JPH08302578A - 耐磨耗性線状繊維強化樹脂の製造方法および耐磨耗性繊維強化樹脂ケーブルの製造方法 - Google Patents

耐磨耗性線状繊維強化樹脂の製造方法および耐磨耗性繊維強化樹脂ケーブルの製造方法

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JPH08302578A
JPH08302578A JP7109723A JP10972395A JPH08302578A JP H08302578 A JPH08302578 A JP H08302578A JP 7109723 A JP7109723 A JP 7109723A JP 10972395 A JP10972395 A JP 10972395A JP H08302578 A JPH08302578 A JP H08302578A
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孟 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 円形断面を有する線状FRP及びそれを用い
て得たFPRケーブルに優れた耐磨耗性を付与する。 【構成】 実質的に無撚の強化繊維糸条に樹脂を含浸し
た後、仮撚を付与しながら加撚側で樹脂の軟化と硬化を
行うと共に、樹脂が軟化状態にある間に粉体状減磨材を
付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、円型断面を有する耐磨
耗性繊維強化線状樹脂及び耐磨耗性繊維強化樹脂ケーブ
ルの製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、強化繊維に樹脂を含浸して得られ
る繊維強化樹脂(以下、FRPという場合がある)製品
の一つとして円型断面の線状FRPがあり、またこのよ
うな円型断面の線状FRPを得るための従来技術とし
て、強化糸条に樹脂を含浸し(この場合、強化糸条の樹
脂含浸物の剛性を下げることを考慮して熱硬化性樹脂が
使用されるのが一般的である)次いで加撚を処し、その
まま硬化する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、含浸と加撚の2つのプロセスが必要であ
り、未硬化の流動性のある強化糸条の樹脂含浸物に加撚
を施す必要があった。さらに、このようにして得た線状
FRPを合撚してFRPケーブルを得る場合には、硬化
した円形断面の線状FRPにさらに追撚した上で合撚を
与えてケーブルを得ることが必要であった。本発明者等
は先に特願平6−182632号にて、円型断面の線状
FRPを一工程で連続的に製造し得る方法を提案した。
【0004】しかしながら、線状FRPはケーブルに使
用すると、線状FRP同志が擦れ合って磨耗現象(ケー
ブル内部磨耗)を生じるという問題がある。金属素線の
場合はケーブル内に潤滑油含浸線を配置し、この潤滑油
により内部磨耗を低減するのが一般的であるが、線状F
RPの場合は潤滑油により樹脂の劣化が生じ、終局的に
は線状FRP自体の強度劣化となって使用できなくな
る。本発明はかかる問題点を解消し、得られる円型断面
の線状FRP及びFPRケーブルに優れた耐磨耗性を付
与するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的に無撚
の強化繊維糸条に樹脂を含浸した後、仮撚を付与しなが
ら加撚側で樹脂の軟化と硬化を行うと共に、樹脂が軟化
状態にある間に粉体状減磨材を付着させることを特徴と
する耐磨耗性線状繊維強化樹脂の製造方法を第一の発明
の要旨とし、また、実質的に無撚の強化繊維糸条に樹脂
を含浸した後、仮撚を付与しながら加撚側で樹脂の軟化
と硬化を行うと共に、樹脂が軟化状態にある間に粉体状
減磨材を付着させて得た耐磨耗性線状繊維強化樹脂を、
複数本引揃えて加撚することを特徴とする耐磨耗性繊維
強化樹脂ケーブルの製造方法を第二の発明の要旨とす
る。
【0006】本発明を図に基づいて更に詳細に説明す
る。図1は本発明に係わる線状FRPの製造方法の実施
に使用する装置の一例を示す縦断側面図であり、同図に
おいて、実質的に無撚の強化繊維糸条1は樹脂含浸部2
において強化用樹脂を含浸され樹脂含浸糸条3となる。
強化繊維糸条1は実質的に無撚の繊維糸条であることが
必要である。特にその種類を限定するものではないが、
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の高強度繊維が
好ましく用いられる。また強化用樹脂は熱硬化性樹脂、
熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、または電子線硬化性樹脂
等、いずれの樹脂でも用いることが可能である。またそ
の含浸方法についても特に限定するものではない。
【0007】樹脂含浸糸条3は樹脂含浸量および形態の
制御のために、ダイス4を通過させることが好ましいが
必須ではない。含浸された強化用樹脂が熱可塑性樹脂で
ある場合はダイス4は当然加熱する必要がある。
【0008】ダイス4を経た樹脂含浸糸条5は仮撚装置
6によって加撚される。この時、含浸された強化用樹脂
が熱硬化性樹脂の場合には、仮撚装置6により加えられ
た撚は樹脂含浸糸条3が未だ硬化しないダイス4近傍で
主として加撚され、また含浸された強化用樹脂が熱可塑
状樹脂の場合は加熱装置7において主として加撚される
ことになる。
【0009】このように仮撚装置6の加撚側(図1にお
いて仮撚装置6の左側)に樹脂の軟化を行う加熱部と硬
化を行う冷却部を設け、仮撚を付与しながら樹脂の軟化
と硬化を行うことにより、仮撚装置6近傍の加撚側にお
いて加撚により円型断面が維持された加撚硬化糸条8を
得ることができるのである。樹脂の軟化は、熱硬化性樹
脂の場合は加熱による樹脂の低粘度化、熱可塑性樹脂の
場合は加熱による可塑化をいい、樹脂の硬化は熱硬化樹
脂の場合は加熱による硬化、熱可塑性樹脂の場合は冷却
による固化を意味する。
【0010】また、樹脂が光硬化性樹脂や電子線硬化性
樹脂等のように、熱以外のエネルギーにより硬化する樹
脂の場合には、樹脂軟化部として加熱装置、樹脂硬化部
として光照射装置や電子線照射硬化装置を設置すればよ
い。
【0011】本発明で用いられる仮撚装置の最も簡便な
装置として、図2に示すような円筒61の内部に自由回
転する複数個のロール62を設け、加撚硬化糸条8をニ
ップした上で円筒61をロール62とともに回転せしめ
ることにより仮撚を付与するように構成した装置が例示
されるが、本発明は仮撚方法及び装置については何等限
定するものではない。
【0012】図1において、仮撚装置6の右側は解撚部
であり、加撚硬化糸条8が一定速度で左方から右方に引
取られる時、加撚硬化糸条8は仮撚装置6を通過した以
後はその撚数は実質的にゼロとなるが、本発明において
は加撚側で仮撚状態で硬化されるため、解撚側では実質
的に撚数はゼロであるが加撚・硬化に相当する撚りトル
クのみが残存することになる。このようにして得た線状
FRP9は巻き取りボビン10に巻き取られるが、巻取
られた線状FRP9は実質的に撚数ゼロで撚トルクを有
するものとなる。
【0013】また、図1において、含浸樹脂が熱硬化性
樹脂である場合はP1が軟化部であり、含浸樹脂が熱可
塑性樹脂である場合はP2が軟化部である。本発明は、
かかる軟化部(P1又はP2)において粉体状減磨材を供
給して線状FRPの外周面に付着させることにより、線
状FRPに耐磨耗性を付与するものであるが、FRPの
場合、その表面は金属に比較して硬度が低く、固体介在
物が粒状である場合は表面の損傷が著しい。このような
表面の損傷を防ぐには接触面積が大きく接触面の圧力の
低下と線状FRP間の移動が固体介在物間の摩擦に転換
できる粉体状減磨材が有効である。
【0014】このような粉体状減磨材としては、膨張黒
鉛、弗化カーボン、窒化硼素、2硫化モリブデン、2硫
化タングステン、有機ベントナイト、硅石灰、タルク、
カオリン、沸石等のへき開構造を有する粉体又は板状鱗
片状粉体であって特にへき開構造を有する結晶粉体が好
ましい。このような粉体状減磨材は図1のP1又はP2
において、流動床や吹付等の方法により線状FRPに付
着させるが、その付着方法については限定されない。粉
体状減磨材の付着量は、線状FRPの線径及び用途等に
より異なり、その付着形態は含浸された樹脂により線状
FRP表面に全ての粉体状減磨材が接着された状態又は
接着と粉体状減磨材同志の機械的集合状態が混在した形
態であってもよい。
【0015】以上に詳述した本発明の線状FRPの製造
方法の利点は、実質的に無撚の強化糸条を無撚状態で樹
脂含浸が可能であり(加撚された糸条の樹脂含浸は著し
く困難である)、これに連続して仮撚を行うことにより
加撚側において糸条の円型断面の維持と撚による樹脂含
浸の促進、強化繊維の最密充填化が図られること、さら
に解撚側において円型断面形状を維持しつつ、撚トルク
を有する耐磨耗性の硬化糸条を一工程で連続して得るこ
とが可能となることであり、特に撚トルクを有する無撚
の線状FRPが得られることは、これを複数化してFR
Pケーブルとする時、下撚加撚が不要となる利点があり
極めて合理的な製造方法となる。
【0016】次に本発明のFRPケーブルの製造方法を
図に基づき詳細に説明する。図3は、本発明に係わるF
RPケーブルの製造方法の実施に使用する装置の一例を
示す平面図であり、複数本の実質的に無撚の強化繊維糸
条12(それぞれが合糸された状態でも可能である)は
樹脂含浸部13、ダイス14を経て、仮撚装置16に別
々に導かれ、それぞれ同一条件の仮撚数が与えられる。
このとき、P11の位置に流動床を設け粉体状減磨材を各
線状FRPに付着させ、硬化炉15において粉体状減磨
材は線状FRP表面に大部分が接着される。得られた無
撚であり表面に粉体状減磨材が接着した残留撚トルクを
有する線状FRP17はガイドプレート18で相対位置
を制御した上で加撚巻取ボビン20に巻取られる。
【0017】この時、加撚巻取ボビン20は矢印21の
方向に回転することによって複数の線状FRPの有する
撚トルクの消去に相当する加撚を行うと同時に、矢印2
2の方向に回転することによって加撚巻取ボビン20上
にFRPケーブルを巻取ることが出来る。
【0018】本発明の方法によって得られるFRPケー
ブルの構造は、従来のケーブルが下撚と上撚の2つの撚
構造を持つのに対し、上撚のみの構造である。また一般
的に、線状FRP及びFRPケーブルにおいては、加撚
することにより強力利用率は低下するが、本発明の線状
FRP及びFRPケーブルは、素線に撚を有しないため
強力利用率を向上せしめることが可能となる。
【0019】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。第1図に示す装置と類似の装置を用い、
0.8g/mの炭素繊維トウを3本分離した状態でエポ
キシ樹脂を入れた樹脂含浸部中に連続的に浸漬し、次い
で同心円上にある3個の直径約1mmの孔を有するダイ
スに通し、それ以降は3本のトウを合わせ、直径約1.
7mmのダイスガイドおよび炉長5mの加熱部の直前に
設けた床長10cmの流動床(市販の膨張黒鉛をミキサ
ーで粉砕し、更にボールミルによる最大径0.1mm程
度の粉体を空中に浮遊させた状態)を通過させた後、加
熱部を経て仮撚装置に導いた。
【0020】なお、加熱装置と仮撚装置の間に冷却部を
設け仮撚装置におけるニップ部の安定化を図った。この
系を図3の如く7組並列に置き、トウの移動速度毎分
2.5m、仮撚装置の回転数を毎分50回転として連続
的に直径約1.7mm、樹脂含有率30.4%、膨張黒
鉛付着量0.95g/mの線状FRPを7本同時に製作
し、引続き同心円上に6個、中心部に1個のガイドを有
するガイドプレートにより位置制御を行った上で、10
T/mの撚を与えながら加撚巻取ボビン上に巻取って、
直径約5mmのFRPケーブルを得た。得られたFRP
ケーブルは耐磨耗性の優れた強力利用率の高いケーブル
であった。
【0021】
【発明の効果】上述の如く構成された本発明によれば、
従来、含浸−加撚の2つのプロセスが必要であった線状
FRPの製造が一工程で済むとともに、本発明の方法で
得られる線状FRP及びFRPケーブルは耐磨耗性に優
れ且つ撚を有しないため(FRPケーブルの場合は上撚
のみの構造であるため)強力利用率を向上せしめること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる線状FRPの製造方法の実施に
使用する装置の一例を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の実施に用いる仮撚装置の一例を示す拡
大縦断側面図である。
【図3】本発明に係わるFRPケーブルの製造方法の実
施に使用する装置の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 強化繊維糸条 2 樹脂含浸部 3 樹脂含浸糸条 4 ダイス 5 樹脂含浸糸条(ダイス通過後) 6 仮撚装置 61 仮撚装置を構成する円筒 62 仮撚装置を構成するロール 7 加熱装置 8 円型断面の加撚硬化糸条 9 円型断面の無撚硬化糸条 10 巻取ボビン 12 線状FRP 13 樹脂含浸部 14 ダイス 15 加熱部(硬化炉) 16 仮撚装置 17 線状FRP 18 ガイドプレート 19 FRPケーブル 20 巻取ボビン 21 ボビンの回転方向(加撚方向) 22 ボビンの回転方向(巻取方向)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に無撚の強化繊維糸条に樹脂を含
    浸した後、仮撚を付与しながら加撚側で樹脂の軟化と硬
    化を行うと共に、樹脂が軟化状態にある間に粉体状減磨
    材を付着させることを特徴とする耐磨耗性線状繊維強化
    樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 実質的に無撚の強化繊維糸条に樹脂を含
    浸した後、仮撚を付与しながら加撚側で樹脂の軟化と硬
    化を行うと共に、樹脂が軟化状態にある間に粉体状減磨
    材を付着させて得た耐磨耗性線状繊維強化樹脂を、複数
    本引揃えて加撚することを特徴とする耐磨耗性繊維強化
    樹脂ケーブルの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2357091A (en) * 1999-12-07 2001-06-13 Milliken Europ Nv Yarn reinforced product
JP2011074627A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Unitika Ltd 土木工事用袋体
CN102080302A (zh) * 2010-11-17 2011-06-01 哈尔滨工业大学 一种极低膨胀高模量张力索及其制作方法

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