JPH083064B2 - 自動車塗装用芳香性塗料組成物および自動車塗装用芳香性上塗り塗膜の形成方法 - Google Patents

自動車塗装用芳香性塗料組成物および自動車塗装用芳香性上塗り塗膜の形成方法

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JPH083064B2
JPH083064B2 JP2336103A JP33610390A JPH083064B2 JP H083064 B2 JPH083064 B2 JP H083064B2 JP 2336103 A JP2336103 A JP 2336103A JP 33610390 A JP33610390 A JP 33610390A JP H083064 B2 JPH083064 B2 JP H083064B2
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真行 中西
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、自動車塗装用芳香性塗料および自動車塗装
用芳香性上塗り塗膜の形成方法に関するものである。詳
しく述べると、塗膜形成後も摩擦等の物理的刺激が加え
られることにより「芳香を発する」(以下、「発香」と
いう)もので、長期間にわたってその発香能を維持でき
る自動車塗装用塗料組成物および自動車塗装用芳香性上
塗り塗膜の形成方法に関するものである。
(従来の技術) 人工物体に天然物体と同じような色彩や香りを付与す
ることにより商品価値が高まることは、しばしばみられ
ることである。これまで、各種皮膜への賦香や合成皮
革、プラスチックス、各種塗布材(インキ、塗料、接着
剤等)への賦香方法が様々に工夫されてきた。
賦香方法としては、物体の成形時に発香性物質を混入
する方法が一般的であるが、塗料、インキ、接着剤等の
塗布材に、予め発香性物質(香料)を混入させておく方
法が知られている。しかして、いずれの場合でも、問題
になるのは、長期間にわたって発香性を維持する必要が
あるという点であり、発香性を長期間にわたって持続さ
せる方法としては様々な工夫がなされてきた。
賦香剤を含有した塗布材に関する技術としては、従来
から(1)ゼラチンによってカプセル化された香料と、
油性インクと、水性粘着剤とよりなる香料インク(特開
昭61-243,871号)、(2)香料を多孔質微粒子担体に担
持させてなる芳香剤が塗料に分散されてなる芳香性塗料
(特開昭63-284,271号)、(3)多孔性の中性ジルコニ
ウム化合物粉末に液体香料を含ませた粉体の表面を疎水
性皮膜で覆い放射線硬化樹脂組成物と混練してなる有香
インキ(特開平1-101,382号)等がある。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、このような賦香剤を配合した塗布材を
自動車用上塗り塗膜として適用しようとすると、つぎの
ごとき問題がある。すなわち、自動車用として適用する
には、これまでのレベルでは発香性が小さすぎる。そこ
で、塗膜の発香性を大きくするためには、配合すべき香
料を増量する必要があるが、従来技術では、香料/担持
物質比が小さすぎるために、香料を増量するには、塗膜
中に多量の担持物質をも混ぜざるを得ないことになる。
したがって、塗布材の発香性を増大させることが塗膜の
外観や耐久性と相反する関係にあり、この課題を乗り越
えられないのが現状である。
また、香料そのものが、熱、紫外線、酸素等により変
質(変色、変臭)しやすい性質を有しているので、特に
外装用として用いる場合、香料に対する保護技術が必要
となる。
したがって、本発明の目的は、新規な自動車塗装用芳
香性塗料組成物および自動車塗装用芳香性上塗り塗膜の
形成方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的は、(a)紫外線吸収剤および/または光安
定剤を香料中に配合してなり、(b)フェノール基、ケ
トン基およびアルデヒド基よりなる群から選ばれた少な
くとも1種の基を有する化合物の該香料中での含有量の
合計が5重量%以下である香料を、(c)壁材の主成分
がメラミン系樹脂であり、かつ(d)香料/壁材の重量
比が40/60〜85/15である平均粒径5〜20μmの香料封入
マイクロカプセルを、塗料固形分に対して3〜10重量%
含有することを特徴とする自動車塗装用芳香性塗料組成
物により達成される。
上記目的は、(a)紫外線吸収剤および/または光安
定剤を香料中に配合してなり、(b)フェノール基、ケ
トン基およびアルデヒド基よりなる群から選ばれた少な
くとも1種の基を有する化合物の該香料中での含有量の
合計が5重量%以下である香料を、(c)壁材の主成分
がメラミン系樹脂であり、かつ(d)香料/壁材の重量
比が40/60〜85/15である平均粒径5〜20μmのマイクロ
カプセルに封入してなる香料を、塗料固形分に対して3
〜10重量%含有してなる芳香性塗料組成物塗膜の乾燥膜
厚(A)と、前記マイクロカプセルの平均粒径(B)と
の比率が(A)/(B)=2〜8となるように自動車に
塗布することを特徴とする自動車塗装用芳香性上塗り塗
膜の形成方法によっても達成される。
香料 本発明において使用される香料とは、(1)発香成
分、(2)溶剤成分および、必要により(3)添加剤成
分を含めたものである。該香料は、天然香料、合成香料
および調合香料のいずれであってもよく、またその香り
の用法に応じてフローラル、フローラルブーケ、フルー
ティー、シトラス、ウッディー、レザー等の香りを目的
に応じて適宜選択できる。
具体的には、例えばつぎのものがある。
1)ストロベリー香料BVX-3096 成分 重 量% n−ヘキシルアルデヒドジメチルアセタール 5.0 乳酸エチル 8.0 N−酪酸エチル 4.0 ヘキサン酸エチル 2.0 2−メチル酪酸エチル 7.2 ヘキサン酸イソプロピル 4.5 ターピネオール 3.5 リナロール 4.0 フェニルエチルアルコール 1.0 バニリン(アルデヒド基) 0.8 安息香酸ベンジル 60.0 100.0 2)キンモクセイ香料7604 成分 重 量% メチルヨノン(ケトン基) 4.0 ヘキサン酸エチル 2.0 γ−デカラクトン 8.0 n−ヘキシルアルコール 4.0 ノニルアルデヒド(アルデヒド基) 1.0 酢酸リナリル 5.0 リナロール 9.0 ターピネオール 15.0 安息香酸ベンジル 52.0 100.0 さらに、本発明を達成するためには、マイクロカプセ
ル内に封入される香料は、その発香成分中の変質(変
色、変臭)しやすい成分を減らす必要がある。そのため
には、発香成分の官能基としてオイゲノール、イソオイ
ゲノール等のフェノール基、d−ヨノン、メチンヨノ
ン、クマリン等のケトン基、バニリン、エチルバニリ
ン、ヘリオトロピン、シトラール等のアルデヒド基より
なる群から選ばれた少なくとも1種の基を有する化合物
が香料全体に占める割合が合計で5重量%以下、好まし
くは1重量%以下とすることが必要である。すなわち、
5重量%を越えると、発香成分の変質が短期間で生じる
からである。
本発明の芳香性塗料は、自動車の内装用だけでなく外
装用としても使用されるので、香料中には、紫外線吸収
剤および/または光安定剤が配合される。このような紫
外線吸収剤および光安定剤は、常温で液状を呈するもの
で、香料と相溶性のあるものであればよい。例えば、紫
外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,
2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン
等のベンゾフェノン系化合物、2-(2′−ヒドロキシ−
5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′
−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2-(2′−ヒドロキシ−3′−t−
ブチル−5′−メチルフェニル)‐5−クロロベンゾト
リアゾール、2-(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t
−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリ
アゾール系化合物、2−エチルヘキシル−2−シアノ−
3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ
−3,3′−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレ
ート系化合物等がある。
また、光安定剤としてはヒンダードアミン系化合物等
がある。
紫外線吸収剤は、香料に対して0.1〜10重量%、好ま
しくは1〜5重量%使用され、また光安定剤は香料に対
して0.1〜10重量%、好ましくは1〜10重量%使用され
る。
さらに、発香性を高めるためには、香料中のいわゆる
溶剤成分は少ない方がよく、好ましくは発香成分として
の有効成分が30重量%以上、より好ましくは40重量%以
上である。
マイクロカプセル 本発明において使用されるマイクロカプセルは、塗料
中および塗膜中に香料を安定して分散、保持させておく
ために使用されるものであり、以下に示すような特徴を
有している。一般に、マイクロカプセルの壁材として
は、目的に応じ様々な材料、例えばアクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタ
ン、メラミン樹脂、尿素樹脂、でんぷん、ゼラチン、カ
ゼイン、ワックス等が使用されているが、本発明におい
ては、メラミン系樹脂が壁材として使用されている。す
なわち、メラミン系樹脂を壁材として用いることによ
り、香料/壁材の比率を大きくすることができ、さらに
摩擦等の物理的作用が働いたときに該壁材が破損するこ
とにより、必要時にのみ発香させ、芳香保持性を維持で
きるのである。また、本発明によれば、該芳香性塗料組
成物は、自動車の内外装上塗り用に適用されるので、自
動車用上塗り塗料の硬化剤として用いられるメラミン系
樹脂と同種のものであるため、塗膜中でのマイクロカプ
セルの異物性を緩和することができる。
本発明において使用されるマイクロカプセルは、水を
媒体として乳濁状態から壁を形成させるので、香料と壁
材の比率を大きくすることができる。その重量比(香料
/壁材)は40/60〜85/15、好ましくは70/30〜80/20であ
る。すなわち、香料/壁材の重量比が40/60未満では、
初期発香性および芳香持続性が不充分となり、一方、85
/15を越える場合には、初期発香性は良好であるが、芳
香持続性は不充分となる。
本発明におけるマイクロカプセルの粒径は、上塗り塗
膜用として使用されるものであるので、平均粒径が5〜
20μm、好ましくは8〜15μmで、上限粒径は32μm以
下であることが望ましい。すなわち、マイクロカプセル
の粒径が上記範囲より小さいと発香性が低下し、一方大
きいと塗膜の外観および耐久性を低下させるからであ
る。なお、本明細書における粒径分布の測定は、株式会
社セイシン企業製の「SK LASER MICRON SIZER PRO-7000
S」を用いて行なった。
香料のマイクロカプセル封入方法 香料のマイクロカプセル封入方法は、例えばつぎのと
おりである。
(a)乳化安定性能を有する水溶液中に香料を乳化分
散させ、ついで(b)カプセル壁となるプレポリマーを
添加し、さらに(c)該プレポリマーを樹脂化させると
同時に香料滴表面に吸着させて連続膜とし、かつ(d)
乾燥して粉体カプセルとする。
メラミン系樹脂膜カプセルの場合には、乳化安定能を
有する水溶液としてアニオン性水溶性高分子の水溶液が
多くの場合用いられる。カプセル化方法としては、in s
itu重合法と呼ばれる方法が用いられる。樹脂材料のう
ち、メラミン系樹脂は、水に不溶であるpHの高い条件で
ホルマリンと反応させて水溶性とした初期縮合物の形態
で添加される。樹脂化(硬化)反応は、pHを下げる(酸
触媒硬化)のと昇温とが併用されて行なわれる。
香料のマイクロカプセル封入例 分散性水溶性高分子液(コーガムHW-225昭和高分子株
式会社製を水で希釈し、7重量%樹脂分水溶液としたも
の)80重量部中に前記組成香料50重量部をホモジナイザ
ーを用いて5〜20μm範囲で所望の油滴粒径で乳化分散
した。乳化液を攪拌しながらメラミン−ホルムアルデヒ
ド初期縮合物であるミルベンレジンSM-805(昭和高分子
株式会社製)を水で3倍に希釈したものを33〜126重量
部の範囲でゆっくり添加した。15%水酸化ナトリウム水
溶液にて乳化液のpHを5.50に調製した。攪拌を続けなが
ら液温を55℃に昇温し、3時間保持した。ついで、真空
脱水および分散を2回繰り返し、カプセルを水で洗浄し
た後、固形分が8重量%のスラリー状としたカプセル懸
濁液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、香料封入マ
イクロカプセルパウダーとした。
塗料 本発明による自動車塗装用芳香性塗料組成物は、通常
自動車用上塗り塗料として用いられている塗料に、前記
香料封入マイクロカプセルを塗料固形分中に3〜10重量
%、好ましくは4〜7重量%含有させる。すなわち、含
有量が3重量%未満では、初期発香性および芳香持続性
が劣り、一方、10重量%を越える場合には塗膜外観およ
び塗膜の耐久性が劣る。マイクロカプセルを塗料中に含
有させるには、例えばデゾルバーで分散させて目的の芳
香性塗料とする。
芳香性塗料のビヒクルについては、塗膜形成樹脂は、
例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂
およびそれらの変性樹脂の一種以上を使用することがで
き、硬化剤としては、メラミン樹脂、遊離のNCO基を有
するポリイソシアネート、エポキシ樹脂などの一般的な
ものを使用することができる。
さらに必要に応じて顔料としては、二酸化チタン、黄
色酸化鉄等の無機着色顔料、フタロシアニン系、キナク
リドン系等の有機着色顔料、アルミニウム粉、マイカ等
の光輝性顔料、タルク、クレー等の体質顔料を、溶剤と
しては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン類、
エステル類等を用いることができる。また、硬化触媒、
紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、タ
レ止め剤、増粘剤等の添加剤を併用すれば、塗料性能な
らびに塗膜性能の改善に有効である。
芳香性塗料組成物は、着色塗料でもクリヤー塗料でも
よく、クリヤー塗料の場合には、原則として顔料を含ま
ないが、透明性を損なわない範囲で顔料を含有すること
もできる。また、芳香性塗料組成物がクリヤー塗料であ
る場合は、マイクロカプセルの保護および塗膜の耐久性
維持のために、塗料中の紫外線吸収剤および光安定剤を
配合することが好ましい。例えば、紫外線吸収剤を2〜
6重量%、光安定剤を1〜3重量%(いずれも固形分比
重量%)配合する。さらに、クリヤー塗料中でマイクロ
カプセルの分散安定性が良くない場合は、超微粒子シリ
カ、有機ベントナイト、ポリエテレンワックスなどの分
散安定剤を適量、例えば0.1〜5重量%配合しても良
い。
塗装方法 本発明における塗装方法は、上塗り塗料として芳香性
塗料を用いる以外は、自動車塗装工程において普通に行
なわれている前処理、下塗(ED)、中塗(上塗が2コー
ト1ベーク(以下「2c1b」と略記)の場合は、さらに上
塗ベースコートを塗装)後本発明の芳香性塗料を乾燥膜
が30〜50μm、好ましくは35〜45μmとなるように塗装
成膜後、芳香性塗膜となるものである。なお、本芳香性
塗料は、通常の上塗り塗膜形成後、塗装することも有効
である(ツートーン塗装、リコート塗装等)。
本発明の特徴は、使用されるマイクロカプセル平均粒
径(B)と芳香性塗膜の乾燥膜厚(A)の比が(A)/
(B)=2〜8の範囲に入っていることである。すなわ
ち、(A)/(B)が2未満の場合は塗膜の外観、耐久
性が悪く、(A)/(B)が8より大きい時は発香性お
よび芳香持続性が悪くなる。
また、芳香性塗料がクリヤー塗料の場合には、塗装後
ウェットオンウェットにて芳香性塗料から香料封入マイ
クロカプセルを含まないクリヤー塗料にて、10μm程度
塗装することも優れた外観を得るのに有効である。
本発明において、自動車などの被塗物に先ず塗装され
る電着塗料(ED)は、従来公知のアニオン型およびカチ
オン型のいずれを用いても良く、これらは通常の電着塗
装方法によって塗装される。この電着塗膜の中塗り塗料
も特に制限はなく、従来公知のポリエステル系、ウレタ
ン系、アクリル系などの中塗り塗料を通常の静電塗装、
エアースプレ塗装などで30〜40μm塗装する。
2c1b仕上げの上塗り塗料の場合、ベースコートとして
は、通常自動車用上塗りベースコートとして用いられて
いるアクリル系ベースコートを15〜20μm塗装後、ウェ
ットオンウェットにて芳香性クリヤー塗料を30〜50μm
塗装する。 1コートソリッド仕上げの場合も2c1b仕上
げの場合も通常と同じ塗装工程、焼付工程を経て、完全
塗膜となる。
(実施例) つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明は、これらの実施例によってなんら
限定されるものではないことはいうまでもない。なお、
下記実施例においては、特にことわらないかぎり、
「%」は重量%を示す。
実施例1 香料としてストロベリー香料BVX-3094(高砂香料工業
株式会社製)を用い、香料中の有効成分(発香成分)が
40%、その中のフェノール、アルデヒド、ケトンなどの
変質しやすい成分は0.8%、香料/紫外線吸収剤/光安
定剤=95/2/3であった。ここで用いた紫外線吸収剤およ
び光安定剤は、それぞれチバガリギー社のチヌビン1130
およびCGL-123である。
前述の香料(BVX-3094)を用いたMC9-2は(株式会社
日本カプセルプロダクツ製)マイクロカプセルの壁材と
してはメラミン系樹脂を用い、(香料/壁材)の比率を
75/25とし、マイクロカプセル平均粒径を10μm、上限
粒径を32μmに揃えたものである。
前述のマイクロカプセル(MC9-2)を日本ペイント株
式会社製のフッ素系クリヤー塗料であるスーパーフロン
0-10クリヤー(以下「SPF0-10クリヤー」と略記)中に
固形分比で6%配合し、ラボミキサーにて攪拌分散した
ものを「SPF0-10発香クリヤー」と称する。SPF0-10発香
クリヤーは、通常の自動車用上塗りクリヤー塗料と同様
に希釈瀘過した後に塗装する。
SPF0-10発香クリヤーを塗装する前工程として、ダル
鋼板を前処理(日本ペイント株式会社製サーフダインSD
-2000)、電着塗装(日本ペイント株式会社製パワート
ップU-600、以下「PTU-600」と略記)、中塗り塗装(日
本ペイント株式会社製オルガP-41ミーラーN-6、以下「O
P-41 N-6」と略記、ポリエステル系)まで完了させてい
る試験片を使用した。
前述の試験片に上塗りベースコートとして、日本ペイ
ント株式会社製のアクリル系のスーパーラックM-80 BDH
3(以下「SP M-80 BDH3」と略記、色はシルバーメタリ
ック)を15〜20μm塗装し、3〜5分間フラッシュオフ
タイムをとり、ウェット−オン−ウェットにて前述のSP
F0-10発香クリヤーを40μm(ドライ膜厚)塗装する。
塗装はベースコートも発香クリヤーもエアースプレーに
より実施した。塗装後10分間セッティングし、雰囲気14
0℃のオーブン(タバイエスペック株式会社製SAFETY OV
EN SP11-200)にて30分焼付けし、芳香性塗膜を形成し
た。このとき、芳香性塗料の乾燥膜厚/マイクロカプセ
ルの平均粒径比(A)/(B)は であった。
その結果、初期発香性、芳香持続性、塗膜外観および
塗膜耐久性とも良好であった。
評価基準としては、各項目とも4段階(◎、○、△、
×)に区分し、◎、○、△を合格の範囲としている。
発香性の評価方法 塗膜上に「ガーゼ(日本薬局方ガーゼタイプI)を8
枚重ねしたもの」を置き、手で軽く押さえて10cmの巾で
5往復こすった後、試験片を鼻に3cmまで近づけ、匂い
の強弱を判定する。
塗膜の外観・耐久性の評価 通常の自動車上塗り塗膜と比較したときの相対値とし
て4段階で表示した。
実施例2 実施例1の香料をBVX-3092(発香成分30%)に変えた
以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示し
た。
実施例3〜4 実施例3では、香料(BVX-3094)/紫外線吸収剤/光
安定剤を90/0/10の割合でまた実施例4では香料(BVX-3
094)/紫外線吸収剤/光安定剤を90/10/0の割合に変え
た以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示
した。
実施例5〜6 実施例5では、実施例1のマイクロカプセルでの香料
/壁材の比率を40/60に、また実施例6では、85/15に変
えた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示
した。
実施例7〜8 実施例7では、実施例1のマイクロカプセル平均粒径
を5μmに、また実施例8では、20μmに変えた以外
は、実施例1と同様に行なった。(A)/(B)の比率
は実施例7では8、実施例8では2となる。結果を表1
に示した。
実施例9〜10 実施例9では実施例1のマイクロカプセルを添加した
クリヤー塗料をアクリル系のスーパーラック0-80クリヤ
ー(日本ペイント株式会社製)に、実施例10では実施例
1の上塗りをポリエステル系1コートソリッド塗料オル
ガG-75 B326V(日本ペイント株式会社製)に変えた以外
は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
実施例11〜12 実施例11では実施例1のマイクロカプセル添加量を3
%に、実施例12では10%に変えた以外は、実施例1と同
様に行った。結果を表1に示した。
実施例13〜15 実施例1の芳香性塗料の乾燥膜厚を実施例13では30μ
m、このときの(A)/(B)=3、また実施例14では
50μm、このときの(A)/(B)=5に変え、実施例
15は、実施例10の芳香性塗料の乾燥膜厚を30μmに変え
た以外は、それぞれ実施例1または10と同様に行った。
結果を表1に示した。
実施例16 実施例1の芳香性塗膜の乾燥膜厚を30μmに変え、ウ
ェットオンウェット(フラッシュオフタイム3〜5分)
で乾燥膜厚10μmでマイクロカプセルを含有しないオー
バーコートクリヤー塗料(SPF0-10クリヤー/日本ペイ
ント株式会社製)を塗装した以外は実施例1と同様に行
った。結果を表1に示した。
比較例1〜11 香料中のフェノール、アルデヒド、ケトン基成分が多
い例(比較例1)、香料に紫外線吸収剤および/または
光安定剤を含有していない例(比較例2)、マイクロカ
プセルの平均粒径が大きい例(比較例3)、マイクロカ
プセルの香料/壁材の比率が小さい例(比較例4)、大
きい例(比較例5)、マイクロカプセルの平均粒径が小
さい例(比較例6)、大きい例(比較例7)、マイクロ
カプセルの塗料への添加量が少い例(比較例8)、多い
例(比較例9)芳香性塗料の乾燥膜厚/マイクロカプセ
ルの平均粒径の比率が小さい例(比較例10)、大きい例
(比較例11)を実施例1と同様に行い、結果を表2に示
した。
芳香性塗膜の乾燥膜厚(A)とMCの平均粒径(B)の
比率を変化させた場合の例を実施例1,7,8,13,14,15およ
び比較例10,11として実施したが(A)/(B)の比率
が4の場合(実施例1)が安定して良好な結果を示し、
実施例7((A)/(B)=8)では初期発香性、芳香
持続性が普通であり、実施例8((A)/(B)=2)
では塗膜外観、耐久性が普通であるがいずれも許容範囲
内である。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明の芳香性塗料組成物は、特
定の香料/壁材比および粒径を有するマイクロカプセル
内に香料を封入してなる香料封入マイクロカプセルを塗
料固形分に対して特定量含有してなるものであるから、
その塗膜は摩擦等による物理的作用で必要時にのみ発香
し、芳香性の持続がはかれると同時に、良好な塗膜外観
および変化を含めた塗膜耐久性の良好な芳香性自動車内
外装用として適用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 合田 良道 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 間嶋 博 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 太田 英明 東京都大田区蒲田5丁目36番31号 高砂香 料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 中西 真行 神奈川県高座郡寒川町岡田5―4―26 (72)発明者 原 勇 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 木村 均 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)紫外線吸収剤および/または光安定
    剤を香料中に配合してなり、(b)フェノール基、ケト
    ン基およびアルデヒド基よりなる群から選ばれた少なく
    とも1種の基を有する化合物の該香料中での含有量の合
    計が5重量%以下である香料を、(c)壁材の主成分が
    メラミン系樹脂であり、かつ(d)香料/壁材の重量比
    が40/60〜85/15である平均粒径5〜20μmの香料封入マ
    イクロカプセルを、塗料固形分に対して3〜10重量%含
    有することを特徴とする自動車塗装用芳香性塗料組成
    物。
  2. 【請求項2】(a)紫外線吸収剤および/または光安定
    剤を香料中に配合してなり、(b)フェノール基、ケト
    ン基およびアルデヒド基よりなる群から選ばれた少なく
    とも1種の基を有する化合物の該香料中での含有量の合
    計が5重量%以下である香料を、(c)壁材の主成分が
    メラミン系樹脂であり、かつ(d)香料/壁材の重量比
    が40/60〜85/15である平均粒径5〜20μmのマイクロカ
    プセルに封入してなる香料を、塗料固形分に対して3〜
    10重量%含有してなる芳香性塗料組成物塗膜の乾燥膜厚
    (A)と、前記マイクロカプセルの平均粒径(B)との
    比率が(A)/(B)=2〜8となるように自動車に塗
    布することを特徴とする自動車塗装用芳香性上塗り塗膜
    の形成方法。
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