JPH08289686A - イネの一代雑種種子の生産方法 - Google Patents

イネの一代雑種種子の生産方法

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JPH08289686A
JPH08289686A JP9682895A JP9682895A JPH08289686A JP H08289686 A JPH08289686 A JP H08289686A JP 9682895 A JP9682895 A JP 9682895A JP 9682895 A JP9682895 A JP 9682895A JP H08289686 A JPH08289686 A JP H08289686A
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mother
ear
sasanishiki
father
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Takeshi Tsuchiya
猛 土屋
Masaaki Oka
正明 岡
Naoya Arai
直哉 新井
Tatsuto Fujimura
達人 藤村
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【発明の名称】 イネの一代雑種種子の生産方法 【目的】イネのF1種子生産における採種効率の向上の
ために、従来行われてきた育種的あるいは栽培技術的な
改善において見られたような欠点のない、より簡便かつ
省力的な採種技術を提供する。 【構成】雄性不稔のイネを母親とし、それに他のイネの
花粉を交配させて一代雑種種子の生産を行うにあたり、
出芽直後から出穂直前までの生育期間に、イネの稈長を
短くする効果のある薬剤で母親を処理し、出穂・開花時
の母親の穂の位置を父親の穂よりも低くすることによっ
て、父親の放出した花粉を母親の穂が受粉しやすい状態
にする。 【効果】イネの一代雑種種子を生産する際の採種効率が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はイネの一代雑種種子
(以下、F1種子とする)の生産方法に関し、具体的に
は、F1種子生産において採種効率を向上させる方法に
関する。更に詳しくは本発明は母親に対して薬剤処理を
行なうことによって、出穂・開花時における母親の穂の
位置を父親よりも低くし、父親からの花粉を受粉し易く
することによって、F1種子の生産性を向上させる方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】本来、イネは自家受粉によって次代の種
子を形成する自殖性作物である。このような繁殖様式を
有するイネのF1種子を実用的に大量生産するに際して
は、母親の穂上に効率的にF1種子を結実させることが
必要である。結実するF1種子量を増大させるために
は、母親の花粉を効率的に除去し、父親となる他品種の
花粉を効率的に受粉させることが重要である。通常、イ
ネは出穂直後に開花が起こり、出穂と開花がほぼ同時に
進行する。そのため、F1種子の生産は、花粉を供給す
る系統(以下、単に父親と呼ぶ)と花粉を受粉する系統
(以下、単に母親と呼ぶ)とを同一水田内で栽培し、父
親と母親に同時に穂を出させかつ開花させ(以下、出穂
・開花とする)、母親の穂上にF1種子を結実させる。
【0003】花粉の受粉に影響を及ぼす因子として、母
親の穂と父親の穂の相対的な位置関係が重要であること
が知られている。即ち、出穂・開花時に、父親の穂から
放出された花粉は、自然落下する。母親がより多くの花
粉を受粉するためには、母親の穂が父親よりも低い位置
にあることが好都合である。仮に、母親の穂が父親の穂
よりも高い位置にあったり、両親の穂の位置が同じ高さ
にある場合には、母親への花粉の送達が不十分となり、
受粉が効率的に行なわれなくなることが予想される。出
穂・開花時に父親の穂が母親のそれよりも常に高い位置
を保っている場合には、父親から放出された花粉が、上
方から母親の穂へまんべんなく降り注がれ、母親が容易
にかつ十分に受粉することが可能となる。以上のこと
は、イネの開花習性の面からも合理的に説明できる。即
ち、イネの花器である穎花は、開花時に、その外殻を構
成する内穎と外穎が上方に向かって大きく口を開く状態
になる(所謂、開穎する)。開穎は一穎花について一回
限りで、しかも短時間である。したがって、上方から花
粉を送達することが、母親の受粉を極めて容易ならしめ
る方法として、最も自然かつ理に叶っている。
【0004】F1種子生産における出穂・開花時に、父
親の穂の位置を母親の穂よりも相対的に高くするという
ことは、父親の稈長が相対的に高くなるように、母親の
稈長を低くしたり、逆に父親の稈長を高くすることであ
るが、従来その様な技術に対していくつかの試みがなさ
れてきた。第1に、遺伝的な改善、所謂、育種が行なわ
れた。しかし、育種的な改善を行なった場合に、穎花お
よび受精機能を正常に維持しながら、母親の稈長を低く
することには遺伝的な限界があり、逆に、父親の稈長を
高くすることは、これを用いてF1植物を育成した場合
に、当該F1植物体の稈長がより高くなり、それを栽培
した場合の植物体の倒伏とそれに伴う米収量の大幅な減
少や米品質の低下等の危険性が増すことが明らかになっ
た。また、育種によって片親の稈長を改善するだけで、
数年以上の年月が必要であることを考慮すると、育種的
に目標を達成するためには、長い時間を費やすことにな
る。
【0005】第2に、薬剤処理により父親の稈長を母親
よりも高くする栽培技術が開発されている。例えば出穂
直前の父親植物体に植物生長調節剤、所謂、植物ホルモ
ンの一種であるジベレリン(GA3)あるいはジベレリ
ンを主成分とする薬剤の水溶液を散布し、父親の稈長を
伸ばすことによって、出穂・開花期に母親の穂よりも父
親の穂の位置を高くしようというものである。この技術
は、ハイブリッドライスが広く普及している中国で実用
化されている(丸山清明,ハイブリッドライス開発の現
状と戦略2 種苗生産の効率化」,遺伝,42巻5号,
P30右段,1988年)。しかし、当該技術には以下
のような問題点が指摘されている。1)ジベレリンの作用
により稈の伸長に伴って稈質が脆弱化し、父親植物体が
倒伏しやすくなる。倒伏した父親は、稈長の低い母親の
上に覆い被さり日光を遮蔽し、その結果、母親の穂上に
稔ったF1種子の充実度が低下し、種子としての品質が
著しく劣化する。2)当該薬剤の散布を、父親と母親が同
時に栽培されている水田において、穂が出る直前に、父
親に対してのみ行うことは多大な労力を必要とする。3)
出穂直前の父親の穎花組織では、花粉の発育が進行中で
あり、この時期にジベレリンの作用を受けると花粉の発
育が阻害され、稔性のある成熟花粉量が減少するため、
母親の受粉率が低下し、結果的にF1種子の採種効率が
低下する。4)ジベレリンは植物体の出穂期を数日早める
作用のあることが知られていて、ジベレリンを主成分と
する薬剤の散布により父親の出穂・開花期が早まり両親
の同時出穂が実現できなくなり、受粉が不完全となり採
種効率が大幅に低下する可能性がある。以上のように、
薬剤処理により父親の稈長を母親よりも高くする栽培技
術には問題点が多く、実際、ジベレリンを主成分とする
薬剤を使用したイネのF1種子生産の採種効率は低い。
現在までに、上述のような育種や栽培技術での改善によ
って採種効率の向上を図る試みが行なわれてきたが、種
々の問題点のため、満足すべき採種効率の向上が達成さ
れていない。採種効率は、F1種子の生産コストに直接
係わる問題であるため、その向上は重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イネ
のF1種子生産における採種効率の向上のために、従来
行われてきた育種的あるいは栽培技術的な改善において
見られたような欠点のない、より簡便かつ省力的な採種
技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、イネの稈長を
短くすることによって植物体の草丈を低くする効果を有
する薬剤で母親を処理し、イネのF1種子生産における
出穂・開花時点での母親の穂の位置を父親の穂よりも相
対的に低くすることにより、十分な受粉が行われ採種効
率が著しく向上することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、母親を薬剤で処理することによって、
父親との相対関係で母親の稈長を短くし、一代雑種種子
の採種効率を向上させることを特徴とする、イネの一代
雑種種子の生産方法を提供するものである。
【0008】本発明は、イネのF1種子生産に利用でき
る全ての両親の組合せに対して適用可能である。F1種
子生産の母親として利用されるイネの系統としては、稔
性を有する花粉の形成を自分自身で行えず、従って自家
受粉による種子形成ができない雄性不稔形質を有するも
のを利用できる。雄性不稔は、細胞質雄性不稔、核遺伝
子雄性不稔あるいは化学交雑剤(除雄剤)によって誘発
された雄性不稔などがあるが、本発明は雄性不稔の形式
を問わず、何れの母親も使用可能である。F1種子生産
の父親として利用されるイネの系統としては、母親の細
胞質雄性不稔性を解消する稔性回復遺伝子を保有する稔
性回復系統が使用される。
【0009】母親の稈長を短くするために使用される薬
剤としては、出穂・開花時に母親植物体の稈長を低くす
る効果のある薬剤であれば、如何なる薬剤でも使用可能
であるが、イネの稈長を低くする薬剤としてイネ栽培で
実用的に使われている農薬の中で植物生長調節剤に分類
されている矮化剤が使用できる。また、除草剤である
2,4−Dも稈長を低くする効果がある。
【0010】本発明においては、母親の稈長を短くする
ために上記薬剤で幼苗期の育苗箱施用から出穂・開花直
前の水田施用までの期間に母親を処理する。処理方法は
特に限定されないが、通常の薬剤の散布方法を適宜選択
することが可能である。F1種子を採取するためには、
母親と父親を接近して移植し、母親と父親の出穂・開花
期を同調させて受粉させ、母親の穂上にF1種子を結実
させる。結実した種子は通常の方法で採取する。また、
本発明では、特に播種から育苗の段階で処理を行なうこ
とにより出穂・開花時にイネ植物体の稈長を低くするこ
とができる薬剤で母親を処理すると、省力化の点でより
望ましい。例えば、通常、水田1000平方メートルに
移植する苗を育てるのに必要な育苗箱(60×30c
m)の数は約20枚で、その面積は約3.6平方メート
ルであり、育苗段階での薬剤処理面積は、水田での処理
面積の1/280程度である。このことからして、育苗
の段階で母親を薬剤処理することは著しい省力化につな
がることが明らかである。
【0011】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。 [実施例1]母親としては、細胞質雄性不稔ササニシキ
(以下ササニシキAと略す)を用い、父親としては、稔
性回復系統のMHR17を用いて、苗段階での薬剤処理
による効果を調査した。ササニシキAとMHR17を別
々に育苗箱に播種し、慣行法により育苗した。尚、両品
種の出穂期が同時になるよう、ササニシキAとMHR1
7の播種期を調整した。ササニシキAの苗が3葉期に達
した段階で、育苗箱(60×30cm)一箱当り、イネ
用矮化剤であるイナベンフィド水和剤7gを水350m
lに溶解し、散布した。散布後2日目に、ササニシキA
とMHR17の両品種を、別畝にして、交互に同一水田
に移植した。尚、列間は30cm、株間は15cmとし
た。また、比較のために、無処理のササニシキAとMH
R17を同様に移植した。表−1(表1)に示すよう
に、苗への薬剤散布によってもササニシキAの出穂期に
変化はみられなかった。また、薬剤の処理区・無処理区
とも、ササニシキAとMHR17の出穂期が一致した。
両親の開花と受粉は、晴天・微風の好条件下で行われ
た。開花後、35日目にササニシキAの植物体を刈り取
り、種子稔性を調査した。また、刈り取り前に薬剤処理
区と無処理区のササニシキAおよびMHR17の稈長、
穂長及び穂数を各々計測した。
【0012】
【表1】 薬剤処理による形態および採種量の変化について、表−
2(表2)に示す。種子稔実率は、以下の式により計算
した。 「種子稔実率」=「一穂の稔実粒数」/(「一穂の稔実
粒数」+「一穂の不稔粒数」)×100 幼苗期のイナベンフィド剤の処理によって、ササニシキ
Aの稈長が80.0cmから71.1cmへと短くな
り、父親であるMHR17との稈長の相対差は、無処理
区の1.2cmから処理区の10.1cmへと拡大し
た。この結果は、ササニシキAの稈長の短縮にともな
い、無処理区ではMHR17の穂とほぼ同じ高さであっ
たササニシキAの穂が、処理区ではMHR17のよりも
10cm程度低くなったことを意味している。このよう
な穂の相対的な位置関係の変化により、稔実率が無処理
区33.4%から処理区45.3%へと大幅に上昇し
た。同時に、薬剤処理により、ササニシキAの穂数が1
6.3から22.4へと増加した。稔実率と穂数が同時
に増加したことにより、イナベンフィド処理区の一株当
り稔実粒数は、無処理区の約1.5倍となった。本実験
でイナベンフィド剤の幼苗期の箱施用により母親の稈長
が低くなり、結果的にF1種子の採種効率が向上するこ
とが確認された。
【0013】
【表2】 表−2 F1種子の採種成績 ──────────────────────────────────── イナヘ゛ンフ 稈長 穂長 穂数 一穂の 一穂の 種子 一株の 稔実粒数 不稔粒数 稔実率 稔実粒数 ィト゛剤 (cm) (cm) (%) ──────────────────────────────────── 処理 71.1 17.0 22.4 31.6 38.2 45.3 708 ササニシキA ─────────────────────────────── 無処理 80.0 17.5 16.3 28.6 57.0 33.4 466 ──────────────────────────────────── MHR17 無処理 81.2 − − − − − − ──────────────────────────────────── また、本試験で行なった幼苗期における育苗箱への薬剤
処理は、水田における薬剤散布と比較して、処理面積が
極めて少なくなるため、時間的・労力的に大幅な省力化
が実現できた。
【0014】[実施例2]ササニシキAとMHR17を
用いて、本田へ移植後の薬剤処理による効果を調査し
た。実施例1と同様、ササニシキAとMHR17を別々
に育苗箱に播種し、慣行法により育苗を行なった。両品
種が同時に出穂するように、ササニシキAとMHR17
の播種期を調整した。ササニシキAが、ほぼ3葉期に達
した時点で、両品種を同一水田に移植した。栽植条件
は、実施例1と同様である。出穂前約40日頃に、水田
に栽培しているササニシキAのみに、10a当り4kg
相当のイナベンフィド粒剤を散布した。ササニシキAに
散布した薬剤がMHR17の畝へ流出するのを避けるた
め、散布時および散布後2日間は田面水を排水状態にし
た。表−3(表3)に示すように、薬剤散布によるササ
ニシキAの出穂期の変化は観察されず、処理区と無処理
区のササニシキAおよびMHR17の出穂期は一致し
た。晴天・微風の良好な条件下で開花と花粉散布が行わ
れた。刈り取り前の稈長、穂長、穂数の調査および刈り
取り後の種子稔性の調査は、実施例1と同様に行った。
【0015】
【表3】 薬剤処理による形態および採種量の変化について、表−
4(表4)に示す。種子稔実率の算出方法は、実施例1
と同様である。水田に移植した後のイナベンフィド剤の
ササニシキAへの処理によって、稈長が80.6cmか
ら73.2cmへと短くなった。その結果、無処理区で
はMHR17の穂とほぼ同じ高さであったササニシキA
のそれが、処理区ではMHR17よりも8cm程度低く
なった。ササニシキAの穂の相対的な高さの低下によ
り、稔実率が無処理区31.6%から処理区42.1%
と上昇した。また、薬剤処理によりササニシキAの穂数
が16.0から20.6本へと増加した。薬剤処理によ
り稔実率と穂数が増加したことで、一株当りの稔実粒数
は、無処理区の1.4倍程度に増加した。本実験によ
り、移植後のイナベンフィド剤の処理によってもF1種
子の採種効率の向上が確認された。
【0016】
【表4】 表−4 F1種子の採種成績 ──────────────────────────────────── イナヘ゛ンフ 稈長 穂長 穂数 一穂の 一穂の 種子 一株の ィト゛剤 稔実粒数 不稔粒数 稔実率 稔実粒数 (cm) (cm) (%) ──────────────────────────────────── 処理 73.2 16.7 20.6 30.2 41.5 42.1 622ササニシキ A ──────────────────────────────── 無処理 80.6 17.7 16.0 27.2 58.8 31.6 435 ──────────────────────────────────── MHR17 無処理 81.0 − − − − − − ────────────────────────────────────
【0017】[実施例3]ササニシキAとMHR17を
用いて、出穂・開花直前の薬剤処理による効果を調査し
た。実施例1と同様、ササニシキAとMHR17を別々
に育苗箱に播種し、慣行法により育苗を行なった。両品
種が同時に出穂するように、ササニシキAとMHR17
の播種期を調整した。ササニシキAが、ほぼ3葉期に達
した時点で、両品種を同一水田に移植した。栽植条件
は、実施例1と同様である。ササニシキAに対して、出
穂前14日頃に、10a当り3kg相当のパクロブトラ
ゾール粒剤を散布した。ササニシキAに散布した薬剤が
MHR17の畝へ流出するのを避けるため、散布時およ
び散布後2日間は田面水を排水状態にした。表−5(表
5)に示すように、薬剤散布によるササニシキAの出穂
期の変化は観察されず、処理区と無処理区のササニシキ
AおよびMHR17の出穂期は一致した。晴天・微風の
良好な条件下で開花と花粉散布が行われた。刈り取り前
の稈長、穂長、穂数の調査および刈り取り後の種子稔性
の調査は、実施例1と同様に行った。
【0018】
【表5】 薬剤処理による形態および採種量の変化について、表−
6(表6)に示す。種子稔実率の算出方法は、実施例1
と同様である。出穂・開花直前のパクロブトラゾール剤
のササニシキAへの処理によって、稈長が81.2cm
から75.0cmへと短くなった。その結果、無処理区
ではMHR17の穂とほぼ同じ高さであったササニシキ
Aのそれが、処理区ではMHR17よりも7cm程度低
くなった。ササニシキAの穂の相対的な高さの低下によ
り、稔実率が無処理区32.8%から処理区39.4%
と上昇した。ササニシキAの穂数は、薬剤処理によりほ
とんど影響を受けなかった。薬剤処理により稔実率が増
加したことで、一株当りの稔実粒数は、無処理区の約
1.3倍に増加した。本実験で、パクロブトラゾール剤
の出穂直前の処理によってF1種子の採種効率の向上が
確認された。
【0019】
【表6】 表−6 F1種子の採種成績 ─────────────────────────────────── ハ゜クロフ゛トラ 稈長 穂長 穂数 一穂の 一穂の 種子 一株の ソ゛ール剤 稔実粒数 不稔粒数 稔実率 稔実粒数 (cm) (cm) (%) ─────────────────────────────────── 処理 75.0 17.1 16.8 32.9 50.7 39.4 553 ササニシキ A ─────────────────────────────── 無処理 81.2 17.4 16.4 26.6 54.4 32.8 436 ─────────────────────────────────── MHR17 無処理 82.0 − − − − − − ───────────────────────────────────
【0020】
【発明の効果】本発明によって、前述した従来の育種的
改善・栽培技術的改善による問題点を解消できる。ま
た、本発明は、F1種子生産において利用できる全ての
両親組み合わせと雄性不稔の形式に対して適用できる。
本発明の方法においては、薬剤の処理時期と施用方法に
関しても自由に選択することが可能であるため、F1種
子生産に対して、大幅な省力化と合理的な労力配分の方
法を提供することができる。本発明においては、母親あ
るいは父親の稈長を育種により改良する方法と異なり、
一代雑種種子の母親と父親が決まってから採種効率の高
い種子生産を始めるまでに、多くの期間を必要としな
い。また、本発明においては、父親を薬剤処理すること
により父親の穂の位置を高くする方法における前述の問
題点は起こらない。特に、育苗の段階で母親を薬剤処理
することによりF1種子生産を著しく省力化することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 達人 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母親を薬剤で処理することによって、父
    親との相対関係で母親の稈長を短くし、一代雑種種子の
    採種効率を向上させることを特徴とする、イネの一代雑
    種種子の生産方法。
JP9682895A 1995-04-21 1995-04-21 イネの一代雑種種子の生産方法 Pending JPH08289686A (ja)

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CN107451927A (zh) * 2017-07-27 2017-12-08 四川农业大学 一种表征水稻群体质量的方法

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