JPH083194A - チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質 - Google Patents

チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質

Info

Publication number
JPH083194A
JPH083194A JP15539394A JP15539394A JPH083194A JP H083194 A JPH083194 A JP H083194A JP 15539394 A JP15539394 A JP 15539394A JP 15539394 A JP15539394 A JP 15539394A JP H083194 A JPH083194 A JP H083194A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
stat
cells
tyrosine
kinase activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15539394A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Hirano
俊夫 平野
Tadashi Matsuda
正 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP15539394A priority Critical patent/JPH083194A/ja
Publication of JPH083194A publication Critical patent/JPH083194A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Statタンパク質と関連する分子を探求す
ることにより上記JakファミリーキナーゼとStat
ファミリータンパク質を利用するシグナル伝達経路を解
明し、併せて該伝達経路によってサイトカインや増殖因
子からの情報が細胞の核内に伝達される機構を明らかに
することによりその医薬用途への応用を検討する。 【構成】 以下の性質: (1)分子量が72kDである; (2)Statタンパク質と結合する; (3)各種サイトカインによってチロシンリン酸化され
る;および (4)チロシンキナーゼ活性を有する、を有するタンパ
ク質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチロシンキナーゼ活性を
有する新規なタンパク質に関する。さらに詳しくは、本
発明は造血系サイトカインのシグナル伝達経路に関与す
るチロシンキナーゼ活性を有するタンパク質に関する。
【0002】
【従来技術】造血系サイトカインは造血系細胞の各段階
における増殖および分化を刺激することによって造血に
関与する(Clark, S.C. et al., Science 236:1229, 19
87;Metcalf, D., Nature 339:27, 1989; Metcalf, D.,
Blood 82:3515, 1993)。例えば、インターロイキン−
3(IL−3)は多能性幹細胞コロニーの分化に必要な
造血系サイトカインである(Suda, T. et al., J. Cell
Physiol. 124:182, 1985; Ihle, J.N., Chem. Immuno
l. 51:65, 1992)。インターロイキン−6(IL−6)
および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)はIL−
3依存性のネズミ多能性幹細胞コロニー形成を増強する
(Ikebuchi, K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA
84:9035, 1987; Ikebuchi, K. et al., Proc. Natl. Ac
ad. Sci.USA 85:3445, 1988)。この他にもIL−6は
活性化B細胞の抗体産生細胞への最終分化、巨核球の成
熟化、ならびにある種の骨髄白血病細胞の分化を誘導
し、また骨髄腫細胞の増殖因子として作用するなどの多
様な活性を有している(Hirano, T. et al, Handbook o
f Experimental Pharmacology "Peptide Growth Factor
s and Their Receptors", vol 95 Berlin, Germany, Sp
ringer-Verlag, 1990,p.633; Hirano, T., Chem. Immun
ol. 51:153, 1992)。また、G−CSFは顆粒球の成長
および成熟化に不可欠なサイトカインである(Nagata,
S., Handbookof Experimental Pharmacology "Peptide
Growth Factors and Their Receptors", vol 95 Berli
n, Germany, Springer-Verlag, 1990, p.699; Demetri,
G.D.et al., Blood 78:2791, 1991)。
【0003】ところで、これらの造血系サイトカインの
レセプターはその細胞外ドメインに共通の特徴をもって
いることが報告されている(Bazan, J.F., Immnol. Tod
ay 11:350, 1990)。さらに、このファミリーの中で
は、G−CSFレセプター、白血病増殖阻止因子(LI
F)レセプターおよびIL−6シグナルトランスデュー
サーであるgp130が高度の類似性を有しており、こ
の類似部分は細胞内ドメインにまで及んでいる(Fukuna
ga, R. et al., Cell 61:341, 1990; Hibi, M. et al.,
Cell 63:1149, 1990; Fukunaga, R. et al., EMBO J.
10:2855, 1991; Geaning, D.P. et al., EMBO J. 10:28
39, 1991)。この類似性は造血系サイトカインレセプタ
ーが類似のシグナル伝達経路をもつことを示唆してお
り、またこのようないくつかのサイトカインレセプター
間におけるレセプターサブユニットの共有によって、サ
イトカイン活性における機能的重複(redundan
cy)の分子メカニズムをある程度説明できるかも知れ
ない。
【0004】最近になって、各種インターフェロン(I
FN)がチロシンキナーゼ、および細胞内転写促進因子
であるStatファミリータンパク質(シグナルトラン
スデューサーであり、かつ転写因子に対する用語として
用いられる)の活性化を誘導することが示された(Fu,
X.Y. et al., Cell 70:323, 1992; Schindler, C. eta
l., Science 257:809, 1992; Shuai, K. et al., Scien
ce 258:1808, 1992; Shuai, K. et al., Science 261:1
744, 1993)。また、Jakファミリーチロシンキナー
ゼとStatタンパク質はいずれもIFNα/βおよび
IFNγ媒介性のシグナル伝達経路に不可欠であること
が示された(Valazquez, L. et al., Cell 70:313, 199
2; Muller, M. et al., Nature 366:129, 1993; Watlin
g, D. etal., Nature 366:166, 1993)。さらには、各
種サイトカインならびに増殖因子へのJak/Stat
媒介性シグナル伝達経路の関与が示された(Sadowski,
H.B. et al., Science 261:1739, 1993; Larner, A.C.
et al., Science 261:1730, 1993; Ruff-Jamison, S. e
t al., Science 261:1733, 1993; Silvennoinen, O. et
al., Science 1736, 1993; Kotanides, H. et al., Sc
ience 262:1265, 1993; Bonni, A. et al., Science 26
2:1575, 1993; Fu, X.Y. et al., Cell 74:1135, 199
3)ことから、このシグナル伝達経路がこれらのサイト
カインや増殖因子の生物学的活性の発現に重要な役割を
果たしていることが示唆される。Statファミリータ
ンパク質のチロシンリン酸化がその活性化および核への
移行に不可欠であり(Shuai, K. et al., Science 258:
1808, 1992; Shuai, K. et al.,Science 261:1744, 199
3)、またJakキナーゼがStatファミリータンパ
ク質のチロシン残基を直接リン酸化するのかも知れない
ことが示唆された(Schai,K. et al., Nature 366:580,
1993; Silvennoinen, O. et al., Nature 366:583, 19
93)。しかしながら、Statファミリータンパク質の
正確な活性化機構は解明されていないままであった。
【0005】最近になって本発明者らは、マウス造血系
細胞のBAFm130およびY6細胞において、IL−
6がIL−6シグナルトランスデューサーであるgp1
30、細胞質チロシンキナーゼのJakファミリー、な
らびにStatタンパク質を含むマウス細胞タンパク質
のチロシンリン酸化を誘導することを見いだして報告
し、IL−6の刺激伝達について図1に示すような仮想
的なシグナル伝達経路を提示した(Matsuda, T. et a
l., Biochem. Biophys. Res. Commun. 200:821-828, 19
94)。このJakファミリーキナーゼとStatファミ
リータンパク質を利用するシグナル伝達経路は各種サイ
トカインならびに増殖因子に共通なシグナル伝達経路で
あることが示唆されたが、Statタンパク質を活性化
するのに必要な分子は依然として不明であった。
【0006】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、Statタ
ンパク質と関連する分子を探求することにより上記Ja
kファミリーキナーゼとStatファミリータンパク質
を利用するシグナル伝達経路を解明し、併せてこの伝達
経路によってサイトカインや増殖因子からの情報が細胞
の核内に伝達される機構を明らかにすることによりその
医薬用途への応用を検討することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、Statタンパク
質と密接に関連するチロシンキナーゼ活性を有する新規
なタンパク質を同定してその性状を明らかにし、また造
血系細胞におけるサイトカインによる刺激との関係を明
らかにすることに成功した。
【0008】すなわち、本発明は以下の性質: (1)分子量が72kDである; (2)Statタンパク質と結合する; (3)各種サイトカインによってチロシンリン酸化され
る;および (4)チロシンキナーゼ活性を有する、を有するタンパ
ク質を提供する。
【0009】本発明のタンパク質は以下の方法によって
得ることができる。まず、Jak/Statシグナル伝
達経路を刺激すると考えられるIL−3、IL−6また
はG−CSFなどのサイトカインを、それらサイトカイ
ンの刺激伝達に関与するレセプターをもつ細胞とともに
インキュベートした後、これから細胞溶解物を得る。
【0010】次いで細胞溶解物を抗Stat抗血清で免
疫沈降させて本発明のタンパク質を抗Stat抗血清と
共沈させる。これをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にかけて、
抗Stat抗血清および抗リン酸化チロシン抗体に結合
することを指標として本発明タンパク質をゲルから切り
出す。得られたタンパク質画分を、通常のタンパク質に
用いられる各種の分離、精製方法を用いて分離、精製す
る。例えば、各種クロマトグラフィー、限外濾過、塩
析、透析などを適宜選択、組み合わせて使用することが
できる。
【0011】本発明者らは、IL−6およびIL−6結
合分子である可溶性IL−6レセプターα鎖(IL−6
Rα)で刺激したBAFm130細胞からの細胞溶解物
を、抗Stat抗血清で免疫沈降させることにより、分
子量150、90、および72kDのチロシンリン酸化
された分子を検出した。p91 Statタンパク質の
N末端領域に対するモノクローナル抗体を用いても実質
的に同じ結果が得られた。また、抗Stat抗血清は、
Statファミリータンパク質である90kDおよび1
00kDタンパク質とも反応したので、上記90kD分
子はStatタンパク質に由来するものと考えられる。
先にFuらは、A431細胞中において、p91 St
atタンパク質のSH2領域に対する抗血清によって7
5kD分子が認識され免疫沈降されることを報告してい
る(Fu, X.Y. et al., Cell 74:1135, 1993)。しかし
ながら、上記150kDおよび72kDタンパク質はい
ずれも抗Stat抗血清とも抗p91のSH2抗体とも
交差反応しなかった。これらの結果から、IL−6と可
溶性IL−6Rαによる刺激がStatファミリータン
パク質と、Statに結合した150kDおよび72k
D分子のチロシンリン酸化を誘導することを示す。
【0012】IL−3で刺激したBAF−B03細胞、
およびG−CSFで刺激したBAFhGCSFR細胞を
用いて同様の試験を行ったところ、IL−3およびG−
CSFのいずれもがそれぞれBAF−B03細胞中およ
びBAFhGCSFR細胞中でStatファミリータン
パク質、Statに結合した150kDおよび72kD
分子のチロシンリン酸化を誘導した。さらに、Stat
に結合した72kD分子のチロシンリン酸化は別の造血
系細胞であるY6においてもIL−6刺激により誘導さ
れた。
【0013】この72kD分子はそれ自体インビトロの
キナーゼ活性を有し、自己リン酸化されていることがゲ
ル内リン酸化活性測定によって確認された。また、この
インビトロのキナーゼ活性は、IL−6とIL−6Rα
により刺激されたBAFm130細胞において増強され
ており、プロテインキナーゼ阻害剤であるスタウロスポ
リンによって完全に阻害されたが、H7によっては阻害
されなかった。
【0014】次いで、リン酸化された72kD分子のリ
ン酸化アミノ酸分析を行ったところ、チロシン残基のみ
がリン酸化されていた。
【0015】以上から、本発明のタンパク質はStat
タンパク質と結合するチロシンキナーゼであり、IL−
3、IL−6およびG−CSFなどの造血系サイトカイ
ンによって活性化されることが明らかとなった。
【0016】また、分子量が70〜80kDの公知のチ
ロシンキナーゼ(Syk、TecおよびBtk)に対す
る特異的抗血清とのイムノブロッティングの結果から、
本発明の72kDのタンパク質はこれら公知のチロシン
キナーゼとは異なる新規なチロシンキナーゼであること
が判明した。
【0017】本発明のチロシンキナーゼ活性を有するタ
ンパク質はStatファミリータンパク質を直接活性化
するか、Jakファミリーにより活性化されたStat
ファミリータンパク質の機能を修飾する可能性がある。
あるいはIL−3、IL−6およびG−CSF関連のサ
イトカインサブファミリーのためのStatタンパク質
とは別のシグナル伝達分子を活性化するとも考えられ
る。したがって、本発明のチロシンキナーゼ活性を有す
るタンパク質は、JakファミリーキナーゼとStat
ファミリータンパク質を利用するシグナル伝達経路にお
ける阻害剤の探索に利用することができる。この点か
ら、本発明のチロシンキナーゼ活性を有するタンパク質
は例えば、サイトカインに依存して増殖する癌の治療剤
として、あるいは特定のサイトカインの機能調整剤とし
て利用しうる可能性を有している。
【0018】
【実施例】
実施例1:細胞系の調製 10%ウシ胎児血清およびWEHI−3B細胞からの1
0%培養上清を補充したRPMI1640培地中で、I
L−3依存性マウスプロB細胞であるBAF−B03
(Hatakeyama, M. et al., Cell 59:837, 1989; 寄託番
号RCB0805で理化学研究所に寄託)を培養した。
【0019】マウスgp130のcDNAを含むプラス
ミドpBCMGm130で上記BAF−B03細胞をト
ランスフェクションすることによって、マウスgp13
0を発現する安定な形質転換体BAFm130を樹立し
た(Matsuda, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Com
mun. 200:821-828, 1994)。マウスgp130をコード
するcDNAを、マウスgp130のcDNA配列(Sa
ito, M. et al., J. Immunol. 148:4066, 1992)に基づ
いてPCRクローニングすることによって得て、これを
発現ベクターpBCMGneo(H.Karasuya
ma博士から恵与された;Karasuyama, H. et al., Eu
r. J. Immunol. 18:97, 1988)のXhoI部位にサブク
ローニングした。BAFm130は1mg/mlのG4
18の存在下に上記培地中で維持した。同様に、プラス
ミドpEFBOShGCSFR(S.Nagata博士
から恵与された;Fukunaga, R. et al., EMBO J. 10:28
55, 1991)でBAF−B03細胞をトランスフェクショ
ンすることによって、ヒトG−CSFレセプターを発現
する安定な形質転換体BAFhGCSFR細胞を樹立
し、上記条件下に維持した。
【0020】マウス造血系細胞Y6(Oritani, K. et a
l., Blood 80:2298, 1992)は、10%ウシ胎児血清を
補充したRPMI1640培地中に維持した。
【0021】実施例2:抗体の調製 Statファミリータンパク質の間で保存されている特
異的配列(Fu, X.Y.,Cell 70:323, 1992)であるSta
t91/84の領域B(アミノ酸残基646−660)
に対応する合成ペプチドでウサギを免疫することによ
り、ウサギ抗Stat抗血清を作製して免疫沈降試験に
用いた。
【0022】p91 Statタンパク質のN末端領域
に対するモノクローナル抗体はTransductio
n Laboratoriesから購入した。p91
Statタンパク質のSH2ドメインに対する抗血清は
X.Y.Fu博士から恵与された。
【0023】公知のチロシンキナーゼであるSyk,T
ecおよびBtkに対する抗血清はE.Clark博
士、H.Mano博士およびS.Tsukada博士か
らそれぞれ恵与された。
【0024】実施例3:免疫沈降およびイムノブロット
(IL−6刺激) IL−6刺激によるStat関連タンパク質のチロシン
リン酸化を検討するために以下の実験を行った。
【0025】BAFm130細胞を血清不含培地中で1
〜2時間培養し、次いでIL−6(200ng/m
l)、および可溶性IL−6レセプターα(IL−6R
α:0.5μg/ml;K.Yasukawa博士より
恵与された)またはマウスIL−6Rαの可溶性形をコ
ードするpCDMm80でトランスフェクションした2
93T細胞の培養上清(5% v/v)とともに15分
間インキュベートした。pCDMm80を構築するには
まず、SalI部位を含む順行プライマーとBglII部
位を含む逆行プライマーとを用いて、マウスIL−6R
α cDNAの細胞外ドメインをポリメラーゼチェイン
リアクション(PCR)によって増幅した。次いでSa
lI−BglII断片を、CD4RgのヒトCD4をコー
ドするcDNA(B.Seed博士より恵与された)の
細胞外ドメインから由来するXhoI−BamHI断片
で置き換えた。
【0026】Y6細胞は血清不含培地中で1〜2時間培
養し、次いでIL−6(200ng/ml)とともに1
5分間インキュベートした。
【0027】これらの細胞を次に1% NP−40、1
mmol/l オルトバナジウム酸ナトリウム、1mm
ol/l NaF、1mmol/l フェニルメチルス
ルホニルフロリドおよび各10μg/mlのアプロチニ
ン、ペプスタチンおよびロイペプチンを含む50mmo
l/l Tris−HCl、pH7.4、0.15mo
l/l NaCl中で溶解した。細胞溶解物から得たタ
ンパク質をウサギ抗Stat抗血清(anti−Sta
t)で免疫沈降させ、4%〜20%のドデシル硫酸ナト
リウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PA
GE)に付し、Immobilonフィルター(Mil
lipore社製)に移し取った。次いでImmobi
lonフィルターを細く切って抗リン酸化チロシン抗体
(anti−PY;4G10:UBI)とウサギ抗St
at抗血清でイムノブロットした。免疫反応したタンパ
ク質を化学発光検出システム(Amersham社製)
で可視化して検出した。
【0028】IL−6および可溶性IL−6Rαで刺激
しなかったBAFm130細胞を同様に処理して対照と
して用いた。
【0029】得られた結果を図2に示す。図2の左側に
示すのは、IL−6刺激の存在下および非存在下に抗S
tat抗血清で免疫沈降して抗リン酸化チロシン抗体で
ブロットしたものである。IL−6および可溶性IL−
6Rαで刺激したBAFm130細胞から得られた細胞
溶解物と、抗Stat抗血清との免疫沈降物には分子量
150、90および72kDのタンパク質が観察された
(図中、星印で示す)。
【0030】また、比較のために抗Stat抗血清で免
疫沈降して抗Stat抗血清でブロットしたものを図2
の右側に示す。これより抗Stat抗血清が90kDお
よび100kDタンパク質と反応することが示された
(図中、矢印で示す)。本発明者らはp91 Stat
タンパク質のSH2領域に対する抗血清がこれらの分子
とも反応することをあらかじめ確かめていたので、これ
らの90kDおよび100kDタンパク質はStatフ
ァミリータンパク質であると考えられる。
【0031】さらに、IL−6で刺激したY6細胞を用
いて同様の試験を行ったところ、同様にStat関連の
72kD分子のチロシンリン酸化が誘導された。
【0032】実施例4:免疫沈降およびイムノブロット
(IL−3およびG−CSF刺激) IL−3およびG−CSF刺激によるStat関連タン
パク質のチロシンリン酸化を検討するために以下の実験
を行った。
【0033】BAF−B03細胞およびBAFhGCS
FR細胞を血清不含培地中で1〜2時間培養し、次いで
それぞれIL−3(10% v/v WEHI−3B上
清)およびG−CSF(100ng/ml)とともに1
5分間インキュベートした。次いで実施例3と同様に細
胞溶解物を得て、免疫沈降およびイムノブロットを行っ
た。IL−3またはG−CSFで刺激しなかった細胞を
それぞれ同様に調製して対照として用いた。
【0034】得られた結果を図3のa(IL−3)およ
びb(G−CSF)に示す。図から明らかなように、I
L−3およびG−CSFはいずれもそれぞれBAF−B
03細胞およびBAFhGCSFR細胞中において、S
tatファミリータンパク質と、Stat結合150k
Dおよび72kD分子のチロシンリン酸化を誘導した。
IL−3またはG−CSFによって誘導される72kD
分子のゲル上での移動度は、同じゲル上でIL−6と可
溶性IL−6Rαによって誘導された移動度とほぼ完全
に一致した。同じゲル上でIL−3、G−CSF、また
はIL−6と可溶性IL−6Rαによって誘導された1
50kD分子の移動度もほぼ類似していた。
【0035】実施例5:ゲル内リン酸化活性測定 上記実施例で確認した72kD分子がキナーゼ活性を有
するか試験するために、文献記載の方法(Kameshita,
I. et al., Anal. Biochem. 183:139, 1989)に従って
以下のようにしてゲル内リン酸化活性を測定した。
【0036】実施例3で得たIL−6および可溶性IL
−6Rαで刺激するか、または刺激しなかったBAFm
130細胞溶解物からの抗Stat抗体との免疫沈降物
を4%〜20%のSDS−PAGEに付した。電気泳動
の後、ゲルを50mmol/l Tris−HCl、p
H7.4、5mmol/l 2−メルカプトエタノール
で2回洗浄し、50mmol/l Tris−HCl、
pH7.4、5mmol/l 2−メルカプトエタノー
ル、6mol/l 塩酸グアニジンとともにインキュベ
ートし、0.04% Tween40を含む50mmo
l/l Tris−HCl、pH7.4、5mmol/
l 2−メルカプトエタノールで洗浄した。ついでゲル
を20mmol/l HEPES、pH7.4、20m
mol/l MgCl2、20mmol/l MnC
2、2mmol/l DTT、および5μCi/ml
γ−32P−ATPと30℃、30分間インキュベート
した。最後にゲルを5%トリクロロ酢酸および5%ピロ
リン酸ナトリウムで数回洗浄して乾燥しオートラジオグ
ラフィーにかけた。
【0037】得られた結果を図4のaに示す。レーン1
はIL−6と可溶性IL−6Rαによる刺激をしなかっ
たものであり、レーン2は刺激を行ったものである。図
から明らかなように、IL−6と可溶性IL−6Rαに
よる刺激がインビトロのキナーゼ活性を増大した。
【0038】次に、このようなキナーゼ活性がプロテイ
ンキナーゼCの阻害剤であるH7またはスタウロスポリ
ンの存在によって阻害されるか否かを上記と同様のゲル
内リン酸化測定によって試験した。得られた結果を図4
のbに示す。レーン1は阻害剤の非存在下、レーン2は
H7(100μmol/l)の存在下、レーン3はスタ
ウロスポリン(1μmol/l)の存在下に、IL−6
と可溶性IL−6Rαで刺激したBAFm130細胞溶
解物からの抗Stat抗体との免疫沈降物について行っ
たものである。矢印は72kD分子を示す。図から明ら
かなように、インビトロのキナーゼ活性はスタウロスポ
リンによって完全に阻害されたが、H7によっては阻害
されなかった。
【0039】実施例6:リン酸化アミノ酸分析 実施例5で行ったゲル内リン酸化測定の後、リン酸化し
た72kDのバンドをゲルから切り出して6N HCl
中、110℃で2時間加水分解した。HClを除去した
後、残渣を非標識のリン酸化セリン、リン酸化スレオニ
ン、およびリン酸化チロシンと混合した。これを二次元
薄層電気泳動にかけてリン酸化アミノ酸を同定した。
【0040】得られた結果を図5に示す。図から明らか
なように、チロシン残基のみがリン酸化されていた。
【0041】実施例7:公知のチロシンキナーゼとの比
較 72kD分子が公知のチロシンキナーゼであるか否かを
検討するために、分子量が70〜80kDの公知のチロ
シンキナーゼ(Syk、Tec、Btk)に対する特異
的抗血清との免疫反応を試験した。
【0042】Syk、TecおよびBtkは、BAFm
130細胞中で特異的抗血清によって免疫沈降した。し
かしながら、抗Stat抗血清との免疫沈降物はこれら
各チロシンキナーゼに対する特異的抗血清とのイムノブ
ロットによって反応せず、これらのチロシンキナーゼを
含まないことが判った。
【0043】
【発明の効果】本発明により、Statタンパク質と密
接に関連するチロシンキナーゼ活性を有する新規なタン
パク質を同定してその性状を明らかにし、また造血系細
胞におけるサイトカインによる刺激との関係を明らかに
することに成功した。本発明のチロシンキナーゼ活性を
有するタンパク質は例えば、サイトカインに依存して増
殖する癌の治療剤として、あるいは特定のサイトカイン
の機能調整剤として利用しうる可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】IL−6の刺激伝達についての仮想的なシグナ
ル伝達経路を示す。
【図2】IL−6刺激によるStat関連タンパク質の
チロシンリン酸化を示す図(電気泳動の写真)である。
分子量マーカーを図の左にキロダルトンで示す。図中、
星印はチロシンリン酸化されたタンパク質を示し、矢印
はStatファミリータンパク質を示す。
【図3】aは、IL−3刺激によるStat関連タンパ
ク質のチロシンリン酸化を示し、bはG−CSF刺激に
よるStat関連タンパク質のチロシンリン酸化を示す
図(電気泳動の写真)である。図中の星印および矢印は
図2と同じ意味を表す。
【図4】Stat関連タンパク質のゲル内リン酸化測定
の結果を示す図(電気泳動の写真)である。aは、IL
−6刺激を行わなかった(レーン1)およびIL−6刺
激を行った(レーン2)BAFm130細胞からの細胞
溶解物と抗Stat抗血清との免疫沈降物のゲル内リン
酸化測定の結果であり、bは、阻害剤の非存在下(レー
ン1)、IL−6刺激を行ったBAFm130細胞から
の細胞溶解物と抗Stat抗血清との免疫沈降物のゲル
内リン酸化測定をキナーゼアッセイ阻害剤H7の存在下
(レーン2)および阻害剤スタウロスポリンの存在下
(レーン3)に行った結果である。
【図5】本発明のタンパク質のリン酸化アミノ酸分析を
示す図(電気泳動の写真)である。図中、PSはリン酸
化セリンを、PTはリン酸化スレオニンを、PYはリン
酸化チロシンを示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の性質: (1)分子量が72kDである; (2)Statタンパク質と結合する; (3)各種サイトカインによってチロシンリン酸化され
    る;および (4)チロシンキナーゼ活性を有する、を有するタンパ
    ク質。
  2. 【請求項2】 サイトカインがIL−3、IL−6およ
    びG−CSFである請求項1記載のタンパク質。
JP15539394A 1994-06-14 1994-06-14 チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質 Pending JPH083194A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15539394A JPH083194A (ja) 1994-06-14 1994-06-14 チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15539394A JPH083194A (ja) 1994-06-14 1994-06-14 チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH083194A true JPH083194A (ja) 1996-01-09

Family

ID=15604980

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15539394A Pending JPH083194A (ja) 1994-06-14 1994-06-14 チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH083194A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Beadling et al. Activation of JAK kinases and STAT proteins by interleukin‐2 and interferon alpha, but not the T cell antigen receptor, in human T lymphocytes.
Witthuhn et al. JAK2 associates with the erythropoietin receptor and is tyrosine phosphorylated and activated following stimulation with erythropoietin
Yoshimura et al. A novel cytokine‐inducible gene CIS encodes an SH2‐containing protein that binds to tyrosine‐phosphorylated interleukin 3 and erythropoietin receptors.
Nelson et al. Cytoplasmic domains of the interleukin-2 receptor β and γ chains mediate the signal for T-cell proliferation
Diveu et al. Predominant expression of the long isoform of GP130-like (GPL) receptor is required for interleukin-31 signaling
Kirken et al. Activation of JAK3, but not JAK1, is critical for IL-2-induced proliferation and STAT5 recruitment by a COOH-terminal region of the IL-2 receptor β-chain
Rosen et al. Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor preferentially activates the 94-kD STAT5A and an 80-kD STAT5A isoform in human peripheral blood monocytes
Yu et al. Differential utilization of Janus kinase-signal transducer activator of transcription signaling pathways in the stimulation of human natural killer cells by IL-2, IL-12, and IFN-alpha.
Mita et al. Receptors for T cell-replacing factor/interleukin 5. Specificity, quantitation, and its implication.
Reichel et al. The IL-4 receptor alpha-chain cytoplasmic domain is sufficient for activation of JAK-1 and STAT6 and the induction of IL-4-specific gene expression.
Nelson et al. A membrane-proximal region of the interleukin-2 receptor γc chain sufficient for Jak kinase activation and induction of proliferation in T cells
Berger et al. Tyrosine Phosphorylation of Jak-Tyk Kinases in Malignant Plasma Cell Lines Growth Stimulated by Interleukins 6 and 11
Mueller et al. Melanoma growth stimulatory activity enhances the phosphorylation of the class II interleukin-8 receptor in non-hematopoietic cells.
Kouro et al. Critical proline residues of the cytoplasmic domain of the IL-5 receptor α chain and its function in IL-5-mediated activation of JAK kinase and STAT5
US6265160B1 (en) Method of identifying inhibitors of the Jak-Stat signal transduction pathway
Nagata et al. A novel regulator of G-protein signaling bearing GAP activity for Gαi and Gαq in megakaryocytes
US7902348B2 (en) Janus family kinases and identification of immune modulators
CN114929752A (zh) 嵌合细胞因子受体
O'Shea et al. Expression of v-src in a murine T-cell hybridoma results in constitutive T-cell receptor phosphorylation and interleukin 2 production.
JP4065030B2 (ja) 新規なstat機能抑制タンパク質
US20030023033A1 (en) Novel class II cytokine receptors and uses thereof
Khayat et al. Thioredoxin acts as a B cell growth factor in channel catfish
EP0749445A1 (en) Antibodies which bind the g-csf receptor extracellular domain and methods of treatment
Loh et al. Mutant cell lines unresponsive to alpha/beta and gamma interferon are defective in tyrosine phosphorylation of ISGF-3α components
JPH083194A (ja) チロシンキナーゼ活性を有するタンパク質

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20041022

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050722