JPH08281437A - 潜弧溶接用溶接ヘッド - Google Patents

潜弧溶接用溶接ヘッド

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Publication number
JPH08281437A
JPH08281437A JP8107495A JP8107495A JPH08281437A JP H08281437 A JPH08281437 A JP H08281437A JP 8107495 A JP8107495 A JP 8107495A JP 8107495 A JP8107495 A JP 8107495A JP H08281437 A JPH08281437 A JP H08281437A
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JP
Japan
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flux
welding
supply pipe
branch pipe
pipe
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Application number
JP8107495A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Okada
俊彦 岡田
Hiroyuki Morimoto
博之 森本
Tomohiko Maeda
朋彦 前田
Norito Takahashi
憲人 高橋
Hiroshi Fujiwara
博 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】溶接トーチの溶接進行方向の両側にフラックス
を供給して、フラックスの量を容易に適量に維持するこ
とができる潜弧溶接用溶接ヘッドを提供する。 【構成】溶接トーチ1よりも溶接進行方向の前方側の位
置にフラックス供給管3を設ける。フラックス供給管3
の途中に斜め下方から分岐管5の上端を接続し、フラッ
クス供給管3内を流下するフラックスの一部を分岐管5
内に取り込む。分岐管5は斜め下方に傾斜してその下端
が溶接トーチ1よりも溶接進行方向の後方側の位置に達
するように設け、フラックス供給管3の下端のフラック
ス流出口3aと分岐管5の下端のフラックス流出口5a
とを溶接トーチ1の両側に溶接線に沿って並べて配置す
る。フラックス流出口3a及び5aから溶接トーチ1の
両側にフラックスを散布して被溶接物上のフラックスの
山の形状を台形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、潜弧溶接時に使用され
る溶接トーチと、溶接トーチの溶接進行方向側にフラッ
クスを供給するフラックス供給管とを備えた潜弧溶接用
溶接ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、潜弧溶接においては、被
溶接物の継手部をフラックスで被覆して、溶接トーチか
らフラックス中に溶接ワイヤを供給し、フラックス中で
溶接ワイヤと被溶接物との間にアークを発生させること
により溶接を行う。この種の溶接に用いる溶接ヘッド
は、少なくとも、溶接部に溶接ワイヤを供給する溶接ト
ーチと、該溶接トーチよりも溶接進行方向の前方側にフ
ラックスを供給するフラックス供給管とを備え、これら
を台車等の移動手段に搭載して、溶接線に沿って走行さ
せつつ溶接を行う。
【0003】図6は潜弧溶接に用いられていた従来の溶
接ヘッドの要部を示したもので、同図において1は被溶
接物Wに向けて溶接ワイヤ2を供給する溶接トーチ、3
は被溶接物WにフラックスFを供給するフラックス供給
管である。
【0004】溶接トーチ1は軸線を垂直方向に向けた管
状のトーチボディ101を備えていて、上方に配置され
た図示しないワイヤ送給装置により送給される溶接ワイ
ヤ2をトーチボディ101の軸芯部の孔を通して被溶接
物Wの継手部に供給する。
【0005】フラックス供給管3は、溶接トーチ1より
も溶接進行方向の前方側(図示の矢印X1 方向側)に軸
線を垂直方向に向けて配置された直管からなっていて、
その下端にフラックス流出口3aを有し、連結具4によ
り溶接トーチ1に連結されて支持されている。溶接トー
チ1及びフラックス供給管3は溶接線に沿って走行する
ように設けられた図示しない溶接台車に搭載され、フラ
ックス供給管3の上端は溶接台車に支持されたフラック
ス供給用のホッパに接続されている。また図示してない
が、溶接トーチ1の溶接進行方向の後方(X2 方向)側
には、未溶融のフラックスを吸引して回収するフラック
ス回収管が配置されている。上記溶接トーチ1、フラッ
クス供給管3、フラックス回収管等により溶接ヘッドが
構成されている。
【0006】溶接の際には、溶接トーチ1とフラックス
供給管3とフラックス回収管とを図示しない溶接台車と
ともに溶接線に沿って走行させつつ、フラックス供給管
3より被溶接物Wの継手部にフラックスFを供給すると
ともに、該フラックスF中に溶接ワイヤ2を供給し、フ
ラックスF中で溶接ワイヤ2と被溶接物Wとの間にアー
クを発生させて溶接を行う。未溶融のフラックスはフラ
ックス回収管により回収されてフラックス供給用ホッパ
に戻される。図6においてF´は溶融したフラックスを
示し、この溶融フラックスは凝固してスラグとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図6に示した溶接ヘッ
ドを用いて、溶接トーチ1よりも溶接進行方向の前方側
にフラックスFを供給しつつ溶接を行う場合、フラック
スFは、同図に示したように山状の形になる。このフラ
ックスの山の、溶接進行方向の前方側には急斜面が形成
され、溶接進行方向の後方側には傾斜角が比較的小さい
裾野が形成される。この場合、溶接トーチ1から供給さ
れた溶接ワイヤ2は、フラックスFの山の傾斜がゆるい
裾野部分に供給されるため、フラックスFの量が不足す
ると、アーク光が外部に漏れることがある。潜弧溶接に
おいては、溶接ワイヤ2と被溶接物Wとを通して流れる
大電流により強烈なアーク光が発生するため、アーク光
の漏洩は溶接作業上好ましくない。
【0008】また潜弧溶接のスタート時には、溶接ワイ
ヤ2と被溶接物Wとの間に大きい電力を供給してアーク
を発生させるが、アークスタート時にはスパッタが発生
するため、アーク部を被覆するフラックスの量が不足す
るとスパッタが外部に飛散し、周囲を汚損するという問
題が生じる。
【0009】アーク光の漏洩やスパッタの飛散に対する
対策として、溶接トーチの先端部付近を覆う防護カバー
を設けることが行われているが、防護カバーを設けると
溶接トーチの価格が高くなるだけでなく、溶接トーチ近
傍の部分が大形になるため、溶接作業や溶接トーチ先端
部のメンテナンス作業の作業性が損なわれるという問題
があった。
【0010】更に溶接時には、フラックス供給管3及び
溶接トーチ1が溶接進行方向に移動するが、このとき溶
接ワイヤ2がフラックスの山の裾野部分を掻き分けて進
むことになるため、溶接ワイヤ2付近のフラックスの量
が少なくなり、アーク直後の未凝固の溶融池と溶融後の
凝固部とを被覆するフラックスの量が少なくなる。その
ため、溶着金属を被覆して外部から遮蔽するというフラ
ックス本来の機能が損なわれることになり、溶接欠陥が
発生するおそれがある。
【0011】上記のような問題が生じるのを防ぐため、
溶接トーチ1よりも溶接進行方向の前方側に供給するフ
ラックスFの量を増大させることが考えられるが、フラ
ックスの供給量を増加させると、フラックスの量が多く
なり過ぎた場合に、多量のフラックスがアーク部とアー
ク直後の未凝固の溶融池とを拘束するため、アークによ
り加熱された溶接ワイヤやフラックスが気化することに
より生じたガスがスラグ(凝固したフラックス)と未凝
固の溶着金属との間に巻き込まれて気泡が生じ、この気
泡により、溶接ビードの表面にへこみやアバタ等の溶接
欠陥が生じるという問題が生じる。
【0012】上記のような問題が生じるのを防ぐために
は、被溶接物に供給されるフラックスの量を常に適量に
なるように調整しておく必要がある。潜弧溶接において
は、被溶接物の材質や板厚などに応じて溶接電流及び溶
接速度を適値に選定しているが、溶接電流や溶接速度を
変更した場合にはフラックスの供給量も変更する必要が
ある。
【0013】フラックス供給管3から供給されるフラッ
クスFの量は、フラックス供給管内でのフラックスの流
下量を調整したり、フラックス供給管3と被溶接物Wと
の間の隙間を調整したりすることにより調整し得るが、
これらの方法によりフラックスの供給量を調整して溶接
トーチ近傍のフラックスの量を適量に保つことは容易で
はない。特に種々の溶接速度に対してフラックスの供給
量を適量に調整することは容易ではなく、その対策に苦
慮しているのが現状である。
【0014】なお、自動潜弧溶接時には、溶接ワイヤ2
と被溶接物Wとの当接を電気的に検出して、フラックス
の供給後、アークを発生させている。この場合、従来の
溶接ヘッドでは溶接ワイヤ2がフラックスの山の裾野部
分に位置するため、アークスタート時にスパッタが外部
に飛散する、いわゆるオープンアークとなって、溶接欠
陥が生じていた。
【0015】本発明の目的は、溶接トーチ近傍のフラッ
クスの量を容易に適量に保つことができるようにした潜
弧溶接用溶接ヘッドを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶接トーチ
と、下端にフラックス流出口を有するフラックス供給管
とを備えて、フラックス供給管内を重力により流下させ
たフラックスをフラックス流出口から被溶接物に供給す
る潜弧溶接用溶接ヘッドに係わるものである。
【0017】本発明においては、被溶接物に向けてフラ
ックスを流出させるフラックス流出口を下端に有し、上
端がフラックス供給管の途中に接続された分岐管と、フ
ラックス供給管内を流下するフラックスの一部を分岐管
内に取り込むフラックス取り込み用ガイド部とが設けら
れ、フラックス供給管のフラックス流出口と、分岐管の
フラックス流出口とが、溶接トーチを間にして溶接線に
沿って並ぶように配置されている。分岐管は、フラック
ス取り込み用ガイド部により取り込まれたフラックスが
重力により下端のフラックス流出口まで流下するのを許
容する形状に形成されている。
【0018】なお「フラックスが重力により下端のフラ
ックス流出口まで流下するのを許容する形状」とは、そ
の上端から下端に向って高さが低くなっていく形状であ
り、典型的な形状はフラックス供給管との接続部から溶
接トーチの溶接進行方向後方側の位置に向って下方に傾
斜した形状である。分岐管の上端と下端との間の部分は
適宜に湾曲していてもよく、直線状に延びていてもよ
い。
【0019】本発明において、上記分岐管の内部のフラ
ックス流路の断面積とフラックス供給管の内部のフラッ
クス流路の断面積との大小関係は任意である。例えば、
分岐管の内部のフラックス流路の断面積をフラックス供
給管の内部のフラックス流路の断面積よりも小さく設定
してもよく、分岐管の内部のフラックス流路の断面積と
フラックス供給管の内部のフラックス流路の断面積とを
ほぼ等しく設定してもよい。
【0020】上記フラックス取り込み用ガイド部は、フ
ラックス供給管内のフラックス流路内に突出した状態で
設けられて、該フラックス流路を流下するフラックスの
一部の流れを妨げてその流れを分岐管内に向わせるよう
にガイドする部分である。構造を簡単にするためには、
分岐管の上端を斜め下方からフラックス供給管内に挿入
して、フラックス供給管内に挿入された分岐管の上端を
フラックス取り込み用ガイド部として用いるのが好まし
い。
【0021】本発明において、フラックス供給管のフラ
ックス流出口が配置された側及び分岐管のフラックス流
出口が配置された側のいずれを溶接進行方向の前方側と
するかは任意である。
【0022】
【作用】上記のように、フラックス供給管に分岐管を接
続して、フラックス供給管内を流下するフラックスの一
部を分岐管に取り込むようにするとともに、溶接トーチ
の両側にフラックス供給管のフラックス流出口と分岐管
のフラックス流出口とを配置すると、溶接トーチの進行
方向の前方側及び後方側の双方にフラックスを供給する
ことができるため、被溶接物上に散布されたフラックス
の山を溶接線と直角な方向から見た場合に、該フラック
スの山は台形状を呈することになる。そのため、溶接ト
ーチよりも溶接進行方向の前方側に供給するフラックス
の量を増大させなくても、溶接進行方向の後方側でフラ
ックスが不足する状態になるのを防ぐことができ、アー
ク光が漏れたり、アークスタート時にスパッタが飛散し
たりして溶接作業に支障を来すおそれをなくすことがで
きる。また溶接進行方向の後方側でフラックスが不足す
るのを防ぐことができるため、溶着金属が露出する状態
になって溶接欠陥が生じるおそれをなくすことができ
る。
【0023】また上記のように、溶接進行方向の前方側
と後方側との双方にフラックスを供給するようにする
と、溶接進行方向の前方側及び後方側のフラックスの量
をそれぞれ直接調節できるため、溶接進行方向の前方側
に供給するフラックスの量により間接的に溶接進行方向
の後方側のフラックスの量を調節する必要があった従来
の溶接ヘッドを用いる場合に比べてフラックスの量の調
整をはるかに簡単にすることができる。
【0024】更に、本発明のように溶接ヘッドを構成し
て、フラックスの山の形状を台形状に維持するようにす
ると、フラックスの量を容易に適量に維持することがで
きるため、フラックスが過剰な状態が生じるのを防いで
溶接部に気泡が発生するのを防ぐことができ、溶接欠陥
が生じるおそれをなくすことができる。
【0025】また上記のように、フラックス供給管の途
中に分岐管部を接続して、フラックス取り込み用ガイド
部によりフラックス供給管内を流下するフラックスの一
部を分岐管内に取り込んで、取り込まれたフラックスを
重力により流下させるように分岐管を設けると、簡単な
構造で分岐管を通してフラックスの供給を行わせること
ができる。
【0026】
【実施例】図1ないし図4は本発明の一実施例を示した
もので、これらの図において1は被溶接物Wに向けて溶
接ワイヤ2を供給する溶接トーチ、3は溶接トーチより
も溶接進行方向の前方側の位置で被溶接物Wにフラック
スFを供給するフラックス供給管、4はフラックス供給
管3を溶接トーチ1に連結支持する連結具、5はフラッ
クス供給管3の途中に接続された分岐管、6は溶接トー
チ1よりも溶接進行方向の後方側で、未凝固のフラック
スを吸引して回収するフラックス回収装置、7はフラッ
クス回収装置6により回収された空気とフラックスとの
混合流体から分離されたフラックスを収容するフラック
ス分離タンクであり、これらは図示しない溶接台車に搭
載されている。フラックス分離タンク7の下部にははホ
ッパ7aが設けられ、ホッパ7aの下端のフラックス流
出口とフラックス供給管3とが連結管8を介して連結さ
れている。
【0027】溶接トーチ1は軸線を垂直方向に向けた管
状のトーチボディ101を備えている。図示してない
が、溶接トーチ1の上方には、溶接ワイヤを巻回したワ
イヤリールと、該ワイヤリールから巻き戻した溶接ワイ
ヤを溶接トーチ1に向けて送給するワイヤ送給装置とが
設けられ、該ワイヤ送給装置により送給される溶接ワイ
ヤ2が溶接トーチ1の軸芯部を通して被溶接物Wの継手
部に供給される。
【0028】フラックス供給管3は、溶接トーチ1から
溶接線に沿う方向(X方向)の一方の側(X1 方向側)
に所定の距離を隔てた位置に軸線を垂直方向に向けた状
態で配置されて連結具4により溶接トーチ1と一体をな
すように支持された筒体301と、該筒体301の下端
に上端が着脱自在に接続されたフラックス散布管302
とからなっている。フラックス散布管302と筒体30
1との接続構造は任意であるが、本実施例では、図3に
示したように、筒体301の下端部に軸線方向に延びる
1以上のスリットSが設けられて、該筒体301の下端
部のスリットが設けられた部分の内側にフラックス散布
管302の上端が差し込まれている。筒体301の下端
のスリットが設けられた部分の外周にはネジが設けられ
ていて、該ネジにナット303が螺合され、該ナットの
締め付けにより、筒体301の下端のスリットが設けら
れた部分が縮径されて、フラックス散布管302が筒体
301に着脱自在に接続されている。フラックス散布管
302の下端の開口部はフラックス流出口3aとなって
いて、該フラックス流出口3aは、溶接トーチ1から溶
接線に沿う方向(X方向)の一方の側(X1 方向側)に
所定の距離を隔てた位置で、溶接トーチ1の軸線と溶接
線とを含む垂直面に沿って被溶接物W側に開口するよう
に設けられている。
【0029】図3に示したように、フラックス供給管3
の筒体301の上端部寄りの部分には溶接線に沿う方向
の他方の側(X2 方向側)に斜め下方に傾斜した孔30
1a1を有する分岐管接続部301aが、該筒体301の
外周部から斜め下方に突出した状態で設けられ、孔30
1a1は、その上端が筒体301の内周面に開口するよう
に設けられている。本実施例で用いる分岐管5は、フラ
ックス供給管3の筒体301よりも小径の管からなって
いて、分岐管接続部301aの孔301a1内を通してフ
ラックス供給管3内に挿入され、分岐管5の上端5bが
フラックス供給管3の筒体301内に突出させられてい
る。分岐管接続部301aの下端には、1以上のスリッ
トS´が設けられ、該スリットS´が設けられた部分の
外周に設けられたネジにナット304が螺合され、該ナ
ット304の締め付けによりスリットS´が設けられた
部分が縮径されて、分岐管5が分岐管接続部301aに
着脱自在に接続されている。
【0030】勿論、フラックス供給管3及び分岐管5を
着脱自在とするために、バンド状の締付具により、それ
ぞれのスリットS,S´を縮径させる構造を採用するこ
ともできる。さらにまた、いわゆるフランジ合せの接続
構造を採用することにより着脱自在とすることもでき
る。
【0031】この実施例では、フラックス供給管3の筒
体301内に突出した分岐管5の上端5bがフラックス
取り込み用ガイド部Gを構成しており、このガイド部G
がフラックス供給管3内を流下するフラックスFの流れ
の一部を妨げて、該フラックスFの流れの一部を分岐管
5内に取り込むようになっている。
【0032】分岐管5は、溶接トーチ1から溶接線に沿
う方向の他方の側(X2 方向側)に所定の距離を隔てた
位置に向けて下方に傾斜した状態で設けられていて、溶
接トーチ1の側方を経由してその下端が所定の位置に開
口するように湾曲され、分岐管5の下端の開口部がフラ
ックス流出口5aとなっている。分岐管5の下端のフラ
ックス流出口5aは、溶接トーチ1から溶接線に沿う方
向の他方の側に所定の距離を隔てた位置で、溶接トーチ
1の軸線と溶接線とを含む垂直面に沿って被溶接物W側
に開口するように設けられている。
【0033】即ち、本実施例においては、フラックス供
給管3のフラックス流出口3a及び分岐管5のフラック
ス流出口5aが、溶接トーチ1を間にして溶接線に沿う
方向に並ぶように配置されて、両フラックス流出口3
a,5aが溶接トーチ1の軸線と溶接線とを含む垂直面
に沿って溶接線に指向するように設けられ、溶接トーチ
1の両側でフラックスFが垂直面に沿う方向から被溶接
物W上に散布されるようになっている。このようにフラ
ックス流出口3a及び5aを設けておくと、被溶接物W
上に形成されるフラックスFの山を溶接線方向から見た
場合に、該山の形状がほぼ左右対称な形状を呈するよう
にすることができる。
【0034】本実施例では、上記溶接トーチ1と、フラ
ックス供給管3と、分岐管5とにより潜弧溶接用溶接ヘ
ッドHが構成されている。
【0035】溶接ヘッドHよりも上方の位置には、適宜
の支持手段により溶接台車に対して支持されたフラック
ス分離タンク7が配置され、このフラックス分離タンク
7の下端に設けられたホッパ7aの下端のフラックス流
出口とフラックス供給管3の筒体301の上端とが連結
管8を介して連結されている。連結管8は、ホッパ7a
から斜め下方に傾斜してフラックス供給管3の上端に至
るように設けられていて、ホッパ7aから流出したフラ
ックスは重力により連結管8内を流下してフラックス供
給管3内に流入するようになっている。ホッパ7aの下
端には該ホッパの下端のフラックス流出口を開閉するバ
ルブが設けられ、該バルブがアクチュエータ9により開
閉操作されるようになっている。アクチュエータ9とし
ては例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、電磁プラン
ジャ等を用いることができる。
【0036】本実施例では図示のX1 方向を溶接進行方
向とし、分岐管5のフラックス流出口から溶接進行方向
の後方側(X2 方向側)に所定の距離を隔てた位置で未
凝固のフラックスを回収するように、周知のフラックス
回収装置6が設けられている。
【0037】例えば、フラックス回収装置6は、フラッ
クス分離タンク7の上端に設けられたフラックス分離装
置12の受け入れ口12aに上端が接続されたフラック
ス回収管601と、フラックス回収管601の下端に接
続されたエゼクタ602と、エゼクタ602の吸引口に
上端が接続されたフラックス回収ノズル603と、フラ
ックス分離装置12の上に支持されたコンプレッサ60
4とからなり、コンプレッサ604から与えられる圧縮
空気が接続管10を通してエゼクタ602の駆動流導入
口602aに駆動流として与えられている。フラックス
回収ノズル603は、溶接トーチ1から溶接進行方向に
所定の距離を隔てた位置に配置されていて、その下端の
フラックス回収口6aは、垂直上方から溶接線に向けて
開口するように設けられている。エゼクタ602の下端
部付近は、平行リンク11aを備えた支持装置11によ
り溶接ヘッドに対して上下動自在に支持されている。支
持装置11は操作レバー11bにより操作される平行リ
ンク11aのロック機構を備えていて、フラックス回収
ノズル603の上下位置を調整した後、操作レバー11
bを操作して平行リンク11aをロックすることによ
り、フラックス回収ノズル603を所定の位置に固定す
ることができるようになっている。エゼクタ602に駆
動流(空気流)が供給されると、該駆動流により負圧が
生じるため、フラックス回収ノズル603に吸引力が与
えられ、フラックス回収ノズル603の下端のフラック
ス回収口6aから未凝固のフラックスが回収される。回
収されたフラックスはエゼクタ内で駆動流と混合されて
フラックス分離装置12に搬送される。分離装置12に
搬送されたフラックスは、空気から分離されて分離タン
ク7に供給される。
【0038】上記の溶接ヘッドを用いて潜弧溶接を行う
際には、先ずアクチュエータ9を駆動してホッパ7aの
下端のフラックス流出口に設けられているバルブを開
き、ホッパ7a内のフラックスを連結管8を通してフラ
ックス供給管3に供給する。フラックス供給管3内に供
給されたフラックスFは、フラックス供給管3内を重力
により流下して、図2に示したように、その下端のフラ
ックス流出口3aから溶接トーチ1の前方位置で被溶接
物W上に散布される。
【0039】フラックス供給管3内のフラックス流路を
流れるフラックスの流れの一部は、フラックス供給管3
内に突出させられた分岐管5の上端5bにより妨げられ
て、該分岐管5の上端5b(フラックス取り込み用ガイ
ド部G)から分岐管5内に導入される。分岐管5内を流
入したフラックスFは重力により該分岐管5内を流下し
て、溶接トーチ1よりも溶接進行方向の後方側(X2 方
向側)の位置で被溶接物W上に散布される。
【0040】本実施例では、フラックス供給管3内のフ
ラックス流路の断面積が、分岐管5内のフラックス流路
の断面積よりも大きく設定されているため、フラックス
供給管3内に供給されたフラックスの大部分はフラック
ス散布管302の下端のフラックス流出口3aから溶接
トーチ1よりも溶接進行方向の前方側に散布され、分岐
管5の下端のフラックス流出口5aからは、フラックス
の不足分を補う程度の少量のフラックスが被溶接物上に
散布される。
【0041】このように、溶接トーチ1の進行方向の前
後にフラックスを散布するようにすると、被溶接物W上
のフラックスの山を溶接線と直交する方向から見た場合
に、図2に示されるごとく、該フラックスの山はあたか
も台形状を呈することになり、この台形状のフラックス
内に溶接ワイヤ2が突入した状態となる。溶接ワイヤ2
と被溶接物Wとの間に電力を供給してアークを発生さ
せ、溶接トーチ1の前後にフラックスを散布しつつ溶接
ヘッドHと被溶接物Wとを相対的に溶接線方向(X方
向)に沿って移動させて、潜弧溶接を行わせる。
【0042】上記のように、被溶接物上に供給されるフ
ラックスの山が台形状を呈するようにすると、溶接ワイ
ヤ付近のフラックスが不足する状態になることがないた
め、外部にアーク光が漏洩したり、スパッタが飛散した
りするのを防ぐことができる。
【0043】図2において、溶接時に溶接ヘッドHがX
1 方向に移動するものとすると、溶接ワイヤ2がフラッ
クスFをかき分ける状態になるが、溶接トーチ1よりも
溶接進行方向の後方側(X2 方向側)の位置には分岐管
5よりフラックスが順次散布されるため、フラックスの
山はほぼ台形状の形を維持して、アーク直後の未凝固部
の溶融池と溶融後の凝固部とを確実に被覆し、溶着金属
を外界から遮断する。したがって従来の溶接ヘッドを用
いた場合のように、溶接進行方向の後方側でフラックス
が少なめになってフラックス本来の機能が損なわれるお
それをなくすことができ、溶接欠陥が発生するおそれを
なくすことができる。
【0044】上記実施例のように、フラックス供給管3
の途中に斜め下方から分岐管5を接続して、フラックス
取り込み用ガイド部Gから分岐管内にフラックスの一部
を取り込むようにするとともに、分岐管内でフラックス
が重力により流下して下端のフラックス流出口5aから
流出するように、分岐管5を設けておくと、簡単な構造
でフラックス供給管内を流下するフラックスを自動的に
分岐管内に取り込んで溶接トーチ1よりも溶接進行方向
の後方側に供給することができる。
【0045】また上記のように構成すると溶接進行方向
の後方側でフラックスが不足してアーク光が漏洩した
り、スパッタが飛散したりすることがないため、溶接ヘ
ッドに防護カバーを取り付ける必要がない。そのため、
溶接ヘッドが大形化することはなく、溶接作業や溶接ト
ーチの先端部のクリーニング等のメンテナンス作業の作
業性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0046】更に、上記実施例のように、フラックス供
給管及び分岐管の両方から溶接トーチの両側にフラック
スを散布するようにすると、フラックス供給管3の下端
のフラックス流出口3aからのフラックスの散布量及び
分岐管5の下端のフラックス流出口5aからのフラック
スの散布量をそれぞれ調節することにより、溶接進行方
向の前方側及び後方側でのフラックスの量を直接調整で
きるため、フラックスの散布状態の調整を容易に行うこ
とができ、溶接速度が適宜に変更された場合でもフラッ
クスの散布状態を溶接に最適な状態に容易に調整するこ
とができる。
【0047】上記の実施例では、分岐管5のフラックス
供給管3内に挿入された上端5bをフラックス取り込み
用ガイド部Gとしたが、このように構成すると、フラッ
クス取り込み用ガイド部を構成するために特別の部材を
用いる必要がないため、溶接ヘッドを安価に製作するこ
とができる。
【0048】しかしながら、本発明は、上記実施例のよ
うに分岐管5の上端をフラックス取り込み用ガイド部と
して用いる場合に限定されるものではなく、例えば図5
に示したように、分岐管5とは別に、フラックス供給管
3内に突出してフラックスの一部を分岐管3内に取込む
ためのガイド部材305を設けて、このガイド部材30
5により、フラックス取り込み用ガイド部Gを構成する
ようにしてもよい。
【0049】上記の実施例では、分岐管5内のフラック
ス流路の断面積を、フラックス供給管3内のフラックス
流路の断面積よりも小さく設定しているが、分岐管5内
のフラックス流路の断面積とフラックス供給管3内のフ
ラックス流路の断面積とをほぼ等しく設定するようにし
てもよい。このように設定して、フラックス供給管3内
を流下するフラックスの量と分岐管5内を流下するフラ
ックスの量とがほぼ等しくなるように、フラックス取り
込み用ガイド部Gを設ければ、溶接ヘッドHと被溶接物
Wとの相対移動方向をX1 方向及びX2 方向のいずれの
方向としても溶接を行うことができるため、溶接作業を
段取りよく行うことができる。
【0050】なおX1 方向及びX2 方向の双方向に溶接
を進行させ得るようにする場合には、溶接トーチ1の両
側でフラックスを回収するようにフラックス回収装置6
を設ける必要がある。
【0051】また、上記実施例とは逆に、溶接進行方向
の後方側へのフラックスの散布量を過剰にならない範囲
で、溶接進行方向の前方側へのフラックスの散布量より
も多くするように、フラックス供給管3内及び分岐管5
内のフラックス流路の断面積を設定することもできる。
このように設定すると、アーク直後の未凝固部の溶融池
と溶融後の凝固部とをフラックスで覆うというフラック
ス本来の機能を高めることができるため、溶接の品質を
向上させることができる。
【0052】本発明に係る潜弧溶接用溶接ヘッドは、溶
接線に沿って溶接トーチの両側に配置したフラックス供
給管のフラックス流出口及び分岐管のフラックス流出口
の双方からフラックスを散布して、散布されたフラック
スの山の形状をほぼ台形状に維持しつつ溶接欠陥のない
溶接部を得ることができるため、特に自動潜弧溶接装置
に好適である。
【0053】なお、フラックス回収装置は、従来公知の
ものを適宜に採用することができる。例えば、フラック
ス分離タンク7の上部と遠心送風機とを連通させて真空
吸引力によりフラックスを回収する、いわゆる真空回収
装置とすることができる。
【0054】上記の実施例では、溶接ヘッド及びフラッ
クス回収装置を被溶接物に対して溶接線方向に移動させ
るようにしたが、溶接ヘッドやフラックス回収装置を固
定とし、被溶接物を溶接線方向に移動させるようにする
こともできる。
【0055】以上本発明の好ましい実施例につき説明し
たが、本明細書に開示した発明の主な態様を挙げると下
記の通りである。
【0056】(1)溶接トーチと、フラックス流出口を
下端に有するフラックス供給管とを備えた潜弧溶接用溶
接ヘッドにおいて、下端にフラックス流出口を有し上端
が前記フラックス供給管の途中に接続された分岐管と、
前記フラックス供給管内を流下するフラックスの一部を
前記分岐管内に取り込むフラックス取り込み用ガイド部
とを備え、前記フラックス供給管のフラックス流出口及
び分岐管のフラックス流出口は、前記溶接トーチを間に
して溶接線沿う方向に並ぶように配置されて溶接線を含
む垂直面に沿って被溶接物側に指向するように設けら
れ、前記フラックス供給管及び分岐管はそれぞれの内部
でフラックスが重力により流下するのを許容するように
設けられている潜弧溶接用溶接ヘッド。
【0057】(2)溶接トーチと、フラックス流出口を
下端に有して該フラックス流出口が前記溶接トーチより
も溶接進行方向の前方側の位置で垂直面に沿って溶接線
に指向するように設けられたフラックス供給管とを備え
た潜弧溶接用溶接ヘッドにおいて、斜め下方に開口した
孔を有する分岐管接続部が前記フラックス供給管の途中
に設けられて、該分岐管接続部の孔を通して分岐管の上
端がフラックス供給管内に挿入され、前記分岐管は下端
にフラックス流出口を有して該フラックス流出口が前記
溶接トーチよりも溶接進行方向の後方側の位置で垂直面
に沿って溶接線に指向するように設けられ、前記フラッ
クス供給管内を流下するフラックスの一部を前記分岐管
内に取り込むフラックス取り込み用ガイド部が前記フラ
ックス供給管内に設けられ、前記フラックス供給管及び
分岐管はそれぞれの内部でフラックスが重力により流下
するのを許容するように設けられている潜弧溶接用溶接
ヘッド。
【0058】(3)溶接トーチと、該溶接トーチよりも
溶接進行方向の前方側の位置に配置されたフラックス供
給管とを備え、前記フラックス供給管はその下端にフラ
ックス流出口を有して該フラックス流出口が前記溶接ト
ーチよりも溶接進行方向の前方側の位置で垂直面に沿っ
て溶接線に指向するように設けられている潜弧溶接用溶
接ヘッドにおいて、斜め下方に開口した孔を有する分岐
管接続部が前記フラックス供給管の途中に設けられて、
該分岐管接続部の孔を通して分岐管の上端がフラックス
供給管内に挿入され、前記分岐管は下端にフラックス流
出口を有して該フラックス流出口が前記溶接トーチの溶
接進行方向の後方側の位置で垂直面に沿って溶接線に指
向するように設けられ、前記フラックス供給管内を流下
するフラックスの一部を前記分岐管内に取り込むフラッ
クス取り込み用ガイド部が前記フラックス供給管内に設
けられ、前記フラックス供給管及び分岐管はそれぞれの
内部でフラックスが重力により流下するのを許容するよ
うに設けられている潜弧溶接用溶接ヘッド。
【0059】(4)溶接トーチと、フラックス流出口を
下端に有して該フラックス流出口が前記溶接トーチより
も溶接進行方向の前方側の位置で垂直面に沿って溶接線
に指向するように設けられたフラックス供給管とを備え
た潜弧溶接用溶接ヘッドにおいて、斜め下方に開口した
孔を有する分岐管接続部が前記フラックス供給管の途中
に設けられて、該分岐管接続部の孔を通して分岐管の上
端がフラックス供給管内に挿入され、前記分岐管は下端
にフラックス流出口を有して該フラックス流出口が前記
溶接トーチよりも溶接進行方向の後方側の位置で垂直面
に沿って溶接線に指向するように設けられ、前記分岐管
の上端が前記フラックス供給管内を流下するフラックス
の一部を該分岐管内に取り込むフラックス取り込み用ガ
イド部を構成し、前記フラックス供給管及び分岐管はそ
れぞれの内部でフラックスが重力により流下するのを許
容するように設けられている潜弧溶接用溶接ヘッド。
【0060】(5)溶接トーチと、該溶接トーチよりも
溶接進行方向の前方側の位置に配置されたフラックス供
給管とを備え、前記フラックス供給管は前記溶接トーチ
よりも溶接進行方向の前方側の位置で溶接線に指向する
ように設けられたフラックス流出口を下端に有して、該
フラックス供給管内を重力により流下させたフラックス
をフラックス流出口から被溶接物に供給するようにした
潜弧溶接用溶接ヘッドにおいて、斜め下方に開口した孔
を有する分岐管接続部が前記フラックス供給管の途中に
設けられて、該分岐管接続部の孔を通して分岐管の上端
がフラックス供給管内に挿入され、前記分岐管は前記分
岐管接続部から溶接トーチの溶接進行方向の後方側の位
置に向って下方に傾斜した状態で設けられて、該分岐管
の下端に設けられたフラックス流出口が前記溶接トーチ
の溶接進行方向よりも後方側の位置で溶接線に指向さ
れ、前記分岐管は前記フラックス供給管内を流下するフ
ラックスの一部をその上端から取り込んで下端のフラッ
クス流出口から流出させるように設けられている潜弧溶
接用溶接ヘッド。
【0061】(6)前記溶接トーチは軸線を垂直方向に
向けた状態で配置され、前記フラックス供給管は、前記
溶接トーチと軸線を平行させた状態で配置された筒体と
該筒体の下端に上端が接続されたフラックス流出管とか
らなっていて、該フラックス流出管の下端の開口部が前
記フラックス流出口となっており、前記分岐管接続部は
前記筒体の上端寄りの位置に設けられている上記2項な
いし5項のいずれか1つに記載の潜弧溶接用溶接ヘッ
ド。
【0062】(7)前記分岐管内のフラックス流路の断
面積が、前記フラックス供給管内のフラックス流路の断
面積よりも小さく設定されている上記1項ないし6項の
いずれか1つに記載の潜弧溶接用溶接ヘッド。
【0063】(8)前記フラックス供給管及び分岐管
は、それぞれの内部のフラックス流路の断面積がほぼ等
しく設定されている上記1項ないし6項のいずれか1つ
に記載の潜弧溶接用溶接ヘッド。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ラック
ス供給管に分岐管を接続して、フラックス供給管内を流
下するフラックスの一部を分岐管に取り込むようにする
とともに、溶接トーチの両側にフラックス供給管のフラ
ックス流出口と分岐管のフラックス流出口とを配置し
て、溶接トーチの進行方向の前方側及び後方側の双方に
フラックスを供給するようにしたので、被溶接物上に形
成されるフラックスの山が溶接線と直角な方向から見た
場合に台形状を呈するようにすることができる。従っ
て、溶接進行方向の後方側でフラックスが不足する状態
になるのを防ぐことができ、アーク光が漏れたり、アー
クスタート時にスパッタが飛散したりして溶接作業に支
障を来すおそれをなくすことができる。勿論、溶接ワイ
ヤと被溶接物との当接を電気的に検出して、フラックス
を供給した後、アークを発生させる自動潜弧溶接時のス
タート時においても、スパッタが外部に飛散すること、
すなわちオープンアークとなることがないため、自動潜
弧溶接を確実に行うことができる。また溶接進行方向の
後方側でフラックスが不足するのを防ぐことができるた
め、溶着金属が露出する状態になって溶接欠陥が生じる
おそれをなくすことができる。
【0065】更に本発明によれば、溶接進行方向の前方
側と後方側との双方にフラックスを供給することによ
り、溶接進行方向の前方側及び後方側のフラックスの量
をそれぞれ直接調節することができるようにしたため、
溶接進行方向の前方側に供給するフラックスの量により
間接的に溶接進行方向の後方側のフラックスの量を調節
していた従来の溶接ヘッドを用いる場合に比べてフラッ
クスの量の調整を容易にすることができ、溶接速度が変
更された場合にもフラックスの量を溶接に最適な量に容
易に調整することができる。
【0066】また本発明によれば、フラックスの量を容
易に適量に維持することができるため、フラックスが過
剰な状態が生じるのを防いで溶接部に気泡が発生するの
を防ぐことができ、溶接欠陥が生じるおそれをなくすこ
とができる。
【0067】更に本発明によれば、フラックス供給管の
途中に分岐管部を接続して、フラックス取り込み用ガイ
ド部によりフラックス供給管内を流下するフラックスの
一部を分岐管内に取り込んで、取り込まれたフラックス
を重力により流下させるように分岐管を設けたので、簡
単な構造で分岐管を通してフラックスの供給を行わせる
ことができる。従って、構造を特に複雑にすることな
く、溶接トーチの両側にフラックスを供給して、従来の
潜弧溶接用溶接ヘッドが有していた問題点を解決するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の要部の構成を示した側面図で
ある。
【図2】図1の溶接ヘッド部分を拡大して示した要部拡
大側面図である。
【図3】図1の実施例のフラックス供給管と分岐管との
接続部付近の構造を示した拡大断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明で用いることができるフラックス取り込
み用ガイド部の変形例を示した断面図である。
【図6】従来の溶接ヘッドの要部を示した側面図であ
る。
【符号の説明】
1 溶接トーチ 2 溶接ワイヤ 3 フラックス供給管 3a フラックス流出口 5 分岐管 5a フラックス流出口 5b 分岐管の上端 W 被溶接物 H 溶接ヘッド F フラックス G フラックス取り込み用ガイド部
フロントページの続き (72)発明者 高橋 憲人 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 (72)発明者 藤原 博 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチと、下端にフラックス流出口
    を有するフラックス供給管とを備え、前記フラックス供
    給管内を重力により流下させたフラックスを前記フラッ
    クス流出口から被溶接物に供給する潜弧溶接用溶接ヘッ
    ドにおいて、 被溶接物に向けてフラックスを流出させるフラックス流
    出口を下端に有し、上端が前記フラックス供給管の途中
    に接続された分岐管と、 前記フラックス供給管内を流下するフラックスの一部を
    前記分岐管内に取り込むフラックス取り込み用ガイド部
    とを具備し、 前記フラックス供給管のフラックス流出口及び分岐管の
    フラックス流出口は前記溶接トーチを間にして溶接線に
    沿って並ぶように配置され、 前記分岐管は、前記ガイド部により取り込まれたフラッ
    クスが重力により下端のフラックス流出口まで流下する
    のを許容する形状に形成されている潜弧溶接用溶接ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 前記分岐管の内部のフラックス流路の断
    面積が、前記フラックス供給管の内部のフラックス流路
    の断面積よりも小さく設定されている請求項1に記載の
    潜弧溶接用溶接ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記フラックス供給管及び分岐管は、そ
    れぞれの内部のフラックス流路の断面積がほぼ等しく設
    定されている請求項1に記載の潜弧溶接用溶接ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記分岐管の上端は斜め下方から前記フ
    ラックス供給管内に挿入され、該フラックス供給管内に
    挿入された分岐管の上端が前記フラックス取り込み用ガ
    イド部を構成している請求項1ないし3のいずれか1つ
    に記載の潜弧溶接用溶接ヘッド。
JP8107495A 1995-04-06 1995-04-06 潜弧溶接用溶接ヘッド Pending JPH08281437A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007132658A1 (ja) 2006-05-17 2007-11-22 Ihi Corporation サブマージアーク溶接装置及びサブマージアーク溶接方法
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