3)蛍光性ビーズを用いた標識剤の作製 蛍光物質として、直径0.5μmの蛍光性ビーズ(Fluo
SpheresR、モレキュラー・プローブ社製)を用いた。こ
の蛍光性ビーズは、ポリスチレン・ビーズに黄緑色蛍光
色素を担持させたもので、そのビーズの固形分2%のラ
テックス状で提供される。この蛍光性ビーズを、200
μg/mlの上記各糖鎖高分子水溶液で、室温で2時間
処理して吸着させ、8種類の標識剤を作製した。
【0064】(実施例2) (1)本願の標識剤による細胞の標識 以下の要領で、実施例1の8種類の標識剤によりラット
の脾臓細胞及び赤血球細胞を標識した。まず、上記8種
類の標識剤各々を、0.1%BSA及び0.1%NaN
3を含むPBS中に懸濁して10ng/mlの標識剤液
を作製する。次に、100×104個のラット脾臓細胞
(主にリンパ球)を懸濁したPBSを1500rpmで
10分間遠心して上清みを取り除くことにより濃縮した
細胞懸濁液を用意する。その細胞懸濁液に上記標識剤液
50μlを溶液を加え、冷却下(4℃)で時々攪拌しな
がら約15分間インキュベーションした。
【0065】その後、0.1%のNaN3を含むPBS
2mlを加え、1500rpmで10分間遠心して細胞
を沈降させ上清みを取り除いて細胞と結合していない標
識剤を除去するという洗浄を2回繰り返してた後、0.
1%のNaN3を含むPBS1mlを加えて希釈して標
識脾臓細胞試料とした。同様にして標識赤血球細胞試料
を作製した。
【0066】(2)測定 上記のようにして作製した本発明の8種類の標識剤で標
識した脾臓細胞試料及び赤血球細胞試料の蛍光強度を、
各々、フローサイトメーター(FACScan、ベクト
ン・ディッキンソン・イムノサイトメトリー・システム
社製)で測定した。
【0067】(3)分析 フローサイトメーターで得られた結果を、縦軸に糖鎖の
種類、横軸に相対蛍光強度をとったヒストグラムからな
る蛍光パターンとして図4に示す。ただし、脾臓細胞の
蛍光パターンを図4(A)に、赤血球細胞の蛍光パター
ンを図4(B)に示した。脾臓細胞と赤血球細胞とで
は、その蛍光パターンが明らかに異なることがわかる。
なお、図4における相対蛍光強度とは、糖鎖高分子を吸
着させていない蛍光性ビーズで処理した細胞から得られ
た蛍光強度に対する相対値を表す。即ち、これらの値
は、細胞特異性のない蛍光性ビーズを糖鎖高分子で被覆
することによって得られる特異的効果を反映している。
【0068】(実施例3)健常なヒトの末梢血単核球
(PBMC)に、実施例2と同様にして本発明の細胞診
断システムを適用して得られる蛍光パターンを、図5に
示す。一方、ヒト急性骨髄性白血病(AML)患者から
PBMC細胞を採取し、同様に本発明の細胞診断システ
ムを適用して得た蛍光パターン(AML1、AML2)
を、図5に併せて示す。AML1の蛍光パターンでは、
健常者から得られた蛍光パターンに比較して全体的に蛍
光強度が大きくなっているが、特に、PV-Man及び
PV-GlcNAcに対する親和性が以上に増大してい
る。また、AML2の蛍光パターンでは、健常者に比較
して、PV-LA及びPV-Gに対する親和性が増大して
いる。
【0069】図5に蛍光パターンを示したPBMC細胞
では、健常者とAMLにかかった者との違い、また、A
MLにかかったものの間でも、その程度の違いによって
異なる蛍光パターンが示された。これらの事実から、本
発明の細胞診断システムを適用して得られる蛍光パター
ンを分析することにより、その細胞における疾病の有
無、及び疾病の程度等を知る有益な情報が得られる。
【0070】(実施例4)本発明の標識剤の他の実施態
様として、PV-LAに蛍光分子を直接結合させた標識
剤を作製した。 (1)PV-LAの合成 実施例1と同様に、まず、モノマーであるN-p-ビニル
ベンジル-[o-β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-
D-グルコンアミドを合成し、そのモノマーを単独重合
してPV-LAを合成した。
【0071】(2)蛍光色素の固定 3滴のピリジンを添加した5mlの乾燥ジメチルスルホ
キシドに500mgのPV-LA(10×10-3モルの
モノマーユニットに対応する)を溶解した。その溶液に
50mgのFITC(和光純薬工業製)加え、さらに1
5mgのジブチルスズジラウレートを加えた後、90℃
で2時間加熱した。得られた反応混合液からエタノール
中で数回再結晶させて濾過することにより、本実施例の
標識剤を得た。
【0072】このようにして合成した本実施例の標識剤
に固定されたFITC量を、蛍光分光光度計(RF−5
00、島津製作所製)を用いて測定した。その結果、P
V-LAポリマー中のラクトース40分子に付き1分子
の割合で固定されていることがわかった。
【0073】このPV-LAと、肝細胞表面に存在する
アシアロ糖レセプターとの親和性を確認するために、蛍
光物質を固定していないPV-LA及びPV-MA、アシ
アロフェツイン、フェツイン、及びLDLで前処理した
ラットの肝細胞を本実施例の標識剤で標識し、その標識
した肝細胞の蛍光強度を、フローサイトメーター(FA
CScan、ベクトン・ディッキンソン・イムノサイト
メトリー・システム社製)で測定した。
【0074】ここで、アシアロフェツインとは、アシア
ロ糖タンパク質レセプターの天然リガンドであり、フェ
ツインとは、そのアシアロフェツインにシアル酸が結合
したものである。この前処理は、上記各物質と、BSA
0.1重量%と、NaN30.1重量%とを含むPBS
中に肝細胞を懸濁し、4℃で40分間行った。また、標
識処理は、100μg/mlの濃度のPV-LA標識剤
溶液を用い、実施例2と同様に行った。その結果を、前
処理なしで標識した肝細胞の蛍光強度に対する相対強度
で表し、表1にまとめて示す。
【0075】
【表1】
【0076】PV-LA及びアシアロフェツインで前処
理したものは、肝細胞表面のアシアロ糖タンパク質レセ
プターが、PV-LA及びアシアロフェツインによって
塞がれているため、その後の標識処理で結合する標識剤
量が減少し、相対蛍光強度が著しく低下している。それ
に対して、PV-MA及びフェツインで前処理した肝細
胞では蛍光強度の変化は殆ど見られない。即ち、PV-
LAは、アシアロ糖タンパク質レセプターに対して、天
然リガンドであるアシアロフェツインを凌ぐ親和性を有
していることがわかった。
【0077】(実施例6)実施例5の標識剤で標識した
肝癌細胞を用いてフローサイトメーターで測定を行っ
た。標識処理の方法は実施例2と同様にした。用いた癌
細胞の種類は、ヒト由来のHep G2とChang
Liverとした。その結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】以上の結果より、PV-LAを含む本発明
の標識剤で標識した肝癌細胞は、その癌の種類によって
異なった強度の蛍光を発する。即ち、本発明の標識剤
が、その細胞の病態を詳細に反映しており、本発明の診
断システムを用いることにより、例えば肝細胞をフロー
サイトメトリー測定するだけで、発癌の有無や、癌の種
類を識別することができることがわかった。
【0080】
【発明の効果】本発明の標識剤は、糖鎖と細胞との特異
的相互作用を利用したものであり、従来のモノクローナ
ル抗体を用いた標識剤ような複雑な操作なしで合成でき
るため、製造コストがかからず安価であり容易に入手で
きる。特に、スチレン系高分子に糖鎖を結合させた糖鎖
高分子を用いれば、通常の蛍光性ビーズに対する吸着性
が良好であり、従来の標識剤に比較して安定であり品質
の維持が容易である。また、上記の標識剤を用いた本発
明の細胞診断システムでは、細胞ごとに特別な抗体を用
意する必要がなく、同一条件での測定により、細胞の種
類及びその状態に関する多くの情報を得ることができ
る。従って、細胞のフェノタイプの同定や、病態の把握
が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の標識剤の構造を示す模式図である。
【図2】 本発明の細胞診断システムで得られる蛍光パ
ターンの一例を示す図である。
【図3】 本発明の標識剤をなす糖鎖高分子と、蛍光標
識した4種のレクチンとの相互作用の程度を示すヒスト
グラムである。
【図4】 肝細胞(A)及び赤血球細胞(B)に本発明
の細胞診断システムを適用して得られた蛍光パターンを
示す図である。
【図5】 健常者及び疾患(AML)を有する者のPB
MC細胞に本発明の細胞診断システムを適用して得られ
た蛍光パターンをまとめて示す図である。
【符号の説明】
1…標識剤、2…蛍光物質、3…糖鎖。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/566 G01N 33/566

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光物質を固定した糖鎖高分子からなる
    ことを特徴とする標識剤。
  2. 【請求項2】 前記蛍光物質が、蛍光性ビーズであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の標識剤。
  3. 【請求項3】 前記糖鎖高分子が、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-β-D-ガラクトピラ
    ノシル-(1→4)-D-グルコンアミド])、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-α-D-グルコピラノ
    シル-(1→4)-D-グルコンアミド])、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-β-D-マンノピラノ
    シル-(1→4)-D-マンナアミド])、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-α-D-ガラクトピラ
    ノシル-(1→6)-D-グルコンアミド])、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-6-カルボキシメチ
    ル-β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-O-D-6-カ
    ルボキシメチル-グルコンアミド])、 ポリ(3-O-4’-ビニルベンジル-D-グルコース)、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-2-アセトアミド-2
    -デオキシ-β-D-グルコピラノシル-(1→4)-O-D-
    2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシル
    -(1→4)-O-D-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-
    D-グルコンアミド])及び/またはポリ(N-p-ビニ
    ルベンジル-[O-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-
    グルコピラノシル-(1→4)-O-D-2-アセトアミド-
    2-デオキシ-β-D-グルコンアミド])、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-D-グルコンアミド)、及
    び、 ポリ(N-p-ビニルベンジル-[O-β-D-グルコピラノ
    シル-(1→3)-D-グルコンアミド]から選択される
    少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または
    2記載の標識剤。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかの標識剤と細
    胞とを混合して細胞を蛍光標識する標識手段と、その標
    識した細胞の蛍光強度を測定する測定手段と、測定した
    蛍光強度から蛍光パターンを得る分析手段とを備えてな
    る細胞診断システム。
  5. 【請求項5】 前記測定手段が、フローサイトメトリー
    からなることを特徴とする請求項4記載の細胞診断シス
    テム。
  6. 【請求項6】 さらに、前記蛍光パターンを記憶する記
    憶手段を備えることを特徴とする請求項4記載の細胞診
    断システム。
  7. 【請求項7】 さらに、前記記憶手段に記憶された蛍光
    パターンと、前記測定手段で測定された蛍光強度から得
    た蛍光パターンとを比較する論理演算手段を備えること
    を特徴とする請求項6記載の細胞診断システム。
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