JPH08309332A - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

汚染土壌の浄化方法

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JPH08309332A
JPH08309332A JP7117122A JP11712295A JPH08309332A JP H08309332 A JPH08309332 A JP H08309332A JP 7117122 A JP7117122 A JP 7117122A JP 11712295 A JP11712295 A JP 11712295A JP H08309332 A JPH08309332 A JP H08309332A
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弘 岩佐
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Abstract

(57)【要約】 【目的】目的の汚染領域に対して微生物を含む浄化液を
確実に注入するとともに、施工性を高める。 【構成】供給管10内に実質的にその軸心方向に沿う主
流路を形成するとともに、供給管10の外面から放射方
向に3〜50cm突出する案内板2,2により案内路を形
成し、かつこの案内路を主流路と連通させ、案内路を通
して浄化液PLの流れ方向を横断面方向に変えて流出さ
せて、地盤内に指向性をもって浸透注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌中に現存する、あ
るいは生産工場などから土壌中に流出した各種の有機溶
媒などの汚染物質を分解して、対象の汚染土壌を浄化す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業の高度化に伴って、各種の有機溶
媒、たとえば芳香族炭化水素、ジクロロエチレン、トリ
クロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機塩素
系化合物などが生産過程で使用され、これらの有機溶媒
が誤って土壌中に流出することがある。
【0003】これらの有機溶媒は、人体を含む生物環境
に対して殆ど影響を与えないもののほか、大きく影響を
与えるものもある。特に、後者の有機塩素系化合物の場
合には、これが地下水に混入する場合などにおいては、
大きな社会問題となる。
【0004】この事態に対する根本的な解決策は未だ見
い出せておらず、(1)汚染土壌を取り除いて置換する
方法、(2)汚染領域から有機溶媒の流出を防止するた
めに汚染領域を囲む遮断壁を造成する方法、などの簡易
的な方法によって対処しているのが現状である。
【0005】しかし、前者の方法では、最終的には汚染
された土壌を廃棄する必要があり、その廃棄対象地に対
して新たな環境問題を生じる。一方、後者の方法では、
遮断壁の造成に多大なコストが必要となるばかりでな
く、恒久的な遮断性を確保するには、信頼性に乏しい。
しかも、その領域内で汚染状態が続くことは、好ましい
ものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで近年、微生物に
よって有機溶媒を分解させるというる生化学的な処理方
法が検討されている。すなわち、有機溶媒によって汚染
されている領域に対して、有機溶媒分解能を有する微生
物を直接、あるいはこれらの微生物を含む浄化液を土壌
表面から散布したり、または土中に供給管を埋設し、こ
の供給管を通じて浄化液を土中に供給したりするもので
ある。これらの方法によれば、土中の有機溶媒を土中で
直接分解できるため、汚染領域を取り除いたり、あるい
は遮断壁を造成したりする必要はない。
【0007】しかし、土壌における微生物の移動はきわ
めて緩慢であったり移動範囲はごく狭い領域に限られる
ため、微生物や微生物を含む浄化液を散布した場合、土
壌の深部または対象領域に浸透する以前に微生物が消滅
してしまう。また、土中に供給管を挿入し、微生物を含
む浄化液を供給する場合において、汚染領域に一致させ
て供給管の注入口を位置決めしたとしても、注入した浄
化液は、地盤の深さ方向の緩んだ個所のみを選択し、こ
れを水みちとして、その個所にのみ脈状に浸透して逃げ
てしまう現象がある。したがって、目的の汚染領域に対
して、指向性をもって微生物を供給することが非常に困
難であり、良好な汚染土壌の修復を図ることができな
い。
【0008】そこで、たとえば、特開平6−21215
5号公報や米国特許第5,111,883号の特に第8
図に示されているように、微生物を含む浄化液を供給管
から供給し、その供給管と平行に地盤中に挿入した回収
管により負圧をかけながら、浄化液を供給管から回収管
に向かって移動させることにより指向性をもたせる技術
があるものの、ある汚染領域に対して供給管および回収
管の両者を挿入する必要があり、施工性の点で能率的で
ないばかりでなく、供給管と回収管との間隔が短くしな
い限り圧力差を確保できないので、単位汚染領域に対し
て多数点において供給管および回収管の挿入を行う必要
があり、施工性を低下させる要因となっている。
【0009】さらに、浄化液の流れを生成できたとして
も、その流れ方向は直線的であるために、供給管周りの
ある土壌体積全体に微生物を供給すること実質的にでき
ない。
【0010】したがって、本発明の主たる課題は、目的
の汚染領域に対して微生物を含む浄化液を確実に注入す
ることができるものとするとともに、施工性に優れたも
のを得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の汚染土壌の浄化方法は、汚染された領域に注入口を
臨ませて供給管を挿入し、この供給管の主流路に前記汚
染物質を分解する微生物と、その生育を担保する生育条
件材料とを含む浄化液を供給し、前記供給管の注入口か
ら前記汚染領域に対して前記浄化液を注入するととも
に、前記供給管の注入口を前後に挟んでまたは取り囲ん
で、供給管の軸心に対して放射方向に3〜50cm突出す
る案内路を形成し、かつこの案内路を前記供給管内の主
流路と連通させ、前記案内路は、2〜50mmの離間間隔
を置いた放射方向に延びる規制壁面を有し、かつこの案
内路内空間は地盤に対して開口させ、前記注入条件とし
て、前記主流路の注入ゲージ圧力を1kg/cm2 を超えて
50kg/cm2 以下とし、かつ前記浄化液の注入量を1〜
50リットル/分とし、前記主流路に前記浄化液を供給
し、その注入口および前記案内路を通して浄化液の流れ
方向を変えて流出させ、土壌の汚染領域に指向性をもっ
て注入することを特徴とするものである。
【0012】ここで、前記案内路は、供給管の注入口を
長手前後方向に挟み、前記間隔をもって供給管に実質的
に平行に固定した2枚の案内板により構成することがで
きる。また、前記浄化液は、地下水などによる希釈また
は拡散を防止するために、60秒以上でゲル化または自
硬性を示すものが好ましい。
【0013】
【作用】本発明では、土壌中の有機溶媒で汚染された領
域に供給管を挿入し、この供給管に有機溶媒などの汚染
物質を分解する微生物(以下、分解微生物ともいう)
と、その生育を担保する生育条件材料とを含む浄化液を
供給し、供給管の注入口から汚染領域に対して浄化液を
供給する。
【0014】本発明においては、特別な構造の供給管を
含む供給装置を用いるとともに、注入条件をある範囲に
設定する。これによって、指向性に優れた浄化液の注入
を行うことができ、もって対象の汚染領域のみに対し
て、確実にかつ逸走なく浄化液を注入することができ
る。
【0015】本発明によれば、なぜ指向性を示す供給を
行うことができるのかは明瞭でないが、次のように考え
られる。すなわち、図1および図2に示すように、供給
管10の内部の主流路に送入した浄化液PLは、注入口
1から吐出される。このとき、浄化液PLは、流れとし
て、案内板2,2において上下方向に対して規制されて
いるので、案内板2,2の開口端部から流出する。しか
も、注入口1から案内板2,2の開口端部までの間にお
いて、案内板2,2の離間距離Dは短く、かつ、注入口
1から吐出された段階で浄化液PLの圧力が低下するの
で、浄化液PLは層流的に流れ、案内板2,2の開口端
部からあたかも盤状に流出し、そのまま地盤における汚
染領域に供給されるものと考えられる。
【0016】また、本発明者らの知見によれば、たとえ
ば汚染物質が有機溶媒であるとき、土壌の粗な部分や、
あるいは地層の層境、あるいは地下水流れの終端などに
おいて、図3に示すように、ある深さの位置に盤状の層
として滞留することが多い。
【0017】前述のように、汚染土中に供給管を挿入
し、微生物を含む浄化液を供給する場合において、汚染
領域に一致させて供給管の注入口を位置決めしたとして
も、注入した浄化液は、地盤の深さ方向の緩んだ個所の
みを選択し、これを水みちとして、その個所にのみ脈状
に浸透して逃げてしまい、目的の汚染領域には注入され
難い現象がある。
【0018】この逃げた分に対して余りある浄化液を注
入することも考えられるが、過剰な浄化液の供給によ
り、対象の汚染領域以外の個所に浄化液を注入させてし
まうことは、健全な土壌における生態系を乱す原因とも
なるので極力避ける必要があり、この面から、層状の有
機溶媒の滞留個所のみをターゲットとして、浄化液を注
入することが望まれる。
【0019】したがって、深さ方向の異なる個所への逸
走を防止しながら、目的の汚染領域に対してのみ、指向
性をもって浄化液を供給することが必要となる。また、
前記公報に記載のような直線的な浄化液の流れを形成さ
せることは、前述の理由によって施工性がきわめて悪い
ので、盤状に浄化液自体の注入圧力で注入することが望
ましい。
【0020】しかるに、本発明によれば、供給管自体の
構造を工夫することによって、別途回収管などを設置す
ることなく、指向性をもって供給管周囲全体に注入する
ことが可能となるので、目的の汚染領域に対して微生物
を含む浄化液を確実に注入することができ、かつ施工性
に優れたものとなる。
【0021】本発明に適用される微生物は、土壌の汚染
状況、とりわけ汚染物質の種類によって適宜選択するこ
とができ、生育条件材料も使用する微生物によって適宜
選択することができる。
【0022】
【実施例】以下本発明を図面を参照しながら実施例によ
りさらに詳説する。本発明では、たとえば図1に示され
た供給装置を用いることができ、供給管10の先端また
は先端より若干上方位置において、供給管10の浄化液
PLの主流路の出口、すなわち注入口1を挟んで2枚の
案内板2,2を供給管10に一体化させて、案内板2,
2間に案内路を形成する。この一体化に際しては、溶接
のほか、適宜の構造をもって機械的に固定することがで
きる。
【0023】この供給装置は、たとえば図3に示すよう
に、水平方向に盤状に広がっている汚染領域Z0 を含む
土壌Eに、図4に示すように、前記供給管10をその注
入口1を汚染領域Z0 の臨ませて挿入する。その後、図
5に示すように、供給管10の主流路に通じる供給口か
ら浄化液PLを供給し、主流路を通して注入口1から汚
染領域Z0 に注入する。土壌中に注入された浄化液PL
は、汚染領域Z0 を包含して浸透注入領域Zをもって浸
透する。かくして、汚染領域Z0 全体に対して、汚染物
質分解微生物を効率よく供給することができ、もって確
実に汚染土壌を浄化することができる。
【0024】一方で、汚染領域が面積的に広い範囲にわ
たっているために、複数の地点で同時的に浄化液の注入
を行う場合であっても、たとえば図6に示すように、隣
接する供給管10,10から同時的に深さ方向に異なる
位置に浄化液を注入したとしても、各供給管10,10
からの注入態様が指向性を示すために、すなわち、深さ
方向の他の個所に逃げることがないので、浸透注入領域
Z,Zが相互に干渉することがないことを、粘性土を含
む砂質土を充填したモールド実験設備により注入実験を
行い、予め浄化液にフェノール系着色剤を含有させて、
注入後においてモールドを解体し、充填体における注入
状況を目視観察した結果からも、確認済である。このこ
とは、逆に、本発明によれば、浄化液の指向性をもった
浸透注入を行うことができることを示す証左である。
【0025】本発明の供給装置は、別の削孔装置により
削孔した孔内に挿入するほか、それ自体に削孔機能をも
たせることができ、このために図7に示すように、注入
管10の下端に削孔ビット11a,11a…を有する削
孔翼11を一体化させることができる。
【0026】注入に際しては、まず、かかる削孔機能を
備えた供給装置により、図7に示すように、これを回転
させる過程で、削孔水Wをスイベル12を通して供給し
ながら所定の深さまで削孔する。
【0027】次いで、図8に示すように、ゲルタイムが
30秒以内の瞬結性グラウトGf、たとえば水ガラスな
どからなる主剤A1 および適宜の硬化剤B1 をスイベル
12を通して供給し、注入口1近傍で合流させなから周
辺地盤に注入し、削孔H内の空間を充填する。
【0028】その後、図9に示すように、浄化液PL
を、より好適には、ゲル化可能な(ゲルタイムは2分以
上であるのが望ましい)材料により構成した浄化液を、
その主剤A2 および硬化剤B2 をスイベル12および相
互に独立した主流路を通して供給し、注入口1近傍で合
流させなから周辺地盤に注入する。その結果、この浄化
液PLは、前述のように、指向性をもって地盤に注入さ
れ、他の深さ位置に逃げることはない。その際に、先に
充填した瞬結性グラウトGfの固結体が削孔H内にある
ので、地上側への流出が防止され、より好適である。案
内板2,2間の瞬結性グラウトGfの固結体は破断され
るか押し出されるので、浄化液PLの注入に支障はな
い。
【0029】その後、図10に示すように、他の上方の
汚染領域Z0 まで供給装置を引き上げた後、その上方ス
テージで浄化液PLの注入を行う。かかる操作が順次繰
り返される。
【0030】他方、図11〜図17に示す他の態様によ
って指向性をもった浸透注入することもできる。この例
は、図16に示すように、供給管10の下部に、可撓性
材料、たとえばゴム製の案内盤20を固定したものであ
る。この案内盤20は、注入口1を挟んだ位置に、上下
規制壁20A,20Bの内端部が固定され、この外端部
から内側に縦断面U字状に膨出部20Cが形成されると
ともに、その膨出部20Cに周方向に連続的または間欠
的に開口部20Dが形成されたものである。
【0031】また、供給管10としては、図17に示す
ように、外管10Aと内管10Bとで構成するととも
に、内管10Bの吐出口10Cの上下に地上から供給す
るエアや水などの流体圧で膨縮するパッカー10D,1
0Dを設け、内管10Bを外管10A内において昇降自
在とし、外管10Aの目的のステージごと複数形成され
た注入口10E,10E…のうちある注入口10Eに対
応した位置において、内管10Bを位置決めし、パッカ
ー10D,10Dを膨出させた状態で、吐出口10Cか
らグラウト材料を吐出させ、注入口10Eから案内盤2
0内に送り出すようにしたものを採用できる。
【0032】具体的な施工に際しては、まず、図11に
示すように、たとえばケーシング13によりケーシング
削孔Hする。その後、この削孔H内にたとえばセメント
ベントナイト系のスリーブグラウトSGをケーシング1
3を引き上げる過程で、あるいは後述の浄化液の注入と
同様の態様で供給管10を通して注入する。
【0033】次いで、図13に示すように、案内盤2
0,20…を所定のピッチで固定した供給管10を削孔
HおよびスリーブグラウトSG内に建て込む。
【0034】次に、図14に示すように、パッカー10
D,10Dを収縮させた状態で、たとえば水を内管10
B内に圧送し、吐出口10Cから吐出させる。吐出した
水は、各注入口10E,10E…から流出し各案内盤2
0,20…を通して地盤内に注入される。このとき、そ
の水の流出圧力により、図16に明示されているよう
に、案内盤20の膨出部20Cが水の流れの障壁となる
ので、逆に膨出部20Cが放射方向に突出させて、同図
仮想線で示す状態となる。
【0035】この状態で、たとえば、図15〜図17に
示すように、最下端部の案内盤20の位置に内管10B
の吐出口10Cを位置決めし、パッカー10D,10D
を膨出させた後、その吐出口10Cから浄化液PLを吐
出させ、注入口10Eから案内盤20内の案内路に送り
出し、その開口部20Dから周辺地盤に浸透注入させ
る。
【0036】そのステージでの注入が完了した後、供給
管10を汚染領域Z0 に対応した目的のステージまで移
動させて、そこで注入する。この例および前述の例で
は、いわゆるステップアップ方式で注入ステージを変更
するが、下降方式など適宜の方式でステージ移動を行う
ことができる。
【0037】図18は、縦方向について指向性を持たせ
たもので、ここに使用する案内体200としては、前述
の案内板2,2のほか、案内盤20などを用いることが
できる。
【0038】本発明においては、供給管の主流路の出口
から放射方向に3〜50cm突出する案内路を形成する。
しかし、常時突出している必要はなく、この案内路は、
供給管の地盤内への挿入時において供給管から突出して
いない、または図16に代表的に示されているように、
突出距離が短いものであり、注入時または注入準備過程
で地上からの外部操作(図16例では水の圧入)により
案内路を突出させて前記突出距離が保持されるものでも
よい。
【0039】前者の例としては、図19に示すように、
供給管10の外面に凹部40を形成し、この凹部40に
注入口1を挟んで、開閉板41A,41Bを設け、この
開閉板41A,41Bを、地上からの下端にラックを有
する操作ロッド42を昇降させることにより、これに噛
合するピニオン43を回転させ、この回転により、従動
ギア44A,44Bを回転させて、開閉板41A,41
Bを拡縮し、拡げたとき前記凹部40内に収まり、収縮
させたとき、外方に突出させる構造を採ることができ
る。
【0040】本発明において指向性をもって浄化液を浸
透注入させるための注入条件がいくつかある。第1は、
案内路が前記主流路の出口から放射方向に距離Lとし
て、3〜50cm突出することである。3cm未満では、本
発明の指向性の効果が少ないことが判明しており、50
cmを超えると地盤内の挿入が困難となる施工性の点から
の限界が生じる。
【0041】第2は、案内路が離間間隔Dを2mm〜50
mmとすることである。2mmより短い間隔できると、流速
が高くなり、じっくりした浸透注入が困難となる。50
mmを超えると流れの規制効果が少なくなり、流れが拡散
し易くなり、この面からも浸透注入が困難となる。
【0042】第3は、浄化液としてゲル化または硬化し
ない液でもよいが、この場合には、対象の地盤にも関係
するものの、注入過程において目的の領域外に逸散する
可能性が高く、あるいは注入後に地下水により希釈され
て、やがてその流れに乗って汚染領域外に分解微生物が
逃げてしまう可能性がある。
【0043】したがって、60秒以上、特に2分以上で
ゲル化または自硬性を示すものが好ましい。ゲルタイム
または硬化時間が短いと、前記の可能性が高くなる。ゲ
ルタイムが2分以上の浄化液としては、水ガラスを主剤
とし、これに酸系などの硬化剤を用いることができる。
水ガラス系以外の超微粒子を用いる懸濁型注入材、たと
えば微粒子セメントあるいは高炉スラグ微粉末などを用
いたものでも浸透注入が可能であり、これはゲル化現象
を生じることなく固結する。いずれにしても、分解微生
物、および生育条件材料は、用いるゲル化材料または硬
化材料により、主剤側に配合するか、硬化剤側に配合す
るかを分解微生物の生存性を中心に考えて適宜選択する
ことができる。また、ゲル化または硬化時間が長いの
で、主剤および硬化剤の貯槽から独立的に供給して供給
管の内部で合流させるほか、供給管内に入る前に合流さ
せることもできる。
【0044】第4は、浄化液を、主流路の注入ゲージ圧
力で2〜50kg/cm2 (より好適には4〜25kg/c
m2 )とし、注入量を2〜50リットル/分(より好適
には5〜25リットル/分)の条件で注入する点であ
る。注入圧力が低いと地盤中への注入そのものが困難で
ある。50kg/cm2 を超えると、地盤を乱すようにな
り、浸透注入を行うことができない。このことは注入量
についても言えるものである。
【0045】さて、本発明において汚染土壌を修復する
ために浄化液に添加される分解微生物は、汚染土壌に存
在する汚染物質によって適宜選択できる。これらは特に
具体的に限定されるものではなく、たとえばPseudomona
s 、Methylosinus、Methylomonas、Methylobacterium、
Alcaligenes 、Mycobacterium 、Nitrosomonas、Xantho
monas 、Spirillum 、Vibrio、Bacterium 、Achromobac
ter 、Acinetobacter、Flavobacterium、Chromobacteriu
m 、Desulfovibrio 、Desulfotomaculum、Micrococcus
、Sarcina 、Bacillus、Streptomyces、Nocardia、Cor
ynebacterium、Pseudobacterium 、Arthrobacter、Brev
ibacterium、Saccharomyces 、Lactobacillus 、Escher
ichia Coli、Methylocystis 、Staphylococcus、Nitoro
sonomas の各属に属する微生物、あるいは酸生成菌、メ
タン生成菌等、公知の有機溶媒分解微生物を用いること
ができる。これらは複数併用することもできる。
【0046】特に、Pseudomonas 属のPseudomonas puti
da SH-2992菌は、従来分解が困難であったといわれる有
機溶媒であるトルエンに対する分解能を有するととも
に、ベンゼンに対する耐性に優れる。
【0047】これらの分解微生物は、既に単離されてい
るもの、土壌等から目的に応じて新たにスクリーニング
されたものを利用することができ、複数の菌株を混合し
たものであってもよい。なお、スクリーニングにより分
離したものの場合、未同定のものであってもよい。
【0048】また、これら微生物の生育条件材料は、用
いる分解微生物によって適宜選択できる。例を挙げれ
ば、炭素、窒素、リンなどの無機物、セルロース、リグ
ニン、デンプン、アガロース、デキストラン、アルブミ
ン、キチン、キトサン、濾紙、木片、あるいは各微生物
の生育に適した培養液が挙げられる。炭素源となるもの
として具体的には、グルコース、フルクトースなどの単
糖類、スクロースやマルトースなどの二糖類、クエン酸
や乳酸などの有機酸類、アルコールなどが利用される。
その他二酸化炭素を炭素源とすることもできる。また、
窒素源としては、アンモニア、硝酸塩、亜硝酸塩などの
無機窒素、またはアミノ酸などの有機窒素を用いること
ができる。これらは、微生物を担持する担体として機能
する場合のほか、栄養源としても機能することがある。
【0049】生育条件材料は、浄化液中には0.1〜
5.0%程度添加することができる。
【0050】その他無機物が必要な場合には、要求され
る割合が高い順に挙げれば、Fe、Ca、Mg、K、N
a、Cl、Mn、Zn、B、Mo、I、Srなどを挙げ
ることができる。その他に生育因子として、一部の微生
物ではビタミンB群などの微量要素を必要とする場合も
ある。
【0051】さらには、栄養源として、大豆、コーンな
どから得られる植物タンパク、乳、肉などから得られる
動物タンパクの分解物、ペプチド、アミノ酸の混合物で
窒素源のものが挙げられる。また、エキス類として、肉
エキス、麦芽エキス、酵母抽出物など動植物または微生
物からの抽出物が利用される。この中にアミノ酸、ペプ
チド、ビタミン類、有機酸類、塩類などが含有されてい
る場合もある。また、その他の添加物として、血液、血
清などの体液や植物浸出物、抗菌剤、色素などを用いる
ことができる。これらは特定菌に対する選択性を高めた
り、あるいは発育促進効果を有するものである。これら
のものを、浄化液に添加される微生物の種類に応じて適
当な配合比で混合したものを用いることも当然可能であ
る。
【0052】その他の栄養素として、自然界もしくは培
養により得られた微生物を乾燥、固結することにより細
胞間隙中の水分を排除し、微生物同士を固着、結合せし
めたもの、間伐材、廃材等のチップ、バガス、麦わら等
のリグノセルロース系農林産廃棄物、エビ、カニ等甲穀
類の殻やイカ背骨等のキチン系水産廃棄物などの天然高
分子、あるいはそれらの爆砕処理物なども挙げることが
できる。
【0053】なお、これらの例として、有機溶媒が有機
塩素系化合物である場合に応じた有機溶媒分解微生物の
うちのいくつかの細菌と、それらの生育条件材料の具体
的な組合せについて、表1に参考として示しておく。
【0054】
【表1】
【0055】なお、本発明では土壌または地盤に注入す
ることを指向しているので、前述のとおり、地盤中にお
けるゲル化に優れ、土壌に対する安全性の点で、主剤が
水ガラスであることが望まれる。
【0056】また、汚染の原因として有機溶媒によるほ
か、他の汚染要因による場合についても本発明を適用で
きる。
【0057】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、目的の
汚染領域に対して微生物を含む浄化液を確実に注入する
ことができるとともに、施工性に優れたとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る供給管の斜視図である。
【図2】その正面図である。
【図3】土中における有機溶媒の汚染領域を示す概念図
である。
【図4】供給管を土中に挿入した状態を示す図である。
【図5】供給管から浄化液を供給した状態を示す図であ
る。
【図6】2か所での注入状態を示す概要図である。
【図7】第1施工例の第1段階の概要図である。
【図8】第2段階の概要図である。
【図9】第3段階の概要図である。
【図10】他のステージでの注入状態概要図である。
【図11】第2施工例の第1段階の概要図である。
【図12】第2段階の概要図である。
【図13】第3段階の概要図である。
【図14】第4段階の概要図である。
【図15】第5段階の概要図である。
【図16】供給装置の他の例の概要斜視図である。
【図17】その内部の説明図である。
【図18】別の供給装置の概要斜視図である。
【図19】さらに別の供給装置の概要正面図である。
【符号の説明】
1…注入口、2…案内板、10…供給管、200…案内
体、D…離間距離、L…突出長、E…土壌、Z0 …汚染
領域、Z…浄化液供給領域、PL…供給液。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】土壌中の汚染された領域に注入口を臨ませ
    て供給管を挿入し、この供給管の主流路に前記汚染物質
    を分解する微生物と、その生育を担保する生育条件材料
    とを含む浄化液を供給し、前記供給管の注入口から前記
    汚染領域に対して前記浄化液を注入するとともに、 前記供給管の注入口を前後に挟んでまたは取り囲んで、
    供給管の軸心に対して放射方向に3〜50cm突出する案
    内路を形成し、かつこの案内路を前記供給管内の主流路
    と連通させ、前記案内路は、2〜50mmの離間間隔を置
    いた放射方向に延びる規制壁面を有し、かつこの案内路
    内空間は地盤に対して開口させ、 前記注入条件として、前記主流路の注入ゲージ圧力を1
    kg/cm2 を超えて50kg/cm2 以下とし、かつ前記浄化
    液の注入量を1〜50リットル/分とし、 前記主流路に前記浄化液を供給し、その注入口および前
    記案内路を通して浄化液の流れ方向を変えて流出させ、
    土壌の汚染領域に指向性をもって注入することを特徴と
    する汚染土壌の浄化方法。
  2. 【請求項2】前記案内路は、供給管の注入口を長手前後
    方向に挟み、前記間隔をもって供給管に実質的に平行に
    固定した2枚の案内板により構成した請求項1記載の汚
    染土壌の浄化方法。
  3. 【請求項3】前記浄化液は、60秒以上でゲル化または
    自硬性を示す請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009155855A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Kyokado Eng Co Ltd 地盤改良方法
JP2011178947A (ja) * 2010-03-03 2011-09-15 Daiwa House Industry Co Ltd 土壌改質組成物および土壌改質組成物を用いた土壌改質方法
TWI414664B (zh) * 2006-06-29 2013-11-11 Kyokado Eng Co An improved method of using microbiological sites
JP2021013911A (ja) * 2019-07-16 2021-02-12 大成建設株式会社 打込式注入管、打込式注入管用二重管、および土壌浄化方法

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