JPH08306086A - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体の製造方法

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JPH08306086A
JPH08306086A JP12925995A JP12925995A JPH08306086A JP H08306086 A JPH08306086 A JP H08306086A JP 12925995 A JP12925995 A JP 12925995A JP 12925995 A JP12925995 A JP 12925995A JP H08306086 A JPH08306086 A JP H08306086A
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JP
Japan
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molding
stamper
resin
temperature
mold temperature
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Application number
JP12925995A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Arakawa
宣之 荒川
Shin Masuhara
慎 増原
Isamu Nakao
勇 中尾
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 成形型であるスタンパー12の型面を成形材料
である樹脂に転写して情報記録媒体、例えば光ディスク
1の記録面3を形成するに際し、前記成形材料のガラス
転移点(Tg)より25℃低い温度以上、前記ガラス転移
点(Tg)以下の温度である(Tg−25℃)〜Tgに前
記成形型を保持する、情報記録媒体の製造方法。 【効果】 トラックピッチを狭くしても記録面の転写状
態が良好であり、高密度記録に十二分に対応でき、しか
も複製が容易となる情報記録媒体(例えば光ディスク)
を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報記録媒体(例え
ば、書換え可能な光磁気ディスク)の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】レーザビームを用いて情報の書込み、消
去及び読出しを行うことができるいわゆる書換え可能の
光ディスクとして、MO(Magnet optical recording)
方式やMD(Mini disc)と称される光磁気ディスク又は
相変化型の消去可能ディスクでは、グルーブと称される
トラッキングをとるための案内溝が作り込まれており、
場合によっては信号ピット(例えばアドレスピット)も
形成されている。
【0003】こうした光ディスクを複製するには、CD
(Compact disc)の複製条件と基本的には同じである
が、CDにはない書込み及び読出しの機能のために、規
格もさることながら、ディスク基板の複製には一層厳し
い条件が要求されている。
【0004】記録密度が増加した光ディスクでは、トラ
ックピッチは 1.6μm以下と狭くなり、ランド部又はグ
ルーブのいずれかへの記録のみならず、ランド部及びグ
ルーブの両方へ記録することも行われている。
【0005】一般に、CDのピットやMO、WO(Writ
e once)のアドレスピットはスタンパーでは凸形状をし
ており、プリグルーブも凸形状をしているために、この
レプリカであるディスクへの転写は容易であり、スタン
パーの表面温度が 100℃以下でも転写がとれている。
【0006】しかしながら、同じ形状でも、トラックピ
ッチが 1.6μm以下の高密度ディスクやトラックピッチ
が広いディスクリートトラック型媒体(ハードディス
ク)では、スタンパー上の信号次元(ランド部)は凹形
状か或いは凹凸混在の形状になる。
【0007】即ち、トラックピッチの狭小化に対応して
ランド部幅とグルーブ幅の比(L/G)を小さくする
と、ランド部に対応するスタンパーの凹部(溝)の幅が
小さくなってしまい、この凹部内に樹脂が充填され難く
なってランド部の転写性が不良となり易い。これは、凸
形状ではあたかも柔らかい餅に剣山を突き刺す如くであ
るのに対し、凹形状では剣山が彫られたような平板に同
じ転写を得る難しさに例えられ、ピットは転写するが、
スタンパーのグルーブは転写し難く、特に射出成形によ
り転写する際に顕著に生じる。
【0008】この転写不良の問題は、溶融樹脂が幅の狭
い深い溝には完全に充填しないために生じる。これを解
決するには、金型温度を高くして樹脂の流動性を高めた
り、射出速度の増大、2次圧力や型締め圧の増大等、種
々の対策が考えられるが、多少の改善はされても、ピッ
トやグルーブ(凹部)の形状によっては転写量が確保さ
れなかった。また、これらの改善策は、光学的特性であ
る複屈折や機械特性である反り(SKEW)が、ディス
クの内周から外周にかけて均一になり難いという問題が
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、トラ
ックピッチを狭くしても記録面の転写状態が良好であ
り、高密度記録に十二分に対応でき、しかも複製が容易
となる情報記録媒体(例えば光ディスク等の光学的情報
記録媒体)の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
問題の解決について鋭意検討を重ねた結果、光ディスク
等の情報記録媒体の成形時に、使用する成形型の温度が
成形材料の物性に対し特定の関係を充たせば、意外に
も、トラックピッチの狭小化及び記録の高密度化に十分
に対応できる転写を行えることを見出し、本発明に到達
したものである。
【0011】即ち、本発明は、成形型の型面を成形材料
に転写して情報記録媒体の記録面を形成するに際し、前
記成形材料のガラス転移点(Tg)より25℃低い温度以
上、前記ガラス転移点(Tg)以下の温度(T)、換言
すれば、Tg−25℃≦T≦Tgで示される範囲内の温度
(T)に前記成形型を保持する、情報記録媒体の製造方
法に係るものである。
【0012】こうした成形型の保持温度(T)は、成形
材料のTgとの関係において、本発明者によりはじめて
見出されたものであり、保持温度(T)がTgより25℃
低い温度よりも低いと、成形材料の流動性が低下して転
写量が急激に少なくなり、また、Tgを超えると、ピッ
トやグルーブが変形し易くなり、いずれも上記した本発
明の目的を達成することができない。
【0013】従って、成形型の保持温度(T)は、(T
g−25℃)〜Tgの範囲内とすべきであるが、上記の効
果を一層助長する上で成形材料のガラス転移点(Tg)
より10〜22℃低い温度にするのがよい。Tg−T≧10℃
は、それ以上のTでは転写量にそれ程の変化はないため
に実用面で望ましいものであり、また、Tg−T≦22℃
とすれば、Tのばらつきにより転写量が小さくなること
を確実に防止できる。
【0014】本発明の製造方法においては、具体的に
は、スタンパーの型面を射出成形によって樹脂に転写
し、案内溝とこの案内溝に隣接したランド部の少なくと
も一方に記録を行う記録面を形成する。
【0015】また、グルーブと信号ピットとが混在する
か或いはプリグルーブが存在する記録面を形成する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0017】図1〜図25は、本発明を光ディスクに適用
した各種の実施例を示すものである。
【0018】まず、図10〜図12について、本発明に基づ
いて製造される光ディスク1を例示する。
【0019】この光ディスク1は、例えば、MOやMD
等の如く情報の書込み、消去及び読出しを行える書換え
可能なものであって、プラスチック等の光学的に透明な
ディスク基板2の情報記録面3に、グルーブ又はプリグ
ルーブ(案内溝)4とランド部5とをディスク半径方向
に交互に所定ピッチで形成されている。グルーブ4とは
光入射側からみて凹部、ランド部5とは光入射側からみ
て凸部になっている形状部分である(以下、同様)。
【0020】そして、所定のランド部5には、深さλ/
4(λ:入射光6の波長)、アドレスピット7が形成さ
れている。ここでは、グルーブ4はアドレスピット7と
同等の深さに形成されているが、λ/4〜λ/9の範囲
で変えてよい。
【0021】なお、図示省略したが、この光ディスク1
が光磁気ディスクとして構成される場合は、記録面3に
は、TbFeCo等の磁性膜、紫外線硬化樹脂の保護膜
が形成されている。
【0022】光磁気ディスクとしては、光磁気信号はグ
ルーブ4内又はランド部5に記録され、グルーブ4に沿
ってレーザビーム6を照射することにより、連続的にト
ラッキングサーボをかけながら記録又は再生等の操作を
行い得るようになっている。
【0023】この場合、サーボ信号は、レーザビーム6
が照射されるグルーブ4とランド部5との戻り光量の差
に基づいて得ている。このため、グルーブ4とランド部
5の形状は、本来の記録信号とサーボ信号とが十分に得
られるような形になっている。
【0024】ここに示されたプリグルーブ入り光ディス
クの規格としては、具体的には次の通りであってよい。 MO:ISO/IEC 10089 (130mm),ISO/IE
C 10090 (3.5インチ) MD:レインボーブック
【0025】図13及び図14は、本発明に基づいて製造さ
れる他の光ディスク21を例示するものである。
【0026】この例による光ディスク21は、CD等の高
密度ディスクとして、プラスチック等の光学的に透明な
ディスク基板22の情報記録面23に、グルーブ(案内溝)
24とランド部25とをディスク半径方向に交互に所定のピ
ッチで形成されている。アルミニウム等の光反射膜は図
示省略した。
【0027】そして、所定のランド部5には、深さλ/
4又はλ/6(λ:入射光6の波長)の信号ピット27が
形成されている。ここでは、グルーブ24はピット27と同
等の深さに形成されている。
【0028】記録信号はピット27として記録され、グル
ーブ24に沿ってレーザビーム6を照射することにより、
連続的にトラッキングサーボをかけながら再生操作を行
い得るようになっている。この場合、サーボ信号は、レ
ーザビーム6が照射されるグルーブ24とランド部25との
戻り光量の差に基づいて得ている。
【0029】ここに示されたCDの規格は、CD Recor
dable :オレンジブックであってよい。
【0030】次に、光ディスク、例えば図10〜図12に示
す光ディスク1の製造プロセスを図15〜図16について説
明する。
【0031】まず、図15(A)のように、ガラス原板8
の表面にフォトレジスト9をスピンコート法等で一様に
塗布した後、カッティングシステムによって例えばHe
−Cdレーザからのカッティングビームをカッティング
信号で変調し、変調されたビームをフォトレジスト9に
選択的に照射し、更に現像処理を経て、所定のパターン
にフォトレジスト9を残す。こうして原盤(マスター)
を作製する。
【0032】即ち、残されたレジスト9において凸部9
aが上記したランド部5に、凹部9bが上記したグルー
ブ4に対応している。そして、凸部9aには、上記した
アドレスピット7に対応したピット9cが形成される。
【0033】次いで、図示は省略したが、フォトレジス
ト9を含む全面に無電解めっき、真空蒸着法又はスパッ
タ法によって金属膜を被着する。この金属膜は、レジス
トの凹凸形状に追随した凹凸形状を呈している。
【0034】次いで、図15(A)に一点鎖線で示すよう
に全面に電気めっきをかけ、例えばニッケルめっき層10
を被着する。そして、このめっき層を剥離して図15
(B)に示すメタルマスター10を作製する。このメタル
マスター10は、その凹凸面には、グルーブ4とランド部
5及びピット7にそれぞれ対応した凸部10a、凹部10
b、10cが形成されたものである。
【0035】次いで、図15(B)に一点鎖線で示すよう
に全面に電気めっきをかけ、例えばニッケルめっき層11
を被着する。そして、このめっき層を剥離して図15
(C)に示すマザースタンパー11を作製する。このマザ
ースタンパー11は、その凹凸面には、グルーブ4とラン
ド部5及びピット7にそれぞれ対応した凹部11a、凸部
11b、11cが形成されたものである。
【0036】次いで、図15(C)に一点鎖線で示すよう
に全面に電気めっきをかけ、例えばニッケルめっき層12
を被着する。そして、このめっき層を剥離して図16
(A)に示すスタンパー12を作製する。このスタンパー
12は、その凹凸面には、グルーブ4とランド部5及びピ
ット7にそれぞれ対応した凸部12a、凹部12b、12cが
形成されたものである。
【0037】次いで、図16(A)に一点鎖線で示すよう
にスタンパー12の凹凸面上に所定の樹脂2を射出成形
(又はプレス成形)した後、図16(B)に示すように剥
離してディスク基板2を作製する。この基板2は、図10
及び図11に示したものであり、グルーブ4とランド部5
及びピット7がそれぞれスタンパー12から転写によって
形成されている。
【0038】そして、図示省略したが、必要に応じて、
ディスク基板2の転写凹凸面に磁性膜、保護膜、反射膜
等を積層し、光ディスク1を完成する。
【0039】ここで注目すべきことは、上記したように
して、本発明に基づく製造プロセスによって光ディスク
1を作製するに際し、スタンパー12を金型として使用
し、射出成形で基板材料の樹脂を注入して成形するとき
の金型(スタンパー)温度(T)(金型表面温度:以
下、同様)を樹脂のガラス転移点(Tg)より25℃低い
温度以上、前記ガラス転移点(Tg)以下の温度
(T)、換言すれば、Tg−25℃≦T≦Tgで示される
範囲内の温度(T)に保持することである。
【0040】即ち、金型温度(T)をTgより25℃低い
温度以上としているため、樹脂の流動性が向上し、上記
した凹部12bや12cを充分に充填し、これによってピッ
ト7やランド部5のための転写量が向上する。これに反
し、Tg−25℃>Tであると、樹脂の流動性が劣化し、
図16(A)中に仮想線で示したように凹部12bや12c内
に樹脂が入り込み難くなり、これによって図16(B)に
仮想線に示す如くに基板2の凸部(ランド部5)の転写
量が少なくなってしまう。
【0041】また、金型温度(T)をTg以下としてい
るので、転写された凸部5(従って、ピットやグルー
ブ)が変形し難く、転写面の凹凸形状を良好に保持でき
る。
【0042】従って、本発明に基づく金型温度によっ
て、トラックピッチが狭小(特に 1.6μm以下)であっ
ても、信号ピットの形状に依存せずに(ランド幅/グル
ーブ幅の比やピット又はスタンパーのグルーブ深さに依
存せずに)、ディスク基板1を成形することができる。
また、スタンパーの信号(凹凸形状)とほとんど同じ形
状が再現されるので、S/N特性等の改善が可能とな
る。
【0043】また、これまで成形が難しかったマザース
タンパー(メタルマスター又はマスタースタンパーをめ
っきで信号反転させたもの)での成形が可能となり、大
量複製ができることになる。
【0044】即ち、使用するスタンパー12の転写面の凹
凸形状は、スタンパー12以外のメタルマスター10やマザ
ースタンパー11においても同様に形成されているので、
図10及び図11に示したディスク基板2を複製するには、
上記したようにスタンパー12からの転写によって可能で
あるが、メタルマスター10からの転写で直接成形するこ
とも勿論可能である。
【0045】なお、これまでの光ディスクでは、グルー
ブやピットはスタンパーの凸部の転写によって形成して
いたが、本発明に基づく方法により、スタンパーの凹部
も十分に転写できるので、そうした凹部の転写でグルー
ブやピット(これらは上記したのものとは断面形状が逆
となる。)を形成できる。この意味では、本発明は、光
ディスク以外に、ディスクリートトラック型のハードデ
ィスク等にも転用可能である(これについては後述す
る)。
【0046】そして、図15(C)に示したマザースタン
パー11から直接ディスク基板を成形することができる。
この場合は、グルーブやピットは図16(B)とは逆形状
になるが、マザースタンパー11において、上記したと同
様の理由から凹部11a内に樹脂が十分に充填されるた
め、凹凸形状を良好に転写することができる。
【0047】このように、マザースタンパー11からの成
形が可能となるから、ディスク基板の作製に要する期間
を短縮でき、量産性が向上することになる。
【0048】次に、本実施例による光ディスクを具体例
について更に詳細に説明する。
【0049】図10〜図11に示した如き光ディスクを図15
〜図16に示したプロセスで製造する際、次の成形材料を
ディスク基板材料として使用した。
【0050】 成形材料:ポリカーボネート樹脂 AD−5503 〔帝人化成社製、光ディスクグレード ガラス転移点 145℃(示差走査熱量計DSCによる) 平均分子量 15,200(溶液粘度法による)〕 ゼオネックス樹脂 ZEONEX280R 〔日本ゼオン社製のオレフィン系、光学グレード ガラス転移点 140℃(DSCによる) 平均分子量 28,500(溶液粘度法による)〕
【0051】例1(狭トラックの光ディスク) 上記した光学グレードのプラスチックを用いて、次の基
本成形条件でスタンパーからディスク基板を成形した。
【0052】
【0053】そして、トラックピッチがそれぞれ 1.4μ
m、0.85μm、ピット深さがそれぞれ 800Å、1000Åの
グルーブ入りスタンパーを作成し、金型温度を変化させ
て転写量を走査型トンネル顕微鏡(以下、STMと称す
る。)で測定し、転写高さ(スタンパーの凹部への樹脂
の充填量に相当)を測定した。
【0054】図1及び図2は、ポリカーボネート樹脂を
使用した場合の金型温度による転写量(但し、図中のr
はディスクの半径上の中心からの距離:以下、同様)を
示す。これによれば、金型温度をポリカーボネート樹脂
のガラス転移点(Tg)である 145〜147 ℃より25℃低
い温度以上、即ち、 120℃以上とすれば、転写量が著し
く向上することが分かる(この転写率は、金型温度が 1
35℃以上ではTg付近までほぼ同等である)。
【0055】これに反し、金型温度が 120℃未満では、
アドレスピットは一応転写するものの、グルーブは金型
温度が下がるに従って転写量が著しく低下している。こ
の場合、グルーブの転写は連続した山谷を乗り越えなが
ら樹脂が充填して行われるために充填し難いのに対し、
ピットとピットの間には山はないために樹脂がピットの
周りを迂回しながらも充填して行き、粘度が高くても充
填し易いと考えられる。
【0056】図3及び図4はそれぞれ、金型温度が 120
℃及び 131℃のときの機械特性としてのスキュー(Ske
w)と光学特性の複屈折とを示す。これによれば、金型
温度の上昇によって、ディスク基板の反りが改善される
こと、複屈折も少ないことが分かる。
【0057】図5及び図6は、トラッキングエラー信号
の測定結果を示す。図5は金型温度を 100℃としたとき
の各種成形条件(転写を改善しようとするために条件を
種々変えたもの)で得られたディスクの結果を示し、ト
ラックピッチが狭小化するに伴ってトラッキングエラー
信号及び実効反射率、特に実効反射率が2P法とそれ以
外とで大きく異なり、また全体として値が大きめである
ことが分かる。これに対し、金型温度を 130℃としたと
きには、トラッキングエラー信号及び実効反射率とも
に、2P法とそれ以外とでそれ程の差はなく、値が小さ
くなることが分かる。このことから、本発明に基づく成
形条件の優位性が明らかである。
【0058】図7は、ゼオネックス樹脂を使用した場合
の金型温度による転写量を示す。これによれば、金型温
度をゼオネックス樹脂のガラス転移点(Tg)である 1
40℃より25℃低い温度以上、即ち、 115℃以上とすれ
ば、転写量が著しく向上することが分かる(この転写率
は、金型温度が 130℃以上ではTg付近までほぼ同等で
ある)。
【0059】これに反し、金型温度が 115℃未満では、
アドレスピットは一応転写するものの、グルーブは金型
温度が下がるに従って転写量が著しく低下している。
【0060】図8及び図9はそれぞれ、金型温度が 115
℃及び 131℃のときの機械特性としてのスキュー(Ske
w)と光学特性の複屈折とを示す。これによれば、金型
温度の上昇によって、ディスク基板の反りが改善される
こと、複屈折も少ないことが分かる。
【0061】なお、本発明に基づく金型温度によって、
転写を向上させることができるが、例えば上記したポリ
カーボネート樹脂を用いると、ディスク表面では、樹脂
のオリゴマー(低分子量成分)が浸出するため、樹脂本
来のガラス転移点(145℃)は130〜135 ℃に低下する。
【0062】図17には、オリゴマー量(重量%)がディ
スク基板2の表面領域のうち20μm以下、特に10μm以
下の厚み領域2aにおいて急に増えることが示され、ま
た、それに対応して表面領域2aのガラス転移点Tgが
低下していることが示されている(いずれも金型温度は
100℃と 130℃、横軸は対数目盛)。なお、図16(B)
においても、そうした低Tgの表面領域2aが転写時に
生じた状態を破線で示した。
【0063】このように、ディスク基板2の表面領域2
aのTgは、金型温度を単に設定しただけでは金型温度
とほぼ同じになることがあるため、ピットやグルーブが
変形し易くなる。従って、金型温度の妥当な上限は、樹
脂のガラス転移点Tgに対応して 130℃近傍(Tgより
低い)とするのがよい。
【0064】なお、図18(A)は、本発明に基づいて作
製されたポリカーボネート樹脂製のディスク基板を 130
℃の金型温度で成形した時の転写面のSEM(走査電子
顕微鏡)写真を示し、転写が良好であることが分る。図
18(B)は、金型温度を 115℃として成形した同ディス
ク基板の転写面のSEM写真を示すが、ランド高さが低
くて転写量が不足しているが、これは金型温度が低いか
らであると思われる。
【0065】また、図19には、上述したSTMによる転
写面の観察像を示し、凸部がランド部、凹部がグルーブ
に相当する。図20はSTM像(断面)を示す。
【0066】例2(ディスクリートトラック型ハードデ
ィスク) ハードディスクメディアは、図21(A)に示す従来方式
では、平坦なアルミニウム又はガラス基板を用いるもの
が一般的であるが、この例では、図21(B)のように、
記録密度向上とS/N向上を目的に、下記の表1に示す
仕様でエンボス式のディスクリートトラック方式の基板
を作成した。即ち、図21(B)と(C)に示すように、
記録トラックをスタンパーの凹部の転写によって成形
し、通常の光ディスクと信号が反転した凸状ピット又は
グルーブもスタンパーの凹部で成形した。
【0067】
【0068】ここで、上述したゼオネックス樹脂ZEO
NEX280Rによって下記の条件下でディスク基板を
成形した。このディスク基板の転写状態を図22と図23に
示す。
【0069】基板成形条件(標準となるもの): 樹脂溶融温度 320℃ 金型温度 115℃ 射出速度 35mm/sec 冷却時間 30秒 型締圧力 25トン(射出成形)
【0070】そして、このようにして成形したディスク
基板について、上述したと同様にSTMで転写量を測定
した結果を図23に示す(図中、IN PITはピット
内、OUT PITはピット外、IN GROOVEは
グルーブ内、OUT GROOVEはグルーブ外をそれ
ぞれ示す)。
【0071】これらの結果も、上述した光ディスクと同
様に、転写量は金型温度に大きく依存し、ゼオネックス
樹脂のガラス転移点(140℃)より25℃低い 115℃前後で
転写率が大きく異なっており、金型温度を 115℃以上と
すべきことが分かる。
【0072】一方、転写を改善するために一般的に行わ
れる射出を速くする方法や樹脂温度を上げる方法、充填
する樹脂量の増量では、図24に示すように、転写率改善
には効果は少なく、また図25及び図26に示すように、樹
脂温度を増加させ、溶融粘度を低くする方法も逆に転写
率を悪くしている。これに対し、金型温度を 120℃(T
g以下)とした(樹脂温度は 320℃)場合は、転写が大
きく向上することが分かる(図24)。
【0073】以上に示した各例から、射出成形によるグ
ルーブ転写(ランド部の成形)は、成形時のスタンパー
の温度(金型温度)に依存していることが明らかであ
る。即ち、金型温度が樹脂の(Tg−25℃)より低いと
転写が急激に劣化するので、金型温度は(Tg−25℃)
以上とすべきであり、また、ピットやグルーブの変形を
防止して形状を保持するためにはTg以下とすべきであ
る。この金型温度は(Tg−22℃)〜(Tg−10℃)と
するのが望ましい。
【0074】このように金型温度が転写性を左右するこ
とは、本発明者によりはじめて見出されたものであり、
金型温度が(Tg−25℃)付近で転写量が大きく変化す
るという意外な事実が判明したのである。
【0075】以上、本発明を実施例について説明した
が、上述の実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に
変形が可能である。
【0076】例えば、上述した金型温度を本発明による
範囲に設定した条件において、樹脂の物性や種類等を変
えてよい。また、トラックピッチ(望ましくは 1.6μm
以下)を種々に変更したり、グルーブ深さについても、
λ/4〜λ/9(λ:入射光の波長)の範囲で変化させ
てよい。
【0077】また、光ディスクの成形型として、本発明
を適用できるものは、スタンパーに限らず、メタルマス
ターやマザースタンパーでもよい。
【0078】また、光ディスクの転写面は公知のよう
に、グルーブとピットが混在した上述の例をはじめ、プ
リグルーブが設けられたMO等に対応する形状を有して
いてよい。記録は、グルーブとランド部の少なくとも一
方に行うことができる。
【0079】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、成形型の型
面を成形材料に転写して情報記録媒体の記録面を形成す
るに際し、前記成形材料のガラス転移点(Tg)より25
℃低い温度以上、前記ガラス転移点(Tg)以下の温度
(T)、換言すれば、Tg−25℃≦T≦Tgで示される
範囲内の温度(T)に前記成形型を保持するので、トラ
ックピッチの狭小化及び記録の高密度化に充分に対応で
きる転写を行うことができる。
【0080】また、凹形状の成形型でも支障なしに媒体
を作製できることになり、使用可能な型の範囲を広げる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ディスクの基板を射出成形する際の金型温度
による転写量変化を示すグラフである。
【図2】他の光ディスクの基板を射出成形する際の金型
温度による転写量変化を示すグラフである。
【図3】成形されたディスク基板の機械及び光学特性を
示すグラフである。
【図4】金型温度を変えて成形されたディスク基板の機
械及び光学特性を示すグラフである。
【図5】光ディスクのトラックピッチによる特性変化を
比較して示すグラフである。
【図6】金型温度を変えて成形された光ディスクのトラ
ックピッチによる特性変化を比較して示すグラフであ
る。
【図7】他の光ディスクの基板を射出成形する際の金型
温度による転写量変化を示すグラフである。
【図8】成形されたディスク基板の機械及び光学特性を
示すグラフである。
【図9】金型温度を変えて成形されたディスク基板の機
械及び光学特性を示すグラフである。
【図10】光ディスクの要部の破断拡大斜視図である。
【図11】同光ディスクの要部の拡大断面図である。
【図12】同光ディスクの概略平面図である。
【図13】他の光ディスクの要部の破断拡大斜視図であ
る。
【図14】同光ディスクの要部の拡大断面図である。
【図15】同光ディスクの基板の作製方法を工程順に示す
要部拡大断面図である。
【図16】同光ディスクの基板の作製方法を工程順に示す
要部拡大断面図である。
【図17】同光ディスクの表面層の厚みとオリゴマー量及
びガラス転移点(Tg)との関係を示すグラフである。
【図18】光ディスクの表面の転写状態を示すSEM写真
のスケッチ図である。
【図19】光ディスクの表面のSTM像である。
【図20】光ディスクの表面性を示すグラフである。
【図21】ディスクリートトラック型ハードディスクの要
部の概略破断斜視図及び拡大平面図である。
【図22】同ディスクの基板を成形する際の金型温度によ
る転写量変化を比較して示すグラフである。
【図23】同ディスク基板の成形条件を変えたときの転写
量変化を比較して示すグラフである。
【図24】同ディスク基板の成形時の樹脂温度による転写
率変化を示すグラフである。
【図25】高密度光ディスク基板の成形時の樹脂溶融温度
による転写率変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・光ディスク 2、22・・・基板 2a・・・表面領域 3、23・・・情報記録面 4、24・・・グルーブ 5、25・・・ランド部 6・・・入射光 7、27・・・アドレスピット 8・・・原盤(マスター) 9・・・フォトレジスト 9a、10a、11b、12a、12d、32a、32d・・・凸部 9b、9c、10b、10c、12b、12c、32b・・・凹部 10・・・メタルマスター 11・・・マザースタンパー 12、32・・・スタンパー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形型の型面を成形材料に転写して情報
    記録媒体の記録面を形成するに際し、前記成形材料のガ
    ラス転移点より25℃低い温度以上、前記ガラス転移点以
    下の温度に前記成形型を保持する、情報記録媒体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 成形材料のガラス転移点より10〜22℃低
    い温度に成形型を保持する、請求項1に記載した製造方
    法。
  3. 【請求項3】 スタンパーの型面を射出成形によって樹
    脂に転写し、案内溝とこの案内溝に隣接したランド部の
    少なくとも一方に記録を行う記録面を形成する、請求項
    1に記載した製造方法。
  4. 【請求項4】 グルーブと信号ピットとが混在するか或
    いはプリグルーブが存在する記録面を形成する、請求項
    1に記載した製造方法。
JP12925995A 1995-04-28 1995-04-28 情報記録媒体の製造方法 Pending JPH08306086A (ja)

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