JPH0828863A - 不定形耐火物施工用アンカスタッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 予め被覆を施しても電気溶接による溶接を可
能とするとともに高温酸化を防止することができる不定
形耐火物施工用アンカスタッドを提供することを目的と
する。 【構成】 水管１や鉄皮等に予め溶接し、これに不定形
耐火物施工するためのアンカスタッド３、３’におい
て、このアンカスタッドの先端から所要範囲にわたり導
電性コーテイング材１０で被覆したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、不定形耐火物施工用ア
ンカスタッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばごみ焼却炉の排熱回収用水管、あ
るいは工業窯炉の鉄皮等を高熱から保護するため、水管
配設箇所や鉄皮に不定形耐火物（キャスタブル等）を施
工するようにしている。

【０００３】上記不定形耐火物の施工に際しては、図４
にごみ焼却炉の水管１、１…の場合の断面を示すよう
に、施工される不定形耐火物２の剥落を防ぐために予め
鋼製の水管１の外面に小型のＶ字状またはＹ字状のアン
カスタッド３、３…を所定のピッチをもって電気溶接に
より植設される。

【０００４】この電気溶接には、一般に図３に例示する
ように、溶接機本体からケーブル４を介して接続される
ガン５のチャック６にアンカスタッド３の先端を差し込
んで保持し、このアンカスタッド３の基部側を水管１の
外面に接触させてこれに通電し、両者の発熱により溶着
させることによっている。図中７はアースケーブルを示
す。

【０００５】こうして電気溶接されたアンカスタッド
３、３…を埋め込むように不定形耐火物２を吹付けるか
あるいは型枠を使用しての流し込みにより施工される。

【０００６】この施工に際し、アンカスタッド３の炉内
側に位置する先端が高温酸化や焼損することを防ぐた
め、図５、図６に示すようにＳｉＣ製のキャップ８をモ
ルタル９を介して嵌着するか、あるいはアンカスタッド
３に耐熱塗料や酸化防止材を塗布することによりアンカ
スタッド３の先端部の保護を図っている。これは水管１
に限らず、不定耐火物を施工する工業窯炉の鉄皮の場合
も同様である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかるに上記キャップ
７を被冠する手段では、アンカスタッド３、３…を電気
溶接したのち各アンカスタッド３、３…の先端に、モル
タル９を詰めたキャップ８を被せることが必要となるた
め、数千〜数万という個数のキャップ８を上記のように
被せる作業は容易でなく、工期が長びく原因ともなって
いる。

【０００８】またアンカスタッド３に耐熱塗料を塗布す
る手段では、一般にこの種の材料は導電性が非常に低い
（比抵抗１〜９Ω／ｃｍ×１０⁵ ）ので、アンカスタッ
ド３の先端を溶接機のガン５のチャック６に差し込むこ
とはできても、アンカスタッド３に通電することができ
ず、そのため電気溶接を採用することができないという
問題があった。

【０００９】本発明はこれに鑑み、予めアンカスタッド
に被覆を施しても電気溶接機による電気溶接を可能と
し、高温酸化防止機能に優れた不定形耐火物施工用アン
カスタッドを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する
問題点を解決する手段として本発明は、水管や鉄皮等に
予め溶接し、これに不定形耐火物施工するためのアンカ
スタッドにおいて、このアンカスタッドの先端から所要
範囲にわたり導電性コーテイング材で被覆したことを特
徴とする。

【００１１】

【作用】アンカスタッドの先端から所要範囲の外周が導
電性コーテイング材により被覆されているので、高温酸
化の防止が図られ、かつコーテイング材は導電性である
から電気溶接機による溶接が可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照して
説明する。

【００１３】図１はＹ形のアンカスタッド３に本発明を
適用した場合を、図２はＶ形のアンカスタッド３’に本
発明を適用した場合を示しており、これらスタッドは、
鋼材、ステンレス鋼、鋳鋼などで形成される高さ２５〜
３０mm程度のもので、その材質はそのスタッドを使用す
る場所（温度）に応じて選択される。

【００１４】Ｙ形のアンカスタッド３の場合は、Ｙ形状
に分岐する部分から先端にかけてその外周に導電性コー
テイング材１０、１０が被覆され、Ｖ形のアンカスタッ
ド３’の場合には先端から所要範囲にわたり導電性コー
テイング材１０が被覆されている。

【００１５】上記導電性コーテイング材１０は、高温用
セラミックコーテイング材が用いられる。例えばカーボ
ン系、酸化鉄系、または他の金属（Ｎｉ、Ａｇ、Ｃｕ
等）をフイラーとしたもの、あるいは金属アルコキシド
加水分解液にＡｌ、Ｎｉ、Ａｇ等の導電性フイラーを添
加した溶剤系コーテイング液などが適する。これらコー
テイング材の導電性（比抵抗）は０．３２Ω／ｃｍであ
り、一般の耐熱塗料に較べきわめて導電性が高い。

【００１６】具体的には、耐火原料としてアルミナ、シ
リカ、ロー石等が用いられ、層状無機化合物として白雲
母、金雲母、水膨潤性人造雲母等が用いられる。バイン
ダとしては水ガラス、アルミン酸ソーダ等が所要の配合
割合をもって構成される。

【００１７】上記導電性コーテング材１０を被覆する手
段としては、常法の浸漬法、吹付法、塗布法などがある
が、大量に処理する場合にはアンカスタッド３または
３’を数十本まとめてその基部３ａ側を針金等で束ね、
予め所定の濃度（粘度）に調整した導電性コーテイング
材にアンカスタッド３または３’の先端側を浸漬して引
き上げ、乾燥させるようにされる。

【００１８】導電性コーテング材１０の被覆厚は、１〜
３mm程度であることが好ましい。被覆厚が１mm未満であ
ると焼損防止効果が少なく、また３mm以上であると導電
性コーテング材を必要以上に多量に消費し、アンカスタ
ッド３または３’のコストに影響を及ぼし、使用本数が
数千〜数万本となると資材費用の高騰に繋がる。

【００１９】したがってアンカスタッド３または３’に
被覆する被覆材は導電性を有するので、水管や鉄皮への
電気溶接機による電気溶接時にアンカスタッド３または
３’に通電され、電気溶接による植設が可能である。ま
た上記導電性コーテング材１０は高温酸化に対する防禦
機能が高いので、熱による損傷を十分に防ぐことができ
る。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、導
電性コーテイング材による被覆部分を電気溶接機のガン
のチャックに直接差し込んで常法により溶接することが
できるからＳｉＣキャップを使用せずともアンカスタッ
ドの高温酸化を防止することが可能となり、従来のよう
にアンカスタッドのすべてにＳｉＣキャップを被せるよ
うな手数が不要となって工期を著しく短縮（約３０％）
することができる。また本発明では、従来の耐熱塗料に
よる被覆と同様、簡単に被覆することができ、それでい
て電気溶接機による電気溶接が可能となるのでアンカス
タッドの溶接を迅速に行なうことができる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明をＹ形のアンカスタッドに適用した場合
の被覆部を断面とした正面図。

【図２】同、Ｖ形のアンカスタッドに適用した場合の被
覆部を断面とした側面図。

【図３】上記アンカスタッドの溶接に使用する電気溶接
機の一例を示す説明図。

【図４】水管の不定形耐火物による施工構造例を示す断
面図。

【図５】従来のＳｉＣキャップを用いたＹ形のアンカス
タッドを示すキャップを断面とした正面図。

【図６】従来のＳｉＣキャップを用いたＶ形のアンカス
タッドを示すキャップを断面とした側面図。

【符号の説明】

１ 水管 ２ 不定形耐火物 ３、３’ アンカスタッド ５ ガン ８ ＳｉＣキャップ ９ モルタル １０ 導電性コーテイング材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水管や鉄皮等に予め溶接し、これに不定形
   耐火物施工するためのアンカスタッドにおいて、このア
   ンカスタッドの先端から所要範囲にわたり導電性コーテ
   イング材で被覆したことを特徴とする不定形耐火物施工
   用アンカスタッド。