JPH08256799A - 試料中の菌の検定方法 - Google Patents

試料中の菌の検定方法

Info

Publication number
JPH08256799A
JPH08256799A JP7093259A JP9325995A JPH08256799A JP H08256799 A JPH08256799 A JP H08256799A JP 7093259 A JP7093259 A JP 7093259A JP 9325995 A JP9325995 A JP 9325995A JP H08256799 A JPH08256799 A JP H08256799A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
specific
dna
bacterium
dna fragment
fragment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7093259A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Murakami
浩二 村上
Akiko Kudou
亜希子 工藤
Hideaki Yamada
英明 山田
Takeshi Kanzaki
健 神前
Kenzo Okada
憲三 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Seifun Group Inc
Original Assignee
Nisshin Seifun Group Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Seifun Group Inc filed Critical Nisshin Seifun Group Inc
Priority to JP7093259A priority Critical patent/JPH08256799A/ja
Publication of JPH08256799A publication Critical patent/JPH08256799A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ランダムプライマーによる複製・増幅及び分
析処理によって調査対象菌に特異的なDNA断片を見つ
け出した後、該特異的なDNA断片の塩基配列を決定
し、その塩基配列に基づいて調査対象菌の上記特異的な
DNA断片を選択的に複製・増幅し得る特異的プライマ
ーを合成し、該特異的プライマーを用いて試料中の菌類
から抽出したDNA混合物の複製・増幅を行い、それを
分析処理して上記特異的なDNA断片が含まれているか
否かを調べて試料中における調査対象菌の存否を検定す
る方法、並びに前記の方法をMPN法と組み合わせて試
料中における調査対象の菌数を検定する方法。 【効果】 本発明の方法による場合は、試料中における
特定の菌の存否又は菌数を、“種”のレベルは勿論のこ
と、“菌株”のレベルでも簡単な操作で且つ短時間に円
滑に検定することができ、クローズドされた実験室内に
限らず、屋外などにおいても試験を実施することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土壌やその他の試料中に
おける特定の菌の存否または数を調べる方法に関する。
より詳細には、本発明は、土壌やその他の試料中におけ
る特定の菌の存否または数を、調査対象である菌のDN
A鎖中の特異的なDNA断片を選択的に複製・増幅し得
る特異的なプライマーを用いて、速やかに且つ円滑に調
べる方法に関するものであり、本発明の方法による場合
は、試料中における特定の菌の存否および/または数
を、特定の“種”に属する“菌株”のレベルにおいて、
速やかに且つ適確に測定することができる。
【0002】
【従来の技術】植物などに対する病原菌防除対策として
は、従来、農薬等の薬剤を使用する方法、病原菌に対し
て抵抗性のある品種を選んで植える方法等が行われてお
り、特に薬剤による病原菌の防除が汎用されてきた。し
かしながら、薬剤を使用した場合は、ヒトや他の生物の
体内への薬剤の蓄積や残留、刺激臭、河川や地下水への
薬剤の流入や浸込み、生態系の破壊等の自然環境の破壊
や汚染等を生じており、大きな社会問題になっている。
また、病原菌に抵抗性のある品種を選んで生育させる方
法では、生育する植物の品種が限定されてしまい、しか
も生育環境や土壌が必ずしもその品種に適合しない場合
があり、実現が困難なことが多い。
【0003】そこで、近年上記した種々の弊害を有する
薬剤の使用に代えて、病原菌に対して拮抗性を有する有
用微生物を用いて植物などにおける病原菌の防除を行う
ことが色々行われるようになっており、例えば特開昭6
4−16579号公報、特公平1−23094号公報等
には病原菌に対して拮抗性を有する有用微生物を用いて
タバコ、ナス、ピーマン、トマト等のナス科の植物の病
原菌を防除する方法が記載されている。
【0004】また、近年ゴルフが盛んに行われており、
それに伴って芝草の健全な生育や管理がゴルフ場におけ
る重要事項になっているが、コウライシバ、ノシバ、ベ
ントグラス、ペレニアルライグラス等の芝草およびその
近縁の植物は、“赤焼病”菌であるピシウム・アファニ
デルマータム(Pythium aphanidermatum)、“春はげ
症”菌であるピシウム・バンタプーリ(Pythium vanterp
ooli)やピシウム・グラミニコーラ(Pythium graminic
ola)、“ラージパッチ”をひきおこすリゾクトニア・ソ
ラニ(Rhizoctonia solani)、“ダラースポット病”菌
であるスクレロチニア・ホモエオカルパ(Sclerotinia
homoeocarpa)などの病原菌の感染などによって枯死す
るという被害を被ることが多い。そして、これらの病原
菌は、一般に土壌中に存在し、しかもその感染力が強い
ことから、ゴルフ場等ではその防除に苦心しているのが
現状であり、農薬等の薬剤によるこれらの病原菌の防除
は、上記したように環境汚染などの種々の問題を生じて
いる。
【0005】かかる点から、本発明者らは、上記した芝
草病原菌に対して拮抗性を有する有用微生物を得るべく
研究を行ってきた。そしてその結果、シュードモナス・
フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュ
ードモナス・メソフィリカ(Pseudomonas mesohpilic
a)、シュードモナス・プティダ(Pseudomonas putid
a)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aer
uginosa)、シュードモナス・ピケッティー(Pseudomon
as pickettii)、シュードモナス・ストゥゼリ(Pseu dom
onas stuzeri)、シュードモナス・マルトフィリア(Pse
udomonas maltophilia)などのシュードモナス属細菌
が、上記したピシウム・アファニデルマータム、ピシウ
ム・バンタプーリ、ピシウム・グラミニコーラなどのピ
シウム属、リゾクトニア・ソラニなどのリゾクトニア
属、スクレロチニア・ホモエオカルパなどのスクレロチ
ニア属の病原菌に対して拮抗性を有しておりそれらの病
原菌の高い防除効果を有することを見出して先に出願し
た(特開平6−107511号公報)。
【0006】更に、本発明者らは、ストレプトミセス・
ヘイミ(Streptomyces heimi)、ストレプトミセス・フ
ラベオラス(Streptomyces flaveolus)、ストレプトミ
セス・ミシオネンシス(Streptomyces misionensis)お
よびストレプトミセス・フマナス(Streptomyces fuman
us)から選ばれる放線菌、シェワネラ・プトレファシエ
ンス(Shewanella putrefaciens)からなる細菌が、ピ
シウム・アファニデルマータム、ピシウム・バンタプー
リなどのピシウム属の病原菌に対して高い拮抗性を有し
ていて、こられの病原菌によってもたらされる病害の防
除に有効であることを見出して先に出願した(特開平6
−107512号公報)。
【0007】そして、病原菌に対して拮抗性を有する上
記したような有用菌またはそれを含む微生物資材を用い
て植物などの病害の防除を円滑に且つ継続して行うに
は、有用菌がそれを施した土壌などの環境中で死滅せず
に増殖してその拮抗作用を十分に発揮することが不可欠
であり、そのために有用菌を施した環境下での該有用菌
の増殖状態や生残性の調査、菌数の測定などを行うこと
が必要である。
【0008】一方、土壌やその他の試料中における菌の
存否の確認や菌数の測定に当たっては、対象とする菌を
選択的に増殖し得る選択培地を使用して行うことが従来
から広く行われている。そして、選択培地を使用して菌
の存否や数を調べる従来法による場合は、例えば“シュ
ードモナス属の細菌”、“ストレプトミセス属の放線
菌”などというように“属”のレベルで一まとめにして
調べたり、例えば“シュードモナス・フルオレッセン
ス”、“ストレプトミセス・ヘイミ”などというように
“種”のレベルで一まとめにして調べたりことは、調査
対象である特定の“属”または“種”の菌類の増殖に適
する選択培地を比較的簡単に選択、入手、調製できるこ
とから、その実施が容易である。しかしながら、同じ
“種”に属する複数の“菌株”の場合は、特定の菌株の
みを選択的に増殖し得る選択培地の入手や調製が通常極
めて困難であり、特定の選択培地を用いても同じ“種”
に属する複数の“菌株”が同じように増殖してしまい、
かかる点から、“種”よりも下位の“菌株”のレベルで
は特定の菌株の存否や数を選択培地のみの使用によって
調査したり、測定したりすることが極めて困難であるの
が現状である。
【0009】そこで、試料中における菌の存否や数を、
特定の“菌株”のレベルで調査する方法としては、従
来、該特定の菌株が本来持っていない外来遺伝子をマ
ーカーとして該菌株に導入し、マーカー遺伝子を導入し
た菌株を土壌などの所定の環境に施した後、その土壌な
どを試料として採取して、その環境下における該菌株の
増殖状態、生残状態、菌数の調査や測定を行う方法が提
案されている[J.K.Fredrickson らによる“Applied
and Environmental Microbiology”Feb.p446−453(1
988)、「第17回土壌伝染病談話会講演要旨 199
4」の“遺伝子標識による土壌病原菌のモニタリングシ
ステムの確立(豊田秀吉氏)]。しかしながら、この
の従来法による場合は、外来遺伝子を導入した組み換え
DNAを有する菌株を使用するため、その菌株を実験室
から外部に勝手に持ち出すことができず、したがって実
験室レベルでの試験は行えるが、例えば屋外の芝生など
の自然環境下での調査には利用することができないとい
う欠点がある。
【0010】また、別の従来技術として、グレンメニ
エラ・アビエティナ(Gremmeniellaabietina)種に属す
る複数の菌株を含む試料にランダムプライマーを添加し
て菌株のDNA鎖のDNA断片をランダムに複製・増幅
するいわゆる複製連鎖反応(Polymer Chain Reaction;
以下「PCR」という)を行わせた後、その複製・増幅
されたDNA断片混合物を電気泳動にかけることによっ
て、それぞれの菌株に特有のバンドが見出されたことが
報告されている[R.C.Hamelin らによる“Applied an
d Environmental Microbiology”June.p1752−1755
(1993)]。しかしながら、このの方法による場合
は、グレンメニエラ・アビエティナ(Gremmeniella abi
etina)種に属する特定の菌株を予め添加し、それらの
菌株が含まれていることが最初から明らかな試料を用い
て該菌株のそれぞれのDNA断片の複製・増幅を行っ
て、それぞれの菌株の電気泳動のバンドを比較して、そ
れぞれの菌株に特有のバンドを見い出しているだけであ
るから、このの方法を、極めて多種多様の菌類が含ま
れ、しかも目的とする菌株が含まれているか否かさえ不
明な屋外の土壌などの試料の測定にそのまま用いても、
目的とする菌株の存否や数が、他の菌株と明確に区別さ
れて、正確に且つ再現性よく測定することは事実上極め
て困難である。
【0011】更に、“菌株”のレベルではなく、“種”
のレベルでの試料中の菌の存否の調査法ではあるが、上
記したおよびの従来法とは別に、特定の“種”に
属する菌に共通する特異的な性質に着目して、その特異
的な性質をコードしているDNAの塩基配列を見つけ出
し、その遺伝子配列をマーカーとして、該マーカー部分
(遺伝子配列;DNA断片)を複製・増幅できるランダ
ムプライマーを用いて複製・増殖させて(PCR)、試
料中の特定の“種”のレベルでの菌類の存否などを検定
する方法が知られている[A.A.Khan らによる“Appli
ed and Environmental Microbiology”Oct.p3739−37
45(1994)]。しかしながら、このの方法による場合
は、特定の“種”のレベルでの菌類に共通して存在する
上記した特異的な遺伝子配列(マーカー;DNA断片)
を見出すために、その“菌”に属する複数の菌類のDN
A鎖の塩基配列を一々調査してそれらの菌類に共通する
マーカー遺伝子を見つけ出して、そのマーカー遺伝子を
複製・増幅するランダムプライマーを合成するという手
法を採用している。その結果、このの方法による場合
は、マーカー遺伝子(該“種”に特異的なDNA断片)
の決定に極めて繁雑で手間および時間がかかり、しかも
“菌株”のレベルでの菌の存否や菌数の検定にはそのま
ま利用できない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、土壌
やその他の試料中における特定の菌の存否や菌数を、
“種”のレベルは勿論のこと、それよりも下位の“菌
株”のレベルでも簡単な操作で且つ短時間で、適確に且
つ円滑に検定することのできる方法を提供するである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、本発明者らが種々検討を重ねた結果、上記したな
どの従来法で採用されている複製連鎖反応(PCR)法
(以下単に「PCR法」ということがある)を単にその
まま行うのではなく、PCR法(第1のPCR法)によ
ってランダムに複製・増幅されたDNA断片から調査対
象である菌株に特異的なDNA断片を見つけ出し、その
特異的なDNA断片の塩基配列を決定し、その塩基配列
を有するDNA断片を選択的に複製・増幅し得る特異的
プライマーを合成し、この特異的プライマーを土壌など
の試料に加えて、該特定の菌に特異的な上記DNA断片
の選択的な複製・増幅処理(第2のPCR法)を行う2
段階のPCR法を採用すると、試料中の特定の菌の存否
を、“種”のレベルは勿論のこと、“菌株”のレベルで
も、簡単な操作で且つ短時間で、適確に且つ円滑に調べ
ることができることを見出した。
【0014】更に、本発明者らは、前記した2段階のP
CR法による試料中の菌の検定法を従来既知のいわゆる
“最確数法(Most Propable Number Method;以下「M
PN法」という)(すなわち試料を順次5倍または10
倍希釈して増殖させて増殖された試料中の菌の存否を調
べてその結果を統計的に処理して試料中の菌数を調べる
方法)と組み合わせて行うと、試料中の特定の菌の数
を、“種”のレベルは勿論のこと、“菌株”のレベル
で、簡単な操作で且つ短時間で、適確に且つ円滑に測定
できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を
完成した。
【0015】すなわち、本発明は、試料中における特定
の菌の存否の検定方法であって、 (I)(a) 調査対象である上記特定の菌のDNA鎖
のDNA断片をランダムプライマーを用いてランダムに
複製して増幅させる工程; (b) 前記の工程(a)で複製・増幅した複数のDN
A断片から測定対象である上記特定の菌に特異的なDN
A断片を得る工程; (c) 前記の工程(b)で得た該特異的なDNA断片
の塩基配列を決定する工程;および (d) 前記の工程(c)で決定した特異的なDNA断
片の塩基配列に基づいてその特異的なDNA断片を選択
的に複製して増幅させる特異的プライマーを合成する工
程;を包含する工程を採用することによって、上記の特
定の菌に特異的なDNA断片を選択的に複製して増幅さ
せ得る特異的プライマーを調製し; (II) 上記の(I)で調製した該特異的プライマーを
試料に含まれる菌類から採取したDNA混合物に加えて
上記特定の菌に特異的な上記DNA断片を選択的に複製
・増幅させる処理を行い;そして、 (III) 上記の(II)の複製・増幅処理を行ったDN
A混合物を分析して上記の特異的プライマーによって複
製・増幅されたDNA断片が存在するか否かを検査す
る;ことによって、試料中における上記した特定の菌の
存否を検定する方法である(以下この方法を「菌存否検
定法A」ということがある)。
【0016】更に、本発明は上記した菌存否検定法Aと
MPN法(最確数法)を組み合わせて行って、試料中に
おける特定の菌の菌数を検定する方法である(以下これ
を「菌数検定法B」という)。
【0017】そして、本発明の上記した菌数検定法Bの
うちの好ましい典型例としては次の方法を挙げることが
できる。すなわち、 (i) 所定数(N)の液体培地の3系列以上を用意す
る工程; (ii) 一定量の試料を第1の系列の上記所定数(N)
の液体培地に接種し、その5分の1または10分の1量
の試料を第2の系列の上記所定数(N)の液体培地に接
種し、さらにその5分の1または10分の1量の試料を
第3の系列の上記所定数(N)の液体培地に接種し、4
系列以上ある場合は更にその5分の1または10分の1
量の試料を第4の系列以降の系列に順次5倍希釈法また
は10倍希釈法にしたがって接種し、そしてそれぞれの
液体培地に接種した試料中に含まれる菌類を培養して増
殖させる工程; (iii) 各系列の上記所定数(N)の液体培地のそれ
ぞれで培養して増殖させた菌類のDNAをDNA混合物
の形態で各液体培地ごとに別々に分離して採取する工
程; (iv) 前記の工程(iii)で採取した各液体培地ごと
のDNA混合物に対して、測定対象である上記の特定の
菌に特異的なDNAの塩基配列部分を選択的に増幅する
特異的プライマーを共に加えて、該特定の菌に特異的な
DNAの塩基配列部分を該菌に特異的なDNA断片とし
て選択的に複製して増幅させる工程; (v) 前記の工程(iv)で得られた複製・増幅処理後
のDNAの混合物を分析して、測定対象である上記の特
定の菌に特異的なDNA断片がそこに含まれているか否
かを各液体培地ごとのDNA混合物について検査する工
程;および (vi) 前記の工程(v)の結果を統計学的に処理し
て、元の試料中に含まれている前記の特定の菌の数を求
める工程;からなり、そして上記の工程(iv)における
上記特定の菌に特異的なDNA断片を選択的に複製して
増幅させる特異的プライマーとして、下記の工程; (a) 測定対象である上記特定の菌のDNA鎖のDN
A断片をランダムプライマーを用いてランダムに複製し
て増幅させる工程; (b) 前記の工程(a)で複製・増幅した複数のDN
A断片から測定対象である上記特定の菌に特異的なDN
A断片を得る工程; (c) 前記の工程(b)で得た該特異的なDNA断片
の塩基配列を決定する工程;および (d) 前記の工程(c)で決定した特異的なDNA断
片の塩基配列に基づいてその特異的なDNA断片を選択
的に複製して増幅させる特異的プライマーを合成する工
程;を含む工程によって調製した特異的プライマーを使
用することからなる菌数検定法Bである。
【0018】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の上記した本発明の菌存否検定法Aおよび菌数検定
法Bでは、いずれも、上記した工程(a)〜(d)によ
って、検定対象である特定の菌、特に特定の菌株に特異
的なDNA断片を選択的に複製・増幅する特異的プライ
マーを合成し、この特異的プライマーを用いて試料中に
含まれる該特定の菌の有するDNA鎖の該特異的なDN
A断片の複製・増幅(PCR)を行わせる必要がある。
したがって、まずはじめに特異的プライマーを調製する
上記した工程(a)〜(d)について、調査または測定
対象が特定の“菌株”である場合を代表例として挙げて
具体的に説明する。
【0019】特異的プライマーの調製: (1) まず工程(a)において、調査または測定対象
である特定の菌株(以下「対象菌株」という)のDNA
鎖のDNA断片をランダムプライマーを用いてランダム
に複製して増幅させた後、工程(b)において、前記の
工程(a)で複製・増幅した複数のDNA断片を含むD
NA断片混合物を、電気泳動やその他の分析処理にかけ
て、それぞれのDNA断片に相当する部分(電気泳動で
は各バンド)に分離させる。 (2) 一方、調査しようとする試料中に含まれること
が予想される上記対象菌株と同じ“種”および/または
“属”に属する他の菌や菌株、調査する試料中に実際に
含まれている対象菌株と同じ他の“種”および/または
“属”に属する他の菌や菌株についても、該対象菌株の
場合と同様にして、上記(1)で用いたのと同じランダ
ムプライマーを使用して、各菌や菌株のそれぞれについ
てそのDNA断片をランダムに複製して増幅させた後、
その複製・増幅した複数のDNA断片を含むDNA断片
混合物を、上記(1)と同様にして、電気泳動やその他
の分析処理にかけて、それぞれのDNA断片に相当する
部分(電気泳動では各バンド)に分離させる。
【0020】(3) 次いで、上記(1)で得られた対
象菌株のDNA断片の分析結果(電気泳動の場合はバン
ドの位置)と、上記(2)で得られた他の菌および/ま
たは菌株のDNA断片の分析結果(電気泳動の場合はバ
ンドの位置)を互いに比較検討して、対象菌株には存在
するが他の菌や菌株には存在しない、対象菌株に特有な
DNA断片の部分(電気泳動の場合はバンド)を見つけ
出し、それを対象菌株に特異的なDNA断片とする。 (4) 次に、上記(3)で得られた対象菌株に特異的
なDNA断片について、該特異的なDNA断片の塩基配
列を決定し[上記の工程(c)]、次いで、その決定し
た特異的なDNA断片の塩基配列に基づいて、その特異
的な塩基配列を有するDNA断片を選択的に複製して増
幅させ得る特異的プライマーを合成して該特異的プライ
マーを調製する。
【0021】ここで、上記(1)および(2)における
対象菌株および他の菌や菌株のDNA断片の複製・増幅
は、菌(菌株)のDNA二本鎖のDNA一本鎖への解
離、DNAの一本鎖とプライマー(ランダムプライマ
ー)とのアニーリング、およびDNAポリメラーゼによ
る相補鎖合成の3反応を繰り返すことによって行うこと
ができる。かかるDNA断片の複製・増幅はPCR法
(Polymerase Chain Reaction法)として従来から知ら
れており、本発明においても従来既知のPCR法に準じ
て行うことができる。より具体的には、対象菌株、また
はその他の菌類や菌株から採取したDNAを緩衝液に入
れてDNA液を形成し、これにランダムプライマーおよ
びDNAポリメラーゼを加えて、加熱下におけるDNA
二本鎖の一本鎖への解離、それよりも低い温度でのDN
Aの一本鎖とプライマー(ランダムプライマー)とのア
ニーリング、およびアニーリング温度よりも高い温度で
のDNAポリメラーゼによる相補鎖合成の3反応を複数
回(通常20〜50回)繰り返して、DNA断片の複製
・増幅を行う。
【0022】上記したPCR法の実施に当たっては、菌
(菌株)のDNA二本鎖の一本鎖への解離は、通常、D
NA液を90〜95℃程度に加熱して行うのがよく、そ
の場合には、解離の加熱によってDNAポリメラーゼの
活性が失われ易い。そのため、DNAポリメラーゼとし
ては、90〜95℃程度に加熱してもその活性が失われ
ない耐熱性のDNAポリメラーゼを使用するのが望まし
く、耐熱性のDNAポリメラーゼを用いた場合には、上
記した3反応の繰り返しごとにDNAポリメラーゼを新
たに反応系に添加する必要がなくなって、DNA断片の
複製・増幅を速やかに且つ簡単に行うことができる。そ
のような耐熱性のDNAポリメラーゼとしては、Perkin
−Elmer Cetus 社製の「Ampli Taq DNA Polymerase」
(商品名)などの耐熱性菌(Thermus aquaticus)より
単離された耐熱性DNAポリメラーゼを用いるとよい。
【0023】また、上記(1)および(2)の複製・増
幅反応で用いるランダムプライマーの種類や内容[プラ
イマーの塩基配列、鎖(塩基配列)の長さなど]は、調
査または測定しようとする対象菌株の種類に応じて、そ
の対象菌株およびそれが属する“種”および/または
“属”の菌類に作用して、それらの菌のDNA鎖のDN
A断片を複製・増幅し得る働きを有するものを選んで使
用すればよい。上記(1)および(2)の複製・増幅反
応で用いるランダムプライマーは1種類のみであって
も、または2種以上であってもよい。ランダムプライマ
ーの塩基配列の数(鎖の長さ)が短すぎると、複製・増
幅を行った場合に極めて多種多様のDNA断片を含むD
NA断片混合物が生成されて、そのDNA断片混合物を
電気泳動などの分析処理にかけて比較しても、どれが対
象菌株に特異的なDNA断片(電気泳動の場合はバン
ド)であるかの判別が困難になり、一方ランダムプライ
マーの塩基配列の数(鎖の長さ)が長すぎると対象菌株
やその他の菌や菌株のDNA断片の複製・増幅が行われ
にくくなる。一般に、塩基の配列数が約8〜11個程度
のプライマーをランダムプライマーとして使用するのが
好ましい。限定されるものではないが、例えば対象菌株
がシュードモナス・フルオレッセンスに属する特定の菌
株である場合には、ランダムプライマーとして、その塩
基配列が、式:5'-CGCGTCCACで表されるプライマーを使
用すると、菌のDNA鎖のDNA断片の複製・増幅が円
滑に行われる。
【0024】また、上記(1)および(2)の複製・増
幅反を行う反応系における、対象菌株またはその他の菌
から採取したDNAの濃度、ランダムプライマーやDN
Aポリメラーゼの濃度、反応時間などは、対象菌株の種
類やその他の状況などに応じて、適宜選んで行うとよ
い。
【0025】更に、上記したように、本発明では対象菌
株のDNA断片を複製・増幅してそれを分析処理して得
られた結果と、その他の菌や菌株のDNA断片を複製・
増幅してそれを分析処理して得られた結果とを対比して
対象菌株に特異的なDNA断片をみつける操作を行うの
で、上記(2)における他の菌や菌株のDNA断片の複
製・増幅およびその分析処理に当たっては、出来るだけ
多数の対象菌株と近縁の他の菌および/または菌株につ
いてその複製・増幅および分析処理を行って、それらの
多数の他の菌および/または菌株のDNA断片の分析結
果と対象菌株の分析結果を対比して対象菌株に特異的な
DNA断片をみつけるようにすると、対象菌株に特異的
なDNA断片をより正確に見つけ出すことが可能にな
り、ひいては試料中における対象菌株の調査または測定
を正確に行えるようになるので望ましい。
【0026】そして、上記(3)[上記の工程(c)]
においては、対象菌株に特異的なDNA断片の塩基配列
の決定は、DNA断片の塩基配列の調査に従来から用い
られている方法や装置を使用して行えばよく、特に制限
されず、例えばDNA断片の塩基配列を自動的に調査で
きる装置を用いて自動的に行うことができる。この場合
に対象菌株に特異的なDNA断片の塩基配列の決定は、
そのDNA断片の塩基配列を完全(100%)に調べて
もよいが、必ずしもそれに限定されず、該DNA断片を
複製・増幅し得る特異的プライマーの合成にとって必要
な範囲で該DNA断片の塩基配列を部分的に調べてもよ
く、例えば対象菌株に特異的な該DNA断片の一方また
は両方の端部の約20〜200個程度の塩基配列だけを
調べてもよい。
【0027】更に、上記の工程(d)において、上記で
決定した対象菌株に特異的なDNA断片の塩基配列に基
づいて、その特異的な塩基配列を有するDNA断片を選
択的に複製して増幅させ得る特異的プライマーを合成す
るが、該特異的プライマーの合成法は特に制限されず、
従来既知のDNA断片の複製・増幅用のプライマーの合
成技術が本発明でも使用できる。特異的プライマーの塩
基配列は、上記で調べられた対象菌株に特異的なDNA
断片の塩基配列に応じて必然的に決まり、該特異的なD
NA断片の一方の端部、または両方の端部の塩基配列と
相補性を有する塩基配列となる。特異的プライマーの塩
基配列の数は、対象菌株におけるDNA断片の塩基配列
の内容や長さなどに応じて適宜調節できるが、一般に約
18〜22個程度とするのが、特異的プライマーによる
対象菌株に特異的なDNA断片の複製・増幅を円滑に行
うことができ、望ましい。
【0028】そして、特異的プライマーの合成およびそ
の後の複製・増幅においては、 ○ 対象菌株に特異的なDNA断片の一方の端部の幾つ
かの塩基配列と相補性を有する塩基配列からなる1個の
特異的プライマーと該対象菌株に特異的なDNA断片の
もう一方の端部の幾つかの塩基配列と相補性を有する塩
基配列からなるもう一つの特異的プライマーをそれぞれ
合成して、それら2個の特異的プライマーを用いて対象
菌株に特異的なDNA断片を複製・増幅する方法;或い
は ○ 対象菌株に特異的なDNA断片の一方の端部の幾つ
かの塩基配列と相補性を有する塩基配列からなる1個の
特異的プライマーと該対象菌株に特異的なDNA断片の
途中(中間)の幾つかの塩基配列と相補性を有する塩基
配列からなるもう一つの特異的プライマーをそれぞれ合
成して、それら2個の特異的プライマーを用いて対象菌
株に特異的なDNA断片を複製・増幅する方法;を行う
とよい。
【0029】そして、本発明の菌存否検定法Aおよび菌
数検定法Bでは、上記した工程によって調製した特異的
プライマーを、試料に含まれる菌類から採取したDNA
混合物に加えて対象菌株に特異的な上記DNA断片を選
択的に複製・増幅させる処理を行い、次いでその複製・
増幅処理を行ったDNA混合物を分析処理して、該DN
A混合物中に特異的プライマーによって複製・増幅され
たDNA断片が存在するか否かを検査する[菌存否検定
法Aにおける上記の工程(II)および工程(III)並び
に菌数検定法Bにおける工程(i)〜(v)、特に工程
(iii)〜(v)]。
【0030】本発明の菌存否検定法Aでは、試料中に含
まれる菌類から分離採取したDNA混合物の上記特異的
プライマーによる複製・増幅処理は、試料中に含まれて
いる菌類からそのまま直接DNAを分離・採取して、そ
の採取されたDNA混合物を用いて行うことができる。
しかしながら、試料を選択培地に入れて、対象菌株が属
する特定の“種”レベルおよび/または“属”レベルの
菌類を選択的に増殖させ、その選択的な増殖処理を行っ
て得られた同種の菌類からそのDNAを混合物の形態で
分離採取し、そのDNA混合物に対して上記で調製した
特異的プライマーを用いて複製・増幅を行うと、対象菌
株に特異的なDNA断片の増殖、ひいてはその存否をよ
り適確に且つ円滑に行うことができるので望ましい。ま
た、本発明の菌数検定法Bにおいても、上記した工程
(ii)における各液体培地における菌類の増殖処理を、
対象菌株が属する“種”レベルおよび/または“属”レ
ベルの菌類を選択的に増殖させ得る選択培地を用いて行
うのが、対象菌株に特異的なDNA断片の増殖、ひいて
はその存否をより適確に且つ円滑に行うことができる点
から望ましい。
【0031】そして、試料に含まれる菌類から分離・採
取したDNA混合物の特異的プライマーによる複製・増
幅は、ランダムプライマーを用いる上記した複製・増幅
と同様に従来既知のPCR法などに準じて行うことがで
き、DNA混合物中における各DNAの二本鎖の一本鎖
への解離、DNAの一本鎖とプライマー(特異的プライ
マー)とのアニーリング、およびDNAポリメラーゼに
よる相補鎖合成の3反応を通常20〜50回程度繰り返
して複製・増幅を行う。この場合も、DNAポリメラー
ゼとして90〜95℃程度の温度での解離反応において
その活性が失われない、上記した耐熱性のDNAポリメ
ラーゼを使用するのが望ましい。また、特異的プライマ
ーを用いる複製・増幅の反応系におけるDNA混合物の
濃度、特異的プライマーやDNAポリメラーゼの濃度、
反応時間などは、対象菌株の種類やその他の状況などに
応じて、適宜選んで行うとよい。
【0032】次いで、特異的プライマーおよびDNAポ
リメラーゼを用いる上記の複製・増幅処理を行ったDN
A混合物を、特異的プライマーを調製する上記(1)お
よび(2)の場合と同様にして、電気泳動などの分析処
理にかける。そしてその結果、特異的プライマーによっ
て複製・増幅された対象菌株に特異的なDNA断片が検
出された場合(電気泳動による場合は該特異的なDNA
断片に基づくバンドが出現した場合)には、試料に含ま
れる菌類から分離・採取されたDNA混合物中に対象菌
株に由来するDNAが含まれているということができる
から、試料中には対象菌株が存在していることが高い確
率によって確認される。一方、特異的プライマーを用い
て複製・増幅処理を行ったDNA断片混合物を電気泳動
などの分析処理にかけたときに、該特異的なDNA断片
が検出されない場合(電気泳動の場合は該特異的なDN
A断片に基づくバンドが出現しない場合)は、試料に含
まれる菌類から分離・採取されたDNA混合物中には対
象菌株に由来するDNAが含まれず、したがって試料中
に対象菌株が存在しないことが確認される(本発明の菌
存否検定法A)。
【0033】また、本発明の菌数検定法Bは、試料中に
おける対象菌株(対象菌)の存在の有無を調べる上記の
方法(本発明の菌存否検定法A)を、試料中に含まれる
菌の数を統計的に測定する上記した既知のMPN法と組
み合わせて、試料中における対象菌株の数を簡単に且つ
短時間で測定し得るようにしたものである。すなわち、
所定数(N)の液体培地の3系列以上を用意する工程
[工程(i)];および一定量の試料を第1の系列の上
記所定数(N)の液体培地に接種し、その5分の1また
は10分の1量の試料を第2の系列の上記所定数(N)
の液体培地に接種し、さらにその5分の1または10分
の1量の試料を第3の系列の上記所定数(N)の液体培
地に接種し、4系列以上ある場合は更にその5分の1ま
たは10分の1量の試料を第4の系列以降の系列に順次
5倍希釈法または10倍希釈法にしたがって接種し、そ
してそれぞれの液体培地に接種した試料中に含まれる菌
類を培養して増殖させる工程[工程(ii)]を行って、
試料中に含まれる菌類を、好ましくは“種”レベルおよ
び/または“属”レベルで増殖させる。
【0034】次いで、上記の工程(ii)で増殖させた各
系列の所定数(N)の液体培地のそれぞれの菌類からそ
のDNAをDNA混合物の形態で各液体培地ごとに別々
に分離して採取し[工程(iii)]、前記の工程(iii)
で採取した各液体培地ごとのDNA混合物に対して、菌
存否検定法Aの場合と同様にして、DNA混合物中にお
ける各DNAの二本鎖の一本鎖への解離、DNAの一本
鎖と特異的プライマーとのアニーリング、およびDNA
ポリメラーゼによる相補鎖合成の3反応を通常20〜5
0回程度繰り返して、該特異的なDNA断片の複製・増
幅を行い[工程(iv)]、前記の工程(iv)で得られた
複製・増幅処理後のDNAの混合物を電気泳動などによ
り分析して、対象菌株に特異的なDNA断片がそこに含
まれているか否かを上記した各系列の所定数(N)の液
体培地から得られたDNA混合物のすべてについて検査
し[工程(v)]、前記の工程(v)の結果を統計学的
に処理して、元の試料中に含まれている前記の特定の菌
の数を求める[工程(vi)]。
【0035】本発明の菌数検定法Bについて、各系列ご
とに5本の液体培地を3系列用意して行う場合[前記の
所定数(N)が5である場合]を例にとって具体的に説
明すると、例えば試料2gに対して滅菌水18gを加え
て全量を20gとし、この20gのうちから0.1gず
つを第1の系列の5本の液体培地に入れて菌の培養を行
い、次に上記20gから1gを採取してこれに滅菌水9
gを加えて10gと、その10gのうちから0.1gず
つを第2の系列の5本の液体培地に入れて菌の培養を行
い、更に、上記第2の10gのうちから1gを採取して
これに滅菌水9gを加えて10gとし、この10gのう
ちから0.1gずつを第3の系列の5本の液体培地に入
れて菌の培養を行う。そして、上記した第1、第2およ
び第3の系列のそれぞれ5本ずつの液体培地で培養され
た菌類のすべてについてそのDNAをDNA混合物とし
て分離採取し、各々のDNA混合物に対して、上記した
菌存否検定法Aにおける場合と同様にして、DNA混合
物中における各DNAの二本鎖の一本鎖への解離、DN
Aの一本鎖と特異的プライマーとのアニーリング、およ
びDNAポリメラーゼによる相補鎖合成の3反応を通常
20〜50回程度繰り返して、対象菌株に特異的なDN
A断片の複製・増幅を行い、複製・増幅で得られたDN
A混合物を電気泳動などにより分析する。その結果、例
えば、第1の系列の5本の液体培地から採取して複製・
増幅したDNA混合物のすべて、および第2の系列の5
本の液体培地から採取して複製・増幅したDNA混合物
のすべてに対象菌株に特異的なDNA断片が含まれてい
て、一方第3の系列の5本の液体培地から採取して複製
・増幅したDNA混合物のうちの3本分のみに対象菌株
に特異的なDNA断片が含まれていたとすると、MPN
コードが5−5−3となり、これを別途統計的に作成さ
れているMPNコード表に照らし合わせると、元の試料
中1gに含まれる対象菌株の数は、9.2×104個と
して求められる。
【0036】本明細書の“従来の技術”の項に記載した
ように、従来のMPN法では選択培地を用いて順次10
倍希釈して培養・増殖を行って培養後の各培地における
菌の有無をそのまま目視などによって調べてその菌数の
検定を行っていたので、試料中の菌数の検定は、選択培
地による選択的な培養が可能な“属”または”種”のレ
ベルまでしか行われておらず、菌株レベルでの菌株の検
定は困難であった。それに対して、本発明の菌数検定法
Bでは、本発明者らが新たに開発した上記の菌存否検定
法AをMPN法と組み合わせることによって、土壌など
の試料中に含まれる菌数を菌株のレベルで、極めて短時
間に且つ簡単に、適確に検定できるようにしたのであ
る。
【0037】本発明の菌存否検定法Aおよび菌数検定法
Bは、検定する菌の種類は特に制限されず、種々の菌類
に対してその存否の検定および/または菌数の検定に用
いることができ、土壌やその他の試料における種々の菌
類の存否の検定および/または菌数の検定に利用するこ
とができる。そして、特に、近年、土壌などの自然環境
下に存在する病原菌、例えば芝草病原菌に対して拮抗性
を有する有用菌の存否の検定や菌株の検定が有用菌の円
滑な使用などのために重要になっているが、本発明の菌
存否検定法Aおよび菌数検定法Bは、そのような有用菌
の存否の検査や菌数の検定に極めて有効に使用できる。
また、本発明の菌存否検定法Aおよび菌数検定法Bは、
試料中に含まれる菌類を“属”のレベル、“種”のレベ
ル、または“菌株”のレベルでその存在の有無の検定ま
たはその菌数の検定を行うことができ、特に“菌株”の
レベルでの菌の存否の検定および菌数の検定に適してい
る。
【0038】限定されるものではないが、例えば下記の
実施例で示すように、ピシウム・アファニデルマータ
ム、ピシウム・バンタプーリ、ピシウム・グラミニコー
ラなどのピシウム属、リゾクトニア・ソラニなどのリゾ
クトニア属、スクレロチニア・ホモエオカルパなどのス
クレロチニア属の芝草の病原菌に対して拮抗性を有して
いる、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモ
ナス・プティダなどの有用菌を含む土壌中における、特
定のシュードモナス・フルオレッセンス菌株の存否の有
無および菌数の検定を円滑に行うことができる。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はそれにより何ら限定されない。
【0040】《実施例 1》この実施例では、ゴルフ場
の土壌を試料として採取し、該土壌中における芝草病原
菌に対して拮抗性を有する有用菌株である、シュードモ
ナス・フルオレッセンス HP-72(Pseudomonas fluoresc
ens HP-72)(工業技術院生命工学工業技術研究所にFE
RM P−14781として寄託済み)(以下「シュー
ドモナス・フルオレッセンス HP-72」という)の菌数の
検定を行った。 (1) シュードモナス・フルオレッセンス HP-72に特
異的なDNA断片(塩基配列)の決定: シュードモナス・フルオレッセンス HP-72からその
DNAをアルカリ−SDS法によって分離・採取する
か、または菌体を滅菌水に懸濁し、95℃で5分間加熱
後、回転数10000rpmで5分間遠心分離しその上
澄液を回収する方法によって分離・採取してDNA溶液
を調製した。このDNA溶液に塩基配列が 5'-CGCGTCCA
C であるプライマーDNAをランダムプライマーとして
用い(以下これを「ランダムプライマーRP−6」とい
う)、またDNAポリメラーゼとしてPerkin−Elmer Ce
tus 社製の「Ampli Taq DNA Polymerase」(商品名)を
用いて、下記の表1に示す条件下にPCR反応によって
DNA断片の複製・増幅を行った。 また、上記とは別に、試料として採取したゴルフ
場の土壌よりP−1培地[Katoh,K らによる“Soil Sc
i.Plant Nutr.,29,525−532(1983)に記載されて
いる方法に準じて、 KH2PO4 1.0g、MgSO4・7H2O 0.5
g、KCl 0.2g、NaNO3 5.0g、デソキシコレート酸ナト
リウム1.0g、ベタイン5.0gおよび寒天15gを水1リッ
トルに溶解してpH7.2〜7.4 に調整して得た培地]を
用いて分離した蛍光性シュードモナスの20菌株と、P
−4培地[Katoh,K らによる“SoilSci.Plant Nutr.,
29,525−532(1983)に記載されている方法に準じて、 K
H2PO41.0g、MgSO4・7H2O 0.5g、KCl 0.2g、NaNO3 5.0
g、デソキシコレート酸ナトリウム1.0g、イノシトー
ル5.0gおよび寒天15gを水1リットルに溶解してpH
7.2〜7.4に調整して得た培地]を用いて分離したシュー
ドモナス・フルオレッセンスに属する他の20菌株のそ
れぞれについて、上記で使用したのと同じランダムプ
ライマーRP−6およびDNAポリメラーゼを用いて、
下記の表1に示す条件下に同様にしてPCR反応によっ
てDNA断片の複製・増幅を行った。
【0041】
【表1】 ランダムプライマーRP−6によるPCR反応の条件 反応液: 10倍緩衝液1) 10μl DNA溶液 50ng Ampli Taq DNA Polymerase 0.5μl 10μM ランダムプライマーRP−6 3.0μl(0.3μM) dNTP2)(各2.5mM) 4μl 滅菌蒸留水 反応液の全量が100μl となる量で加える ○複製・増幅装置(DNAサーマルサイクラー): Model 480(Perkin−Elmer Cetus 社製) ○PCR反応: 第1段:94℃で3分間/35℃で4分間/72℃で2分間のPCR反応 を1サイクル 第2段:94℃で1分間/35℃で1分間/72℃で2分間のPCR反応 を45サイクル 第3段:72℃で10分間加熱 1) 100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM KCl、15mM MgCl2および0.01%(w/v) ゼラチンからなるもの 2) dATP,dCTP,dGTP,dTTPをそれぞれ2.5mM濃度で蒸留水に溶かしたもの
【0042】(2)複製・増幅して得られたDNA断片
の分析: 上記(1)のおよびにおけるそれぞれのPCR
反応によって複製・増幅させて得られたそれぞれのDN
A断片を、TAE緩衝液[40mM トリス酢酸/1mM
EDTA(pH8.0)]を用いて1.0%アガロー
スゲル上に電気泳動させた後、エチジウムブロミドを用
いて染色して発色させて、それぞれのDNA断片に起因
するバンドをアガロースゲル上に出現させた。 シュードモナス・フルオレッセンス HP-72のDNA
断片の電気泳動の結果(アガロースゲル上のバンド)
を、蛍光性シュードモナス20菌株、およびシュードモ
ナス・フルオレッセンスに属する他の20菌株のDNA
断片の電気泳動の結果(アガロースゲル上のバンド)と
対比したところ、シュードモナス・フルオレッセンス H
P-72 のDNA断片を電気泳動したものでは約800
b.p.部分にバンドが存在したのに対して、蛍光性シ
ュードモナスおよびシュードモナス・フルオレッセンス
に属する他の菌株のDNA断片を電気泳動したものには
いずれも800b.p.部分にバンドが存在しないこと
が判明した。そこで、該約800b.p.部分をシュー
ドモナス・フルオレッセンス HP-72に特異的なバンドと
して、この約800b.p.部分のバンドを切り出し
た。
【0043】(3) シュードモナス・フルオレッセン
ス HP-72に特異的なDNA断片の塩基配列の決定:上記
(2)ので切り出したシュードモナス・フルオレッセ
ンス HP-72に特異的なバンドである約800b.p.部
分のバンドからDNA断片を“GELase”(エピセ
ンターテクノロジー社製)によって分離・回収し、回収
したそのDNA断片の塩基配列を“ダイプライマーサイ
クルシークエンスキット”(アプライド社製)により決
定したところ、図1に示すように、その両端に前記
(1)の工程で用いたランダムプライマーDNA(5'
-CGCGTCCAC)(図1ではランダムプライマーXと標記)
が結合し、両端のランダムプライマーDNA(ランダム
プライマーX)の内側に塩基配列Y1および塩基配列Y2
をぞれぞれ有し、さらに塩基配列Y1および塩基配列Y2
の内側に、配列番号1で示されるシュードモナス・フル
オレッセンス HP-72に特異的な塩基配列Z1、(すなわ
ちGGCAACTGCACAAGCGCCAで示される塩基配列)、および
配列番号2で示されるシュードモナス・フルオレッセン
ス HP-72に特異的な塩基配列Z2(すなわちGCCAATCACGC
CCTCAAGCTで示される塩基配列)を有し、さらに前記の
特異的な塩基配列Z1と特異的な塩基配列Z2との間に別
の塩基配列Y3を有しており、全体では約800個の塩
基からなっていた。
【0044】(4) シュードモナス・フルオレッセン
ス HP-72に特異的な特異的プライマーの合成:上記
(3)で決定した、シュードモナス・フルオレッセンス
HP-72に特異的なDNA断片の塩基配列に基づいて、配
列番号1で示される特異的な塩基配列Z1と同じ塩基配
列を有するプライマーDNA(すなわち5'-GGCAACTGCAC
AAGCGCCAで表される塩基配列を有するプライマーDN
A)、および配列番号2で示される塩基配列Z2と同じ
塩基配列を有するプライマーDNA(すなわち5'-GCCAA
TCACGCCCTCAAGCTで表される塩基配列を有するプライマ
ーDNA)をそれぞれ常法により合成して、これら2つ
のプライマーDNAをシュードモナス・フルオレッセン
スHP-72に特異的なプライマーとした(以下配列番号1
で表されるプライマーDNAを「特異的プライマーSP
6−1」と、また配列番号2で表される塩基配列を有す
るプライマーDNAを「特異的プライマーSP6−2」
という)。
【0045】(5) ゴルフ場の土壌(試料)中におけ
るシュードモナス・フルオレッセンスHP-72の菌数の検
定: ゴルフ場の土壌を試料として採取し、その土壌2.
0gを滅菌水18gに懸濁させて全量を20gとして1
0分間振盪した。この20gの懸濁液からその0.1g
ずつを第1の系列の5本の試験管内の液体培地(2倍濃
度のP−4培地)0.1mlのそれぞれに入れて28℃
で3日間に亙って菌類の培養を行った。 次に上記20gの懸濁液から1gを採取してこれに
滅菌水9gを加えて10gの液とし、その10gの液の
うちから0.1gずつを第2の系列の5本の試験管内の
同様の液体培地のそれぞれに入れて菌類を28℃で3日
間培養した。 更に、上記第2の10gの液のうちから1gを採取
してこれに滅菌水9gを加えて10gの液とし、この1
0gの液のうちから0.1gずつを第3の系列の5本の
試験管内の同様の液体培地のそれぞれに入れて菌類を2
8℃で3日間培養した。
【0046】 上記の〜で培養して増殖させた第
1〜第3の系列の試験管の菌類をそれぞれ別々に集菌し
(10000rpmで5分間遠心分離)、各菌体を滅菌
水で洗浄した後、各々100μlの水に懸濁させ、95
℃で5分間加熱後、回転数10000rpmで5分間遠
心分離し、その上澄液を分離・採取して各試験管ごとに
DNA混合物の溶液を調製した。 上記で得た各試験管ごとのDNA混合物の溶液に
対して、上記の(4)で合成したシュードモナス・フル
オレッセンス HP-72に対する特異的プライマーSP6−
1および特異的プライマーSP6−2並びにDNAポリ
メラーゼとしてPerkin−Elmer Cetus 社製の「Ampli Ta
q DNA Polymerase」を加えて、下記の表2に示すPCR
反応によってシュードモナス・フルオレッセンス HP-72
に特異的なDNA断片(電気泳動分析で約800b.
p.部分にバンドを出現させるDNA断片)を複製・増
幅させる処理を行った。
【0047】
【表2】 特異的プライマーSP6−1と特異的プライマーSP6−2によるPCR反応 反応液: 10倍緩衝液1) 5.0μl 25mM MgCl2 2.0μl dNTP2)(各2.5mM) 3.0μl 5μM プライマー3) 2.0μl 各試験管からのDNA混合物の溶液 50ng Ampli Taq DNA Polymerase 1 U 滅菌蒸留水 反応液の全量が50μlと なるように加える ○複製・増幅装置(DNAサーマルサイクラー): Model 480(Perkin−Elmer Cetus 社製) ○PCR反応: 第1段:95℃で1分間加熱 第2段:94℃で30秒間/62℃で20秒間/72℃で90秒間の PCR反応を30サイクル 第3段:72℃で5分間加熱 1) 表1の 1) と同じ 2) 表1の 2) と同じ 3) 特異的プライマーSP6−1と特異的プライマーSP6−2を1:1の割合 で使用
【0048】 上記において各試験管ごとのDNA
断片混合物をそれぞれPCR反応により複製・増幅させ
て得られたDNA断片を、TAE緩衝液[40mM トリ
ス酢酸/1mM EDTA(pH8.0)]を用いて
1.0%アガロースゲル上に電気泳動させた後、エチジ
ウムブロミドを用いて染色して発色させ、約800b.
p.の部分にバンドが出現しているか否かを調べた。そ
の結果、第1の系列の5本の試験管および第2の系列の
5本の試験管の培養物から得られたDNA混合物の複製
・増幅物を電気泳動したものではいずれも、シュードモ
ナス・フルオレッセンス HP-72に特異的なDNA断片に
相当する約800b.p.部分にバンドが出現し、第1
の系列の5本の試験管および第2の系列の5本の試験管
のいずれにもシュードモナス・フルオレッセンス HP-72
が含まれていたことが明らかになった。一方、第3の系
列では、その5本の試験管のうちの3本の試験管のDN
A混合物の複製・増幅物を電気泳動したものでは約80
0b.p.部分にバンドが出現しシュードモナス・フル
オレッセンス HP-72が含まれていたが、残りの2本の試
験管のDNA混合物の複製・増幅物を電気泳動したもの
では約800b.p.部分にバンドが出現せず、シュー
ドモナス・フルオレッセンス HP-72が含まれていなかっ
た。したがって、上記の結果から、試料として採取した
ゴルフ場の土壌中におけるシュードモナス・フルオレッ
センス HP-72の存否に係るMPNコードは5−5−3で
あり、これを別途統計的に作成されているMPNコード
表に照らし合わせた結果、ゴルフ場から採取した土壌
(試料)1g中にはシュードモナス・フルオレッセンス
HP-72が9.2×104個存在することが統計的に判明
した。
【0049】なお、この実施例1で用いたシュードモナ
ス・フルオレッセンス HP-72は、前記したように、ピシ
ウム・アファニデルマータム、ピシウム・バンタプー
リ、ピシウム・グラミニコーラなどのピシウム属、リゾ
クトニア・ソラニなどのリゾクトニア属、スクレロチニ
ア・ホモエオカルパなどのスクレロチニア属などの芝草
病原菌に対して拮抗性を有していて、それらの病原菌の
高い防除効果を有しており、その菌学的性質は以下のと
おりである。
【0050】(a)形態的性質:シュードモナス・フル
オレッセンス HP-72をキングB培地を用いて28℃で3
日間培養し、単純乾燥法を用いて走査電子顕微鏡用試料
を調製して、その形態的性質を調べたところ、下記の表
3に示すとおりであった。
【0051】
【表3】 シュードモナス・フルオレッセンス HP-72の形態的性質 ・ 桿 菌 ・ 極鞭毛を有する
【0052】(b)各種培地上での培養的性質:キング
B培地およびPDA培地において4〜35℃の範囲で生
育し、28℃付近で特に良好に生育して蛍光性色素を生
産し、41℃では死滅する。また、キングB培地上で黄
色とオレンジ色の中間の色調の表面がスムーズで艶のあ
るコロニーを形成する。
【0053】(c)炭素源の利用性:シュードモナス・
フルオレッセンス HP-72の炭素源の利用性の試験は、ス
ターニア(Starnier)の方法にしたがって行った。すな
わち、シュードモナス・フルオレッセンス HP-72をキン
グB培地(pH7.2)を用いて25℃で3日間培養し
た後、ワーリングブレンダーを用いて菌体を分散させ、
続いて遠心分離して培地成分を除いた後、同量の滅菌水
を加え、これに菌体を分散させた。この操作を3度繰り
返して培地成分を完全に取り除いて接種菌液を調製し
た。この接種菌液を、各種炭素源を添加したスターニア
(Starnier)の基礎培地(pH6.8)(以下「基礎培
地A」という)と、炭素源を添加しないスターニア(St
arnier)の基礎培地(pH6.8)(以下「基礎培地
B」という)を施してあるそれぞれのプレートに塗布
し、28℃で14日間培養した後、基礎培地Aにおける
菌体(シュードモナス・フルオレッセンス HP-72)の生
育状態を、基礎培地B(コントロール)における菌体
(シュードモナス・フルオレッセンス HP-72)の生育状
態と比較して、その各炭素源の利用性の有無を判定した
ところ、下記の表4に示すとおりであった。
【0054】
【表4】 シュードモナス・フルオレッセンス HP-72の炭素源の利用性 D−グルコース + トレハロース + マルトース − スタ−チ − イノシトール + マンニトール + ゲラニオール − アジペ−ト + バリン + ベタイン + +:利用する −:利用しない
【0055】(d)シュードモナス・フルオレッセンス
HP-72のその他の性質:また、シュードモナス・フルオ
レッセンス HP-72の上記した以外の性質は、下記の表5
に示すとおりであった。
【0056】
【表5】 シュードモナス・フルオレッセンス HP-72のその他の性質 グラム染色 陰性 脱窒素反応 陰性 ゼラチン分解能 陽性 スターチ分解能 陰性 ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)分解能 陰性 蛍光色素の生成 陽性 ピオシアニンによる阻止反応 陰性 オキシダーゼ活性 陽性 4℃での生育 陽性 41℃での生育 陰性
【0057】
【発明の効果】本発明の方法による場合は、試料中にお
ける特定の有用菌やその他の菌の存否または菌数を、
“種”のレベルは勿論のこと、それよりも下位の“菌
株”のレベルでも簡単な操作で且つ短時間で、適確に且
つ円滑に検定することができる。そして、本発明の方法
による場合は、DNAの組み換え体などを用いないの
で、特定の菌の存否や菌数の検定をクローズドされた実
験室内に限らず、それ以外の環境下でも行うことができ
る。
【0058】
【配列表】
【0059】配列番号:1 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(Other nucleic acid) 合成pri
-DNA 配列 GGCAACTGCA CAAGCGCCA
【0060】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(Other nucleic acid) 合成pri
-DNA 配列 GCCAATCACG CCCTCAAGCT
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてシュードモナス・フルオレッ
センス HP-72に特異的なバンドである約800b.p.
部分のバンドから分離・回収したDNA断片の塩基配列
を模式的に示した図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:39) (72)発明者 神前 健 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 岡田 憲三 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉株 式会社つくば研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中における特定の菌の存否の検定方
    法であって、 (I)(a) 調査対象である上記特定の菌のDNA鎖
    のDNA断片をランダムプライマーを用いてランダムに
    複製して増幅させる工程; (b) 前記の工程(a)で複製・増幅した複数のDN
    A断片から測定対象である上記特定の菌に特異的なDN
    A断片を得る工程; (c) 前記の工程(b)で得た該特異的なDNA断片
    の塩基配列を決定する工程;および (d) 前記の工程(c)で決定した特異的なDNA断
    片の塩基配列に基づいてその特異的なDNA断片を選択
    的に複製して増幅させる特異的プライマーを合成する工
    程;を包含する工程を採用することによって、上記の特
    定の菌に特異的なDNA断片を選択的に複製して増幅さ
    せ得る特異的プライマーを調製し; (II) 上記の(I)で調製した該特異的プライマー
    を、試料に含まれる菌類から採取したDNA混合物に加
    えて上記特定の菌に特異的な上記DNA断片を選択的に
    複製・増幅させる処理を行い;そして、 (III) 上記の(II)の複製・増幅処理を行ったDN
    A混合物を分析して上記の特異的プライマーによって複
    製・増幅されたDNA断片が存在するか否かを検査す
    る;ことを特徴とする、試料中における特定の菌の存否
    の検定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法と最確数法を組み合わせ
    て行うことを特徴とする、試料中における特定の菌の菌
    数の検定方法。
  3. 【請求項3】 (i) 所定数(N)の液体培地の3系
    列以上を用意する工程; (ii) 一定量の試料を第1の系列の上記所定数(N)
    の液体培地に接種し、その5分の1または10分の1量
    の試料を第2の系列の上記所定数(N)の液体培地に接
    種し、さらにその5分の1または10分の1量の試料を
    第3の系列の上記所定数(N)の液体培地に接種し、4
    系列以上ある場合は更にその5分の1または10分の1
    量の試料を第4の系列以降の系列に順次5倍希釈法また
    は10倍希釈法にしたがって接種し、そしてそれぞれの
    液体培地に接種した試料中に含まれる菌類を培養して増
    殖させる工程; (iii) 各系列の上記所定数(N)の液体培地のそれ
    ぞれで培養して増殖させた菌類のDNAをDNA混合物
    の形態で各液体培地ごとに別々に分離して採取する工
    程; (iv) 前記の工程(iii)で採取した各液体培地ごと
    のDNA混合物に対して、測定対象である上記の特定の
    菌に特異的なDNAの塩基配列部分を選択的に増幅する
    特異的プライマーを共に加えて、該特定の菌に特異的な
    DNAの塩基配列部分を該菌に特異的なDNA断片とし
    て選択的に複製して増幅させる工程; (v) 前記の工程(iv)で得られた複製・増幅処理後
    のDNAの混合物を分析して、測定対象である上記の特
    定の菌に特異的なDNA断片がそこに含まれているか否
    かを各液体培地ごとのDNA混合物について検査する工
    程;および (vi) 前記の工程(v)の結果を統計学的に処理し
    て、元の試料中に含まれている前記の特定の菌の数を求
    める工程;からなり、そして上記の工程(iv)における
    上記特定の菌に特異的なDNA断片を選択的に複製して
    増幅させる特異的プライマーとして、下記の工程; (a) 測定対象である上記特定の菌のDNA鎖のDN
    A断片をランダムプライマーを用いてランダムに複製し
    て増幅させる工程; (b) 前記の工程(a)で複製・増幅した複数のDN
    A断片から測定対象である上記特定の菌に特異的なDN
    A断片を得る工程; (c) 前記の工程(b)で得た該特異的なDNA断片
    の塩基配列を決定する工程;および (d) 前記の工程(c)で決定した特異的なDNA断
    片の塩基配列に基づいてその特異的なDNA断片を選択
    的に複製して増幅させる特異的プライマーを合成する工
    程;を含む工程によって調製した特異的プライマーを使
    用することからなる、請求項2の試料中における特定の
    菌の検定方法。
  4. 【請求項4】 工程(b)において、工程(a)でラン
    ダムに複製・増幅されたDNA断片混合物を電気泳動に
    かけて測定対象である上記特定の菌に特異的なDNA断
    片のバンドを見つけ出し、そのバンドを構成するDNA
    断片の塩基配列を上記の工程(c)で決定し、次いで工
    程(d)においてその特異的なDNA断片を選択的に複
    製して増幅させる特異的プライマーを合成するものであ
    る請求項1〜3のいずれか1項の検定方法。
  5. 【請求項5】 試料が土壌である請求項1〜4のいずれ
    か1項の検定方法。
  6. 【請求項6】 検定の対象である特定の菌が、土壌中に
    存在する病原菌に対して拮抗性を有する菌である請求項
    1〜5のいずれか1項の検定方法。
  7. 【請求項7】 検定の対象である特定の菌が、土壌中に
    存在する芝草病原菌に対して拮抗性を有する菌である請
    求項6の検定方法。
JP7093259A 1995-03-28 1995-03-28 試料中の菌の検定方法 Pending JPH08256799A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7093259A JPH08256799A (ja) 1995-03-28 1995-03-28 試料中の菌の検定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7093259A JPH08256799A (ja) 1995-03-28 1995-03-28 試料中の菌の検定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08256799A true JPH08256799A (ja) 1996-10-08

Family

ID=14077500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7093259A Pending JPH08256799A (ja) 1995-03-28 1995-03-28 試料中の菌の検定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08256799A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001511362A (ja) * 1997-07-22 2001-08-14 ラピジーン,インコーポレイテッド Msにより配列決定データを相関させるコンピュータ方法およびシステム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001511362A (ja) * 1997-07-22 2001-08-14 ラピジーン,インコーポレイテッド Msにより配列決定データを相関させるコンピュータ方法およびシステム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Miyamoto et al. Novel endophytic nitrogen-fixing clostridia from the grass Miscanthus sinensis as revealed by terminal restriction fragment length polymorphism analysis
Vincent Lévy-Frébault et al. Proposed minimal standards for the genus Mycobacterium and for description of new slowly growing Mycobacterium species
Duineveld et al. Analysis of the dynamics of bacterial communities in the rhizosphere of the chrysanthemum via denaturing gradient gel electrophoresis and substrate utilization patterns
Schaad et al. Real-time PCR and its application for rapid plant disease diagnostics
Williams et al. Methods for integrated air sampling and DNA analysis for detection of airborne fungal spores
Fegan et al. Sensitive and specific detection of Clavibacter xyli subsp. xyli, causal agent of ratoon stunting disease of sugarcane, with a polymerase chain reaction‐based assay
Song et al. Detection of Acidovorax avenae ssp. avenae in rice seeds using BIO‐PCR
Hadas et al. Comparison of extraction procedures and determination of the detection threshold for Clavibacter michiganensis ssp. michiganensis in tomato seeds
Fuhrman et al. Prokaryotic and viral diversity patterns in marine plankton
Schaad et al. A high throughput membrane BIO‐PCR technique for ultra‐sensitive detection of Pseudomonas syringae pv. phaseolicola
Rohini et al. Isolation and characterization of Ralstonia solanacearum causing bacterial wilt of solanaceae crops
Kamako et al. Establishment of axenic endosymbiotic strains of Japanese Paramecium bursaria and the utilization of carbohydrate and nitrogen compounds by the isolated algae
Bhat et al. Specific detection of Phytophthora cactorum in diseased strawberry plants using nested polymerase chain reaction
Shin et al. Bradyrhizobium isolated from huanglongbing (HLB) affected citrus trees reacts positively with primers for Candidatus Liberibacter asiaticus
Kong et al. Direct colony PCR-SSCP for detection of multiple pythiaceous oomycetes in environmental samples
Van Vuurde et al. Immunofluorescence colony-staining (IFC)
Taparia et al. Six multiplex TaqManTM-qPCR assays for quantitative diagnostics of pseudomonas species causative of bacterial blotch diseases of mushrooms
Fanelli et al. Selective detection of Pseudomonas syringae pv. tomato using dot blot hybridization and real‐time PCR
Sadunishvili et al. Molecular, morphological and pathogenic characterization of Clavibacter michiganensis subsp. sepedonicus strains of different geographic origins in Georgia
Tarh A Review on Diagnostic Methods for the Identification of Vibrio cholerae
McArthur et al. Asking probing questions: can fluorescent in situ hybridization identify and localise aquatic hyphomycetes on leaf litter?
CN110878373A (zh) 一种致病疫霉菌的重组酶聚合酶扩增检测试剂盒及其应用
JP4899009B2 (ja) LAMP法を用いたクロストリディウム・ディフィシルtoxinB遺伝子検出方法およびこの方法に用いるプライマーセット
JPH08256799A (ja) 試料中の菌の検定方法
Immanuel et al. Discrimination between viable and dead Xanthomonas fragariae in strawberry using viability PCR

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041005

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050215