JPH08316916A - アナログ信号の光伝送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成が簡単で伝送特性のよいアナログ信号の
光伝送装置を実現する。 【構成】 電／光変換器５出力を光／電変換器６でディ
ジタル信号に戻し、これと入力アナログ信号との差を減
算器１で算出し、その結果を積分器２で積分したのち、
サンプラー３にてサンプリングクロックでサンプリング
及び２値化する。こうして生成したデルタシグマ変調信
号を電／光変換器５で光変調して伝送する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はアナログ信号の光伝送装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在情報社会の高度化に伴い、個々の情
報機器間のデータの高速大容量伝送が求められており、
そのための光ファイバ通信の手法が開発され実用化され
ている。この光ファイバ通信は従来の金属線を使用して
電気信号を伝送する方法と比較して高速大容量の伝送が
可能であり、また、金属線を使用した場合に比較し、線
路が細径で軽量であり、敷設費用が軽減される。

【０００３】このような光ファイバ通信においては、２
値のディジタル信号により光を強度変調した、ディジタ
ル信号伝送がほとんどの場合用いられている。これは電
気信号を光信号に変換する場合、及び光信号を電気信号
に変換する時の変換特性として、広いダイナミックレン
ジを実現するのが困難であるからである。そしてディジ
タル信号により光を強度変調する技術はすでに広く商用
になっており、その発・受光器などのデバイス等技術も
非常に発展しており、その素子も低価格化が進んでい
る。また伝送速度も高速化されてきており、現状では数
十Gbps以上の伝送速度で数十ｋｍ以上の伝送が可能とな
っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】アナログ信号を光ファ
イバで伝送するには、光をアナログ変調して伝送する方
法と、アナログ信号をディジタル化して、このディジタ
ル信号で光を強度変調し伝送する方法が考えられる。こ
のうち前者は、前述のようにダイナミックレンジの広い
電光／光電変換素子の実現がむつかしい。一方、アナロ
グ信号をディジタル化してから光強度変調を行うには、
まずアナログ信号のディジタル化が必要で、これにはパ
ルス符号変調（ＰＣＭ）、パルス幅変調（ＰＷＭ）、パ
ルス差分変調（ＰＤＭ）等の方法が知られている。しか
し、このようなアナログ信号のディジタル化と光強度変
調を組み合わせた技術については考慮されていなかっ
た。

【０００５】本発明の目的は、アナログ信号をＰＤＭ方
式の一種であるデルタシグマ変調によりディジタル化し
たのち光強度変調して送信するアナログ信号の光伝送装
置を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、入力アナログ
信号とデルタシグマ変調信号との差を求めるための減算
手段と、該減算手段の出力を時間積分するための積分手
段と、該積分手段の出力をサンプリングクロックにより
サンプリングして２値化するサンプリング手段と、該サ
ンプリング手段の出力をその出力により光強度が変化す
る光変調信号に変換するための電／光変換手段と、から
その送信装置を構成し、さらに上記減算手段へのデルタ
シグマ変調信号を、上記光変調信号を電気信号に変換し
て上記減算手段入力のデルタシグマ変調信号を生成する
ための光／電変換手段の出力とするか、あるいは上記サ
ンプリング手段の出力とすることを特徴とするアナログ
信号の光伝送装置を開示する。

【０００７】更に本発明は、アナログ信号の光伝送装置
に於て、前記光変調信号を電気信号に変換するととも
に、上記光変調信号に含まれるデルタシグマ変調信号以
外の高調波成分を除去するような周波数特性を有した応
答特性制限型光／電変換手段によりその受信装置を構成
したことを特徴とするアナログ信号の光伝送装置。

【０００８】

【作用】この構成によると、電／光変換手段及び光／電
変換手段としてディジタル用のものが利用でき、十分特
性のよい光伝送系を実現できる。またデルタシグマ変調
方式は回路構成が簡単である利点がある。さらに受信機
をローパスフィルタ機能を有した応答特性制限型光／電
変換手段で構成することにより、さらに構成の簡単な伝
送装置を実現できる。

【００９】

【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。本発
明は、アナログ信号のディジタル化方式としてデルタシ
グマ変調を用いるものであり、まずその変調及び復調方
法を図６、図７を用いて説明する。図６はデルタシグマ
変調器の構成を示しており、ディジタルサンプラー３
は、サンプリングクロックによりその入力をサンプリン
グし、そのサンプリングした値が所定値をこえていれば
“１”レベル、こえていなければ“０”レベルのパルス
を出力し、伝送媒質へ出力する。減算器１は、入力アナ
ログ信号と上記サンプラー３の出力パルスの差をとり、
積分器２はこの差信号を時間積分してサンプラー３への
入力とする。

【００１０】このようなデルタシグマ変調方式は、隣接
するサンプリング点のサンプリング値の差を２値化する
デルタ変調方式の変形である。即ち、デルタ変調方式で
は、入力アナログ信号の直流成分が忠実に送れないの
で、入力アナログ信号を時間積分したのちデルタ変調す
るようにしたのがデルタシグマ変調方式で、デルタ変調
方式と同様、ＰＣＭ方式のような複雑な構成を必要とし
ない利点がある。

【００１１】図７は、デルタシグマ変調されたディジタ
ル信号の復調器構成を示すものである。デルタシグマ変
調ではアナログ信号を積分してその出力の差分を伝送し
ているので、復調はパルス化に伴う高調波成分を除去す
るだけでよい。従って図７に示したようにローパスフィ
ルタ４だけで復調が行える。

【００１２】以上に説明したようにデルタシグマ変調に
よりアナログ信号のディジタル化を行い光伝送する本発
明の光伝送装置を次に説明する。図１は、本発明による
光伝送装置の送信機の一実施例を示すブロック図で、図
６と同一の機能回路には同一符号が付されている。図１
において、ディジタルサンプラー３から出力された２値
化ディジタル信号は、今の場合伝送媒質が光ファイバで
あるから、電／光変換器５で光強度変調により光変調さ
れて伝送媒質へ出力される。さらにこの出力光信号の一
部は分岐され、光／電変換器６で電気信号のディジタル
信号に戻されて減算器１へ戻される。減算器１は、アナ
ログ信号と光／電変換器６の出力との差をとり、積分器
２はこの差を積分してサンプラー３への入力とする。

【００１３】本実施例によると、電／光変換器や光／電
変換器などとしてその実用化が進んでいるディジタル用
のものが使用でき、特性のよい伝送が可能になるととも
に、アナログ信号のディジタル化も簡単な回路で構成で
きる。

【００１４】図２は、本発明の光伝送装置の受信機の一
実施例を示すブロック図で、ローパスフィルタ４は図７
で説明したのと同じものである。本実施例では、まず光
ファイバである伝送媒質からの光変調信号を光／電変換
器７で電気信号のディジタル信号に変換する。そして図
７で説明したように、これをローパスフィルタ４へ通
し、余分な高調波成分を除去してアナログ信号を復調す
る。

【００１５】この受信機の実施例においても、光伝送の
ために必要とする光／電変換器は開発が十分進んだディ
ジタル用のものが利用でき、特性のよい伝送が可能にな
る。

【００１６】図３は、本発明の光伝送装置の送信機の別
の実施例を示すブロック図である。本実施例において
は、減算器１へ戻すディジタル信号を、図１のように電
／光変換器５出力からではなく、ディジタルサンプラー
３の出力から取り出している点のみが図１の実施例と異
なっていて、動作は同じである。この構成によれば、図
１の光／電変換器６が不要となる利点がある。

【００１７】図４は、本発明の光伝送装置の受信機の別
の実施例を示すブロック図で、図２の実施例の光／電変
換器７及びローパスフィルタ４に代わって応答特性制限
型光／電変換器８を設置したものである。

【００１８】図５は伝送媒質（光ファイバ）を介して伝
送されてきた信号の周波数スペクトルを示しており、デ
ルタシグマ変調された信号成分Ｓの他に、ディジタル化
による高調波成分Ｐ１、Ｐ２等が含まれている。図２の
受信装置の場合はこのスペクトルを光／電変換器７によ
り全体としてベースバンドへ落したのちローパスフィル
タ４で高調波成分Ｐ１、Ｐ２等を除去していたが、本実
施例では応答特性制限型光／電変換器８によりこの高調
波成分の除去とベースバンド電気信号への変換を行って
いる。図５に示したＦ（ｆ）はこの応答特性制限型光／
電変換器８の周波数応答特性を示している。この様な応
答特性は、光信号を電気信号に変換するのに使用される
フォトダイオードなどの受光素子が、有限の時間応答
（周波数応答）特性を持っているので、受光素子の種
類、大きさ、動作状況により変化させることで実現でき
る。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、研究開発の進んでいる
発受光素子や光ファイバなどのディジタル伝送用のもの
を使用し、アナログ信号を伝送することが可能であり、
発受光素子の非線形特性に起因する波形歪みの影響を受
けることがない。またその変復調回路も簡単なものによ
り実現可能である。さらに、その応答特性を制限した光
／電変換器を用いることにより、受信装置の簡単化をは
かれる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光伝送装置の送信機の一実施例を示す
ブロック図である。

【図２】本発明の光伝送装置の受信機の一実施例を示す
ブロック図である。

【図３】本発明の光伝送装置の送信機の他の実施例を示
すブロック図である。

【図４】本発明の光伝送装置の受信機の他の実施例を示
すブロック図である。

【図５】図５の実施例の動作説明図である。

【図６】デルタシグマ変調用の変調器を示すブロック図
である。

【図７】デルタシグマ変調用の復調器を示すブロック図
である。

【符号の説明】

１ 減算器 ２ 積分器 ３ ディジタルサンプラー ４ ローパスフィルタ ５ 電／光変換器 ６、７ 光／電変換器 ８ 応答特性制限型光／電変換器

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入力アナログ信号とデルタシグマ変調信
   号との差を求めるための減算手段と、 該減算手段の出力を時間積分するための積分手段と、 該積分手段の出力をサンプリングクロックによりサンプ
   リングして２値化するサンプリング手段と、 該サンプリング手段の出力をその出力により光強度が変
   化する光変調信号に変換するための電／光変換手段と、 該電／光変換手段の出力光変調信号を電気信号に変換し
   て上記減算手段入力のデルタシグマ変調信号を生成する
   ための光／電変換手段と、 からその送信装置を構成したことを特徴とするアナログ
   信号の光伝送装置。
2. 【請求項２】 入力アナログ信号とデルタシグマ変調信
   号との差を求めるための減算手段と、 該減算手段の出力を時間積分するための積分手段と、 該積分手段の出力をサンプリングクロックによりサンプ
   リングして２値化するサンプリング手段と、 該サンプリング手段の出力をその出力により光強度が変
   化する光変調信号に変換するための電／光変換手段と、
   を備えるとともに、 上記サンプリング手段の出力を上記減算手段入力のデル
   タシグマ変調信号とすることによりその送信装置を構成
   したことを特徴とするアナログ信号の光伝送装置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載のアナログ信号の
   光伝送装置に於て、 前記光変調信号を電気信号に変換するとともに、上記光
   変調信号に含まれるデルタシグマ変調信号以外の高調波
   成分を除去するような周波数特性を有した応答特性制限
   型光／電変換手段によりその受信装置を構成したことを
   特徴とするアナログ信号の光伝送装置。
4. 【請求項４】 請求項１又は２に記載のアナログ信号の
   光伝送装置に於て、 前記光変調信号を受信して電気信号としてのディジタル
   信号に変換するための光／電変換手段と、 該光／電変換手段の出力からアナログ信号のみを取り出
   すためのフィルタ手段と、 からその受信装置を構成したことを特徴とするアナログ
   信号の光伝送装置。